第18回高知県南海地震条例づくり検討会会議要旨

公開日 2009年03月16日

更新日 2014年03月16日

1 日時 平成20年1月9日 水曜日 午前10時から午前11時50分まで
 

2 場所 高知県民文化ホ−ル 4階第6多目的室
 

3 出席者10名出席
 

4 議事
 
(1)条例案の修正及び最終案について
会議次第と資料一覧
資料1 高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例(案)に対するパブリックコメントへの対応について
資料2 高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例(案)に対する委員からの意見等への対応
資料3 高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例案
 
<委員からの意見>
●第24条関係
・新規に「第5章 土砂災害等の危険から生命を守る」の第24条として追加された「急傾斜地の崩壊等に係る対策の推進等」については、本質的に大事なことだと考えていたので、委員としての意見を入れてもらってありがたい。
・南海地震が過去4回、雨の少ない冬期に起こっていたため、土砂災害の危険についてあまり多く語られてこなかったが、多雨期に起これば・・・と危惧する点である。風水害のときは、谷筋が土石流的な破壊を起こすが、地震の揺れのときは、岩盤崩壊が起こるので、ハードについては相当以前から対策していないといけない。
 
●法令用語について
・法令用語と日常用語とにイメージさせるもののギャップがあるように思う。そのギャップが行動の差に出るといけない。
例えば、耐震化のひとつの「模様替え」。また、条例には、私にとっては初めて聞く言葉だった「陸こう」が記載されていたり、「ため池」というのも対象範囲がわからなかったりする。
<事務局からの説明>
・耐震化のひとつの模様替えというのは、壁紙の張り替えのイメージとは違う。耐震化促進法等で耐震化に関する言葉の整理がされている。法令用語とイメージのギャップについては、条例施行後の県民啓発で解決していきたい。
・ため池については、瀬戸内海地域に多い皿池とは違って、高知のものは、農業用に小さい谷をせき止めて作る谷池が多い。30万トンや40万トンもの水を、土の堤で止めている。過疎化・高齢化で、手入れが行き届かず、堤がやせてきている箇所もあり、地震のときが怖い。新潟県中越沖地震のときには、561箇所が被害を受けた。阪神淡路大震災においても、淡路島のため池の水が抜けたが、背後がすぐに山という状況ではなかった。
 
●「自らの安全の確保又は避難に支障がない限り」(第20条の消火及び延焼の防止、第22条第1項の周辺の居住者等への危険の周知や県、市町村等への通報、第26条第1項の自主防災組織等が行う救助活動等)
・ボランティアで行うことと、自分の命を守る境目を分ける言葉として、「支障がない」では弱々しい気がする。住民それぞれが判断するときに、ヒーローであってはならないし、どういう風に考えるか、実際の中で掘り起こしていくしかない。この条例をきっかけに「防災文化」としていくのだが、判断基準となるものをつくりだせるか。
・「支障がない」という言葉は定性的で、分かりにくい。災害にぶつかったときの状況が千差万別でキリがないので、こういう条例においては、こういう表現にならざるを得ない。とらえ方について理解ができない場合もあるので、これからの教育にゆだねるしかないと思う。
・第26条にある「支障がない限り」が使われている箇所については、人のために尽くそうと思う人が、自己責任による判断でヒーローになろうとして、被害にあってもいけない、自己抑制の意味がある。判断するためにも、危険性や特性を的確に判断しないといけない。自らの安全の確保について判断するには、知識の習得と訓練といった自己努力が必要である。「支障がない」を県民が読み込めるかどうか、そこが問題。広報や周知活動が必要だ。
・「支障がない」が多岐に渡る。そのようにしか言いようがない。
 

(2)条例案の知事への報告に当たって
資料4 知事への報告について
平成20年1月16日午前10時から知事室にて、会長・副会長の3名が条例案の検討報告書を知事に手渡す。
 

(3)条例をいかに実効性のあるものにしていくか・今後の各委員の協力について
<岡村会長>2月議会に提出され、議会の議決の後は、平成20年4月1日から施行される予定だが、条例の周知にご助言と永い協力が必要。条例づくりにかかわってこられた委員の皆さんに、どのようにすれば条例の実効性が上がるか、また、各委員からどのようなご協力が得られるか、ご意見をいただきたい。
 
