環境トピックス:高知県のごみ処理事情

公開日 2012年04月01日

環境トピックス

高知県のごみ処理事情 ~循環型社会への取組~

1.ごみ問題とは?

 ごみ問題という言葉を聞いたことがありますか?
  私たちは日々の生活のなかで毎日ごみを出しています。ごみをどう減らし、どう処分するかは大変大きな社会問題であり、 環境問題です。また、循環型社会をつくる上でも大変重要な課題です。
 ごみ問題の本質は、その量の多さとごみの質由来の問題です。日々発生する大量のごみは、自然の浄化能力をはるかに超え、多種多様なごみは分別によるリサイクルを困難にしています。また、人間や生態系に有害な物質を含んでいることが、ごみ問題を一層深刻にしています。

図1. 生活から大量にでるごみ
図1. 生活から大量にでるごみ

ごみ問題に関する様々な課題

  • ごみ発生の抑制、資源のリサイクル
  • 最終埋立地の確保、安定化プロセス管理
  • ごみ焼却処分におけるCO2の削減
  • ごみ焼却処分において発生する有害物質の削減(ダイオキシン類ほか)
  • ごみの不法投棄
  • 有害なごみの処分(アスベスト、PCBなど)
  • 有害なごみの越境移動

2.ごみってなあに?

 「ごみ」とはなんなのか。昔は無価値なものと一般に考えられていましたが、今では定義が難しく、簡単に判断できるものではないと考えられています。それは、ごみには個人の価値判断がつきまとうからです。ある物が製品や資源としての価値を持っていたしても、所有者にとって不要となり処分しようとすれば、それはその所有者にとって「ごみ」となります。しかし、別の人から見れば、それは価値をもった物かもしれません。また、技術的動向や資源利用状況、社会的価値観の変化によってもその価値は変化することがあります。こう考えてみると、「ごみ」というものは消費活動に由来するものですが、視点を変えると実は人間の意識や社会的価値観の中から生まれてくるのかもしれません。循環型社会への変革の第一歩は、ごみに対する個人個人の意識や社会的共通認識の改革からはじまるのかもしれません。小学校5年生の国語の教科書にはこんなことが書いてあるそうです。

『「もの」としての性質が変わったわけではなくても、人とのかかわりが切れ、だれも使う人がいなくなったとき、物はごみになってしまいます。-中略- 物は人の意識の中でごみになってしまうのです。』
(嘉田由紀子 「ごみ問題ってなあに」 光村図書 平成17年度版国語上 銀河より)

図2. ホタテの貝殻
図2. ホタテの貝殻
 昔はあまり利用されず捨てられていましたが、現在は原料や資源として様々なものに利用されています。

3.廃棄物の処理及び清掃に関する法律

 日本の「ごみ」行政の中心的役割を果たしている法律が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年12月25日法律第137号)(以下、「廃棄物処理法」といいます)です。この法律の名は、「ごみの処理及び清掃に...」ではなく、「廃棄物」という言葉をつかっています。廃棄物とは、「占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために不用になった物をいい、 これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものである。」と通達*1されています。「廃棄物」の判断もやっぱり難しいですね。
 この法律は、廃棄物の処理責任を明確にするとともに、処理方法などを規制することにより、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。また、廃棄物を大きく2種類に区分しています*2。

産業廃棄物:
 会社や工場などの事業活動に伴って生じ、廃棄物処理法に定められた20種類
 (紙くず、金属くず、廃油、廃プラスチック類、動物のふん尿など)のもの。

一般廃棄物:
 20種類の産業廃棄物以外の廃棄物のこと。
 し尿と家庭からでる一般廃棄物は行政が収集運搬・処理を行うことになっています。

*1 「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」(平成12年07月24日環境省衛環65号)
*2 廃棄物の区分についての詳細は上記の法律をご覧下さい。

4.高知県の一般廃棄物の現状

 高知県は循環型社会構築のため、平成13年度から「高知県廃棄物処理計画」を策定しています。平成23年3月には平成23年度~平成27年度までを計画期間とする新たな廃棄物処理計画を策定し、高知県の廃棄物の減量、リサイクル、適正処理に関する課題に総合的に取り組んでいます。
 これによると、高知県の平成20年度実績では、し尿を除く一般廃棄物(いわゆる家庭系、事業系ごみ) の排出量はおよそ277,000トン。このごみを標準的な2トントラックに積み込むと、およそ13万台以上のトラックが必要となり、一列に並べるとほぼ四国を1周する長さになります。処理・処分量についてみると、溶融及び選別・破砕・圧縮等により資源化された再生利用量は65,000トン、焼却などの中間処理による減量化量は197,000トン、最終処分量は14,000トンとなっています。1人1日当たりのごみ排出量は969g/人・日で、全国平均1,033g/人・日を下回っており、排出量及び1人1日当たりのごみ排出量ともに平成14年度以降若干の減少傾向で推移しています。また、これらを処理する経費(処理及び維持管理費のみ。建設費・改良費等は除く)は約101億4000万円(環境省一般廃棄物処理実態調査結果(平成20年度))でした。

