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平成23年2月県議会での知事提案説明

公開日 2011年03月01日

平成23年2月高知県議会定例会での知事提案説明 (2月22日)

1 平成23年度の県政運営について

 (平成22年度の実績について)
 (正念場の年に向けて)
 (雇用対策)
 (中山間対策)
 (平成23年度当初予算について)
 (平成22年度補正予算について)

2 5つの基本政策に基づく県づくり

(1)経済の活性化
 (5つの柱による産業振興計画の改定)
 (ものづくりの地産地消)
 (外商活動のさらなる展開)
 (龍馬ふるさと博)
 (新エネルギー)
 (産学官連携の強化)
 (地域産業の育成と事業化支援の強化)
 (東西軸エリア活性化プラン)

(2)インフラの充実と有効活用

 (社会資本の整備)
 (四国8の字ネットワークの整備)
 (高速道路の料金)
 (公共交通対策)

(3)教育の充実と子育て支援

 (緊急プランへの取り組み)
 (学校図書館活動の推進)
 (特別支援学校の分校の開校)
 (学びの拠点となる教育機関等の整備)
   新県立図書館の整備新資料館の整備県立大学の公立大学法人化

(4)県民の安全・安心の確保に向けた地域の防犯、防災の基盤づくり

 (南海地震対策の加速化)

(5)日本一の健康長寿県づくり

 (日本一の健康長寿県構想の改訂)
 (保健の分野)
 (医療の分野)
 (福祉の分野)

3 その他の施策等

 (鳥獣被害対策)
 (鳥インフルエンザ対策)
 (TPPについて)
 (行政委員の報酬見直し)

4 議案


 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成23年2月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

1 平成23年度の県政運営について

(平成22年度の実績について)

 私は、平成22年度をこれまでの取り組みと龍馬ブームの追い風を縦横に生かし切って、県勢浮揚につながる具体的な成果を生み出していくための「挑戦の年」と位置付け、県経済活性化のトータルプランである産業振興計画の実行の加速化をはじめ、多くの政策課題に全力で取り組んでまいりました。

 例えば、産業振興計画の大きな柱である地産外商の推進に関しては、展示会や商談会、高知フェアの開催が平成20年度の13件、平成21年度の72件からさらに増加し、本年度は100件を超えましたし、「まるごと高知」においても、県産品を常時、展示・販売し、食材を味わっていただくことができる機能を生かしながら、28件の試食会や商談会を実施いたしました。地産外商公社や「まるごと高知」といった地産外商を進めるための仕組みが整い、一定、機能し始めたと考えております。

 観光の分野では、土佐・龍馬であい博の4会場合計の入館者数が目標の65万人を大きく上回る約92万5千人となるなど、全国から多くの観光客の皆様にお越しいただき、本県の各地域の知名度を上げることができました。 また、日本銀行高知支店の試算では、龍馬伝の放送を契機とした本県への経済波及効果は、龍馬博の開幕前に予想されていた234億円を大幅に上回る535億円となるなど、観光関連産業のみならず周辺産業にも大きなプラスの効果が生み出されております。

 さらに、5つの基本政策を中心として様々な取り組みに果敢に挑戦してまいりました結果、対外的なつながりの強化や、様々なノウハウの蓄積など、本県にとって大きな財産を得ることができたと考えております。

(正念場の年に向けて)

 しかしながら、まだまだ多くのことが道半ばであります。とりわけ、今後は龍馬ブームの追い風が弱まってまいりますし、先々を見通しても人口の減少と高齢化の進展による経済規模の縮小、地域の支え合いの力の弱体化等がこれまで以上に進むことが懸念されます。

 この人口減少と高齢化は、いずれ全国に行き渡ってまいります。真っ先に人口減少、高齢化社会に突入した本県であるからこそ、真っ先にこの課題を克服し、全国でも先進的な県となることを目指してまいりたいと考えております。お手本はありませんが、なすべきことは明らかになっております。人口減少と高齢化による社会の変化に対応できますよう、地産外商戦略を基軸とする産業振興計画や高知型福祉をはじめとする日本一の健康長寿県構想などを着実に実行するなど、5つの基本政策をしっかりと進めてまいります。

 私は、平成23年度を、龍馬ブームの追い風が弱まる中で、本県がブームの前の状態に戻ってしまうのか、それとも、これまでに蓄積した仕組みやノウハウを土台としてブームの前の状態よりも一歩も二歩も前に進み、県勢浮揚への足掛かりをしっかりと築いていくことができるのか、その分かれ目の年、まさに「正念場の年」と位置付けております。

 これまで以上に私自身が率先して汗をかき、県民の皆様と共に力を合わせて、県勢浮揚に向けた歩みを確かなものといたしますよう、取り組みを全力で進めてまいります。

(雇用対策)

 本年度の県民世論調査では、県が力を入れていくべき取り組みとして、雇用の安定の確保に最も強い期待が寄せられております。

 県内の雇用情勢は、昨年12月の有効求人倍率が0.56倍となっており、0.37倍であった平成21年5月以降、改善傾向が続いておりますものの、パート求人の占める割合が高いなど、依然として厳しい状況にあります。まずは、緊急的な雇用対策として、ふるさと雇用再生特別基金と緊急雇用創出臨時特例基金を有効に活用し、平成21年度からの3年間で9,100人の雇用を目標といたします「あったか高知・雇用創出プラン」を引き続き実施してまいります。

 さらに、抜本的な雇用対策として、産業振興計画の推進により足腰の強い産業を育成し、働く場所の創出と雇用の安定化を図りますほか、日本一の健康長寿県構想の推進による福祉・介護分野の雇用の創出、インフラの充実を図ることを通じた地域の雇用の下支えなど、基本政策の着実な推進を通じて、雇用の安定と創出を図ってまいります。

(中山間対策)

 平成22年国勢調査の本県の人口速報では、前回調査の平成17年からの5年間で3万2千人余り減少していることが明らかになりました。こうした中、県土の多くを占める中山間地域は、大幅な人口減少と高齢化の進展などに伴い、生活環境の悪化や集落機能の低下、農地や山林の荒廃と第一次産業の衰退など、多くの課題を抱えております。

 これまでも、中山間地域での「生活を守る」「産業をつくる」の2つの視点で、生活用水や生活物資の確保をはじめ、鳥獣被害対策の推進、あったかふれあいセンターの整備、こうち型集落営農組織の育成などの総合的な施策を推進してまいりました。

 来年度は、中山間地域の総合対策をさらに強化し、中山間地域で一定の収入を得ながら安心して暮らしていける環境づくりに向けて、全庁が一体となり、スピード感を持って取り組んでまいります。

