要配慮者の特性に応じた 避難所における要配慮者支援ガイド 高知県 はじめに 南海トラフ地震が発生すると、避難所には、障害や病気をお持ちの方、ご高齢の方など、避難生活に配慮が必要な「要配慮者」も避難されます。 長期間にわたる避難所での生活は、健康な人でも決して楽ではありません。要配慮者はなおさら、精神的にも体力的にも大きな負担となります。 本ガイドは、避難所の運営に携わる方が、要配慮者の特性や避難所での困りごとを理解し、必要に応じて手助けが行えるよう、支援や対応方法をまとめたものです。 基本的にはご家族が介助をされますが、避難所で要配慮者の支援に携わる方や、一般の避難者などが手助けをされる際に、参考にしていただければ幸いです。 もちろん、自分たちだけで対応が困難な場合には、すぐに市町村職員や、支援に入った専門職の方に相談をしましょう。 要配慮者に必要な配慮は、一般の避難者同士でも必要な配慮であることが多く、そうしたことを考える避難所運営は、避難者同士の「共助」を考える避難所運営にもつながります。 避難者の方それぞれが持つ特性を理解し、要配慮者を含む皆さんが避難所運営に参画し、お互いに配慮の心を持った避難所運営を目指しましょう。 共通 高齢の方について 認知症の方について 肢体不自由の方について 視覚障害の方について 聴覚、音声・言語障害の方について 盲ろうの方について 精神障害の方について 知的障害の方について 発達障害の方について 内部障害の方について 難病の方について 妊産婦の方について 乳幼児について 化学物質過敏症の方について 感染症対策について 共通 ここでは、それぞれの要配慮者に共通する困りごとや対応方法をまとめています。まずこちらをご覧いただき、理解を深めましょう。 避難生活上の困りごと 情報取得 障害や病気、加齢などのため、情報の取得や理解が困難な場合が多いことから、さまざまな支援・対応が必要となります。 医薬品等の不足 健康な状態を保つために医薬品や医療機具が必要な方は、医薬品等の不足により症状の悪化のリスクが高まります。 免疫力の低下 環境の変化などの要因で免疫力が低下し、感染症のリスクが高まります。 適したスペースづくり それぞれの要配慮者の項目で記載しているスペースづくりは、あくまで一例であり、同じ障害でも、状態や配慮が必要な内容はそれぞれであることから、本人や介助者の声に耳を傾け、可能な範囲で臨機応変なスペース確保に努めましょう。 例えば 大きな声を出したり、混乱状態の時に、落ち着いて話ができる場を確保 スペースやトイレなどは、大きな文字や絵、色分けなどにより分かりやすくする 障害特性など必要な配慮が同じ方を近くに配置し、困りごとなどの情報交換や助け合いしやすい環境を確保 介助者が静かに休憩や仮眠をしたり、幼児の遊び場に活用できるスペースを確保 支援・対応方法 本人や家族が、周囲の人へ迷惑をかけてはいけないと我慢することが多くあることから、要配慮者のみならず、介助者の方への配慮も含めた声かけや、可能な範囲で介助の代行などを行いましょう。また避難所全体に、要配慮者の方への理解・協力を呼びかけましょう。 情報伝達 必要な情報を適切な手段で確実に伝えられるよう、個々の状態に応じた伝え方を工夫しましょう。 支援ニーズの聞きとり 食事制限など、目には見えない部分で配慮が必要な場合もありますので、予め聞き取りをしましょう。周囲に配慮を必要としていることを知らせるヘルプマークや、周囲に必要な支援内容を知らせるヘルプカードなどを持参している場合は、必要な支援の内容を確認のうえ対応しましょう。 メンタルケア 常に落ち着いた対応を心掛け、必要に応じて状況説明などを行い、本人が不安を感じることの無いようにしましょう。 環境づくり 感染症の拡大を防ぐため、マスクの配布や、手洗い、うがい、消毒液の利用、定期的な換気・清掃の呼びかけを行い、衛生的な環境づくりに配慮しましょう。 こんなときは速やかにためらうことなく市町村職員または市町村災害対策本部へ報告しましょう。 状態の悪化など、異常や異変に気づいた場合 介助者の方がいないなど、一般の避難所での避難生活が困難であると思われた場合 医薬品等の不足している物資を調達する場合 など 高齢の方について 特性 さまざまな身体的能力の低下が見られ、体調をくずしたり、病気になったりするリスクが高まります。 複数の病気や症状をもっている場合があり、合併症なども起こしやすくなったり、移動、食事、排せつ、入浴、着替えなど日常生活に介助が必要な場合があります。 ちなみに 東日本大震災における災害関連死者数の約9割は66歳以上の高齢者と言われています。 身体的能力とは 運動器機能(骨・関節・筋肉) 身体の調整能力(体温、水分、排せつなど) 環境の変化への適応能力、視力、聴力、判断力、理解力、認知力 避難生活上の困りごと 日常生活  不便な避難生活で急速に活動力が低下し、生活不活発病から寝たきりの状態になりやすいです。 杖、眼鏡、義歯等をなくすと日常生活が困難になります。 体調不良 環境の変化によるストレスから、不眠や、食欲不振等の症状が現れ、持病の悪化や、認知機能低下が起こりやすいです。 また水分摂取を控えて脱水症状を起こしたり、便秘や下痢、肺炎・関節が動かしにくくなる(関節拘縮)などの症状が現れます。 温度調節ができない場所では、低体温症や熱中症を起こしやすいです。 支援・対応方法 情報伝達 避難所に掲示する情報などは、大きな文字で掲示し、口頭で伝える際には、わかりやすい言葉や表現を使用しましょう。 音声で情報を流す場合は、必要に応じて拡声器を通して流す等の配慮をしましょう。 