高知県における一般廃棄物(家庭系、事業系ごみ)の排出及び処理状況(平成20年度実績)

図3.高知県における一般廃棄物(家庭系、事業系ごみ)の排出及び処理状況(平成20年度実績)
(高知県廃棄物処理計画(高知県,平成23年3月)より一部改変)

5.高知県の産業廃棄物の現状

 平成20年度における高知県内の事業所等から発生した不要物等発生量は、およそ1,485,000トン(高知県廃棄物処理計画)でした(図4、6)。
 業種別に見ると、建設業が549,000トンで最も多く、全体の37.0%を占めています。これに電気・ガス・熱供給・水道業が336,000トン(不要物等発生量の22.7%)、農業が262,000トン(同17.7%)、製造業が238,000トン(同16.1%)と続いています。
 種類別に見ると、がれき類が503,000トンで最も多く、全体の33.9%を占めています。これに汚泥が423,000トン(不要物発生量全体の28.5%)、動物のふん尿が261,000トン(同17.6%)と続いており、上位3品目で全体の80.0%を占めています(図4)。


図4. 高知県における産業廃棄物の排出量(平成20年度実績)。左:業種別,右種類別
図4. 高知県における産業廃棄物の排出量(平成20年度実績)。左:業種別,右種類別
(高知県廃棄物処理計画(高知県,平成23年3月)より)

 

 一方、不要物等発生量から有償物量(中間処理されることなく有償で売却された量)および動物のふん尿を除いた排出量(産業廃棄物として処理・処分される量)は1,172,000トンとなっています(図5、6)。業種別に見ると、建設業が542,000トンで最も多く、全体の46.3%を占めています(図5)。業種別比率における高知県の特徴として、全国では製造業の比率が最も高いのに対して、本県では建設業になっていることが挙げられます。また、鉱業、医療・福祉の比率も全国を上回っています。

 図5. 高知県における産業廃棄物の排出量(有償物及び動物のふん尿を除く)※平成20年度実績

5. 高知県における産業廃棄物の排出量(有償物及び動物のふん尿を除く)(平成20年度実績)
(高知県廃棄物処理計画(高知県,平成23年3月)より)


図6. 高知県における産業廃棄物の排出及び処理状況(平成20年度実績)

注1. ( )は排出量に対する比率を示します。
注2. 量は少数を四捨五入しているため、合計が一致しない場合があります。

図6. 高知県における産業廃棄物の排出及び処理状況(平成20年度実績)
(高知県廃棄物処理計画(高知県,平成23年3月)より一部改変)

6.産業廃棄物の処分

  家庭からでる一般廃棄物は各市町村がその収集・処理を行っていますが、産業廃棄物は誰がどこで処理しているのでしょうか。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、産業廃棄物の処分は排出した事業者自身に責任があり、その処分も法に従って適正に処分しなければなりません。排出事業者は産業廃棄物を自分で処理するか、もしくは知事から許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託することで処分しています。しかし、全国各地で不法投棄などの問題が相次いだため大きな社会問題になりました。
 
そのため、平成2年に厚生省(当時、廃棄物分野の所管は厚生省でした)の行政指導でマニフェスト(産業廃棄物管理票)制度が導入されました。マニフェスト制度は、産業廃棄物の流れを管理するために、排出事業者が他人に処理委託する際に発行し、収集、中間処理、最終処分の各業者の手を経るごとに処理内容等の必要事項が記載されてもどってくる制度で、排出事業者が排出した産業廃棄物が適正に処理されたかどうかを確認するためのものです。
 
しかしながら、マニフェスト制度が拡充された現在でも不法投棄はなくなっていません。平成21年度、全国で新たに判明した産業廃棄物の不法投棄又は不適正処理事案は466件、43.6万トンもありました(平成23年度版環境白書)。

マニフェスト制度の歩み
表1 産業廃棄物処理に係るマニフェスト制度の変遷
平成元年 厚生省主導により首都圏及び近畿圏の5都府県でマニフェスト導入に向けた試行調査を実施。
平成2年4月 マニフェスト制度導入。厚生省の行政指導により始まる。
平成5年4月 爆発性、毒性、感染性などの人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのある特別管理産業廃棄物の処理を他人に委託する場合マニフェストの使用を義務化。
平成10年12月 すべての産業廃棄物についてマニフェスト制度を義務化。
平成13年4月 最終処分の確認までを義務化。
平成23年4月 処理業者がマニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けることを禁止。

