7ページ 第3章本県の現状及び課題 1アルコール健康障害の現状及び課題 (1)飲酒者の状況 ①アルコール販売(消費)数量 高知県における酒類の販売(消費)数量は、減少傾向にありますが、人口10万人あたりの酒類販売場数(小売業)や成人一人当たりの酒類販売(消費)数量は全国の中でも上位で推移しています。 図のグラフ、酒類販売(消費)数量推移省略 図のグラフ、人口10万人あたりの酒類販売場数(小売業)の推移省略 図表、成人一人あたりの販売(消費)数量の推移省略 8ページ ②飲酒の頻度 20歳以上の成人を対象に行った令和4年高知県県民健康・栄養調査によると、毎日飲酒する人(成人)の割合は、男性では30.3%、女性では10.6%となっています。全国との比較では、本県は全体的に毎日飲酒する人の割合が高い状況です。 図表、毎日飲酒する人の割合(高知県・全国)省略 また、毎日飲酒する人について、年代別にみてみると、令和4年調査では男性は60歳代~70歳以上で割合が高い傾向にあります。また、女性は、50歳代~60歳代で割合が高くなっています。 図表、男性の年代別でみた毎日飲酒する人の割合省略 図表、女性の年代別でみた毎日飲酒する人の割合省略 9ページ ③生活習慣病のリスクを高める飲酒者の状況 飲酒者のうち、生活習慣病(循環器疾患、糖尿病等)のリスクを高める量を飲酒している人の割合は、男女とも横ばいですが、全国平均と比較すると男性も女性も高い状況です。 図のグラフ、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(高知県・全国)省略 9ページの注釈 生活習慣病のリスクを高める量(次のいずれかに該当) 男性:純アルコール摂取量40g以上(毎日×2合以上、週5~6日×2合以上、週3~4日×3合以上、週1~2日×5合以上、月1~3日×5合以上) 女性:純アルコール摂取量20g以上(毎日×1合以上、週5~6日×1合以上、週3~4日×1合以上、週1~2日×3合以上、月1~3日×5合以上 (参考)日本酒(清酒)1合(180ml)の目安:ビール中瓶1本(約500ml)、焼酎35度(80ml)、ウイスキーダブル1杯(60ml)、ワイン2杯(240ml) 出典:健康日本 21(第三次) 年代別にみてみると、男性は40歳代で高く29.3%、女性では50歳代で最も高く17.4%となっています。 図のグラフ、年代別でみた生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合省略 十ページ ④アルコール性肝疾患による死亡者数 高知県におけるアルコール性肝疾患による死亡者数は、やや増加傾向にあります。 図のグラフ、アルコール性肝疾患による死亡者数の推移省略 ⑤食道がん(上皮内がん含む)の罹患率 飲酒が食道がんの危険性を高めることが分かっています。人口10万人あたりの高知県における食道がん(上皮内がん含む)の罹患率は、全国の中でも上位にあります。 図のグラフ、人口10万人あたりの「食道がん(上皮内がん含む)罹患率の推移省略 十一ページ (2)アルコール依存症患者の状況 ①「アルコール使用による精神及び行動の障害」で通院または入院している患者数 アルコール依存症は精神疾患であり、精神科医療機関等での治療が必要です。令和4年度の本県における通院及び入院により治療を受けている人数は、約610人となっています。 図のグラフ、通院患者数、入院患者数の推移省略 十一ページの注釈 通院患者数:自立支援医療(精神通院医療)受給者のうち、アルコール依存症を含むアルコール使用による精神及び行動の障害に分類されている者の人数(基準日:毎年 3 月 31 日) 入院患者数:精神保健福祉資料調査のうち、アルコール依存症を含むアルコール使用による精神及び行動の障害に分類されている者の人数(基準日:毎年 6 月 30 日) また、人口10万人あたりの本県の入院患者数は、全国の中でも上位にあり、全国平均の約3倍で推移しています。 図のグラフ、人口10万人あたりの「アルコール使用による精神及び行動の障害」で入院している患者の推移省略 十二ページ ②依存症専門医療機関での受診件数(平成30年度に1箇所指定) 高知県のアルコール依存症専門医療機関での受診件数は、令和4年度は前年度に比べて減少していますが、実人数は増えています。 図のグラフ、依存症専門医療機関での受診件数の推移省略 ③アルコール健康障害に関する相談等の状況 令和3年度のアルコール健康障害に関する相談件数は756件で、その多くが市町村に寄せられています。 図のグラフ、アルコール健康障害に関する相談件数省略 十三ページ (3)アルコール関連問題の状況 ①飲酒運転による交通事故の状況 平成30年以降、飲酒運転による交通事故件数は減少傾向にあります。 