平成25年9月県議会での知事提案説明

公開日 2013年09月25日

更新日 2014年03月19日

平成25年9月高知県議会定例会での知事提案説明 (9月25日)

1 国の動向など
(1)国の動向
(2)TPP

2 補正予算などについて
(1)9月補正予算
(2)今後の財政収支見通し

3 南海トラフ地震対策について
(1)南海トラフ地震対策のPDCA
(2)大規模建築物などの耐震
(3)石油基地などの地震・津波対策
(4)福祉避難所の整備
(5)秦南団地について
(6)南海トラフ地震対策特別措置法について

4 第2期産業振興計画の推進について
(1)第2期産業振興計画バージョン2の取り組み状況
(2)「高知家」プロモーションと移住促進の取り組み
(3)地産外商の取り組み
(4)担い手の育成・先進技術の普及促進
(5)おおとよ製材稼動
(6)観光振興の取り組み

5 日本一の健康長寿県づくりについて
(1)早産予防のための母体管理の徹底
(2)地域精神医療支援プロジェクト
(3)ねんりんピックよさこい高知2013の開催

6 教育の充実

7 中山間対策の取り組み

8 コンプライアンスの徹底と地域防災力の確保

9 土佐電気鉄道株式会社問題への対応

10 議案

 


 

 

 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成25年9月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

 

1 国の動向など

 

(1)国の動向

 最初に、2020年のオリンピック・パラリンピックの招致活動にこれまでご尽力されました関係者の皆様に敬意を表しますとともに、お祝いを申し上げます。私自身、開催地が東京に決定したことを大変うれしく思いますし、この大会が世界中の人々に夢と希望を与えるものとなることを期待しております。

 我が国が、7年後のオリンピック・パラリンピックの開催という共通の目標に向けまして一丸となって取り組みますことにより、スポーツの振興はもとより、今後の経済成長にも大いに弾みがつくものと思っております。県としましても、このことを契機としまして、青少年の育成にさらに力を入れますとともに、合宿の誘致や外国人観光客の増加、地産外商のさらなる推進に向けた取り組みを行うなど、本県の経済活性化にもつなげてまいりたいと考えているところであります。

 安倍政権の発足から、間もなく9カ月が経過しようとしております。

 この間、政府は、長引くデフレからの脱却と低迷する我が国経済の再生に向けて、矢継ぎ早に政策を打ち出し、実行しています。その結果、4月から6月期の実質GDPの改定値が年率換算で3.8パーセント増となるなど、様々な経済指標がおおむね改善され、景気回復に向けた歩みが着実に進んできていると受け止めております。

 また、政府は、先月8日、財政健全化目標を達成するための今後の道筋を示した中期財政計画を閣議了解するとともに、21日には、社会保障制度改革の進め方を定めたいわゆる「プログラム法案」の骨子を閣議決定するなど、経済再生と財政健全化の好循環を目指すとともに、持続可能な社会保障制度の構築に向けた取り組みを進めております。また、今月4日には、来年度の政府予算に関し、99兆2,500億円という一般会計の要求額としては過去最大となる概算要求が公表されました。

 これらの国の動向につきましては、地方の行政サービスや財政運営に大きな影響を与えるものであることから、今後ともしっかりと注視していかなければならないと考えております。

 今後、消費増税の最終決断を経て、アベノミクスや社会保障制度改革などを体現する平成26年度予算編成が始まります。総理におかれましては、そのリーダーシップを余すことなく発揮され、経済を活性化する上で極めて重要となります、アベノミクスの三本目の矢である成長戦略をスピード感を持って進めていただくことにより、民需主導の持続的な経済成長、そして、景気回復が実感できる実体経済の好循環につなげていただきたいと考えております。

 県としましても、本県の実情に合った有益な国の政策につきまして、産業振興計画をはじめとする県の施策に積極的に活用していくことを目指して、引き続き、東京事務所を中心に情報収集に努め、機を捉えて政策提言するなど、適切に対応してまいります。

(2)TPP

 7月23日から日本が正式に交渉参加いたしました、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPにつきましては、来月上旬にインドネシアで開かれる首脳会合での大筋合意、また、年内の妥結に向け、参加12カ国間で交渉が活発に行われているところであります。TPP交渉は秘密性が高く、交渉状況が明確にされておりませんが、政府におきましては、可能な限り、国民に対する情報開示と説明に努めていただくとともに、国民の懸念にしっかりと耳を傾けていただきたいと思っております。

 県としましては、引き続き、国の動向を注視しますとともに、今後とも、TPP参加による影響が心配されます業界関係者の皆様や、同じ利害を有します関係県などと連携しながら、県民生活を守るための取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

 

2 補正予算などについて

 

(1)9月補正予算

 今議会では、「南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化」、「産業振興計画の推進」、「日本一の健康長寿県構想の推進」、「教育の充実と子育て支援」の4つの柱に基づき、総額42億円余りの補正予算案を提出しております。

 第一の柱である「南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化」に関しては、本年6月に策定いたしました南海トラフ地震対策行動計画を力強く実行するため、地震発生直後から応急期にかけて命を守る対策をさらに加速してまいります。具体的には、被害のさらなる軽減のため、病院や旅館をはじめとする大規模建築物などの耐震化補助制度を創設するとともに、石油基地などの地震・津波対策の検討を加速してまいります。さらには、応急対策の速やかな実行のため、避難所や防災拠点などに再生可能エネルギーを導入するなどしてまいります。

