3ページ 第2章自殺の現状と課題 1高知県の自殺の状況 1高知県の自殺者数・自殺死亡率の推移 〈自殺者全体の推移〉  高知県の自殺者数は、全国的に自殺者数が急増した平成10年以降12年連続で200人を超えて推移し、平成16年には256人と平成元年以降で最多となりました。 高知県では、平成21年4月に「高知県自殺対策行動計画」を策定し、自殺防止対策に取り組み、本県の自殺者数は平成22年に197人と13年ぶりに200人を割り込み、平成27年に114人となって以降は概ね横ばい状態が続いています。 〈自殺死亡率の推移〉 自殺死亡率は、人口10万対で平成16年に32.0(全国4位)、第1期計画を策定した平成21年は30.5(全国5位)でしたが、令和3年は18.8(同7位)でした。 本県の自殺死亡率は減少しているものの、全国的にみると高い水準で推移しており、厳しい状況が続いています。 表1 自殺者数・自殺死亡率の年次推移〈高知県・全国〉省略 4ページ 2自殺者数の男女別・年齢別の状況 性別でみると、平成8年の男女の割合は、男性が約7割、女性が約3割であり、令和3年もほぼ同じ割合となっています。 全国的には新型コロナウイルスの感染拡大以降、女性の自殺者数が増加していますが、本県においては、平成29年以降横ばいの状態となっています。 図1自殺死亡者数の年次推移(高知県)省略 図2 人口10万人あたりの自殺死亡率の推移〈高知県・全国〉省略 5ページ 平成24年から令和3年までの10年間の推移をみると、かつて最も多かった50歳代(平成24年に44人)は令和3年に10人と大きく減少しています。また、平成24年に44人であった60歳代も令和3年には19人まで減少しました。一方で、20歳代は平成29年から、30歳代は平成30年から、40歳代は平成27年から増加傾向がみられます。 令和3年の年齢階級別の死因では、自殺は20歳代、30歳代での死因の第1位となっており、20歳未満、40歳代でも死因の第2位となっており、若年層の自殺が深刻な問題となっています。 図3 年代別自殺者数の推移(平成24年~令和3年)〈高知県〉省略 表2 年齢階級別による死因順位(令和3年)〈高知県〉省略 6ページ 平成29年から令和3年までの自殺者数を合計すると、本県における年代別の自殺死亡率は、全国と比べて男性では50歳代を除く全年代で高くなっており、特に30歳代や40歳代の働き盛り世代及び高齢者層が高くなっています。 一方、女性では、50歳代の自殺死亡率が高くなっています。 表3性別・年代別割合と自殺死亡率(平成29年~令和3年合計)〈高知県・全国〉省略 7ページ 3自殺者の職業別の状況 職業別では、「自営業等」や「その他無職」、「主婦」の人数は大きく減少していますが、それ以外ではあまり大きな変化はありません。 各職業別の割合は全国の状況とほぼ同様です。 図4職業別自殺者数の推移〈高知県〉省略 8ページ 4自殺者の年齢階級別・職業別の状況 平成29年から令和3年までの自殺者数を合計すると、自殺者数は、男女とも60歳以上の無職者が同居独居を問わず多くなっています。 自殺死亡率では、男性はすべての世代で、女性は40~59歳で無職、独居が高くなっています。 健康問題や社会的な役割喪失感、大切な人との死別などにより自殺リスクが高くなるとされる高齢層や働き盛り世代であっても無職・独居などにより孤立しがちな層で数値が高くなっています。 表4自殺者の年齢階級別・職業別等(平成29年~令和3年合計)〈高知県・全国〉省略 表5自殺者の年代別・職業別等の詳細データ 男女別ワースト3カテゴリー(平成29年~令和3年合計)〈高知県〉省略 9ページ 5自殺者の原因・動機別の状況 平成29年から令和3年までの自殺者の原因・動機を合計すると、「健康問題」が最も多く48.7%、次いで「経済・生活問題」が17.3%、「家庭問題」が15.6%、「勤務問題」が7.6%の順となっています。この傾向は概ね全国の状況と一致しています。 図5自殺者の原因・動機別の状況(平成29年~令和3年合計)〈高知県・全国〉省略 10ページ~11ページ 6性別・原因・動機別、年齢階級別自殺者数 平成29年から令和3年の自殺者の原因・動機を合計すると、原因・動機別の小分類でみると、「健康問題」で最も多いのが『うつ病』(118)、次いで『身体の病気』(104)となっています。