図のグラフ、飲酒運転による交通事故の状況の推移省略 飲酒運転の検挙数は、やや減少傾向にあります。 図のグラフ、飲酒運転の検挙数の推移省略 十四ページ ②未成年者の飲酒状況 飲酒により指導・助言した不良行為少年の人数は、令和2年以降は減少しています。 図のグラフ、飲酒により指導・助言した不良行為少年の人数の推移省略 ③高知県の自殺者数の推移 自殺者数は減少傾向にありますが、令和4年には138人の方が自殺で亡くなられており、その原因の多くに依存症を含む健康問題があることが分かっています。 図のグラフ、自殺者数の推移省略 図のグラフ、原因・動機別(抜粋)省略 十五ページ (4)アルコール健康障害の課題 ①アルコール健康障害の発症予防(一次予防) ○「予防教育及び普及啓発の推進」「関係事業者等による取組」 ・アルコール健康障害対策基本法にあるように、お酒は国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、お酒に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透しています。その一方で、お酒が手軽に手に入りやすい環境にあることから、不適切な飲酒により将来的なアルコール健康障害の発生につながる恐れがあること等の正しい知識※の普及啓発に引き続き取り組む必要があります。 ・特にアルコールに初めて接することとなる若者向けの効果的な広報や教育を推進していく必要があります。 ・健康診断や保健指導において、アルコール健康障害を有する人やその疑いのある人を早期に発見し、適切な支援や治療につなげられるよう、引き続き受診勧奨の取組を支援していく必要があります。 十五ページの注釈 厚生労働省が、国民健康づくり対策として展開する健康日本21では「節度ある適度な飲酒」を、1日平均純アルコールで約20g程度としています。 なお、この「節度ある適度な飲酒」としては、次のことに留意する必要があります。 (1)女性は男性よりも少ない量が適当である (2)少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である (3)65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である (4)アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である (5)飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない 出典:健康日本 21(第三次) ②アルコール健康障害の進行予防(二次予防) ○「相談窓口の周知及び相談体制の充実」「医療提供体制の充実」 ・支援機関に相談をすることが回復への第一歩となります。精神保健福祉センターや保健所、市町村が実施した精神保健福祉相談(アルコール健康障害)の相談件数は増加傾向にあることから、適切な時期に適切な支援に繋がることができるよう、引き続き相談窓口を周知するとともに、各分野の相談員が本人の変化に気づき、適切な支援につなぐことができるよう、対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症は適切な治療や支援により回復が十分可能であるため、身近な地域で必要な治療が受けられるよう、専門医療機関と連携しながら、その他の精神科病院やかかりつけ医療機関の対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症の人やその家族が地域で孤立することなく必要な支援を受けられるよう、住民にとって最も身近な自治体である市町村において包括的な支援体制が構築されていることが重要です。そのため、属性を問わない相談支援、参加支援及び地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」など、地域共生社会の実現に向けた取組を始めとした各種施策との連携を図る必要があります。 十六ページ ③ アルコール健康障害の回復・再発予防(三次予防) ○「回復・再発防止対策の充実及び連携協力体制の強化」 ・依存症の回復のためには、同じ目的を持った仲間や、様々な経験に関する情報が豊富な自助グループや家族会の活動が重要であるため、引き続き団体の活動を支え、当事者や家族の居場所作りを広めていく必要があります。 ・当事者の社会復帰には自助グループに繋がることも有効であるため、引き続き市町村や地域の関係機関などの支援者に自助グループの活動を周知し、支援のネットワークの構築を進めていく必要があります。 