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平成29年2月県議会での知事提案説明

公開日 2017年02月21日

平成29年2月県議会での知事提案説明 (2月21日)

第1 平成29年度の県政運営

1 県政運営と国の動向について
  (国の動向)

2 平成29年度当初予算及び平成28年度2月補正予算について

3 県庁の組織改正について

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

1 経済の活性化について
(1)第3期産業振興計画の改定
(2)「外商」の強化
  (輸出振興の本格化)
(3)「地産」の強化
 (ア)生産性・付加価値の向上と事業戦略の策定への支援の強化
  (事業戦略の策定支援)
  (IoTの推進)
 (イ)第一次産業における飛躍的な生産拡大
  (農業分野)
  (林業分野)
  (水産業分野)
 (ウ)1000億円産業に向けた食品加工のレベルアップ
(4)「拡大再生産」の好循環に向けた取り組み
 (ア)担い手の育成と確保
  (移住促進)
 (イ)地域産業クラスターの形成
 (ウ)起業・新事業展開の促進
(5)観光振興
  (志国高知 幕末維新博)
  (観光拠点整備)
  (国際観光)

2 日本一の健康長寿県づくり
(1)壮年期の死亡率の改善
(2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり
  (あったかふれあいセンター)
  (地域医療提供体制の確保)
(3)厳しい環境にある子どもたちへの支援
  (子ども食堂)
(4)少子化対策の抜本強化
(5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化

3 教育の充実について
  (チーム学校の構築)
  (厳しい環境にある子どもたちへの支援)
  (地域との連携・協働)

4 南海トラフ地震対策について
  (南海トラフ地震対策関連予算)
(1)8つの重点課題に対する取り組み
 (ア)住宅の耐震化
 (イ)地域地域での津波避難対策の実効性の確保
 (ウ)避難所の確保と運営体制の充実
 (エ)地域に支援物資を届けるためのルートの確保
 (オ)前方展開型の医療救護体制の確立
 (カ)応急期機能配置計画の策定
 (キ)高知市の長期浸水区域における確実な避難と迅速な救助・救出
 (ク)震災に強い人づくり
(2)大規模地震対策特別措置法の見直しについて

5 インフラの充実と有効活用
(1)社会資本整備推進本部会議の設置
(2)四国8の字ネットワークの整備
(3)浦戸湾の三重防護

6 中山間対策について

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について
(1)少子化対策
(2)女性の活躍の場の拡大

8 文化芸術とスポーツの振興
(1)県文化芸術振興ビジョン
(2)スポーツの振興
  (競技力の向上)
  (生涯スポーツの推進)
  (スポーツツーリズムの推進)
  (スポーツ施策を推進するための施設整備)

第3 その他
  (新たな管理型最終処分場の整備)
  (県立牧野植物園の磨き上げ)
  (高知龍馬マラソン2017)
  (公文書館の整備)
  (債権管理条例の制定)

第4 議案

 


 

 本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成29年2月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思っております。

 

第1 平成29年度の県政運営

1 県政運営と国の動向について

 来る平成29年度においては、県勢浮揚を目指した第3期の産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みも2年目となり、同計画などにおいて新たに挑戦を始めた取り組みもいよいよ本格的な実行段階へと入ってまいります。
 これまでの取り組みを通じて、例えば、経済分野においては、地産外商が大きく進み、生産年齢人口が減少する中にあっても各産業分野の産出額等が上昇傾向に転じるとともに、昨年は統計史上初めて年間を通して有効求人倍率が1倍を超えるなど、手応えをより力強く感じられるものも出てまいりました。
 しかしながら、地域地域で若者が誇りと志を持って働くことができる高知県、県民の誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる高知県の実現に向けては、まだ道半ばであります。
 来年度は、それぞれの計画などで掲げた目標の達成の成否に大きく関わってくる重要な年となりますことから、真に県勢浮揚を成し遂げていくために、それぞれの施策について、成果に徹底的にこだわって、さらなる進化を図ってまいりたいと考えております。
 明るい兆しも徐々に広がりをもつようになってはいますが、他方で、これらが今後、真の県勢浮揚につながっていくのか、それとも一時的なものに止まってしまうのか、いまだに予断を許さない状況であります。
 来年度も、官民協働、市町村政との連携協調のもと、さらなる飛躍に向けて全力を挙げて挑戦を続けてまいります。

(国の動向)          
 我が国の経済は、個人消費の回復に鈍さが見られるものの、昨年12月の全国の有効求人倍率が1.43倍と25年ぶりの高水準となるとともに、実質賃金が5年ぶりにプラスとなるなど、緩やかな回復基調にあります。
 こうした中、政府においては「経済の好循環」をさらに前に進めていくため、平成29年度予算をデフレからの脱却に向けた最大の経済対策と位置づけ、早期の成立に向けて最優先で取り組む意向を示しております。県としても早期の成立を望むものでありますし、こうした国の動きを追い風に、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みをさらに加速してまいりたいと考えております。
 一方、世界において我が国を取り巻く環境は、トランプ氏のアメリカ大統領就任やイギリスのEUからの離脱、さらにはEUとの日欧経済連携協定、いわゆるEPA交渉などによって大きく変わろうとしています。
 政府には、世界経済の発展に向け、引き続きリーダーシップを発揮していただくことを期待しておりますし、その際には、中山間地域の農業など守るべきものは守る、という視点も引き続き大切にしていただきたいと考えております。本県といたしましても、国の動向を注視し、今後とも時機を捉えて必要な政策提言を行ってまいります。

 

2 平成29年度当初予算及び平成28年度2月補正予算について

 次に、本県の来年度の当初予算案及び2月補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の予算編成にあたりましては、経済の活性化や日本一の健康長寿県づくりをはじめとする5つの基本政策と、中山間対策の充実・強化など5つの基本政策に横断的に関わる2つの政策のバージョンアップを図るとともに、「文化芸術とスポーツの振興」を横断的な政策として新たに位置づけ、その取り組みを強化することとしました。
 さらに、本年度、国の経済対策に呼応して大型の補正予算を編成したことを考慮しつつ、限られた財源で最大限の事業を実施できるよう、知恵を絞り、工夫を徹底いたしました。
 その結果、来年度の一般会計当初予算案は、国において昨年度までで廃止された全国防災事業相当の事業費の皆減などにより、当初予算ベースでは微減となりましたが、国の経済対策に呼応した前年度の補正予算も含んだいわゆる15カ月予算ベースでは、本年度を約96億円上回る4,793億円余りとなっており、さらなる県勢浮揚を図るための9年連続の積極型の予算案となっております。
 他方、このように県勢浮揚に向けた取り組みをさらに加速しながらも、引き続き安定的な財政運営を行うことができるよう努めたところであります。
 具体的には、歳入面では、景気回復に伴う県税収入の増が見込まれる一方、地方交付税等の減により一般財源総額が約40億円減となる見込みであることも踏まえ、地方創生推進交付金など国の有利な財源を積極的に活用いたしました。
 また、歳出面では、職員構成の若返りなどによる人件費の削減や、予算編成過程における積極的な事務事業の見直しにより、一般財源の必要額を32億円余り圧縮することができました。
 この結果、財源不足額を本年度より7億円余り増となる約146億円に抑えたところであります。この財源不足額につきましては、本県の県債残高が全国でも低水準にあるとともに、財政運営の弾力性を確保する必要性があることも踏まえ、来年度当初予算及び本年度2月補正予算において退職手当債の発行をそれぞれ20億円増額する一方で、来年度当初予算における財政調整的な基金の取り崩しを約95億円、本年度比約13億円減とすることにより、対応したところです。
 これらを通じ、来年度末の臨時財政対策債を除く県債残高の見込みは4,858億円と本年度末から微増となるものの引き続き低水準を維持しており、一方で来年度末の財政調整的な基金の残高については、昨年9月時点での推計を56億円上回る200億円程度を確保できる見通しとなり、当面の財政運営に必要な財政基盤を確保できたものと考えております。
 しかしながら、本県の財政運営は国の歳入・歳出改革の動きに左右されやすく、特に、当面、リーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切替えを図るという国の方針に伴い、本県をはじめとする財政力の弱い団体の一般財源が影響を受ける恐れがあります。このため、地方交付税の安定的確保などについて国にさらに政策提言を行うとともに、県としても歳入歳出両面にわたり全般的な見直しを引き続き行ってまいります。

 