(平成23年度当初予算について)

 次に、本県の来年度の予算についてご説明申し上げます。

 今回の予算編成にあたっては、これまでの様々な仕込みを生かして施策の実効性を高め、政策効果に結びつけるとともに、10年後、20年後に向けた新たな仕込みを行うための予算としてふさわしい規模と内容とするよう努力いたしました。また、龍馬ブームの衰えに伴い約535億円の経済波及効果が一定失われることを踏まえ、景気の下支えにも配慮したところであります。

 国の公共事業費が引き続き削減される中、本県では社会資本の整備が他県と比べて極端に遅れている状況にあることや、地域経済への配慮も踏まえて、県の単独事業を大幅に拡充し、3年連続で前年度を上回る普通建設事業費を確保いたしました。

 その結果、来年度の一般会計当初予算は3年連続で前年度を上回る4,337億円余りと、「正念場の年」との位置付けに沿って、政策効果の発現を意識した積極型の予算として提案をさせていただいております。

 他方、引き続き将来に向けて安定的な財政運営を行っていく必要があります。

 このため、歳出面で人件費の抑制や事務事業の徹底した見直しを行うとともに、歳入面では、緊急雇用創出臨時特例基金などの各種基金や地方交付税などの財源の確保に努めました。

 今回、国の予算編成においては、地方交付税の別枠加算の廃止が焦点の一つとなり、その動向が大きな課題となっておりました。このため、別枠加算の継続を目指して、本県独自の政策提言を行うとともに、全国知事会とも協力しながら地方交付税総額の確保に取り組んでまいりましたところ、最終的に別枠加算の維持や繰越金の活用などにより地方交付税の総額が前年度に比べ約5千億円増額される結果となりました。

 こうした取り組みの結果、本年度当初予算と比べ、規模としては55億円余り増加させながら、財源不足額については1億円余りの圧縮を行うことができました。

 また、来年度は、財政調整的な基金残高が昨年9月の財政収支の試算に比べ大幅に増加する見通しとなったことから、後年度負担抑制を重視し、償還について地方交付税措置のない退職手当債の発行を取りやめ、財政調整的な基金の取り崩しによって財源不足に対応しております。取り崩し後の基金の残高は、試算に比べ87億円増の218億円となっており、後年度負担の軽減を図りつつ、将来への備えもできたものと考えております。

(平成22年度補正予算について)

 また、2月補正予算につきましても、国の交付金を活用した事業や県の単独事業、道路の維持修繕に要する経費などを追加し、経済対策を切れ目なく実施することで、県内の景気の下支えを行うとともに、県民の皆様のニーズにきめ細かく対応することとしております。あわせて、償還について地方交付税措置のない県債の発行を取りやめるなど、後年度負担の軽減を図っております。

 このように、当初予算及び2月補正予算の編成を通じて、より一層の財政の健全化を進めることができたものと考えております。

2 5つの基本政策に基づく県づくり

 次に、来年度の施策や体制などについて、5つの基本政策に沿ってご説明申し上げます。

(1)経済の活性化

 基本政策の第一は「経済の活性化」であります。

(5つの柱による産業振興計画の改定)

 まず、産業振興計画についてご説明申し上げます。

 産業振興計画は、常にPDCAサイクルの視点での検証を行うこととしております。「実行元年」を経て「果敢に挑戦」を合言葉に2年目の取り組みを進める中で、明らかになってきた課題をしっかりと踏まえながら、表れ始めた成果をさらに大きな成果へと着実につなげるため、このたび、5本の柱を中心に計画を改定し、さらなる進化を図ることといたしました。

(ものづくりの地産地消)

 改定の柱の第一は「外商活動のさらなる展開を図るとともに、『ものづくりの地産地消』を抜本強化」することであります。

 これまでの取り組みによって拡大した外商機会を生かし切るとともに、外商活動の成果を県内への経済効果に着実につなげていくためには、「外商」の基となる「地産」を支える県内産業の力をより強め、ものづくりに関する需要をできるだけ県内で完結させることが必要であります。このため、来年度は、県内でニーズのある加工や機械設備等の製造をできるだけ県内の事業者同士で行う「ものづくりの地産地消」の仕組みを抜本的に強化することとし、大きく3つの対策を講じてまいります。

マッチング支援

 第一の対策は、事業者間のマッチング支援機能を強化することであります。

 「ものづくりの地産地消」に関する総合相談窓口として、「ものづくり地産地消センター」を高知県産業振興センター内に設置し、機械製造や商品開発のニーズなど、県内でのものづくりに関する様々な相談に一元的に対応するとともに、県庁内にプロジェクトチームを設置して、全庁を挙げて「ものづくりの地産地消」を推進するための体制を整備いたします。

技術支援

 第二の対策は、県内でのものづくりを奨励するための人的、資金的な支援を強化することであります。

 ものづくり企業の技術力や製品開発力の向上を支援するため、技術指導アドバイザーなどの外部人材による研修会や技術相談など、企業の技術レベルに応じた人的支援を実施しますとともに、「ものづくりの地産地消」に資する試作機械の企画・設計から開発に至るまでの資金的な支援について、製品の改良や開発期間が複数年度にわたる事業にも対象を拡大することで、県内でのものづくりが一層進むよう後押ししてまいります。

 あわせて、来月完成いたします、工業技術センターの食品加工研究棟の活用や、食品、天然素材といったテーマ別の研究会の取り組みに対し、早期事業化に向けた支援の強化や、フォローアップの充実を図ってまいります。

企業支援策

 第三の対策は、「ものづくりの地産地消」を進める上で県内に不足している業種や工程を補うため、県内での新たな起業や県内事業者の育成、県外企業の誘致の取り組みを強化することであります。

 企業の設備投資への支援策については、他県との競争力を高め、県内企業にとっても使い勝手のよいものとするため、全国でもトップクラスの内容となりますよう補助率や補助要件の抜本的な見直しを行うとともに、産業振興計画に位置付ける重点プロジェクト等には、さらに手厚い支援を行ってまいります。

 あわせて、これまで以上に企業訪問活動を強化し、企業ニーズの迅速な把握ときめ細かな情報の提供ができますよう、支援体制の充実を図ってまいります。

(外商活動のさらなる展開)

