第4回INAP報告書(スービック港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

2002年11月14日

第4回INAPシンポジウム:スービック湾港(SBMA)

~スービック湾自由貿易港地域~

○スービック湾自由貿易港地域

フィリピン政府の要請を受け、日本政府は「フィリピン共和国スービック湾港開発マスタープランについての調査」を実施することを決定し、その実施面を国際協力事業団(JICA)に委託しました。
1998年1月から1999年6月の期間に、合計4回、財団法人国際臨海開発協力センター(OCDI)のコブネコウジ先生を団長とする調査団が国際協力事業団からわが国を訪問されました。この調査団は、財団法人国際臨海開発協力センターおよびパシフィック・コンサルタンツ・インターナショナルの職員で構成され、スービック湾都市圏開発公社を通じて、スービック港の開発にかかわるフィリピン政府当局者と検討に入り、調査区域内で実地調査を行いました。
調査団のフィリピン共和国における調査結果は、上記の報告書にも記載されているとおり、スービック湾都市圏開発公社の職員ならびにマスタープラン作成にかかわる当局者との綿密な検討が行われました。調査団は日本に結果を持ち帰り、さらに検討を重ねて、2020年を目標としたスービック湾自由貿易港地域長期開発計画と2007年の短期目標がマスタープランに盛り込まれ、報告書が完成されました。

○急成長するダイナミックな要衝にあるスービック港
2000年3月10日、スービック湾開発計画の会議議事録が綿密に検討され、スービック湾都市圏開発公社と日本の国際協力銀行(JBIC)の代表者が署名し、ついに合意に達しました。国際協力銀行の代表者およびスービック湾都市圏開発公社の合意した内容は大きく次の3点です。
  (a) 計画の内容およびその見積費用
  (b)計画の実施計画ならびにその方法
  (c) 議事録で検討されている主要部分の確認。

これまでの調査の経緯ならびにその結果を受け、さらにR.A.4860(海外融資法)に基づき、フィリピン共和国財務省(DOF)は、スービック港開発融資計画について国際協力銀行から1.57億ドルの融資を受けるにあたり、スービック湾都市圏開発公社の依頼を受け入れ、2000年8月にその保証を行うことに同意しました。
東京において、2000年8月31日、スービック湾都市圏開発公社のフェリシト C. パユモ長官と国際協力銀行の保田博総裁(当時)との間で、スービック港湾開発計画融資合意文書調印式(ローン番号PH-P215)が行われました。

○短期計画
スービック湾湾開発計画の短期計画では、総予算2.15億米ドルが計上されました。スービック湾都市圏開発公社は、そのうちのおよそ85%にあたる1.85億米ドルを負担し、残り3,000万米ドルについては、オペレーターが負担するものです。スービック湾都市圏開発公社が負担する85%の予算のうち、国際協力銀行からの融資による調達分は164億5,000万円(1億5,820万米ドル)、内部調達分として、港湾管理者が15%にあたる29億300万円(2,790万米ドル)を負担します。ローン番号PH-P215は、10年の支払猶予期間を含む40年返済です。
ローン番号PH-P215は、日本のタイドローンであり、日本の建設業者に優先権が与えられています。そのもとでフィリピンの建設業者が建設をすることになっています。
この短期計画には、施設の詳細デザイン相談、建設監理、建設業者入札支援、機器調達、貨物取り扱いが含まれています。さらに、インフレ対策費、物理的予備費、港湾関連復興対策費、スービック湾都市圏開発公社の計画管理費なども計上されています。このスービック湾開発マスタープランには、パシフィック・コンサルタント・インターナショナルが財団法人国際臨海開発センターとともにかかわっているため、スービック湾都市圏開発公社がそのコンサルタントサービスを利用したいという提案に対し、国際協力銀行は異議を唱えることはありませんでした。スービック湾湾開発計画に対するパシフィック・コンサルタント・インターナショナルの役務提供は、短期計画の終了する2007年までとなっています。

 ・ アジア太平洋地域では今後1,400万TEUが不足
 ・ シンガポールはすでに取り扱い能力限界に達しており、香港は港湾に堆積物が蓄積し、深刻な状態。
 ・ そこでスービック港が役割を果たす必要あり
 ・ タイのレムチャバン港やマレーシアの各港湾も不足分を取り込むのに躍起

○計画表
 ・ 資金調達:国際協力銀行による融資
 ・ ローン番号:PH-P215
 ・ 計画名:スービック港湾開発計画
 ・ 目的:コンテナターミナルの新規建設および既存埠頭の改良
 ・ 場所:スービック港フリーポートゾーン
 ・ 施主:スービック港都市圏開発公社
 ・ 当初融資期限:2040年8月(10年の猶予期間含む)
 ・ 融資総額:164億5,000万円

