平成27年度研究報告 第40号 平成28年3月

公開日 2016年04月06日

1 欧州製先進林業機械を活用した架線系作業システムに関する研究(Ⅰ)
 ― 従来システムと新システムの生産性の比較 ―

【山﨑敏彦、徳久潔、宮田弘明、渡辺直史、澤田浩幸、山﨑真】

高知県香美地域(香美森林組合・物部森林組合)に高い能力を持つ欧州製のタワーヤーダなどが導入されたので、従来システムと新システム導入直後の生産性等を調査した。その結果、労働生産性(1日6時間で換算)と集材した平均単木材積は、スイングヤーダでは6.2m3/人日(0.40m3/本)、架線集材では5.3m3/人日(0.71m3/本)、トラクター+ウインチでは8.5m3/人日(0.41m3/本)、タワーヤーダ(試算結果含む)では4.3~6.8m3/人日(0.45m3/本)、架線+リフトライナーでは6.2m3/人日(0.76m3/本)であった。
タワーヤーダでは、架設1線当たりの収穫量が多いほど準備(測量等)・架設・撤去に係る生産性向上に寄与し、収穫対象の単木材積が大きいほど集材に係る生産性が大きくなることがわかった。

2 欧州製先進林業機械を活用した架線系作業システムに関する研究(Ⅱ)
 ― 欧州製タワーヤーダを地域で活用するための検討 ―

【山﨑敏彦、徳久潔、宮田弘明、渡辺直史、澤田浩幸、山﨑真】

導入されたタワーヤーダについて、香美地域で効率的に活用するために調査を行った。その結果、架線下の集材作業時間は、荷掛量との間に明確な傾向がなく、集材距離と高い相関が認められた。荷上げ作業時間は、横取り距離が0mの架線下に対し、平均横取り距離が25.7mの横取り集材では約4倍の時間を要した。荷上げ時間は、荷掛量との間に明確な傾向がなく、横取り距離と高い相関が認められた。労働生産性では、1線当たりの収穫量が多いほど架設・撤去などの副作業の生産性向上に寄与し、収穫対象の立木単木材積が大きいほど集材の生産性が大きくなる。また、中間サポートを設置した場合の主索張力および中間サポートにかかる荷重を調査した。その結果、主索張力は、空搬器走行時および実搬器走行時ともに、各支間中間点で大きくなり、中間サポート通過地点では、空・実搬器ともにほぼ同一の張力を示した。中間サポートにかかる荷重は、前後のスパン内に搬器が入ってきて影響を受け、搬器がサポート直下で最大値となることが明らかとなった。

3 シキミ栽培における収益性の改善に関する研究(Ⅰ)
 ― 台切りによる管理作業の軽減 ―

【藤本浩平、渡辺直史、徳久潔】

シキミ栽培の作業性・収益性向上を図ることを目的として、台切りによる株の更新を検討した。その結果、台切りの高さによる株生存率の差はみられず、台切り時に生枝を残した株は枝が無い株より生存率が高かった。台切り実施時期毎の生存率は1月台切りが最も高く9月台切りが最も低かった。3月の台切り後、9月まで萌芽枝は増加したが、9月から翌年3月までは増加しなかった。萌芽枝の伸長および肥大は11月~3月にかけて少なかった。枝の有無による萌芽枝の成長は、2年目までは枝有り株の方が多いが、3年目には差がなかった。

4 シキミ栽培における収益性の改善に関する研究(Ⅱ)
 ― 簡易な害虫防除による管理作業の軽減 ―

【藤本浩平、渡辺直史、徳久潔)】

シキミ栽培の作業性・収益性向上を図ることを目的として、労働強度の低い虫害防除方法を検討した。コミカンアブラムシの発生は、新葉でみられ、成熟葉ではみられなかった。幼虫、成虫とも発生は4月上旬に始まり、1月下旬までみられた。卵は被害を受けた先端葉の葉上および硬化後の巻いた被害葉の内側で11月中旬から4月上旬まで確認された。シキミグンバイの発生は、ほとんどが成熟葉の裏側でみられた。幼虫は4月下旬から1月下旬まで、成虫は3月上旬から2月上旬までみられた。卵は未確認であるが、孵化直後の幼虫は4月上旬に被害葉裏面で確認された。コミカンアブラムシ、シキミグンバイに対して浸透移行性粒剤は高い防除効果がみられ、同時防除が可能である。粒剤の防除効果は降水にともなう土壌水分量に影響を受け、持続期間は1ヵ月未満であった。夏期・秋期とも浸透移行性粒剤による薬害はみられなかった。

5 過熱蒸気による環境にやさしい木材保存技術に関する研究
 

【市原孝志、川島幹雄、三好和広、野地清美】

飽和蒸気を加熱し、高温になった蒸気で処理(以下、過熱蒸気処理)したスギ、ヒノキ材を用いて野外耐久性能試験、室内防腐性能試験を行った。角、板材および杭を用いた野外耐久性試験では、過熱蒸気処理した試験体の防腐性能は向上したが、シロアリの食害が認められた。
オオウズラタケを用いた室内防腐性能試験では、処理温度220、230、240℃、時間5、9、13時間(220℃のみ9、13、17時間)の9種類の条件で過熱蒸気処理したところ、質量減少率が3%以下の高い防腐性能を示すものが認められた。
スギ230℃・13時間、ヒノキ240℃・9時間の過熱蒸気処理を行った試験体について、曲げ強さ、寸法安定性および材の退色について試験した。曲げ試験では、スギ、ヒノキともに無処理の曲げ強さを100%とすると過熱蒸気処理は60%程度に低下した。相対湿度を変えて寸法安定性試験を行ったところ、過熱蒸気処理を行うと接線または半径方向の長さの変化率が無処理と比べて少なかった。退色試験では、過熱蒸気処理で褐色になるが、野外に設置すると比較的短期間で退色することが判った。

 

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