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平成27年9月県議会での知事提案説明

公開日 2015年09月25日

平成27年9月高知県議会定例会での知事提案説明 (9月25日)

1 これまでの8年間を振り返って

2 高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の改定について

3 補正予算などについて

(1)9月補正予算

(2)今後の財政収支見通し

4 経済の活性化について

(1)産業振興計画の取り組み総括

(2)「地産」の強化
ア 第一次産業を伸ばす
(農業分野)
(林業分野)
(水産業分野)
イ ものづくりの振興
ウ コンテンツ産業と事務系職場の集積
エ 産学官民連携によるイノベーションの創出

(3)「外商」の強化
ア 外商支援と貿易振興
(食品分野)
(ものづくり分野)
イ 観光振興

(4)地産外商の成果を拡大再生産へ
ア 担い手確保の取り組み
(産業人材の育成)
(第一次産業の担い手確保)
(事業承継・人材確保対策)
イ 移住促進
ウ 第一次産業を核とした産業クラスターの形成

5 南海トラフ地震対策について

(1)南海トラフ地震対策の取り組み総括

(2)命を守る対策

(3)命をつなぐ対策

6 日本一の健康長寿県づくりについて

(1)日本一の健康長寿県構想の取り組み総括

(2)保健分野

(3)医療分野

(4)福祉分野
(厳しい環境にある子どもたちへの支援)

7 教育の充実について

(1)知の分野の取り組み

(2)徳の分野の取り組み

(3)体の分野の取り組み

(4)厳しい環境にある子どもたちへの支援

(5)学校と地域の連携

8 インフラの充実と有効活用

9 中山間対策について

10 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について
(少子化対策)
(女性の活躍の場の拡大)

11 その他
(伊方発電所について)

12 議案


 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成27年9月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

1 これまでの8年間を振り返って

 知事に就任させていただいて以来、はや8年。私は、この間、「対話と実行」の姿勢を旨とし、官民協働、県政と市町村政との連携協調とのスタンスに立って、全身全霊を傾けて県政運営に取り組んでまいりました。
 この間開催させていただいた「対話と実行座談会」は累計で75回、2期目を通じて全34市町村を訪問させていただいた「対話と実行行脚」では283カ所を訪問させていただきました。これらの機会に直接お聞かせいただいた県民の皆様からの生の声こそ、県政運営の知恵の源であります。
 この8年間、ご列席の県議会議員の皆様をはじめ、多くの県民の皆様から数々のご指導、ご鞭撻を賜りましたことに、厚くお礼申し上げます。

 私は、この8年間、本県が抱える二つの根本的な課題に、困難を避けることなく正面から向き合ってまいりました。二つの根本的な課題との戦い、すなわち、人口減少のもたらす負のスパイラルとの戦い、そして、南海トラフ地震をはじめとする数々の自然災害から県民の命を守る戦いであります。

 私は、就任当時の平成20年、約1年間かけて、対話と実行座談会などの機会を通じて多くの県民のご意見を伺いながら、本県の経済や社会の現況と課題について徹底して勉強させていただきました。なぜ、平成13年以降、全国がどんなに景気回復しても、高知県だけは浮揚することができなかったのか、なぜ、全国の有効求人倍率は1.0倍を超えるまで回復したのに、高知だけは0.4倍から0.5倍程度でとどまる状態が10年近くも続くようなことになってしまったのか、そして、全国初、平成2年から始まった人口の自然減状態がもたらした負のインパクトはいかほどのものだったのか。その後、高知県産業振興計画や日本一の健康長寿県構想の策定以降も、多くの県民の皆様にお知恵を賜りながら、毎年度、PDCAサイクルに基づき、こうした根本問題についての検討を重ねてまいりました。
 残念ながら年を追うごとに明らかになってきたのは、人口減少のもたらす負のスパイラルの冷厳なる現実であります。経済が縮み、若者が流出して人口の社会減が進み、過疎化、高齢化が進行して地域の支え合いの力が弱まる、特に本来なら出生率の高い中山間地域ほどこうした傾向が顕著となる結果、人口の自然減をも加速し、さらなる経済の縮みを招く。これが先ほど述べた全国の中でも特筆すべき高知の窮状の背後にあるメカニズムであります。
 この人口減少の負のスパイラルの一つ一つに立ち向かい、その進行スピードを遅らせて一人ひとりの暮らしを守り、そして、願わくはスパイラルをプラスに転じる。このことこそが、私にとって、県政運営上の最大の目標であり続けてまいりました。縮む経済に対抗するための地産外商戦略を柱とした産業振興計画の実行、過疎化、高齢化の進行に対して意図的政策的に地域に絆のネットワークを築くことを目指した高知型福祉の取り組み、さらには、関連施策を総動員する形で実行してきた中山間対策、そして、これらの土台の上に立った少子化対策。この8年間、5つの基本政策と2つの横断的な政策として実行してきた政策群のベクトルは、行き着くところ、この負のスパイラルとの戦いに向けられたものであります。

 東日本大震災の発災を受けて、そのメカニズムと被害の真相が明らかになるにつれ、それまでにもかなりの力を注いでいた南海地震対策の取り組みを、南海トラフ地震対策として抜本強化する必要に迫られました。特に、平成24年3月31日に政府より発表された34メートルとの津波高の想定の衝撃は凄まじいものがありました。しかし、県民の皆様と共に、この厳しい想定からも逃げることなく、正面から向き合い、必死に、そして、着実に対策を講じてきたところであります。国を挙げて対策を講じていただくべく、9県知事会議を結成して南海トラフ地震対策特別措置法の制定などに向けた政策提言などを重ねてまいりました。あわせて、地域地域の防災対策をきめ細かく講じていくために、津波からの避難路、避難場所、避難タワーなどの整備を急ぐとともに、県内5カ所に地域対策本部を設け、市町村や地域の皆様と共に津波避難訓練などのソフト対策も進めてまいりました。さらには、度重なる台風災害に備えるため、近年は、土砂災害対策などもさらに加速しているところであります。

 こうした二つの根本課題に対する取り組みを通じて、一部には、はっきりと手応えが感じられるものも出てまいりました。地産外商が一定進み、あったかふれあいセンターに代表される高知型福祉のネットワークも県内に広がってまいりました。そして、津波からの避難場所なども本年度末までには計画総数の約9割が完成する予定であるなど、地震対策も広範に進展してきています。
 平成20年当時、あまりの県政課題の困難さに、深くため息をついた時もありました。しかし、今は、まさに、やればできる、との思いを強くしているところであります。
 今後も、これまでの取り組みをさらに発展させ、より一層力強く展開していくことが必要です。いや、そうすることで宿願である県勢浮揚をぜひとも成し遂げていかなければなりません。

 人口減少のもたらす負のスパイラルとの戦いの先にある、目指すべき高知県の姿とは、産業振興計画において掲げてきた「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働くことのできる高知県」であります。そして、福祉の側面から見れば、日本一の健康長寿県構想において掲げてきた「県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことができる高知県」であります。
 第一次産業をはじめとした地域に根差した産業を新たな技術なども生かしてさらに活性化し、加えて、防災関連産業やコンテンツ関連産業などの新たな高知の強みも育むことで、高知の「地産」を抜本強化する。また、「外商」活動も海外への輸出や国際観光の振興も含めてより積極展開する。加えて、移住促進策をさらに進めて地域の担い手を確保し、芽生え始めた一つ一つの地産外商の取り組みを、先々にわたって継承、発展させていく。さらには、以上に加えて拡大再生産をより強く意識した施策を総合的に実施することにより、「地域に根差した産業を核とした産業集積」を地域地域に作り出す。こうした取り組みによって、多くの地域において若者が県外や世界を相手に地産外商に取り組んでいる、そうした高知県をぜひ作っていきたいと思っております。
 また、あったかふれあいセンターをはじめとした地域の福祉の拠点において、保健、医療、福祉を通じたより一層手厚いケアができるようになれば、高齢者の皆様も、住み慣れた地域で、より健やかにより長く住み続けることができるようになる。そうなれば、地域に若者の雇用もさらに生まれる。一連の取り組みを通じて、本来は子育てにやさしい環境であるはずの中山間地域により多くの若者が残ることができるようになれば、県民の皆様の希望がより一層かなえられ、出生率の向上、人口減少の緩和にもつながっていくはずです。
 南海トラフ地震対策をはじめとした災害対策を充分に講じ、安全に安心に暮らすことのできる県土づくりを進めることが全ての基本となることは言うまでもありません。国の防災対策強化の流れも取り込みながら、地域に根差した取り組みを、これからも全力で進めていかなくてはなりません。あわせて、弱みを逆手にとる形で、南海トラフ地震対策の取り組みを、人口減少の負のスパイラルに対抗した取り組みとしても生かす努力を続けていきたいと考えます。津波避難訓練が地域の絆を強め、日頃の見守りネットワークの強化にもつながっていくように。防災対策を通じて生まれた高知発の新たな技術が防災関連製品として高知から世界に向けた地産外商につながっていくように。
 そして、こうした課題解決先進県としての高知の取り組みに、多くの県外の皆様の参画も得られるよう、その知恵や力が得られるよう、産学官民連携センター「ココプラ」などの仕組みを通じて努めてまいりたいとも考えます。人口減少社会の先端を行く高知県だからこそ、最も厳しい災害想定に直面している高知県だからこそ、日本の行く末を、あり方を探ろうと多くの知恵が集う、そして、その知恵の融合によって新たな時代がこの高知から切り開かれていく、こうした高知県を、ぜひ目指していきたいものだと思っています。

