平成23年度研究報告 第37号 平成24年3月

公開日 2012年07月04日

1 高知型低コスト木製ガードレールの開発

【沖 公友、東博文(高知県安芸林業事務所)、盛田貴雄】

 高知県の道路事情に適応した低コストな「高知型木製防護柵」(構造物用C種規格:設計速度50km/h以下)の開発を行った。本県も開発に参加した国土交通省四国地方整備局の「四国木製防護柵」(構造物用B種規格:設計速度60km/h以上)を基本構造とする、県産スギ材と鋼製プレートからなる複合横梁を採用して、C種規格性能の確保を検討した。結果、「高知型木製防護柵」の構造は、初期段階における木材の曲げ抵抗と鋼製プレートの張力が有効に作用し、変形に対する抵抗力も大きいことがわかった。実車衝突試験についても防護柵設置基準に示されている性能規定を満足している事から、「高知型木製防護柵」は車両用防護柵の基本性能を有している事がわかった。


2 熱処理技術による床暖房用スギ、ヒノキ無垢材の開発

【野地清美、政岡尚志(高知県須崎林業事務所)】

 熱処理技術による床暖房用スギ・ヒノキ無垢材の開発を試みた結果、スギ材では130、140℃の水蒸気で加圧加熱処理することによって、無処理材よりも寸法安定性が高くなる傾向を示した。ヒノキ材では同様な温度域での処理では無処理材との違いは認められなかった。スギ材、ヒノキ材ともに、処理温度が高いほど、また処理時間が長いほど、材色変化が大きく、色むら(辺材と心材の色の違い)が解消できることが分かった。140℃で熱処理したスギ材とヒノキ材について、床暖房用床材の実用的な試験である熱耐久試験を行い、市販のスギ材とヒノキ材と比較したところ、スギ熱処理材では隙間や段差がスギ市販材よりも小さい傾向で全体的に良い性能を示したが、ヒノキ熱処理材ではヒノキ市販材の方が隙間が小さい値を示し総合的に優れていた。


3 ヒノキ材の品質向上に関する研究−心持ち正角材の高温セットを組み合わせた乾燥法の検討−

【政岡尚志(高知県須崎林業事務所)、野地清美】

 ヒノキ心持ち正角材について適正な高温セット処理条件を検討し、処理後に天然乾燥を行う乾燥法と、そのまま中温乾燥を行う乾燥法について検討した。温湿度設定一定で、16、24、32時間の3種類の高温セット処理条件では、処理時間が長いほど、含水率が低下し、表面割れ幅が小さくなるが、内部割れの発生が大きくなる傾向を示した。処理後の屋内天然乾燥によって、材内部の含水率が低下して、天然乾燥開始時の水分傾斜が緩和されて、表面割れが閉じる傾向であった。高温セット処理後に中温乾燥(乾球温度90℃、湿球温度60℃)を実施したところ、高温セット処理条件を変えることにより表面割れや内部割れの発生等の品質を大きく低下させることなく所要時間を短縮できことが分かった。


4 未利用木質資源から造った炭の植物栽培床と環境資材の開発

【市原孝志、今西隆男、眞鍋豊士(高知県工技セ)、篠田雄一、坂輪光弘、堀沢栄(高知工科大)】

 鉢状成型物の場合は、おが屑は10%から70%まで、樹皮は10%から50%まで、板状成型物の場合は、おが屑および樹皮ともに20%から70%まで混合可能であった。しかし、炭化後の曲げ強さ試験の結果から、成型物に混合する木質資源の割合として、おが屑は60%まで、樹皮は50%までが適当と考えられた。鉢状成型物(上面直径約11cm×高さ約9cm)は、昇温速度5℃/分で炭化することが可能であった。板状成型物は同条件で炭化すると割れが生じた。そのため、(1)炭化物に割れが生じない昇温速度、(2)炭化中の成型物の設置方法、(3)板状成型物の大きさ、(4)成型物の水分の影響、(5)おが屑と樹皮の混合割合について検討を行った。その結果、含水率の高い成型物(縦約38×横約38×厚さ約5cm)は横置きでは約0.3℃/分で炭化できた。また、割れの発生には成型物中の水分が大きく影響していた。おが屑と樹皮を混合することにより昇温速度を約2.0℃/分まで上げることができ、炭化時間の短縮が可能になった。


5 枯死木、リター、土壌等の炭素蓄積量の把握

【宮田弘明、藤本浩平、深田英久、徳久潔】

 高知県内の森林資源モニタリング調査地のうち民有林51ヶ所において土壌調査を実施し、枯死木や堆積有機物、鉱質土壌(深さ30cmまで)の炭素蓄積量を算出した。その平均値は、それぞれ0.35、0.55、6.50kg/平方メートルであり、約9割が土壌中に蓄積されていた。3プールの合計値7.40kg/平方メートルは、平均的なスギ・ヒノキ人工林が7から8齢級までに蓄積している地上部の炭素量とほぼ同等であった。土壌中の炭素蓄積量は、標高が高くなるに連れ大きくなる傾向がみられた。枯死木・堆積有機物は、スギ林の方がヒノキ林と広葉樹林より若干大きい傾向がみられたが、鉱質土壌(深さ30cmまで)の炭素蓄積量は、各林相とも殆ど同じであった。


6 急傾斜地に適合した簡易架線集材方法の確立

【山崎敏彦、宮田弘明】

 急傾斜地における集材並びに荷外し後の集材木滑落を防止する方法として、信州式搬出法1)などで用いられているジグザグ滑車を使用したハイリード式2)索張りは、集材木を作業道に対して平行に集積する方法として有効である事が判った。スイングヤーダで多く取り入られているランニングスカイライン式と、スラックライン式での実作業について比較し、作業上の特性を調査した結果、スラックライン式は搬送距離が遠くなるほど引き寄せ索の自重が増して、空搬器速度が衰える傾向が見られたが、操作が簡単で、ランニングスカイライン式のように引き戻し索によるバックテンションが掛からないので、結果として一連の集材作業でのサイクルタイム短縮を図ることができた。急傾斜地のヒノキ全木材の上げ荷集材における地引牽引力は、集材木の自重を超える荷重が発生することや、作業索に掛かる負担を軽減するためには、鉛直(垂直)方向の荷重を主索に預ける方法が有効である事が判った。


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