平成30年9月14日  知事の記者発表

公開日 2018年09月14日

配布資料:平成30年9月補正予算(案)の概要[PDF:8MB]


【平成30年9月高知県議会定例会提出予定案件概要】


【記者との質疑応答】

平成30年度9月補正予算案の概要

知事)
 県議会9月定例会を9月20日に招集します。今回提出する議案は、平成30年度一般会計補正予算などの予算議案が5件、条例・その他の議案が19件、報告議案が23件、合計47件になります。
(「平成30年9月補正予算(案)の概要」の資料を示しながら)
 それぞれの内容について、私から説明をさせていただきます。
 9月補正予算案の概要ですけれども、まず、こちらの金額をご覧いただきたいと思います。総額では280億6,400万円であり、9月の補正予算としては、平成4年以来の大型の補正予算になります。なぜ、このような大型の補正予算になるのかを申し上げますと、平成30年の7月豪雨等に対する被害への迅速な対応を図るためです。
近年では、平成26年に大変大きな豪雨災害が起こりましたけれども、その時よりも今回の豪雨の方が、県下各地での雨量や被災箇所などを見ましても、はるかに大きな被害があり、その被害に対して迅速に対応するための予算を計上させていただいています。
 道路などの災害復旧131ヵ所、河川については264ヵ所ということで、公共施設等の災害復旧に関して249億1,100万円を計上しています。本当に多数の被害を受けていますので、それらに対して迅速な対応を図っていかなくてはなりません。さらに、経済被害という観点からも、農業、林業、観光、そちらにおいても、大変大きな被害が出ており、それに対応するための対策予算として4,900万円、また、被災者の皆さま方の住居の再建や生活の安定を支援させていただくための予算として5,400万円を計上しています。
 こちらの資料に記載しておりますが、この後10時から高知県豪雨災害対策推進本部を新たに設置して、第1回の本部会議を開催する予定です。通年での豪雨対策を実施するための体制を大幅に強化する必要があると考えています。
 次に、経済の活性化のための関連予算も計上しています。観光振興の展開を図っていくために2億9,900万円の予算を計上しています。予算計上をした理由について、来年の2月から自然・体験型観光キャンペーンを実施していくわけですが、いよいよ2月も迫ってきたということで、準備行為も本格化をしてくることになります。何と言いましてもプロモーションをスタートしなければなりません。自然・体験型観光キャンペーンの狙いの一つは、インバウンドの振興であることから、国内向けのプロモーションを本格的に展開するとともに、インバウンド向けのプロモーションについても、強化をしていきます。
 さらに、昨日にもジェットスター・ジャパン様から発表いただきましたけれども、国内LCC路線の利用促進などを支援させていただくことを通じて、観光振興、自然・体験型キャンペーンと相まって、さらなる誘客促進につなげていきたいと考えています。
 そして、こちらが地産外商の政策群のさらなる強化ということで、2億4,400万円を計上しています。産業振興計画について、四半期ごとにPDCAサイクルを回して取り組みを進めています。この半年、取り組みを進める中において、年度途中であったとしても取り組みを強化した方が良いと考えられる項目については、全部で5項目、掲載していますけれども、それぞれ施策の強化を図ることとしています。
 こちらにありますように、学生の県内企業への就職促進について、さらに強化する必要があると考えています。その他、農業、林業、漁業、それぞれの分野についても、新たな施策を打ち出していきたいと考えています。
 そして3番目、日本一の健康長寿県づくり、南海トラフ地震対策の抜本強化などのための施策群です。現在、高知版の地域包括ケアシステムの構築に大変力を入れて取り組んでおり、そのために必要なシステムの整備を行いたいと考えています。また、南海トラフ地震対策という観点からは、住宅の耐震化や土砂災害防止対策のための取り組みなどを補正計上しています。特に住宅の耐震化、土砂災害防止対策のための基礎調査につきましては、進捗状況が非常に良好であり、さらに進めていくために補正計上しています。
 こちらにあります歳入・歳出、それぞれこういう形になっていますが、後でもう1度説明しますけれども、この臨時財政対策債を除く県債残高が、これまでは4,000億円台ということでしたが、今回5,000億円を超えることとなります。できれば5,000億円台を超えたくないわけですけれども、今回のこの豪雨災害に対して対策を進めていくためには、やむを得ないことだと思っています。
 そして投資的経費について、9月補正後の予算の推移ということで、こちら計上しています。従来、通常の普通建設事業費だけをお見せしていましたけれども、今回は、この災害復旧事業費が非常に大きいということで、災害復旧事業費込みのデータをお示ししています。
 ご覧になるとお分かりいただきますように、こちらは1,200億円を超える1,251億円の規模になっています。災害復旧費が275億円もありますので、結果として、現段階で投資的経費が過去の中でもかなり高い水準にあることが理解いただけると思います。それだけ、災害復旧のための取り組みを進めなければならないという状況にあり、そのための仕事を全力で取り組んでいきたいということです。