食事 可能な範囲で、温かい食事や柔らかい食事の提供を行いましょう。 健康管理 水分をとることや排せつを我慢して体調が悪化することのないよう、こまめな水分補給やトイレに行くことを呼びかけましょう。 体調と相談しながら、軽い運動を行うよう促しましょう。 日常生活 移動時の介助などを行い、必要に応じて杖や車いすの利用を勧めましょう。 見守りや声かけ 健康状態や生活が困難になっていないかを把握するため、声かけや見回りによる見守りを行いましょう。 周囲の避難者が、食事や物資の配給の時やトイレに行く時などに一声かけると、本人が行動するきっかけになります。 適したスペースづくり 例えば 大部屋では、移動が少なくてすむ通路側 出入り口付近やトイレに近い場所 エアコンや扇風機など温度調節ができる場所 認知症の方について 特性 激しい物忘れや道に迷ったり、時間や季節など自分の置かれている環境・状況を認識する能力が低下します。 体調の変化が伝えられず、急に体調をくずしたり病気になったりするリスクが高まります。 例えば 情報を正しく理解することや、自分で判断し行動することが困難となる 環境の変化(人と場所)により、強い不安を感じる 広い空間での生活がストレスとなる 徘徊や妄想により、思わぬ場所で予期せぬケガ等を負う恐れがあり、単独での避難生活が難しい 避難生活上の困りごと 日常生活 環境の変化により、症状の悪化や進行の加速、日常生活の動作(移動、食事、排せつ、入浴、着替えなど)が低下する場合があります。 不便な避難生活で急速に自立度が低下し、いつもできていたことができなくなりやすくなります。 体調不良 医薬品の不足により症状が悪化するなどのリスクが高まります。 環境の変化によるストレスから、不眠や、食欲不振等の症状が現れ、持病の悪化や、認知機能低下が起こりやすいです。 また、水分摂取を控えて脱水症状を起こしたり、便秘や下痢、肺炎・関節が動かしにくくなる(関節拘縮)などの症状が現れます。 体の不調を感じたり、声に出して表現することが難しく、落ち着かない、徘徊するといった行動の変化で現れることが多いです。 集団生活 集団生活に適応できなくなる場合があります。 支援・対応方法 情報伝達 避難所に掲示する情報などは、大きな文字で掲示し、口頭で伝える際には、わかりやすい言葉や表現を使用しましょう。 音声で情報を流す場合は、必要に応じて拡声器を通して流す等の配慮をしましょう。 食事 可能な範囲で、温かい食事や柔らかい食事の提供を行いましょう。 健康管理 体調と相談しながら、軽い運動を一緒に行うよう促しましょう。 排せつや水分をとることを我慢して体調が悪化することの無いよう、こまめな水分補給を呼びかけましょう。 日常生活 移動時の介助など、必要に応じて杖や車いすの利用を勧めましょう。 メンタルケア 災害の不安から大声や奇声をあげたり、異常な行動を取っても叱ったりしないようにしましょう。 激しい興奮状態が続く時は、家族等が付き添い、他人から離れた所で様子を見るようにしましょう。 見守りや声かけ 家族や馴染みのある人が声かけ・誘導し、一人にはしないように気を付けましょう。また、徘徊症状がある場合は、周囲の避難者にも見守りや声かけをお願いしましょう。 健康状態や生活が困難になっていないかを把握するための声かけや、見回りをこまめに行い、精神的な安定を図りましょう。 適したスペースづくり 例えば 大きな空間での生活にストレスを感じやすいため、大部屋であればパーティションやテントを活用する できるだけ2階以上の静かで、人の目が行き届く場所 肢体不自由の方について 特性 手足のまひや、関節障害などにより、体が動かしにくい状態が生じます。 車いすや杖などの福祉機器や用具を使用している場合があります。日常生活の動作(移動、食事、着替え、排泄、入浴など)に支援が必要な場合があります。 例えば 自分の意思と関係なく身体が動く場合がある 脳やせき髄の損傷により、温度を感じにくくなったり、体温調節が難しくなる場合がある 食べることや飲み込むことが難しい場合がある 病気や事故で脳に損傷を受けると、言葉の不自由さや記憶力の低下などを伴う場合がある 避難生活上の困りごと 日常生活 自力での歩行が難しい場合や、通路に段差や障害物があると、移動が難しくなります。 高いところのものや、床にあるものを自分で取ることが難しい場合があります。 車いす利用者対応設備 車いす利用者に対応したトイレ・設備などがないと排せつが難しい場合があります。 支援・対応方法 市町村への相談 簡易ベッドや、車いす利用者に対応したトイレ、ポータブルトイレなどが無い場合、通路にスロープが設置されていない場合には、周りの市町村職員や、市町村災害対策本部へ連絡をしましょう。 環境づくり 車いすを利用している方や立ち上がることが困難な方には、寝起きや移動をしやすくするよう簡易ベッドを用意しましょう。 スロープが未設置であったり、設置されている場合でも、通行に支障がある場合には手助けをしましょう。 食事 ものの飲み込みに障害がある方には、柔らかく消化のよい食べやすいものを用意しましょう。 適したスペースづくり 例えば 1階で移動が少なくてすむ通路側や、出入口付近、トイレに近い場所 介助犬を連れている方は、動物アレルギー等へ配慮し、建物の出入口に近い専用スペースを確保 体温の調整ができるように、エアコンの使用などで室温が調節できるスペースや、気温の変化の少ないスペースを確保 毛布などを優先的に用意する 車いす対応のトイレ設置や、おむつ交換も行えるスペースの準備 車いすでの移動には、120cmの幅が必要になります。