 第二の柱である「産業振興計画の推進」に関しては、「高知家」プロモーション第2弾の好機を逃すことなく、移住相談数のさらなる増加を図るため、移住ホームページ「高知で暮らす。」をバージョンアップいたします。また、6次産業化の支援の充実を図るため、国が運営しております6次産業化サポートセンターを本年12月から県が運営することとし、事業者に対するきめ細かな支援を実施してまいります。

 第三の柱である「日本一の健康長寿県構想の推進」に関しては、高知県地域医療再生計画に位置付けました医師確保対策などの取り組みの一環といたしまして、高知大学医学部神経精神科学講座の下で、地域における精神科医療を支援するプロジェクトを新たに実施していただくことにより、県内で従事する精神科医師の確保を目指すこととしております。

 第四の柱である「教育の充実と子育て支援」に関しては、全国学力・学習状況調査の結果からも特に課題が大きいと考えられる中学校の数学の知識活用力を問うB問題について、新たな教材を導入し、授業の質の向上のための教員研修を充実するなど、さらなる学力向上を目指して取り組んでまいります。

 このほか、高知県から国内外に芸術文化を発信する新たな取り組みといたしまして、郷土ゆかりの世界的写真家である故石元泰博氏の作品を常設展示するとともに、作品の調査、研究などを行うため、県立美術館の改修を実施してまいります。

(2)今後の財政収支見通し

 県の財政運営におきましては、県民サービスの確保と県財政の健全化を共に実現するため、中期的な収支の動向を常に念頭に置いて財政規律の維持に努めていくことが重要であります。

 このため、本年度も、昨年度の本県の決算状況や中期財政計画をはじめとする国の動向などを踏まえ、平成31年度までの中期的な財政収支の試算を行いました。

 その結果、新たな南海トラフ地震対策行動計画に基づく建築物の耐震化や保育所・幼稚園の高台移転など、地震対策のさらなる加速化や、社会保障と税の一体改革を踏まえた今後の社会保障関係経費の増加による影響を加味しても、一定の財政調整的基金を確保しつつ中期的に安定した財政運営を行うことができる見通しが示されました。また、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除く県債残高も、引き続き抑制傾向を維持できる見通しであります。

 しかしながら、本県の財政は、歳入に占める地方交付税などの割合が高く、国の財政健全化に向けた取り組みや税制改正などの動きに左右されます。引き続き、これらの動向を注視し、必要に応じて政策提言を行うなど、気を緩めることなく中期的な見通しに立って安定的な財政運営に努めてまいります。

 

3 南海トラフ地震対策について

 

 次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。

(1)南海トラフ地震対策のPDCA

 現在、新たな南海トラフ地震対策行動計画に掲げた183項目の対策を全速力で進めております。

 これらの対策を進めるにあたりましては、実際の現場の状況をリアルに想像し、地震発生直後から無事に命をつなぐまでの対策が一連の流れとしてつながっているか、一つ一つチェックしていくことが極めて重要であります。

 このため、県内をいくつかの地域に分けて、想定される被害や地理的な条件、地域内の人的・物的資源の状況などを当てはめながら、より詳細に現場の状況を想定し、対策の検証を行っております。例えば、先日の南海地震対策推進本部会議では、東洋町と室戸市において、揺れや津波から身を守った後に、避難所に移動し避難生活を送ることを想定した場合、まず、津波からの避難路や避難場所は住民の皆様が臨機応変に対応できるよう複数の選択肢が用意されているか、次に、避難所への経路は確保されているか、避難所は安全か、その数は十分なのか、食糧や水は備えられているか、また、避難所へ物資を運ぶための道路や手段は確保されているか、といった具体的な検証を行ったところであります。

 今後も、こうした検証を通じて、必要な対策の追加や見直しを行い、南海トラフ地震対策の充実強化を図ってまいります。

(2)大規模建築物などの耐震

 南海トラフ地震による死者数を限りなくゼロに近づけていくためには、まず、最初に襲ってくる強い揺れから身を守ることを徹底する必要があります。このため、学校や住宅などの耐震化を進めるとともに、家具の転倒防止など室内の安全確保にも取り組んでいるところであります。

 こうした中、本年5月29日に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、11月中の施行が予定されております。

 改正の内容は、不特定多数の方が利用する病院、店舗、旅館などの大規模な建築物や、災害対策の拠点となる建築物などについて、耐震診断の実施と報告を義務付け、これを公表するものであります。

 これらの建築物の耐震化は、地震発生時だけでなく、発生後においても、多くの県民の命を守ることに直結いたします。このため、県としましては、市町村が避難所などとして指定する施設について、市町村の負担もいただき、義務付けとなる耐震診断に加えて、耐震設計、改修工事も対象とする支援制度を全国に先駆けて創設することといたしました。

 さらに、市町村による避難所などへの指定や補助制度の創設までの間においても、多くの人々が集まる大規模建築物については耐震診断に早急に着手していただく必要があるため、地方負担分を県が単独で補助する本年度限りの特例的な支援措置を設けることとし、このための経費を補正予算案に計上しております。

 こうした支援により、大規模建築物などの耐震化を促進するとともに、引き続き、住宅をはじめとする建築物の耐震化も推し進め、強い揺れから1人でも多くの方の命が守られるよう全力で取り組んでまいります。