 9月議会には毎回、この財政収支の見通しを提出しています。本年度もこのように試算をしました。平成36年度までの財政収支の見通しについて、今回の推計によればこういう形になってきます。特に今後の経常的な予算の歳入・歳出面ともに一定の見通しを立てながら、さらに大型の事業の先々の見通しについて、どの程度財政負担が必要なのかを見通して、積み上げて、それぞれ計算するとこういう結果になったものです。
 この青い棒グラフが財政調整的基金残高、そして赤が当初予算時における財源不足ということになります。現在、高知県は大きく分けて二つの仕事をしています。一つは南海トラフ地震対策、こちらも大変、予算がかかるわけですけれども、全力で取り組みを行っています。そして併せて、台風災害、豪雨災害に対する復旧・復興対策、こちらにも力を入れなければならないということでありまして、財政的な負荷は非常に大きい訳でありますが、何とか先々について、一定の見通しを付けることができているのではないかと思っています。
 しかしながら、財政の先々については、非常に注意もしなければなりません。こちら、県債残高の推移についてですが、これまでの間、4,000億円台で何とかキープしようとしてまいりましたが、今回、5,000億円台を上回ることとなりました。これから、今回の復旧・復興事業が続いていくことなどもあり、5,000億円台を上回っていく水準になっていくことが予想されているところです。
 そういうことで、今後の財政のあり方については注意をしなければならないと考えています。ただ、危機的な水準かというと、決してそういうことは全くありません。平成7年の水準よりも下回る水準ということですから、引き続き低水準にあります。いわゆる健全な水準にあるということは言えるのではないかと思いますけれども、従来に比べれば注意が必要だということだと思っています。さらに言えば、先々にわたってひたすら増高していくかというと、決してそういうことでもなく、一定の水準でキープできるだろうという見通しです。
 しかしながら、しつこいようですが、5,000億円台を超えていくということを考えたとき、やはり今後の財政についてはしっかり注意をしていくことが大事であり、今後の予算編成において、例えばスクラップ&ビルドを徹底するなどの取り組みが非常に重要だと考えているところです。
 各項目について、少しお話をさせていただきます。先ほど来、予算規模がかなり上るという話をさせていただいていますけれども、こちらを見ていただきますと、今回の7月豪雨が、いかにすさまじいものであったかということが理解いただけると思います。今回の災害では、高知県で初めてとなる大雨特別警報が発令されました。それに何と言いましても、総降水量では、全国上位10地点のうち、本県が6地点入っているということで、いかに本県ですさまじい雨が降ったかということが分かります。特に本山では、6月28日から7月8日までの間に、平年の6、7月2ヵ月間の降水量の2.4倍の雨量を観測しました。
 こちらに、アメダスの期間降水量の地図を重ね合わせていますけれども、見ていただくとお分かりいただけますとおり、災害救助法適用市町村については、平成26年は4市町村に対し、今回は7市町村となりました。そして、1時間の降水量の多い地点は、圧倒的に今回の方の雨量が多くなっています。そういう中において、死者3名、軽傷者1名の人的被害も出ました。本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げなければならないと思います。多くの物的被害や公共施設等の被害が出て、そして経済被害も出ました。公共施設などの被害について、河川264件、道路131ヵ所。さらに農業用施設181ヵ所が被災するなど、大変多数の箇所において被災をしています。これらを復旧・復興していくためには一定の時間がかかります。時間はかかりますけれども、できる限り早く復旧・復興できるように全力を上げていきたいと考えており、そのための関連予算を今回の補正予算におきまして、ほぼ一括して計上したということです。
 それぞれの箇所などにつきましては、こちらに計上してありますので、また詳しくご覧をいただければと思います。
 そしてもう1点、農業被害も大変大きなものがあったことは言うまでもありません。今回の被災の厳しさを考えたときに、手厚く支援をさせていただくということが大事だろうと思っています。
 今回、農業被害で特徴的だったのは、果樹園などのように長期間かけて投資をして、やっと収穫される、つまり、初めて投資の回収ができる仕組みの農業地、そういうところが多く被災したことが大きな特徴です。今まで投資をしてきたものが、実を結ぶ前に被災をしてしまう、そういうダメージは、農家の皆さまにとって大きなものがあるだろうと考えています。
 そういうこともあり、今回はこの国庫補助対象上限額を超える部分について、県単独で補助をする取り組みを行ったり、先ほど申し上げた果樹被害につきましては、国の支援対象にならない皆さま方に対しても対象とさせていただいたり、対象となる方についても一定の上乗せ補助をさせていただくなど、手厚い支援を行っていきたいと考えております。