<青木副会長>地震には全く関心がなかったが、段ボール箱いっぱいの本を読んで勉強した。そんな中から、気になる言葉として「防災文化」というヒントをもらった。南海地震は、明日あさってかもしれないが、長期的にピークをおいて対応を考えることもでき、余裕が油断にならないために、どこらへんをピークと考えてどのような計画を立てていくかが大事となると考える。天災は従来法律では防げないとしたものだった。南海地震が来るまでのこのタイムスパンについて考えたが、当初6年の行動計画を作って、二期目にピークとしてもってくるのか、あわてず、しっかりと、定着させていくことが大事だと思っている。県民として、町内会の副会長を今はしている。学校でも、防災備蓄倉庫の鍵を預かっていたりする。体験することは大事だなと思っている。
 
<土居委員>条例に関して、自分達(日本赤十字社高知県支部)が、県民の皆さんに、実践してもらう体制をいかに作るかが大きな問題。県民のみなさんは、別の地域の災害にアンテナを張っておくことが、スタートだと思う。対岸の火事としてすますのが、人間の弱いところ。自分のこととしてどう行動するかの生活習慣が大事。ボンバルディア機の胴体着陸のときのコマンダーとしての経験も、あらゆる飛行機事故に役立つので情報発信していくつもりだ。他県、外国のことでも、自分ならどうすると描けるような考え方を植え付けていくことが大事。自分は仕事の一つとしてやっているが、いかに自己保全能力を身につけるか、つまり生き残るためにどううごくかのボディアクションを身につけることが大事だと思う。
 
<小野委員>二年間南海地震条例づくり委員としてやってきたが、知らないこともあった。私は、消防団員やボランティアと今後も接触していく。この条例を県民の皆さんに読んでいっていただくことが大事。一人一人がかみ砕いて、自分のことにしてもらうこと。私ができることは、自ら実践し、危機感を地域の皆さんに分かりやすく伝えていくこと。この検討会で勉強したことを伝えていくのが、私の今からの使命だと思う。
 
<武市委員>福祉の立場から条例づくりにかかわらせてもらったが、難しかった。法令用語に関して・・・日常用語を用いても、価値観によって、言葉が受け身にとらえられるのだなぁと感じたこともあった。検討会に出るのが辛いなぁと思ったこともあるが、地震から命を守るために、会に来ることが大事だと思い参加してきた。条例を作って終わりじゃなく、多岐に渡る言葉について、実践していく、そして毎日元気に生きていって、改善していくことが、自分達の使命だと思う。
 
<半田委員>これほどおとなしい自分は初めて。知らないことが多かった。被災地が直後にどうなるのか、よく分からなかった。災害ボランティア活動の観点から、被災地の方の大変な思いとかをどう伝えていくべきかと考える。災害ボランティアの支援体制について、(この条例で)各市町村ごとの体制づくりがしやすくなる。社会福祉協議会と地域のつながりづくりにもつながる。防災に取り組んでいると、福祉につながる。また逆に、福祉に取り組んでいるところは、災害にも強い。きっかけとして、こどもや防災の切り口は団結しやすい。これらがつながるような支援をしていきたい。
 
<細川委員>元小中学校のPTAとして参加した。高知県全体に条例を普及させるため、条例の趣旨を踏まえた上で、伝えられる言葉でまずは子どもや職場に伝えていきたい。医療関係という仕事柄、自分の命をなげうってでも・・・と考えていたが、自分の命を守ってこそ、人の命を守れると気づいた。現在高校のPTAに入っているが、各委員の話し合いで、火災訓練は出来ているが、地震の訓練はできていないのが学校運営の一つの課題として、話し合いたい。いろんなところに課題があるため、この会に出て得た宝として、高知県の未来を担っていく子ども達の命を守っていくことに寄与したいと思う。
 
<多賀谷委員>工学の研究者として、自分のやってきたことの頭の整理をすることと、年寄りとしての立場で主張する意味で参加した。しかし、気分だけは若いものだから、老人としての立場の話をせずにきた。この検討会の収穫として、「防災文化」という言葉がいかに大切かが分かった。どういうふうに根付かせるか、○○文化という言葉がいろいろあるが、躾とも感じが違う、身につけるには時間のかかる話だ。「会社・企業の文化・風土」というと、「成果に現れる」のと全く同じだ。行動計画が練られるが、何をどうするのか次のステップが大切だと思う。自分の仕事として、防災に関して階層別教育をしていく。分かっていただくことが大事。防災リーダーへの話のときは、自然現象というものがどれだけ知識として入っているかが大事だと思う。現実と知識とのギャップがある。自然現象がどういうものか知らせること。そういうことに携わっていきたい。環境と防災はリンクしていると思う。自分は70歳近いが、次の南海地震が来るまで死ねない。考えていたことが、どれだけ合っているか、知りたいからだ。
 
