高知県障害を理由とする差別の解消の推進に関する県立学校職員対応要領及び教育長が別に定める留意事項新旧対照表 高知県障害を理由とする差別の解消の推進に関する県立学校職員対応要領 1ページ (趣旨) 第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、法第6条第1項の規定により定められた障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、県立学校の教職員(会計年度任用職員及び臨時てき任用教職員を含む。以下「教職員」という。)が適切に対応するため必要な事項を定めるものとする。 1〜2ページ (不当な差別的取扱いの禁止) 第2条 法第7条第1項の規定に基づき、教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)をいう。以下同じ。)を理由として、障害のない人と不当な差別的取扱いをすることにより、障害のある人(障害のある者であって、障害及び社会的障壁(法第2条第2号に規定する社会的障壁をいう。じ条において同じ。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。以下同じ。)の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、教職員は、教育長が別に定める留意事項に留意するものとする。 (合理的配慮の提供) 第3条 法第7条第2項の規定に基づき、教職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(じ条第1項において「合理的配慮」という。)をしなければならない。これに当たり、教職員は、教育長が別に定める留意事項に留意するものとする。 2〜3ページ (管理職員の責務) 第4条 管理職員(校長、副校長、教頭及び事務長をいう。以下同じ。)は、ぜん2条に定める事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。 (1) 日常の業務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属教職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2) 障害のある人等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合は、所属教職員に対し、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 管理職員は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合は、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (相談体制の整備) 第5条 教育委員会は、教職員から障害を理由とする差別を受けた人及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、県立学校に相談窓口を設置するものとする。 2 前項の相談窓口は、副校長又は教頭、特別支援教育学校コーディネーター(特別支援教育を推進するために県立学校に配置された教員で、関係者との連絡調整、保護者に対する相談窓口等の役割を担うものをいう。)及びこれらの者以外の所属教職員の中から校長があらかじめ指名した者により構成するものとし、その責任者には、副校長又は教頭を充てる。 3 第1項の相談等を受ける場合は、性別、年齢、障害の状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファクシミリ及び電子メールに加え、障害のある人が他の者とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。 3〜4ページ (研修及び啓発) 第6条 校長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、所属教職員に対し、法や基本方針等の周知や、障害のある人から話を聞く機会を設けるなど必要な研修及び啓発を行うものとする。 2 教育委員会は、新たに教職員となった者に対し障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるため、新たに管理職員となった者に対し障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるため、それぞれ研修を実施するものとする。 3 教育委員会は、教職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、性別や年齢等にも配慮しつつ、障害のある人に適切に対応するため必要なマニュアルの活用等により、意識の啓発を図るものとする。 ふそく この訓令は、平成28年4月1日から施行する。 ふそく この訓令は、令和 年 月 日から施行する。 5ページ ※ 教育長が別に定める留意事項 高知県障害を理由とする差別の解消の推進に関する県立学校職員対応要領に係る留意事項 高知県障害を理由とする差別の解消の推進に関する県立学校職員対応要領(平成28年4月高知県教育委員会訓令第2号)に基づき、県立学校の教職員がその事務又は事業を行うに当たり留意すべき事項について、下記のとおり定める。 なお、この定めちゅう、下線を付した用語の意味については、別表のとおりとする。 記 5〜6ページ 第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)は、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害のない人に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害のある人の権利利益を侵害することを禁止している。なお、車椅子、補助けんその他の支援機器等の利用や介助者のつきそい等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。 また、障害のある人の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害のある人を障害のない人と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害のある人に対する@合理的配慮の提供による障害のない人との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害のある人に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。 このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害のある人を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害のない人より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 第2 正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障害のある人に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的のもとに行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害のある人、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点にかんがみ、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害のある人にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めることが必要である。その際、教職員と障害のある人の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。 7ページ 第3 学校教育における不当な差別的取扱いの例 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は、以下のとおりである。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であること、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意する。 (正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例) ○ 学校(分校含む。以下同じ。)への入学のしゅつがんの受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、にゅうりょう、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付すこと。 ○ 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること。 