平成22年度研究報告 第36号 平成23年3月

公開日 2011年04月05日

1 間伐材等を活用した場合−遮音壁の音響性能評価−

【野地清美、政岡尚志、横井克則(高知高専)、亀山剛史(日本興業(株))】

 遮音壁の構成部材に間伐材や木毛を活用して、遮音性に加えて吸音性にも優れ道路景観や自然環境にも配慮した、コンクリートと木材を複合させた新しいタイプの遮音壁の開発を試みた。吸音材、背後空気層、スリットを組み合わせることによって吸音性能を高められることが分かった。また、県内で製造している木毛を有効利用して接着剤を使用せずに水と温度と圧力でボード状に成型することによって、密度が高まり吸音性能を向上させることが可能であった。高速道路用遮音壁としての吸音性能基準はクリアできなかったが、木毛吸音材を挿入した木材部とコンクリート部を組み合わせることによって、遮音壁の遮音性と吸音性の両機能を一定有する複合型遮音壁を試作開発することができた。


2 中山間再生のための林業経営システムプランの研究開発

【渡辺直史、山崎敏彦、藤本浩平】

 疲弊が進む中山間地域の雇用の場を確保するために、搬出間伐を行う事業体の底上げと育成を目的として高知県内森林組合の現状分析、県外の先進事業体の調査を行い、この結果に基づきモデル地域を選定し林業経営システムプランの提案と実証を行った。森林組合は造林事業が主体で、木材生産量は少なく、生産性は3m3/人日前後であった。団地化施業は県の施策もあり多くの組合が取り組んでいた。モデル地域では木材生産を始めたばかりであり生産量は少なく、生産性は2.8 m3/人日であった。モデル地域に木材生産を主な内容とするプランを提示し、目標値を生産性5.0 m3/人日、生産量2,000m3/年と定め実証を行った。その結果、生産性は調査プロットで5.5 m3/人日、事業地全体で4.0 m3/人日まで上昇したが、生産量は横ばいであった。


3 低コスト作業システム構築技術支援

【山崎敏彦、徳久 潔、宮田弘明】

 作業システムに脱着式フォワーダを組み入れた「開発的実証試験」を行い、各工程時間や生産性、残存木に対する損傷(環境負荷)について調査を行った。脱着式フォワーダの平均走行速度は、長距離集搬(1,110.6m)が105.6m/分、短距離集搬(208.1m)が96.3m/分であった。その平均積載量は、1車当たりそれぞれ3.47m3、2.98m3であった。今回の調査で得られたデータを基に、集搬距離に対する日集搬量の推定図を作成した。脱着式フォワーダを組み入れた作業システムは、伐倒と木寄せ集積を先行して行っておきプロセッサ造材・積込みを行うと、1,000m以上の長距離集搬であっても集搬工程の改善につながる効率的なシステムといえる。また、作業工程はできるだけ工程数が少なく、且つ各工程が平準化されると安定したシステムになると考えられた。


4 県産梁桁製造システムの確立技術支援

【盛田貴雄、沖 公友、東 博文】

 木造住宅における主要構造材である梁桁材の安定供給を図るため、県産梁桁材のストック状況などの情報をインターネットにより提供する高知県梁桁ネットワークの試みが見られる。そこで、高知県梁桁ネットワークにおける県産梁桁材の品質管理と製造効率の向上のための技術支援を行った。梁桁材の品質管理では、製品の含水率等の品質や管理状況を調査し、適正な製品の品質表示の方法や含水率、強度表示のための管理方法を提案した。製造効率の向上では、1本の原木から2本の梁桁材を製材する2丁取りの製造過程を調査し、効率的に梁桁材を製造可能であることを確認した。


5 県産木造住宅における新規格化システムに関する研究

【沖 公友、東 博文、盛田貴雄】

 産地で規格化した品質・性能の確かな柱や梁などを使用した提案型の木造基本構造体キット「れいほくスケルトン」の商品化を行い、実際の流通実態から県産木造住宅における新規格化システムとしての有効性を検討した。提案型の木造基本構造体キット「れいほくスケルトン」は、産地側でプレカット番付(配材)を行い現地へ配送するシステムをとることにより、県産材を使用した住宅の提案と、性能が明確な木材の安定供給に効果的であるとともに、材料の効率的な利用と規格の簡素化にも有効である。また、材料の品質・性能に加え、構造上の基本性能データの明確化も可能とした。「れいほくスケルトン」は、県内外の工務店、設計事務所の特徴・自由度を損なうこと無く利用できる有効な商品であり、県産木造住宅における新規格化システムとして有効であることを確認した。


6 森林バイオマス利用技術支援

【三好和広、市原孝志、鈴木保志(高知大農)】

 本試験研究では前回のプロジェクト研究に引き続き、生チップの乾燥試験、林地残材の乾燥試験および収集・運搬実態調査を行った。
大型送風乾燥装置による木質チップの送風乾燥試験では、木質チップの投入量1m3の場合8時間で含水率50%以下に乾燥することは十分可能であった。送風乾燥は、気温の高い夏季が適期と考えられる。丸太の山積み状態内部の環境を想定した木箱による乾燥試験では含水率が50%になるまでに要する期間は開放材が約100日であったが、通風が悪い木箱内では280日以上であった。木箱内は外気に比べ平均相対湿度が約15から18パーセントポイント(以下「pp」と言う。)高いことから、通風と湿度が材の乾燥に大きく影響していると思われる。丸太を山積みで乾燥させる場合、山積みの大きさは出来る限り小さくし、土場は舗装することが有効であると思われる。山土場など舗装の困難な場所で乾燥を行う場合、地面に接する最下層の丸太はりん木として用いることによって、効率的に乾燥することが可能である。
 採算性を考慮した林地残材の搬出・運搬を行っている事業体の現場では、林地残材の形状、機材の選択によって経費を抑えていることが分かった。


7 ウスキキヌガサタケの栽培技術の開発−ウスキキヌガサタケの発生特性の解明−

【今西隆男、市原孝志】

  ウスキキヌガサタケの栽培試験を3カ所の試験地で行った。培養した菌床を4から6月に埋めると、発生は埋めた3から5ヶ月後から始まった。翌年からの発生は6月中旬頃に始まり、7月、8月、9月に2から3回のピークがあり10月頃まで続いた。発生は埋めた年から3年間以上継続し、約1kgの菌床から2から3年の間に6個以上の発生が期待できる。子実体の平均的な大きさは、自然条件下では生重量18g、柄の長さ16cm程度である。


8 海洋深層水を利用したきのこ栽培−海洋深層水がきのこ類の収量等に与える影響−

【今西隆男、市原孝志】

 海洋深層水を利用してシイタケ、エノキタケ、ヒラタケの菌床栽培を行った。収量は海洋深層水原水では、5%程度で増加する傾向がみられたが、添加量が多くなるに従い減少し、シイタケ30%、エノキタケ10%、ヒラタケ25%以上で有意に減少した。脱塩水では対照区と比較して有意な差はみられなかった。子実体の大きさに与える影響は明確ではなく、栽培日数は種類によって長期化する傾向がみられた。海洋深層水のきのこ栽培への利用については、収量に影響を与えない原水5から10%程度添加することが適当であると考えられる。


連絡先

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