(3)石油基地などの地震・津波対策

 言うまでもなく、揺れが収まった後の命を守るための対策も極めて重要であります。現在、沿岸部の市町村において、津波からの避難対策として津波避難空間の整備が急ピッチで進められております。県としましても、引き続き、早期に全ての整備が完了するよう、市町村を全力で支援してまいります。

 また、東日本大震災においては、被災を受けた石油タンクから流出した油などによる火災が発生するとともに、地震発生後の県民生活においてもガソリン不足などによる大きな混乱を招いたところであります。

 本県においても、県内で消費する石油のほとんどが浦戸湾内のタナスカ地区や中ノ島地区の石油基地に搬入されており、南海トラフ地震が発生すれば、同様の被害や混乱が懸念されるところであります。

 このため、石油基地における揺れや津波による火災への対策についても、着実にその取り組みを進めております。来月には、学識経験者や国の担当者などを委員とする検討会を立ち上げ、より詳細な被害想定や地質調査などから得られたデータを基に、必要な対策の検討を行ってまいります。

(4)福祉避難所の整備

 こうした一連の対策により助かった命をつないでいく取り組みといたしまして、県外からの支援を円滑に受け入れるための総合防災拠点の整備や、災害時の医療救護態勢のさらなる見直しを進めております。

 あわせて、地域の被災者支援の拠点となる避難所につきましては、現在、5月の県版の被害想定に基づき、各市町村において、必要な数や設置場所の再検討、さらには、運営マニュアルの策定などの取り組みが進められております。

 その中で、介護が必要な高齢者や障害のある方など、災害時に、一般の避難所では生活が困難な方々を受け入れる施設となる福祉避難所につきましては、これまでも各市町村の指定促進に向けた取り組みを支援してまいりました結果、6月末現在で、県内18市町村において78施設が指定されております。しかしながら、試算によりますと、災害時に必要となります福祉避難所の充足率は17.5パーセントにとどまるなど、大幅に不足している状態にあり、市町村による福祉避難所の指定を加速させる必要があります。

 このため、福祉避難所として最低限必要となります物資などの整備について、補助対象となる施設を拡大するなど、県が新たなスキームで財政支援を行うことにより、福祉避難所の早期整備に向けた市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。

(5)秦南団地について

 先月26日に開催されました高知県・高知市連携会議において、高知市北消防署と高知赤十字病院の整備を前提に、秦南団地の利活用の検討を進めることとなりました。

 北消防署につきましては、高知市から、市北部の人口増や市域拡大に対応する消防機能を強化するとともに、大規模災害発生時の救助活動や県外からの支援部隊の受け入れを行う防災拠点とするため、秦南団地への立地のご要望をいただいておりました。この消防署は、防災の拠点となる重要な施設となりますことから、新たな津波浸水予測を踏まえ対応を検討することとしておりましたところ、昨年12月に公表いたしました県版の第2弾の震度分布・津波浸水予測において、秦南団地周辺は、長期浸水エリアにはならず、消防署の機能を発揮することが可能であると判明いたしました。

 他方、高知赤十字病院からは、現病院の老朽化、狭隘化に加え、現在の病院周辺が長期浸水エリアであることなどから、建て替えの候補地として秦南団地への立地のご要望をいただいておりました。

 高知赤十字病院には、県内全域からの負傷者を受け入れる広域的な災害拠点病院として、また、被災地で救急治療を行う専門の医療チームを派遣するDMAT指定医療機関として役割を担っていただかなければなりません。秦南団地は、先ほど申し上げましたとおり長期浸水エリアにはならず、また、大規模災害発生時にも高知インターチェンジを利用して県内各地から患者を搬送することが可能な位置にあり、県外からの救助隊や支援の受け入れを想定した場合の利便性も高いと考えております。

 加えて、現在、高知赤十字病院は、第三次救急医療機関として県内全域から重篤な救急患者を受け入れておりますため、今回の整備により、例えば、へリポートの設置が可能となれば、救命救急機能の向上も図られるものと考えております。

 こうしたことから、南海トラフ地震に備え、県民の皆様の安全・安心を確保するとともに、平時の消防機能と救命救急機能の強化を図るために、秦南団地に高知市北消防署と高知赤十字病院を整備することが最適であると判断いたしました。今後、住民の皆様にご理解いただけますよう整備の必要性などを丁寧に説明してまいりますとともに、議会や関係者の皆様からご意見をいただきながら、高知市と連携し、具体的な検討を進めてまいります。

(6)南海トラフ地震対策特別措置法について

 来月中旬に開会予定の臨時国会において、継続審議となっております「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法案」が審議される見通しであります。この法案には、津波避難施設などの整備に対する財政支援措置や、集団移転に関連した社会福祉施設や幼稚園・保育所などの移転に関する特例措置などが盛り込まれており、法案が成立すれば、津波から命を守る対策が大幅にスピードアップいたします。

 これまで、同じ課題に連携して取り組んできた9県知事会議はもとより、7月に緊急提言を行った全国知事会とも連携を図りながら、国に積極的に働きかけてきたところであり、同法案の早期成立を心から願っております。

 法案成立後は、国において津波避難対策を特別に強化する地域の指定基準や、集団移転に関連して移転が必要と認められる施設の対象範囲などについて、具体的な検討が進められることとなっております。