 外商活動につきましては、首都圏では地産外商公社による「まるごと高知」を拠点とした販路開拓や販売拡大の取り組みを着実に展開してまいります。

 地産外商公社の設立を契機に、大幅にボリュームアップいたしましたホテルや飲食店、量販店等での高知フェアなどについては、これまでに培ってきた人脈などを活用し、継続的な開催を目指してまいります。さらに、日々の外商先への営業活動についても、マーケティングに関する専門家のアドバイスもいただきながら、高級量販店や通信販売などの業態に応じて効果的・効率的に進めてまいりますとともに、県内の卸事業者の方々と連携し、「まるごと高知」での店頭商談会も引き続き開催してまいります。こうした外商活動を着実に展開していくため、新たに来年度から東京事務所に専任の産業振興担当を配置し、地産外商公社の活動をサポートしてまいります。

 また、現在、県内の事業者や商工団体の方々、さらには市町村の職員の方々の元に、地産外商公社と県によるキャラバン隊を派遣し、「まるごと高知」での販売状況や外商の成果などの説明と、催事やテストマーケティングへの参加の呼びかけを行っております。さらに、来月には県内3ブロックでの報告会も開催することとしており、県内の事業者の皆様に「まるごと高知」を自分たちの店舗として、また、首都圏での地産外商の拠点として積極的に活用していただけるよう取り組んでまいります。

 関西地区や中部地区におきましても「龍馬伝」の追い風も受け、高知フェアの開催件数が飛躍的に増加しております。引き続き関西地区では大阪事務所が中心となって展示会への出展などの商談機会の拡充や、高級量販店と連携した関西で売れる商品づくりを進めますとともに、中部地区では名古屋事務所により県産品の知名度のさらなる向上を目指して量販店などでの高知フェアの開催の拡大に取り組んでまいります。

 さらに、海外への外商活動については、セミナーの開催などにより貿易に取り組む企業のすそ野をさらに広げるとともに、シンガポール、香港、上海を主なターゲットとして、具体的なビジネスに結び付くような卸事業者、バイヤ―向けの商談会や、現地の輸入商社とタイアップした商談会の開催、さらには高知の食材フェアなどを展開してまいります。

(龍馬ふるさと博)

 改定の柱の第二は「『龍馬ふるさと博』を核としたポスト龍馬博の展開」であります。

 龍馬伝や龍馬博による盛り上がりを一過性のものに終わらせることなく、持続性のある観光地づくりへの展開を図り、経済効果につなげていくため、来月5日から開催する「志国高知 龍馬ふるさと博」を核として、本県観光のステップアップを目指した取り組みを進めてまいります。

 龍馬ふるさと博では、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、龍馬ふるさと博推進協議会を中心とした官民協働の態勢で、本県の持つ「歴史」「花」「食」「体験」という強みを生かしたイベントの開催などを通じて、県内各地への誘客を促し、地域の活性化につなげてまいります。

 あわせて、東部、中央部、西部の広域ブロックごとに一泊以上滞在できる観光地づくりを加速するとともに、来年度を「国際観光推進元年」と位置付け、まずは東アジアを中心として、各国の文化や国民性、観光ニーズなどを検討した上で国別の具体的な戦略を定めるなどして、さらなる外国人観光客の誘致に取り組んでまいります。

(新エネルギー)

 改定の柱の第三は「新エネルギーを産業振興に生かす」ことであります。

 本県には全国有数の日照時間や降水量、森林率など、新エネルギーの利用に適した自然環境があります。これを十全に生かし切ることが、環境対策に資するとともに、本県の中長期的な産業振興や県民生活の向上につながるものと考えております。

 このため、現在策定中の高知県新エネルギービジョンに掲げる「地域資源を生かす」「県民の参加を促す」「県内産業に生かす」という3つの基本的な考え方に合わせ、新たに設置する新エネルギー推進課を中心に、太陽光発電や小水力発電の導入など、様々な地域資源を新エネルギーとして産業振興に積極的に生かすための取り組みを進めてまいります。

 特に、当初から産業振興計画に位置付けて取り組んでおります木質バイオマスの活用については、需要の開拓と供給体制の整備を進め、地域の中での流通システムを構築することによって、石油などの化石燃料から再生可能なエネルギーへの置き換えによる県内での資源・資金の循環の拡大や、地域林業の活性化、さらには、施設園芸を中心とした農業の経営安定化などにつなげてまいります。

(産学官連携の強化)

 改定の柱の第四は「産学官連携の強化」であります。

 産業振興につながる流れを将来にわたってより大きな動きにしていくためには、本県の強みを生かした研究や技術開発、人材育成などを進めることが必要であります。

 このため、まず、産学官の連携をこれまで以上に強化し、科学技術を生かした新産業の創出などを促進するため、県内の産学官が一堂に会し情報を共有する場として産学官連携会議を設置いたします。

 また、大学等の研究開発力を生かして県内での事業化を目指す取り組みを加速するため、事業性の高い中期テーマの共同研究を重点的に支援する制度を創設するとともに、各産業分野の生産や販売活動を支援する技術開発や調査分析を進めるなど、産業振興に資する産学官共同の取り組みを推進してまいります。

 あわせて、産学官共同で産業人材育成プログラムを構築するなど、本県産業を担う人材の育成策を強化してまいります。また、本年度好評を博した「目指せ!弥太郎 商人塾」や「農業創造セミナー」などでも、県内の大学や事業者など多彩な講師による社会人向けの研修を充実してまいります。

 こうした取り組みを通じて、県内の「産」の技術、「学」の知恵、「官」の資金とネットワークをつなぎ合わせ、地域資源の強みを生かした商品づくりや人材育成の取り組みを加速してまいります。

地域産業の育成と事業化支援の強化)

 改定の柱の第五は「地域産業の育成と事業化支援の強化」であります。

 本県の産業全体の底上げを図るためには、まず、地域アクションプランをはじめとする地域で芽生えた様々な取り組みが事業化され、地域に根付いて継続的に展開されることが重要であります。このため、実際に事業に携わる方々のニーズに応じたきめ細かなサポートを充実してまいります。

 あわせて、販売金額が増加するなど一定の成果が見えてきております中山間地域における「こうち型集落営農」の取り組みを県内全域に拡大するほか、農水産物の加工や体験ツーリズムなどを組み合わせた地域拠点ビジネスのさらなる展開を図るなど、雇用の受け皿として持続的に所得を生み出せる地域産業の確立のための取り組みを拡充してまいります。

 第一次産業の強化については、農業分野では、パートナー量販店等との関係強化や、生産から流通・販売までの「見える化」による販売の強化など、林業分野では、県内でできるだけ付加価値を高めるための加工体制の強化や、木質バイオマスの利用拡大など、水産業分野では、マリンエコラベルの普及促進などによる本県の魚のブランドイメージの強化や、かつおの地元水揚げ増加に向けた、生きた餌の供給体制の強化などに取り組んでまいります。

(東西軸エリア活性化プラン)