十七ページ 2ギャンブル等依存症の現状及び課題 (1)遊技場、公営競技の状況 ①遊技場(ぱちんこ、パチスロ等) 全国、高知県ともに遊技場店舗数は減少しており、遊技対数も漸減しています。 図のグラフ、遊技場店舗数の推移省略 しかしながら、人口10万人あたりの本県の遊技場数店舗数は全国の中でも上位にあり、全国平均の約1.6倍で推移しています。 図表、人口10万人あたりの遊技場店舗数の推移省略 図のグラフ、遊技台数の推移省略 十八ページ ②競馬 高知競馬場の売得金は年々増加しており、その多くが電話・インターネットによるものです。また、高知競馬場の入場者数は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年度は大きく減少していましたが、徐々に回復傾向にあります。 図のグラフ、高知競馬場の年間売得金の推移省略 図のグラフ、高知競馬場の年間入場者数の推移省略 十九ページ ③競輪 高知競輪場は、高知市が運営しており、南国市と安田町の2か所にサテライト(場外車券売場)があります。高知競輪場の年間発売額は増加傾向にあり、その多くが電話・インターネットによるものです。また、高知競輪場の入場者数は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年度は減少していましたが、徐々に増加傾向にあります。 図のグラフ、高知競輪場の年間発売額の推移省略 図のグラフ、高知競輪場の年間入場者数の推移 二十ページ ④競艇 高知県内には香南市に場外発売場があります。全国での競艇の売上及び利用者は増加傾向にあり、その多くは電話・インターネットによるものです。 図のグラフ、競艇の総売上の推移省略 図のグラフ、競艇の総利用者数の推移省略 二十一ページ (2)ギャンブル等依存症患者の状況 ①依存症専門医療機関での受診件数(令和3年度に1箇所指定) 高知県のギャンブル等依存症専門医療機関での受診件数は、令和4年度は前年に比べて減少していますが、実人数は増えています。 図のグラフ、依存症専門医療機関での受診件数の推移省略 ②ギャンブル等依存症に関する相談等の状況 ギャンブル等依存症に関する相談は、令和元年度以降減少傾向にあります。また、ギャンブル等依存症に関する相談の多くは精神保健福祉センターに寄せられています。 図のグラフ、精神保健福祉相談件数の推移(ギャンブル等依存症)省略 二十二ページ (3)ギャンブル等依存症関連問題の状況 ①未成年による不健全娯楽の状況 不健全娯楽により指導・助言した不良行為少年の人数は、令和2年以降は減少しています。 二十二ページの注釈 不健全娯楽:18才未満の少年がスナック、パチンコ店、深夜飲食店、深夜興業などに出入りしたりすること 図のグラフ、不健全娯楽により指導・助言した不良行為少年の人数の推移省略 ②高知県の自殺者数の推移(再掲) 自殺者数は減少傾向にありますが、令和4年には138人の方が自殺で亡くなられており、その原因の多くに依存症を含む健康問題や経済・生活問題があることが分かっています。 図のグラフ、自殺者数の推移省略 二十三ページ 図のグラフ、原因・動機別(抜粋)省略 (4)ギャンブル等依存症の課題 ①ギャンブル等依存症の発症予防(一次予防) ○「予防教育及び普及啓発の推進」「関係事業者等による取組」 ・ギャンブル等依存症は誰もがなり得る可能性があることから、県民への正しい知識の普及啓発を行う必要があります。特に、競馬等のインターネット投票が拡大したこともあり、若年齢でギャンブル等を開始する人が増えたことから、若者に繰り返し正しい知識の普及啓発を行う必要があります。 ・ギャンブル等依存症対策の総合的な推進を図るためには、業界ごとに策定された指針やガイドラインに基づく対策を継続して実施する必要があります。 ②ギャンブル等依存症の進行予防(二次予防) ○「相談窓口の周知及び相談体制の充実」「医療提供体制の充実」 ・支援機関に相談をすることが回復への第一歩となりますが、保健所及び市町村が実施した精神保健福祉相談(ギャンブル)の相談件数は、令和元年度以降減少傾向にあります。適切な時期に適切な支援に繋がることができるよう、引き続き相談窓口を周知するとともに、各分野の相談員が本人の変化に気づき、適切な支援につなぐことができるよう、対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症は適切な治療や支援により回復が十分可能であるため、身近な地域で必要な治療が受けられるよう、専門医療機関と連携しながら、その他の精神科病院やかかりつけ医療機関の対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症の人やその家族が地域で孤立することなく必要な支援を受けられるよう、住民にとって最も身近な自治体である市町村において包括的な支援体制が構築されていることが重要です。