通路の広さにも配慮しましょう。 視覚障害の方について 特性 全くものが見えない方と、見えづらい方がいます。 ものが見えづらくても、視覚支援機器(高倍率のルーペ等)などを使用することによって文字などを見ることができる方がいます。 見えづらさには 細部がよくわからない 光がまぶしい 暗いところで見えにくい 見える範囲が狭い 特定の色がわかりにくい 色の判断が難しい などがあり、人によって異なります。 また状況によって見えたり見えなかったりする場合があります。 避難生活上の困りごと 情報取得 視覚によって文字や図面などを見て情報を得ることが難しく、必要な情報が伝わらない場合があります。 状況把握 初めての場所や不慣れな場所では、頭の中に地図を描けず、自分のいる場所が分からなくなったり、通路に障害物があると移動が難しい場合があります。 日常生活 物資の配給などで、列に並ぶことが難しい場合があり、誘導時に「ここ」、「あそこ」などの抽象的な指示では認識が困難な場合があります。 支援・対応方法 本人に合った方法で情報を提供し、常に正しく伝わっているかどうかをお互いに確認しましょう。 必要に応じヘルプサインなどの目印を作って渡しておきましょう。 環境づくり 通路上には極力物を置かないように整理をし、転倒の危険を少なくするように心がけましょう。 情報伝達 大きな文字やコントラストのはっきりした色で情報伝達や案内表示をし、音声情報は拡声器等で、繰り返し流しましょう。 トイレの個室内の構造や処理方法は、あらかじめ手で触ってもらいながら口頭で説明しましょう。 コミュニケーション 不特定多数の方がいる所では、誰に話しかけているのかわからず、神経を集中させて疲れるため、氏名を把握していたら、「○○さん」と呼びかけ、自らも名乗ってから、話しかけてください。また、声をかけるときは突然身体に触らず、前方から声をかけましょう。 白杖を持っている方などが困っている様子の時は、「何かお手伝いしましょうか」などとすすんで声をかけましょう。 誘導 誘導する際には、相手に肩や上腕(白杖や盲導犬を利用している場合は反対側)を軽く握ってもらい、相手のペースに合わせて歩きましょう。その際、段差や障害物の前で一度立ち止まり、状況がわかるように説明しながら進み、方向は時計の針の方向で伝えましょう。 要配慮者と周囲の方との会話等によるコミュニケーションの機会をもうけ、近くの避難者の方に支援を頼みやすい環境づくりをしましょう。 適したスペースづくり 例えば 大部屋では、壁際や角など比較的自身の位置がわかりやすい場所 できるだけ経路が単純で、障害物や段差が少ない場所(1階の出入り口付近等) 盲導犬を連れている方は、動物アレルギー等へ配慮したスペース(個室等) 聴覚、音声・言語障害の方について 特性 耳の不自由な方といってもさまざまであり、全く聞こえない方、補聴器を使えば聞き取れる方、話ができる方、話ができない方などそれぞれ異なります。 音声・言語障害とは 話し言葉の理解や適切な表現が困難(言語機能の障害) 言語の理解には支障はなく発声だけが困難(音声機能の障害) 聴覚障害と言語障害が重複している場合がある 外見からはわかりにくく、周囲の人に気づいてもらえない場合があります。 中には、日本語の習得・理解が十分でない方がいます。 コミュニケーションの方法としては、以下の方法が挙げられます。 筆談 互いに文字を書いて意思を伝え合う。 手話 手や指の動き、表情で表わす言語。 要約筆記 話されている内容を要約して文字として伝え、当事者と第三者とのコミュニケーションをとる。 口話・読話 相手の口の動きを読み取る方法。口元や表情がはっきり見えるよう相手に顔を向けてマスクを外し、はっきりと口を動かして話す。 代用発声 発声機能を喪失している方では、声帯の代わりに食道部を振動させたり(食道発声)電動式人工喉頭を喉にあてて声にする。 避難生活上の困りごと 情報収集 人の声や身の回りの物音が聞こえないため情報を得るのが難しく、必要な情報が伝わらない場合があります。 日常的に情報収集のために使用していたツール(ファックス、電子メール、字幕付きテレビ番組など)が発災時には使用できなくなり、自分自身での情報収集が困難になる場合があります。 コミュニケーション 自分の状況などを伝える際に、会話が難しい場合があります。 手話ができる人や、聞こえないことの理解、接し方を知っている人は少ないです。 支援・対応方法 発声した時には、一つひとつの言葉を聞き分け、内容を確認しましょう。緊急情報などの重要な情報は、メモなどを活用し確実に伝えましょう。また、正しく伝わっているかどうかをお互いに確認しましょう。 状況把握 避難者カードなどで手話通訳や要約筆記が必要な方がいないかなど、確認しましょう。 情報伝達 口元の動きを見て、ある程度言葉を読み取れる人もいるので、対話の際は相手に顔を向けてマスク等は外し、口元や表情がはっきりと見えるように配慮しましょう。 図や絵で示すコミュニケーションボードの活用や、メッセージボードなどに大きな文字や図面を用い、視覚による情報伝達ができるようにしましょう。 環境づくり 聴覚障害者や周囲の人からわかるように、手話通訳、要約筆記などの支援者には腕章やベストを着用してもらいましょう。 停電中や夜間に手話や筆談ができるように、懐中電灯(両手がふさがることがないよう首掛け式がよい)を配布するなど配慮しましょう。 