平成25,26年度研究報告 第39号 平成27年3月

公開日 2015年04月06日

1 ボルト等を併用した接着重ね梁に関する研究

【盛田貴雄、沖 公友】

 ボルト・接着剤併用とボルト・スプリットリング併用による2種類の重ね梁について、適正かつ実用的なボルト間隔を検討し重ね梁を製造した。適正と考えられるボルト間隔は、ボルト+接着剤重ね梁が1,000mm以下、ボルト+スプリットリング重ね梁が388mm以下であった。重ね梁の曲げ試験を行った結果、同一断面の無垢材との比で、ボルト+接着剤重ね梁は曲げヤング係数0.9、曲げ強さ0.5程度、ボルト+スプリットリング重ね梁は曲げヤング係数0.3、曲げ強さ0.4程度となり、これらの重ね梁を木造建築物に使用する際に必要となる曲げ性能の参考値として示した。

2 県産木質ペレット品質向上のための特性分析試験

【三好和広、市原孝志、高橋尚也】

 県内で生産される木質ペレット(以下「ペレット」という。)の品質特性の試験および長期保管による品質変動と保管環境の関係について調査することにより製造時の品質および保管による品質維持に関する技術を検討した。ペレットの品質保持に関係する因子としては、原料、製造工程管理、保管環境が考えられる。製造時の品質特性については、原料の選別、加工技術の向上により木質ペレット品質規格原案および「木質ペレット品質規格」の基準値に照らして大差ない結果であった。保管環境と品質変動の関係については、保管環境によって含水率、低位発熱量、粉化度、機械的耐久性などに品質変動がみられた。しかし本試験において保管期間内に雨期を通過したペレット品質が基準値を下回ることなく使用上差し支えないことも判明した。品質変動に影響を与える保管環境の因子としては、気温の変化より関係湿度の変化が大きいと考えられることから、保管環境については出来るだけ湿度変化が少なく、低湿度の環境が望ましい。また長期保管試験の結果、機械的耐久性の劣化に成型時の原料含水率が関係していると考えられるため、成型時の原料含水率については、12~17%程度を維持することが望ましい。

3 土佐備長炭の製炭に関する研究-改良土窯の検証と土佐備長炭製炭に関するデータの収集-

【市原孝志、川島幹雄、野地清美】

 土佐備長炭窯(以下「窯」という)で、側壁と床を耐火レンガで製作した窯(以下「耐火レンガ窯」という)、同じく赤レンガで製作した窯(以下「赤レンガ窯」という)、および側壁と床を赤レンガで製造し側壁の赤レンガの上から赤土を貼り付けた窯(以下、「改良土窯」という)の3種類の窯の比較と土佐備長炭の製炭に係るデータの収集を行い収率、品質等の調査を行った。各窯の平均収率(絶乾重量比)は耐火レンガ窯17.1%、赤レンガ窯16.6%、改良土窯17.2%であり、各窯の平均収率間に有意な差は認められなかった。さらに、各窯で製炭された備長炭のA区分(備大丸、備丸、備小丸、備割、備細丸)、並びにA区分とB区分(徳丸、徳小丸、徳細丸、徳割)の合計(以下「A+B区分」)の平均占有率を比較するとA区分は、耐火レンガ窯54.8%、赤レンガ窯51.8%、改良土窯58.7%、A+B区分は、耐火レンガ窯74.8%、赤レンガ窯74.9%、改良土窯81.2%であり、改良土窯で製炭した備長炭はA区分並びにA+B区分の割合が他の窯と比較して、やや高い傾向が見られたが、統計的に有意差が認められるほどではなかった。これらのことから、改良土窯で製炭される備長炭の収率は他の窯と変わらず、区分については若干A区分とB区分の占める割合が高い可能性も残されているが、本研究においては他の窯と比較して差が認められなかった。