 地域地域で若者が住み続けられる高知県を目指して、そして、災害から命を守る高知県を目指して、既に、これらの取り組みは加速し始めています。
 県民の宿願である高知県勢の浮揚を成し遂げるため、これまでの取り組みの土台に立って、各種の施策をさらに展開、発展させていく必要がある。これこそが高知県が今後目指すべき道であると、私は確信いたしております。
 改めて、この間、県民の皆様から賜ったご指導、ご鞭撻に心から感謝申し上げますとともに、共に知恵を出し汗を流してくださった県庁職員の皆様にも感謝申し上げます。
 しかし、まだまだやるべきことは残っております。県民の皆様のお許しを賜ることができるのであれば、ぜひとも次の4年間においても、高知県の知事として私の力を尽くさせていただきたい。この8年間を振り返り、改めて私の決意を述べさせていただく次第であります。

2 高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の改定について

 先月31日、「高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改定し、本県における2060年の人口の将来展望をお示しいたしました。これは、国の総合戦略において各地方公共団体に人口の長期ビジョンの策定が求められたことを受けたものであります。
 国の推計によりますと、2060年の我が国の人口は約8千6百万人にまで減少し、本県の人口についても、約39万人にまで減少する見通しであります。これは、65歳以上の老年人口割合が14歳以下の年少人口割合よりも2倍以上も高いという本県の人口構造の現状を反映しており、今後も、一定の人口減少は避け難い状況にあることを示したものと考えております。こうした中で、今回お示しした人口の将来展望は、少子化や就職地などに関する意識調査の結果を基に、出生と移動に関する県民の皆様の希望をかなえることを前提に一連の対策を講じることで、2060年の本県の人口が約55万7千人に踏みとどまるよう、人口減少を最小限にとどめたいとの考え方を示したものです。
 具体的には、出生に関しましては、県民の皆様の結婚や出産の希望をかなえることを前提に、出生率が直近の1.45から2050年には2.27まで段階的に上昇することを目指すこととしております。また、移動に関しましては、県外に居住する本県出身大学生の県内就職の希望をかなえることなどを前提に、直近の年間約2千人の社会減という状況を改善し、2019年に社会増減の均衡、さらに、2040年には年間1,000人の社会増になることを目指すこととしております。
 この将来展望が実現いたしますと、本県の人口は、2060年には先ほど申し上げたとおり55万7千人程度に踏みとどまり、かつ、2020年に年少人口割合が、2045年には生産年齢人口の割合が増加に転じるなど、近い将来に人口構造が若返ることとなります。さらに、2075年には人口が増加に転じるなど、将来にわたって活力ある持続可能な高知県を実現できることとなります。
 今回お示しした2060年の本県人口の将来展望は、2010年の人口と比較すると約27パーセントの減少となっており、本県と同じくまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定の過程で人口展望を示した他県と比べましても減少率を小さく見込むなど、相当意欲的な目標であると考えておりますし、また、その実現に向けたハードルが高いことも事実であります。
 しかしながら、県民の皆様の希望を前提としている以上、この本県人口の将来展望は何としても実現すべき目標であると考えております。産業振興計画をはじめ、先般総合戦略に盛り込んだ各種施策を全力で進めることにより、この目標の達成に向けて、挑戦を続けてまいります。

3 補正予算などについて

(1)9月補正予算

 今議会では、5つの基本政策の着実な推進などのため、総額66億3千万円余りの歳入歳出予算の補正及び総額18億7千万円余りの債務負担行為の追加及び補正を含む一般会計補正予算案を提出しております。
 第一に「経済の活性化」に関しては、地産外商強化の取り組みとして、次世代型こうち新施設園芸システムの普及促進のため大規模次世代型ハウスの整備を支援するほか、アウトドアやスポーツツーリズムの推進のため、市町村が行う拠点整備を支援するとともに、土佐西南大規模公園に人工芝グラウンドを整備してまいります。また、さらなる拡大再生産を目指した取り組みとして、コンテンツ産業の集積を目指して補助制度を創設するほか、移住促進などのため高知版CCRC構想を策定し、早期の実現を目指してまいります。
 第二に「南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化」に関しては、発災後の迅速な応急活動による被害軽減のため、浦戸湾内の石油施設の状況などを監視するシステムを整備するなどしてまいります。
 第三に「日本一の健康長寿県づくり」に関しては、病院、診療所間の連携推進のため、電子カルテなどの医療情報の連携を可能とするネットワークシステムの構築等を支援してまいります。
 第四に「教育の充実と子育て支援」に関しては、学力向上対策として、算数、数学の単元テストを充実するなどいたします。
 第五に「少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大」に関しては、出会い、結婚、子育て支援の取り組みとして、結婚を望む独身の方々の希望をかなえるためのマッチングシステムの稼働を前倒しするなどの取り組みを行ってまいります。
 このほか、本年7月の台風第11号による公共土木施設等の災害復旧対策などを迅速に実施してまいります。

(2)今後の財政収支見通し

 あわせまして、今議会では、平成33年度までの中期的な財政収支の見通しについてご説明させていただくこととしております。
 県の財政運営においては、常に中期的な収支の均衡を達成するよう財政規律の維持に努め、県民サービスの確保と県財政の健全化を共に実現することが重要であります。
 私が知事に就任させていただいた当時は、財政調整的基金が早晩枯渇する見込みであるなど大変厳しい財政状況でありました。さらに、その後も、南海トラフ地震対策や社会保障関係経費の増加への対応など、様々な歳出の増加要因に直面してきたところであります。
 このため、歳出面では人件費の抑制や、積極的な事業のスクラップアンドビルドを行いますとともに、歳入面では県税に加え、積極的な政策提言を通じて地方交付税や国庫支出金をしっかりと確保し、地方交付税措置のない県債の発行額を抑制するなど、県債残高の圧縮を推し進めてまいりました。
 今般、昨年度の決算状況や今後の歳入の見込み、想定される大規模事業などを踏まえ、中期的な財政収支の試算を行いましたところ、南海トラフ地震対策のさらなる加速化や、今後の社会保障関係経費の増加による影響を加味してもなお、一定の財政調整的基金を確保することができる見通しとなりました。また、実質的な地方交付税である臨時財政対策債を除く県債残高は、必要な投資事業の実施を見込んでも中期的には逓減傾向を維持できる見込みであります。
 このように、本県の財政状況は一定の改善が図られてきており、また、先々の安定的な財政運営についても一定の見通しを立てることができたと考えております。
 しかしながら、歳入に占める地方交付税などの割合が高いため、本県の財政運営は、国の歳入・歳出改革などの動きに左右されます。引き続き、これらの動向を注視し、必要に応じて国に政策提言を行うなど、気を緩めることなく安定的な財政運営に努めてまいります。

4 経済の活性化について

 続きまして、県政運営の現状に関し、まず、経済の活性化について、これまでの取り組みと今後の方向性についてご説明申し上げます。

(1)産業振興計画の取り組み総括

 これまで、約6年半の間、産業振興計画の取り組みを通じ、人口減少による県内経済の縮みという本県が抱える積年の課題に対して真正面から向き合い、官民協働で県を挙げて全力で挑戦してまいりました。
 その結果、地産外商が大きく進み、長年にわたって減少傾向にあった各分野の産出額等が上昇傾向に転じるとともに、地域アクションプランなど県が定量的に把握できる分野の取り組みだけをみても、約5千4百人の雇用が創出されるなどしております。さらには、有効求人倍率が本年5月には過去最高を更新し0.96倍となるなど、経済全体としても良い方向に向かっていると見られるところであります。
 しかしながら、産出額等の上昇傾向に力強さが欠ける分野や、地産外商の成果が設備投資や雇用の増加といった拡大再生産に十分につながっていない分野も見受けられます。今後、産業振興計画の目指す姿である「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」を実現していくためには、上向きに転じた各分野の成果を一層伸ばすとともに、より力強い拡大再生産のループに乗せていくことを目指して、各施策のさらなるバージョンアップを図っていくことが必要だと考えられるところです。

