当院に求められる機能

 県立精神科病院としての機能と、安芸郡の精神科病院としての機能が求められている。


 

 県立精神科病院の機能

県立精神科病院の機能として、重症精神障害者の治療、県内の精神科医療の調整機能、不採算医療そして医療職の教育と研修がある。


[重症精神障害者の治療]


 重症の精神障害者の治療は民間病院で絶対に行えないわけではないが、採算性と経営理念の面から実施しがたい。すなわち入院する患者が重症であればあるほど、設備投資、職員教育、職員配置に投資が必要となる。こうした投資は採算性を悪化させるので民間病院では行い難い。また他の軽症入院患者 へのサービスの低下がおこり、病院の評価の低下につながるので経済性重視の民間病院では行いがたい。このためこうした患者については県立精神科病院が自己への評価の低下を甘受しつつ、取り組む必要がある。


[県内の精神科医療の調整機能]


 高知県の精神科病床は基準からすると著しく過剰であるが、需要が十分満たされているわけではない。すなわち多くの精神科病院は採算性のために病床利用率を常時95%近くに保つため、緊急対応ができない。そのため病床過剰にもかかわらず入院できないことがしばしばおこっている。県の指導などにより民間の精神科病院の責任を喚起する方法も考えれれるが、とりあえずは入院先を見つけられない患者は県立精神科病院で引き受けることが必要となる。
 また一部の精神科病院では患者のブラックリストを作成し、過去に問題をおこした患者は受け入れない方針をとっている。患者との間に本来の意味の契約が成立しないので、それなりの合理性はある。しかし、現実に患者が発生したときに、どこにも入院できないと、県下の精神科医療の安定性は損ねられる。入院の必要性などを考えて県立精神科病院である程度こうした患者を引き受けることが必要となる。
県境在住者は越境して他県の病院に通院することはあるが、一般的には、精神科医療は県内で完結させるべきである。


[不採算医療]


 診療報酬は治療の難易度に応じて高低がありそれなりの合理性を持っている。しかし、身体合併症のある精神障害者の治療、小児思春期の精神科医療、アルコールを除く薬物依存の医療などは明らかな採算割れとなっている。
昨今の経済事情により不採算医療の全てを県立精神科病院で行うことはできないが、必要性に応じて、芸陽病院で取り組んでゆく必要がある。


[医療職の教育と研修]


 医師の卒後臨床研修に精神科が必修科目として取り入れられ、ようやく日本でも英米並みに精神科の重要性が認められるようになった。精神科がわかることは全ての医療行為に必要であり、医師、看護師、作業療法士などの卒前教育、生涯教育で精神科の技法を習得できるよう促す必要がある。このことを通じて県下の医療の質を高めることができる。


 安芸郡の精神科病院としての機能


 歩いたり、自転車で通院できる病院として期待され、地域内でより密度の高い精神科治療が行える病院として期待されている。精神障害は慢性疾患であり、その治療のためにはどうしても地域内での精神科医療が欠かせない。