 また、予防から復興までの南海トラフ地震対策のマスタープランとなる地震対策大綱や、地震発生時の人員や物資の配備、活動拠点の場所などを定める応急対策活動の具体的な計画の検討が、現在、進められております。

 引き続き、9県知事会議や全国知事会などと連携し、本県をはじめ大きな被害が想定される地域にとって、特別措置法や大綱に基づく様々な対策が実効性、即効性の高いものとなるよう、情報収集に努めながら、国に対して強力に訴えてまいります。

 

4 第2期産業振興計画の推進について

 

(1)第2期産業振興計画バージョン2の取り組み状況

 次に、産業振興計画についてご説明申し上げます。

 産業振興計画につきましては、PDCAサイクルにより取り組み状況を点検し、不断の見直しを図りながら施策を推進しております。加えて、本年度からは、第2期計画に掲げた4年後の目標を見据えて、毎年度の到達点を定めるとともに、施策間の有機的な連携を確認しながら、よりきめ細かに取り組み状況の検証を行っているところであります。

 今月13日に開催いたしました産業振興計画フォローアップ委員会では、こうした状況と併せて、本年度上半期の進捗状況などを確認いただきました。

 新しくスタートを切った「高知家」プロモーションや移住促進の取り組みなども含め、全体としては、おおむね計画どおり進んでおり、官民を挙げた取り組みがさらに広がっているとの評価をいただいたところであります。

 また、本県農業を維持・発展していくための担い手の確保対策の強化や、CLTの早期の普及を図るための取り組みの加速化など、一連の施策を進める中で見えてまいりました計画のさらなるバージョンアップの方向性についても、ご確認をいただいたところであります。今後、関係団体の皆様のお知恵も賜りながら、庁内でさらに議論を深め、次期改定につなげてまいります。

 次に、各分野における取り組み状況についてご説明申し上げます。

(2)高知家」プロモーションと移住促進の取り組み

 県では、家族のように温かい高知県人の魅力を全国にアピールし、多くの皆様に高知を知って、好きになっていただくことを目的に「高知家」プロモーションを順次展開しております。

 6月のプロモーション第1弾については、高知県全体をイメージしていただくコンセプトコピー「高知県はひとつの大家族やき。高知家」の発表を多くのマスメディアに取り上げていただくとともに、同時に開設いたしました「高知家」特設ウェブサイトには、今月23日現在で約70万件のアクセスをいただくなど、順調なスタートが切れたものと考えております。

 そして、さらなる認知度の向上に向け、先月5日には、プロモーション第2弾となる「高知家の唄」プロジェクトを発表いたしました。作曲は本県出身のシンガーソングライター、岡本真夜さんにお願いし、歌詞には「高知家」の家族の皆様からお寄せいただいた「高知家」ならではのエピソードを盛り込み、来月末の完成を目指して、プロジェクトを進めております。

 こうした一連の「高知家」の取り組みにつきましては、「高知家」ファミリー募金に多くの方々からご寄附をいただき、既に3万個を超えるピンバッジをお渡ししておりますし、ロゴマークについてもこれまでに24社の民間企業の皆様から利用の届け出をいただくなど、多くの県民の皆様にもご賛同いただいているところであります。

 本県の認知度は「高知家」プロモーションの展開によって、一定向上しているものと考えておりますが、全国的にまだまだ十分と言えません。物産販売や観光客の誘致、そして移住者のさらなる増加につなげて行くためには、今後とも継続的な取り組みが必要であることから、来年度以降の具体的な戦略について早期に検討を進めてまいりたいと考えております。

 この「高知家」プロモーションと連携して進めております移住促進の取り組みにつきましては、県の移住ホームページ「高知で暮らす。」に、本年度、今月23日までの約6カ月間で、昨年度1年間の7割を超えるアクセスをいただくなどしており、この点からも高知への移住に関心が高まっていることがうかがえるところであります。

 こうした移住に関心のある方々を、移住相談などの具体的な行動につなげるため、先月5日には、仕事、住む場所、趣味の3つの情報をホームページ上で自由に組み合わせ、本県での暮らしを具体的にイメージしていただく本県オリジナルの「幸せ移住パッケージシステム」を稼働いたしました。

 また、官民協働の取り組みとして、高知県移住推進協議会では、レンタカー利用料金の割引といった移住希望者に対する具体的な支援策の早期実現に取り組むことを確認いただきました。このほか、県外の民間企業の皆様に、本県への移住促進にご協力いただく「移住支援特使」制度も新設し、5社13名の方に就任いただいております。

 市町村との連携協調についても、18市町村が専門相談員を配置し、地域の身近な相談役「地域移住サポーター」として6市町25名の方にご協力をいただくなど、連携体制の強化が進みつつあります。

 こうした取り組みにより、本年度の第1四半期における移住実績は、昨年度1年間の約8割に相当する101組150人と好調に推移しております。しかしながら、住み慣れた地域を離れ移住していただくこと自体が高いハードルである上に、平成27年度に500組の移住者達成という高い目標を掲げていることからも、この間の状況を踏まえ、できるだけ早く、迅速に取り組みを強化していく必要があると考えております。

 このため、まず、現在の取り組みのうち、直ちに強化できる対策としまして、今秋に予定しております「高知家」プロモーション第2弾により高知への関心が高まる機会を逃すことなく、移住相談など具体的な行動につなげることができるよう、県の移住ホームページ「高知で暮らす。」の大幅なバージョンアップを図ってまいります。