また、「経済・生活問題」では、『負債(多重債務、その他)』(計48)や『生活苦』(21)が多くなっています。 ほとんどの年代で『うつ病』が多いほか、60歳代以上で『身体の病気』が多くなっています。 30歳代から60歳代では、『負債』や『生活苦』などの「経済・生活問題」が他の世代と比べ多くなっており、男性では、40歳代、50歳代で「経済・生活問題」が原因・動機別(大分類)で最も多くなっています。 男性では、30~50歳代で、『夫婦関係の不和』、『身体の病気』、『うつ病』、『統合失調症』、『負債(多重債務、その他)』、『仕事の疲れ』など、原因・動機が多岐にわたっています。 女性では、すべての年代で「健康問題」が多くなっています。 不詳の人の割合は、40歳以上で多くなっています。 全体としては、うつ病をはじめとする精神疾患が原因となっているケースが多くなっています。 表6性別・原因・動機別、年齢階級別自殺者数(平成29年~令和3年合計)(発見日・発見地ベース、人)〈高知県〉省略 12ページ~13ページ 7性別・原因・動機別、職業別自殺者数 平成29年から令和3年の自殺者の原因・動機を合計すると、「自営業・家族従業者」で最も多い原因・動機は、「経済・生活問題」(25)で、次いで「健康問題」(14)となっています。 「被雇用者・勤め人」で最も多い原因・動機は、「健康問題」(55)で、次いで「経済・生活問題」(48)、「家庭問題」と「勤務問題」(いずれも40)となっています。 「無職者」で最も多い原因・動機は、「健康問題」(220)で、次いで「家庭問題」(46)、「経済・生活問題」(29)となっています。 職業別小分類で一番自殺者数の多い『年金・雇用保険等生活者』で、最も多い原因・動機は、『身体の病気』(51)、次いで『うつ病』(34)となっています。 次に多い『その他の無職者』で最も多い原因・動機は、『うつ病』(31)、次いで『身体の病気』(22)となっています。 『主婦』は、『うつ病』(12)、次いで『身体の病気』と『統合失調症』(いずれも5)となっています。 不詳の割合では、「年金・雇用保険生活者」で最も多くなっています。 有職者の原因・動機は、「経済・生活問題」が最も多く、小分類では健康問題以外にも、負債や仕事の疲れ、事業不振が多くなっていることから、自殺やうつ病を始めとする精神疾患の正しい知識を普及啓発するなどの職域における対策の強化が必要です。 表7 性別・原因・動機別、職業別自殺者数(平成29年~令和3年合計)(発見日・発見地ベース、人)〈高知県〉省略 14ページ 8自殺者の未遂歴の状況 平成29年から令和3年の自殺者における未遂歴を合計すると、自殺者の約20%の人に自殺未遂歴がありました。これは、全国でも同様の傾向です。 15ページ 2地域ごとの自殺の状況 1各圏域の自殺死亡率等の動向 かつて自殺死亡率が高かった須崎・幡多圏域は近年減少傾向が続いています。 令和3年は安芸、中央東及び中央西圏域で自殺死亡率が大きく増加しています。 表9自殺者数・自殺死亡率の推移〈高知県〉省略 16ページ 平成29年から令和3年までの自殺死亡率をみると、安芸福祉保健所では男性の30歳代から50歳代、女性の20歳代、中央東福祉保健所では男性の30歳代及び80歳以上、中央西福祉保健所では男性の40歳代及び70歳代、須崎福祉保健所では男性の30歳代、40歳代及び70歳代、女性の40歳代、幡多福祉保健所では男性の80歳以上、女性の50歳代の自殺死亡率が県全体の各年代の自殺死亡率と比べて10ポイント以上高くなっています。 表10 年代別・男女別の自殺死亡率〈高知県・全国〉省略 17ページ 3相談件数の推移 県・市町村の機関別の相談件数では、身近な地域で自殺の相談に応じる体制が整ってきており、市町村での相談件数が増加傾向にあります。 高知いのちの電話では、平成30年にかけて相談件数がやや減少したものの、引き続き多くの相談を受けています。 図6相談機関別の相談件数の推移(平成29年~令和3年)省略 図7高知いのちの電話の相談件数推移(平成24年~令和3年)省略 18ページから21ページ 4第2期自殺対策行動計画の取組について これまでの取組と成果 1自殺予防に向けた普及啓発の実施 (1)自殺に関する調査・分析 ・厚生労働省の人口動態統計や警察庁の自殺統計資料等により、本県における自殺の現状把握や傾向の分析を行い、自殺者が多い高齢者層への対策として、孤立・孤独を防ぐための居場所づくりや悩みを抱えた人のサインに気づき適切な対応がとれるゲートキーパーの養成を推進するなど、分析を踏まえた取組を実施してきました。 (2)自殺に関する情報の提供 ・テレビや新聞等のマスメディアやリーフレットなどを通じた相談窓口の周知のほか、危機に陥ったときは1人で抱え込まずに誰かに援助を求めるべきであることや、周りの人が自殺のサインに気づき声をかける大切さなどについて周知を行いました。 ・令和2年度からは、新型コロナウイルスの影響による自殺者数増加の懸念から、あらゆる世代に情報が届くように、テレビや新聞広告だけでなく、SNS広告(web広告、YouTube広告)による啓発を追加し、通年で啓発を実施しました。 ・若者向けの自殺防止のCM素材を作成し、若者の自殺が増加する傾向にある学校の長期休暇前後にCMを放送するなどして、対策を強化しました。 ・誰でも簡単に現在のストレス度をチェックできる「こころの体温計」を令和2年度からホームページに公開し、自身のストレス度の状況に気づき、相談につなげる仕組みづくりを行いました。 (3)普及啓発活動の推進 ・自殺予防週間(9月10日~16日)や自殺対策強化月間(3月)に合わせて、のぼり旗の設置やポスターの掲示のほか、様々な媒体(テレビ・ラジオCM、新聞広告)を活用した広報を行うなど、集中的に啓発を実施しました。 ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大や著名人の自殺報道による自殺者増加等の社会情勢を踏まえ、自殺予防週間・月間以外の時期に広報を強化したり、若者向けにはWebやSNS広告を、高齢者向けには新聞の折り込みチラシを活用するなど、時期や対象に応じた啓発を実施しました。 ・ネット上で自殺に関係するワードを検索をした場合に、相談窓口などが優先的に表示される検索連動型広告を実施しました。 〈成果〉 ・令和3年度高知県地域共生社会の実現に向けた県民意識調査では、「自殺を考えた時に相談できる窓口があることを知っているか」について、42.7%の人が「知っている」と回答し、その中でも「いのちの電話」を知っている人が92.3%と最も多い結果でした。 2自殺予防のための相談・支援の充実 (1)各分野における相談・支援体制の充実 ・自殺対策推進センターでは、毎年度200件前後の相談に専門職が対応しています。令和3年度からは、相談体制や地域の支援体制を強化するため、職員を4人から5人に増員しました。また、「自殺・依存症対策ネットワーク会議」を開催し、医療機関や高知弁護士会等の司法機関といった関係機関によるネットワークの構築や連携の強化を図りました。 ・日ごろから高齢者に関わることの多いケアマネジャー等439人を対象に、高齢者のうつ病の特徴や傾聴の技法を学ぶ「高齢者心のケアサポーター養成研修」を実施しました。 ・若年層では悩みを打ち明ける相手は同世代の友人であることが多いことから、自殺対策推進センターが県内の大学において「若者向けゲートキーパー養成研修」を実施しました。 ・令和4年7月時点、30市町村では自殺に関する相談窓口を設けて対応しています。また、自殺対策推進センターの技術的支援や自殺対策強化事業費補助金を活用するなどしてゲートキーパーを養成するところが増えてきました。 ・DVや生活困窮、多重債務などの自殺の要因となる問題に対応する関係機関が、それぞれ相談窓口を設置し、悩みを抱える人からの相談に対応してきました。特に、自殺に至る原因動機として「経済・生活問題」が大きく関係しているため、弁護士や司法書士、ハローワークと連携した相談会を開催しました。 ・スクールソーシャルワーカーを全ての市町村と県立学校に、スクールカウンセラーを全ての公立学校に配置し、児童生徒や教員、保護者が悩みをいつでも相談できる体制を整備し、いじめ、不登校、暴力行為などの児童生徒の問題行動や家庭に起因する課題の解決に取り組みました。 ・学校や家庭の様々な問題で悩む子どもや保護者に24時間電話相談やメール、来所相談等様々な方法で相談できる体制を整えました。心の教育センターでは土曜日、日曜日の相談対応を開始しました。長期休暇前後に子どもの自殺が増加する傾向にあることから、平成30年度からSNS(LINE)を活用した相談を実施しました。 ・妊産婦のメンタルヘルス支援体制について検討を行う高知県周産期メンタルヘルス対策評価検討会において課題や方向性を協議し、令和2年10月から全市町村において産婦健康診査を開始しました。 ・こうち男女共同参画センター「ソーレ」において女性の法律相談やこころの相談等を実施し、相談件数の増加にあわせて、相談回数を月1回から2回に拡充しました。 ・高知県女性相談支援センターにおいて配偶者等からの暴力に関する相談の受付けや一時保護を実施しました。 (2)民間団体への支援及び連携 ・自殺対策強化事業費補助金を活用して、対面型相談や電話相談、研修会の実施、啓発動画の作成など、民間団体のノウハウを活かした様々な活動を支援しました。 ・いのちの電話に継続して事業を実施していただくため、協会が実施する相談員の資質向上のための研修や相談員募集に対して支援しました。 (3)相談従事者等の資質向上 ・自殺対策推進センターが、自殺対策に関わる市町村や民間団体の職員に対して研修や技術的支援を実施し、相談従事者の資質向上を図りました。 〈成果〉 ・県及び16市町村で職員や民生委員等を対象にしたゲートキーパーの養成が進み、令和3年度に累計で約4,500人となったほか、自殺対策推進センターが令和元年度に作成した「自殺予防ゲートキーパー養成研修実施者テキスト」を活用して、地域においてゲートキーパー養成研修を行うことができる人材を育成しました。 ・児童生徒の自殺対策では、子どもや保護者が24時間いつでも相談できるように相談体制を整備するとともに、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置により、多様化、複雑化した相談にも対応できる体制を整えることができました。 ・全市町村において産婦健康診査が開始されるなど、産後うつ等を早期に発見し、支援する仕組みが整いました。 3地域の特性に応じた取組の促進 (1)圏域における関係機関のネットワークの強化 ・各福祉保健所において関係機関とのネットワーク会議を開催し、地域の課題等を共有しながら、連携して自殺対策に取り組みました。 (2)市町村における自殺対策の推進 ・自殺対策推進センターが、市町村職員を対象とした計画策定やデータの活用方法に関する研修の実施や計画の進捗管理を行う会議への出席などの支援を実施しました。 〈成果〉 ・各福祉保健所を中心としたネットワーク会議を継続して開催する体制が整っています。 ・全市町村が自殺対策推進計画を策定し、地域の実情に応じて自殺対策に取り組んでいます。 4心の健康づくりとうつ病等の早期発見・治療の促進 (1)心の健康づくりの促進 ・精神保健福祉センターでは、県民からの心の健康や精神障害等に関する相談に対して専門職による対応を実施しました。また、専門的な立場から福祉保健所や市町村等に対して技術的指導等を行い、地域の精神保健福祉活動の実践力の向上に取り組みました。 ・各福祉保健所では嘱託医相談を実施するなど、精神保健福祉に関する様々な相談に応じ、関係機関と連携して支援を行いました。 ・経験の浅い養護教員配置校等にスクールヘルスリーダーを派遣し、対象児童への具体的な声のかけ方や関係機関との連携の図り方を指導・助言するなど、児童生徒の心の健康問題の早期発見、早期対応の体制づくりに取り組みました。 ・教員等を対象に「SOSの出し方教育」の研修を実施するとともに、県立学校のモデル校を選定し、実施に向けた体制を整えました。 (2)精神疾患の早期発見・早期治療体制の充実 ・かかりつけの医師等に対してうつ病や依存症の診療の知識や技術及び精神科医との連携方法の習得を目的とした研修を実施するなどして、一般診療科医と専門医との連携体制の整備に取り組みました。 ・様々な依存症は自殺のリスクを高める要因であるため、依存症の予防教育を実施したり、県民向けの依存症フォーラムを開催し、普及啓発を行いました。 〈成果〉 ・かかりつけの医師等に対して、自殺のリスクを高めるうつ病や依存症の診療に関する知識や技術の向上を図り、早期発見・早期治療につなぐことができる人材を育成しました。 