 はりまや橋周辺から高知城までの東西軸エリアの活性化につきましては、先月25日、第7回の検討会でプランの素案を取りまとめました。

 この素案では、多くの人が集まり、気ままに「まちぶら」できることを目指し、高知城、日曜市、土佐の食文化など、エリアの強みである歴史・文化・食の3つのテーマに基づく地域資源を余すことなく活用し、地元に支持される商店街づくりを進め、まち歩き観光による経済効果を高めることを基本に活性化を図っていくこととしております。

 今議会でこの素案について十分なご議論をいただいた上で、本年度末までにプランを策定し、高知市との連携の下、既に実施している取り組みも含め、関連する事業の着実な推進を図ってまいります。

(2)インフラの充実と有効活用

 基本政策の第二は「インフラの充実と有効活用」であります。

(社会資本の整備)

 国の公共事業費の削減により、インフラ整備を進める環境は大変厳しくなっておりますが、社会資本の整備が全国水準から大きく立ち遅れ、人の命を守る最低限の整備すら十分にできていない本県では、引き続き、着実に整備の促進を図っていかなければならないと考えております。

 このため、3年連続で普通建設事業費を増額し、南海地震対策や、県経済の活性化と県民の安全・安心の確保につながる「命の道」の整備の加速化をはじめ、河川の治水対策や第一次産業の生産基盤の整備などに全力で取り組んでまいります。

(四国8の字ネットワークの整備)

 四国8の字ネットワークの整備につきましては、四国横断自動車道の須崎西インターチェンジから中土佐インターチェンジ間、高知東部自動車道南国安芸道路の香南やすインターチェンジから芸西西インターチェンジ間の2つの区間が来月新たに供用開始されますとともに、芸西西インターチェンジから安芸西インターチェンジ間が新規事業採択されることとなりました。

 これらは、関係者の皆様の熱意あるご尽力によって実現したものであり、四国8の字ネットワークの完成に向けた大きな進展だと思っております。

 今後とも、事業実施中の区間の整備促進を図るとともに、窪川佐賀道路や安芸道路などをはじめとする未着手区間の早期事業化に向け、関係機関と一体となって取り組んでまいります。

(高速道路の料金)

 今月16日、4月からの高速道路の料金体系が国土交通省から発表されました。これによると、現在実施されております普通車の休日料金の上限を千円とするなどの料金割引が継続されるとともに、平日にも上限制が拡大され、普通車の上限料金は2千円とされております。本州四国連絡高速道路につきましては、来年度限りの措置とされてはおりますが、現行の料金割引の継続に加えて、平日の普通車の上限料金は2千円、また、平日に他の高速道路から乗り継いだ場合、ETC搭載の普通車の上限料金は2,500円とされております。

 これらにより、本県にとっては、観光や地域の活性化の面でプラスの効果があるものと期待しております。他方で、他の交通機関への影響などについてもしっかりと把握していく必要があるものと考えております。

(公共交通対策)

 次に、公共交通に関する取り組みについてご説明申し上げます。

 公共交通は、県民の皆様の日常の移動手段として、また、ビジネスや観光の面でも重要な社会基盤でありますが、長引く不況や人口の減少による利用者の減少傾向が続く中、路線の維持・確保が大変厳しい状況にあります。

 このため、昨年2月に高知県公共交通経営対策検討委員会を設置して、将来にわたる本県の公共交通の維持・確保のための対策を検討し、順次実行に移しております。

 例えば、県庁では昨年の秋から、自家用車等で通勤する本庁などの職員が毎月5日と20日の2回、公共交通機関を利用する「520運動」を始めております。公共交通の維持・確保には県民参加の利用促進策が重要でありますことから、今後は、この「520運動」を市町村、事業所、県民の皆様を巻き込んだ県を挙げての運動となるよう推し進めてまいります。

 さらに、来年度は、各市町村が行う交通手段の確保のための仕組みづくり等への支援や、県の中央部における効率的なバス路線の検討をはじめ、本県の実態に即した公共交通の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

(3)教育の充実と子育て支援

 基本政策の第三は「教育の充実と子育て支援」であります。

(緊急プランへの取り組み)

 教育委員会では、平成20年度に「学ぶ力を育み 心に寄りそう 緊急プラン」を策定し、深刻な学力の状況や生徒指導上の諸問題、児童生徒の体力づくりなど、本県の小中学校が抱える教育課題の解決を図るための様々な取り組みを進めてまいりました。

 来年度は、プランの最終年度であります。学力や体力・運動能力の全国水準への引き上げという目標の達成に向け、引き続き、一つ一つの施策の詰めを徹底するとともに、課題に応じて新たな取り組みも追加しながら、教育改革を着実に推進する必要があると考えております。

学力向上に向けた取り組み

 学力向上対策につきましては、算数・数学では単元テストや算数・数学シートを、国語では国語学習シートを授業や家庭学習、放課後学習などで活用してまいりました。

 全国学力・学習状況調査では、平成19年度から本年度にかけての改善率が、小学校では全国第6位、中学校では全国第1位となるなど、一定の成果も見え始めております。

 来年度からは、これまでの取り組みに加え、新たに外国語及び理科についても学力向上対策を行うこととしております。

 外国語については、来年度から小学校の新学習指導要領が全面実施となるため、既に作成しております小学校外国語活動モデルプランを各小学校に着実に普及させるとともに、中学校では、家庭学習や補習などで活用できますよう、英単語や熟語等を繰り返し書いて練習することで習熟を図る、英語ライティングシートを作成、配布することといたしました。

 理科については、筋道を立てて考えることに課題があることから、児童生徒の科学的な思考力を育成するための理科思考力問題集を作成、配布してまいります。

体力向上に向けた取り組み

 本県の児童生徒の体力と運動能力につきましては、平成20年度の全国調査で全国最低の水準であることが明らかになりました。このため、平成21年度に「こうちの子ども体力アップアクションプラン」を策定し、全国水準を目標に取り組みを進めております。

 昨年12月に公表されました本年度の全国調査の結果では、平成20年度からの体力の伸び率は、小学校・中学校、男子・女子とも全国トップの結果となりました。全国の平均値を下回っている項目もまだ多くありますが、確実に改善傾向を示しております。

 今後は、アクションプランの確実な実行と併せて、幼児期に焦点を当てた取り組みを充実させることで、子どもたちの体力向上を図ってまいります。

心の教育・不登校対策

 子どもたちの心の教育につきましては、各学校における人権教育や道徳教育の推進、教育相談体制の拡充を図ってまいります。また、中学1年段階で不登校等が急増する傾向にありますため、小学校から中学校への学校生活や学習がスムーズにつながるよう、小中学校を通じた連続性のある人間関係づくりや生徒指導の実施、「中1仲間づくり合宿」の取り組みなどを支援することとしております。