<藤原委員>防災文化というのは大事なキーワード。根付くには、知っている人が多くないと駄目。つないでいく中で成就されていくもの。私は、地域で防災イベントをしているが、10年で地域住民の変化があったが、それから上に抜けるには、大きな壁がある。条例は広報され、できたときは「できたんだね」と広まるが、中身が自分にどうかかわるのか、それが理解されていくことが大事。「死」があることは分かっているが、自分のこととしては、その場限り、投げやりになる。それぞれの世代にどう伝えるかが大事。教育と一体となってできないと、根付かないと思う。10年間イベントをやってきてもムラがある。教育界にもいろんな事情があると思うが、そこに防災まで入れるのかと抵抗が出ることもある。防災教育をきっかけに、クラスづくり、思いやり、集中していくことを学ぶきっかけにもなると思う。地域格差をどう埋めていくか。この条例に規定されていることについて、あいまいなことも地域で話し合うと見えてくるのではないか。関係機関すべてに当てはまることだが、かみ砕こうとするにはものすごくエネルギーがいる。いろんな部署がある、諸団体がいる、会ある。それぞれの団体にアプローチかけて、組織として動いてもらう。例えば、町内会を活用し、周知するといいと思う。地域性があると思うが、児童福祉をしていて、中学校区あたりがまとまりがよいと思う。中学校区における横の連携が大事。具体的に行うには、小ぶりにする。条例の制定をスタートにして、中身がどれだけ自分にかかわっているか考えてもらうこと。学校は厳しい現状であろうが、子ども達の命を守るという意思で教育界にがんばってもらいたい。学校だけじゃなく、一緒にやりたい、私は同じ土俵に立ちたいと思っている。
 
<上田委員>各専門分野の方の意見、大いに勉強になった。この条例には、県民の命を守る強い信念が一貫して流れておるというふうにしたかった。遵守して、南海地震から命が助かる道しるべになればと思う。各条項、前文も含めて、その信念は貫かれていると思う。自主防災組織のリーダーとして、条例をもとに、組織の活性化につなげたい。自主防災組織率が低いので、良くしていきたい。地域のボランティア団体、防災団体の連携、ネットワークづくりにも、力を入れたい。各年齢層のリーダーを作って、息の長い活動が必要。地域の支え合い、地域の再生・活性化につながるのではないかと思う。自主防災組織のリーダーに加えて、自主防犯活動をしている。青色防犯灯の普及、こどもたちとの拍子木パトロール、これらが地域で助け合う気持ちを高めていく。今後も、培った経験を地域活動につくしていきたいと思う。
 
<岡村会長>多岐に渡る内容の条例となったが、「防災文化」が印象深い。南海地震は過去100年に一度必ずきているから、今世紀前半にも来ることは、専門家でなくとも分かること。人口80万人のうち1万人近くの方が不慮の死を迎える想定。80歳まで生きるとしたら、70万時間あるが、地震の100秒の揺れ、6時間続く津波というわずかな時間に、人の命が大量に奪われるということ。南海地震のおかげで、隆起し、沈降して、平野ができる、それを100年に一度の自然現象として繰り返す。今の技術で、被害が防げないわけではない。私は、意見を言うのは得意だが、意見を聴くのとまとめるのは不得意。人の行動や考え方について、今回よく考えさせられた。「あきらめない!」それを一人一人に訴えていくしかない。高知に住むありがたさを、死者を少なくすることに努め、お返ししていけたらと思う。みなさんのこれらの思いを知事に伝えます。
 

●最後に、中村危機管理部長から、委員に対しての謝辞が述べられ閉会した。
※高知県南海地震条例づくり検討会における条例案の検討は、本回をもって終了となった。


この記事に関するお問い合わせ

高知県 危機管理部 南海トラフ地震対策課

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