7.管理型産業廃棄物処理施設 エコサイクルセンター

 産業廃棄物には、埋立てた時にしみ出す水が地下水などを汚染する可能性のあるものがあります。したがって、最終処分の埋立ての際には、こうした廃棄物が環境に影響を与える程度によって、処分場の構造も変更しなければなりません。産業廃棄物最終処分場には法律で定められた基準に基づいて安定型/管理型/遮断型/の3種類があります(表2)。ちなみに、一般廃棄物の最終処分場については管理型最終処分場の基準が適用されています。

産業廃棄物
最終処分場の種類
産業廃棄物の種類 最終処分場の説明
表2 産業廃棄物最終処分場の種類
安定型最終処分場

・廃プラスチック類
・ゴムくず
・金属くず
・ガラスくず、コンクリートくず
・がれき類

・埋立ができるものは、廃プラスチック類、 ゴムくずなどの5種類(有機物の付着がないもの)であって、埋立処分後、そのものが生化学的に安定しており、汚染水を発生することなく、環境を汚染する可能性が極めて少ないものとして処分できるもの。
・この処分場には遮水工、浸出水の集水及びその処理などは要求されていないが、定期的な水質検査等が義務付けられている。

管理型最終処分場

・燃え殻(無害)
・汚泥(無害)
・ばいじん
・木くず
・シュレッダーダスト*

など

・燃え殻、汚泥など安定型産業廃棄物以外のものであって、一定量以上の有害物質を含まないものを処分対象とする最終処分場。
・地下水などの汚染を防止するため、処分場の底にシートを張るなど遮水工を行い、浸出水を集め、排水基準を満たすよう処理して放流する構造となっており、定期的な水質検査等が義務付けられている。

遮断型最終処分場

・有害な重金属等を含む

燃え殻
ばいじん
汚泥
鉱さい

など

人の健康を害するような重金属やPCB等の有害産業廃棄物を埋め立てるためのもので、処分場はコンクリート製の仕切りで公共の水域および地下水と完全に遮断される構造となっている。処分場には雨水も入らないし、処分場から汚水も出ないような構造になっている。

*工業用シュレッダーで廃家電や廃自動車を破砕し、金属などを回収した後のプラスチック・ ガラス・ゴムなどの破片混合物。

 高知県では、これまで安定型最終処分場は存在したものの、燃え殻などの産業廃棄物を埋立てする管理型最終処分場がなく、処理のために他県へ運搬しなければなりませんでした。
 平成23年10月、日高村に県内の産業・経済団体と全ての自治体で組織する財団法人エコサイクル高知により管理型最終処分場を中心とした産業廃棄物処理施設「エコサイクルセンター」が開業しました。これにより、県内で発生した産業廃棄物の県内処理態勢が大きく前進しました。
 エコサイクルセンターは、屋根つき、無放流(クローズドシステム)の最終処分場であり、国の産業廃棄物処理施設モデル的整備事業の対象施設となっています。
 最終処分場を覆う屋根(被覆施設)は、埋立地内への雨水の浸入、埋立て作業に伴う粉じんの飛散・作業機械の騒音、埋立物からの悪臭を防止します(図8)。また、クローズドシステムにより最終処分場からの浸出水は集水され、これを有機物除去や脱塩処理をして、場外に放流することなく最終処分場内の散水用として再利用されます(図9)。
 また、医療廃棄物処理施設も設置されており、医療機関から排出される感染性廃棄物(特別管理産業廃棄物)及び非感染性廃棄物を受け入れて、破砕・滅菌処理(マイクロウェーブ滅菌処理)します。滅菌・破砕物は他の焼却施設で焼却後、その残渣を再度受け入れて埋立て処分することにより処理を完結する方式をとっています。

 図8. エコサイクルセンター被覆施設        図9. クローズドシステム模式図

図8. エコサイクルセンター被覆施設      図9. クローズドシステム模式図
(エコサイクルセンターパンフレットより)    (エコサイクルセンターパンフレットより改変)

▼もっと高知県の廃棄物行政について詳しく知りたい方は下記をご覧下さい。

連絡先

高知県 林業振興・環境部 環境研究センター
住所: 〒780-8010 高知市桟橋通6丁目7番43号
電話: 088-833-6688
ファックス: 088-833-8311
メール: 030802@ken.pref.kochi.lg.jp