3 県庁の組織改正について

 次に、来年度の組織改正についてご説明申し上げます。
 現在の県庁の組織は、平成21年度に産業振興推進部を新設するなど部局の体制を大幅に見直して以降、概ねその枠組みを維持してきたところです。
 来年度は、バージョンアップした一連の施策群をより効果的に推進していくために、8年ぶりに部設置条例の改正案を提出しております。
 まず、経済の活性化に関しては、産学官民連携や起業支援等の一体的推進、輸出振興の全庁調整強化、IoT活用とコンテンツ産業育成などの一元化、国際観光対応の強化など、第3期産業振興計画における新たな挑戦を効果的、効率的に実行していくために必要な体制強化を図ります。
 また、スポーツに関しては、競技力の向上、生涯スポーツの推進、スポーツツーリズムの振興などの関係施策を総合的かつ一体的に進めていくため、文化生活スポーツ部の名称を文化生活スポーツ部に変更するとともに、同部において学校体育以外のスポーツ全般を一元的に所管いたします。
 このほか、本県の重要政策である中山間対策及び交通運輸政策に取り組む体制を明確にするため、担当理事職を廃止し、中山間振興・交通部を設置するなどの組織改正を行ってまいりたいと考えております。

 

第2 5つの基本政策に基づく県づくり

1 経済の活性化について

 次に、5つの基本政策に係る平成29年度の取り組みに関し、まず、経済の活性化についてご説明申し上げます。

(1)第3期産業振興計画の改定

 第3期産業振興計画では、第一次産業から第三次産業までの多様な仕事を、地域地域に数多く生み出し、自律的な「拡大再生産」の好循環を創出していくことを目指して、スピード感を持って取り組みを進めております。
 来年度は、第3期計画をバージョン2へと改定し、これまでの取り組みの土台の上に立って「地産」、「外商」、「拡大再生産」の取り組みをもう一段パワーアップさせ、取り組みをさらに加速してまいりたいと考えております。

(2)「外商」の強化

 まず、「外商」の強化についてご説明申し上げます。
 国内における外商については、この間、地産外商公社の活動範囲を関東から関西、中部、中国、四国、九州にまで広げ、全国規模で県内事業者の皆様の営業活動を支援しております。その結果、昨年度の公社の活動を契機とした成約件数は前年度の約1.5倍となる6,555件、同じく成約金額は約1.3倍となる20億7千9百万円と大きく伸びてきたところであり、本年度はさらにそれを上回る成約が見込まれております。
 来年度は、引き続き全国で外商活動を展開するとともに、外食チェーンなど業務筋への外商機会を拡大し、さらなる成果を目指してまいります。

輸出振興の本格化)
 また、将来のさらなる外商拡大を見据え、国外への外商、すなわち輸出に挑戦していくことが第3期計画における大きな課題であると考えております。
 輸出振興に向けたこれまでの取り組みにより、平成27年の食料品の輸出額は約4億4千万円となり、第1期産業振興計画をスタートさせた平成21年の約8.6倍に達するなど、飛躍的に伸びてまいりました。また、品目についてもユズや土佐酒に加え、水産物や木材、防災関連製品などに拡大しているところです。来年度は、これまでに培ったノウハウを生かして、取り組みをさらに本格化させていきたいと考えております。
 このため、庁内において輸出を総括する職を置くとともに、国外での販路開拓をサポートする貿易推進統括アドバイザーを委嘱するほか、防災関連製品や食品、観光の分野で成果が出てきている台湾地域において商談などの経済活動の拠点となるオフィスを設置するなど、新たな取り組みを進めてまいります。
 あわせて、輸出品目ごとに、その特性に応じた戦略を立てて販路の拡大に取り組みます。
 具体的には、まず、ユズについては、ヨーロッパなどで「KOCHI YUZU」の商標権を生かした外商活動を展開するとともに、国際的に評価の高い海外のシェフと連携し、アジアでのプロモーションも強化いたします。また、他の農産物についても、ユズの輸出を通じて築いたネットワークを生かして、ユズに続く品目の掘り起こしを行ってまいります。
 昨年、ロンドンで開催された展示商談会などで高い評価を得た土佐酒については、引き続き評価の定着を図るとともに、日本酒の人気が高いアジアにおいて試飲会などを開催いたします。
 木材については、引き続き韓国や台湾など木材需要の拡大が期待される地域における販路開拓に取り組むとともに、CLTの輸出にも挑戦することとしており、また、水産物についても、海外の「高知家の魚応援の店」や商社などとのネットワークを生かした輸出の取り組みを本格化させます。
 このほか、防災関連製品等については、4月に台北市で開催される防災関連の国際見本市に本県のブースを出展するなど、台湾や東南アジアでの外商を本格化させてまいります。さらに、政府開発援助、いわゆるODAを活用した輸出の促進に向け、昨年12月に国際協力機構や日本貿易振興機構などと立ち上げたサポートチームによる企業支援を、一層進めてまいります。

(3)「地産」の強化

 次に、「地産」の強化に関わる3つの取り組みについてご説明申し上げます。

(ア)生産性・付加価値の向上と事業戦略の策定への支援の強化

 一つ目は、各産業分野における生産性や付加価値の向上と事業戦略の策定を支援する取り組みであります。

(事業戦略の策定支援)
 人口減少下において、本県の「地産」をさらに強化するにあたっては、各産業分野において、新技術の導入や新たな人材の育成、確保などに取り組み、生産性や付加価値の向上を図ることによって販路を拡大していくことが必要不可欠であります。そして、これらを効果的に実現するためのベースとなる事業戦略の策定を、各分野で徹底してサポートしていくことが極めて重要だと考えております。
 このため、ものづくりの分野では、ものづくり地産地消・外商センターを中心に、県内事業者の事業戦略の策定から実行までを一貫して支援しているところであり、この取り組みをさらに広げてまいります。
 また、商店街などの地域の事業者について、商工会議所や商工会と連携し、経営計画の策定を支援する仕組みを整えますほか、第一次産業の分野につきましても、中山間農業複合経営拠点や集落営農の事業計画づくり、森林組合における生産工程の見直し、製材事業体の事業戦略の策定などをしっかりとサポートしてまいります。
 あわせて、土佐まるごとビジネスアカデミーにおいて「経営戦略コース」を充実させるなど、事業戦略に関する知識の習得を学びの面からもサポートしてまいります。

(IoTの推進)
 また、生産性や付加価値の向上を目指した取り組みとして、昨年来、いわゆるIoTの推進にも取り組んでおります。
 現在、昨年7月に立ち上げた「高知県IoT推進ラボ研究会」のメンバーが中心となって第一次産業の現場を訪問し、IoT技術が解決策となり得る課題の抽出を行っており、今後、課題解決のニーズを持つ生産現場と、解決策を提案できる県内IT事業者等とのマッチングを図ってまいりたいと考えております。
 さらに、来年度は、土佐まるごとビジネスアカデミーに新たな講座を開設し、IoT技術の活用を通じて課題解決策につなげられる人材の育成に着手するとともに、県内中小企業のIoTを活用した新たなサービスやシステムの試作開発を支援してまいります。

(イ)第一次産業における飛躍的な生産拡大

 二つ目は、第一次産業における、事業戦略を基礎とした生産拡大の取り組みであります。

(農業分野)
 まず、農業分野では、環境制御技術を取り入れた「次世代型こうち新施設園芸システム」の普及や、中山間地域における複合経営拠点の整備などに引き続き力を入れて取り組んでまいります。
 環境制御技術の導入については、ナスやピーマンなどの主要野菜に加えて、ブルースターやトルコギキョウなどの花き類、ミカンをはじめとする果実類など23品目に実績が広がり、県全体の導入面積はこの1年間で95ヘクタールから167ヘクタールにまで拡大いたしました。中には導入前より34パーセントもの増収効果が出た農家の方もおられるなど、ほとんどの事例で収量の増加や品質の向上といった効果が確認されております。
 このように、多くの成功事例が身近に表れてきたことから、農家の皆様の関心が高まっており、この機を逃すことなく、さらに普及を加速させてまいりたいと考えております。
 また、次世代型ハウスの整備については、昨年度完成した四万十町の次世代施設園芸団地や安芸市のハウスなどで順調に栽培が行われておりますほか、本年度は比較的小さい規模のものも含めますと、合わせて7.9ヘクタールが新たに整備されております。来年度はさらに、各地で13ヘクタールの整備が計画されており、県内の次世代型ハウスは累計で33.4ヘクタールに至る見込みであります。
 農業を地域全体で支える中山間農業複合経営拠点については、本年度はセミナーの開催などを通じて、地域主体の構想づくりを支援してまいりました。その結果、これまでの4地区に加え、新たに11地区において整備に向けた取り組みが進められております。来年度は、これらの15地区についてサポートを続けますとともに、新たな実施地区の掘り起こしにも取り組んでまいります。

