大気汚染物質~PM2.5ってなに?~

公開日 2013年03月27日

大気汚染物質~PM2.5ってなに?~

1.大気汚染の原因は?

 大気汚染とは大気中に排出された物質が自然の浄化機能(物理的な拡散・沈着機能、化学的な除去機能および生物的な浄化機能)を上回り、その量が平常より多くなり、生態系や物などに直接・間接的に影響を与えることです。この大気中に排出され、人などに影響をおよぼす物質を大気汚染物質といいます。大気汚染物質の発生源には、自然起源のものと、人為起源のものがあります(表1)。

大気汚染の起源 大気汚染物質

表1 大気汚染物質の起源

自然界からの起源 砂塵、花粉、火山からの噴出物、森林火災、海塩など
人為的な起源 工場、自動車などからの排出ガス、生産活動に伴うガス・粒子状物質・化学物質など

 大気汚染物質には様々なものがありますが、人の健康に影響を及ぼす代表的な大気汚染物質に関しては、環境省が環境基準を定め、それらの濃度が環境中で環境基準値を超過しないように常時監視されています(表2)。
 高知県でも高知市、南国市、須崎市などで監視されています。
 また、これらのほかに、長期に吸引すると健康被害等が生じる恐れのある有害大気汚染物質についても、環境基準として4物質、指針として9物質が 定められ、その他関係物質を含め高知市、須崎市など県内4ヶ所で測定しています。また、空気中のダイオキシン類も県内11ヶ所で測定しており、いずれの測定結果も環境基準等を超過していません。

環境基準の定められた大気汚染物質 発生原因など
表2 環境基準が定められた常時監視大気汚染物質(PM2.5を除く)
二酸化硫黄(SO2 化石燃料に含まれる硫黄成分が酸化されてできる。大気中で長距離輸送されて広い範囲に影響する。
一酸化炭素(CO) 化石燃料に含まれている炭素が不完全燃焼して発生する毒性の高いガス。代表的なものは自動車排ガス。道路沿いや駐車場で高濃度汚染が発生することがある。
浮遊粒子状物質(SPM) 大気中に浮遊している粒径10µm以下の粒子のこと。発生源は様々で、発生源から直接排出されることもあれば、ガス状物質が大気中で粒子化したものもある。浮遊粒子状物質は視界の悪化や人の健康に悪影響を及ぼす。
二酸化窒素(NO2 物質が燃焼するとき、主に空気中に含まれる窒素が酸化されてできた一酸化窒素(NO)が、さらに酸化されてできる。大気中で光化学反応により光化学オキシダントであるオゾン発生の原因になる。
光化学オキシダント(Ox 工場、自動車などから排出された窒素酸化物や揮発性有機化合物(VOC)、植物起源の炭化水素が大気中で光化学反応を起こし発生する酸化性物質(オキシダント)の総称。光化学オキシダントのほとんどはオゾン(O3)で、強力な酸化作用を持ち、光化学スモッグの原因となる。

2.PM2.5(ピーエム2.5)ってなに?

 最近、「PM2.5」が話題になっています。皆さんご存知でしょうか?1997年、アメリカにおいて、PM2.5と呼ばれる大気汚染物質の 環境基準が追加されたことで、この物質がクローズアップされはじめました。PM2.5は日本では「微小粒子状物質」とも言い、直径(空気動力学径)が2.5µm前後の微粒子のことです。これは髪の毛の太さの1/30程度の大きさになります。“PM”とは、“Particulate Matter” の略で、上記でご紹介した大気汚染物質の一つである浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)(=10µm以下の微粒子のこと)の仲間です。つまりは、粒の大きさを名前にしています。PM2.5は軽量で、ほとんど沈降せずに、大気の流れにのって遠くまで広がっていく 性質がありますので、SPMに比べ広域的な影響を受けやすいと考えられます。

図1PM2.5及びSPMの発生源(概念図)

 これらの粒子状物質は単一の物質からできているわけではなくて、人為起源、自然由来のさまざまな化合物(炭素、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム及びアルミニウムなど)から構成され、地域や季節によってその成分組成は変化し、しかも様々な大きさの粒子が含まれる混合体です(図1)。また、排出された時点で粒子状のものもあれば、ガス状物質が光化学反応や中和反応により粒子化して2次的に粒子になったものもあります。特にPM2.5の発生過程は複雑で、その発生メカニズムはいまだ研究中です。しかし、このような大気汚染物質の多くは、工場、自動車、船舶などの排ガス、道路粉じん、その他人間活動に伴って発生しており、私たちの資源やエネルギーの利用と密接に関係しています。一方、黄砂や海水の飛沫由来の微粒子も存在し、季節によっては大きく変動します。

