DSC_1630室戸市では、ウバメガシという木が群生しておりこのウバメガシの原木を利用し、約100年前から土佐備長炭の生産が行われています。
「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された室戸市吉良川町の町並みの近くで土佐備長炭を生産している窯元『炭玄』代表の黒岩辰徳さんにお話をお伺いしました。
黒岩さんは「室戸には仕事がない」という周囲の声を聞き
「それなら作ってしまおう!」と考え土佐備長炭窯元「炭玄」を立ち上げ日々「室戸市を元気する為」「室戸で働けるように」と活動されています。

『炭玄』を立ち上げようとしたきっかけは?

1204101935高校卒業後4年間高知市内で働き、地元の海洋深層水の会社から声をかけてもらったことをきっかけに室戸へ戻ることができました。自分は幸運な事に、地元に戻れたけど、周りでは「室戸に残りたいけど残れない。」「室戸に帰りたいけど帰れない。」という声をよく聞きました。それなら、自分が「室戸で働ける場をつくろう!」と考えたのがきっかけです。学生の頃は、吉良川の町並みなどは日常の風景であって、特に特別な思いがあったわけではなかったんです。でも一度室戸を離れてみて、「大切にしていかんと(大切にしていかないと)」と良さを実感。
土佐備長炭も学生の時は触れる機会がなくて「室戸で、できる仕事を!」と考えた時に存在を知りました。それから、土佐備長炭の市場をリサーチし「これなら、いける!」と思ったので決心しました。
飛び入りで窯に行き、自分の思いを師匠にぶつけて「じゃ、明日からきいや。」と修行を許され弟子入り。
約2年間の修行は想像以上に体力を使うもので「土木もできるし、体力には自信がある!」という自信を見事にへし折られましたね(笑)当初は「今さら炭焼き?」という声も周囲からあったけど「自分だけじゃなく、働きたいと思っている人たちの為に!」という強い思いがあったので2年間の修行も乗り越え、2007年に「炭玄」を立ち上げることができました。

『土佐備長炭』

2untitled土佐備長炭は、鉄のように硬く少ない煙で長時間燃えるので業務用として高いニーズがあります。炭玄では全国へ業務用の炭を出荷していて、一か月に3つの窯合わせて4~5回作業してもまだまだ需要に追いついていない状態です。
『炭焼き』の窯だし作業は20時間続くこともあり『大変』というイメージが強いけど、窯出しが終われば、次の原木を入れるまで自由に時間を使えますよ。
のんびり釣りに出かけたりする人も結構いて、実は自分のペースで作業できる仕事なんです。
また、できあがる炭は毎回違い、より良い炭を作れるよう常に挑戦していける所が魅力の一つですね!仲間と一緒に楽しみながら挑戦し続けられる仕事ができるし、一回の窯だしで炭の出来によるけど、だいだい60万円くらいになる。室戸で十分暮らせる仕事になります!
だからこそ、炭玄では働きたいと思う人が働けるように作業を「シフト制」にしたり、
卸業者を通さず直接営業をかけたり、楽しく仕事を覚えられるように工夫しています。

室戸の魅力は?

吉良川では「神祭」を担う為、中学2年生から各地域の「青年団」に入ります。
それぞれ年代で実行部隊や、ご意見番といった役割があり、その青年団の中で小さいながらも「社会」を学ぶんです。縦社会があり、横のつながりがあり、お陰で学生の頃から街を歩いていると、いろんな世代の人に声をかけてもらっていました。良いですよね、そんな風に地域の人とコミュニケーションが取れる町って。「神祭」を通して世代を超えた人間関係を、築くことができ今の自分がいます。
もちろん、町並みや海も魅力の一つですが、そういった人の繋がりを大切にしていきたいですね。

今後の目標:「室戸で雇用を生み出す!」

帰りたいと思っている人が帰ってこれる、残りたいと思っている人が残れる「仕事」を室戸で作りたいです。
「炭焼き」だけにこだわらず、「室戸でできること」を考えていきたい。「炭玄」から独立して自分の窯を持って、その人がまた別の人を雇用して…というふうに輪が広がっていけばいいですね!
あと、せっかくの趣のある旅館も利用する人が少なくなってきていてもったいない。
お店や、旅館など室戸市全体も元気になるような仕組みを考えています。

UIターンを考えられている人に一言

1204102352「仕事がないき。(仕事がないから)」
「ここでは働けんき。(ここでは働けないから)」
と言って離れていくのではなくて、ここで暮らすためにはどうするか?
 『なければ作る!』くらいの気持ちで考えてほしいですね。
自分達が気づいていない資源や、昔からあるものを工夫して変えていけば
今に生かせる仕事がきっとあるはずです!!

取材後記

室戸市と仲間を大切にする「炭玄」代表の黒岩辰徳さんは、頼もしいがっちりした体と優しい笑顔がとても印象的でした。
『炭化』という作業では炭の状態を匂いで判断し、煙の量を直径約1cmの枝を使って調整したりと、まさに『職人』!
少しの調整で製品の出来栄えが変わってくる繊細な作業も、魅力の一つだなと感じました。そんな職人技を見学に最近では県外や、海外から来られる方が増えたそうです!
現在、炭玄さんには、室戸に帰ってこられた方だけではなく、愛媛県から「炭焼き」の修行に来られている方がいらっしゃいます。皆さんさわやかな笑顔で迎えてくれて生き生きと窯に向かわれていました。今年10月に開催された「神祭」には業務として「炭玄メンバー」で参加されるなど、地域の方との交流も積極的に行っています。
昔ながらの町並みが残る吉良川の町は歩いているだけで癒されますが、さらに「見て楽しんでもらえるように」と黒岩さんは町の中の建物を借りて『土佐備長炭』の工程の写真を展示しされています。普段は、ほぼ窯にいるので町の中の「炭玄」は誰もいないことが多いそうですが、丁寧に一つ一つの工程の写真と作業の説明が書かれており、見るだけでも楽しめました!
室戸市を訪れた際には、吉良川の街をお散歩してはいかがでしょうか。

炭玄さんの日々の活動や皆さんの頑張る姿はこちら(↓)からご覧いだけます!
https://www.facebook.com/murotokirakawasumigen?fref=ts
室戸市の素敵な風景も見ていただけますので、是非のぞいてみてください!