(林業分野)
 林業分野では、大型製材工場をはじめとする加工体制の強化や、木質バイオマス発電施設の整備など、本県の豊富な森林資源を余すことなく活用する仕組みの構築に取り組んできた結果、かつて年間40万立方メートル程度にまで落ち込んでいた原木生産量は、約60万立方メートルにまで増えてきました。しかしながら、ここ数年は横ばいとなっており、伸び悩みの状況も見られております。このため、県内6つの森林組合において、伐採から搬出に至る作業工程を細かく調査、分析し、生産性向上のためのボトルネックの洗い出しを行ってきたところです。来年度は、こうした取り組みをさらに別の6組合で新たに開始することとしております。
 また、効率的な作業システムの構築に不可欠な林道などの路網整備のあり方についても検討を進めたいと考えており、来年度は、県の各林業事務所に協議会を新たに設置し、関係する市町村や林業事業体と協議を開始することといたします。あわせて、生産性向上のために必要な林業機械の導入を進めるとともに、県内企業と共同で本県の地形に合った林業機械の開発にも取り組んでまいります。
 木材需要の拡大に向けては、店舗や事務所などの非住宅建築物における木材の利用を促進するため、本県で開発した新しい建材を利用したモデル施設の整備を支援し、その認知度の向上を図ってまいります。さらに、CLTについては、首長連合などと連携し、公共施設等での率先利用をはじめとしたコスト低減に向けた取り組みを進め、民間需要の拡大につなげてまいりたいと考えております。

(水産業分野)
 水産業分野では、まず、クロマグロの人工種苗生産について、本年度は、稚魚1万7千尾を沖出しするとともに、うち3千尾を養殖業者への出荷に適した30センチの大きさにまで育成することに成功するなど、基礎技術を確立することができたものと考えております。
 今後、技術開発から事業化へと展開していくためには、人工種苗の品質の安定と採算性の確保が不可欠でありますことから、引き続き安価な餌の開発や、民間事業者と連携した種苗の増産に取り組んでまいります。
 また、本県は、全国有数の「養殖県」であるものの、産地加工体制が脆弱であり、養殖生産量の多くが国内向けに鮮魚のまま出荷されています。しかし、特に主要魚種のブリやマダイは、国内の鮮魚市場が飽和状態に近く、他県との産地間競争において厳しい状況が続いております。
 このため、輸出を視野に入れた養殖魚加工の取り組みを進めていく必要があると考えており、今後、高度な衛生管理基準を満たす水産加工施設の整備を促進してまいります。加えて、こうした施設を核として生産から加工、流通、販売、飲食や小売りに至る水産業クラスターの形成に取り組み、地域の雇用の場を拡大していきたいと考えております。
 さらには、釣り筏をはじめとする遊漁や体験漁業など漁村におけるサービス産業の振興にも本格的に取り組み、地域地域により多様な仕事を生み出していくよう努めてまいります。

(ウ)1000億円産業に向けた食品加工のレベルアップ

 三つ目は、食品加工のレベルアップに向けた取り組みであります。
 第3期計画の目標に掲げております、食料品製造業出荷額等1,000億円の達成とさらなる飛躍を目指して、来年度は、製造から販売に至る食品加工事業者の様々な課題の解決に向けた支援策を一層強化してまいります。
 具体的には、各事業者の課題に応じて県や外部の専門家などで構成するサポートチームを編成し、新商品の開発や改良に向けたプランの策定と実行を引き続き支援することに加え、生産管理の高度化に向けて新たに専門コーディネーターを派遣するなど、HACCP手法の定着に向けた支援を強化することとしております。
 あわせて、産学官の食品関係者が継続的に交流し、学び合うプラットホームづくりを進めるとともに、食品加工の高度化を支援する拠点となるよう、工業技術センターにおいて新たな機器を導入し、その機能を強化します。

(4)「拡大再生産」の好循環に向けた取り組み 

 次に、拡大再生産の好循環を実現するための三つの取り組みについてご説明申し上げます。

(ア)担い手の育成と確保

 まず一つ目は、担い手の育成と確保に向けた取り組みであります。
 本県においては、人口ピラミッドの構成に従って生産年齢人口が継続的に減少していることに加えて、雇用情勢の改善により失業率が低下したことから、各産業分野の担い手不足が大きな課題となっております。人口減少下において経済を縮ませることなく、持続的に拡大させていくためには、担い手不足という困難な課題を克服していくことが極めて重要であります。
 このため、担い手不足への対応策として、多様な仕事の創出や効果的な紹介などによって若者の県外流出に歯止めをかけるとともに、移住やUIターンといった形で本県産業に必要な人材を呼び込むための取り組みを強化してまいります。
 さらに、担い手不足の影響を和らげるため、新技術の導入やIoT技術の活用などによって労働生産性を高めるとともに、新規高卒者の早期離職防止や従業員の定着対策などにも重点的に取り組むこととしております。
 これらのうち、移住施策と連携した各分野の担い手確保の取り組みについては、農業分野における産地提案型の人材確保、水産業分野における漁業研修、事業承継・人材確保センターによる中核人材のマッチングなどの取り組みをさらに強化してまいります。
 また、林業分野では、平成30年度から林業学校に専攻課程が加わり、本格開校いたします。これにあわせて校名を「林業大学校」に改めるとともに、来年度は校舎等の施設整備やカリキュラム策定などの準備を進めてまいります。あわせて、UIターン希望者や県内の新卒予定者を対象に、高知の林業について詳しく知ることができるフォレストスクールを開催いたします。
 さらに、コンテンツ産業については、土佐まるごとビジネスアカデミーにおいて、コンテンツ企業の即戦力となる人材を育成するための講座を拡充するとともに、首都圏の人材や企業とのネットワークを構築し、本県へのUIターン、県内企業との事業連携、新たな企業立地などにつなげてまいります。

(移住促進)
 移住促進については、様々な施策を強化して取り組んできた結果、先月末までの移住実績は前年同期より3割以上多い543組となるなど、順調に成果を挙げてきております。しかしながら、目標に掲げた移住者数1,000組の達成とその定常化を見据えますと、各産業分野の人材ニーズと都市部人材をマッチングしていくための仕組みをもう一段強化していく必要があるものと考えております。
 このため、子育て世代やアウトドアに関心のある層などに対する広報機会を充実させるなど、新規の相談者の増加に向けた取り組みを強化するほか、相談者の関心事に対応した体験ツアーを実施するなど、相談や体験の機会を増やしてまいります。
 また、各分野の人材ニーズをタイムリーに集約し、移住希望者とのマッチングを速やかに進めていくために、様々な人材ニーズを集約したデータベースを整備した上で、都市部の人材に向けて一元的に情報発信していく仕組みを構築してまいります。
 さらに、こうした取り組みの効果を最大限に発揮していくため、人材ニーズの集約、都市部への情報発信、移住相談やUIターン就職相談、中核人材の確保などを一体的に行う組織の設立に向けて、関係機関との協議を進めてまいります。

(イ)地域産業クラスターの形成

 二つ目の、地域産業クラスターの形成については、本年度はまず16のプロジェクトを立ち上げ、生産基盤の強化を核とした取り組みを進めてまいりました。
 例えば、日高村のトマトプロジェクトでは、オムライス街道をはじめとする観光振興の取り組みなどとともに、トマトを核とした村づくりが進められている中、先月、新たな県外企業の進出が決定し、今後、JA出資型法人によるものと合わせて2ヘクタールを超える次世代型ハウスの整備が本格化します。
 また、南国市の還元野菜プロジェクトでは、今月、先駆的な環境制御技術を備えた次世代型ハウスが完成し、電解水素水を活用した野菜の生産が開始されるとともに、直販所等における還元野菜の販売や、レストランとタイアップしたメニューの検討などが進められています。
 さらに、いの町のショウガ、四万十町のクリを核とする2つの案件が先月から新たなプロジェクトとして加わり、生産加工施設の整備や販売拡大に向けた取り組みがスタートしたところです。
 来年度は、これら18のクラスタープロジェクトが本格的な実行段階に入ってまいります。関係部局間で情報を共有し、核となる第一次産業の生産拡大を図るとともに、加工や販売、観光といった第二次、第三次産業の集積を推し進めてまいります。加えて、クラスターの効果がより大きなものとなるよう、遊漁や体験漁業の振興、地域の伝統文化や一次産品などを生かした商店街の活性化など、産業集積の幅を広げる取り組みも強化してまいります。