 あわせて、移住の実現に向けた課題であります住む場所の確保につきましても、例えば、持ち家を貸していただくために、その中にある荷物の保管場所を整備できないか、さらには、行政が関与した貸借の仕組みが構築できないか、などといった対策の検討を進めてまいります。

 さらに、これまでに県外から移住された方々が地域において起業され、また、第一次産業の担い手として活躍するなど、移住された方々の活躍を契機に地域の活性化や新たな経済活動が興っている事例がいくつも生まれております。こうしたことから、全ての方をターゲットにした、これまでの移住促進策に加え、地域が求める役割を前面に出して、地域の活性化に貢献していただける人材の積極的な獲得といった新たな観点からアプローチする方策も検討してまいりたいと考えております。

 今後も、現在の施策をしっかりと実施するとともに、取り組みのさらなるバージョンアップに向けた検討を重ねてまいります。

(3)地産外商の取り組み

 先月3周年を迎えたアンテナショップまるごと高知を拠点とする地産外商公社の外商部門につきましては、4月から職員を2名増員し7名体制として、卸事業者や量販店といった相手先の業態に応じた担当制を敷くなど、官民協働による外商活動を精力的に展開しております。その結果、先月末までに867件と、昨年同時期の416件の2倍以上の成約に結び付いております。

 また、プロモーション部門につきましても、職員を1名増員し3名体制とするとともに、プロモーション戦略局を専門部署として設けました。こうした体制強化とこれまで築いてきた人脈などが相まってマスメディアとの連携も活発化し、6月までの第1四半期には多くのテレビ番組に本県及び本県産品が取り上げられました。その結果、テレビ放映などによる広告換算効果は30億円を超え、年間目標の25億円を既に大きく上回っております。

 加えて、まるごと高知の物販やレストランの売り上げも順調に推移しており、先月末現在で昨年同時期の約15パーセント増となっております。こうした成果は、公社各部門の積極的な活動の相乗効果によるものと考えております。今後とも、この流れを継続しつつ、県民の皆様、県内事業者の方々に公社の活動や成果をさらに実感していただけるよう、「高知家」プロモーションの盛り上がりもうまく活用し、積極的に地産外商活動を展開してまいります。

(4)担い手の育成・先進技術の普及促進

 農業の担い手の確保につきましては、本年度調査によりますと、昨年6月から1年間の県内における新規就農者数が263人となり、過去最高の結果となりました。これまで取り組んでまいりました就農支援施策や県内外でのPR活動などの成果が表れたものと考えております。

 他方、JAなど関係機関にご協力いただき、JAの生産部会ごとに生産者や農地の今後の動向に関する調査を行いましたところ、県全体で、この10年間で16パーセントもの生産者の減少が予想される結果が示されました。今後、本県の農業を維持・発展していくためには、これまで以上に、担い手確保の取り組みを強化していかなければなりません。

 この調査結果を受け、各JAの生産部会では、産地の将来像について話し合い、部会内で課題の共有化を進め、従来は個々で対応していた新規就農者の研修受け入れなどについて、部会としての対応を検討することが決定されております。県といたしましても、こうした取り組みと連携しながら、担い手を確保するために必要となる農地の流動化を図る仕組みづくりなど、担い手確保対策の強化を図ってまいります。

 また、担い手の育成においては、本県の強みである施設園芸に先進技術を導入し、収益性の高い農業経営を実現していくことが重要であります。

 そのため、四万十町にあります農業大学校の研修内容の充実を図るとともに、先進技術の研修が可能な施設整備などを行ってまいりたいと考えております。

 これまで、本県は、いち早く、平成21年度にオランダのウェストラント市との友好園芸農業協定を締結し、生産者などの視察支援や県の研究員の派遣を行い、作物の生育に最適な環境制御の考え方を学んでまいりました。こうして得られた知見や技術を基に、本県の気候条件などに適応した生産性の高い、こうち新施設園芸システムの研究開発や現場への普及に取り組んでいるところであります。

 こうした中、国においては、オランダの先進技術を取り入れた大規模な次世代施設園芸拠点の整備方針を打ち出しております。この拠点整備は、県がこれまで全国に先んじてオランダから学んできた環境制御などの先進技術を生かす絶好のチャンスとなることから、この機を逃さず、国に対して、本県へ導入できるよう積極的に提言を行ってまいりました。今後も引き続き、本県への導入の実現に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。

(5)おおとよ製材稼動

 先月26日に、待ちに待った大型製材工場「高知おおとよ製材株式会社」が操業を開始いたしました。平成27年度のフル操業時には、四国において最大級となる年間原木消費量10万立方メートル、製品生産量5万立方メートルを目指すこの製材工場は、本県林業を元気にするための大きなエンジンと言えます。あわせて、県内の他の製材工場においても、現在、品質の高い製材品の生産拡大を図るために、加工力の強化を進めているところであります。県勢浮揚を目指しておおとよ製材を中心とする県内製材工場をフル回転させるためには、原木の安定供給が欠かせません。このため、木材生産に関わる方々との連携を密にして、原木の増産と安定供給体制づくりの取り組みを加速してまいります。