(学校図書館活動の推進)

 児童生徒の思考力や判断力、表現力を育成し、豊かな心を育むためには、学校図書館の充実や読書習慣の確立などの取り組みを進めていくことが重要であります。

 このため、本年度、読書に親しむ児童生徒を育てるために読ませたい図書を掲載したリストブックを作成しております。今議会には、リストブックに掲載している図書をすべての小中学校に整備するための補正予算を提案し、それぞれの小学校に約200冊、中学校には約100冊の図書を新たに整備し、児童生徒の読書環境の充実を図ることとしております。

(特別支援学校の分校の開校)

 昨年1月に策定されました特別支援学校の再編計画に基づき、山田養護学校田野分校と日高養護学校高知みかづき分校が本年4月に開校いたします。

 田野分校では、県東部地域の特別支援教育のセンター的機能を果たすとともに、高等学校の施設内に設置されるという条件を生かし、共生社会の実現を推進する学校として、高知みかづき分校では、職業教育や余暇指導に重点を置いた高等部のみの分校として、それぞれ、特色を生かした教育が実践され、本県の特別支援教育の充実につながるものと考えております。

(学びの拠点となる教育機関等の整備)

新県立図書館の整備

 新県立図書館の整備につきましては、今月、四万十市、高知市、安芸市で開催されました新図書館フォーラムを経て、新図書館基本構想検討委員会において、県と市の図書館に求められる役割と機能、組織・運営のあり方、施設の規模などについての基本構想中間報告書が取りまとめられました。

 同様に、新しい科学館や新点字図書館につきましても、それぞれの基本構想検討委員会で中間報告書が取りまとめられております。

 それぞれの中間報告書では、まず、新図書館については、県民・市民の資料要求に応え、課題解決のサポートができる図書館、情報提供機関として地域を支える図書館といった目指すべき図書館像が掲げられております。また、科学館については、必要な機能を凝縮させたコンパクトな都市型科学館、子どもたちが科学への興味関心を高め、意欲を育む体験型科学館といった方向が示されております。新点字図書館については、県内全域を対象とした視覚による読書に障害のある方へのサービス、公立図書館や福祉機関との連携による利用者支援の充実などを目指すこととされております。

 新図書館の中間報告書では、単独整備と合築整備の比較検討について、単独整備であっても合築整備であっても、その役割や機能に大きな違いが生じるものではなく、その施設を運営する組織体制が、県立、市民それぞれの図書館の果たすべき役割や機能を発揮できるものになっているかどうかが大きなポイントであるとされております。さらには、合築によるメリットを最大限に生かし、充実した図書館サービスを提供するためには、両図書館の役割や機能、運営方針や運営体制などについて、県市の間で協定書等の文書を交わし、連携した取り組みを継続していくことが必須であり、こうした内容に基づき整備が進められれば、合築で整備される図書館が、その役割と機能を果たしていくことができるものとされております。

 このことを踏まえまして、教育委員会において協定書を交わすなど中間報告書に沿ってしっかりとした対応が行われることにより、合築で整備される図書館を、県市がそれぞれ責任を持って、長期にわたり継続的、安定的に運営していくことができるものと判断しております。

 他方、新図書館の建設場所を追手前小学校敷地とすることについては、公共交通機関の利便性が高い場所であり、中心市街地の活性化に向けた相乗効果も期待できるとされております一方で、巨大な構築物ができることには反対といったご意見や、敷地面積が少ない、日曜市との調整や周囲の交通混雑などに不安があるといったご意見もありました。

 こうしたご意見に対しましては、今後、関係機関の十分な協議などにより、ご指摘の点を踏まえた整備手法を検討し、デメリットを最小限にするとともに、駐車場につきましては、新図書館で整備する駐車場と周辺の民間駐車場を活用することで、必要な駐車場が確保されるものと聞いております。

 これまでに県民、市民の皆様からいただいた様々なご意見や、熱心なご議論の末に作成された中間報告書の重みを十分に踏まえまして、こうした具体的な課題の解決を図っていくためにも、基本計画、基本設計といった、より具体的なステージで検討していくことが必要であると判断し、今議会に関連する補正予算を提案しております。

 今後は、議会でのご議論をいただきながら、現在実施されておりますパブリックコメントによるご意見なども踏まえ、本年度内には、最終の基本構想が作成される予定であり、教育委員会において、新図書館整備課を設置して体制も整え、来年度の早い時期に基本計画を策定し、その後の基本設計につなげてまいります。

新資料館の整備

 次に、山内家資料を核とした新資料館の整備についてご説明申し上げます。

 新資料館の整備につきましては、新資料館基本構想検討委員会において、文化施設の立ち上げや運営に携わってこられた方々や、歴史、芸術、商店街、観光など、各分野の方々のご意見をお聞きし、議会でのご審議もいただきまして、昨年末に基本構想を策定いたしました。

 この基本構想では、新資料館は、日本有数の質と量を誇る約6万7千点もの貴重な山内家資料を、県民はもとより国民共有の文化遺産として後世に長く伝えるとともに、山内家資料をはじめとする高知の歴史や文化に関する資料の調査研究や、常設展示はもちろん幅広いテーマからなる企画展の開催などを積極的に行うことにより、歴史を生かした県民文化の振興に寄与する施設として整備することとしております。さらには、県内外に広く高知の歴史の魅力を発信するとともに、県内の文化施設と連携することで、各施設への誘客を促し、本県の地域振興や観光振興にも寄与していく施設としても位置付けております。

 現在、基本構想の具体化に向けて基本設計などを進めており、来年度は、実施設計をはじめ、埋蔵文化財調査や用地の取得など、施設の整備に向けて、具体的な取り組みを進めてまいります。あわせて、効果的な施設の運営のあり方などについても検討を深めながら、早期の開館を目指してまいります。

県立大学の公立大学法人化

 県立大学の公立大学法人化につきましては、先月下旬に、大学の学長を兼ねる法人の初代理事長予定者を選任するとともに、国に対して、法人の設立認可申請を行いました。

 今後は、法人の中期目標等について検討を行い、議会のご意見を踏まえながら、4月の高知県公立大学法人への移行を円滑に進めてまいります。

 また、法人化と併せまして、高知女子大学は男女共学となり、名称も高知県立大学となります。県内の男性の進学機会が拡充されますことで、若者の県内への定着や、様々な分野で必要とされる人材の養成にもつながるものと考えております。