(ウ)起業・新事業展開の促進 

 三つ目の、起業や新事業展開の促進については、昨年9月からスタートした起業サロンや、土佐まるごとビジネスアカデミーにおける起業家養成講座、ビジネスプランコンテストの開催などを通じて、アイデアの磨き上げや事業化に向けたサポートを行ってまいりました。
 この結果、起業サロンの会員数は現在150人を超えるとともに、昨年12月末までの9カ月間で、その他の施策も含めた県の一連のサポートによる起業や第二創業の件数は23件、新商品開発や改良の件数も47件となるなど、少しずつ成果が表れ始めております。
 来年度は、産学官民連携センターにおいて起業サロンを常設化するとともに、新たに起業コンシェルジュを配置して、起業や新事業展開に取り組もうとされる方々を、学びの段階からアイデアづくり、計画策定、実践段階まで切れ目なく後押ししてまいりたいと考えております。

(5)観光振興

 次に、観光振興の取り組みについてご説明申し上げます。
 昨年の県外観光客入込数は、過去2番目の約424万人となり、平成25年以降4年連続で400万人を超えました。かつて300万人台前半にとどまっていた時よりも約3割増しの水準が定着し、本県の観光は新たなステージに入ってきたと感じております。
 第3期産業振興計画では、過去最高の435万人観光の定常化を目標に掲げており、これを実現するため、「志国高知 幕末維新博」が開催される本年及び来年の2年間においては、435万人を上回る入込客数を実現させていきたいと考えております。
 このため、歴史資源を中心とした持続的な観光基盤づくりはもとより、新たな観光拠点の整備や国際観光の振興にも一層取り組んでまいります。

(志国高知 幕末維新博)
 先月13日、東京で幕末維新博の事前記者発表会を開催し、坂本龍馬が死の直前まで新しい国づくりに専心していたことがわかる書簡が発見されたことを公表したところ、新聞やテレビ、インターネットで大きく取り上げていただき、大政奉還150周年にちなんで開催する幕末維新博を対外的に強力にPRすることができました。
 来月4日の開幕当日も、著名人をお招きして大々的にオープニングセレモニーを開催し、維新博の開催を全国に広くアピールいたします。

 開幕を間近に控え、各会場の受入準備も最終段階に入ってまいりました。
 開幕日にオープンするメイン会場の高知城歴史博物館では、山内家ゆかりの貴重な資料や美術品とともに、新発見の坂本龍馬の書簡を初めて一般公開するなど、幕末期をテーマとした特別企画を催すこととしており、現在その準備の総仕上げを行っております。
 また、サブ会場のこうち旅広場では、観光情報発信館「とさてらす」と「観光イベント館」を一体的にリニューアルし、地域への周遊を促す高知県観光のエントランスとなるよう準備を進めているところです。
 県内20の地域会場においても、青山文庫や中岡慎太郎館などで展示環境の整備や施設改修が実施されたほか、各会場で幕末をテーマとした企画展の準備が進むなど、受入態勢が整ってきております。さらに、各会場の周辺でも、食や自然、体験を組み合わせた周遊コースの設定や、特典付き乗車券の造成、タクシープランの新設など二次交通の整備が行われ、訪れた観光客の皆様に楽しんでいただけるよう準備が進んでおります。
 幕末維新博の開催を通じて、地域地域で国際的な視点も取り入れた観光資源のさらなる磨き上げが観光客の皆様のニーズを踏まえて着実に行われていくよう、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、市町村や事業者の皆様と共に取り組んでまいります。

(観光拠点整備)
 こうした幕末維新博の取り組みに加えて、本県の豊かな自然などを生かした戦略的な観光拠点整備にも取り組んでまいります。
 具体的には、嶺北地域の山岳観光などの拠点となるアウトドアの里づくり、仁淀川流域のキャンプ場や土佐清水市での海のキャンプ場の整備、足摺海洋館のリニューアルなどに取り組みますほか、龍河洞や四国カルストなどの魅力をさらに高める取り組みを検討してまいります。
 また、スポーツツーリズムを推進するため、春野総合運動公園や土佐西南大規模公園での施設整備とキャンプ誘致に取り組むほか、須崎市浦ノ内湾におけるオープンウォータースイミングを中心とした新たな海洋スポーツ拠点の整備にも取り組んでいるところです。
 このように、国内のみならず、国外からの誘客にもつながる観光拠点づくりを県内各地で進めてまいります。

(国際観光)
 国際観光につきましては、平成27年の外国人観光客の延べ宿泊者数が約6万6千人泊と、本格的な取り組みを開始する前の平成25年に比して約2.7倍になるなど、確実に成果が表れてまいりました。また、外国クルーズ客船の高知新港への寄港も昨年度の3隻から大幅に増加し、本年度は世界有数の豪華客船クイーン・エリザベス号を含む24隻、さらに来年度は仮予約を含めて48隻の寄港が予定されております。
 こうした勢いをさらに加速させ、外国人観光客の飛躍的な増加を実現するため、客船ターミナル施設の新設など必要な施設整備に取り組むとともに、来年度から新たに国際観光を所管する課を設置し、取り組みを全般的に強化することとしております。
 具体的には、台湾、香港、シンガポール、タイの4地域を重点市場とし、それぞれの地域で最も効果的な情報発信媒体を活用して継続的なプロモーションを展開するほか、首都圏に拠点を持つ海外マスメディアと定期的な情報交換を行うなど、情報発信を強化します。
 あわせて、東京都や香川県など国際線直行便がある自治体と連携し、旅行商品の造成や合同商談会の開催に取り組み、本県の知名度向上と誘客促進につなげてまいります。

 

2 日本一の健康長寿県づくり 

 次に、日本一の健康長寿県づくりについてご説明申し上げます。
 「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を目指して、第3期日本一の健康長寿県構想においては5つの柱を掲げ、より重点的かつ骨太な対策を進めているところであります。今般、これまでの成果と課題を検証した上で、施策をさらに充実させ、同構想をバージョン2へと改訂いたしました。 

(1)壮年期の死亡率の改善

 一つ目の柱であります、「壮年期の死亡率の改善」については、本県における死亡原因の第1位であるがんへの対策として、検診対象者への個別通知や未受診者への再勧奨、市町村検診のセット化など、受診率向上のための様々な施策に取り組んできたところです。この結果、40歳代、50歳代の肺がん検診の受診率は目標の50パーセントを達成しており、肺がん以外の検診も全て40パーセント台まで上昇してきております。
 来年度は、受診率のさらなる向上を図るため、個別通知の対象年齢を拡大してがん検診の周知を行うとともに、市町村におけるセット検診日を増やすなど、利便性の一層の向上に取り組んでまいります。
 さらに、昨年9月からスタートした高知家健康パスポート事業については、来年度から新たに「パスポートⅡ」を開始し、ⅠからⅡへのランクアップにあたっては、健康診断等の受診を必須とするとともに、週1回の運動を半年間続けることに相当するポイントを集めていただくことを要件といたしました。これによりまして、県民の皆様の健康意識のさらなる醸成と健康的な取り組みの一層の定着につなげていきたいと考えております。

(2)地域地域で安心して住み続けられる県づくり

 二つ目の柱であります、「地域地域で安心して住み続けられる県づくり」については、療養が必要となっても住み慣れた地域で生活を続けたいという県民の皆様のニーズに応えるため、中山間地域において在宅医療を選択できる環境の整備を引き続き促進するとともに、円滑な在宅生活への移行に向けて医療と介護の連携を強化してまいります。
 具体的には、より多くの地域に看護師が訪問できるよう、訪問看護ステーションのサテライトの設置を支援するとともに、引き続き、県立大学における訪問看護師の育成などに取り組んでまいります。あわせて、高齢者の方が退院後、円滑に在宅生活に移行し、必要な介護サービスを受けられるよう、病院の職員を対象とした人材育成に取り組むとともに、在宅での療養上の留意点など、病院からケアマネジャーに引き継ぐべき情報を定めた「退院調整ルール」を策定いたします。

(あったかふれあいセンター)
 あったかふれあいセンターについては、県内44カ所、サテライトも含めると250カ所に広がり、地域福祉活動の拠点として定着しております。 
 来年度からは、リハビリテーション専門職に加え、栄養士や歯科衛生士をセンターに派遣するなど、地域における介護予防サービスのさらなる充実を図ってまいります。あわせて、センターにおいて子どもや障害者を支援する取り組みを推進するなど、地域のニーズに対応した多様なサービス提供体制を整備してまいります。

