◆◇◆◇◆ 小中学校課学校教育担当メールマガジン「パートナー」◇◆◇◆◇                             H26.2.28 第132号        県教育委員会HP http://www.pref.kochi.lg.jp// 小中学校課HP http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310301/ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇        高知県教育委員会事務局 小中学校課学校教育担当 編集・発行 -------------------------------------------------------------------------  寒さの中にも、ようやく春の気配が感じられる季節となりました。散歩中に、 先日まで蕾のままだった梅が、ぽつぽつと咲きはじめているのに気づき、思わず 見とれてしまいます。  明日からは3月となります。学校では、子どもたちが学習のまとめや生活の 振り返りをして、一年間の成長を確かめているのではないでしょうか。温かい 支援や成長を促す指導が重なり、たくましく成長した子どもたちの姿が、各学校、 各学級にあることと存じます。  本年度も残すところあと一か月。春の息吹とともに、「パートナー」2月号を お届けします。 ------------------------------------------------------------------------- 【銀杏だより】 『予期せぬ出来事』 永野 隆史 小中学校課長 【教育実践】  教育事務所記事 <東部教育事務所> 【平成25年度高知県学力定着状況調査の結果について】 【「心を耕す」教育の総合的な推進】 (1)キャリア教育の部屋 (2)道徳の部屋 【ザ・チャレンジ!】 (1)ことばの力育成の部屋 (2)理科の部屋 (3)外国語の部屋 ------------------------------------------------------------------------- 【銀杏だより】  『予期せぬ出来事』  冬季オリンピックの華やかな話題が満載の2月でした。その陰で、毎週末に やってきた寒波による積雪被害も甚大です。もっと報道のしようもあるのに、雪 の祭典と雪の災難のコントラストがあまりにも対照的で、なんとも憂鬱です。 冒頭から元気のないことではいけませんが、予期せぬ上司の辞任表明にも遭遇し、 どこか落ち着かないのも本心です。  落ち着かない心根の原因と質はまったく違いますが、昨年の秋ごろから、ちょ っとした体調の変化が不安を煽っていました。原因が分かれば笑い話で終わる 程度のことで、誰しもこのたぐいの話は一つ二つおもちなのかもしれません。  実は、昨年の秋ごろから、話していたら急に声が枯れてしまうことがしばしば あり、人前でまとまった時間話すのが怖くなっていました。うがいを繰り返し、 のどあめを間断なく口に入れるようになり、かなり神経質になっていました。 生来、病院は苦手で、診察は受けていませんでした。年末の議会も乗り切り、 忘年会2次会でマイクも持てたので、まあいいかとごまかしていましたが、案の 定、年明けの人間ドックで胃の再検診を指示されました。折しも、舌鋒鋭い関西 の有名タレントが、喉の病気で亡くなり、その原因と症状を詳しく報道していま したので、不安は増幅されます。胃カメラの好きな方はいらっしゃいますでしょ うか。あれを平気で口から体中に入れられる人は、私は人間ではないと密かに思 っています。でなければマジシャンでしょうか。これまで数度、胃カメラを経験 しましたが、からっきし意気地がありません。お医者様も看護師さんも、それは もう「私たちの技術はあなたには役立たない」と呆れるほど、七転八倒です。  診察結果は、胃酸過多。お医者様曰く、「あなたはピロリ菌の除去をしていま すね。除去された方の多くは胃が活発になります。若いときはいいのですが、歳 を重ねると胃酸がうまく胃の中で収まらず、食道を上ってくる例がしばしばあり ます。それで喉を傷めるのですよ。」とのこと。不安は霧のように消え去ってい きます。  後日、友人にこの顛末を話すと、「日頃からお前の食い意地が張っている姿は 気になり、再三注意してきた。ピロリ菌と一緒にぺろり菌も除去してもらってい たら、こんなことにはならない。」と、にべもありません。  ソチから帰国したフィギュアスケートの浅田選手が、外国人記者クラブに招か れての、やりとり。「元首相の本番に弱い発言についての感想は?」、「うーん。 ああいう発言をしてしまったことについては、今少し後悔しているのではないか なと思っています。」聞き手が唸ってしまう、見事な受け答え。身体を鍛えた人 は、ことばまで鍛えられている。こういう方をアスリートと呼ぶのでしょう。シ ョートとフリーの演技の間に起こったであろう、闇の中での葛藤は、露ほども見 せません。あの笑顔と心持が、自分にも備わっていれば、仕事も普段の生活も迷 いなく不安を最小限に抑えて、生きていけると思うのですが、凡人は、ついない ものねだりをしてしまいそうです。  