 このたびの大学改革を契機として、県立大学では、歴史と伝統を生かしつつ、社会の変化と県民ニーズに柔軟に対応し、さらに発展、充実した教育、研究や地域貢献活動を行っていただきたいと考えております。県としましても、法人の設立団体として大学の取り組みをしっかりと支援してまいります。

(4)県民の安全・安心の確保に向けた地域の防犯、防災の基盤づくり

 基本政策の第四は「県民の安全・安心の確保に向けた地域の防犯、防災の基盤づくり」であります。

(南海地震対策の加速化)

 本県では、南海地震による災害から県民の皆様の生命、身体、財産を守り、社会経済的な損失を最小限にとどめるため、県が取り組むべき111項目の予防対策や応急対策などを定めた「高知県南海地震対策行動計画」に基づき重点的な取り組みを進めております。

 南海地震につきましては、今後30年以内に発生する確率が60パーセント程度に高まり、本県にとってますます脅威となってきております。このため、来年度、南海地震対策課を設置し、ハード、ソフトの両面から、県民の皆様の生命を守る対策のさらなる加速化を図ってまいります。

 南海地震による被害を減らすための備えとしましては、引き続き学校や社会福祉施設、医療施設などの耐震化を進めますとともに、住宅の耐震対策に対する支援に関しては、従来の木造住宅に加え、来年度からは非木造住宅や住宅の改修と併せて行うブロック塀等の安全対策も対象とするなど、建築物の耐震対策の促進を図ってまいります。

 人命被害が最も大きく見込まれる津波への対策については、昨年の12月補正予算により、市町村が実施する津波避難タワーなどの整備への支援を前倒しし、重点的に進めております。来年度は対策をさらに加速し、県民の皆様すべての生命を津波から守ることを目指し、避難計画の策定を支援する「知る」対策、情報を伝達するための防災スピーカー施設等を整備する「伝える」対策、津波避難タワー等を整備する「避難する」対策を一体的に進めてまいります。

 高知市の長期浸水対策については、本年度、学識経験者や関係機関などによる検討会を設置し、浸水の防止対策や排水対策についての検討を開始しております。長期浸水が見込まれる地域は、約13万人の人口を擁し、多くの事業所や県の東西を結ぶ複数の幹線道路があるなど、県経済の中心地であり、震災後の復旧・復興の要となる地域でもあることから、さらに来年度には、住民避難や救助・救出、燃料対策についても具体的な検討を行い、地域の安全・安心と早期の復旧・復興のための取り組みを進めてまいります。

(5)日本一の健康長寿県づくり

 基本政策の第五は「日本一の健康長寿県づくり」であります。

(日本一の健康長寿県構想の改訂)

 日本一の健康長寿県構想につきましては、この1年、保健、医療、福祉のそれぞれの分野で着実に取り組みを進めてまいりました。2年目を迎える来年度に向け、これまでに明らかになった課題を踏まえ、より確実に政策効果の発現を図るため、このたび、PDCAサイクルの視点でそれぞれの施策や、その1年目の取り組みの状況等についての検証を行い、同構想を大幅にバージョンアップいたしました。

(保健の分野)

受診率向上対策

 保健の分野では、40歳代、50歳代の働き盛りの死亡率が全国と比べて高いという課題を解決するため、特定健康診査やがん検診の受診促進に取り組んでまいりました。具体的には、本年度はこれらの年代の皆様を対象として、電話や訪問による直接の働きかけ、対象者一人ひとりへの検診日程のお知らせ、検診を受診していない方に対する再度の受診勧奨などを行ってまいりました。

 こうしたきめ細かな取り組みを行った市町村では、受診率向上の成果が出ておりますし、特に、地域で健康づくりに取り組んでおられる団体の方々と連携した受診勧奨の実施が受診率の向上に大きく寄与しております。

 このため、来年度は、地域の健康づくり団体の育成や活性化に取り組む市町村を支援し、より一層の受診率向上を目指してまいります。あわせて、集団健診の回数増加や健診会場への送迎といった受診しやすい環境整備に対する支援も行ってまいります。

がん対策

 がん対策につきましては、予防可能ながんに対する徹底した対策を講じてまいります。

 まず、子宮頸がんについては、国の交付金を活用するとともに、本県独自の対策も加え、中学校1年生から高校3年生に相当する女子への子宮頸がん予防ワクチンの接種費用の助成を先月から開始いたしました。

 また、県内に2万人程度の感染者がいると推定されております肝炎ウイルスについては、感染しても自覚症状はほとんどないものの、20年以上経過すると高い確率で肝硬変、肝細胞がんを発症すると言われており、早期に感染を発見し治療を受けていただくことが必要であります。

 数年前までは、治癒率が低い上に、患者の方々の身体的、経済的負担も大きかったところでありますが、医療技術の発達により治癒率が改善されるとともに、医療費の自己負担を軽減するための助成制度が創設されますなど、治療環境が整ってまいりましたことから、県としましても本格的にウイルス性肝炎対策に取り組むことといたしました。

 まずは、県民の皆様に肝炎ウイルスの検査を確実に受けていただけますよう、徹底した啓発に取り組みますとともに、県が実施する無料検査に要する予算も大幅に拡充するほか、感染が判明した場合の治療費についても助成してまいります。

 がん医療に関しては、全国どこでも質の高い医療が受けられますよう、国が、がん診療連携拠点病院の指定を行っております。本県では県中央部の3つの医療機関のみが指定されており幡多地域は未整備であります。このため、県立幡多けんみん病院において医師の確保や相談支援センターの開設など、指定に向けた条件整備を進め、来年度中の国への指定申請を目指して取り組んでまいります。

歯科保健対策

 この4月から、高知県歯と口の健康づくり条例が施行されます。これを契機に、県民の皆様に歯と口の健康づくりに関する知識と理解を深めていただくため、歯科医師会と連携してシンポジウムを開催するなど、取り組みへの気運を醸成してまいります。また、歯科保健に関する様々な実態を大規模に調査し、歯科保健を取り巻く現状や課題を明らかにした上で、高知県歯と口の健康づくり推進協議会のご意見も伺いながら、平成24年度以降の指針となる歯と口の健康づくりに関する基本計画を策定するなど、歯科保健対策を積極的に進めてまいります。

(医療の分野)

医師確保対策

 医療の分野では、本年度の県民世論調査で、医師確保対策をはじめとする医療体制の整備に県民の皆様からの強い期待が寄せられております。

 医師確保対策につきましては、高知大学医学部の学生や研修医、さらには県内で勤務する若手医師に本県に定着してもらうことが重要であり、高知医療再生機構を設立し、若手医師にとって魅力ある環境整備に取り組んでいるところであります。特に、本年度創設いたしました国内外への留学や様々な研修を受けられる支援制度を県内の若手医師219名が利用するなど、県内定着に向けた動きが出てきたと考えております。

