第二章 安心して暮らせる地域づくり 写真 タイトル「大夢」 作「濱渦達也」 二十五ページ 第一節 安心した暮らしの確保 障害のある人が安心していきいきと生活するためには、各種支援制度に関する情報が入手しやすい環境や、身近なところで相談できる体制を整備することが大切です。また、さらに生活の質の向上を図るため、福祉サービス等の質の確保や障害特性に応じたコミュニケーション環境の整備、適切な情報提供等を行う必要があります。 表 「現在の悩みごと」と『将来の不安』の説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 現在の悩みごと ※複数回答(一人三つまで) 身体障害のある人 一位健康や体力のこと四十三点八パーセント、二位将来の生活のこと四十一点四パーセント、三位経済的なこと(お金のこと)二十八点二パーセント 知的障害のある人 一位将来の生活のこと五十点三パーセント、二位健康や体力のこと三十一点五パーセント、経済的なこと(お金のこと)二十六点四パーセント 精神障害のある人 一位将来の生活のこと五十三点三パーセント、経済的なこと(お金のこと)四十九点零パーセント、健康や体力のこと四十三点九パーセント 難病患者 一位健康や体力のこと五十九点六パーセント、将来の生活のこと五十四点零パーセント、経済的なこと(お金のこと)三十六点六パーセント 発達障害のある人 一位将来の生活のこと六十四点六パーセント、二位経済的なこと(お金のこと)三十点八パーセント、三位周囲の理解のこと二十四点九パーセント 高次脳機能障害のある人 一位将来の生活のこと四十八点六パーセント、経済的なこと(お金のこと)四十点零パーセント、健康や体力のこと三十三点三パーセント 将来の不安 ※複数回答(一人三つまで) 身体障害のある人 一位健康や体力のこと四十八点一パーセント、経済的なこと(お金のこと)三十五点三パーセント、地震などの災害時のこと三十二点零パーセント 知的障害のある人 一位健康や体力のこと三十七点四パーセント、経済的なこと(お金のこと)三十七点一パーセント、地震などの災害時のこと二十四点五パーセント 精神障害のある人 一位経済的なこと(お金のこと)五十七点二パーセント、健康や体力のこと四十八点四パーセント、仕事のこと二十九点八パーセント 難病患者 一位健康や体力のこと五十八点一パーセント、経済的なこと(お金のこと)四十二点六パーセント、地震などの災害時のこと三十五点五パーセント 発達障害のある人 一位経済的なこと(お金のこと)五十点七パーセント、周囲の理解のこと四十六点六パーセント、仕事のこと四十二点八パーセント 高次脳機能障害のある人 一位経済的なこと(お金のこと)四十八点六パーセント、健康や体力のこと四十一点九パーセント、地震などの災害時のこと三十点五パーセント 二十六ページ グラフ 障害のある人が安心して生活していくうえで何が必要かの説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 周囲の人達の障害に対する理解三十九点八パーセント、年金や手当三十点二パーセント、気軽に相談できるところ二十八点三パーセント、日常生活上の支援(食事、風呂、お金の管理)二十三点三パーセント、仕事二十一点零パーセント、住むところ十九点四パーセント、必要な時に見てもらえる医療体制十八点三パーセント、入所施設十五点一パーセント、コミュニケーション支援八点三パーセント、デイサービスなどの日中活動の場七点九パーセント、不明七点一パーセント、移動の支援六点一パーセント、特にない三点八パーセント、その他三点七パーセント、道路・交通建物のバリアフリー化三点五パーセント、ショートステイ二点七パーセント 平成二十四年度県民意識調査結果より 障害のある人が働ける場の拡大五十五点零パーセント、周囲の人の障害に対する理解五十点五パーセント、福祉サービスの充実四十八点二パーセント、道路・交通・建物のバリアフリー化二十五点二パーセント、年金や手当の充実二十四点二パーセント、医療の充実二十三点二パーセント、ボランティアの育成七点三パーセント、住宅の確保五点六パーセント、不明五点一パーセント、わからない三点九パーセント、その他一点二パーセント 二十七ページ 一 生活安定のための施策の充実 【現状と課題】 障害のある人の自立した生活を推進し、生活の質を高めるためには、障害のある人やその家族の経済的自立が非常に大切です。