中澤教育長6年間お疲れさまでした。随分とお世話になりました。                        【小中学校課長  永野 隆史】 ------------------------------------------------------------------------- 【教育実践】 『自分の命は自分で守る』 ~全教育活動を通じて行う防災教育~            香南市立岸本小学校の取り組みから  「鬼は外!福は内!」・・・息子が保育園の頃、「自分の身を守ろう」と、鬼 が進入してくるかもしれない場所を想定し、家中のあちらこちらにその対策が施 されていたわが家。振り返ってみると、これがわが家の防災教育のスタートでした。  今、学校では防災教育の充実が求められており、東日本大震災を教訓として、 あらゆる場面を想定しての避難訓練や防災学習、防災計画の見直しが行われてい ます。  管内でも、香南市立岸本小学校(以下、岸本小学校)は「平成25年度高知県 実践的防災教育推進事業」の指定を受け、研究テーマを「地震・津波の知識、理 解を深め、公助の意識から、自助・共助の意識へ」として、4月から防災、減災 教育に取り組んでいます。去る1月31日に研究発表会が行われましたので、その 一端を紹介します。    当日はどの教室にも、教科・領域の目標やねらいに即し、防災、減災について 真剣に考える子どもたちの姿がありました。  一年生の生活科の単元は「きしもとたんけん」、本時のめあては「新一年生に おしえるじゅんびをしよう」でした。郷土への思いを貯め込んでいる子どもたち は、「岸本のいいところを教えたいな。」でも「危ないところもあるんだよ。気 をつけてほしいな。」と防災の内容も入れながら、新一年生への伝え方を考えて いました。子どもたちの身近な生活圏を活動の場にし、探検、見学を繰り返し行 うことによって、通学路の危険な箇所や安全を守っている施設や人々に気付いて いく学習の積み上げが分かるものでした。  同様に、3年生の「総合的な学習の時間」においても、防災に関する課題をもち 探究してきた子どもたちが、学習してきたことを家庭や地域に発信して、地震や 津波災害に対しての危機意識を高め、防災や減災につなげようと主体的に学習に 取り組む姿がありました。  さらに、高学年になると、実際の被災状況を想定し自分にできることを考える 姿がありました。「緊急地震速報の重要性」について考えていた子どもたちは、 「地震が来るまでに数秒しかなかったとしても、心構えはできる。」「倒れてこ ない。落ちてこない場所へ移動ができる。」「自分の身を守ろうと思う。」等、 これまでの防災教育の学びや、教科での学習を生かして、自分なりに工夫した対 応を考え行動していこうとしていました。考える子どもたちの姿には、集団や地 域の中で自ら役立とうとする心も感じられました。  同校の池本校長は防災教育の取り組みへの思いを次のように話されました。 「防災教育はスタートをきったところです。子どもたちの学習だけでなく、教師 も学ぶことができた一年でした。大きな成果は、地震について学ぶことはもとよ り、子どもたちが自分のこととして受け止めたことです。中には、学ぶことで防 災に関する不安が増した子もいますが、大切なのは災害にあったとき、『辛抱・ 我慢・あきらめない』ということを学んだことです。防災教育は子どもの将来の ための学習であり、今を守る学習です。今後も、子どもに勇気を与える学びを来 年度へとつなげていきたいと思います。」  来年度から学校経営計画が導入されます。学校長のリーダーシップのもと、全 教職員が目の前の子どもたちに何が必要かということを焦点化し、そして身に付 けさせたい力を具体的に示し、学校全体で取り組みを進めていこうとしている 岸本小学校は、大きな一歩を踏み出したと思います。    このような取り組みは、学習指導要領総則において、安全に関する指導につい て規定されており、「学校教育においては、児童の発達の段階を考慮して、学校 の教育活動全体を通じて適切に行われるよう、関連する教科、道徳、総合的な学 習の時間、特別活動等における教育内容との有機的な関連を図りながら行う必要 がある」とされています。  岸本小学校の実践は、防災教育を特別な新しい試みとして取り組んだものでは ありません。学習指導要領に示されている内容とどのような関連があるのかを吟 味し、取り組んでいくことの大切さを示すものであり、学習指導要領以外の根拠 に基づいて行われる「○○教育」と言われる教育課題に対応していくための示唆 でもあったと思います。                      【東部教育事務所 岡崎 恵子】  ------------------------------------------------------------------------- 【平成25年度高知県学力定着状況調査の結果について】  県教育委員会では、これまでの学力調査結果から明らかになった小学校中学年 の二極化、中1ギャップによる学力低下に対応するために、児童生徒の学力定着 状況を把握し、学習指導の充実や指導方法の改善に生かすとともに、各学校及び 各教育委員会の学力向上検証改善サイクルを確立することを目的として本調査を 行っています。