環境トピックス:平成の名水 黒尊川(その2)

公開日 2009年03月27日

環境トピックス

平成の名水 黒尊川(その2)

河川の水質評価指標の問題点

 環境基本法により定められた環境基準は、もともと公害を防ぐ目的から始まっています。現在では、日本の多くの河川で有機性汚濁について改善傾向が見られるようになりました。河川の有機性汚濁指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)の数値も低減傾向にあります。ところが、流域住民からは「川が汚れてきている」、「生き物が減った」などと言う声が聞こえてきているのも事実です。四万十川や黒尊川のようなもともと有機性汚濁の少ない水質の良い川では、BODのような有機性汚濁についての水質指標のみでは水質の良し悪しを適切に評価できない部分があると考えられています。
 このような観点から、新たな水質管理指標が検討されてきました。これからの河川管理に用いられる水質指標には、水質変化をとらえられるもの、さらには、県民、流域住民等にとって河川環境の状態が具体的に理解しやすいものであることが必要とされています。

黒尊川(2)

ユニークな水質評価指標・清流度

 四万十川条例では、水質評価指標として環境基準に加えて、四万十川水系独自の基準を定めています。特に“清流度”というのは、人にわかりやすく、河川のわずかな濁りの変化をとらえるための基準として、とてもユニークなものです。清流度は、河川水中での水平方向の透明性を示す指標です。


 清流度計

 具体的には、図1のように水深0.3~1.0m程度の波立っていない河川で、水中に入れた直径20cmの黒色円盤を清流度計(箱めがねのようなものの中に鏡が取り付けてあり、上からのぞくことで水平方向を見ることが可能)を用いて見通すことができた距離のことです。河川の濁りの変化を直感的に捉えることができる面白い指標です。

黒尊川と清流度

 高知県では、「清流度」のほかにも四万十川水系の各地点ごとに水生生物の出現状況などの水質保全目標(清流基準)を定め、水質の保全に努めています。表1に、四万十本川の代表的な4地点と黒尊川における水質保全目標を示しました。

清流基準

もっと知りたい方はこちら。
>>>清流基準測定値(高知県環境共生課)
>>>四万十川清流基準調査手引書(高知県環境共生課)

 清流基準は、流域のボランティア団体、個人、学生などと、環境研究センターによって毎年測定され、公表されています。平成16~18年に、流域のボランティアや学生等により測定された四万十川各地点と黒尊川の清流度を比較してみましょう。黒尊川の清澄さが際立っているのが分かります(表2、図2)。


表2.

図2.清流度調査地点図 
図2.清流度調査地点図

 清流度のような水質評価指標は流域住民にも直感的に理解しやすく、しかも自らが測定しやすいことから、モニタリング調査を続けていく上で有効な指標だと思います。黒尊川をはじめ、四万十川流域では、地元の高校生や住民団体によるモニタリング調査が継続して実施されており、さらに各団体独自の調査も始められています。これらの活動やその結果が県民にも広く情報発信され、川をより身近なものとして、私たちの日常生活と川との関わり合いを考える機会が広がっていくことを期待します。

連絡先

高知県 林業振興・環境部 環境研究センター
住所: 〒780-8010 高知市桟橋通6丁目7番43号
電話: 088-833-6688
ファックス: 088-833-8311
メール: 030802@ken.pref.kochi.lg.jp

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