(2)「地産」の強化

 そこでまず、地産外商のこれまでの取り組みを振り返り、それぞれの分野で新たに明らかになった課題と取り組みのさらなるバージョンアップの方向性についてご説明申し上げます。
 まず、「地産」の取り組みについてであります。

ア 第一次産業を伸ばす

(農業分野)

 農業分野では、これまでの産業振興計画の取り組みにより、生産性の向上や販路開拓、新規就農者の確保などの取り組みが進められ、高齢化による農家戸数の減少や産地の縮小が進む中においても、平成21年は963億円であった農業産出額も、県の推計によりますと、昨年は950億円となるなど、一定維持できているところであります。加えて、高品質、高収量を実現する最先端の次世代型こうち新施設園芸システムを確立し、普及を開始するなど、次のステージに向けた生産拡大の仕組みも整ってまいりました。
 しかしながら、本県農業を、地域地域で若者の雇用を生み出すさらに力強いものとしていくためには、家族経営体の強化による産地の底上げ、中山間地域の農業を支える仕組みの再構築などについて、より強力な取り組みが必要であると考えております。
 このため、本県の農業を支えている家族経営体が持続可能な経営体となるよう、環境制御技術などの次世代型こうち新施設園芸システムの普及をさらに加速し、収量アップによる所得向上を目指してまいります。
 また、中山間地域では、複合経営型のこうち型集落営農組織の拡大とその法人化を進めますとともに、中山間農業複合経営拠点を県内各地に拡大してまいります。
 さらに、より一層の拡大再生産に向けた仕組みとして、意欲ある農業者に対してより大型の次世代型ハウスの普及を推進してまいりますほか、地域の農業者の皆様と県内外の企業などとがタイアップする形で、大型の施設園芸団地の整備を行うこととしております。
 その際、特に課題となる農地の確保については、農地中間管理機構の体制を強化し、地域で埋もれている農地情報を収集して農地を利用調整する仕組みを構築するとともに、耕作放棄地はもとより、現在水稲栽培などが行われている農地を含めて、より生産性の高い園芸農業に転換できるよう、優良農地を作り出すための施設園芸団地の整備に取り組んでまいります。
 加えて、担い手の確保については、産地が必要とする人材像や就農までの道筋を明確にした、いわゆる産地提案型の取り組みを県内各地に拡大してまいります。また、安定した生産と雇用の増加のためには法人経営体による営農も有効であることから、法人化への誘導を進め、経営管理や労務管理といった組織マネジメント力を強化する人材育成にも取り組んでまいります。

(林業分野)

 林業分野では、大型加工施設の整備や木質バイオマスの利用拡大など、森林資源を余すことなく活用する仕組みの構築により、原木生産量も平成22年の40万4千立方メートルから昨年は61万立方メートルへと大幅に増加いたしました。長らく衰退傾向にありました林業分野について、いよいよ高知の山が動き出す胎動を感じているところであります。
 しかしながら、これまでの取り組みによる成果をさらに大きなものとし、山でより多くの雇用の場を生み出していくためには、林業の担い手確保の強化や木材需要のより一層の拡大を図っていくことが重要であります。
 このため、成熟した森林資源をさらに生かすことを目指し、林業学校において、高度で専門的な人材の育成に取り組みますとともに、新たな木材需要を生み出すため、非住宅分野での木材利用やCLTを使った建築物の普及を加速化してまいります。
 具体的には、店舗や事務所など住宅以外の低層建築物では木造率が住宅に比べて低いことから、建築事例集の作成や商品開発などを支援することにより、木造建築や木質化といった木材利用を拡大してまいります。また、CLTの普及拡大の取り組みをさらに進めるとともに、併せて、CLT部材工場などの加工体制の整備支援や、CLTパネル工場の誘致を目指してまいります。さらには、これらの取り組みを背景として、本県におけるCLT関連産業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。

(水産業分野)

 水産業分野では、漁業者の減少が進む中にあって、県内への水揚げの促進や養殖業の拡大などにより、沿岸漁業生産額は平成21年の348億円から平成25年には423億円へと増加しており、地域アクションプランなどにより新たに始まった水産加工の出荷額は、昨年度には11億4千万円となるなど、養殖漁業や水産加工業が、本県水産業の柱として成長してまいりました。また、外商活動の強化に関しては、少量多品種という本県水産物の特性を生かした「高知家の魚応援店制度」をスタートさせるなど、新たな商流を生み出す仕組みも整ってきたところであります。
 しかしながら、水産業がより多くの若者の雇用の受け皿となるためには、漁業生産量をさらに増加させ、その効果を水産加工や流通などの関連産業により力強く広げていく必要があると考えております。
 このため、沿岸漁業生産体制や水産加工の取り組みを強化するとともに、都市圏での外商活動を一層進めてまいります。
中でも、漁業者の減少による生産量の減少は、水産加工をはじめとする関連産業全体に影響する根本的な課題となっており、漁業生産量の確保に向けた早急な対策が必要でありますことから、漁業者などにお願いしてきた従前からの取り組みに加えて、新たに法人の参画などによる計画的な担い手確保対策に取り組んでまいります。
 また、近年生産量が増加しているクロマグロ養殖などのさらなる拡大に向けては、種苗の安定確保が課題となっておりますことから、民間企業と連携した人工種苗生産体制を確立してまいります。さらには、その中間育成の拠点を形成してまいりますことで、養殖生産ビジネスを拡大してまいります。
 あわせて、水産加工については、養殖業とタイアップした取り組みや施設の高度化及び衛生管理体制の強化、さらにはHACCP(ハサップ)対応型施設の誘致にも取り組んでまいります。

イ ものづくりの振興

 ものづくりの振興については、ものづくり地産地消・外商センターを設置し、企業のものづくりに関する様々な相談に一元的に対応する仕組みを構築するなど、事業化プランの策定、試作機の開発、見本市への出展などの外商支援、設備投資など、ものづくりの一連の流れを一貫してサポートしてまいりました。
 その結果、最終製品の製造に挑戦する企業が増加し、外商支援による成約額が、平成24年度は2億5千万円であったものが、昨年度は27億1千万円となるとともに、製造品出荷額等は5千億円台を回復するなど、一定の成果が表れてきております。
 また、第2期計画からより重点的に育成を開始した防災関連産業が大きく成長し、高知県防災関連製品認定制度の下、これまでに99件の製品や技術が認定され、認定製品の売り上げは、昨年度は15億4千万円にまで拡大してまいりました。
 しかしながら、本県の製造業をもう一段力強く成長させるためには、地産外商をさらに強化するとともに、その成果を各事業者の皆様の設備投資につなげ、加えて関連産業の集積を促すことで、地産外商の成果を拡大再生産につなげていくことが重要であると考えております。
 このため、引き続き、バイヤーとの個別相談会を増やして新たな事業化プランづくりの支援を強化するなど、企業のものづくりを一貫してサポートするとともに、防災関連産業の認定製品をさらに増加させるよう取り組んでまいります。また、ものづくり地産地消・外商センターによる外商支援を強化するとともに、防災関連産業については、国内にとどまらず、地震対策が必要な台湾や東南アジアなど海外での外商も強化してまいりたいと考えております。さらに、設備投資に対する支援による企業の成長を通じ拡大再生産の流れを力強く支援してまいります。

ウ コンテンツ産業と事務系職場の集積

 コンテンツ産業については、これまで、若者の就職希望が多い分野であるにも関わらず、県内に雇用の受け皿が少ないために、こうした分野を目指す人材が県外に流出する状況にありました。このため、全国に先駆けてソーシャルゲームビジネスの創出などに取り組んできたところであります。こうした取り組みによって本県と県外関連企業とのネットワークが広がってきた結果、本年5月には、首都圏のゲーム関連会社による合弁会社の設立につながり、その他と合わせて本年度末までには67人の新規雇用者が見込まれるなど、企業集積の土台を形成することができつつあります。
 また、コールセンター、バックオフィスなどの事務系職場についても、地方への拠点開発、いわゆるニアショア志向を背景に、これまで14社の立地が実現するなど集積が進みつつあります。
 今後は、コンテンツ産業の企業誘致のための助成制度の創設や誘致後の人材確保、育成などを含めた支援パッケージにより、さらなる企業の誘致に取り組んでまいります。さらに、事務系職場の誘致につながる企業の情報は庁内の関係各部に関係することから、庁内に企業誘致に関する総合支援チームを立ち上げ、案件ごとに誘致活動から立地支援に至るきめ細かな支援を進めてまいりたいと考えております。