そのため、属性を問わない相談支援、参加支援及び地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」など、地域共生社会の実現に向けた取組を始めとした各種施策との連携を図る必要があります。 二十四ページ ③ギャンブル等依存症の回復・再発予防(三次予防) ○「回復・再発防止対策の充実及び連携協力体制の強化」 ・依存症の回復のためには、同じ目的を持った仲間や、様々な経験に関する情報が豊富な自助グループや家族会の活動が重要であるため、引き続き団体の活動を支え、当事者や家族の居場所作りを広めていく必要があります。 ・当事者の社会復帰には自助グループに繋がることも有効であるため、引き続き市町村や地域の関係機関などの支援者に自助グループの活動を周知し、支援のネットワークの構築を進めていく必要があります。 二十五ページ 3薬物依存症の現状及び課題 (1)薬物依存症患者の状況 ①「覚醒剤」及び「アルコール覚醒剤を除く精神作用物質使用による精神及び行動の障害」で通院または入院している患者数 令和4年度に本県において「覚醒剤」により治療を受けている人は約50人、「アルコール覚醒剤を除く精神作用物質使用による精神及び行動の障害」により治療を受けている人は約40人となっています。 図のグラフ、覚醒剤による通院患者数、入院患者数の推移省略 図のグラフ、アルコール覚醒剤を除く精神作用物質使用による精神及び行動の障害による通院患者数、入院患数の推移省略 二十六ページ ②薬物依存症に関する相談等の状況 薬物依存症に関する相談は、令和元年度以降減少傾向にあります。また、薬物依存症に関する相談の多くは精神保健福祉センターに寄せられています。 図のグラフ、精神保健福祉相談件数の推移(薬物依存症)省略 (2)薬物依存症関連問題の状況 ①薬物事犯の状況 令和3年の薬物事犯の検挙件数は85件、検挙人数は61人となっています。 二十六ページの注釈 薬物事犯:麻薬及び向精神薬取締法違反、あへん法違反、大麻取締法違反、覚醒剤取締法違反、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反をいう。 図のグラフ、薬物事犯により検挙した件数及び人数の推移省略 二十七ページ (3)薬物依存症の課題 ①薬物依存症の発症予防(一次予防) ○「予防教育及び普及啓発の推進」 ・薬物乱用の危険性、有害性について、県民への正しい知識の普及啓発を行う必要があります。特に、オーバードーズなどの関連問題については、特に若者に対して繰り返し啓発する必要があります。 二十七ページの注釈 オーバードーズ:医師が処方した薬や処方箋が無くてもドラッグストア等で買える薬を用法・用量を守らずに過量に摂取することを言います。 ②薬物依存症の進行予防(二次予防) ○「相談窓口の周知及び相談体制の充実」「医療提供体制の充実」 ・支援機関に相談をすることが回復への第一歩となりますが、保健所及び市町村が実施した精神保健福祉相談(薬物)の相談件数は、令和元年度以降減少傾向にあります。適切な時期に適切な支援に繋がることができるよう、引き続き相談窓口を周知するとともに、各分野の相談員が本人の変化に気づき、適切な支援につなぐことができるよう、対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症は適切な治療や支援により回復が十分可能であるなため、身近な地域で必要な治療が受けられるよう、精神科病院やかかりつけ医療機関の対応力の向上に取り組む必要があります。 ・依存症の人やその家族が地域で孤立することなく必要な支援を受けられるよう、住民にとって最も身近な自治体である市町村において包括的な支援体制が構築されていることが重要です。そのため、属性を問わない相談支援、参加支援及び地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」など、地域共生社会の実現に向けた取組を始めとした各種施策との連携を図る必要があります。 ③薬物依存症の回復・再発予防(三次予防) ○「回復・再発防止対策の充実及び連携協力体制の強化」 ・依存症の回復のためには、同じ目的を持った仲間や、様々な経験に関する情報が豊富な自助グループや家族会の活動が重要であるため、引き続き団体の活動を支え、当事者や家族の居場所作りを広めていく必要があります。 ・当事者の社会復帰には自助グループに繋がることも有効であるため、引き続き市町村や地域の関係機関などの支援者に自助グループの活動を周知し、支援のネットワークの構築を進めていく必要があります。