2回目の実施となる本年度は、調査学年を1回目の小5、中2に 加えて、小4、中1も対象として実施しました。  「平成25年度高知県学力定着状況調査結果の概要」 《調査の対象》  小学校調査 市町村(学校組合)立小学校第4・5学年  中学校調査 市町村(学校組合)立中学校第1・2学年、        県立中学校第1・2学年  ◇小学校解答児童数    第4学年   国語 5,678人  算数 5,677人   第5学年   国語 5,847人  算数 5,846人            理科 5,848人  ◇中学校解答生徒数    第1学年   国語 5,025人  社会 5,027人            数学 5,030人  理科 5,027人            外国語(英語) 5,024人   第2学年   国語 4,969人  社会 4,971人            数学 4,975人  理科 4,977人            外国語(英語) 4,968人 《調査事項》  (1)教科     小学校第4学年…国語・算数     小学校第5学年…国語・算数・理科     中学校第1・2学年…国語・社会・数学・理科・外国語(英語)         ※外国語(英語)は、音声を聞いて答える問題も出題  (2)内容    ・基礎的・基本的な知識・技能及び思考力・判断力・表現力等をみる問題    ・選択式・短答式・記述式の問題形式 《調査実施期間》  平成26年1月9日(木) 《教科に関する調査結果・高知県平均正答率》  小学校第4学年  国語 53.7%  算数 58.3%  第5学年     国語 56.2%  算数 45.3%             理科 64.1%  中学校第1学年  国語 66.7%  社会 44.8%             数学 52.7%  理科 49.6%             外国語(英語) 63.2%  第2学年     国語 49.6%  社会 31.5%             数学 44.4%  理科 29.1%             外国語(英語) 52.1% 《これまでの調査結果との比較》 ○課題が見られた国語の表現技法や算数・数学の用語の意味理解など、基礎的・  基本的な知識や技能に関する問題について、改善傾向にある。 ●複数の資料を関連付けて読み取ったり、根拠を明らかにして自分の考えを書い  たりすることなどには平成24年度調査に引き続き課題が見られる。  すでに、公表資料を小中学校課ホームページに掲載しています。公表資料の中 にある『調査結果の分析から授業改善へ』を使って、今回の調査結果を踏まえた 各学校の授業改善の取り組みを進めていただきたいと思います。短期的なPDCA サイクルを積み重ね、課題に対して迅速に、きめ細かく対応していくことが大切 です。次の学年を迎える前に、子どもたちのよさを生かし、さらに充実・発展させ るための取り組みを進めてください。  今後詳細な分析を加え、3月末を目途に各学校へ「平成25年度高知県学力定着 状況調査の結果概要」をお届けします。学校全体で分析を共有し、全ての教科で 手立てを考え、組織的に子どもたちにわかる授業づくりを進め、学力向上へと つなげていきましょう。                     【小中学校課 学校教育第二担当】 ------------------------------------------------------------------------- 【「心を耕す」教育の総合的な推進】 (1)キャリア教育の部屋  立春を迎え、本格的な春の到来が待ち遠しく感じられます。桜の花は、寒い季 節を経て(耐え忍び)、花を咲かせるそうですが、入試シーズンを迎える度に、 人間の営みも同じだなあと感じる今日この頃です。  さて、みなさんご存知のように、香美市、須崎市、宿毛市内の全ての小・中学 校には、キャリア教育の推進校ということで、キャリア教育の視点でとらえた授 業研究や教育実践に取り組んでいただいているところです。  そこで今月は、1月16日(木)に開催されました、須崎市立新荘小学校で行 われましたキャリア教育自主発表会について報告します。  発表会の内容は、地域の偉人に関する児童発表、研究主任による本校の取り組 み等で構成されていました。本校での取り組みで注目すべき点を以下に2つ紹介 します。 ○付けたい力やねらいの明確化   本校では、キャリア教育の目標を基礎的・汎用的能力の中から①自尊感情の  豊かな児童の育成(自己理解・自己管理能力)②コミュ二ケーション力(人間  関係形成・社会形成能力)の育成の2点に絞っていました。児童の実態を踏ま  え、教職員で共通確認し設定された目標であり、重点化されていました。 ○既存の教育活動の活用   地域産業(農業)や地域人材(副読本に掲載されている偉人も含め)を活用  した総合的な学習の時間の探究的な学習や特別活動の体験活動などの取り組み  を通じて、キャリア教育の付けたい力である「自尊感情」や「コミュニケーシ  ョン能力」の育成が意識されていました。また中学校英語教員と連携した外国  語活動の取組を通じて、授業評価結果からも授業を重ねるごとに児童の「話し  たい、表現したい。」という内的動機が高まり、キャリア教育のねらいでもあ  るコミュニケーション能力の素地が確実に培われていました。    大きく2点について示しましたが、本校の学校評価アンケート(児童用)の数 値からも児童の変容がうかがえ、「学校生活が楽しい」のA評価が前年度よりも 27%、「自分の学級が楽しい」のA評価が前年度より14%、「授業がよく分 かる」のA評価が前年度より12%向上しており、キャリア教育の取り組みを通 じて児童の自尊感情と学習意欲、意欲的な学校生活の項目が改善されています。  この3学期には、どちらの学校でも本年度の反省を踏まえ、次年度への計画が 進められていることと思いますが、こうした新荘小学校の取り組みを参考にして、 目の前の子どもたちの課題解決に生かし、「夢」や「志」を育む高知のキャリア 教育の推進につなげていただきたいです。                        【小中学校課 須内 康雄】 ------------------------------------------------------------------------- (2)道徳の部屋    ~平成25年度道徳教育に関する調査【年度末】の結果について~  県内の公立小学校201校、中学校107校(分校は本校に含む)において、 道徳教育に係る内容について回答していただきました。全小・中学校における 道徳教育の現状を踏まえ、今後の取り組みへのさらなる支援に生かしていきます。  以下に、調査結果(抜粋)を記します。 1 道徳教育の推進体制の整備について  ①十分機能している            小学校183校 中学校91校  ②十分機能していない           小学校 16校 中学校16校  ③協力体制が整備されていない       小学校  2校 中学校 0校   ※校長の方針の下に、道徳教育推進教師を中心に、全教師が協力して道徳教    育を展開する組織体制を確立しましょう。 2 道徳教育に関する校内研修について(回答の多かった内容)  ①諸計画の作成等             小学校132校 中学校37校  ②資料分析・学習指導案づくり       小学校121校 中学校71校  ③道徳の時間の研究授業          小学校106校 中学校80校  ④児童生徒の道徳性の実態把握       小学校111校 中学校49校  ⑤道徳教育ハンドブックの活用       小学校 56校 中学校15校   ※来年度は、道徳教育ハンドブック「家庭で取り組む 高知の道徳」の活用に    ついてもPDCAを確立していってください。 3 家庭や地域社会との連携について(回答の多かった内容)  ①学校の行事への招待・地域の行事への参加 小学校186校 中学校89校  ②学校通信・学年通信・HP等での発信   小学校159校 中学校77校  ③福祉施設・社会教育施設等との交流    小学校133校 中学校52校   ※「保護者・地域の人々と道徳教育について考え合う機会の設定」の割合に    ついては、小学校49.3%、中学校33.6%でした。今後は、道徳参    観日等の後で、道徳教育ハンドブック「高知の道徳」を活用する等して、    子どもたちの道徳性について、話し合う場を設定していただきたいです。 4 道徳の授業公開(全学級公開・一部の学級での公開を合わせて)  小・中学校ともに100%(うち全学級で公開している学校 小学校148校  中学校85校)   ※学校・家庭・地域が一体となった道徳教育がさらに充実していきますよう、    教育課程上に位置付けられている道徳の時間の授業公開が、全学級において    公開されることを期待しています。 5 道徳教育用教材「ふるさとの志」の活用場面について(回答の多かった内容)  ①道徳の時間の教材として         小学校183校 中学校90校  ②校内研修や伝達講習で          小学校 76校 中学校42校  ③道徳の時間以外の教育活動で       小学校 38校 中学校14校   ※道徳教育用教材「ふるさとの志」を使用しなかった小学校が1校、中学校    が3校ありました。来年度には、「私たちの道徳」(文部科学省)や道徳    教育用教材「ふるさとの志」(高知県教育委員会)の資料を年間指導計画    に位置付けて、資料分析会や道徳の授業研究を充実させていってください。    今年度中に、平成26年度の道徳の時間の年間指導計画の見直しをお願い    します。 