適したスペースづくり 例えば 表情や口の動きが読み取りやすい明るい場所 少しでも音が聞こえる方の場合は、周囲がざわついていない静かな場所 できるだけ、それぞれが離れた場所に点在しないようにする 聴導犬を連れている方は、動物アレルギー等へ配慮したスペース(個室等) 盲ろうの方について 特性 視覚と聴覚の両方に障害があることを「盲ろう」といいます。 周囲の状況が把握できないため、孤立感から恐怖や不安を強く感じます。 盲ろうには4つのタイプがあります 全盲ろう まったく見えず、まったく聞こえない状態 盲難聴 まったく見えず、少し聞こえる状態 弱視ろう 少し見えて、まったく聞こえない状態 弱視難聴 少し見えて、少し聞こえる状態 コミュ二ケーションの方法としては、以下の方法が挙げられます。 手書き文字 手のひらに指先などで文字を書いて伝える。 触手話 盲ろう者が相手の行う手話に触れて、手話の形で読み取る。 弱視手話 盲ろう者の見え方に合わせた手話表現をする。 指点字 点字タイプライターのキーの代わりに、盲ろう者の指を直接叩いて点字を表す。6本の指を点字の6点に見立てる。 文字筆記 視力が残っている方に対して紙やパソコンに文字を筆記して伝える。文字の大きさ、間隔、線の太さなど見え方に合わせた配慮が必要になる。 音声 聴力が残っている方に対して耳元や補聴器のマイクなどに向かって話す。声の大きさ、抑揚、速さ、音の高さなど、聞こえ方に合わせた配慮が必要になる。 避難生活上の困りごと 情報収集 視覚からも聴覚からも情報の入手が難しく、必要な情報が伝わらない場合があります。 日常生活動作 避難所内での移動が難しい場合があります。 コミュニケーション 情報入手、コミュニケーション、移動などの様々な場面で大きな困難が生じ、集団から孤立してしまうことがあります。 支援・対応方法 会話の内容だけでなく、周りの状況を把握することも難しい場合があるため、他の人の発言や情景、その場の状況を知らせましょう。見えない・見えにくい、聞こえない・聞こえにくい重複障害があるので、孤立しないように配慮しましょう。 市町村への相談 一般の避難所での生活が困難な場合は、福祉避難所への移送を市町村職員へ相談しましょう。 環境づくり 照明が暗いと見えにくい場合があるため、明るさを調整しましょう。 情報伝達 移動する時には、どこへ、なぜ移動するのか、伝えてから誘導しましょう。 コミュニケーション 声をかけるときは、誰が声をかけているのかわかるように名前を言いましょう。 適したスペースづくり 例えば 個室かつできるだけ経路が単純で、障害物や段差が少ない1階の出入り口付近等 大部屋で過ごす場合には、壁際や角など比較的自身の位置がわかりやすい場所 盲導犬や聴導犬を連れている方は、動物アレルギー等へ配慮したスペース(個室等) 精神障害の方について 特性 精神障害のある人たちの中には、気持ちや考えが混乱してもその不安が解消されれば、自分の身の回りの処理や日常生活に支障が少なくなる人もいます。 精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、また、同じ疾患でも各々により、その障害特性や症状の度合いは異なります。 疾患によっては  長期にわたり、日常生活または社会生活に支障をきたすことがある 人とのコミュニケーションがうまくいかないことがある 代表的な精神疾患として、統合失調症や、気分障害等がある 統合失調症の特性 状況、環境の変化に柔軟に対応することが苦手で、苦手な事態に遭遇すると調子を崩しやすくなる場合があります。 服薬継続が欠かせず、薬の副作用のため動作が緩慢になる場合もあります。 他者とのコミュニケーションが苦手な場合があります。 幻聴や幻覚、妄想などの症状が生じることがあります。 気分障害の特性 気分の波が主な症状としてあらわれる病気です。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼びます。 うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状がでます。 躁状態ではちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりします。 自分自身に精神疾患があることに気付かない、認めない方がおり、対応が難しい場合があります。 避難生活上の困りごと 情報収集 周囲に適切な支援者がいない場合、状況把握が困難となる場合があります。 体調不良 かかりつけの医療機関に受診ができないため、日頃服薬している薬を切らしてしまう場合があり、症状が悪化する可能性があります。 コミュニケーション 支援が必要なことを意思表示することが困難な場合があります。 ストレス 環境の変化により精神の安定や安心を得ることが困難となり、病状が悪化する可能性があります。 支援・対応方法 急激な環境の変化に適応できず、感情が高ぶりイライラしたり、状況に合わせた行動ができない方もいるので、訴えていることを否定せず、「困っているんですよね」など、まずその方の気持ちを受け止め、落ち着いてゆっくり話を聞きましょう。 市町村への相談 対応が困難と判断した場合には、周りの市町村職員または、市町村災害対策本部へ連絡しましょう。 情報伝達 一度に多くの情報が入ると混乱するため、伝える情報を紙に書くなどして整理し、具体的にゆっくりと伝えましょう。 メンタルケア 大きな声や叱咤激励のような指示は不安にさせる可能性がありますので「大丈夫ですか?」など優しく声をかけましょう。 周囲の心の動揺が思った以上に伝わりますので、支援するときは落ち着いた態度で対応しましょう。 