4 ウスキキヌガサタケの栽培技術の向上に関する研究-ウスキキヌガサタケの増産に向けた技術開発-

【澤田浩幸、今西隆男、藤本浩平】

 ウスキキヌガサタケは、地温20~25℃で土壌含水率が高い時に発生しやすい傾向がみられた。発生試験を行った8系統の中では菌株番号15910が最もよく発生した。埋め込みから発生にかかる日数は系統により差があった。保存培地は寒天培地よりもオガクズ培地が適していた。菌糸伸長に最適な温度は25℃であったが、系統によって高温に対する耐性が異なり、35℃では死滅する系統が多かった。胞子は発芽促進剤(フルフラーレ)を添加しpH7に調整したPDA培地を用い25℃~30℃で1ヶ月程培養すると発芽した。

5 低コスト育林技術の開発

【渡辺直史、藤本浩平、徳久 潔(2014年3月退職)】

  皆伐後の再造林コストを削減することを目的に、コンテナ苗の育苗試験、苗木の大きさを変えた植栽功程調査、下刈り功程調査、下刈り省略時の植栽木の生長と形質調査を行った。実生コンテナ苗は播種後1年で山行苗となるだけの樹高成長を示したが、根系の発達が不十分であった。挿し木コンテナ苗は、30㎝の挿し穂を使用してココピート100%の培土に挿してスギ4系統、ヒノキ3系統の育苗が可能であった。植栽時間は苗木の大きさと相関があり、コンテナ苗は一鍬植えを行うことにより裸苗の60%の時間で植栽できた。下刈りを省略した翌年の下刈り時間は、毎年行う場合の約1.2倍であった。皆伐後すぐに植栽した場合は、下刈り省略による樹高生長の低下はみられなかったが、皆伐後3年経過して植栽した場合は、下刈りを省略すると競合植生による被圧が多くなり、樹高生長の低下がみられた。下刈りを省略することによる幹曲りの発生はみられなかった。

6 仁淀川上流域におけるスギ・ヒノキ人工林での間伐および林分変化による下層植生への影響

【深田英久、徳久 潔(2014年3月退職)、中西麻美(京都大フィールド研)】

 仁淀川上流域の標高640~910mの北向き斜面にあるスギ・ヒノキ人工林に調査プロットを設置し、間伐後概ね5年間の林分変化に伴う下層植生への影響を調査した。間伐前のRyはスギが0.82~1.00、ヒノキが0.69~0.96で、相対的にスギのRyが高かったが下層植生タイプの貧植生型を示す割合はスギが50%、ヒノキが100%であった。スギは材積間伐率が20%までの間伐によって貧植生および落葉木本型からより土壌保全効果の高い草本・地表植物型に移行したが、ヒノキは材積間伐率が20%以上必要であった。また材積間伐率が41%および45%のヒノキ間伐区では高木性広葉樹の樹高成長および植被率の増加がみられた。高知県内での間伐効果の持続期間を10年とした場合の材積間伐率はスギが15%程度、ヒノキが25%程度である。また、個体サイズのバラツキが大きい林分では下層間伐となることが多く、材積間伐率が本数比に比べて大きく低下する。現在、高知県の森林整備では概ね本数間伐率30%以上の間伐率とされているが、水土保全機能の増進または維持を目的とした場合は、ヒノキ林ではスギに比べて間伐強度を高く設定する必要性が考えられた。

[資料]

1 既存の木造公共建築物における木材利用状況

【山中夏樹(木材産業課)、沖 公友、盛田貴雄】

 高知県内における木造公共建築物の現状を把握するため、平成元年から22年度までに施工された公共建築物67施設のうち木造の39施設について木材の使用量等を調査するとともに、12施設について現地調査を実施した。調査対象の木造公共建築物の延床面積当たり木材使用量は平均0.31m3/m2で在来工法による木造住宅の1.5倍の量の木材が使用されていた。また、延床面積が大きくなるに従い木材使用量は減少する傾向にあった。現地調査した施設で使用されている構造材は180mm角が最も多く断面の大きな材が大量に使用されていた。施工後に発生したと思われる材の割れや変色・腐朽等がみられた。木造公共建築物には多品種・高品質な製材品を安定供給する体制を構築する必要性が示唆された。

 

連絡先

高知県 林業振興・環境部 森林技術センター
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