6 道徳教育用教材「ふるさとの志」道徳実践事例集の活用場面について                           (回答の多かった内容)  ①道徳の時間の授業実践のとき        小学校144校 中学校75校  ②道徳の時間の資料分析のとき        小学校111校 中学校68校  ③「ふるさとの志」を活用した授業実践のとき 小学校112校 中学校43校  ④自校の道徳教育の取組の見直し・改善のとき 小学校 98校 中学校45校   ※道徳教育用教材「ふるさとの志」道徳実践事例集を使用しなかった小学校が    1校、中学校が2校ありました。    各校における道徳教育の取り組みの見直し・改善の際に、また、道徳の時間    の充実のためにぜひ道徳教育用教材「ふるさとの志」道徳実践事例集を    ご活用ください。                                   【小中学校課 藤村 真理】 ------------------------------------------------------------------------- 【ザ・チャレンジ!】 (1)ことばの力育成の部屋  一月は「行く」、二月は「逃げる」といいますが、あっという間に学年末が近 づき、まとめの時期となりました。ことばの力育成プロジェクト推進事業でも、 今年度のまとめとして1月26日に「ことばの力育成推進フォーラム」を開催し ました。その中で、本プロジェクトの指定校の内、重点校3校に1年目の研究の まとめを報告していただきましたので、その概要を2回に渡ってご紹介します。 今月は、香美市立山田小学校です。 【香美市立山田小学校】 (研究主題)授業改善から学力改善を、そして学校改善へ         -ことばの力育成を通して- (取り組み)   ことばの力(「話す」「聞く」「書く」「読む」)の獲得を学習のベースと  し、各教科で自分の考えを書くことを重視し、思考力・判断力・表現力の育成  を目指す授業を創造してきた。学習課題に対する自分の考えを書くことから学  びがスタートし、友だちとの学び合いへとつながり、さらに深まった自分の考  えを語り始める授業スタイルへと改善してきた。特に、算数科では、自分や友  だちの論理的な思考の過程がわかる(残る)ノートづくりを通して、学習内容  の基礎・基本の習得はもとより、算数科における思考力・表現力を高めるよう  にしてきた。   児童の思考力・判断力・表現力の育成を目指して次のような取組を行ってきた。  ①学校図書館を活用した国語科や各教科等の学習(並行読書、調べる学習)  ②国語シートの活用(国語科の書くことの領域での活用、補充的な学習、宿題等)  ③新聞形式による表現(国語科、生活科、総合的な学習の時間、社会科、音楽科             等) (成  果)   書くことを重視し、思考力・判断力・表現力を育成する授業の創造を目指す  ことにより、自分の考えを書くことで学びのスタートラインに立ち、説明した  り、質問したり学び合う児童の姿が見られる授業へと改善が進んでいる。    また、先月号でお知らせしたとおり、当日は人気脚本家の大石静さんによる 対談も行われました。その中から印象的だったことばをいくつかご紹介します。  ・ 教育というのは、何十年か経ってから効いてくるもの。長い時間をかけて    じんわり。  ・ 父親からは、既成の価値観(例えば長いものに巻かれて「これが正しい」    と言われているから「これが正しい」)ではなく、「自分で考えろ」と    いうことを教わった。  ・ 父親も学校の先生も論理的に話す人だった。大嫌いだったけれど、今思え    ば色々なことを教えてくれていたのだと分かる。どちらも「かなわない感」    があった。  ・ 大人が肝を据えてかからないと教育は変わらない。  ・ 向田邦子先生は、原稿を書くとき、誰が見ていなくても一番いい服を着て    仕事に向かっていたという。それは、脚本家の仕事の本番は原稿を書くとき    であり、一番肝を据えなければいけないから。    先生方にとっては、生徒に向かうときが一番肝を据えるとき。「私は、    あなたたちを教育するのに命をかけている。」という意気込みを見せるのに    ジャージはおかしい。生徒が背中を丸めて聞けない雰囲気を服装からも    出してほしい。  ・ 基礎知識を身に付けていた方が、その先の選択肢は多くなる。  ・ 読書は楽しくないと続かない。  ・ たくさん文章を読むことで色々な表現を知り、ことばの引き出しが増える。    引き出しが増えると、出そうと思ったときに出るようになる。  ・ ボキャブラリが豊富でないと感情が単純化する。感情は、ことばで認識する。   ・ 私たちは、あらゆることを言葉で認識している。思考も言葉に置き換えて    認識する。    認識したことを基に自己分析ができてこそ他者を思いやることができる。    ことばが少ないと、相手を思いやることに及ばない。  ・ 今の子は、メールを打つのは得意だけれど、メールは表層的なことばを一方    的に送るだけ。面と向かって語り合わないとことばは蓄積されない。  ・ 自分と語り合い、人と語り合うことでことばが育ち、蓄積され、書くことも    楽になるのではないか。  ・ ゆるぎない大人の姿を見せ、向かい合ってことばを交わしてほしい。