エ 産学官民連携によるイノベーションの創出

 イノベーションの創出については、これまで、産学官民の連携を深め、その英知を結集した取り組みを進めてまいりました結果、微細な気泡を発生するファインバブル発生器など、今後の様々な製品への広がりが期待できる技術が生まれてきたところであります。
 また、産学官民が連携し、様々なイノベーションを創出していく新たな仕組みとして、本年4月、高知県産学官民連携センター「ココプラ」を開設いたしました。ココプラでは、県内大学などの研究内容と事業化につながり得るシーズを紹介する講座や、県外のシンクタンクや金融機関と連携したCCRCに関する連続講座などをこれまで合計32回開催し、延べ1,000人を超える方々にご参加いただくなど、産学官民の交流が着実に進み始めております。また、ここから生まれたアイデアやシーズを事業化につなげるココプラビジネスチャレンジサポートの取り組みも開始いたしました。
 今後、産学官民連携センターを核に、産学官民の交流と連携をさらに深め、様々なアイデアを新たな事業展開につなげていくことで、本県産業の底上げにつながる様々なイノベーションの創出を図ってまいりたいと考えております。

(3)「外商」の強化

ア 外商支援と貿易振興

 次に、「外商」の取り組みについてご説明申し上げます。

(食品分野)

 国内での食料品などの外商については、地産外商公社を中心に、県内事業者の皆様を全力で支援してまいりました結果、昨年度に公社が仲介、あっせんした成約件数は4,393件と、平成21年度の約25倍となり、成約金額も大きく伸びてまいりました。
 また、輸出の取り組みについては、戦略的なプロモーションの展開により高知ユズが海外で認知され市場が広がるなど、食料品の輸出額は、当初目標の2億円を早期に達成し、昨年は3億3千8百万円と伸びてまいりました。
 他方、成約実績をさらに上積みし、拡大再生産につなげていくための様々な課題も見えてまいりました。
 一つ目の課題は、食品加工業の生産管理体制のさらなる高度化であります。食の安全確保の面では、近年、食品の異物混入といった事件の影響などから、大手小売店などが製造元に求める生産管理基準がより高度になってきております。このため、衛生管理や品質管理のレベルに適合しないが故にビジネスチャンスを取り逃すことのないよう、県内事業者の生産管理体制の高度化に向けた取り組みをより一層支援してまいりたいと考えております。
 二つ目の課題は、さらなる飛躍に向けた、より大きな商流の開拓であります。これまで地産外商公社が仲介、あっせんした事業者のうち、中小規模の事業者は出荷額が順調に伸びている一方で、比較的規模が大きな事業者には外商支援が十分に効いていないといったことが見えてきました。このため、それぞれの事業者の個別課題に対応したサポートチームを設置し、企業の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。
 さらに、生産から加工、流通、販売までの関係者が、それぞれのノウハウを生かしながら連携し、新たな商品開発や販路開拓に取り組むことを通じて、地域ブランドを創り出す食品産業のクラスター形成に挑戦しますとともに、将来的には、こうした取り組みの一環として県内外の食品加工事業者の新たな立地にもつなげてまいりたいと考えております。
 三つ目の課題は、地産外商の取り組みの海外への拡大であります。ユズの輸出で蓄積したノウハウを生かして、世界に広がる和食への注目も追い風としつつ日本酒の輸出拡大を目指すとともに、新たに力を入れる品目の掘り起こしと商流づくりにも取り組んでまいります。

(ものづくり分野)

 ものづくり系の外商活動については、先ほど申し上げましたとおり、ものづくり地産地消・外商センターの取り組みを通じて、近年、成約金額が大きく伸びるなどの成果が表れてきております。今後、輸出促進に向けた取り組みを一層拡大するとともに、拡大再生産につながる取り組みともなるよう、ものづくりの一貫サポート体制のさらなる強化を図ってまいります。

イ 観光振興

 次に、観光振興については、これまで、観光商品を「つくる」、その観光商品を効果的にPRして県外に向けて「売る」、そして、本県を訪れる観光客の皆様にご満足いただけるように「もてなす」という一連のサイクルを抜本強化して取り組んでまいりました。
 その結果、本県への入込客数は、昨年まで2年連続で400万人を超え、目標としてきた400万人観光が定着しつつあります。
 しかしながら、次の目標である435万人観光を早期に達成するためには、官民協働体制を強化し、本県観光の強みをさらに伸ばし、弱みを克服するための挑戦が必要であると考えております。
 このため、本県が有する歴史、食、自然といった地域ならではの資源を、旅行者のニーズに応えられる商品として磨き上げる力や、磨き上げた商品を組み合わせて体験プログラムや周遊プランとして売り出していく力を強化してまいります。
 具体的には、2018年の明治維新150年までの間、歴史に大きく注目が集まるものと見込まれることから、これを生かして、歴史を中心とした大規模なキャンペーンや、歴史と食を一体的に連動させた戦略的な観光地づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。また、豊かな自然を生かし、アウトドアやスポーツツーリズムを一層進めるため、魅力的な拠点の整備を推進してまいりますほか、本県を訪れるきっかけとなるコンベンションなどの誘致にもより積極的に取り組んでまいります。
 あわせて、国際観光の推進に関しては、外国クルーズ客船の寄港が増加しているという現状を踏まえ、外国人の嗜好やニーズに応じた旅行商品づくりと積極的なPRを行うとともに、外国人観光客の満足度を高めることや受け入れ環境の整備を抜本的に強化するなど、取り組みを加速していかなければなりません。
 このため、四国の他の3県などと広域に連携することで、造成した旅行商品の発信力をさらに高めることや、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、本県を世界に大きくPRしていくため、よさこい祭りを戦略的に活用するなど、認知度を飛躍的に向上させていくことが重要だと考えております。また、Wi-Fi環境の整備や消費税免税店の開設支援、飲食店における飲食メニューの多言語化など、外国人観光客の受け入れ態勢を整備してまいります。

(4)地産外商の成果を拡大再生産へ

 次に、地産外商の成果を拡大再生産へとつなげる取り組みについてご説明申し上げます。拡大再生産に向けては、様々な分野における担い手を確保するとともに、地域地域で関連産業の集積を促すことが重要であると考えております。

ア 担い手確保の取り組み

(産業人材の育成)

 まず、産業の担い手となる人材育成の取り組みについてご説明申し上げます。
 産業人材の育成の核として平成24年度に開講した土佐まるごとビジネスアカデミーには、昨年度、過去最高となる延べ1,921人の方にご参加いただいたところであり、本年度からは、開催場所をココプラに移し人材育成の機能を強化したところであります。こうした学びを生かして地産や外商に挑戦し、成果を上げる事業者も増えてきており、それに影響を受け、地域地域で新たなビジネスなどに挑戦したいといった声や、地域自ら担い手の育成に取り組みたいといった声が聞かれるようになってまいりました。
 このため、地域が主体となった新たな学びの場づくりを支援し多くの学びの機会を提供することで、地域の産業を牽引する意欲ある実践者を地域が育てていく環境を作ってまいりたいと考えております。

(第一次産業の担い手確保)

 第一次産業の担い手確保については、農業担い手育成センターの開設や林業学校の設立、漁業就業セミナーの開始など、人材確保と研修制度などによる人材の育成に取り組んでまいりました。
 しかしながら、依然として担い手が減少しており、確保対策のさらなる強化が必要な状況にあります。このため、先ほど申し上げましたとおり、産地提案型の担い手確保対策の強化や、林業学校における高度で専門的な人材の育成、法人の参画などによる計画的な漁業の担い手確保などに取り組んでまいります。

(事業承継・人材確保対策)

 深刻さを増してきている企業の後継者不足などへの対応については、本年4月に設置した事業承継・人材確保センターにおいて、事業承継へのサポートだけではなく、事業規模の拡大や新たな事業を展開する際に必要となる中核人材の積極的な確保に取り組んでおり、既に、事業承継に関する相談が53件、人材確保については47件の相談が寄せられているところであります。
 今後、このような企業の皆様のニーズにしっかりと応えてまいりますため、県内外の中核人材に関する情報をさらに蓄積し、より多くのマッチングにつなげていく必要があると考えております。このため、首都圏での人材情報などを収集する求職コーディネーターを新たに配置するなど、移住や地方での仕事に関心を持っている都市部の人材に直接働きかける体制を強化してまいります。