 今回の被災を契機に離農されようとする方を1人でも少なくしたい。1人でも多くの皆さまに農業を今後も続けられるように支援したいという思いです。農業被害については手厚い支援を、それぞれにおいて行っていこうとしているところです。
 以上が災害対策ということですけれども、ここからは今回の補正予算において、先ほど申し上げた地産外商、こちらの強化策について簡単に皆さまに話をさせていただきたいと思います。
 今までもご説明をしてきましたけれども、現在進めています産業振興計画については、いわゆる付加価値を生み出し、交易の範囲を拡大させてまいります。成長に向けたメインエンジンを強化する施策群、さらに人手不足を中心とした成長の壁を乗り越えるための施策群、これを二つの柱として据え、それを支える諸対策を講じていこうとしているものです。それぞれにつきまして、今回9月補正予算において、この第3期産業振興計画Ver.3を半年間実行してきた中において、これまでを踏まえて、取り組みを見直し、バージョンアップをしたいと考えているところです。
 一つは、新たな付加価値を生むための取り組みとして、現在、施設園芸について次世代型施設園芸システムの普及に取り組んでいるところですが、そのNext版の開発に着手したいと考えています。今、次世代型ハウスと言っていますけど、10年、15年も経てば当たり前になり、全国に拡がっていくだろうと思います。我々は施設園芸をリードする県として、その次を見据えて新たな開発をスタートしなければならないという思いです。
 そして林業について、これを有効な建材として活用するためにも、いかにしてしっかりとした乾燥材を作り、JAS認定を受けることができるかということが非常に重要なポイントになっています。しかし、そのためには一定の資本力が必要です。高知の中小零細の事業者さんではなかなかそれに対応できない方々も多いことから、共同施設を造ることによって、その壁を乗り越えることができないだろうかということを考えているところです。
 漁業の生産現場において、段々と漁業者の皆さまが減ってきているということは確かです。特に定置網漁業、大型装置産業ですけれども、こちらにおいて、企業の皆さま方の参入を促すことによって雇用型の漁業を振興できないか。それによって、漁村の賑わいを取り戻せないかなどをチャレンジしていきたいと考えています。
 観光分野につきましては、冒頭申し上げましたけれども自然・体験型観光キャンペーンの本格展開に向けた取り組みを加速していきたいと考えており、その際には、国内LCC路線の活用も大いに図りたいと考えています。
 そして、新産業の創出に関する点につきましては、IT・コンテンツ関連産業の振興を図っていくために、人材育成のための取り組みが大変有効だと思っています。高知県に対する進出に興味がおありの県外企業に対して呼びかけをさせていただいた結果、呼応していただく企業数が今までの3倍ぐらいになり、人材育成事業を展開したことによって、大いに手応えを感じているところであります。この人材誘致が有効であれば、もっと加速をしたいということで、さらなる講座の充実を図っていきたいと考えております。
 しかし、担い手の確保という観点からは、新規大卒者の県内就職の促進を図っていくという取り組みについては、正直苦戦しており、対応を強化しなければならないと思っています。学生にもっと高知の企業の情報を届けられるようにするためには、このウェブの世界、オンラインの世界をしっかり充実させていくことも大事ではないかと考えています。 
 そして、オンラインの世界で興味を持っていただいた方を、最終的に就職に結び付けていくために、インターンシップを実施することが非常に有効な策とされています。しかし、実は高知県ではこのインターンシップの実施率が、全国平均に比べて極めて低いという状況であり、このインターンシップを充実させていく必要があると考えています。オンラインの世界で興味を持っていただく取り組みを強化し、そして興味を持っていただいた皆さんをオフラインの世界で、インターンシップを充実させていくことで、実際に社長さんや社員の皆さんとも触れ合っていただき、高知の企業の魅力というのを知っていただくような取り組みを行います。この連続技でもう一段、新規大卒者の県内就職の促進を図れる施策を展開したいと考えています。そのための関連予算及びスタッフ態勢を充実させるものです。
 併せて、一次産業における新規就農者や漁業就業者の確保策の取り組みの強化を図らなければならないと思っています。近年、新規就業者は約50名前後と安定してきているところではありますけれども、もう一段多くの方に県内で就業してもらいたいと思います。特にこういう雇用型漁業というものを展開していく中において、新規確保策も併せて強化することが大事だと思っています。まずは、一連の相談窓口を一元化するなどの取り組みを通じて対応を図らせていただきたいと考えているところです。
 それぞれの個別の項目につきましては、それぞれ資料を付けさせていただいておりますので、それをご覧をいただければと思います。
 私からは以上です。

