1−11 被災による賃金の前払い等

公開日 2018年08月22日

更新日 2018年08月21日

【相談内容】 (高知県労働委員会)


 洪水で自宅等が被害を受け、復旧のための費用が必要となりました。給料2ヶ月分ほど必要なのですが、支給日前に給料の支払いを受けることは可能でしょうか。

【お答え】


 労働者は、出産、疾病、災害その他非常の場合の費用に充てるためであれば、給料の支給日前であっても、給料の支払いを請求することができ、既に働いた分の給料を受け取ることができます。
 例えば、給料が月末締めの翌月払いの場合、支給日前に請求すれば前月分とその月の既に働いた分の給料が、支給日以後に請求すればその月の既に働いた分の給料が、使用者から支払われます(月給制や週給制であれば、日割り計算されます。)。
 ただし、あくまでも使用者に支払義務があるのは「既に働いた分」の給料であり、「まだ働いていない分」の給料についての支払義務はありません。

 一方、使用者が「まだ働いていない分」の給料を支払うことになる「給料の前貸し」を労働者が受けることについては、身分的拘束や労働の強制を防止するため、働くことを条件に給料と相殺することが禁止されていることもあり注意が必要ですが、貸付けの原因や貸付期間、金利の有無等の要素をもとにして、労働が強制されるおそれが伴うかどうか、退職の自由が制限されるかどうかを総合的に判断すべきともされています。 
 ご相談のような場合であれば、洪水被害の復旧費用という目的は被災した労働者の救済といえますし、その金額が返済によって生活に支障を与えない程度の額であれば、労働の強制等のおそれはなく、相殺が禁止されている「給料の前貸し」には当たらないと考えられます。
 まずは、会社に対し、ご自身の事情を説明したうえで、「既に働いた分」の給料の前払いや、「まだ働いていない分」の給料の前貸しについて、ご相談されてはいかがでしょうか。

この記事に関するお問い合わせ

高知県労働委員会事務局

所在地: 〒780-0850 高知県高知市丸ノ内2丁目4番1号(高知県庁北庁舎4階)
電話: 088-821-4645
ファックス: 088-821-4589
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