7〜8ページ (正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例) ○ 学校において、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害のある幼児、児童及び生徒(以下「児童生徒等」という。)の保護者等に障害の状況等を確認すること。 ○ 通級による指導、特別支援学級及び特別支援学校において、特別の教育課程を編成すること。 ○ アレルギー疾患を有する障害のある児童生徒等の実習において、アレルゲンとなる材料を使用するなど、病気や障害の特性等によって実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる場合、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋で実習を設定すること。 ○ 手続を行うため、障害のある人本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害のある人本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること。 第4 合理的配慮の基本的な考え方 8〜9ページ 1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由をきょうゆうし、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡をしっした又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。 法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、学校教育を行う事業者等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害のある人及びその保護者等から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害のある人が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものという、いわゆる「A社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、障害のある人が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 9〜10ページ 2 合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害のない人との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。その提供に当たってはこれらの点に留意した上で、当該障害のある人が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害のある人本人の意向を尊重しつつ「第6 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされる必要がある。建設的対話に当たっては、障害のある人にとっての社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を障害のある人と教職員が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。 例えば、障害のある人本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、当該行政機関として対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 合理的配慮の提供に当たっては、障害のある人の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。 なお、障害のある人との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。 3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害のある人が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。 また、障害のある人からの意思表明のみでなく、障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害のある人の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障害のある人が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害のある人が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨にかんがみて、当該障害のある人に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的に取り組むよう努めるものとする。 11ページ 4 合理的配慮は、不特定多数の障害のある人等の利用を想定して事前に行われる建築物のBバリアフリー化、介助者等の人的支援、C情報アクセシビリティの向上等の「環境の整備」を基礎として、個々の障害のある人に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害のある人との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。なお、多数の障害のある人が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害のある人等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点から、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることも有効である。 第5 学校教育における合理的配慮に関する留意点 1 合理的配慮の合意形成に当たっては、権利条約第24条第1項にある、人間の多様性の尊重等の強化、障害のある人が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要である。 2 合理的配慮は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じ、学校・本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供することが望ましく、その内容をD個別の教育支援計画等に明記することが重要である。 12ページ 3 合理的配慮の合意形成後も、児童生徒等一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要である。 4 合理的配慮は、Eインクルーシブ教育システムの理念に照らし、その障害のある児童生徒等が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要である。例えば、個別の教育支援計画やF個別の指導計画について、各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど、PDCAサイクルを確立させていくことが重要である。 5 進学や進級等の移行時においても途切れることのない一貫した支援を提供するため、個別の教育支援計画等の引継ぎ、学校間や関係機関も含めた情報交換等により、合理的配慮の引継ぎを行うことが必要である。 6 障害のある児童生徒等の将来的な自立と社会参加を見据えた障害の早期発見・早期支援の必要性及びインクルーシブ教育システムの理念にかんがみ、幼児教育段階や小学校(特別支援学校の小学部を含む。)入学時点において、意思の表明の有無に関わらず、幼児及び児童に対して適切と思われる支援を検討するため、障害の状態等の把握に努めるものとする。また、障害のある子供一人一人の教育的ニーズや必要な支援の内容を、複数の担当者で検討したり、実態の的確な把握(各種のアセスメント等)や個別の教育支援計画等を作成するために専門家等の活用を図ったりするなど、具体的な対応を組織的に進めることが大切である。 12〜13ページ 第6 過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の 趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。教職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、児童生徒等及びその保護者等に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが必要である。その際には前述のとおり、教職員と障害のある人の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められる。 ○ 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) ○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) ○ 費用・負担の程度 第7 学校教育における合理的配慮の例 第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的な場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである。合理的配慮の例は、以下に示すほか、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が運営する「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」や「特別支援教育教材ポータルサイト」も参考とすることが効果的である。 なお、これらに示されているもの以外は配慮する必要がないということではなく、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが必要である。 また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、判断することが必要であることに留意する。 14〜15ページ (合理的配慮に当たり得る例(物理的環境及び人的支援の配慮)) ○ 学校等において、災害時の警報音、緊急連絡等が聞こえにくい児童生徒等に対し、教職員が直接災害を知らせたり、緊急情報・校内放送を視覚的に受容することができる警報設備・電光表示機器等を用意したりすること。 ○ 管理する施設・敷地内において、車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。 ○ 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり、図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること。 ○ 移動に困難のある児童生徒等のために、参加する授業で使用する教室をアクセスしやすい場所に変更したりすること。 ○ 学校等において、障害のある子供が必要以上の発声やこだわりのある行動をするなど落ち着かない状況にある場合に、保護者から子供の特性やコミュニケーションの方法等について聞き取った上で、落ち着くことができるよう、個室等を提供すること。 ○ 児童生徒等が医療てきケアを必要とする場合、障害の状態や特性に配慮しながら、医療てきケアの実施のための別室等を用意するなど、衛生的な環境を提供すること。 ○ 学校等において、視覚障害のある人からトイレの個室へ案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室まで案内すること。その際、同性の教職員がいる場合は、障害のある人本人の希望に応じて同性の教職員が案内すること。 〇 劇場・音楽堂等において、手話通訳や字幕、音声ガイド等の対応に努めるとともに、施設や公演主催者等のウェブサイトやSNS等で、鑑賞サポートに関する情報提供に努めること。 15〜16ページ (合理的配慮に当たり得る例(情報の取得、利用及び意思疎通の配慮)) ○ 学校等において、筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、支援機器、触覚による意思伝達などによる多様なコミュニケーション手段、るびや写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行うこと。また、見分けやすい配色やコントラストにも配慮すること。 ○ 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、カラーユニバーサルデザインに配慮した資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える、活動や場所の手がかりとなるものを示す等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする、具体的な言葉を使用する、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。 ○ 言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な児童生徒等に対し、絵や写真カード、Gコミュニケーションボード、タブレット端末等のICT機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援したりすること。 ○ 比喩表現等の理解が困難な児童生徒等に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明すること。 16〜17ページ (合理的配慮に当たり得る例(その他の配慮)) ○ 学校等において、事務手続の際に、本人・保護者等の了解を得て、教職員や支援員等が必要書類の代筆を行うこと。 ○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張のため、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、本人に説明の上、状況に応じて別室を用意すること。 ○ 学校等において、視覚障害のある人等に対して板書やスクリーン等がよく見えるように、黒板等に近い席を確保すること。 ○ 入学試験や検定試験において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、試験時間の延長、点字や拡大文字、音声読み上げ機能の使用、車椅子の持参使用等を許可すること。 ○ 点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書や資料、問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータ等を事前に渡すこと。 ○ 聞こえにくさのある児童生徒等に対し、外国語のヒアリングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意したりすること。 ○ 知的障害のある児童生徒等に対し、抽象的な言葉や文章を説明する際、絵カード、文字カード、ICT機器等、分かりやすい教材・教具に代えて行うこと。 ○ 肢体不自由のある児童生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりすること。 ○ 日常的に医療てきケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにすること。 ○ 慢性的な病気等のために他の児童生徒等と同じように運動ができない児童生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意したりするなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をすること。 ○ 病気療養等のため学習できない期間が生じる児童生徒等に対し、ICTを活用した学習活動や補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫すること。 ○ 読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業や試験において読みやすい字体による資料を作成したり、タブレット端末等のICT機器使用を許可したり、筆記に代えて口頭試問で行ったりすること。 ○ 障害の特性等により人前での発表が困難な児童生徒等に対し、必要に応じて代替措置としてレポートを課すことや、児童生徒が自らの発表を録画したものを発表用資料として活用すること。 ○ 学校生活全般において、対人関係の形成に困難があったり、意思を伝えることに時間を要したりする児童生徒等に対し、活動時間を十分に確保したり障害の特性に応じて個別に対応したりすること。 18〜19ページ (合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例) ○ 入学試験や検定試験等において、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、「デジタル機器の使用を認めた前例がない」という理由で、必要な調整を行うことなく、一律に対応を断ること。 〇 介助を必要とする障害のある人から、講座の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該講座が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、受講者である障害のある人本人の個別事情や講座の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること。 ○ 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、視覚障害のある人からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で一律に対応を断ること。 ○ 視覚障害のある人が、点字ブロックのないイベント会場内の移動に必要な介助を求める場合に、「安全上何かあったら困る」という理由で移動介助の可能性を検討せず、一律に介助を断ること。 ○ 着替えに介助を必要とするスポーツ施設の利用者が、支援者と共に利用できる更衣室を希望した場合に、空いている会議室や事務室など代替施設を検討することなく、設備がないという理由で一律に対応を断ること。 〇 劇場・音楽堂等において、車椅子利用者から施設の構造上もしくは前席の観客の体格や行動等により舞台がよく見えないこと等を理由として、観覧席の変更を求める申出があった場合に、車椅子利用者観覧席の床面を嵩上げしたり、良好な視野を確保できる別の場所や席に案内したりといった対応が可能かどうかの検討を行うことなく、一律に対応を断ること。 19〜20ページ (合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例) ○ 医療てきケア児が体調不良のため登校ができない場合に、医療てきケア看護職員に家庭での個別の体調管理を依頼する等、事業の一環として行っていない業務の提供を保護者等から求められた場合に、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) ○ オンライン講座の配信のみを行っている社会教育施設等が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断ること。(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点) ○ 図書館等において、混雑時に視覚障害のある人から職員等に対し、館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、職員が聞き取った書籍等を準備することができる旨を提案すること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) ○ 車椅子利用者が試合直前になって介助者を同伴してスポーツを観戦することになった場合に、介助者席として車椅子利用者の隣の席は用意できなかったが、できるだけ近接した席を用意すること。(過重な負担(物理的・技術的制約)の観点) ○ 歩行に困難のある児童生徒やその保護者から段差でつまずかないように特別支援教育支援員を追加で配置するよう求めがあった場合に、つまずきを防止するための方策について検討した結果として、例えば簡易スロープによる段差の解消といった代替案を提案すること。(過重な負担の観点) 20〜21ページ (合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例) ○ 校長が、教職員による特別支援教育に対する理解を促進するための校内研修を実施(環境の整備)するとともに、教職員が、児童生徒一人一人の障害の状態等に応じた配慮を行うこと。(合理的配慮の提供) ○ 設置者が、エレベーターやバリアフリートイレ、スロープの設置といった学校施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、教職員が、車椅子を利用する児童生徒の求めに応じて教室間の移動等の補助を行うこと。(合理的配慮の提供) ○ 障害のある人から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について研修を行う(環境の整備)とともに、障害のある人から代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら担当者が代筆すること。(合理的配慮の提供) ○ オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害のある人がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと。(環境の整備) ○ 講演会等で、情報保障の観点から、手話通訳者を配置したり、スクリーンへ文字情報を提示したりする(環境の整備)とともに、申出があった際に、手話通訳者や文字情報が見えやすい位置に座席を設定すること。(合理的配慮の提供) ○ 社会教育施設等を利用する知的障害のある人や読字に障害のある方に向けて、わかりやすい資料を準備したり、施設内の看板や表示にるびやピクトグラムを使用したりする(環境の整備)とともに、利用者一人一人の障害の状態等に応じて、スタッフがわかりやすい言葉を用いて説明、代読する等の配慮を行うこと。(合理的配慮の提供) 第8 学校教育における相談体制の整備に関する留意点 1 校長は、特別支援教育の実施の責任者として、自らが特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに、リーダーシップを発揮しつつ、特別支援学校のセンター的機能等も活用しながら、校内の体制の整備を行い、組織として十分に機能するよう教職員を指導するものとする。 2 校長は、特別支援教育学校コーディネーターが合理的配慮の合意形成、提供、評価、引継ぎ等の一連の過程において重要な役割を担うことに十分留意し、学校等において組織的に機能するよう努めるものとする。 3 校長は、全校的な支援体制を確立し、障害のある又はその可能性があり特別な支援を必要としている児童生徒等の実態把握や支援方策の検討等を行うため、校内に特別支援教育に関する校内委員会を設置するものとする。 22ページ 4 学校等においては、本人・保護者等から相談を受けたホーム担任や特別支援教育学校コーディネーターとの対話による合意形成が困難である場合には、校内委員会を含む校内体制への接続が確実に行われるようにし、校長のリーダーシップの下、合意形成に向けた検討を組織的に行うものとする。 第9 学校教育における研修・啓発に関する留意点 1 障害のある児童生徒等と障害のない児童生徒等の交流及び共同学習は、特別支援教育に対する正しい理解と認識を深めるための絶好の機会であり、同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ場である。また、障害のある児童生徒等の保護者、障害のない児童生徒等の保護者や地域の方々が、共同学習や学校開放等を通じて学校教育に関わることにより、障害のある人に対する理解を深めていくことが重要である。 2 学校等においては、学校教育が担う重要な役割を認識し、児童生徒等の指導や保護者との連絡に携わる教職員一人一人が、研修等を通じて、法の趣旨を理解するとともに、障害に関する理解を深めることが重要である。 ふそく この定めは、平成28年4月1日から施行する。 ふそく この定めは、令和 年 月 日から施行する。 23ページ 別表 用語  @合理的配慮 意味 障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、教育を受ける場合に個別に必要とされているものです。(学校の設置者及び学校に対して、体制面・財政面において均衡を失した又は過度の負担を課さないもの) 用語  A社会モデル 意味 障害のある人が日常生活又は社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁(事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)と相対することによって生ずるものとする考え方です。 用語 Bバリアフリー 意味 障害者を含む高齢者等の社会的弱者が、社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や、精神的な障壁を取り除くための施策、又は具体的に障害を取り除いた事物及び状態を指す用語です。 24ページ 用語 C情報アクセシビリティ 意味 パソコンやWebページをはじめとする情報関連のハード、ソフト、サービスなどを、高齢者や障害者を含む多くのユーザーが不自由なく利用できるようにすることです。 用語 D個別の教育支援計画 意味 障害のある幼児児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えのもと、福祉、医療、労働等の関係機関との連携を図りつつ、乳幼児期から学校卒業までの長期的な視点に立って、一貫して的確な教育的支援を行うために、障害のある幼児児童生徒一人一人について作成した計画です。 用語 Eインクルーシブ教育システム 意味 人間の多様性の尊重等を強化し、障害のある人が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障害のある人と障害のない人が共に学ぶ仕組みです。 用語 F個別の指導計画 意味 児童生徒等一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう、学校における教育課程や指導計画を踏まえて、より具体的に児童生徒等一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだ計画です。児童生徒等一人一人の生活面や学習の課題と手立てを明確にし、実践、評価、改善をします。 25ページ 用語  Gコミュニケーションボード 意味 障害のある人など、話し言葉によるコミュニケーションが困難な方に対して、分かりやすいイラストやシンボルを指でさしながら意思を伝えるツールです。