 こうした製材品の生産拡大に備え、販売拡大と需要拡大にも積極的に取り組んでおります。

 販売拡大については、関東など大消費地に設置しております流通拠点のさらなる活用を図ってまいります。あわせて、これまで個々の事業者の取り扱い規模が小さいために対処できなかった大口の取引にも対応できるよう、販売窓口の一元化と県内事業者の製品を取りまとめて出荷する仕組みづくりを進めてまいります。

 需要拡大については、木材の大きな需要喚起につながるCLTを使用する建築工法を早期に実現するため、この7月に本県でCLT建築推進協議会を立ち上げたところであります。今後は、同協議会が中心となって、法令などの整備促進や設計・施工のノウハウの取得や蓄積、実証試験や技術者の育成などに取り組み、CLTの早期の普及を目指してまいります。

 あわせて、平成27年度には県内2カ所で木質バイオマス発電所が稼動する予定であり、原木の増産に伴い発生する大量の低質材や、これまで利用されずに切り捨てられていた間伐材などを活用することも可能となります。

 このように、川上から川下までが一体となって森林資源を余すことなく生かす取り組みを一歩一歩着実に進めることにより、全国一の森林率を誇る本県の豊かな森林をダイナミックに活用して、林業・木材産業の振興、ひいては中山間地域の振興を図ってまいります。

(6)観光振興の取り組み

 この夏の本県観光は、観光キャンペーン「リョーマの休日」の取り組みとともに、7月から幡多地域で開催されております「楽しまんと!はた博」や、映画「県庁おもてなし課」の全国公開、第60回の記念大会となったよさこい祭りなどの誘客効果によりまして、例年以上の観光客の皆様でにぎわいました。特に、「楽しまんと!はた博」が開催されております幡多地域には、昨年放映されましたテレビドラマの効果や、江川崎で記録した日本最高気温の話題性も加わりまして、昨年を大きく上回る観光客の皆様にお越しいただきました。

 こうした取り組みを地域が主体となって継続的に進めてきたことにより、本県観光のポテンシャルが着実に高まりつつあるものと、私自身手応えを感じているところであります。

 さらに、本県観光をもう一段高いレベルに引き上げ、これまで以上の誘客を図るためには、本県の持つ強みを徹底的に生かすことが重要となってまいります。このため、来年度以降も「リョーマの休日」キャンペーンを継続するとともに、本県の大きな強みの一つであります「食」を前面に打ち出す戦略を展開していくこととしております。

 本県の「食」は、四季折々の旬の素材の素晴らしさはもちろんのこと、おきゃく文化や日曜市などに見られる「高知家」の人々の温かさと一体になることにより、観光資源として大きく魅力を増すものと考えております。

 こうしたことから、来年の1月に『「高知家の食卓」県民総選挙』と題しまして、県民の皆様が観光客にお薦めをしたい店や料理を選ぶ「食」の総選挙を実施したいと考えております。

 この「食」の総選挙を通じて、高知の「食」の魅力を全国に発信し、観光客の皆様に「高知家」が自信を持ってお薦めする「食」を堪能していただくことにより、高知ファンのさらなる拡大につなげてまいります。あわせて、県民の多くの皆様に「食」の総選挙へご参加いただくことにより、県民一丸となった高知の「食」のPRにつなげてまいりたいと考えております。

 また、好評をいただいております龍馬パスポートについては、利用者が4万7千人を突破し、観光客の周遊促進やリピーターの拡大に大きな効果を発揮していることから、新たな魅力を加えるなどのリニューアルを行い、来年度以降も引き続き活用してまいります。

 

5 日本一の健康長寿県づくりについて

 

 次に、本年2月にバージョンアップをいたしました日本一の健康長寿県づくりの取り組みについてご説明申し上げます。

 まず、保健・医療の分野では、乳幼児健診の受診促進や健康教育の充実による子どもの頃からの健康づくりをはじめ、がん、脳卒中などの生活習慣病対策を通じた働き盛りの死亡の改善、あるいは、医師や看護師の確保対策などによる医療提供態勢の強化に向けて取り組みを加速しております。

 また、福祉の分野では、地域における支え合いの力を再構築するための官民一体となった取り組みや、市町村の子ども・子育て支援事業計画を取りまとめる県計画の策定に向けた高知県子ども・子育て支援会議の開催、あるいは、「高知家」の子ども見守りプランに基づき非行防止対策の抜本強化を図るなど、高知型福祉の実現を目指した取り組みを進めているところであります。

(1)早産予防のための母体管理の徹底

 本県では、2,500グラム未満の低出生体重児の出生割合が全国水準より高い数値で推移しているとともに、増加傾向にあることから、昨年度より妊婦の母体管理の徹底に関する取り組みの強化を図ってまいりました。

 昨年9月には、医療機関の協力の下、早産の兆候をいち早く発見するため、県内一斉に、子宮の入り口の長さを超音波で測定する検査を導入いたしました。さらに、本年4月には、妊婦健康診査に新たな細菌検査を追加するなど、早産予防対策を進めてまいりました。

 その結果、県内において本年1月から6月に体重1,000グラム未満で生まれた新生児は5人と、昨年同時期の20人と比べ、25パーセントまで減少しております。また、妊娠32週未満で搬送された早産の恐れのある妊婦がそのまま出産に至った件数も減少しており、分娩前の早い時期からしっかりと検査を行うことによる早産予防の効果が着実に表れ始めております。