適したスペースづくり 例えば できるだけ大部屋ではなく静かな専用スペースを確保 歩行に支障がなければ2階以上でも可能 比較的軽度である場合などで、大部屋での避難生活を送る際も、パーティションやテントを活用 知的障害の方について 特性 判断や会話・学習など知的な能力が発達していない状態で、社会生活への適応が困難なことをいいます。「言葉を使う」「記憶する」「抽象的なことを考える」など知的なことに時間がかかり、人とのやりとりにすばやく対応することが難しい場合があり症状も様々です。 例えば 言葉や行動の意味が相手にうまく伝わらず、周りから誤解や偏見を受けてしまう 一人では日常生活の動作や意思疎通が困難で常に介助や保護が必要な場合がある 身の回りのことを行うことには支障がなく、多少の配慮により過ごせる場合がある 落ち着きがなく動き回ったり、興奮して大声を上げるなどの行動があり、常時付き添いなどの支援が必要な場合がある 避難生活上の困りごと 状況把握 緊急事態などの認識が不十分な場合や環境の変化によってパニックが起きたり、精神的な動揺が見られる場合があります。 コミュニケーション 周囲とコミュニケーションが十分にとれず、トラブルの原因になる場合があります。 ストレス 恐怖で動けなくなる場合があります。また、逆にパニックから奇声を発して走り回るなどの行動をとる場合があります。 支援・対応方法 ゆっくりと短い言葉で具体的に説明し、相手が理解できたか確認しましょう。 避難所での過ごし方 一日の流れや行動予定を表にして分かりやすく伝え、見通しをもってもらうことで、安心して過ごせるよう工夫をしましょう。 困ったことは家族や避難所運営者への相談を促し、大声を出さない、夜は静かに過ごすなど、避難所での過ごし方を伝えましょう。 情報伝達 文字、絵や実物を見せたりするなど視覚的に訴えかけて、本人が納得できるように工夫しましょう。 案内板等の漢字にふりがなをふりましょう。 メンタルケア 気持ちが混乱している場合は、やさしく声をかけ、落ち着ける場所に誘導しましょう。安心して過ごすことができるよう、本人が落ち着 けるもの(ブロック、本、パズル、スケッチブック等)などを用いるとよいでしょう。 「危ない」「怖い」など不安になる言葉や否定的な言葉を使わず、「大丈夫だよ」など肯定的で柔らかい表現の声かけをしましょう。 健康管理 怪我や痛みがあっても伝えられない場合や痛みに鈍感な場合があるので、声かけ・目視確認を行いましょう。 ラジオ体操や散歩、軽いジョギングなどの適度な運動を行うよう促しましょう。 適したスペースづくり 例えば できるだけ大部屋ではなく、静かな専用スペースを確保 歩行に支障がなければ2階以上でも可能 比較的軽度である場合などで、大部屋での避難生活を送る際も、パーティションやテントを活用し、可能な範囲で静かな環境を用意する 発達障害の方について 特性 コミュニケーションや対人関係を作るのが苦手で、自分勝手とか変わった人、困った人と誤解されることがありますが、それは脳の働き方の障害によるものです。 知的障害のある方もいます。 例えば パターン化した行動やこだわりなどにより、臨機応変に対応する事が難しい場合がある 匂い、音、光に敏感な場合がある 痛みに鈍いことがあり、怪我に気づかない場合がある 集中できなかったり、じっとしていられない場合がある 避難生活上の困りごと 日常生活 和式トイレなど避難所の設備が使用出来ない場合があります。 コミュニケーション 人とコミュニケーションをとることが苦手なことがあり、集団行動がとりにくい場合があります。 ストレス 日常とは違う場所や空間、騒音によって、混乱やパニックを引き起こす場合があります。 聴覚・視覚・嗅覚等の感覚過敏により、様々な刺激が苦手で、避難所生活になじみにくい場合があります。 食事 味覚や触感(パサパサやドロドロなど)の過敏により、強い偏食がみられ、非常食が食べられない場合があります。 支援・対応方法 ゆっくりと短い言葉で具体的に説明し、相手が理解出来たか確認しましょう。文字、絵や実物を見せたりするなど視覚的に訴えかけて、本人が納得できるように工夫しましょう。 避難所での過ごし方 一日の流れや行動予定を表にして分かりやすく伝え、見通しをもってもらうことで、安心して過ごせるよう工夫をしましょう。 困ったことは家族や避難所運営者への相談を促し、大声を出さない、夜は静かに過ごすなど、避難所での過ごし方を伝えましょう。 環境づくり 音の苦手な方のために、耳栓などがあるとよいでしょう。 情報伝達 指さしして通じるコミュニケーションボード・紙や鉛筆があるとよいでしょう。エリア別活動場所(トイレ、洗濯、炊事、相談場所など)を色やマークでわかりやすくするとともに、避難所でのルールをみてわかるように表示しましょう。 食事 強い偏食により食事がとれない場合には、市町村災害対策本部へ物資要請を行いましょう。 メンタルケア 気持ちが混乱している場合は、やさしく声をかけ、落ち着ける場所に誘導しましょう。 「危ない」「怖い」など不安になる言葉や否定的な言葉を使わず、「大丈夫だよ」など肯定的で柔らかい表現の声かけをしましょう。 健康管理 怪我や痛みがあっても伝えられない場合や痛みに鈍感な場合があるので、声かけ・目視を行いましょう ラジオ体操や散歩、軽いジョギングなどの適度な運動を行うように促しましょう。 