そのため、障害基礎年金や特別障害者手当(※三十三)など、各種年金・手当の充実や福祉的就労(※三十四)における工賃水準の向上を図る必要があります。また、医療費の自己負担への助成や心身障害者扶養共済制度(※三十五)、税の減免、資金の貸付など、安定した暮らしのための関連制度を有効に活用できるよう、さらに周知を図ることが必要です。 @年金・手当等の充実と制度の周知 障害基礎年金、特別障害者手当等の各種年金・手当等の制度の充実について、国に要望していきます。また、各種制度の情報について、行政機関のホームページや広報紙等に掲載するとともに各相談窓□において周知を図ります。 A工賃水準向上の取り組み 障害者就労支援事業所(※三十六)の商品開発や販路開拓、下請作業の共同受注の仕組みづくりなどの取り組みを支援し、利用者の工賃の向上を図ります。 B関連制度の周知 障害のある人や家族に対して、心身障害者扶養共済制度や生活福祉資金貸付制度(※三十七)、医療費の助成制度、税の減免、各種運賃・料金割引等の関連制度を周知するとともに、民生委員・児童委員、障害者相談員など、地域において相談・援助を行う人にも周知を図ります。 二十七ページの語句の説明 (※三十三)特別障害者手当 精神又は身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別な介護が必要な二十歳以上の在宅障害者に対して支給される手当のことです。 (※三十四)福祉的就労 障害のある人が働くことへの意欲や自信を持てるようにするため、就労継続支援事業所等の福祉的な支援のある環境で仕事を行うことです。 (※三十五)心身障害者扶養共済制度 障害のある人の保護者が加入者となって掛け金を納め、保護者(加入者)に万一(死亡等)のことがあったときに、残された障害のある人に一生涯、一定額の年金が支給される制度です。 (※三十六)障害者就労支援事業所 障害者総合支援法における就労支援事業(就労移行支援、就労継続支援(A型、B型))を行う事業所のことです。 (※三十七)生活福祉資金貸付制度 低所得世帯や高齢者、障害のある人の経済的自立と生活の安定を目的として、社会福祉協議会において行っている貸付制度です。 二十八ページ 二 コミュニケーション環境の整備 【現状と課題】 共生社会の実現のためには、障害のある人すべてに、可能な限り、手話を含む言語その他の意思疎通のための手段について選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段について選択の機会の拡大が図られることが重要です。 このため、情報通信機器や福祉機器等の利用を支援するとともに点訳奉仕員(※三十八)や音訳奉仕員(※三十九)、手話通訳者、要約筆記者(※四十)、視覚障害者向けパソコンボランティアなどの情報・コミュニケーション支援ボランティアの養成と併せて、活動の場の拡大を図り、障害の特性に応じたコミュニケーション手段が選択できる情報提供体制とコミュニケーション環境の整備を促進する必要があります。 @情報提供の充実 視覚障害者向け機器展示室ルミエールサロン(※四十一)の充実や、福祉機器の出張展示、相談会の開催などにより、福祉機器や給付制度などについての情報提供を充実します。 聴覚障害のある人や、視覚と聴覚の両方に障害のある人(盲ろう者)に対し、補聴器などの福祉機器の展示や出張相談などにより、福祉サービスについての情報提供を行います。 文章を読んだり理解することが難しい障害のある人に対して、ふりがなや絵、図など、分かりやすい表現による情報提供の方法を啓発します。 