生の    対話の大切さを重く捉えてほしい。  フォーラム終了後に、参加者から「『ことばが豊かでなければ心も豊かになら ない』という大石さんのことばが心に染みました。」、「ことばの力を育むため には、大人が毅然とした態度で子どもたちと向き合って対話していくことが大切 だと分かりました。」といった感想が多数寄せられ、大盛会で終えることができ ました。  先生方には、日曜日にも関わらずご参加いただき、ありがとうございました。                          【小中学校課 益永 美佳】 ------------------------------------------------------------------------- (2)理科の部屋  今月は、教育センター本館で開催される専門講座(宇宙教育)を下記のとおり 案内します。本講座では、人工衛星「だいち」からの陸地画像を使った演習等を 通して、地形形成、防災、環境についての学習の活用例を学びます。  期日 平成26年3月8日(土)  時間 13:30から16:30(受付13:00から)  場所 高知県教育センター本館 3階実習室(高知市大津乙181)  講師 大木真人(JAXA第一衛星利用ミッション本部EROC開発員)     ※JAXA:宇宙航空開発研究機構、EROC:地球観測研究センター  内容 講義「宇宙教育について」  演習「陸域観測技術衛星だいちの画像データ解析と授業での活用について」  持参物 なし  申込方法 教育センターホームページから受講申込書をダウンロードし、必要       事項を記入の上、FAX・電子メール等にて申し込みください。       高知県教育センターホームページ       http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310308/  上空から見た詳細な陸地の画像は、教材として大変魅力的です。要項では、 申込受付は2月28日(金)となっておりますが、3月4日(火)まで受付延長 しておりますので、興味のある方はぜひご参加ください。なお、定員40名にな り次第、受付終了しますことをご了承ください。                           【小中学校課 玉野井 英二】 ------------------------------------------------------------------------- (3)外国語の部屋  今年度もあと一か月となりました。学校では、学年の締めくくりや次年度に 向けての準備もあり、忙しい時期を過ごしていることでしょう。  春に迎える新しい子どもたちのための準備は進んでいますか。情報交換や引き 継ぎ等、小中連携は十分できていますか。子どもたちは、希望に胸を膨らませ、 中学校への入学を心待ちにしています。小学校では、外国語活動の中で、英語の 音声に慣れ親しみ、コミュニケーションを図ることの楽しさを味わってきていま す。きっと、子どもたちは、中学校での英語の授業を楽しみにしているはずです。  入学前に子どもたちに会うことも一つ(授業を参観する等)ですし、子どもた ちがどんな活動が好きだったか、どんな教材を使って楽しく活動してきたのか、 ぜひ小中で情報交換をしておきたいものですね。そして、可能ならば、小学校の 先生は授業で使用した教材や子どもたちの作品を中学校に貸してください。中学 校の先生は、小学校の教材や“Hi,friends!”を使用した導入を考え てみることも有効です。小中連携は、子どもたちの学びをつなぐことです。子ど もたちの目線で見ると、見えてくるものがきっとあるはずです。それが、小学校 と中学校の先生同士を結ぶ連携、学校と学校とを結ぶ組織的な連携等を通して、 進んでいくのではないでしょうか。  先月、「中学校も英語で授業」「小学校英語の教科化」等の報道について伝え ましたが、私たちが今、できることは、①再度、学習指導要領に立ち返って、 その趣旨を踏まえた授業づくりを充実させること、②卒業時のゴールを見据え、 計画的・系統的な授業計画をし、実施していくことですよね。これから、未来を きり拓いていく子どもたちのための支援を、外国語教育を通じて、ともに尽力し ていきましょう。                        【小中学校課 三村 香里】 ------------------------------------------------------------------------- ◆「パートナー」の内容は自由に引用、転載してもかまいません。 ◆バックナンバーは小中学校課ホームページでも読むことができます。  http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310301/   ◆ご意見・お問い合わせはこちらまで  TEL 088-821-4638 FAX 088-821-4926  E-mail 310301@ken.pref.kochi.lg.jp  担当:三村 / 発行責任者:今城