○計画内容
 土木工事
 ・ コンテナターミナルの新規建設(キュービポイント)
  水深:13.0m 長さ:560m バース番:2
  コンテナヤード:面積:30ha、埋め立て容積:200万立方メートル
アクセス道路:2車線、総延長3.6km、埋め立て容積:33.5万立方メートル
  浚渫:深さ13.0m、浚渫量:20万立方メートル
  建物: 管理ビル1棟、ゲート2基、変電施設:2基
  ユーティリティ:給水、消防、雨水排水、排水、電気(非常電源含む)、下水、通信
  ナビゲーション:ライトブイ21個、ライトビーコン2個、船舶誘導レーダーシステム

○コンサルタントサービス
 ・ 工務サービス
- 捕捉調査、土壌調査
- 詳細デザイン、入札書類
- 入札支援、建設監理
 ・ 管理サービス
- 工程管理サポート
- 業者選定入札支援
 ・ 環境管理
- 捕捉環境調査
- 環境モニタリング

○計画概要
 ・ 第一期:2003年~2005年
  280mバース、ガントリークレーン(2基)、コンテナ取り扱い総量:30万TEU
 ・ 第二期:2005年~2007年
  280mバース、ガントリークレーン(2基)、コンテナ取り扱い累積総量:60万TEU
 ・ 第三期:2014年~2015年
  280mバース、ガントリークレーン(2基)、コンテナ取り扱い累積総量:90万TEU(ローン(PH-P215)対象外だが、日本(JBIC)あるいはその他の団体からの融資を検討)
 ・ NSDマリンターミナル、ボトン、ナバサン埠頭の改修工事
 ・ 道路および浚渫維持管理

○計画の意義
 ・ スービック港湾開発計画は、商業面ではセントラル・北部ルソンコリダーに面し、乗客および貨物飛行機のアクセスの面では、中心的なクラーク国際空港の入り口に位置しているという要衝にあること。
 ・ スービック・クラーク有料道路によりセントラル・北部ルソンコリダーの経済開発につながり、さらにスービック港モダンコンテナ港の重要性を高めることができる。
 ・ この開発計画で、フィリピンと日本の経済関係がさらに深まる。

1995年のこと、JICAの調査チームの中央ルソン開発計画マスタープラン作成チームが、都市化コンセプトとして「成長コリダーのトライアングル」コンセプトを打ち出し、報告書に盛り込んだ。このコンセプトは、メトロ・スービック、メトロ・アンジェレス(クラーク周辺地域)、ブラカン大都市圏(メトロ・マニラにつながる地域)という、急成長を続ける3大都市圏を中心とする都市化のパターンを1つに統合しようとするもので、全国三大成長中心地域(National Triad Growth Center)と呼ばれている。「成長コリダー」のコンセプトを拡張し、ほかの工業地域を統合することを含め、さらに成長が見込めるその他の産業を統合する必要に迫られていた。たとえば、観光産業や高付加価値農業である。高付加価値農業はセントラル・ルソンの平野部にとって最適の産業である。1999年、ベース・コンバージョン・アンド・デベロプメント・オーソリティ(BCDA)との契約が成立し、バターン・テクノロジー・パーク株式会社(BTPI)がスービック湾都市圏開発公社に所属するようになった。その結果、BTPIの経済開発は、スービック港フリーポートゾーンという急成長を続ける地域と、モロングゲートをアクセス道路で結ぶことにより、さらにその価値がたかまった。計画されているスービック・クラーク有料道路の建設は、将来、ターラックのルイシータまで延長される計画であり、これによりセントラル・北部ルソンコリダーが経済開発されることになろう。そうなれば、スービック湾モダンコンテナポートの価値もさらに大きくなる。コンテナ貨物、バルク貨物は、通常は交通量の多いマニラ港に運ばれていたが、これをスービック湾に迂回させることができるようになる。そして、さらには、スービック湾フリーポートが、セントラル・ルソンの海の玄関となり、クラーク国際空港が所在するクラーク特別経済地域は、乗客および航空貨物の要衝となろう。
おしまいに、高知県との姉妹港協定により、スービックモダンコンテナポートは、日本およびフィリピンのビジネス関係の調和に寄与することであろう。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 総務担当 088-823-9882
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
ポートセールス第二担当(客船対応・企業誘致) 088-823-9890
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