障害のある人が必要とする情報を、障害特性に応じた手段により入手できるよう、情報提供におけるバリアフリー化について啓発するとともに高知点字図書館や聴覚障害者情報センターの情報提供機能の充実を支援します。 二十八ページの語句の説明 (※三十八)点訳奉仕員 視覚に障害がある人のために、活字図書を点字にする点訳の技術を習得したボランティアのことです。 (※三十九)音訳奉仕員 視力等に障害のある人のために、文字や図表などの情報を音声化するために必要な技術等を習得した音声訳ボランティアのことです。 (※四十)要約筆記者 中途失聴者や難聴者のために、手書きやパソコンなどの方法によって、その場で音声を文字にして伝える要約筆記に必要な技術を習得した通訳者のことです。 (※四十一)ルミエールサロン 高知県立盲学校内に設置している視覚障害者向け機器展示室です。見えづらかったり、見えないことによる日常生活の不便さを解消するための、様々な機器や便利に使える道具を五百点以上展示しています。 二十九ページ A情報・コミュニケーション環境の整備 コミュニケーション支援機器の普及や情報・コミュニケーション支援ボランティアの養成など、障害特性に応じたコミュニケーション環境の整備を進めます。また、ニーズに応じた情報提供の環境を整備します。 より身近な地域で情報・コミュニケーション支援ボランティアによる支援が受けられるよう、市町村における点訳奉仕員や音訳奉仕員、手話通訳者、要約筆記者などの養成を支援するとともにボランティアのスキルアップを図るための研修を実施します。 地域における情報保障に格差が生じないよう、情報・コミュニケーション支援ボランティアの活動の場の拡大と啓発に取り組みます。 言葉の理解や自分の意思を言葉にすることが難しいなど、コミュニケーションに困難がある人の円滑なコミュニケーションを支援する、コミュニケーション支援カード(※四十二)などのコミュニケーションツールの普及を図ります。 二十九ページの語句の説明 (※四十二)コミュニケーション支援カード 文字や話し言葉によるコミュニケーションが難しい人が、自分の意思や要求を的確に伝えたり、支援者とのコミュニケーションを図るために使用する、イラストや文字、記号が書かれたカードのことです。 三十ページ 三 相談支援の充実と生活の質の確保 【現状と課題】 障害のある人の希望する生活を実現するためには、ケアマネジメントが適切に行われるよう、相談支援の充実・強化が必要です。このため、相談支援体制の整備を促進するとともに相談支援専門員(※四十三)の質の向上に取り組む必要があります。 また、地域のニーズや課題を把握し、解決に向けた取り組みを行う市町村自立支援協議会(※四十四)の活性化を図るため、継続して支援を行う必要があります。 発達障害に関する相談や、療育に関するニーズは年々増加傾向にあります。平成十八年には、療育福祉センターに発達障害児・者に対する相談支援や発達支援などを行う発達障害者支援センターを開設しましたが、より身近な地域で支援が受けられる体制づくりが求められています。 平成二十年度には、高知市に高次脳機能障害のある人の相談支援を行う高次脳機能障害相談支援センターを設置しました。今後は、医療機関をはじめ地域の関係機関との連携を強化するとともに地域における支援体制について検討する必要があります。 また、難病患者への相談支援のため、各福祉保健所に設置している難病相談・支援センター(※四十五)において、身近な地域での継続した支援を行います。 福祉サービス事業者が自主的にサービスの質の向上に取り組むことや、それらの取り組みが第三者により客観的に評価され、その情報が利用者や家族等に提供される仕組みは、サービスの利用を必要とする人が適切なサービスを選択し利用するために大変重要です。 また、平成十八年の障害者自立支援法の施行による、福祉サービスの多様化、複雑化に伴い、相談窓口に寄せられる相談が大変多くなっていますので、さらに相談機能を充実していく必要があります。 