6−4 自宅待機時間

公開日 2015年07月23日

【相談内容】 (香川県労働委員会) 


 設備メンテナンスの仕事に従事しています。休日(土・日・祝日)でもお客様からの修繕依頼がありますので、当番制で9時から5時まで自宅待機を命じられていますが、その間の給料の支払いはありません。待機時間中は会社からの指示を待つため、落ち着いて過ごせず、実質的には労働時間ではないかと思いますが、法的にはどうなのでしょうか。

【お答え】


 一般的に、労働基準法にいう労働時間とは、「労働者が使用者の指揮監督下に置かれている時間」をいい、その判断は「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とされています(最高裁第一小法廷平成12.3.9)。
 したがって実際の業務に従事している時間はもちろん、例えば、労働者が事業所で待機し、いつでも顧客対応できる状態にあるような場合は、使用者の指揮監督が及んでいると判断されますので、その待機時間は労働時間に当たると考えます。

 一方、自宅待機の場合、確かに一定の行動の制限は受けるものの、実際に呼び出しや具体的な業務指示がない限り、時間の過ごし方は基本的に自由ですので、使用者の指揮監督が及んでいるとは評価されないようです。判例でも、実際の呼び出し頻度や業務従事時間、待機時間の過ごし方などを勘案して、労働者が「高度に労働から解放されていたとみるのが相当」であるとして、使用者の指揮監督下にあったとは評価されず、労働時間には含まれないと判断された事例があります(東京地裁平成20.3.27)。なお、呼び出しを受けて客先対応している時間は、当然労働時間になります。

 とはいえ、休日の自宅待機は、「労働から離れることを保障されている」とは言いがたいので、もし、当番のない休日が週に1日も確保できないようであれば、労働基準法第35条(休日)の趣旨に照らしても好ましくありませんし、今の当番制に負担を感じているようであれば、業務の実態を踏まえて当番回数を減らしたり、待機時間を短くするよう使用者と交渉する余地はあろうかと思います。また、自宅待機に対して、待機手当を支給する例も見られるようですので、一度、使用者と交渉してみてはどうでしょうか。

※ 実際の相談事例を加工しています。
 

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