【備考】
「µm(マイクロメートル)」は「mm(ミリメートル)」の1000分の1の長さです。つまり、1µmは0.001mmです。

3.PM2.5による健康への影響

 大気中に浮遊している粒子はさまざまな物理・化学的な性質を持っています。しかし、なぜ、そうした化学的性質ではなく、2.5µm、10µmとか、粒子の大きさに注目するのでしょうか?それは、粒子の大きさが、人への健康影響や大気中の挙動を考える上でもっとも重要な特性と考えられているからです。つまり、粒径には大気中の微粒子の発生源や発生過程の違いが影響していて、しかも、粒径の小さい粒子ほど、人体の気管を通過しやすく、より肺の奥に付着するため、人体への影響が大きいと考えられているからです。PM2.5は微小なため、より人体の奥に入り込み、炎症などを起こしやすく、ぜんそくや気管支炎、肺がんの発症リスクを高めたり、循環器系への影響も懸念されています。
 また、粒子の大きさとともにその成分によっても影響が異なります。成分構成を知ることで発生源や削減対策にもつながりますので、粒子の濃度とともに成分実態も重要視されています。
 PM2.5の健康への影響においては、中国からの越境汚染がクローズアップされていますが、日本国内でもまだまだ対策が進んでいません。さらに、もっと身近なところでは、受動喫煙によるものがあります。タバコの煙にもPM2.5はたくさん含まれています。

4.国内のPM2.5への対策

 平成21年9月、環境省は、中央環境審議会の答申を受け、微小粒子状物質に係る環境基準について告示しました(表3)。環境基準は、法に基づく行政上の目標値で、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として位置付けられています。

大気汚染の起源 環境基準 測定方法
表3 微小粒子状物質(PM2.5)における環境基準

微小粒子状物質(PM2.5)

1年平均値が15µg/m3以下であり、1日平均値が35µg/m3以下であること。 濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法

※環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については、適用しない。
※微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5µmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。

 PM2.5は、様々な成分で構成され、しかも地域や季節、気象条件などによってその組成がさまざまに変動することから、健康影響が起きる濃度水準を明確に示すことは難しいと考えられています。このような前提に基づき、PM2.5の環境基準については、疫学知見から総合的に判断して設定されています。したがって、環境基準を超えているからといって、それだけでただちに健康影響が起きるというような基準ではありません。
 PM2.5による大気汚染の状況については、これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や自動車排出ガス規制などにより、年間の平均的な濃度は緩やかな減少傾向にあります。平成22年度以降は横ばいで推移しており、平成27年度の年平均値は一般環境大気測定局(一般局)と自動車排ガス測定局(自排局)の両方が、平成22年度以降で初めて長期基準の基準値(15µg/m3)を下回りました(図2)。
 また、平成27年度の環境基準達成率は一般局で74.5%、自排局で58.4%であり、一般局、自排局ともに改善しました(平成26年度 一般局:37.8%、自排局:25.8%)。

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図2 PM2.5の年平均値の推移(環境省HP「平成27年度大気汚染の状況」より)
 

5.PM2.5のリスクを正しく回避する

 環境省が平成25年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」では、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均70µg/m3と定めました(表4)。しかしながら、指針値を超えたからといって、すべての人に必ず健康影響が起きるというものではありません。

レベル 暫定的な指針となる値 行動のめやす 注意喚起の判断に用いる値 ※3
午前中の早めの時間帯での判断 午後からの活動に備えた判断
5時~7時 5時~12時
日平均値(µg/m3 1時間値(µg/m3 1時間値(µg/m3
表4 注意喚起のための暫定的な指針
70超 不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす。(高感受性者 ※2 においては、体調に応じて、より慎重に行動することが望まれる。) 85超 80超
70以下 特に行動を制約する必要はないが、高感受性者では健康への影響が見られる可能性があるため、体調の変化に注意する。 85以下 80以下
(環境基準)
35以下 ※1
※1 環境基準は環境基本法第16条第1項に基づく人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準
   環境基準の短期基準は日平均値35µg/m3であり、日平均値の年間98パーセンタイル値で評価
※2 高感受性者は、呼吸器系や循環器系疾患のある者、小児、高齢者等
※3 暫定的な指針となる値である日平均値を超えるか否かについて判断するための値

 ただし、環境省では、呼吸器系や循環器系の疾患のある方、子供やお年寄りなどでは、個人差が大きいと考えられていることから、これより低い濃度でも健康影響が生じる可能性は否定できないとしています。この暫定的な指針となる値については、今後新たな知見やデータの蓄積等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこととしています。

 もし、PM2.5濃度が暫定的な指針となる70µg/m3を超えた場合にはどうすればよいのでしょうか?
 環境省は、屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは健康被害を防ぐために有効で、その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入を減らすことに留意する必要があるとしています。特に呼吸器系や循環器系の疾患がある方、子供や高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があるので、普段から健康管理を心がけるとともに、体調の変化に注意することが大切です。また、マスクや空気清浄機などは、メーカーにより性能がまちまちです。マスクは正しく使用しないと性能を発揮しないこともあります。使用の前にきちんと調べる必要があります。
 なお、家庭では、喫煙により室内のPM2.5の濃度が大きく上昇することが知られています。喫煙する方は配慮が必要です。

 最新の微小粒子状物質PM2.5の濃度の状況を知るにはどうしたらよいでしょうか?
 現在、国や地方自治体が全国1000ヶ所以上(平成27年度末現在)でPM2.5の常時監視を実施しています。高知県では、県内6ヶ所において監視測定を実施しており、測定結果は県のホームページで速報値が公表されています。
 PM2.5を始めとする大気汚染物質濃度の全国の状況については、環境省の大気汚染物質広域監視システム“そらまめ君”があります。
 PM2.5を正しく学び、それらのリスクを正しく回避しましょう。

高知県ホームページ 微小粒子状物質(PM2.5)速報値
 http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030801/pm25-sokuhou.html
環境省の大気汚染物質広域監視システム“そらまめ君”
 http://soramame.taiki.go.jp/

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