福祉サービスの利用手続きや財産管理などに困難が伴う障害のある人の意思決定に関する支援については、成年後見制度や県社会福祉協議会の実施する日常生活自立支援事業があります。 障害のある人が地域で安心して暮らすためには、より身近な地域で支援が受けられるようにするとともに、成年後見制度の利用をさらに促進する必要があります。 三十ページの語句の説明 (※四十三)相談支援専門員 障害者等の相談に応じ、助言や連絡調整等の必要な支援を行うほか、サービス等利用計画の作成を行う専門職です。 (※四十四)市町村自立支援協議会 地域における障害のある人への支援体制を整備するため、関係機関等が相互の連携を図ることにより、支援体制に関する課題を共有し、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うことを目的として市町村が設置する機関をいいます。 (※四十五)難病相談・支援センター 地域で生活する難病患者等の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進及び就労支援などを行う拠点施設です。 三十一ページ @相談支援体制の充実 相談支援専門員の資質向上を図るため、専門研修等の取り組みを強化します。また、相談支援専門員への助言・指導等ができる人材の養成を行います。 相談支援事業所の開設支援をはじめ、基幹相談支援センター(※四十六)や児童発達支援センター(※四十七)の設置支援などにより、広域的な支援体制の整備を推進します。また、相談支援における困難事例への助言・指導等により、市町村自立支援協議会の活性化を図っていきます。 地域で高次脳機能障害のある人や家族を支える仕組みづくりに取り組むとともに医療機関をはじめとする地域の関係機関との連携強化や、県内全域での支援体制の整備に取り組みます。 「難病相談・支援センター」では、関係機関とのネットワークを充実させるとともに、地域格差が生じないよう寄せられた相談内容や解決方法等の共有を図りながら活動します。 三十一ページの語句の説明 (※四十六)基幹相談支援センター 相談窓口としての業務を行うとともに、支援困難事例への対応や相談支援事業者への助言、地域の相談支援専門員の人材育成などを行う、市町村が設置、または委託をした地域の中核的な総合相談支援機関のことです。 (※四十七)児童発達支援センター 就学前の児童を対象とした通所支援に加えて、保育所等への訪問支援や相談支援などの地域支援の機能をあわせ持つ、地域の中核的な療育支援施設のことです。 三十二ページ A苦情解決・サービス評価の促進 福祉サービスが適切に提供されるよう、県社会福祉協議会に設置している運営適正化委員会等の苦情・相談受付窓□の充実に取り組むとともに制度の周知を図ります。 利用者の適切なサービスの選択に資するため、また事業者の自主的なサービス向上の取り組みを促すため、福祉サービス第三者評価制度(※四十八)を周知するとともに、事業者の受審促進を図ります。 より身近な地域で福祉サービスの利用手続きや日常的な金銭管理などを支援できるよう、日常生活自立支援事業(※四十九)の実施体制の見直しを行い、市町村社会福祉協議会が主体的に実施できる体制への移行を行います。また、日常生活自立支援事業よりも成年後見制度による支援の方が適切な人については、成年後見制度利用支援事業の活用や市町村長による申し立てなどにより、活用促進を図ります。 三十二ページの語句の説明 (※四十八)福祉サービス第三者評価制度 福祉サービスの質を向上させるために、福祉施設や事業所に対して第三者が客観的に評価を行い、その評価結果を公表し、福祉サービスの利用者や家族等に情報提供するしくみのことです。 (※四十九)日常生活自立支援事業 認知症高齢者、知的障害や精神障害のある人など判断能力が低下している人が、自立した地域生活をおくれるように、利用者との契約により福祉サービスの利用について援助等を行う事業です。 三十三ページ 第二節 保健・医療と福祉サービスの充実 病気や事故による障害は、日頃の生活を見直すことなどで可能な限り予防することができます。 