■ 不当労働行為とは
労使が対等の立場で話し合って労働条件を決めるということが近代的な労使の関係であり、このために労働者は団結して労働組合をつくります。
憲法は、労働者が自由に労働組合をつくり使用者と交渉することを労働者の正当な権利として保障しています。
つまり、使用者がこの権利を認めて、労働者と話合いでお互いの関係を正しく築いていくことが労使関係の基本的なルールです。
このため、労働組合法はこのルールを乱す次のような使用者の行為を「不当労働行為」として禁止しています。
■ 不当労働行為の救済手続
1 救済の申立て
使用者から不当労働行為を受けたときは、次のような手続で労働委員会に救済を申し立てることができます。
申立てができるのは、労働組合又は労働者個人です。
申立ては、不当労働行為と思われる具体的な事実と、どういう救済を求めているかを書いた「不当労働行為救済申立書」を提出して行いますが、口頭で行うこと もできます。
申立書の提出先は、不当労働行為の行われた所、使用者の住所又は労働組合の事務所のある所のうち、どの都道府県の労働委員会でもかまいません。
申立てができる期間は、不当労働行為があった日から1年以内です。
また、地方公営企業等の労働関係に関する法律第12条による解雇については、2か月以内です。
なお、労働組合が申立てをする場合は、申立書とともに「労働組合資格審査申請書」の提出が必要です。
2 審査
申立てがあると審査が始まります。審査とは調査と審問の総称で、会長又は会長の指名する公益委員(審査委員)が指揮して進めます。主にこの過程で当事者はその主張を立証するための十分な機会が与えられることになります。
労働者委員・使用者委員は参与委員として審査に参加し、当事者に対し質問したり、証人を尋問したりすることができます。
審査は、当事者双方の出席を原則としていますが、当事者の一方が出席を拒否した場合などには、他の一方だけの出席で行う場合があります。
当事者は、審査の手続きを代理人に代理させることや、補佐人を伴って出席することができます。この場合は、あらかじめ代理人・補佐人申請書を提出して審査委員の許可を受ける必要があります。代理人の申請に当たっては、委任状も必要です。
なお、労働委員会は、調査や審問の途中でも、審査の実効性を確保するため、証人の出頭を妨害する行為を禁止するなどの勧告をすることがあります。
(1) 調査
労働委員会は、申立てを受けると申立書の写しを使用者に送付し、それに対する答弁書及びその理由を立証するための証拠の提出を求めます。
使用者から答弁書の提出があると、両当事者に出席を求めて調査に入ります。
調査では、審問を円滑に進めるための準備をします。当事者双方の主張を聴き、その相違点を明らかにするとともに、その主張を立証するのに必要な証人や証拠書類の整理を行います。
そして、審査委員は当事者双方の意見を聴いて審査の計画を定めます。その内容は、調査手続で整理された争点と証拠、審問の期間と回数及び調べる証人の数、命令交付の予定時期です。
(2) 審問
審問では審査の計画に基づいて証人や書証などを調べます。
証人の尋問は、通常その証人を申請した側が行う主尋問、その相手側による反対尋問、そして証人を申請した側による再尋問の順に行われることになります。
書証は、文書だけでなく、絵画や写真も含みます。提出された書証について相手方の認否が行われます。
証拠調べは、当事者が申請した証人、提出した書証によるほか、必要がある場合には当事者の申立て又は職権で証人等出頭命令、物件提出命令により行うことがあります。
証人の尋問などの証拠調べが終わりますと、当事者から審問全体の総括的な陳述又は陳述書の提出が行われて審問は終結します。
(3) 命令
審問が終結すると、公益委員会議において労・使の参与委員の意見を聴いた上で合議を行います。
その結果、不当労働行為があったことが明らかとなれば、労働委員会は救済命令を出します。反対に、不当労働行為と認められないときは、申立てを棄却するという命令を出します。
命令は不当労働行為をなくし、正常な労使関係に戻すためのものです。内容は事件によって違いますが、例えば解雇された労働者を元の職場に戻し、それまでの間の賃金に相当する金額を支払うこと、組合の申し入れた団体交渉に応じて話合いをすること、労働組合の運営を妨害するような行為をやめること、今後そのような行為をしないという誓約をすることなどを使用者に命令します。
命令の効力は、命令書の写しを交付した日から発生します。
(4) 和解と取下げ
命令まで行かず、当事者の話合いにより事件を解決することを和解といいます。
和解は、当事者間で自主的に行われるもののほか、審査委員が将来にわたる労使関係を考慮し、和解による解決を図ることが適切と判断したとき行われます。この場合、当事者の自主的な話合いを勧めたり、和解を勧告したりします。その結果、和解が成立したときは、その内容を文書にして、お互いにそれを守らなければなりません。
なお、当事者双方の申立てにより労働委員会が和解調書を作成した場合、この和解調書は強制執行に関しては債務名義とみなされます。
争いとなった問題が当事者間の自主的な話合いにより解決したときや、救済申立てをした理由が消滅したときなど労働組合(労働者)は、命令書の写しが交付されるまではいつでも申立ての全部又は一部を取り下げることができます。
(5) 審査の期間の目標
労働委員会は迅速な審査を行うため審査の期間の目標を定めています。高知県労働委員会では、この不当労働行為救済申立てから事件の終結までの期間の目標を一年以内としています。
(6) 再審査及び行政訴訟
当事者は、命令に不服がある場合、命令書の写しが交付された日から15日以内に中央労働委員会に再審査の申立てを行うことができます。
また、命令の取消しの訴えを労働組合(労働者)は6か月以内に、使用者は30日以内に高知地方裁判所に提起することができます。
(7) 命令の確定
再審査の申立ても行政訴訟の提起も行われなかった場合や裁判所の確定判決により支持された場合には、命令は確定します。
確定した命令に使用者が違反すると、罰金など処罰の対象になります。
なお、労働委員会は使用者に対して命令の履行について報告を求めることがあります。
■ 過去の命令
過去の命令については、中央労働委員会「労働委員会関係 命令・裁判例データベース」にて、ご検索ください。
■ 関係書式のダウンロード
(4) 「答弁書」[PDFファイル/25KB]
(5) 「答弁書記入例」[PDFファイル/5KB]
(7) 「委任状」[PDFファイル/16KB]
(8) 「証拠説明書」[PDFファイル/21KB]
(10) 「取下書」[PDFファイル/23KB]