イ 移住促進

 移住促進の取り組みについては、これまで、移住に至るプロセスを5段階に分けて、それぞれに応じた対策を官民協働、市町村との連携協調の下で実施するとともに、常にその成果について検証し、改善を加えてまいりました。
 その結果、移住、定住に向けた一連の官民協働による仕組みが整い、県外からの本県への移住者は、平成23年度の120組241人から、昨年度は403組652人と大幅に増加しております。本年度も、8月末時点で対前年度比127パーセント、210組345人が移住するなど、年間目標の500組に向けて順調に推移しております。また、移住者が地域や経済の担い手として活躍するといった成果も表れ始めております。
 しかしながら、全国的な地方創生の動きの中で、他県との競争がより厳しくなることが予想され、また、地域における後継者や中核人材確保の要請も高まってきております。このため、今後、次の3つの視点により移住促進の取り組みをさらにパワーアップしてまいります。
 一つ目は、他県との競争を意識してより本県の強みを生かした移住促進策を展開することであります。
 このため、本県の生活の質に関わる特徴である生活費の安さや自由に使える時間の多さといった強みを前面に打ち出して全国にPRするとともに、本県が得意としてきた志移住の取り組み、すなわち各産業分野の担い手確保と移住促進の取り組みをしっかりと連動させる仕組みをさらに強化してまいります。加えて、高知版CCRCなどの移住につながる特徴あるプロジェクトを地域地域で実行し定着させてまいりたいと考えております。
 二つ目は、志移住の取り組みの中でも、特に本県の企業などの人材ニーズを都市部の人材に届けマッチングさせていくための取り組みを強化することであります。
 このため、先ほど申し上げましたとおり、事業承継・人材確保センターに首都圏の人材情報などを収集するコーディネーターを配置するほか、移住相談とUIターン就職などの取り組みを一体的に実施する体制を強化してまいります。
 三つ目は、移住した方に、安心して住み続けていただくためのフォローアップ体制を充実することであります。
 このため、移住者の身近な相談役となっていただく地域移住サポーターにより多くの方にご就任いただくとともに、民間の移住支援団体によるネットワーク「高知家移住促進プロジェクト」と地域移住サポーターとの結び付きを強め、地域が一体となったフォローアップ体制を構築してまいります。

ウ 第一次産業を核とした産業クラスターの形成

 さらに、本県の産業をもう一段力強く成長させていくためには、拡大再生産をより強く意識した施策を展開することにより「地域に根差した産業を核とした産業クラスター」を地域地域で戦略的に生み出していくことが重要であると考えております。
 特に、第一次産業は本県の強みであり、地域に根差した取り組みが行われていることから、地域の基幹産業である第一次産業を力強く発展させるとともに、その第一次産業を核とした産業クラスターを形成することで、より大きな雇用を地域地域で生み出していくよう意図的に取り組むことが有効であると考えております。
 例えば、農業分野においては、県内各地で優良農地を作り出して次世代ハウスによる施設園芸団地を整備し、近隣に県外からの誘致を含めて食品加工場、物流拠点、直販所、レストランなどの関連産業を集積させ、農業クラスターを形成することが考えられます。
 また、水産業分野においては、養殖生産の拡大を図るとともに、高度な衛生管理が可能な水産加工場、さらには冷凍保管や加工残さい処理などの関連ビジネスを集積させ、水産業クラスターを形成することが考えられます。
 この他、観光分野においては、明治維新150年を生かした歴史観光の戦略的な推進を図る中で、地域にある本物の歴史資源を磨き上げ、その周辺の「食」や「自然体験」、「土産物」などの観光資源と一体的に結び付け、観光クラスターを形成することが考えられます。
 このような取り組みを進めていくためには、第一次産業支援、ものづくり支援、外商支援や県内外の企業立地支援などを組み合わせ、関係する部局が連携して、戦略的に進めていく必要があります。また、地域の方々と一体的に取り組むことも不可欠であります。このため、地域の産業クラスター形成に向けた政策パッケージを、今後、関連する産業団体や民間企業、市町村の皆様のご意見もお伺いしながら、練り上げてまいりたいと考えております。

5 南海トラフ地震対策について

 次に、南海トラフ地震対策に関し、これまでの取り組みと今後の方向性についてご説明申し上げます。

(1)南海トラフ地震対策の取り組み総括

 南海トラフ地震対策については、東日本大震災の教訓を踏まえ、地震による揺れや津波から命を守る対策を最優先としつつ、併せて、助かった命をつなぐ対策にも本格的に着手いたしました。
 命を守る対策では、まず、揺れ対策として、建物の耐震化を促進してまいりました結果、小中学校や県有施設の耐震化は本年度中に概ね完成する見込みであります。また、津波から命を守るための津波避難空間の整備に取り組んでまいりました結果、避難路、避難場所は、計画総数1,445カ所に対して1,361カ所が、津波避難タワーは計画総数115カ所に対して103カ所が本年度末までに完成する見込みとなるなど、整備について一定の目途が立ってまいりました。さらに、地震火災対策についても具体的な対策を実施する段階に至り、山津波対策についても取り組みをより加速化しているところであります。また、こうした一連の対策を地域の皆様と協働して進めていくため、5つのブロックに設置した南海トラフ地震対策推進地域本部の体制も大幅に強化してまいりました。
 助かった命をつなぐ対策に関しては、まず、避難所の確保を進めるとともに、迅速な応急活動を展開するため、県内8カ所の総合防災拠点の整備に加え、これらの拠点と市町村役場などとを結ぶ基幹ルートにおける道路啓開計画の策定や、より負傷者に近い場所で医療を行う前方展開型の医療救護活動の考え方を盛り込んだ災害時医療救護計画の改定、集落の孤立対策など、発災後概ね3日間にあたる応急期初期の対策の基礎を固めるための取り組みを進めてきたところであります。
しかしながら、命を守る対策については、住宅の耐震化の促進や地震火災への対応など、まだまだ多くの対策が必要であり、命をつなぐ対策についても、避難所の確保や道路啓開における体制整備など、より具体的な対策を一層講じていく必要があります。

(2)命を守る対策

 まず、命を守る対策については、住宅の耐震化率が本年度末の時点で77パーセントにとどまる見込みでありますことから、住宅を戸別訪問し耐震診断を勧奨するなど、市町村との連携の下、耐震化率100パーセントを目指して取り組んでいるところであります。
 また、これまでに県内各地に整備された津波避難空間を十二分に活用して一人ひとりが確実に避難できるよう、沿岸19市町村で策定されている地域津波避難計画について、地域本部が中心となって現地での検証を徹底しているところであり、その際、明らかになった課題に対しては、速やかに必要な対策を講じてまいります。
 地震火災対策については、本年6月、地震火災対策指針を公表し、対策を重点的に推進する地区として11市町19地区を位置付けるなど、指針に基づいた具体的な対策を進めることとしております。また、山津波への対策については、砂防事業などのハード対策の着実な推進と土砂災害警戒区域の指定の加速化と合わせて、避難訓練や防災学習会の実施などのソフト対策を一体的に進めているところであります。

(3)命をつなぐ対策

 次に、命をつなぐ対策では、これまでも避難所の確保対策に取り組んできたところでありますが、最大クラスの地震が発生した場合、県全体では、いまだに約11万人分の収容能力が不足している現状であります。このため、避難所の耐震化や新たな避難所の指定に取り組むなど、避難所確保の取り組みを進めますとともに、多数の避難者の発生が想定される市町村においては、市町村の圏域を越えた広域での避難ができるよう具体的な検討を進めてまいります。
 また、発災後の速やかな道路啓開は、迅速な救助や救出、医療救護活動、円滑な支援物資の輸送など応急期の様々な対策の根幹となりますことから、啓開区間ごとの重機や燃料確保の検討を進め、その実効性を高めてまいります。あわせて、全国から総合防災拠点に集まる支援物資などを被災地まで円滑に輸送するための計画も策定してまいります。
 災害時の医療救護活動については、前方展開型の医療救護体制を地域の被害想定や医療資源の状況を踏まえたものとするため、現在6つの地域において、地域の医師会や市町村など関係機関の皆様と共に地域ごとの行動計画の策定を進めているところであります。今後もさらなる協議を重ねますとともに、訓練などを通じた確認も行いながら、実効性のある計画が策定されるよう支援してまいりますほか、取り組みを始める地域のさらなる拡大を図ってまいります。
 こうした第2期南海トラフ地震対策行動計画の取り組みで明らかになった課題については、次期計画に反映させるとともに、必要な対策を着実に実行することで南海トラフ地震対策の一層の推進に努めてまいります。