地域医療提供体制の確保)
 また、地域の医療提供体制の核となる医師の確保については、県内の医療機関で勤務する意思のある医学部生への奨学金の貸与などに取り組んできた結果、この春に医学部を卒業し、県内の医療機関で初期臨床研修を予定している医師の数が64人と昨年に引き続き過去最多となるなど、一定の成果が見え始めています。
 しかしながら、医師不足が顕著な中山間地域まで波及するには、まだ一定の時間を要するため、若手医師が安定的に継続して県内に残ることとなるよう、医師養成奨学貸付金条例を10年間延長したいと考えております。さらに、県外からの医師の招へいや、医師不足に悩む地域の医療機関への公的病院からの医師派遣などの取り組みを引き続き進めていくことにより、地域の医療提供体制の確保に努めてまいります。

(3)厳しい環境にある子どもたちへの支援
 三つ目の柱であります、「厳しい環境にある子どもたちへの支援」については、妊婦健診や乳幼児健診などを通じて把握した支援等が必要な家庭の情報を児童福祉部門につなぐ仕組みが整ってまいりました。
 今後は、こうした母子保健と児童福祉の連携を土台として、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援が地域地域において展開されるよう努めてまいります。このため、こうした支援の場を包括して「高知版ネウボラ」と位置づけ、その取り組みを県内各地に展開していくための一連の施策を講じてまいります。
 具体的には、母子保健部門において、子育て世代包括支援センターの設置をさらに進めるとともに、すべての妊婦の方や親子に地域の子育てサービスを紹介し利用を促すなど、その取り組みを強化します。
 あわせて、主に0歳から2歳の子どものいる子育て家庭を対象とした見守り活動を充実させていくため、地域の親子が集う地域子育て支援センターの拡充や、保育所などにおける保護者への支援の強化、あったかふれあいセンターの機能の充実などに取り組んでまいります。

(子ども食堂)
 子どもたちに無償又は低額で食事を提供する「子ども食堂」の取り組みが、近年、全国各地で広がりを見せつつあり、県内でも主に民間の方々の自発的な取り組みによって20カ所程度において運営されています。
 これらの先行事例では、食事の提供を通じて、子どもの新たな居場所がつくられているだけでなく、保護者の孤立感や負担感の軽減にもつながっています。また、地域の大人たちが協働で子どもたちを見守り、成長を支えていこうとする取り組みも行われており、住民同士のつながりを強める上でも大きな効果が表れているところです。
 県としても、来年度から、市町村や社会福祉協議会などとも連携して、この子ども食堂を県内全域に広めるための取り組みを開始したいと思っております。
 このため、県に新たな基金を設置し、県費を投入して積み立てを行うとともに、子ども食堂の趣旨に賛同いただける皆様からのご寄附も受け入れ、これらを財源として、子ども食堂の新設や日々の活動への助成を行ってまいりたいと考えております。
 あわせて、こうした高知版ネウボラや子ども食堂の取り組みなどを通じて、地域における子どもの見守り体制をさらに強化し、児童虐待の防止にもつなげてまいります。

(4)少子化対策の抜本強化

 四つ目の柱であります、「少子化対策の抜本強化」については、官民協働で取り組みを進めるため昨年3月に「高知家の出会い・結婚・子育て応援団」を創設し、先月末時点で225の企業や団体の皆様にご登録いただいております。引き続き、応援団同士の横のつながりを強めていただくための交流会を開催するなど、県民運動としての取り組みを強化してまいります。
 また、こうち出会いサポートセンターのマッチングシステムにつきましては、先月末までに138組の交際が成立し、うち4組が結婚されるなど、具体的な成果が上がってきております。来年度からは、これまでにお引き合わせが成立した実績などをシステム上で分析し、その結果を活用してマッチングを行うなど、実績の拡大に向けて取り組みの充実を図ってまいります。

(5)医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化

 五つ目の柱であります、「医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化」については、福祉人材センターの機能を強化するなどの取り組みを行ってきた結果、本年度は、先月末までに3年前の同時期と比較して3倍超となる280人の方が福祉人材センターを通じて就職されるなど、着実に成果が表れてきております。
 来年度からは、介護職員の処遇改善を促進し、より働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、介護職員を対象とした相談窓口を新たに設置し、働く上での悩みなどを解消するための取り組みを強化してまいります。
 また、業務の切り出しなどにより柔軟な働き方を可能とする職場づくりを進め、これまで介護現場で働くことが難しかった中高年の方などの就労を促進してまいります。
 あわせて、より安定的に介護人材を確保していくため、介護の仕事の魅力向上と、利用者の生活の質、いわゆるQOL向上の好循環を実現するための新たな仕組みについても検討を進めてまいります。

 

3 教育の充実について 

 次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
 本年度は、「教育等の振興に関する施策の大綱」の実行元年であり、確実に成果をもたらすよう総合教育会議などにおいてPDCAサイクルによる進捗管理を徹底しております。来年度に向けては、本年度の実行過程で明らかとなった成果や課題などを踏まえ、教育大綱を10項目にわたり改訂したいと考えております。

(チーム学校の構築)
 まず、チーム学校の構築に向けては、「教員同士が学び合う仕組みの強化」、「若年教員の資質・指導力の向上」、「教員の多忙化解消による子どもに向き合う時間の確保」、「高等学校における多様な生徒の社会的自立支援」の4項目を改訂のポイントとしております。
 本年度から教科の「タテ持ち」の実践研究を行っている中学校において、教員同士が授業方法などについて学び合う教科会が活性化するとともに、日常的に先輩教員が若手教員に指導や助言を行う場面が見られるようになりました。来年度は、研究校を9校から19校に拡充するとともに、学び合いの質を高めるため、教科会などにおいて中心的な役割を果たす主幹教諭や教科主任などを育成する取り組みを強化いたします。
 また、同一教科の教員が一人しかおらず、タテ持ちの実践が困難な小規模な中学校における教員同士の学び合いを活性化するため、県内5つの地域で近隣校の教員が連携して定期的に授業内容や方法を研究する取り組みを推進するとともに、新たに指定する10校程度の学校において、異なる教科を担当する教員同士が日常的に授業について協議し合う仕組みの構築を進めてまいります。
 こうした様々な取り組みを強化していく上では、教員の多忙化を解消することも必要となります。このため、教員と事務職員の業務分担の見直しを進めるほか、特に教員の負担につながっているとの指摘がある部活動について、適切な練習時間の設定や外部指導者の配置を拡充するなどの取り組みを進めてまいります。
 このほか、高等学校においては、生徒の学力や進路希望の多様性を踏まえつつ、将来社会で必要とされる学力や社会性を生徒に身に付けさせることができるよう、教育プログラムを強化してまいります。

(厳しい環境にある子どもたちへの支援)
 次に、厳しい環境にある子どもたちへの支援については、就学前から高等学校までの各段階に応じた切れ目のない施策をさらに推進していくため、「チーム学校による生徒指導上の諸問題への対応」、「放課後等における学習支援の強化」、「保護者に対する支援の充実」の3項目を改訂のポイントとしております。
 まず、生徒指導上の諸問題に関しては、高校の中途退学率や不登校生徒数が減少するなど一定の改善が見られるものの、小中学校における暴力行為の発生件数や不登校児童生徒数は依然として高止まりするなど、厳しい状況が続いています。このため、学校がチームとして組織的にこのような状況に対応する仕組みをさらに整えていく必要があると考えております。
 具体的には、各学校において校長のリーダーシップの下、校内支援会を定期的に開催し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの外部専門人材の助言を取り入れながら、児童生徒の状況に応じて具体的な手立てを講じることを徹底します。その上で、学年単位での日々の生徒の状況把握や情報共有、学級単位での見守りや支援を相互の連携の下で行い、さらには、このような一連の取り組みの過程を検証するといった組織的な対策を徹底してまいります。
 また、心の教育センターにおいては、各学校の取り組みをサポートするため、困難な課題を抱える学校や緊急事案に対してスクールカウンセラーなどが直接訪問して助言を行うとともに、日ごろから教職員の対応力向上に資する研修を行うなど、相談支援体制の一層の強化を図ってまいります。
 次に、放課後等における学習支援については、小中学校への学習支援員の配置を本年度の161校から212校に拡充するとともに、各校の取り組みに対し指導主事が助言を行うなど学習支援内容の充実に取り組んでいきます。
 さらに、保護者に対する支援については、先ほど申し上げた「高知版ネウボラ」の一つとして、県内各地に設置されている認定こども園や保育所などを、子育て世帯と地域の方々とが集い、支え合う場にしていきたいと考えております。
 具体的には、地域の保護者の皆様が、保育士や子育て経験者と交流し、助言などを得られる場となるよう、保育所などに園児以外の親子も日常的に集うことを可能とするなどといった取り組みを進めます。また、園の行事に民生委員、児童委員や地域の方々にも加わっていただき、顔見知りを広げることによって、家に閉じこもりがちな子育て世帯に対して声を掛け合うといった日常的、継続的な支援につなげていきたいと考えております。