 

平成30年7月豪雨災害対策について

(大山・高知新聞記者)
 豪雨災害対策推進本部会議について、この後、第1回の本部会議があると思いますが、今回の7月豪雨を受け、見えた課題と本部会議を立ち上げる意義を改めてお聞きします。

(知事)
 やはり、今回の豪雨災害で私がつくづく思いましたのは、今まで異常災害と言われていたものが、もう決して異常ではなくなってきている。7月の豪雨災害だけではなく、その後の一連の災害などを見ても、例えば東北などでも1時間の雨量が100ミリを超えるなどの事態になってきています。そういう異常気象が異常ではない状況を率直に受け止めざるを得ないというふうに思ったところです。
 そのことを考えた時に、豪雨災害対策を大幅に対応を強化をしなければならないと思う訳であり、それを考えれば考えるほど、豪雨災害が発生するたびに対応するというだけではなくて、通年で対応するということが非常に大事だと考えてます。もっと言えば、冬こそ豪雨に備えよというふうに思っています。
 実際これまでも、各土木事務所が年間計画を立てて、取り組みを進めてきているわけでありますけれども、通年での豪雨対策の実施体制というものを全庁的に行っていくという形で、通年での豪雨対策の実施体制を大幅に強化をしていきたいと考えています。
 その中において、課題は大きく三つあるだろうと思っています。まず1点目が、今回の豪雨災害を見ても、残念ながら豪雨災害に備えるという意味において、インフラが不足していると思われる部分はあります。河川においても、堤防がつぎはぎになっていたり、脆弱だと分かっている箇所において、根治対策が取られていないなどの箇所があるなど、これらに対する対策を本格化していかないといけないと思います。
 次に2点目が、豪雨災害による被害は累積をすることだと思っています。今回の被災箇所も、私も何箇所か見させていただく中において、例えば26年の災害の時に軽度の被災をして、その被災した箇所が今回大きく被災をした、また、去年の災害において流木が流れ出ていて、その流木が今回の豪雨によって本格的に川に流れ出して、いわばビーバーのダムみたいなものを造ったなどの事例を見ました。
 端的に言って、豪雨災害の被害というものは累積していきます。ですから、1度豪雨災害が発生すると、その後に生じた被害というものをいかに取り除いて元の状態に戻し、安全な状況に持っていけるのか。そういうことが非常に大事だろうと思ったところでありまして、そういう観点からも、この豪雨対策というものを通年で行っていくということが大事だろうと思ったところです。夏から秋に受けた豪雨被害というものを、秋から冬にかけて、その被害を撤去しておくということが非常に大事だということです。
 そして3点目ですけれども、事態がゲリラ豪雨などという形で急激に悪化するということです。高潮被害もそうだと思いますけれども、急激に事態が悪化することに対して、どう備えていくかということも非常に大事だと考えています。これを一時的なものと見るか、急激に今後悪化し続けるかどうか、その判断をどうしていくのか。そして判断をした後に、住民の皆さまにお一人おひとりに、どのようにしてこの点を徹底して周知していくことができるのか。そして周知した後に、どういう避難行動を取るべきなのか等々、研究を重ねて、それに対応するためのシステム作りというものをしなければならないだろうと思っています。
 このことからいけば、しっかりといろいろな方のご意見もお伺いしながら、考察を重ねて、さらにシステムづくりを市町村の皆さまや住民の皆さまとともに行っていくということが大事だと考えたところです。
 そういう観点に基づいて、今回豪雨災害対策推進本部というのを立ち上げたいと思っています。何で今の時期かについては、先ほど申し上げたように秋から冬にかけてこそ対策を講じていくことが大事である考えており、今の時期が大事だろうということです。国に対しても様々に政策提言を実施していきたいとも考えています。インフラの整備やシステム作りなどについて国の力も大いに巻き込んでいきたい。今の時期に立ち上げて、国に対する有効な政策提言につなげられるようにすることが大事なことだと思っています。

