8−1 採用内定取消し

公開日 2011年10月25日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (徳島県労働委員会)


 私は、就職活動の後、採用内定通知を受け、誓約書の提出など入社に向けた手続きをしてきましたが、昨今の厳しい経済情勢の中で会社の業績が急激に落ち込んだという理由で、採用内定取消しを申し渡されました。
 納得がいかないのですが、どう対応したらいいでしょうか。


【お答え】 


   採用内定は、一定の条件のもとで労働契約が成立していることになります。
 会社による内定取消しは、既に成立した労働契約の一方的な解約であり、これが適法と認められるには、「客観的に合理的で社会通念上相当として是認できる事由」がある場合に限りますので、業績が急に落ち込んだという理由だけでは認められません。


 採用内定の法的性質については、判例・通説は、企業からの労働者の募集は労働契約の申込みの誘因であり、これに対する応募が労働契約の申し込みであり、これに対する企業からの採用内定通知は、その申し込みに対する承諾であり、これにより、両者間に解約権を留保した労働契約が成立したことになるとしています。
 したがって、採用内定取消し事由が生じたときには解約できる旨の合意が含まれており、また、新規学卒者は、卒業できなかった場合も解約できるものとなります。


 通常、企業の経営・人事計画に則って人材募集を行いながら、その数ヶ月後に採用を取り消すほどに経営悪化することは考えられませんが、仮に経営状況が悪化したとしても、企業側にそれを予見できなかった責任もあり、単なる不況による内定取消しに合理性を認めるのは困難で、ご相談事例の採用内定取消しは適法性を欠いたものと考えられます。


 このような観点から見て、話し合いをしても会社側の説明に納得がいかない場合は、裁判において会社側に従業員たる地位の確認か、損害賠償請求を求めることが可能と考えられます。



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