 来年度は、こうした取り組みに加えまして、現在不足している診療科などに、即戦力の医師を県外から確保するための仕組みを構築してまいります。

 まず、県外の医師に関する情報を収集するため、首都圏等で活躍されている医師を協力員に委嘱いたしますほか、医師の転職を斡旋する専門業者を活用するなど、様々な取り組みを行ってまいります。

 また、本県に赴任する医師への研修修学金制度を創設いたしますほか、高知医療再生機構が医師を直接雇用し、県内の医療機関に派遣する仕組みもつくってまいります。さらには、本県に赴任した医師からの相談などに対応する専門職員を高知医療再生機構に配置することで、安心して就業できる環境を整備してまいります。

 大学からの医師の派遣につきましては、高知大学をはじめ岡山大学や徳島大学などにご協力をいただいているところでありますが、加えて、より多くの医師を確保するため、県外の私立大学との間で、本県の地域医療に関する研究を行う寄附講座を設置することで本県に医師を派遣していただく仕組みづくりについて、協議を進めております。

救急医療体制の整備

 救急医療に関しては、軽症患者の受診による救急医療機関への過度の集中が医師の疲弊や救急離れにつながるなど、全国的な問題となっており、本県におきましても、救命救急センターの受診患者の8割を、一般の外来対応が適当と考えられる方が占めるなど、深刻な状況にあります。

 救急医療を守るためには、県民の皆様に救急医療についての正しい理解を深めていただくことが何より大切です。このため、来年度は、救急現場の実態を広くお知らせし、適切な受診を行っていただくための普及・啓発活動に重点的に取り組んでまいります。

 昨年来、導入に向けて取り組んでまいりましたドクターヘリにつきましては、来月14日に運航を開始いたします。救急医療に特化したヘリを最大限に活用して、広域にわたる現場に医師を迅速に派遣し、早期に治療を開始することで、一人でも多くの県民の方々の命を救うとともに、後遺症の軽減につなげてまいります。

 また、ドクターヘリの導入を契機としまして、救急医療機関の役割分担や相互協力、最適な搬送先や搬送手段の選定などについて、高知県救急医療協議会を中心に医療機関や消防機関など関係者との協議を加速し、ドクターヘリ、消防防災ヘリ、ドクターカー等を活用した新たな救急医療体制を構築してまいります。

(福祉の分野)

 福祉の分野では、こどもから高齢者、障害者など、すべての県民の皆様が住み慣れた地域で安心して、ともに支え合いながら生き生きと暮らすことができる高知型福祉の実現に向けて、引き続き「ともに支え合う地域づくり」「高齢者が安心して暮らせる地域づくり」「障害者が生き生きと暮らせる地域づくり」「次代を担うこども達を守り育てる環境づくり」の4つを柱に取り組みを進めてまいります。

ともに支え合う地域づくり

 まず「ともに支え合う地域づくり」に関しては、人口の減少や高齢化の進展に伴って弱まりつつある地域の支え合いの再構築に向けて、地域福祉活動を推進するための県の基本指針となる地域福祉支援計画を、来月を目途に策定することとしております。

 来年度は、市町村において、行政や社会福祉協議会をはじめとする福祉関係者や住民の方々が、地域の現状や課題に応じた支え合いの仕組みづくりなどについて話し合い、福祉サービスや福祉活動に関する一体的な地域アクションプランを策定・実践されますよう、高知県社会福祉協議会と協力して支援してまいります。

 あったかふれあいセンターにつきましては、30市町村39カ所で、新たに113人が雇用され、集いの場としての活動を中心に、センターへの送迎や外出支援、高齢者や子どもの一時預かり、障害者の就労支援など、地域の実情に合わせた様々な活動が行われております。さらに今後は、センターが、一人暮らしの高齢者など地域での見守りが必要な方を支援するネットワークづくりや、生活課題に対応した支え合いの活動などを行う地域福祉の拠点となりますよう支援してまいります。

 また、地域福祉の活動を担う人材に関しては、高知県社会福祉協議会に新たに福祉研修センターを設置し、体系的な研修を実施することで育成を行いますとともに、施設や事業所と福祉・介護人材のマッチングなどを行う福祉人材センターの体制を強化し、専門的な人材の確保にこれまで以上に積極的に取り組んでまいります。

高齢者が安心して暮らせる地域づくり

 次に「高齢者が安心して暮らせる地域づくり」に関する施策についてご説明申し上げます。

 本県の多くを占める中山間地域では、介護を必要とする方が広範囲に点在し、介護サービスを提供するための訪問や送迎に時間を要することなどから、介護事業の経営効率が悪く、利用者へのサービスが行き届いていない状況となっております。このため、事業者が遠隔地の利用者にも無理なくサービスを提供でき、かつ、中山間地域での新たな雇用の創出にもつながるよう、中山間地域で介護サービスを提供する事業者に対して、訪問送迎に要する時間に応じて助成を行う制度を創設し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていける環境づくりに取り組んでまいります。

 また、認知症の高齢者やそのご家族に地域で安心して暮らしていただけますよう、認知症コールセンターを中心とする相談体制の充実を図るほか、日常生活に直接関わる銀行や商店などの方々に、地域での手助けや見守り活動を行う認知症サポーターとなっていただくなど、地域の支援体制の整備をさらに進めてまいります。あわせて、来年度、新たに認知症疾患医療センターを設置し、認知症の専門相談や初期の対応のほか、周辺症状や急性期の身体合併症を伴う方への対応などを行うとともに、地域包括支援センター等との連携を図り、医療と介護が連携した支援体制づくりを行ってまいります。

障害者が生き生きと暮らせる地域づくり

 次に「障害者が生き生きと暮らせる地域づくり」に関する施策についてご説明申し上げます。

 平成21年に教育委員会が行った調査では、自閉症や注意欠陥多動性障害などの発達障害の可能性のある子どもが、公立の小中学校の児童・生徒の5.1パーセントに上っており、療育福祉センターの発達障害の受診者数も、この10年間で3倍となっております。

 発達障害は、可能な限り早い時期から、その特性に配慮した支援を行うことで、その後の発達や成人期の適応に良い影響を与えることが明らかになっております。このため、できるだけ身近な地域において、早期に障害を発見し療育を行うことができますよう、来年度は、乳幼児健診を活用した取り組みや、フォローが必要な子どもの親へのカウンセリングを行う市町村を拡大いたしますとともに、個別支援計画の普及を図り、市町村の支援体制の整備を図ってまいります。