 

9月補正予算の規模について

(石井・NHK記者)
 2点お伺いしますが、1点目、まず大枠の話ですけど、今回の豪雨災害への復旧費用として、9月補正の規模としてもかなり大規模なものと思いますけれども、改めて、知事が予算編成にあたって込められた思いや考えを教えてください。

(知事)
 今回の7月豪雨災害において、高知県は、道路も河川も農地も、そして山も海も大きな被害を受けました。早期に復旧・復興していくことが大事であり、その早期の復旧・復興を果たすために必要な予算というのを計上させていただいたということです。
 かなりの規模になりますけれども、先ほども申し上げたようにこういう時にしっかり対応しなければ、また次に豪雨災害が来た時に、より大きな、よりはるかに甚大な被害というものにつながり兼ねないということもあります。災害を受けるたびにしっかりと補修をして、その傷跡をできるだけ後に残さないようにして、被害が累積しないように対応することが大事だと思います。

 

沈下橋の修繕について

(石井・NHK記者)
 もう1点、債務負担で積まれてる沈下橋の修繕への交付金制度の新設について、県がやろうとしている自然・体験型観光キャンペーンと密接につながると思いますが、そのあたりのお考えをお聞かせください。

(知事)
 私が子どもの頃には、沈下橋は、そんなにみんなが大事にしていたのかなという感じがしていました。私の周りの大人なども「欄干もないあんな橋」みたいな言い方をしていました。しかし、今では高知にとって、この沈下橋は最大の観光資源であり、四万十川にしても仁淀川にしても、その川の姿に似合う橋はないと思います。多くの皆さんがないものねだりをするのではなくて、持てる強みを認識してそれを活かそうという時代になってきていると思います。
 残念ながらこの沈下橋は、設置されて時代も経ち、かなりダメージを受けてきていますし、そういう橋も多くなってきています。沈下橋は、私たちにとって欠くことのできない、素晴らしい私どもの資源として後世に守り伝えていくということが大事だと考えたところです。生活道としても大事であり、併せて文化的価値や観光資源としての価値も非常に大きく、今後も後世にしっかりと伝えていくことに取り組んでいきたいと考えているところです。
 実際、調べると大分古くなっているんです。(法に基づく点検結果では、)4つの判定区分のうち、(早期の修繕が必要な状態である)3判定とするものが16橋で、(緊急に修繕が必要な状態である)4判定とするものが2橋ということです。確か、廃止するのでなければ5年以内程度で補修しないといけないということになっています。今回のこの岩間の沈下橋での被災によって、私どももこの沈下橋の問題は本当に改めて深く認識したわけですけど、急いで対応していかなければならないと思っています。是非素晴らしい強みとして、我々の持てる資産としてこれを次世代に承継していきたいと思います。

 

県債残高について(1)

(大山・高知新聞記者)
 財政について、資料にある今後の収支は、今回の大型の補正も加味したうえでの数字だと思いますが、臨時財政対策債を除いた分で5,000億円というラインを超えたと発言がありましたが、この5,000億円のラインはどういう意識で決めたものかお聞かせください。

