1.なぜ今、胎児期からの支援が必要なのか2.胎児期に大切にしたいこと
3.乳幼児期に大切にしたいこと4.みんなで取り組んでほしいこと5.出産・子育てへのメッセージ アドバイザー東京大学名誉教授 小林登 平成15年度の協議概要 平成16年度
「胎児期からの育成支援部会」開催状況
「胎児期からの育成支援部会」委員名簿

母親になる準備期間である妊娠期(胎児期)には、家族や地域の人々、医療機関、職場などの妊婦を取り巻く人々の温かな見守りとサポートが大切です。
特に初めての妊娠の場合は、体の変化や、あかちゃんとのかかわり方など誰もが不安や悩みを抱きます。そんなとき、先輩ママからのアドバイスや周囲の人々の励ましが大きな支えとなります。
また、必要な時に適切な情報を得ることができたり、困った時すぐに専門機関で相談できると、母親の心と体は安定します。
そして、そのことが、胎児の心の安定や、健やかな発育につながるといわれています 。
1.胎児の健やかな発育
胎児の心が安定し健やかに発育するためには、母親の心の状態が大きくかかわってきます。母親の心理状態や生活そのものが胎児の発育に大きく影響を与えるため、体への負担やストレスをできるだけため込まないようにすることが大切です。(図 参照)
また、家庭、地域、職場などでの周囲の温かい見守りが、母親の心の大きな支えになります。なによりも、母親自身が自分の心と体をいたわることが胎児の健やかな発育につながります。
2.親としての心がまえ
父親や母親が胎児の発育を知ることで、お腹の中に命が宿っていることを喜び、愛着がより深まるとともに、徐々に親としての自覚が芽生えると考えられます。
父親が心から母親をいたわり、精神的にサポートしたり、家事や出産準備に積極的にかかわることで、父親自身、親となる心構えができるのではないかと思われます。
3.安心して妊娠期を過ごすために
妊娠や出産について不安を抱えていたり、身近に気軽に相談する人がいない場合でも、医療機関や保健師、助産師などからきめ細やかなアドバイスを受けることによって、母親は出産やその後の育児に対して心の準備ができます。
また、妊娠期における母体の変化や胎児の成長・発達を正しく知ることは、妊娠中の生活面で気をつけたいことへの意識を高め、さらには、早くから胎児への愛情も芽生えることにつながります。
4.周囲の人々と職場環境
母親にとって、仕事と妊娠・出産・育児の両立は大きな課題です。母親の精神的、身体的な負担などを軽減するためには、職場の仲間や経営者が妊娠・出産に対する理解を深め、勤務のあり方にも配慮することが大変重要です。
また、職場で気軽に相談ができることや、同僚の理解と支えがあるということは、母親にとって大きな励ましとなります。このように働く母親が安心して過ごせる職場の環境づくりが大切です。
このほかに、父親も育児に参加しやすい職場の環境づくりをすすめることも大切です。
5.妊婦にやさしい社会環境づくり
妊婦の家族や職場だけでなく、生活の場である地域の人々の、温かな見守りが妊婦にとって大きな支えとなります。出産や子育てを経験した人が、身近で妊娠時から母親を心身ともに支え、出産の時も優しく勇気づけることで「安産」につながることもあります。(「事例2 お産とエモーショナル・サポート」参照)
また、公共施設や公共交通機関を妊婦が便利に利用できるように工夫するなど、妊婦にやさしい社会環境づくりを行うことが大切です。
こうした妊婦にやさしい環境づくりは、子どもや高齢者にやさしい環境にも通じるものがあり、全ての人々に配慮された環境をつくることにもつながります。
図 <妊婦の精神状態と胎動との関係(故夏山英一博士のデータ) >
妊婦の精神状態 | 胎 動 |
運動時間 | 運動速度 | 運動の質、種類 |
仰鬱の状態 | やや短い | 平常 | 平常以下 |
悲しみの状態 | やや短い | 少し遅い | 平常以下 |
不安の状態 | 最多 | 速い | 変化、退行 |
興 奮 時 | 驚きの状態 | やや長い | 少し速い | 平常以上 |
喜びの状態 | やや長い | 少し速い | 平常以上 |
『母親が悲しいとかゆううつといった不安定な精神状態にあるときには、胎児の運動時間は短く、その速度も普通より遅くなるのです。逆に母親が嬉しいとか驚いたという興奮状態になると、胎児の運動時間が長くなり、速度も速くなって、ふつう以上に活発になるのです。』
=「『育つ育てるふれあいの子育て』(小林登 著) 第二章 胎児からの子育て」より引用
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