(地域との連携・協働)
 次に、学校と地域との一層の連携、協働に向けて、その取り組みをさらに強化してまいります。
 現在、公立小中学校の約4割に当たる126校において、学校支援地域本部が設置され、学習支援や環境整備などの活動が学校と地域との連携の下で行われています。来年度は、同本部の設置校を171校に拡大するとともに、その活動内容を深化させていきたいと考えております。
 具体的には、地域の皆様と学校とが、学校の現状や子どもたちの置かれている状況についての情報を共有し、学力面や生徒指導上の諸問題、部活動の状況などを定期的に話し合う場を設けるとともに、民生委員、児童委員の方々にもその場に参画していただき、学校と連携して地域で子どもたちを見守る体制を構築してまいります。
 この仕組みによって、現在の学校支援地域本部の活動を、学校と地域とがパートナーとなって協働で子どもたちを支える「地域学校協働本部」の活動へと発展させ、地域の皆様による学習支援、部活動における指導、子どもたちの見守りや防災活動など、様々な取り組みの充実につなげていきたいと考えております。
 来年度は、まず、県内7校程度のモデル校において経営計画に同本部の取り組みを位置づけ、その活動を開始いたします。その上で、PDCAサイクルによって取り組み状況を検証し、蓄積されたノウハウを県内全域に広げていきたいと考えております。
 今後とも、教育大綱について不断の見直しを行い、具体的な成果につながるよう全力で取り組んでまいります。

 

4 南海トラフ地震対策について

 次に、南海トラフ地震対策についてご説明申し上げます。

(南海トラフ地震対策関連予算)
 南海トラフ地震対策については、これまで命を守る対策に最優先で取り組んできた結果、津波避難タワーの整備や県有大規模建築物の耐震化といったハード対策は一定進捗いたしました。
 また、助かった命をつなぐ応急期の対策についても、総合防災拠点の整備や市町村単位での応急期機能配置計画、道路啓開計画などの策定が完了し、今後は、こうした計画の実効性を高めるためのソフト対策を一層充実させる必要があると考えております。
 来年度当初予算における南海トラフ地震対策関連の予算額は、ハード対策の進捗に伴い本年度と比較して77億円の減となりますが、ソフト対策の充実などにより、取り組み数は本年度の244から256へと増加します。
 今後、住宅の耐震化や非構造部材の脱落対策、浦戸湾の三重防護などの残されたハード対策を着実に進めるとともに、きめ細かなソフト対策をさらに充実させ、引き続き南海トラフ地震対策に全力で取り組んでまいります。
 特に、第3期南海トラフ地震対策行動計画に位置づけた8つの重点課題については、同計画を改訂して以下のように対策を強化してまいります。

(1)8つの重点課題に対する取り組み

(ア)住宅の耐震化

 まず一つ目は、発災直後の命を守る対策として最優先で取り組んでいる住宅の耐震化であります。市町村における戸別訪問の効果や熊本地震の影響などから、住宅の耐震診断に対する助成制度の申請件数は、先月末までに前年同期の約2.1倍となる3,472件と大幅に増加しております。
 こうした申請件数の急増に伴い、耐震診断をはじめ住宅の耐震化を実施する事業者の不足などが課題となっておりますことから、来年度は、技術者を育成するための講習会を拡充するとともに、耐震改修の必要性が明らかな場合には耐震診断を省略して設計を行う仕組みを導入するなどの対応を図ることとしております。

(イ)地域地域での津波避難対策の実効性の確保

 二つ目は、地域における津波避難対策の実効性を確保する取り組みであります。住民一人ひとりが確実に避難場所まで避難できるよう、地域津波避難計画における避難経路の現地点検を進めており、393計画のうち約270計画の点検が本年度末までに完了する見込みとなっております。
 点検の結果、老朽住宅やブロック塀が倒壊し、避難経路をふさぐ恐れがある箇所については、住宅などの所有者に既存制度を活用した耐震化や除却を行っていただくよう働きかけてまいります。
 しかしながら、住宅が密集し、狭隘な路地が多いなど、通常の対策では対応が困難な地域がありますことから、そのような地域の実情に応じた対策の深堀りについて検討してまいります。

(ウ)避難所の確保と運営体制の充実

 三つ目は、避難所の確保と運営体制の充実についてであります。発災から一週間後において想定される避難者約25万人に対し、現在、約21万人分の避難所を確保できておりますが、いまだに約4万人分が不足する見込みであります。このため、引き続き市町村と連携しながらその確保に努めるとともに、市町村を越えた広域避難体制の検討を進めてまいります。
 また、避難所の運営体制につきましては、発災後に住民の皆様が主体となって速やかに避難所を開設し、円滑に運営していただくためのマニュアルの作成を進めており、本年度末までに約190カ所で完成する見込みとなっております。今後は、マニュアル作成の取り組みを引き続き推進するとともに、運営訓練を通じてより実効性のあるマニュアルへと見直す取り組みを進めてまいります。
 他方、熊本地震では、避難所となっている学校の体育館の天井材が落下するなどの被害が見られました。このため、県立学校の体育館において対策を進めるとともに、小中学校の体育館についても、市町村に対して施工方法等の情報提供を行うなど、必要な対策が講じられるよう働きかけてまいります。

(エ)地域に支援物資を届けるためのルートの確保

 四つ目は、地域に支援物資を届けるためのルートの確保であります。昨年度、最大規模のL2クラスの地震と津波を想定して道路啓開計画を策定したところであり、本年度はこの計画をもとに、発生頻度の高いL1クラスの地震や津波を想定した啓開日数の算定作業を進めております。
 また、本年度は、建設業協会や市町村の皆様にご参加いただき、図上訓練を実施したところです。来年度はさらに、被災想定現場から状況報告を行う実動訓練の実施を予定しており、こうした訓練などを通じて計画の実効性を高めてまいります。
 あわせて、物資配送計画について、昨年12月に国や民間事業者なども参加する協議会を立ち上げ、現在、県と市町村、民間事業者との役割分担や、物資拠点の運営に必要な人員配置などの検討を行っており、来月には基本方針を取りまとめることとしております。
 さらに、来年度は、県内7カ所の総合防災拠点ごとに、運営体制や施設内のレイアウト、市町村の物資拠点までの経路などを定めた運営マニュアルを作成いたします。

(オ)前方展開型の医療救護体制の確立

 五つ目は、前方展開型の医療救護体制の確立についてであります。日ごろ救急医療に携わっていない医療従事者を対象とした災害医療に関する研修を本年度から開始し、これまでに延べ290人を超える医師の皆様に受講いただいたところです。受講された方からは研修の継続を望む声を多くいただいており、来年度も引き続き研修を実施してまいります。
 また、地域の被害想定などを踏まえた医療救護の行動計画については、安芸市など10市町村9地域で計画が策定される見通しとなっております。来年度も新たな地域で計画策定が進むよう、医師会や市町村などと連携して検討を行うとともに、既に策定を終えている地域では訓練などを通じて計画を検証しながら、より実効性のある計画となるよう取り組んでまいります。
 さらに、こうした地域の医療救護活動をバックアップする体制として、 県内の医師や県外から参集したDMATなどの医療支援チームを速やかに地域へ搬送する仕組みを構築するため、本年度は、医療従事者搬送計画策定の手順や、医療が不足する地域に人材を送るために必要な状況の把握方法などの課題を整理したところであり、来年度は、これらに基づき、安芸、高幡の2つの地域をモデルとして、具体的な搬送計画を策定してまいります。

(カ)応急期機能配置計画の策定

 六つ目は、応急期の対応を円滑なものとするため、救助機関の活動拠点や支援物資の集積場所などをあらかじめ想定しておく応急期機能配置計画の策定についてであります。
 本年度末までに、全ての市町村で応急期機能配置計画の策定が完了する予定でありますが、甚大な浸水被害が想定される市町村や、活用可能な施設や用地が限られている市町村では、単独で確保することが困難な機能もあることが見込まれております。
 このため、これらの機能について、市町村域を越えて広域で確保できるよう調整を行うこととし、まずは、来年度、高幡地域をモデル地域として取り組み、そこで得られたノウハウなどを生かして、平成30年度以降、他の地域においても調整を進めてまいります。

(キ)高知市の長期浸水区域における確実な避難と迅速な救助・救出

 七つ目は、高知市における長期浸水対策であります。現在、高知市と連携し、住民の避難行動のシミュレーションを行い、避難場所まで確実に逃げることができるかどうか、津波避難ビルの収容能力は十分かなどの検証を行っているところです。
 来年度は、シミュレーション結果に基づき、高知市や応急救助機関と共に昼間と夜間それぞれにおける救助活動などについて検討を進めてまいります。