(知事)
 一言で言うと、一番我々として大事だと思うのは、平成7年のラインだと思っています。平成7年は、急激に公共事業などを増やし始めて経済対策を打った時期でありまして、それ以前のラインであれば、通常ラインといいますか、そういうことで認識できるのではないかという考えを持っているのですが、その前のラインとして、できればひとつ大台の5,000に乗らずにいければいいということで予算編成をしてきたところです。平成30年度の当初予算も、何とかぎりぎり5,000億円に乗らないようにと思い編成をしてきましたが、残念ながら、今回7月の豪雨で大変大きな被害を受けましたから、これに迅速に対応するということが必要だということです。それに対応した結果として5,000億円を超えざるを得なくなったということです。今後は、この平成7年の時のラインを一つの目安としていきながら、これを超えないようにすることで、一定財政の健全性を維持し続けるということを考えていきたいと思います。
 いずれにしても平成7年のラインであったとしても、本県の場合は、全国に比べてもこの借金の水準というのは低いレベルにある訳でありまして、財政の健全性は一定保たれていると思いますが、常に一定の目安を持って、その目安の中で取り組むことにより健全性を維持し続ける努力が必要だと思っています。

 

JR四国の路線維持の検討について

(野間・時事通信記者)
 JR四国の路線維持を議論する懇談会が行われ、その会議を受けて、知事としての感想と、今後どのようにその会議を進めるのかご所見をお聞かせください。

(知事)
 JR四国の鉄道路線の維持問題に関しては、(国鉄を)JR三島会社(JR北海道、四国、九州)などに分割民営化する際に、それぞれにおいて自立することは難しいだろうという前提で、(運用益で損失を補填する)経営安定化基金といった支援措置が講じられている。その事情は今も変わっていません。しかし残念ながら、その経営安定化基金で経営を支えていこうとするスキームそのものが、低金利によってうまく機能しなくなってきている状況にあります。やはりそれが根本的な問題であると思います。まずは、国においてこの経営安定化基金に代わる地方のJRを支える仕組みをしっかり検討していただくことが非常に大事だと思いますので、(懇談会では)この問題を正面から受け止めた議論を展開をしてもらいたいと思います。
 併せて、言うまでもありませんが、JR四国として様々な形での経営努力というものを、今後もしっかりと行っていただくことが大事です。様々な形でコストの削減や収入を増やすための取り組みを行っていただきたいと思います。
 このことについては、JR四国においても努力をされている訳ですが、そういう取り組みに対して、我々自治体も協力をして、さらにどういうことができるについて、もう一段検討を深めていくことが大事だと思います。
 国鉄から分割民営化されてJRが発足をした。JRについては、例えばNTTなどのように東日本、西日本という大型分割をせずに、敢えて地域密着型の分割をすると国策で決定した訳です。そういう体制を支えようと経営安定化基金といった制度なども作られたものの、今ではそれが十分に機能しなくなった。その制度を機能させるため、どういう制度を考えるのか、そのことを国においても真剣に考えることが極めて大事だと思います。全国で同じようにJRのサービスを受けていて、四国にいるから四国の人だけ特別の負担を求めることは、おかしいことではないかと思います。是非、その部分について、国において今の状況を率直に受け止めた真剣な議論をしていただくことが大事だと思います。

 

教員の不祥事について

(大野・高知新聞記者)
 教員の不祥事についてお伺いしますが、総合教育会議でも相次ぐ不祥事に対応していくことで、実際にアクションが行われようとしている最中に、また不祥事が公表になりました。
 知事は、この不祥事をどう受け止めておられるのか、また、なぜ不祥事が相次いでしまうのかご所見をお聞かせください。