 引き続き、母体管理の徹底に取り組みますとともに、産科病床の増床に向けた支援など周産期医療体制を確保することにより、安全・安心な出産環境づくりに努めてまいります。

(2)地域精神医療支援プロジェクト

 現在、県内の複数の精神科病院において医師が不足しており、さらに、今後は、医師の高齢化が急速に進行すると予想されております。

 他方、精神科医療に対する県民ニーズは、認知症の高齢者や発達障害児、あるいはうつ病患者の増加などといった形で確実に増大しつつあります。

 このため、今回、地域医療再生臨時特例基金を活用し、中長期的な精神科医師の確保対策として、地域における精神科医療を支援するプロジェクトを、高知大学医学部神経精神科学講座の下に、特任教員を増員配置していただくことにより、新たに実施していただくことといたしました。

 このプロジェクトでは、精神科医師の養成のための教育カリキュラムの充実を図るとともに、本県における精神科医療の実情や必要性を反映した、県内での勤務希望者の増加につながるような魅力的な体験研修を推進することにより、高知大学医学部神経精神科学講座が行っている、地域精神医療推進活動を支援してまいります。

 なお、その際には、本県の若手医師の育成支援を推進する組織として、既に高知大学医学部に設置している高知地域医療支援センターとも連携し、進めてまいります。

 こうしたプロジェクトを実施していただくことにより、精神科医師を志す学生の方が1人でも多く県内にとどまり、地域精神医療に従事することにつなげてまいりたいと考えております。

(3)ねんりんピックよさこい高知2013の開催

 多くの県民の皆様のご協力をいただきながら全力で準備を進めております「ねんりんピックよさこい高知2013」の開催まで、残すところ1カ月となりました。

 来月26日から29日までの4日間、「長寿の輪 龍馬の里で ゆめ交流」をテーマに、県内各地の会場において24種目のスポーツ・文化の交流大会を開催いたしますほか、健康や福祉・生きがいづくりに関する様々なイベントを実施することとしております。

 参加する誰もが地域や世代を超えて交流し、喜びや感動、そして健康長寿を実感できる大会とするため、会場となります市町村や関係団体の皆様ともしっかりと連携を図りながら、全力で取り組んでいるところであります。

 また、大会期間中に来県される多くの選手・役員の方々に、高知の素晴らしい自然、文化、人、新鮮な食べ物などの魅力を十分に堪能していただき、再び「高知家」の家族として訪れていただけますよう、「高知家」ならではのおもてなしで温かくお迎えするとともに、龍馬パスポートを活用するなど関係機関と連携した取り組みも進めてまいります。

 

6 教育の充実

 

 次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。

 教育委員会では、学力の地域間格差やいじめ、不登校など本県が抱える教育問題の解決を図るため、平成20年7月に学力向上・いじめ問題等対策計画を策定し、学校・学級改革や放課後改革など5つの改革と子どもたちの体力づくりに積極的に取り組んでまいりました。そして、これらの取り組みの質をさらに向上させるため、平成24年3月には高知県教育振興基本計画重点プランを策定し、子どもたちの夢や志を喚起し学ぶ意欲を引き出す取り組みも強化するなど、教育改革に全力で取り組んでまいりました。

 こうした中、先月、小学校6年生と中学校3年生の全ての児童生徒を対象とした全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。

 それによりますと、本県の小学生の学力は、今回と同様の方式により調査が実施された平成21年度には全国40位であった国語の基礎知識を問うA問題が今回は10位となり、同じく45位であった算数A問題も9位となるなど、全国の上位クラスにまで大幅に向上してまいりました。また、中学生についても、全国との差は依然厳しいものの、平成21年度調査と比較して、全国平均正答率とのポイント差が大幅に縮小するなど全国トップクラスの高い改善傾向を示しております。

 さらに、児童生徒の学習状況を見ると、家庭学習を「1時間以上している」との回答が、小学生では平成21年度の59.6パーセントから69.7パーセントに、中学生では57.7パーセントから66.8パーセントに、共に大きく増加しております。あわせて、「将来の夢や目標を持っている」、「学校のきまりを守っている」との回答の割合も小学生、中学生、共に増加するなど、学力と共に、将来を見通す力や規範意識といった心の土壌も着実に培われてきているところであります。

 こうした結果は、保護者や地域の皆様方、教職員の方々、そして何よりも児童生徒の皆さんが頑張ってこられた成果であると考えております。

 また、これまで、各学校において、学校改善プランを基に講じてまいりました単元テストや学習シートなどを活用した授業改善や家庭学習習慣の確立、県独自の学力定着状況調査を通じた学力定着状況の詳細な分析と対策の実施、さらには放課後学習の充実など、地道に積み重ねてきた様々な取り組みが着実に実を結んできているものと考えております。

 こうした状況の中、平成24年度からは、子どもたちのさらなる学力向上を図るため、小学校は全国上位に、中学校は全国平均まで引き上げていくという、もう一段高いところに目標を掲げております。このような目標の下、一人一人の児童生徒に基礎的、基本的な内容を一層定着させるとともに、活用問題で問われている思考力や表現力の育成を図る取り組みをさらに強化してまいります。とりわけ、今回の調査でより課題が鮮明になった中学校の数学における思考力の育成に関しましては、まず、直ちに授業改善を進めるために、この9月より、全国学力・学習状況調査の過去問題集の作成や、全ての中学校における数学の授業改善プランの策定、教員の指導力の向上に向けた研修の充実などに、既に着手しております。

