第6回INAP報告書(タンジュンペラ港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

2004年10月20日

第6回INAPシンポジウム:タンジュンペラ港

タンジュンペラ港の民営化 −現在と将来の姿−

タンジュンペラ港
ゼネラル・マネージャー
Ir. Herry Subagio, MM


I. はじめに

 インドネシアは3,000マイルの海上に点在する17,000の島々で構成されています。したがって、海上運輸や港湾が、わが国の国内取引や国際貿易を支える要衝となっているのです。

 インドネシアにおける港湾管理は長い歴史を持っています。1945年の独立から、港湾は国営企業、公営企業、有限会社等の国営会社により管理運営がおこなわれてきました。

 1996年政府第70号法律により、わが国の港湾は、国家システムの一部となり、2種類の港湾が指定されました。公営港と特別港です。インドネシア政府は公営港の設置管理を行い、一方の特別港は、民間により設置管理がおこなわれています。ついで、政府は商業港の運営をPT(PERSERO) Pelabuhan Indonesia I, II, III, IV (以下、インドネシア港湾会社と称します)に委譲しました。この企業は、メダン、ジャカルタ、スラバヤ、ウジンパダンに本社を持つ企業です。政府はその他の、非商業目的の港湾の運営をおこないます。

 インドネシア港湾会社IIIは、スラバヤを拠点とし、中央ジャワ、東ジャワ、バリ、西南イーストヌサ、東南イーストヌサ、南カリマンタン、中央カリマンタンの8地域にまたがる19の支港と4つの子会社を持っています。

II. インドネシア港湾会社IIIの民営化

 ビジネス環境のダイナミックな変化に対応し、高いレベルの効率性、強力な港湾管理、優秀な業務を創造する必要が焦眉の急となり、インドネシア港湾会社IIIでは、民営化計画、すなわち、民間活力の港湾業務への参画を実行しています。

 国の法律や政府の規制に基づき民間が参加することができる港湾管理の分野はたくさんあります。しかし、航行水路、港湾地域や土地管理は除かれています。

 インドネシアでは、次のような民営化モデルが港湾で全体的に実行されています。
1.部分的活動民営化: 民間が、荷役業務、トラック輸送、貨物の積み上げ等の業務をおこなうものです。
2.部分的施設民営化: 国営のターミナルオペレータがターミナルの一部を民間に下げ渡し、競争入札あるいは戦略パートナーを指名することで、ターミナルオペレータとしてこれを管理するものです。民間が長期的に特定のターミナルにおいてすべての活動や管理をおこなうことができます。
3.資本の民営化:これには2つの戦略があります。
・直接民間プレースメント: 民間が港湾の株式の一部、通常は49%の株式を取得し、港湾管理に参加するものです。
・株式公開: 国営企業が、新規公募(IPO)により株式を公開し、株式の割り当て発行を続けることです。
4.民間が新港の建設や管理に投資をおこなうことができます。
5.国営企業の所有物であった港湾を民間に完全に売り渡し、民間が100%株主となって管理をおこなうものです。
6.民間が国営港湾企業を管理することにより、単一株主たる政府の力を低減させていくこともできます。

 港湾の民営化の目的は次のいくつかに分けることができます。
・国家歳入の増加
・国営企業(SOE)が新しく投資をおこなうことによる収入の増加
・国営企業の効率化と競争力のアップ
・企業経営の透明性確保
・ノウハウ、技術の移転と向上、戦略パートナーとのネットワーキング

 企業利益の拡大と公共サービスの増加を目的として、インドネシア港湾会社IIIでは、子会社を設立することにより、非常に将来的に有望な業務部門の株式を売却してきました。このように民営化計画を通して、民間がいくつかの港湾業務に参画することを可能とする政策は、2つの戦略を実行することにより具体化されています。1つは、直接民間プレースメント戦略、もう1つは運営協力戦略です。

II.1. PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤにおける直接民間プレースメント

 このコンテナターミナルはスラバヤにあり、1992年に業務を開始しました。このとき、500mのコンテナ埠頭に初のガントリークレーンが作動を開始しました。それ以来、東ジャワや東インドネシアの輸出入業者の必要を満たす効率的で効果的なターミナルとしての評判にたがわぬサービスを提供してきました。1997年、既存の施設では増大する貿易の必要を満たすには手狭になり、施設を2倍に拡大する計画が作成されました。