適したスペースづくり 例えば できるだけ大部屋ではなく、静かな専用スペースを確保 歩行に支障がなければ2階以上でも可能 比較的軽度である場合などで、大部屋での避難生活を送る際も、パーティションやテントを活用し、可能な範囲で静かな環境を用意する 内部障害の方について 特性 内部障害とは、「心臓」「呼吸器」「肝臓」「ぼうこう・直腸」「小腸」「肝臓」「免疫不全」の7つの機能障害を言います。 外見からはわかりにくく、周囲の人に気づいてもらえない場合があります。 例えば 日常的に疲れやすい場合がある 重い物を荷物を持ったり、長時間立っているなどの身体的負担を伴う行動に制限がある ※人工呼吸器、酸素療法、人工透析のことについては、「難病」へ記載しております。 ヘルプマーク 援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせるマーク ハート・プラスマーク 心臓疾患などの内部障害がある方を示すマーク オストメイトマーク オストメイト(人工肛門、人工膀胱を使用している方)を示すマーク 避難生活上の困りごと 日常生活 障害の状況によっては自力での歩行が難しい場合があります。 食事 食事面の制限を受けている方は、一般的な「非常食」では対応できない場合があります。 医療機器等の設置・処置・使用 定期的な治療や、特定の医療機器、医薬品が必要になるため、医療機関などによる支援が必要になる場合があります。 「ぼうこう・直腸機能障害」のある方は人工肛門、人工ぼうこうを使用している場合があり、オストメイト対応トイレ(排泄物の処理、腹部の人工肛門周辺皮膚や装具の洗浄などができるように配慮されているトイレ)が必要になります。 支援・対応方法 個々の状態により、同じ障害名でも一律ではありません。服薬のみで健常者と同様の避難生活が行え、支援は不要という方から、常時介助を要する方まで幅広く、個別に状況が異なります。必要に応じて福祉避難所への移送を検討しましょう。 市町村への相談 医薬品・医療機器・専用トイレなどが必要な時は、周りの市町村職員または、市町村災害対策本部へ相談しましょう。 環境づくり ペースメーカーを使用している人の近くで携帯電話を使用しないなどの注意喚起を、その他の避難者へも行いましょう。 特に継続した医療ケアが必要な方については、以下のことについて気を付けましょう。 人工肛門 装置や袋の交換・汚物処理・洗浄が必要となることから、替えの装置や袋をお持ちか確認しましょう。 適したスペースづくり 例えば 病院での定期的な受診や投薬により一般避難所で生活を送れる方であれば、大部屋で過ごすことも可能 ペースメーカーを装着している方は、非常用発電機などの近くに配置しない パーティションやテントを活用し、プライバシーに配慮したスペースの確保が必要 オストメイトトイレが無い場合には、便の処理や器具・袋の洗浄等が行えるようなスペースを確保する 難病の方について 特性 数は少ないですが多様かつ様々な病気があり、成人にも子どもにも難病の方はいます。(小児慢性特定疾病等)。 常時、医療(医療機器使用、服薬、看護等)を必要とする場合があります。 疾病によっては 病状に日内変動(1日の中でも状態が急に悪くなったり落ち着いたり繰り返すこと)等があり、介助が必要な場合がある 急激な環境変化に体が慣れることができずに体調を崩す場合がある 食事内容や回数が決まっている場合がある 服薬等により免疫機能(感染症への抵抗力)が低下している方がいる 高知県では、人工呼吸器使用の方、酸素療法をされている方、人工透析をされている方等を、継続した医療ケアが必要な「重点継続要医療者」としています。 人工呼吸器 呼吸する力が弱くなる疾病になると、自力で呼吸することが難しくなります。その場合、人工呼吸器を使って呼吸の補助を行います。マスクを付ける方法と気管を切開してチューブを挿入する方法があります。 酸素療法 肺の機能が著しく低下することで、血液中の酸素が不足した状態になることがあります。その場合に、自宅で医療用酸素ボンベを使って酸素の取り込みを促すものです。 人工透析 腎臓の働きが悪くなると、血液中の老廃物や不要な水分を自分で除去することができなくなります。その場合、定期的に機械を使って血液をきれいにする必要があり、血液透析と腹膜透析の方法があります。 避難生活上の困りごと 体調不良 影響を受けやすいため、体調が急変する可能性があります。 免疫力の低下 感染症にかかりやすい場合があるため、特に注意が必要です。 食事 人工透析の方は、特に配慮された食事(塩分の制限や消化の良いものなど、配慮する内容が個々で違う)を要する場合があります。 外見上分かりにくい 避難所での支援を受けにくいことがあります。 自分の状態を周囲にうまく伝えられない可能性があります。 医療機器等の設置・処置・使用 常時、電源や水の確保が必要な場合があり、医療機器等を置いたり、処置のためのスペースの確保が必要な場合があります。 支援・対応方法 個々の状態により、同じ難病でも一律ではありません。 服薬のみで健康な方と同様の避難生活が行え、支援は不要という方から難病に伴う身体障害等で常時介助を要する方まで幅広く、個別に状況が異なります。 必要に応じて福祉避難所への移送を検討しましょう。 食事 食べ物の形状(通常の固さから、とろみをつけて軟らかくしたもの、流動食など)や通常の食事以外の間食が必要かなど、特別な配慮が必要かどうかをあらかじめ確認しておくようにしましょう。 医療機器等の設置・処置・使用 呼吸器機能障害の人の近くでたばこを吸わない、酸素療法を行っている人の2m以内に火気を近づけないなど、その他の避難者への注意喚起も行いましょう。 特に、継続した医療ケアが必要なか方については、以下のことについて気を付けましょう。 