(ク)震災に強い人づくり

 八つ目は、震災に強い人づくりであります。県民の皆様に地震や津波に関する正しい知識を身につけていただけるよう、様々なメディアなどを活用した啓発活動を行っております。
 現在、発災から避難所生活に至るまでの一連の流れを具体的にイメージできる映像を作成しているところであり、今後、地域の学習会などで活用していただくこととしております。

(2)大規模地震対策特別措置法の見直しについて

 昨年9月、大規模地震対策特別措置法に基づく地域指定のあり方や、南海トラフ沿いの地震観測結果に基づく地震防災対応のあり方などについて議論するためのワーキンググループが中央防災会議の下に設置されました。
 私も委員として参加させていただいており、この中で、東海地震が単独で発生した場合に、南海地震などへの連動が懸念される本県のような自治体がどのような警戒態勢をとるべきかについて法律に明確に位置づけるべきであること、地震や津波の観測網の空白地域を早期に解消するべきであること、などの意見を述べさせていただいております。
 今後、こうした議論を深めていく中で、南海トラフ地震により大きな被害を受けることが想定される地域の実情が法の見直しの内容にしっかりと反映されるよう取り組んでまいります。

 

5 インフラの充実と有効活用

 次にインフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。

(1)社会資本整備推進本部会議の設置

 道路や港湾などのインフラは、県民生活の安全安心や産業振興の基盤として社会や経済全般に関わることから、その整備については、多角的な視点から事業効果を検討し、戦略的に進めていく必要があると考えております。
 このため、庁内において産業、医療、福祉などを所管する部局も含めた関係部局で構成する「社会資本整備推進本部会議」を設置することといたしました。
 今後、この会議において、インフラの整備計画などに関する情報を全庁的に共有し、部局横断的に検討を行うとともに、しっかりと進捗管理を行うことにより、効率的、効果的なインフラ整備を図ってまいります。

(2)四国8の字ネットワークの整備

 四国8の字ネットワークは、南海トラフ地震対策を進める上での「命の道」であり、また、地域の経済活動を支える重要な社会基盤であることから、これまでも、ミッシングリンクを抱える他県の知事と連携するとともに、全国高速道路建設協議会の会長として、災害に強い高速道路ネットワークの整備が着実に推進されるよう国などに訴えてまいりました。
 その結果、四国横断自動車道の宿毛・内海間と、阿南安芸自動車道の奈半利・安芸間で事業化に向けた最初のステップとなる計画段階評価がスタートするとともに、先月27日には、黒潮町佐賀と四万十市の区間について新規事業化の必要条件となる都市計画決定を行うなど、ミッシングリンク解消に向け着実に前進しているところであります。
 しかしながら、本県の高速道路の整備率は、四国の平均と比べてもまだ立ち遅れている状況でありますことから、引き続き、国に対して整備効果や必要性を強く訴え、さらなる整備の促進に取り組んでまいります。

(3)浦戸湾の三重防護

 南海トラフ地震発生時において、人口が集中し社会基盤が集積している県中央部の被害を最小化するためには、浦戸湾の地震津波対策が急務であります。
 これまで国への政策提言を重ねてまいりました高知港海岸の国直轄海岸整備事業、いわゆる三重防護事業につきましては、本年度、国の新規事業として採択され、浦戸湾への津波の浸入を低減させる第二ラインとなります種崎地区で、本格的な海岸堤防の耐震工事がスタートすることとなりました。
 県事業につきましても、第三ラインとなります新田町地区で新たに工事に着手するとともに、引き続き若松町地区で工事を進める予定としております。
 今後も、これまで以上に国、県、市の連携を密にしつつ、地元の皆様へのきめ細かな説明を行いながら、スピード感をもって取り組んでまいります。

 

6 中山間対策について

 次に、中山間対策についてご説明申し上げます。
 中山間対策の柱として推進しております集落活動センターにつきましては、まもなく県内25市町村38カ所、来年度当初には40カ所程度となる見込みであり、それぞれの地域で住民の皆様が主体となった取り組みが進むなど着実に広がりを見せております。
 地域の特産物を生かしたレストランの運営や、杉苗の栽培など産業振興計画と連動した経済活動に取り組む事例や、住民同士の支え合いの仕組みづくりが充実した事例など地域の特性を生かした取り組みが多数見られるところであり、中には地域の人口の増加につながった事例も出てきております。
 今後は、こうした集落活動センターの取り組みを県内各地へさらに広げていくため、センター設置後の活動の継続、拡充と経済活動の自立化に向けた支援を強化するとともに、新たなセンターの掘り起こしにも取り組んでまいります。
 まず、センター設置後の活動の継続、拡充と経済活動の自立化に向けては、昨年6月に設立された高知県集落活動センター連絡協議会と連携して、事業計画の磨き上げを支援するとともに、センターの活動に経営の視点を生かすための人材育成を実施してまいります。あわせて、産業振興計画の成長戦略や地域アクションプランといったより大きな経済活動と、個々の集落の活動とを結びつけていくことを意識して取り組みを進めることにより、中山間地域の持続的な成長へとつなげてまいります。
 また、新たなセンターの堀り起こしについては、集落活動センターの機能や効果などを幅広く周知するとともに、関心を持たれた地域の活動に対する支援を強化することにより、センターの立ち上げに向けた検討内容の具体化を後押ししてまいります。集落活動センターの取り組みは、中山間対策の基幹となるものであり、今後とも、将来的に県内130カ所程度のセンターが開設できるよう、全力で取り組んでまいります。

 

7 少子化対策と女性の活躍の場の拡大について

(1)少子化対策

 次に、少子化対策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、引き続きライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援を行うとともに、官民が協働して取り組みを進めることにより、県民運動として展開されていくよう努めてまいります。
 このため、本年度も、高知県少子化対策推進県民会議の4つの部会において、来年度に予定している事業などを含め、官民協働による効果的な少子化対策の進め方についてご議論をいただいているところです。
 ここでのご意見なども踏まえて、民間企業や地域社会などとの連携をより一層深め、施策の実効性を高めていきたいと考えております。

(2)女性の活躍の場の拡大
 女性の活躍の場の拡大については、引き続き、結婚や出産、育児など様々なライフステージを迎える女性が希望に応じて働き続けられるよう、社会全体で支援する仕組みづくりを強力に進めてまいります。
 地域の支え合いによる子育て支援の仕組みであるファミリー・サポート・センターにつきましては、本年度から国の基準を満たさない小規模のものを高知版のセンターとして独自に支援する取り組みを開始し、昨年11月にその第1号が香南市で開設されたところです。来年度は、県内全域へ高知版のセンターを普及させていくため、各市町村がセンターを運営するために必要な職員を確保できるよう支援策を拡充するなど、取り組みを強化いたします。
 また、「高知家の女性しごと応援室」による女性の就労支援につきましては、開設から2年半で約1,000人の方から相談をお受けし、これまでに300人を超える方が就職されるなどの成果が表れております。
 他方、相談者の増加に伴い、なかなか就職に結びつかない困難なケースや、中長期的な支援が必要な方なども増えてきていることから、来年度は、よりきめ細かな対応ができるよう相談ブースを増設するなど、態勢をさらに充実させてまいります。

 

8 文化芸術とスポーツの振興

 次に、文化芸術とスポーツの振興についてご説明申し上げます。

(1)県文化芸術振興ビジョン

 本県では、平成18年に芸術文化振興ビジョンを策定し、芸術祭の開催や、県立文化施設における事業の充実などを通じて、県民の皆様の文化芸術活動をサポートしてまいりました。
 この間、過疎化や少子高齢化によって文化芸術面でも担い手不足が進む一方、来月には高知城歴史博物館がオープンするなど、本県の文化芸術を取り巻く環境は変化してきております。また、全国的にも2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて「文化プログラム」が始まろうとしており、本県においても取り組みを強化する必要があります。
 こうした状況を踏まえ、本県固有の文化のさらなる振興を図るため、新たに「高知県文化芸術振興ビジョン」を策定することとし、県民の皆様や有識者の方々のご意見をお聞きして、このほど最終案を取りまとめました。
 このビジョンでは、基本目標である「文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県」の実現に向けて、今後10年間に県が取り組む基本方針や施策の方向性を定めております。
 具体的には、観光イベントや文化施設における発表機会の創出など文化芸術活動への支援、地域固有の文化財や伝統芸能の保存と活用、地域で活動を牽引する人材の育成、よさこいやまんがなど特色ある文化資源の磨き上げや魅力の発信などに取り組むこととしております。
 これらの施策の実施にあたっては、県文化財団の体制を強化し、文化芸術振興組織、いわゆるアーツカウンシルとしての機能を拡充するとともに、外部有識者による評価委員会で進捗管理を行うなど、PDCAサイクルをしっかりと回しながら取り組んでまいります。