 1999年4月、インドネシア港湾会社IIIのコンテナターミナル部門が分社化し、PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤとして独立しました。次いで、同社の49%の株式を購入してP&Oオーストラリアポートが民営化されました。今日では、ターミナルは水深10.5mで1000mの岸壁(12mに浚渫可能)と、水深7.5mで450mの岸壁を持っています。コンテナヤードも拡張され、1日あたり20,000TEUのコンテナを取り扱う能力を持っています。2002年初頭には、本格的な機器購入がおこなわれ、現在では、このターミナルは、年間200万TEUのコンテナを取り扱う能力があります。

 両株主から指名された同社のコミッショナーと役員は、世界で最高レベルの業務とともに、生産性とサービスレベルの向上にむけてがんばっています。同社は、この基盤に基づき、高いレベルのサービスを保証するとともに、少なくとも、顧客の期待を裏切らない、あるいは、それ以上のレベルの業務を提供する組織となるための企業作りがおこなわれています。

II.2. タンジュンペラ港支店の将来像

 インドネシア港湾会社IIIはタンジュンペラ港をターミナルオペレータとする計画をしています。このコンセプトは、民間活力を埠頭、ターミナル、倉庫他の港湾施設管理に注入するという企業像を示しています。

 また、このコンセプトは、より健全でより透明な競争を創造することを目的としています。なぜならば、これらは民間により可能であるからであり、民間こそが、資本構成や管理能力を持っているからです。民間活力が、意思決定に精力的に加わり、顧客の利益をより敏感であることが期待されています。

 タンジュンペラ港に適用されるターミナルオペレータのコンセプトは、2つのコンセプトで構成されています。1つは、タンジュンプリオク港型コンセプト、1つはタンジュンペラ港型コンセプトです。タンジュンプリオク港で実施されたターミナルオペレータコンセプトの成功部分をすべて採用し、不成功な部分は破棄します。

III.タンジュンペラ港におけるISPSコードの実行

 かなり前から、国際海事機関は船舶が海賊やテロの標的になりやすいことを認識しており、そのため、国際船舶及び港湾施設保安コード(ISPSコード)を作成しました。

 ISPSコードは、1974年の海上人命安全条約Chapter XI-2 海上の保安を高めるための特別措置を構成する主要部分であり、これにより国際海事機関は、安全とセキュリティがそれぞれ確保されなければならないことを認識し、港湾施設の安全性を海事全般に含めました。

 このコードは、港湾地域のサービス標準を認証するものです。したがって、すべての顧客によりよいサービスを提供するとともに、サービスの効率性を持たせることが期待されています。

 インドネシア政府は、周辺地域における船舶と港湾施設の安全に関する大統領法No.65/1980および通信大臣決議No.32/2003国際海事条約に基づき、国際海事規則に批准しました。

 私ども、タンジュンペラ港では、このコードを2004年7月1日から適用する準備を完了し、船舶や港湾施設のセキュリティを実施、評価、見直しをおこなうRSO(認定セキュリティ組織)を指名しました。また、ISPSコードの実施を支援するため、機器の整備をおこないました。
・モニタリング装置:32台のカメラを含むCCTV。将来的にさらに20台のカメラを設置します。
・イルミネーションランプの増設
・フェンスの設置
・入場・退出ゲートの設置
・警備員の配備

 タンジュンペラ港は、インドネシア海上通信局総合理事会(Indonesian Directorate General of Sea Communication)からコンプライアンス宣言書(SoC)を受けています。しかし、ISPSコードに遵守することについては、タンジュンペラ港は、まだまだ遵守しなければならない項目が残っております。SoCを受けているターミナルは、北ジャムドターミナル、ガプラ・ヌサンタラおよびガプラ・スルヤ旅客ターミナル、東バーリアンターミナルのみで、一方、その他の、南ジャムド、東ニラム、西北バーリアン、ミラー、カリマス等のターミナルは、船舶安全証書(SSC)を持たない船舶に業務を提供しており、ISPSコードを遵守するまでにはいたっておりません。SoCをすでに受けているターミナルは、ISPSコードを遵守しているのです。
また、PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤおよびその他の4つの港湾施設プロバイダーも、認証を受けています。これを維持するため、私たちは、運営標準書をコンプライアンスが必要な場所で業務をおこなう者や機器のために作成しています。


この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

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ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
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メール: 175201@ken.pref.kochi.lg.jp
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