 また、本県には発達障害に関する専門医師が不足している現状を踏まえ、児童精神医学分野の世界的な権威であるクリストファー・ギルバーグ教授による講演会や小児科医師などを対象とする技術研修の実施などにより、発達障害や児童問題に対応できる専門の医師を養成し、早期発見・早期療育の支援体制づくりを進めてまいります。

次代を担うこども達を守り育てる環境づくり

 「次代を担うこども達を守り育てる環境づくり」に関しては、児童虐待への対応策として、手順の見直しや児童虐待対応チームの設置など、様々な取り組みを行ってまいりました。しかしながら、先月高知市で3人の幼い子どもへの虐待事件が発生するなど、児童虐待は後を絶たない状況にあります。このため、児童相談所の体制の強化と併せて、住民の方にとって最も身近な相談窓口である市町村に対して、虐待通告があった児童の安全確認のための職員体制の強化や、人材養成のための研修、虐待防止のための広報啓発活動などへの支援を行い、市町村の相談体制の強化を図ってまいります。

 少子化の要因の一つである未婚化・晩婚化の進行への対応に関しては、定員を大幅に上回る応募がありました出会いのきっかけ交流会の開催回数を増やしますとともに、本年度からスタートいたしました婚活サポーター制度を充実するなど、独身者の出会いのきっかけづくりに取り組んでまいります。

3 その他の施策等

(鳥獣被害対策)

 次に、5つの基本政策に横断的にかかわる取り組みであります鳥獣被害対策についてご説明申し上げます。

 農林業や自然植生に深刻な被害をもたらしているシカについては、これまでも狩猟期の報償金制度などの特別対策を講じて積極的な捕獲に取り組んでまいりましたが、それでもなおシカの生息密度は増加傾向にあります。このため、来年度からの捕獲頭数の目標を、現在の年間1万5,600頭から、将来にわたってシカの数を減少させ農林業などへの被害を受忍可能な程度まで抑制できると直近のデータから試算される年間3万頭まで引き上げ、これを目指して捕獲対策を強化してまいります。

 まず、シカの捕獲に専門的に従事する捕獲チームを編成するとともに、市町村境や県境を越えた効率的な捕獲を行うため、広域的な連携体制を市町村などと協力して整備いたします。また、市町村が予察計画に基づいて進める狩猟期外の捕獲や防護柵等による防除の取り組みに対する支援を拡充するほか、近年増加しているわな猟の新規免許取得者に対して、捕獲への参入を積極的に働きかけるなど、シカ被害に対する総合的な防止対策を推進してまいります。

 あわせて、イノシシ、サルなど、シカ以外の有害鳥獣による被害も増えてきておりますことから、捕獲報償金や防護柵の整備などのための市町村に対する支援を拡充してまいります。

(鳥インフルエンザ対策)

 次に、高病原性鳥インフルエンザへの対応についてご説明申し上げます。

 昨年11月末に島根県の養鶏農場で鳥インフルエンザウイルスの感染が確認されて以来、先週までに7県の養鶏農場で、感染が確認されております。

 本県では、既に昨年の10月から、養鶏農家などに対し、国内外の感染状況に応じた情報提供や注意喚起などを行うとともに、常時巡回指導を実施しております。また、先月26日に仁淀川町で保護された野鳥のオシドリが簡易検査で陽性と判断された際には、同日中に周辺10キロメートルの区域内で養鶏農場に立ち入り調査を実施し、県内の養鶏農家に消毒薬を配布するとともに、関係する町や鳥獣保護員、地元猟友会のご協力もいただきながら、野鳥の監視を強化いたしました。

 県としましては、引き続き、県民の皆様には正確な情報の提供を行い、冷静な対応をお願いするとともに、防疫資材の確保や緊急連絡体制の構築など、県内における養鶏農場での感染に備え迅速かつ的確な初動防疫の準備に万全を期して取り組んでおります。さらに、万一、県内で感染が確認された場合には、市町村や関係機関と連携し、県庁組織の総力を挙げて一刻も早い封じ込めに取り組んでまいります。

(TPPについて)

 政府は、環太平洋連携協定、いわゆるTPPに関して、本年6月をめどに交渉参加についての結論を出すことを表明しております。

 しかしながら、原則として関税撤廃の例外を認めないTPPへの参加は、農業をはじめとする我が国の第一次産業に甚大な影響を及ぼすことが予想されますし、国内の農業の4割、本県では8割以上を支えている中山間地域においては、集落の維持さえも困難になることが危惧されます。

 今後、人口の減少と高齢化が進み、国内市場の縮小が予想されます我が国にとって、貿易自由化の流れそのものに反対することはできないものと理解していますが、将来を見据えて国益を考えれば、守るべきものをしっかりと守る形で進めていくべきだと考えております。

 このため、県としましては、今月18日、貿易自由化については、協定参加国の相互発展と調和を図ることを可能とする手法を検討し、「守るべきものは守る」という基本姿勢を堅持すること、あわせて、農業の再生に向けては、生産性の高い成長産業として競争力を強化するための対策に加え、規模拡大が困難な中山間地域の活性化に向けた支援策の充実を図ることなどを、政府に対して政策提言したところであります。

 あわせて、今後は他県との連携も視野に入れ、国の「農林漁業の再生実現会議」の動向にも留意しながら、貿易の自由化が進む中でも持続可能な力強い農業を育てるための具体的な政策提言に努めてまいります。

(行政委員の報酬見直し)

 行政委員会の委員の報酬につきましては、昨年7月の全国知事会議で行政改革の一環として見直しの方向性が示されますなど、全国的に見直しの動きが広がっております。本県では、各委員の活動状況を調査し、見直しに向けた検討を行ってまいりました結果、選挙管理委員会など5つの委員会については、来年度から現在の月額報酬を日額報酬に改定し、あわせて、引き続き月額報酬とする委員会についても、水準の見直しを行うことといたしました。

4 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。

 まず予算案は、平成23年度高知県一般会計予算など36件です。

 このうち平成23年度の一般会計予算は、先ほど申し上げました5つの基本政策を推進するための経費などを中心に、4,337億円余りを計上しております。

 また、平成22年度の一般会計補正予算は、県単独の普通建設事業費や維持修繕費などを追加します一方で、国の内示額の決定に伴って、不用と見込まれる額を調整するなど、16億円余りを減額しております。

 条例議案は、国の交付金を活用して積み立てます高知県新しい公共支援基金条例議案など17件であります。

 その他の議案は、包括外部監査契約の締結に関する議案など10件でございます。

 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。

 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

高知県 総務部 秘書課

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