(2)スポーツの振興

 次に、スポーツの振興に関しては、これまで教育委員会を中心にスポーツ推進計画などに基づく取り組みを行ってきた結果、小中学生の体力や運動能力は概ね全国平均に到達するとともに、一部の競技では世界大会で活躍するジュニア選手が生まれるなどの成果が表れてきたところであります。
 しかしながら、県全体としては、国民体育大会の総合成績が3年連続して全国最下位になるなど競技力の面で大きな課題がありますし、東京オリンピック・パラリンピックに向けても県関係選手の競技レベルをさらに引き上げていく必要があります。
 また、県民意識調査によると、週1回以上スポーツを実施する成人の割合は約4割にとどまっており、県民全体に運動習慣が十分に根付いている状況にはありません。
 さらに、スポーツが持つ力を産業、とりわけ観光振興につなげていくことも重要な課題だと考えております。
 こうした課題を踏まえて、来年度からは文化生活スポーツ部に学校体育以外のスポーツの所管を一元化し、庁内外の関係機関とも連携して、競技力の向上や生涯スポーツ振興などの施策を総合的、一体的に展開してまいります。

(競技力の向上)
 まず、競技力の向上については、選手の育成が組織的かつ継続的に質高く行われていくことが重要であります。このため、各競技団体においてジュニアからの系統立てた指導が可能となるよう、各団体のプログラムづくりを支援してまいります。
 また、県立高等学校の中からスポーツ強化校を指定し、優秀な指導者を配置するなどして重点的に選手の育成、強化を行ってまいります。
 さらに、県内において優秀な指導者やトップレベルの選手を確保するための鍵となる企業や大学におけるスポーツ振興の取り組みについても、関係者と協議を行い、そのさらなる活発化につながるよう努めてまいりたいと考えております。

(生涯スポーツの推進)
 生涯スポーツの推進は、日本一の健康長寿県を目指していく上でも非常に重要でありますことから、より多くの県民の皆様が日常習慣として運動を行う環境づくりに向けて、健康政策としてのスポーツ振興の取り組みをさらに強化してまいります。
 具体的には、高知龍馬マラソンに代表されるスポーツイベントの開催や、高知家健康パスポートと連動した取り組みの拡充に加え、これまで運動習慣のなかった方がスポーツを行うきっかけとなるような新たな取り組みについても検討していきたいと考えております。
 あわせて、身近にスポーツができる施設や指導者が少ない中山間地域において、複数の市町村が地域の枠を越えて連携し、スポーツに関する課題を解決しようとする取り組みへの支援を行ってまいります。
 さらに、障害者スポーツの推進について、優秀な選手や指導者の発掘、育成といった競技力の向上に取り組むほか、スポーツ団体や福祉関係者、学校などと連携し、学校を拠点としたスポーツ活動や新たなスポーツ大会の開催を支援するなど、誰もがスポーツに親しめる地域づくりを進めてまいります。

(スポーツツーリズムの推進)
 スポーツツーリズムの推進は、交流人口の拡大に向けて極めて有効であり、様々な施策を積極的に進めてまいります。
 具体的には、東京オリンピック・パラリンピックなどの事前合宿の誘致に向けた活動を強化するとともに、プロ、アマチュアのスポーツチームのキャンプや大会の誘致の取り組みを強化いたします。
 また、高知龍馬マラソンをはじめ、サイクリングやマリンスポーツに代表される本県の豊かな自然を生かしたスポーツイベントや全国規模の大会を開催することによって、さらなる観光振興にもつなげてまいります。

(スポーツ施策を推進するための施設整備)
 さらに、スポーツ振興策を推進していく上での共通基盤となる施設についても、計画的に整備を進めていきたいと考えております。
 具体的には、青少年センターにおいて陸上、サッカー、ラグビーなどの拠点となる競技場の整備に着手するほか、スポーツ医科学面からの質の高いサポートを展開するための拠点施設の整備についても検討してまいります。
 こうしたスポーツ振興の取り組みを実効あるものとしていくためには、県を挙げて官民協働でPDCAサイクルを回していくことが重要であります。このため、スポーツ関係者のみならず、産業、福祉、教育などの多分野にわたる関係者による協議の場を早期に立ち上げ、PDCAサイクルを確実に回す体制を構築してまいります。

 

第3 その他

(新たな管理型最終処分場の整備)
 次に、産業廃棄物の新たな管理型最終処分場の整備についてご説明申し上げます。
 現在のエコサイクルセンターは、近い将来、埋立ての終了が見込まれますことから、今後の産業廃棄物の最終処分のあり方などについて、有識者などによる委員会で検討を重ね、このほど、新たな管理型最終処分場の整備に向けた基本構想案をとりまとめました。
 この構想案では、新たな処分場の埋立て期間を20年間とすること、施設の構造は現行と同じく屋根付きの被覆型とし、処理水を放流しないものとすることなどの考え方をお示ししております。
 今後、さらに県議会でのご議論をいただき、本年度内に基本構想の策定を終えたいと考えております。

(県立牧野植物園の磨き上げ)
 次に、県立牧野植物園については、平成30年に開園60周年を迎えることを見据え、国内外からより多くの方が訪れる一層魅力にあふれた植物園とするための整備構想を検討してまいりました。
 来年度からは、まず、植物に囲まれて自由に過ごすことができ、海に至る美しい眺望なども見渡せる憩いの広場や、植物と触れ合い、学習の場としても活用できる広場の整備に着手いたします。これにより、植物に関心のある層だけでなく、児童生徒や若者、家族連れなど幅広い層の来園につなげたいと考えております。
 今後はさらに、牧野博士の貴重なコレクションの公開の機会を増やしていくとともに、牧野植物園の強みである研究機能の強化についても検討を深め、世界に誇れる植物園となるよう磨き上げに取り組んでまいります。

(高知龍馬マラソン2017)
 一昨日、「高知龍馬マラソン2017」が開催され、全国各地から1万140人のランナーの皆様にご参加をいただきました。
 第1回大会の3千5百人規模からスタートし、5回目となる今大会において、目標としておりました1万人の参加を実現することができ、大変嬉しく思っております。
 大会規模の拡大に伴い、県内のランナーのみならず、全国各地から、また、海外からも着実に参加者が増え、本県における生涯スポーツとスポーツツーリズムの振興に大いに寄与するイベントに育ってきたと考えております。
 大会の開催にあたり、当日のみならず事前の準備からご協力いただきましたスタッフやボランティアの方々、沿道での声援や長時間の交通規制にご理解、ご協力を賜りました多くの県民の皆様に心より感謝申し上げます。
 本大会が、さらに全国から注目され、親しまれるマラソン大会となるよう、魅力ある大会づくりに向けて今後とも関係団体と共に取り組んでまいります。

(公文書館の整備)
 次に、公文書館の整備についてご説明申し上げます。
 新たな高知県公文書館を、現在の県立図書館が移転した後の施設を活用して、平成32年度の開館を目指して整備したいと考えております。
 この公文書館においては、県行政の歴史的な公文書を体系的に保存するとともに、戦前の資料を国の機関などから収集し、県民の皆様にご覧いただけるようにしたいと考えているところです。
 あわせて、同施設には公文書館以外の機能も併設したいと考えており、まんが甲子園の作品の常設展示を行うなど、その有効活用に努めてまいります。

(債権管理条例の制定)
 次に、債権管理条例の制定についてご説明申し上げます。
 税外未収金などの債権管理につきましては、これまでも県議会や監査委員から厳しいご指摘をいただいており、また、昨年度の包括外部監査においては、債権管理を徹底し回収を強化した上で、それでもなお回収困難な私債権などの債権放棄を認める条例を制定するよう提言をいただきました。これを受けまして、先行県における取り組みや弁護士の意見も参考に検討を重ね、今議会に条例議案を提出させていただいております。
 今後、適正な努力を尽くしても徴収が見込まれない債権について整理をする一方、徴収の可能性のある債権については、回収の取り組みを一層強化したいと考えており、こうした取り組みを通じて効率的かつ公平な債権管理に努めてまいります。

 

第4 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、平成29年度高知県一般会計予算など38件です。
 このうち一般会計予算は、先ほど申し上げました5つの基本政策を推進するための経費などを中心に、4,591億円余りの歳入歳出予算などを計上しております。
 条例議案は、高知県債権管理条例議案など20件であります。
 その他の議案は、県有財産の処分に関する議案など5件であります。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

高知県 総務部 秘書課

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