6 日本一の健康長寿県づくりについて

 次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。

(1)日本一の健康長寿県構想の取り組み総括

 これまで、働き盛り世代の死亡率の高さや、医師の偏在、全国に先行する人口減少と高齢化による地域の支え合いの力の弱体化といった本県が抱える構造的な課題に対応するため、日本一の健康長寿県構想の取り組みを通じ、「県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことができる高知県」を目指して取り組んでまいりました。
 その結果、がん検診や特定健診の受診率は向上し、県内で初期臨床研修を行う若手医師が増加するとともに、高知型福祉の拠点となるあったかふれあいセンターの整備が進むなど、保健、医療、福祉それぞれの分野で成果が一定見られ始めたところであります。
 しかしながら、働き盛り世代の死亡率は、依然として全国に比べて高い状態にあることや、住み慣れた地域で安心して住み続けられる社会の実現に向けては、地域における福祉や医療の取り組みのさらなる強化が必要なこと、加えて、県内で一定数の子どもたちが厳しい環境に置かれていることなど、いまだに多くの課題が残されております。

(2)保健分野

 このため、保健分野においては、壮年期の死亡率の改善を目指し、主な死亡原因のがん、脳血管疾患、心疾患の生活習慣病について、より効果的な対策に取り組んでまいります。
 まず、死亡原因の第1位であるがんにつきましては、早期発見、早期治療に重要な役割を果たすがん検診の受診率向上を目指し、検診対象者への個別通知やさらなる利便性の向上により受診の促進を図ってまいります。あわせて、脳血管疾患や心疾患などの血管病対策について、正しい生活習慣を促す特定健診の受診を促進するとともに、糖尿病などから透析治療への移行を防止するため、保健指導や受診勧奨などの重症化予防対策に取り組んでまいります。
 また、健康的な生活習慣を定着させるためには、子どもの頃から健康に関する知識を習得し、実践する力を身に付けることが重要でありますことから、引き続き、小中高等学校における健康教育を推進してまいります。

(3)医療分野

 医療分野においては、奨学金制度などによる若手医師の確保対策に取り組んでまいりました結果、これまでに奨学金を受給した医学生が228人となり、本県の医療機関で採用された初期研修医が、平成21年度の36人から本年度には58人と大幅に増加するなど、医師不足の改善が期待できる状況となってまいりました。今後とも、研修体制の整備などにより若手医師の県内定着を促進し、若手医師の減少、地域の偏在、診療科の偏在といった医師の偏在解消に向けて取り組んでまいります。
 また、療養が必要な状態となっても居宅で生活を続けたいという県民ニーズに応えてまいりますため、県民の皆様が安心して在宅での療養を選択できるよう、訪問看護など在宅医療提供体制の整備と併せて、日常生活を支える機能回復などの支援や、急変時に対応できる医療体制を整備してまいります。
 具体的には、中山間地域などの不採算地域への訪問看護サービスの支援や訪問看護師の育成を加速するとともに、在宅療養を希望する入院患者が適切なリハビリテーションを受けられるよう、回復期機能を担う病床を確保するなど、在宅療養への円滑な移行を支える医療資源の充実に努めてまいります。

(4)福祉分野

 福祉分野では、人口の減少と高齢化に伴い、中山間地域などで弱まってきている地域の支え合いの力を官民協働で意図的、政策的に作り出していく高知型福祉の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
 中でも、小規模多機能で日常生活を支える福祉サービスなどを提供するあったかふれあいセンターについては、本年7月末現在で、県内41カ所、サテライトを含めますと228カ所で設置、運営されるなど、高知型福祉を推進する拠点施設としてその役割をしっかりと果たしております。
 しかしながら、住み慣れた地域で安心して暮らすことができる県づくりを目指して、県民の皆様の在宅生活の希望をかなえ、生活の質の向上を図るためには、要介護者や独居などの配慮を必要とする高齢者に、これまで以上にきめ細かく対応していく必要があります。
 このため、今後、あったかふれあいセンターの機能のさらなる強化に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、元気な高齢者の皆様が介護を必要とする状態に至らないよう、センターが行います運動機能の維持向上に向けた介護予防サービスをリハビリテーション専門職の派遣などにより支援いたしますほか、認知症の高齢者などにやさしい地域づくりを推進するため、センターへの認知症カフェの設置などを支援いたします。
 あわせて、その際には、福祉活動にとどまらず経済活動などを含めた地域づくりを推進する観点から、あったかふれあいセンターと集落活動センターや高齢者の住まいの整備などといった取り組みとの連携を図ってまいります。

(厳しい環境にある子どもたちへの支援)

 次に、厳しい環境にある子どもたちへの支援についてご説明申し上げます。
 経済的な要因のみならず、様々な社会の構造変化などを背景として、県内でも一定数の子どもたちが、学力の未定着や虐待、非行、いじめといった困難な状況に直面するなど、極めて厳しい環境に置かれております。
 このため、こうした厳しい環境に置かれた子どもたちへの支援を重点課題として位置付け、教育の分野では、子どもたちの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、放課後の学習支援など就学前から高等学校までの各段階に応じた切れ目のない支援の抜本強化に取り組んでいるところであります。
 また、増加傾向にある児童虐待の問題に対しましては、昨年12月に起こりました虐待死亡事例に係る検証委員会から、高知市を含めた関係する支援機関との連携や情報共有のあり方、さらには要保護児童対策地域協議会の活動への支援の必要性などについて提言をいただきました。県としましても、この提言に基づき、児童相談所と市町村との連携強化や要保護児童対策地域協議会の活動強化などの再発防止策にスピード感をもって取り組むことにより、対応力のもう一段の充実強化に努めてまいります。
 あわせまして、少年非行の問題については、非行率が平成21年から平成23年まで3年連続して全国ワースト1位であったものが昨年はワースト13位へと改善しておりますものの、再非行率は全国上位のままであるなど、依然として厳しい状況にあります。このため、学校、警察、行政などの関係する支援機関と家庭を含む地域社会が一体となって、高知家の子ども見守りプランを推進することにより、さらなる改善を図ってまいります。
 厳しい環境にある子どもたちへの支援については、今後、県民世論調査やひとり親家庭の実態調査の結果を分析し、子どもたちが置かれている現状をしっかりと把握した上で、本年度中に「こどもの貧困対策計画」を策定し、子どもたちへの教育や保護者に対する就労支援、さらには生活や経済面での支援を行うなど、より総合的な支援に取り組んでまいります。

7 教育の充実について

 次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
 教育委員会では、全国と比較して厳しい状況にあった本県の子どもたちの学力や体力の底上げ、生徒指導上の諸問題の解決に向けて、高知県教育振興基本計画重点プランを策定し、知、徳、体の分野ごとに目標を掲げて、取り組みを重ねてまいりました。

(1)知の分野の取り組み

 知の分野では、小学校の学力は全国上位に、中学校の学力は全国平均まで引き上げることを目標とし、学力の定着状況を把握し分析するための単元テストや、授業と家庭学習を連携させて学ぶ力を育む学習シートなどを活用した授業改善と家庭学習習慣の確立などに取り組んでまいりました。
 その結果、先月公表されました全国学力・学習状況調査において、本県の小学校の学力は、国語では基礎知識を問うA問題で、「全国平均を3ポイント以上上回る」という重点プランで設定した目標を達成するなど、全国上位クラスまで向上してまいりました。一方で、小中学校ともに、思考力、判断力、表現力にはいまだ弱さが見られますし、特に中学校は、国語、数学ともに、本年度も全国平均を下回る結果となっており、その学力の改善状況は、平成25年度からの足踏み状態をいまだに脱却できておりません。
 このような課題に対しては、まずは思考力などをより効果的に高められる授業づくりをこれまで以上に進めていく必要があると考えております。このため、これまでに作成してきた思考力問題集などの学習教材の活用と合わせて、現在全ての小中学校で実施している単元テストに思考力を問う問題を組み込むことにより、思考力などの定着状況を把握しながら授業を進めていく仕組みを整えてまいります。
 加えて、総合教育会議においても、特に中学校の学力向上に向けた諸課題について深く掘り下げ、解決に向けた真に有効な対策を打ち出すための議論を重ねております。その中で、学力の向上に向けては、個々の教員の力量のみに頼らず、教員同士がチームを組み協働しながら学び合い、組織的に授業力を高め合う仕組みづくりが重要であるとの方向性が見えてまいりました。
 今後は、教員が指導力を一層発揮できるよう、学力の向上など学校の目標の実現に向けて組織的に取り組む、いわゆるチーム学校の構築についてさらに議論を深めてまいります。