人工呼吸器酸素療法 酸素ボンベや電源バッテリーの残量、機器の不具合などがないか、声かけにより確認しましょう。 人工透析 食事制限内容や回数が決まっているなど、気を付けることはないか確認しましょう。血液透析は定期的な治療が必要であり、次回の受診日について、腹膜透析はバックの交換が必要となりますので、交換用バックの有無・入手手段などを確認しましょう。 特別な薬剤が必要な方 お持ちの薬の残量や、少なくなった場合にどのように入手することになっているか確認しましょう。 適したスペースづくり 様々なケースがありますので、それぞれの配慮すべき事項に基づき、状況に応じたスペースを確保しましょう。 例えば 医療機器等や医療処置のためのスペース確保 常時看護・介護等を行う家族のスペースも含めた、スペース確保 冷暖房が整った、仕切られた生活スペース確保 トイレが近い方や歩行困難な方など、生活範囲の移動が少ない場所の確保 妊産婦の方について 特性 出産前には トイレが近くなる 足がつりやすくなる 足のむくみや、背中・腰の痛みなどの症状が出ることがある 妊娠中または出産直後は、エコノミークラス症候群を起こしやすくなる また周期によって以下の特徴があります。 妊娠初期(~23週) 8~11週は、つわりの症状がピークになる。 妊娠中期(24週~35週) 16週~36週は安定期に入る。お腹のふくらみが目立ち始める。 妊娠後期(36週~出産) 36週を過ぎたら、出産に備える。お腹が大きくなり、足元が自分では見えにくくなり、身動きが取りにくくなる。 出産後には 出産前に比べてストレスや不安を感じやすく、産後うつ病を発症する場合がある 子宮の収縮状態が悪くなったり、乳腺炎などの身体的トラブルが起こることがある 昼夜問わずの授乳や夜間の夜泣きにより、睡眠不足が続く 避難生活上の困りごと 出産前 ストレス 被災に伴うストレスで、血栓症、高血圧症候群、切迫流早産を起こしやすくなります。 ストレスでお腹が張り、同じ姿勢で座るのが辛くなります。 外見上わかりにくい お腹が目立たない時期には妊婦であることが周囲に伝わりにくいです。 出産後 ストレス ストレスなどで一時的に母乳分泌が低下することがあります。 集団生活 子どもの夜泣きや授乳の際に他の避難者の目が気になります。 支援・対応方法 市町村への相談 出産間近な妊婦は、分娩取扱医療施設と移動手段を決めているかの確認をし、決めていない場合は市町村担当者に相談しましょう。 環境づくり 妊産婦は避難所を敬遠しがちで、自家用車で過ごしていることもあります。エコノミークラス症候群予防の意味でも定期的に巡回・声かけを行い、避難所への避難を促しましょう。 メンタルケア 妊産婦への情報提供や状態の把握はできるだけ女性が担当しましょう。 健康管理 適度な水分摂取と、屈伸運動・散歩など、身体を動かすことを促しましょう。 適したスペースづくり 例えば 週期や本人の状態により大部屋で生活が可能な場合がある つわりのある方は、においに敏感な為、トイレ付近は避けるなどの配慮をする 産婦の体への負担も考慮して、個室を構え、授乳用のパーテーション等も設置する 赤ちゃんの泣き声による周囲への影響も配慮し、避難スペースを選定する 昼間でも気兼ねなく休息や睡眠がとれるスペースを確保 乳幼児について 特性 乳児は 泣きのピークは、生後1~2か月(何をやっても泣き止まないことが多い) おむつをこまめに交換できなかったり、沐浴できなかったりすると、おむつかぶれを起こしやすい 赤ちゃんや子どもの体温は外気温に影響されやすい 風邪などの感染症にかかりやすく、脱水症状等を起こしやすい 幼児は 泣いたり、大声を出したりすることが多い 自分の状況をうまく言葉にできず、夜泣きや退行現象などを起こすことがある 心身の健康が変化しやすいが、親やまわりの大人に気づいてもらいにくい 自立移動や生活行動(食事、排泄、睡眠、着脱など)への継続的な介助が必要 知的・発達障害、心理的問題を抱えている子どももいる 大人に囲まれた生活はストレスが大きい 避難生活上の困りごと 健康管理 乳幼児は、風邪や乳児下痢症などの感染症のリスクが高く、体温は外気温に影響されやすいので、体温調節に配慮しましょう。 集団生活 乳幼児の言動や泣き声を迷惑に感じる方がいます。 衛生管理 粉ミルクの調乳や、液体ミルクの移し替えをする際、また離乳食を作る際には、使う食器の消毒や食材の加熱を行うなど、衛生的な環境が必要です。 支援・対応方法 環境づくり 紙オムツ、ミルク(粉、液体)、電気ポット、スキンケア用品、離乳食(アレルギー対応物質含む)、ベビーベット、アルコール消毒液やほ乳びんの消毒液等の必要物質を確認しましょう。 紙、クレヨン、ブロック、ぬいぐるみ、ボールなどの玩具の要望があれば市町村職員へ伝えましょう。 メンタルケア ストレスにより、「地震ごっこ」や「津波ごっこ」をすることがありますが、心的外傷を克服するために行っていると考えられており、むやみに止めないようにしましょう。 健康管理 適度に水分を補給するように促しましょう。 適したスペースづくり 例えば 夜泣き等の周囲への影響も考慮して、2階以上の個室 周辺に大きな音に敏感な要配慮者がいないか確認し、離すようにする 妊婦同士や家族単位で一緒に過ごせるよう、別の部屋を確保する おむつ交換や授乳ができるように、プライバシーの確保ができる授乳スペースを確保する 化学物質過敏症の方について 特性 化学物質過敏症とは、呼吸したり飲食したりすることで、知らず知らずのうちに化学物質が身体に取り込まれ、身体がいったん過敏状態になると、その後、微量の化学物質に対しても過敏症状を示すことを言います。 