(知事)
 端的に言って、教員の不祥事の問題というものは、二つの意味において根が深いのではないかと私は思っています。総合教育会議でもあえてこの点を問題提起をして話をさせていただきました。よく不祥事が起きると、研修をする、そういうことで対応しますといった内容の議論がされるわけですけど、やはりもう一段踏み込んだところで議論をする必要があるだろうと思っているところです。
 一つは、組織として人を育てる、人をある意味守る、そういうことが大事だと思います。そういうことが本当に学校組織としてできていたのかということについては、改めて皆さんで見直してみることが大事ではないかと思います。皆さんの会社もそうだと思いますし、私たち県庁組織もそうですけど、若い人が入ってきますが、若い頃はまだ未熟です。未熟で色々な過ちも犯しがちなものですけど、それを先輩方が見ていて、的確に叱ったり、ある時には温かく導いたりして、若者を一人ひとり育てていくことを組織として行っていくものだと思います。
 ですから、例えば課の職員が不祥事を起こせば、課長が厳しく怒られる訳です。それは育てる、管理するという点においてどうだったんだということで、厳しく管理責任が問われます。県庁であれば、私も責任を問われるということになります。例えば、学校の中においてある担任の先生が不祥事を起こした。そのことについて、学年主任の先生方は、どのようにそのことについて今後対処していくべきなのか。そして、それをもう一段上の教頭先生や校長先生はどう対処していくべきなのか。そもそも組織として日頃からそういう若い人たちを育成するという体制になっているのだろうか。さらには、人をそういう形で育成することのできる人が、本当に管理職になっているのだろうかなどを改めて見直してみる必要もあるのではないかと思います。
 学校の先生は、組織の中でもそれぞれが先生ですから、それぞれで独立しているという意味合いが少し強いのではないかというふうに、今まで議論してる中でも話をさせていただきました。例えば、教科の教え方などについてもチーム学校という形で対応することで、より先輩が後輩を教え導くという側面を強化できないものか、そういった話もしてきました。これを人材育成や不祥事防止という観点から、しっかり発揮できるようにするということが大事ではないかと思います。
 2つ目としては、やはり多忙化という大きな背景があるということ。それは、しっかり見据えていかなければならないことだと思います。忙しいから不祥事起こしましたということは、県民の皆さんに言い訳できることではありません。そういう自覚を持っているという前提として話をさせていただきますけれども、やはり人ですから、忙しい中でストレスも溜まっていく中において、どうしてもそういう失敗をしてしまうかも知れない側面も否定できないだろうと思います。やりがいを覚えることのないような忙しさ、そういうものはできる限り排除するようにしていく努力は進めなければならないと思っています。
 先ほど申し上げませんでしたが、今回の予算においても(学校の事務的業務の効率化等を図るための)校務支援システムを一挙に導入することとしています。こういうシステムを導入して、少しでも教員の皆さんが児童生徒と向き合う時間を確保するような取り組みを進めたり、さらには、この前の総合教育会議でも議論しましたけれども、例えば県教委からの調査や作業依頼などを減らせないかなどの工夫をしていくことも非常に大事だと思います。教員の働き方改革を進めていくことも非常に大事な側面だと思っています。

 

高知市における災害時の対応について

(中田・高知民報記者)
 通年の豪雨対策への新組織を立ち上げて、非常に緊張感を持って取り組まれていると思いますけども、高知市で、豪雨対策を巡って非常に弛緩した状況があり、市民から憤激の声が出ましたが、どういうふうに思われたのかお聞きします。

(知事)
 起こったこと自体は非常に残念ではありましたが、市長さんも率直に反省をされ、お詫びもされ、そして横田教育長も辞職をされたということで、その後はしっかりとした責任をとり、体制の再建を図られたということではないかと思います。豪雨対策については、特に急激に事態がどんどんと変化していく、そういう事態が多くなってきているだけに、従来以上に緊張感が求められるようになってきているということも事実だと思います。しっかりやっていくということで、新たな体制を敷かれたのだと思います。県庁としても身を引き締めて対応していきたいと思います。

 

外国人への災害に関する情報提供について

(高田・日本経済新聞記者)
 最近の相次ぐ強い地震の課題として、外国人への情報が足りないと言われているようですけれども、高知もこれから外国人が増えていく中で、現状の情報発信や今後必要なことなど、どのように考えているのかお伺いします。

(知事)
 ご指摘のとおりだと思います。端的に言って、外国の方に対する情報発信というものは不足していると思います。地震対策などでは、結構その部分を視野に入れて取り組んでいますけれども、地震の場合は、まだある意味分かりやすいところがあるというか、地震という事象が起こるので、皆さんが何か起こったということは一斉に認識しますし、その後恐らく津波が来るだろうということについても、少なくとも県民の皆さんが大騒ぎされますでしょうから、それに合わせて皆さんも引きずられて避難するということが出てくると思います。一方で、豪雨災害で恐いことは、上流で破堤したことが自分たちに突然命の危険を及ぼすということがある訳で、そういう意味では遠隔地で何が起こっているのか、災害の状況そのものについて体感できない状況で、どのようにその実態を伝えることができるのかが非常に大事です。そういう情報伝達のあり方は、県民の皆さまに対しても、もっと改善する余地はあると思っていますし、ましてや外国の方ということであれば改善の余地は大きいと思っています。そういうことについて、新しい本部体制でしっかり議論させていただきたいと思っています。