 次に、来年4月からは、新学年のスタートに合わせて、新たな数学思考力問題集を全ての中学校に導入し、単元テストや数学シートと共に、効果的な活用をすることにより、思考力を育成する取り組みを一段と強化してまいります。

 さらに、今回の調査結果を詳細に検証・分析し、これまで進めてまいりました様々な取り組みの質をより一層向上させながら、市町村教育委員会と共に、さらなる学力向上の取り組みを進めてまいります。

 あわせまして、不登校など生徒指導上の諸問題の改善や体力向上につきましても、引き続き、重点プランに基づく取り組みを全力で推進し、「知」「徳」「体」の全般にわたる本県教育の振興を図ってまいります。

 

7 中山間対策の取り組み

 

 次に、中山間対策についてご説明申し上げます。

 今月19日には、佐川町の尾川地区におきまして県内10カ所目となる集落活動センターが開設されました。また、今月末には、安芸市の東川地区におきましても集落活動センターが開設される予定となっており、同センターの取り組みも一歩ずつ着実に県内各地への広がりを見せている状況であります。

 今後は、これまで開設された集落活動センターの取り組みのさらなる充実を図るとともに、新たに立ち上げを目指す地域に対しても、引き続き積極的な支援を行ってまいります。

 また、中山間対策の新たな重点テーマである小さなビジネスと拠点ビジネスの推進につきましては、現在、産業振興推進地域本部を中心に取り組みを進めております。

 小さなビジネスの取り組みでは、地域の潜在力を引き出し、地域アクションプランの裾野を広げるという視点に立って、地域の生産者グループなどによる農林水産物やその加工品などの中から将来的に発展の見込めるものや、集落活動センターの取り組みにつながるもの、あるいは、地域政策の観点から取り組みの継続が不可欠なものなどを取り上げ、具体的な支援を進めていくことといたしました。

 また、地域の中核的な事業体が主体となって多角的経営を行う拠点ビジネスの取り組みでは、地域や集落の活性化に寄与し、中山間対策のけん引役となるような取り組みを選定し、地域の産業づくりの中心となる取り組みとして支援を行っていくことといたしました。

 これらの取り組みは、将来にわたって中山間地域の暮らしを支え、収入や雇用をもたらすための非常に重要な取り組みでありますことから、産業振興計画の取り組みとも連動させながら、全庁を挙げて積極的に取り組んでまいります。

 

8 コンプライアンスの徹底と地域防災力の確保

 

 県内の建設業界におきましては、コンプライアンスの徹底に取り組むとともに、それぞれの取り組みの効果を検証し、必要な改善を行うなど、コンプライアンスの確立に向けて、努力が続けられているところであります。

 県といたしましても、引き続き、建設業界との意見交換会などを通じて、取り組み状況を確認しながら、必要な支援を行うとともに、談合防止対策の徹底を図ってまいります。

 他方、新技術や情報化施工の活用による技術力の向上を図るための技術者研修を行うなど、県内建設業者の技術力の強化にも取り組んでいるところであります。

 また、南海トラフ地震など大規模災害が発生した際には、建設業の皆様にはそれぞれの地域で、倒壊家屋からの救助活動や道路の啓開など、地域防災において重要な役割を果たしていただくこととなります。

 現在、高知県地域防災力維持確保検討委員会において、地域防災力に関する課題や対策についての検討を重ねており、年末には結果をご報告いただけることとなっております。その検討結果を踏まえ、県としても地域防災力の確保策の検討をさらに深めてまいります。

 

9 土佐電気鉄道株式会社問題への対応

 

 昨日、本県中央地域の公共交通機関の運営のあり方や土佐電気鉄道株式会社の社内改革の状況などを協議する場として、行政、金融機関、交通事業者などで構成する「中央地域公共交通再構築検討会」が立ち上がりました。

 検討会では、中央地域の公共交通の課題を掘り下げ、将来にわたって持続可能な公共交通のスキームについて検討を行い、本年度末を目途に案を取りまとめることが確認されました。県としましても、こうした検討を通じて、高齢者や県外からの観光客にも利用しやすい公共交通ネットワークづくりやまちづくりにつなげられますよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 他方、検討会の中では、土佐電気鉄道株式会社から、一連の問題を受けての法令遵守と信頼回復に向けた改善の取り組みについて、報告がありました。これにより、外部調査委員会から指摘を受けておりました規程類やチェック体制が順次整備され、コンプライアンスの確立に向けてしっかりと動き出していることが確認されました。

 また、社内に経営改革委員会が設置され、ガバナンスの強化についての議論が始まったとの報告もありました。

 今後、こうした動きがより具体的な形でコンプライアンスやガバナンスの確立につながっていきますよう、県としましても、指導・助言してまいりたいと考えております。

 

10 議案

 

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 まず予算案は、平成25年度高知県一般会計補正予算などの3件です。

 このうち一般会計補正予算案は、先ほど申し上げました南海トラフ地震対策のさらなる充実強化・加速化などの経費として、42億円余りを計上しております。

 条例議案は、高知県固定資産評価審議会条例の一部を改正する条例議案など5件でございます。

 その他の議案は、平成24年度高知県電気事業会計資本剰余金の処分に関する議案など11件でございます。

 報告議案は、平成24年度高知県一般会計歳入歳出決算など21件でございます。

 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。

 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

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