かかりつけ医等うつ病対応力向上研修受講者 累計561人(H28) ⇒ 累計808人(R3) かかりつけ医等依存症対応力向上研修受講者 累計34人(H28) ⇒ 累計139人(R3) かかりつけ医等思春期精神疾患対応力向上研修受講者 累計170人(H28) ⇒ 累計331人(R3) ・自殺のリスク要因である依存症について、平成30年度に「高知県アルコール健康障害対策推進計画」、令和4年度に「高知県ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定し、「発症予防(一次予防)」、「進行予防(二次予防)」、「再発予防(三次予防)」の各段階に応じた対策を計画に基づいて推進しています。 ・依存症の人が県内で専門的な医療を受けられるよう、アルコール依存症、ギャンブル等依存症の専門医療機関をそれぞれ1カ所選定しました。 5 自殺未遂者へのケアと再度の自殺企図防止対策の構築 (1)救急医療施設における精神科医との連携強化 ・平成30年度に高知県精神科救急情報センターを設置し、休日・夜間における必要に応じた精神科救急輪番病院の紹介や精神医療相談に対応できる体制を整えました。 (2)再度の自殺企図防止に向けた支援体制の整備 ・市町村等の支援者を対象に自殺未遂者支援の先進的な取組を学ぶ研修会を実施するとともに、関係者会議を開催し、自殺未遂者支援のあり方について協議を進めてきました。 ・救急医療機関に搬送された未遂者を支援するため、一部の圏域において関係者とのネットワークを築き、継続して支援する体制を整えました。 ・児童生徒の生命、身体の安全を脅かす緊急事態の発生に対して緊急学校支援チームを学校に派遣し、事態の収集や問題の解決に向けて支援を行いました。 〈成果〉 ・地域の関係機関(警察、消防、医療機関等)と連携した未遂者支援の体制が整備され、自殺未遂者を支える仕組みが広がってきています。 自殺未遂者支援に取り組む福祉保健所圏域数 1圏域 ⇒ 2圏域 6 遺族等へのケアと支援施策の充実 (1)遺族等への心のケアの充実 ・自助グループと精神保健福祉センターが、自死遺族同士が悩みや苦しみを分かち合うための自死遺族の集いを開催しています。また、自死遺族の集い等の情報を掲載したリーフレットやカード等を作成したり、講演会を開催して、周知啓発を行いました。 〈成果〉 ・精神保健福祉センターだけでなく、当事者が主体となって「自死遺族の集い」を開催することができており、月1回定期的な開催を継続しています。 22ページ 現状を踏まえた主な課題 平成29年には自殺者数が109人まで減少していましたが、令和3年には128人となり、第2期自殺対策行動計画の「令和4年までに自殺死亡者を100人未満とする」という目標には届いていません。 (1)若年層の自殺対策 ・令和3年の年齢階級別の死因では、「自殺」は20歳代、30歳代の第1位となっており、20歳未満、40歳代でも第2位となるなど、若年層の自殺が深刻な課題となっています。 ・20~40代の働きざかり世代の男性の自殺者が増加傾向にあるため、職域での健康づくりと併せて自殺対策の取組を推進していく必要があります。 (2)高齢者の自殺対策 ・全国と比較すると高齢者層の特に男性の自殺死亡率が高いことから、孤独・孤立を防ぐための居場所づくりや、高齢者と関わる機会の多い人へのゲートキーパーの養成をさらに進める必要があります。 (3)女性、子どもへの対策 ・高知県では、平成29年以降女性や子どもの自殺者数は横ばいの状態ですが、全国的には増加していることから、本県においても相談支援等を更に推進していく必要があります。 (4)メンタルヘルス対策 ・自殺の原因・動機では、約半数を健康問題が占めており、その中でもうつ病をはじめとする精神疾患が多いことから、メンタルヘルス対策に引き続き取り組む必要があります。 (5)生きづらさを感じている人を見逃さない地域づくり ・住民にとって最も身近な市町村での相談件数が増加傾向にあり、地域共生社会の実現に向けた取組を推進し、さらなる相談体制の充実及び相談窓口の周知を行う必要があります。 ・複合的な課題を抱える人や制度の狭間にある人等を確実に支援していくために、属性を問わない相談支援、参加支援及び地域づくりに向けた支援を一体的に行う「重層的支援体制整備事業」など、各種施策と連携を図りながら自殺対策に取り組むことが必要です。 ・市町村における包括的な支援を支援するために、圏域、県全域においても、関係機関が連携して取り組むためのネットワークの強化が必要です。