(2)徳の分野の取り組み

 徳の分野では、暴力行為や不登校など生徒指導上の諸問題の改善に向け、キャリア教育や道徳教育をはじめ、子どもに内在する力や可能性を引き出すことに力点を置いた生徒指導を推進してまいりました。
 あわせて、喫緊の課題への対応として、高知家の子ども見守りプランや高知県いじめ防止基本方針を策定し、少年非行やいじめ防止などの取り組みを推進するとともに、一人ひとりの子どもや家庭が抱える課題の解決に向けて、相談支援体制の強化を図ってきたところであります。
 このような生徒指導に組織的に取り組んだ中学校では、暴力行為の発生件数が減少し、高等学校においても、中途退学率や不登校率が改善してまいりました。
 しかしながら、学校における生徒指導上の諸問題に対する組織的な取り組みの弱さなどもあり、自尊感情を育むことや規範意識を高めることが十分にできていないため、小中学校における暴力行為や不登校などが依然として高い数値で推移するなど、いまだ厳しい状況にあります。
 今後は、知の分野でも申し上げましたとおり、学校の目標の実現や生徒指導上の諸問題の解決に向けて、組織的に取り組むチーム学校の構築を検討してまいります。また、こうした問題行動の背景には、子どもを取り巻く社会環境の変化や家庭の状況などが複雑に絡み合っている現状があることから、教育や福祉、警察など関係機関との連携をさらに強化し、様々な対策を組み合わせながら、児童生徒や保護者の悩みや不安の解消、取り巻く環境の改善などに取り組んでまいります。

(3)体の分野の取り組み

 体の分野では、小中学校の体力、運動能力を全国平均まで引き上げることを目標とし、体育の授業や健康教育の充実、体力向上の基礎となる健康的な生活習慣の定着を目指した取り組みなどを進めてまいりました。
 その結果、全国最低水準にあった小中学校の体力が、全国水準近くまで改善するとともに、全国大会や国際大会で活躍する選手が育っております。
 しかしながら、子どもの運動習慣がいまだ十分に定着していないことや、スポーツ活動に地域差が見られること、競技人口の少ない競技種目では、選手を効果的に発掘し育成する体制が十分でないといった課題があります。
 このため、子どもたちの運動、スポーツ活動の向上を図ることを目指し、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を好機と捉え、スポーツ推進プロジェクト実施計画に基づいて、子どもたちがスポーツに慣れ親しむことができる環境の充実と競技力の向上、地域におけるスポーツ活動の活性化などの取り組みを総合的に進めてまいります。

(4)厳しい環境にある子どもたちへの支援

 以上のような知、徳、体それぞれの取り組みに加えて、平成27年度からは厳しい環境にある子どもたちへの支援を抜本強化して取り組んでいるところです。教育の分野では、特に、貧困の世代間連鎖を教育の力で断ち切ることを目指して、就学前から高等学校までの各段階に応じて一貫した対策を進めております。
 生活の困窮などにより、十分な学習の機会が与えられていない子どもたちへの支援については、放課後の補充学習などに取り組んでいるところであり、小中学校では、教員と共に、91校で174人の地域住民や大学生が学習支援にあたり、また、高等学校においても、現在、延べ86人を配置し、学力の定着に課題のある子どもたちへのきめ細かな学習支援にあたっております。
 こうした取り組みが、学校の授業改善などの学力向上の取り組みと相まって、一人ひとりの子どもたちの学習意欲を高め、さらなる学力の向上につながるよう、ひいては、子どもたちの夢の実現につながっていくよう、引き続き支援してまいります。
 また、子どもたちの中には、厳しい環境にあるがゆえに不登校などの生徒指導上の課題を抱え、学校や放課後の学習支援などの学びの場に参加できない状況も見受けられますことから、スクールカウンセラーを全ての公立中学校と県立学校に配置したところであります。さらに、厳しい環境にある子どもたちが多い7つの市には、スクールソーシャルワーカーを追加配置するなど、相談支援体制を大幅に強化いたしました。
 その結果、より多くの子どもや家庭への支援が可能となり、子どもや家庭が抱える様々な課題によりきめ細かく対応できるようになってまいりました。今後も、スクールソーシャルワーカーなどのさらなる配置と専門性の高い人材の確保を通じて、相談支援体制の充実及び強化に努めてまいります。
 加えて、中途退学などといった形で学校という居場所を失い、地域で孤立するなど社会的自立が困難となっている若者に対しましては、地域のより身近な場所での支援の充実が必要であることから、就学や就労に向けた相談窓口である若者サポートステーションによる支援を拡充し、出張相談会や個別訪問などの支援内容を充実してまいります。

(5)学校と地域の連携

 次に、学校と地域の連携についてご説明申し上げます。
 子どもたちを取り巻く環境が厳しさを増す中で、学校が抱える課題も多様化しており、学校だけでは解決が困難な状況も出てきております。こうした状況の中では、地域の力もお借りして、社会全体で子どもたちを見守り育んでいくことが必要であります。
 このため、これまで、学校と地域が一体となった教育支援の展開に向けて学校支援地域本部の立ち上げ支援や子どもたちの放課後などにおける安全で安心な居場所づくりに努めてまいりました。特に、本年度からは、学校と地域をつなぐ役割を担う指導主事を教育事務所と高知市に新たに4名配置し、学校と地域との連携体制の充実を働きかけてまいりました。これらの取り組みの結果、現在、22市町村に85の学校を支援する40の地域本部が設置されるなど、多くの地域で、地域の方々が学習支援や学校行事に参画し、子どもたちの学びを支えるとともに、地域ぐるみで子どもを見守り育てる体制づくりが進んでまいりました。
 引き続き、全ての地域において連携体制が構築されることを目指し、地域の課題に応じた効果的な取り組みが進められるよう、市町村や学校に対する支援や指導を強化してまいります。

8 インフラの充実と有効活用

 次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
 社会資本の整備が全国水準から大きく立ち遅れている本県では、整備水準を少しでも引き上げることが、県民の安全及び安心の確保と地域経済の活性化につながりますことから、地域の実情を踏まえて、必要性や緊急性の高いインフラ整備に重点的に取り組んでまいりました。
 特に、四国8の字ネットワークの整備促進については、「命の道」として必要不可欠であり、南海トラフ地震対策を進める上での最優先課題として位置付け、国に対して積極的に提言活動を行うなど、早期の整備を目指して取り組んでいるところであります。
 その結果、県内の供用延長は、平成19年度末の88キロメートルから134キロメートルに延び、新たに整備が進んだ地域では、観光客の増加や企業の立地といった効果も表れてきているところであります。
 しかしながら、依然として、東部や西南部にミッシングリンクを抱えており、整備率はいまだ52パーセントにとどまっております。このため、整備効果や必要性を引き続き国に強く訴え、さらなる整備の促進に取り組んでまいります。
中山間地域の道路整備については、地域に暮らす住民の皆様のご意見を伺いながら1.5車線的道路整備を重点的に進めてまいりました。この1.5車線的道路整備は、平成19年度までは総延長が約54キロメートルであったものが、平成20年度からの8年間で新たに約100キロメートルの整備が進んだことで合計約152キロメートルとなっており、利便性の向上のみならず、産業振興や観光客の増加などといった地域の活性化にも寄与しているところであります。
 そのほか、豪雨により大きな浸水被害を受けた河川流域の再度災害防止対策や、最大クラスの津波に対しても減災効果が発揮できる防波堤や海岸堤防の整備など、引き続き災害対応力の向上を図ってまいります。
 また、高知新港については、昨年5月のメインバースの供用開始により大型客船の寄港が可能となったことで、クルーズ客船の寄港打診が増加しております。寄港回数は、昨年度が9回、本年度は8回の寄港予定であるのに対し、来年度は、先月末時点で8回の寄港が確定しており、仮予約も含め21回の寄港予定となっております。今後は、クルーズ客船の寄港を定着化させるため、受け入れ態勢や観光振興と一体となった情報発信の取り組みを強化するとともに、より大型の客船の受け入れに対応してまいりますため、バス待機場など施設整備の充実を図ってまいりたいと考えております。

