地域づくりの活動(地域支援企画員からの報告) 21−21
ウスキキヌガサタケを西土佐の特産に
地域支援企画員(総括)(四万十市駐在)公文謙吉
◆「ウスキキヌガサタケ」とは?
聞き慣れない名前ですが、「ウスキキヌガサタケ」はキノコの一種です。キノコ類に関心が深い方、高級中華料理やフレンチなどに親しまれている方であれば、ひょっとしてお聞きになったことがあるかも知れません。このウスキキヌガサタケは、学術的には、「菌類、スッポンタケ目、スッポンタケ科、キヌガサタケ属」に属するキノコです。日本国内では、高知県をはじめ、京都府、広島県、徳島県、愛媛県、福岡県、大分県、熊本県、宮崎県などに分布しているといわれています。暗緑色の傘の部分から下に伸びるマントと呼ばれる部分が鮮やかな黄色の網目状で、その優美な姿から別名キノコの女王とも呼ばれています。
◆高知県森林技術センターが全国初の人工栽培に成功

成長したウスキキヌガサタケ
ウスキキヌガサタケは、平成16年に高知県森林技術センターが全国で初めて人工栽培に成功しました。ウスキキヌガサタケの栽培を県内に広げるため、センターでは実証栽培への協力の得られる市町村を探していたところ、当時、地域の特産品づくりを目指していた西土佐村役場(現四万十市役所西土佐総合支所)から栽培の申し出がありました。
当初は、四万十市西土佐農業公社のハウスで栽培を行いましたが、水の管理などが難しかったこともあり、発生量は芳しくありませんでした。この実証栽培に転機が訪れたのは平成19年。20年以上のシイタケ栽培の経験を持つ下家地地区の松浦幹夫さんが、公社から40個の菌床を譲り受け、水の管理などに注意を払いつつ露地栽培をはじめたところ順調にウスキキヌガサタケが発生しました。平成20年からは村内の3人の方が加わり、現在では、県森林技術センターや四万十市西土佐総合支所、西土佐農業公社の支援を受けて、ウスキキヌガサタケ研究会(事務局:西土佐農業公社)が主体となり栽培に取り組んでいます。
◆試食会の開催
こうした取り組みが実を結び、量産化の目途がついたことから、ウスキキヌガサタケの販売を担う西土佐農業公社が、県外の有名料理店などにサンプルを送ったり、直接料理部門の責任者に面談するなどの販促活動を行っているところです。
現在の取引先は神戸と高知の中華料理店、地元のホテルなのですが、これには、ウスキキヌガサタケの国内の生産と流通とが極めて限定的であるため、料理店では中国から輸入される乾燥物しか使われていないこと、生のウスキキヌガサタケの取り扱いに慣れていないこと、認知度が低いことなどに原因があるようです。

黄色いマントと柄が入ったスープ
こうした中、ウスキキヌガサタケのPRと今後の消費拡大を目指して、平成22年1月22日に高知市の中華料理店「彩華」で試食会が行われました。この「彩華」は、店主の方が新しい食材の導入に積極的で、県内で唯一取引をしてくれているお店です。
試食会には西土佐農業公社の中脇事務局長をはじめ、四万十市西土佐総合支所、高知県森林局の職員、幡多の産業振興監駐在所の職員など21名が参加し、ウスキキヌガサタケ入りのスープなど3品を試食しました。黄色のマントは無味ですが、料理を華やいだ雰囲気にし、柄はリュウキュウのようなシャキシャキとした食感で、参加者の好評を博していました。この食材が貴重で、珍しいこともありますが、多様なメニューにもフィットするという可能性の高さが参加者の皆さんに理解され、試食会は大いに盛り上がりました。
◆菌床づくりも順調

3時間を超えた菌床づくり
平成22年2月23日には、かつてシイタケの菌床を培養していた下家地の施設で、生産者の松浦幹夫さん、西土佐農業公社の中脇事務局長、四万十市西土佐総合支所の篠田係長、県森林技術センターの今西技術次長ら5名で菌床づくりが行われました。朝の6時30分から10時まで作業を行い、培養袋に詰めた2.5kgの菌床(おがくず、土、ふすまの混合物)が316袋作られました。この菌床は、殺菌釜で雑菌を殺菌するため10時間かけて加熱され、その後、菌が入らないように管理された部屋で菌床に種菌を植え込み、菌が菌床全体に回る6月初旬頃に、土壌に埋め込まれます。こうして菌床が培養されたウスキキヌガサタケは6月下旬頃から発生し、10月初旬ぐらいまで採取できるそうです。
◆地域アクションプランも視野に
現在は生産量が限られているため、安定的な供給体制の整備や販路の拡大などの課題はありますが、ウスキキヌガサタケ研究会のメンバーは、ウスキキヌガサタケを収入の柱の一つにしたい、あるいは地域の特産品にしよう、との意欲を持って栽培に取り組んでいます。販売を担う西土佐農業公社でも、西土佐地域の新しい特産品として育てようと、産業振興計画の地域アクションプラン(幡多地区)への位置付けも視野に入れ、今後の取組を進めようとしています。
地域アクションプランに位置付けられた際には、ビジネスとして発展し、成功するように、地域支援企画員もPRや補助金の導入など、できるだけ応援していきたいと思います。