 

昭和51年の17号台風の体験について

(中田・高知民報記者)
 豪雨災害の関係で、知事は、昭和51年の17号台風を体験され、その時の大雨による危険な体験により、災害に対して敏感に対応されていると思われますが、お考えをお伺いします。

(知事)
 昭和51年の17号台風、あの時は自分自身も命の危険を感じました。忘れられないのは、私の父は私より身長が高いのですが、その父が会社から(自身の身体で位置を示しながら)この辺りまで水に浸かって帰ってきました。その時には、家の中がもう全部泥だらけになって、私の母はお琴を教えているのですが、そのお琴も泥の中で浮かび上がるなどして、本当に恐ろしかったです。私は2階に避難して、父と母は1階で色々なことをしていましたけど、ラジオではずっと被害状況などを報道していまして、神田の何とかさんというところの2階で住民の人がいますからなど、ほとんど防災無線と通常のラジオが一体となって運用されているような状況だったことを覚えています。朝倉周辺の堤防も破堤して、本当に大変なことになったと思いましたし、忘れられません。
 災害から1カ月ぐらいはスーパーへ買い物に行ってもあまり食料もなくて、自衛隊さんに水をもらいに行ったり、ご飯とすまきなどを食べていました。学校へ行っても、ずっと災害の後片付けを行っており、1カ月ぐらいそういう状況だったのではないでしょうか。堤防が破堤して、一斉氾濫を起こした時は本当に大変なことだということを実感しています。ですから、平成26年の災害の時、本当に同じようにまた鏡川が氾濫するのではないかという状況になりました。そういった状況になった時、自分の子どもの頃の体験が頭をよぎりました。
 この近年、その昭和51年の時よりも多分今のほうが、もっと甚大な被害を引き起こすような豪雨災害が、十分発生し得る状況になってると思います。近年は温暖化も進んでおり、そういうことを考えると、従前以上に対策を本腰入れて強化していかなければ危ないと思います。

 

県債残高について(2)

(清野・朝日新聞記者)
 財政収支の増額と県債残高の発行が5,000億円ぐらいでこれからもやっていけるのではないかという話がありましたけど、突発的な災害もある中で、それでも5,000億円を維持できるのではという根拠はどこにあるのかお聞きします。

(知事)
 それは災害が起きれば悪化します。今の時点でフィックスしたということでは当然ありません。毎年見直しをかけていますから、今年度の財政運営をするに当たり、先々の見通しについて展望を立ててやっていこうということであり、先々であまり大型のことを何かやったりしてたらやはり危ないと、そこはしっかり抑制的に財政運営をしていくことになるわけです。そういう性格のものです。先々の見通しを持って今の仕事をする道標となるべきものとして出しているということです。
 逆に言いますと、毎年の状況に応じて、これをリニューアルしていくということになります。先々において災害が起こらないと言えるのですかなど言えるわけないです。そんな性格のものでは全くありません。そういうものではないのだったら出すなということになりますし、そういうことにはならないと思います。災害が起こればもっとひどいことになるかもしれません。
 状況に応じて、当然変わります。逆に言うと、変わるのであれば出すなということにはならない。そうだとしても、変わり得るものとして出すべきであり、それに基づいて展望を持って仕事をするべきだと思います。
 ただ、一つ言えることは、今回本当に痛感していることですけど、累積するその被害をしっかりと除去しておかないと、先々本当に大変なことになります。そういう意味において、通年の豪雨対策を行っていく中において、例えば豪雨が来ても破堤しないために、日ごろから河川に対してどう備えていくかということについて、あらかじめお金を使ってでも対策を講じていた方が結果として安くなると思います。だから、そういう対策というのは積み重ねていくことが大事だと思います。そのために新しい本部体制も設けようということです。

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