のれそれ

公開日 2009年03月20日

更新日 2014年03月16日

 「のれそれ」とは、高知県内ではアナゴ類の幼生の総称のことです。正確にはレプトケファレス幼生と呼ばれ、アナゴ類のほか、ウナギやウツボの仲間も同様の幼生期を送ります。この幼生名は、「柳の葉」という意味です。高知県海域で漁獲されるノレソレは、アナゴ、クロアナゴが主体となっています。ノレソレの扁平した特殊な形状は、抵抗が大きく沈みにくいため海中を漂うプランクトン生活を送るには適した形です。

  高知県では、土佐湾沿岸でイワシ類の稚魚(イワシシラス)を対象とする漁業、古くは地曳網、現在は機船船曳網(通称パッチ網もしくはバッチ網)で梅の花の咲く頃にイワシシラスに混じって多く漁獲されます。 ノレソレの名前の由来はよくわかっていません。ただ、ノレソレは生命力が強いので、漁獲されて直ぐ死んでしまったイワシシラスの上で「のったり、それたり」して動いていることから、「ノレソレ」となったという説があります。

 最近、(独)中央水産研究所が東シナ海から太平洋黒潮流域、黒潮親潮移行域の範囲におけるマアナゴのレプトケファレス幼生の分布の調査を行っています。その結果、分布の中心は東シナ海では黒潮流軸付近でしたが、太平洋では黒潮内測域(黒潮の北側で日本列島との間)に分布の中心があること、大きい個体になると比重が高くなりより深い水深に分布することが明らかになりました。今後は、この分布状況と海水密度の構造との関わり等マアナゴの幼生が沖合からどのようにして、どんなところを通って日本の沿岸域にやってくるのか、あきらかになっていくことに期待します。

       
生きているのれそれ                      エタノール固定して標本になったのれそれ

この2枚の写真は(独)中央水産研究所 黒木 洋明氏のご厚意により提供いただいたものです。

<参考文献>
黒木 洋明:(2007)「のれそれ」の沿岸域への回遊機構,「黒潮の資源海洋研究」第8号,p99-100


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