化学物質が含まれる製品 柔軟剤やタバコ、整髪料、農薬、除草剤などをはじめとした様々な製品がある 疾病によっては以下のような症状があらわれます 頭痛 全身倦怠感 不眠 便秘 動悸等 避難生活上の困りごと コミュニケーション 避難所での集団生活では、化学物質を避けることが難しく、限られた場所での生活が余儀なくされ、周囲から孤立してしまうおそれがあります。 体調不良 支援物質についても、化学物質の影響で受け取ることができないことがあります。 外見上わかりにくい 外見からは分かりにくく、また、症状もあまり特徴がないことから、わがままを言っていると誤解されることがあります。 支援・対応方法 化学物質過敏症という疾病で、不便な生活を強いられて困っている方がいることを周知し、避難者の方の理解に努めましょう。 状況把握と対応 普段の生活の中でどういった対策をとられているかを確認し、必要な物資等を市町村職員等へ要請するようにしましょう。 環境づくり 原因物質の除去や部屋の移動・換気などにより、できるだけ化学物質を除いた環境づくりをこころがけましょう。 適したスペースづくり 例えば 化学物質が少ない空間 喫煙所やトイレ、物干し場等の近くは極力避ける 感染症対策について ※インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナウイルスなど 特性 感染症とは、病原性の微生物が、人の体内に侵入することで引き起こす疾患のことを言います。 避難所内で集団感染する可能性があります。 避難所での主な感染経路は次のとおりです。 接触感染 皮膚や粘膜の直接的な接触や、手・ドアノブ・手すり・便座・スイッチ等の表面を介しての接触、糞便や嘔吐物の処理等により病原体が付着した手で鼻や口に触れることにより粘膜などを通じて病原体が体内に入ることによる感染 飛沫感染 感染者の飛沫(咳、くしゃみや会話によって飛んだつばやしぶき、下痢便や嘔吐物等)と一緒に病原体が放出され、他者がその病原体を口や鼻から吸い込むことによる感染 一般的に、感染症には潜伏期間があり、感染していても一定期間無症状である場合があります。 避難生活で感染リスクが高まる理由 避難所内では避難者が密集し、多くの人と同じ空間で接する機会が増えるため、接触感染、飛沫感染がより起こりやすくなります。 断水等により生活用水が不足し、手洗いやうがいなどの基本的な感染症予防行動ができにくくなります。 水洗トイレが使用できなくなったり、十分な清掃や消毒が行えないことで、衛生環境が悪化し、感染症を引き起こす可能性が高まります。 食生活の乱れやストレスの増大によって免疫力が低下し、感染しやすくなります。 避難者が当番制で、避難所運営をしている場合、少しの体調不良では言い出しにくくなります。 感染(疑い)者が発生した時の一時的な対応 感染(疑い)者が発生した場合 疑いのある人(嘔吐、下痢、発熱等)を見つけたら、直ちに市町村職員に連絡し、指示に従う。また、必要な物資等があれば要請しましょう。 専用スペースへの移動、パーティションやテント等を使用するなど、直ちに他の避難者と接触しないようにしましょう。 専用スペースに入る時は、マスク・フェイスシールド・ガウン・手袋を着用しましょう。 感染を防ぐため頻繁な手洗いや手指消毒を心掛け、嘔吐物や下痢便の処理は、マスク、手袋を着用し新聞紙等で拭き取り、次亜塩素酸など塩酸系消毒液を使用しましょう。 感染(疑い)者と他の避難者が接触しないようにしたあと 感染(疑い)者が生活していた居住スペース周辺の清掃、消毒を行いましょう。 周囲の避難者にも感染の可能性(無症状の感染症がいる可能性)があることを伝え、体調不良者の有無を確認し、必要な場合は専用スペースへ移動させましょう。 ゴミやリネン類の洗濯など、汚染物質が付着している可能性があるものは、取扱いに注意しましょう。 人が多く触れる場所の消毒や、避難者の健康状態を定期的に確認しましょう。 感染症に「自分がかからない」「他人にうつさない」ために以下のことを心掛けましょう。 手洗い 特に食事前や調理前、トイレ使用時は手を洗う。 断水等により水が使えない場合は、アルコールを含んだ手指消毒薬を使用し、やむを得ず、くみ置きした水を使う場合は、直接バケツ等の中で手を洗わないようにする。 咳エチケット できるだけマスクを着用する。 咳やくしゃみをする際、マスク着用が難しい場合は、ハンカチやティッシュなどで口や鼻を覆い、他人から顔をそむけ1m以上離れる。 使用したティッシュは、すぐにゴミ箱に捨て、手を洗う。 その他 食器やタオル等の共用や、ペットボトルの回し飲み等はしないようにしましょう。 適したスペースづくり 例えば 感染(疑い)者は、トイレも含め、他の避難者との動線を完全に分け、接触を可能な限り避ける 個室への移動、パーティションやテントでの仕切りなど、一般の避難者と接触しないようにする 感染疑いのあるもの同士を同室とする場合は、十分な距離をとるほか、パーティション・テントなどで飛沫の拡散を防止する 換気を十分に行う 発行日 令和2年8月 発行 高知県 危機管理部 南海トラフ地震対策課 〒780-8570 高知市丸ノ内1丁目2番20号 電話 088-823-9317 FAX 088-823-9253 編集 一般の避難所における要配慮者の受入・支援に関する検討委員会 高知県 健康政策部 健康対策課 地域福祉部 地域福祉政策課 高齢者福祉課 障害福祉課 障害保健支援課