9 中山間対策について

 次に、中山間対策に関し、これまでの取り組みと今後の方向性につきましてご説明申し上げます。
 中山間対策については、経済の活性化など5つの基本政策に横断的に関わる政策として、平成24年度から抜本強化を図り、「産業をつくる」、「生活を守る」の2つを柱として取り組んでまいりました。
 産業をつくる取り組みについては、産業振興計画の地域アクションプランや第一次産業振興などの取り組みにより、仕事や雇用が一定生まれてきているところであり、また、生活を守る取り組みについても、高齢者の買い物や通院を支える移動手段の確保、生活用水の確保などにより、生活環境の改善効果も見られております。
 しかしながら、中山間地域には依然として、人口減少、高齢化といった極めて厳しい実態があり、県政目標にも掲げる、若者が住み続けられる中山間地域の実現には、取り組みのさらなる強化が必要であります。
 このため、産業振興計画の地域アクションプランに位置付ける事業のさらなる掘り起こしに努めるとともに、中山間地域の基幹産業であります農林水産業を核に、生産、加工、流通が一体となった産業クラスターの形成などに取り組むことにより、地域地域における仕事と雇用を生み出してまいります。
 また、あったかふれあいセンターを活用した介護予防、日常生活支援サービスなどの提供により、支え合いのネットワークづくりを推進し、中山間地域における生活の質の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みの基盤の上に、特に厳しい状況にある集落の維持、活性化に向けて、この間進めてまいりましたのが集落活動センターの取り組みであります。
 現在、県内18カ所で立ち上がっておりますこれらの集落活動センターにおいては、店舗やガソリンスタンドの運営を行うことにより地域の暮らしを支える取り組みや、加工品づくりや交流活動などによって、にぎわいや収入を生み出すといった取り組みが新たに始まるなど、地域の活性化に向けた成果が少しずつ表れてきております。
 今後も、センターの経済活動の取り組みや人材育成の取り組み、情報発信の取り組みなど、それぞれの経営基盤の確立に向けた取り組みをしっかりと支援するとともに、あったかふれあいセンターの取り組みとの連携も強化しながら、本年度内に30カ所程度の立ち上げを図ってまいります。さらには、この30カ所のセンターをロールモデルとすることで、将来的には県内全域に130カ所程度のセンターを開設することができるよう取り組んでまいります。

10 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について

(少子化対策)

 次に、少子化対策につきましてご説明申し上げます。
 近年、少子化の進行の大きな原因として未婚化・晩婚化の影響が挙げられているところであり、生涯未婚率や初婚年齢などの上昇に反比例する形で合計特殊出生率が低下してきたところであります。国の統計によりますと、50歳時点の未婚率である生涯未婚率は年々上昇し、直近の2010年では、本県の男性は22.1パーセント、女性は12.4パーセントとなっております。また、第1子出産年齢も徐々に上昇し、直近の平成26年では30.6歳となっております。
 こうした中、本年度実施した県民意識調査によりますと、結婚に関しては、独身者の約8割が結婚したいという希望を持ち、第1子が欲しい平均年齢は29.3歳であることが分かりました。また、出産に関しては、理想とする子どもの人数が2.45人であるのに対して、実際に出産を予定する子どもの数は2.09人にとどまるという調査結果も出ております。
 これらを踏まえ、今後はより多くの方の結婚、妊娠、出産、子育ての希望をより早くかなえていくとともに、県民の皆様が理想とする子どもの人数の実現を目指していくといった観点から、少子化対策の抜本強化を図ってまいりたいと考えております。
 このため、第一に、「より多くの方の結婚・妊娠・出産・子育ての希望を叶える」ため、これまで働きかけが十分とは言えなかった民間企業の皆様との連携強化に向け、「高知家の出会い・結婚・子育て応援団」を創設し、高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナーとのネットワークを県内全域に張りめぐらせることを通じて、よりアクティブな少子化対策を展開してまいります。さらには、総合的な結婚支援策の強化としてマッチングシステムの導入などによる出会いの機会の拡充に取り組むこととし、補正予算案に運営窓口の開設を前倒しするために必要な経費を計上しております。
 第二に、「より早く、結婚・妊娠・出産・子育ての希望を叶える」ため、先に述べました総合的な結婚支援策の強化とともに、県民の皆様が若いうちから自分のライフプランを意識し、安心して結婚・妊娠・出産・子育てへとそのステップを進められるよう、ライフプランセミナーや妊娠や出産を含めた健康講座を開催するなど、地域や職場全体で若者を支援する環境づくりを強力に進めてまいります。
 第三に、「理想とする子どもの人数の希望をより叶える」ため、ワークライフバランスをはじめとする仕事と子育ての両立支援に向けた環境整備を進めてまいります。その際には、女性の子育てへの負担感などによる第2子の壁の解消に向け、男性の積極的な育児参加を推進するとともに、経済的な負担による第3子の壁の解消に向け、国の支援策と連動した第3子以降への経済的負担の軽減策などにも取り組んでまいりたいと考えております。

 一方で、こうした取り組みを効果的に進め、県民の皆様の希望を着実にかなえていくためには、社会全体で少子化対策を推進していくという機運が生まれるように、民間企業や地域社会などと協働した取り組みを強化する必要があるものと考えています。
 このため、民間企業や地域団体の皆様などで構成します高知県少子化対策推進県民会議の体制を強化して、ライフステージの各段階に応じた、「結婚支援」、「子育て支援」、「W・L・B(ワーク・ライフ・バランス)推進」の3つの部会を設置させていただくことといたしました。今後は、それぞれの部会において、少子化対策について、より効果的で実効性のある施策のあり方や進め方などについて、PDCAサイクルに基づき、ご議論、進捗管理などをしていただくこととしております。
 少子化対策は、社会全体として取り組んで初めて十分な効果が生まれるものであります。新たな高知県少子化対策推進県民会議の枠組みを通じて、官民協働で事業全体を実施していくことで、県民運動として取り組みを盛り上げてまいりたいと考えております。

(女性の活躍の場の拡大)

 次に、女性の活躍の場の拡大については、結婚や出産、育児など様々なライフステージを迎える女性が希望に応じて働き続けられるよう、就労支援や登用促進の取り組みを進めてまいりました。
 中でも、昨年6月に開設した「高知家の女性しごと応援室」には、開設から一年余りで延べ1,000件を超える相談が寄せられているなど、女性の就労を支援するためのワンストップ窓口として定着してまいりました。
 他方、相談内容は、直接就労に関するものに限らず様々であり、相談者を就職につなげていくためには、さらなる機能の充実と強化が必要であると考えております。
 このため、今後、より多くの相談に対応し、よりきめ細かな支援ができるよう体制を充実するとともに、経済団体などと連携し、幅広い業種の求人情報が応援室に集まる仕組みを構築することにより、さらに多くの女性が確実に就労できるよう取り組んでまいります。
 また、女性の登用促進については、企業の率先した取り組みが不可欠となりますことから、県内の経済団体で組織された高知県女性の活躍促進連絡会と連携し、女性の管理職の割合や採用比率の向上など、県内企業が行う取り組みを後押ししてまいります。
 あわせて、女性が働き続けられるためには、職場における仕事と家庭の両立への理解や、男性の家事と育児などへの積極的な参加が必要との声が多くあることから、こうしたことに理解のある、いわゆるイクボスの取り組みについて県内企業への普及を進めるとともに、家庭生活における男女共同参画の推進に向けた意識啓発の強化も図ってまいりたいと考えております。

11 その他

(伊方発電所について)

 次に、四国電力伊方発電所の再稼働の動きに関してご説明申し上げます。本年7月、原子力規制委員会により発電用原子炉の設置変更が許可され、資源エネルギー庁長官から愛媛県と伊方町に対し再稼働の要請がありました。これを受け、愛媛県知事が国に対し8項目の要請を行うなど、再稼働の可否に関する動きが進んでおります。
 原子力発電については、これまで申し上げてまいりましたとおり、脱原発に向けてその依存度を徐々に引き下げていくべきであると考えております。他方、その過程の中で、やむを得ず原子力発電所を再稼働せざるを得ない場面が出てくる可能性も否定できないものの、仮にそうした場合であっても、安全対策が万全であることが大前提である、との考えであります。
 本年7月、本県がこれまで四国電力との勉強会を通じて求めてまいりました伊方発電所の安全対策などにつきまして中間とりまとめを行い、6月県議会で報告させていただくとともに公表いたしました。この中間とりまとめに対していただきましたご意見につきましては、先月27日に開催した勉強会において四国電力に回答を求めるとともに、原子力発電所を再稼働させる必要性についても、電力安定供給の面を中心にさらに詳しい説明を求めたところであります。
 このたび、これらに関する四国電力の回答が得られましたことから、今月18日の商工農林水産委員会で報告させていただくとともに公表させていただいたところであります。今後は、この報告に対するご意見や議会でのご議論も踏まえまして、必要に応じて四国電力にさらなる説明を求めてまいります。

12 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、平成27年度高知県一般会計補正予算などの3件です。
 このうち一般会計補正予算案は、先ほど申し上げました経済の活性化などの経費として、66億3千万円余りの歳入歳出予算の補正などを計上しております。
 条例議案は、高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案など4件でございます。
 その他の議案は、県有財産の取得に関する議案など10件でございます。
 報告議案は、平成26年度高知県一般会計歳入歳出決算など22件でございます。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

高知県 総務部 秘書課

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