また、早期の発見と支援によってその人の持つ可能性を最大限に伸ばすことができます。 障害のある人により適切な保健・医療・福祉サービスを提供するためには、それぞれの施策を充実するとともに、ニーズに応じて保健・医療・福祉の連携のとれた一体的で、継続したサービスの提供ができる体制を作ることが必要です。 一 マンパワーの養成・確保 【現状と課題】 県社会福祉協議会が設置している福祉人材センターでは、福祉の仕事の無料職業紹介やマッチング支援など、人材確保の支援を行っています。また、若年層から魅力ある職場として評価・選択されるよう、広報、啓発活動を行い福祉・介護職場のイメージアップを図ってきました。 さらに、福祉研修センター(※五十)と連携し、ニーズが高まっている相談支援専門員や地域での支え合いの仕組みづくりを担う地域福祉コーディネーターなどの人材育成にも取り組んでいます。 しかし、福祉・介護の仕事のネガティブなイメージや職種・雇用形態による求人難に加えて、地域により求職状況に偏りがあり、特に中山間地域では、看護職員も含めて人材確保が難しい状況です。 三十三ページの語句の説明 (※五十)福祉研修センター 福祉を支える人づくりと担い手の確保など、総合的な福祉人材の育成を行うために、高知県社会福祉協議会内に設置している機関のことです。 三十四ページ @人材の養成・確保 福祉・介護職場に対するイメージアップを図るとともに、潜在的有資格者の掘り起こしや他分野で活躍している人材の参入促進に取り組むなど、関係機関と連携して質の高い人材の確保を図ります。 また、福祉・介護職場で従事する人の処遇改善について、引き続き、国に要請していきます。 看護職員については、養成学校卒業生の県内定着と地域的な偏りの是正に取り組みます。 A研修体制の充実 福祉研修センターと連携して、体系的に研修を行うなど、福祉人材の養成に取り組みます。 障害のある人が地域で安心して暮らせるよう、特に訪問看護に関する研修や技術指導を実施するとともに、継続して研修に参加できる体制づくりを支援します。 三十五ページ 二 障害の原因となる疾病等の予防 【現状と課題】 早産で生まれた超低出生体重児(千グラム未満の児)は、将来、疾病や障害を残す可能性が高く、また、乳幼児期の事故、疾病も思わぬ障害の発生につながる場合が多くみられます。そのため、妊娠前からの健康教育を推進し、母子保健知識の普及啓発に努めてきました。今後も健康管理や事故予防についての情報提供や保健指導を充実することが必要です。 障害の原因や生活の質の低下をもたらす脳血管疾患や心疾患、糖尿病の予防対策として、健康診査や保健指導を実施していますが、四十代、五十代を中心に健診受診率が低くなっています。 健診受診率を上げるとともに、食生活の改善や禁煙の推進、運動習慣をつけるなどの健康づくりを啓発する必要があります。また、若者に望ましい食生活が身に付くよう食育を啓発することも必要です。 グラフ 生活習慣病(※五十一)死亡割合(平成二十一年)の説明 資料 高知県平成二十四年度健康福祉行政の概要より 総計 脳血管疾患十一点九パーセント、悪性新生物二十七点一パーセント、心疾患十六点八パーセント、その他四十四点二パーセント 八十歳以上 脳血管疾患十三点七パーセント、悪性新生物十九点零パーセント、心疾患十九点二パーセント、その他四十八点零パーセント 七十歳代 脳血管疾患十点三パーセント、悪性新生物三十六点二パーセント、心疾患十四点九パーセント、その他三十八点六パーセント 六十歳代 脳血管疾患八点一パーセント、悪性新生物四十六点九パーセント、心疾患十二点四パーセント、その他三十二点五パーセント 五十歳代 脳血管疾患七点九パーセント、悪性新生物四十点七パーセント、心疾患十二点五パーセント、その他三十八点九パーセント 四十歳代 脳血管疾患十点三パーセント、悪性新生物三十二点九パーセント、心疾患九点七パーセント、その他四十七点一パーセント 三十歳代 脳血管疾患六点三パーセント、悪性新生物十五点八パーセント、心疾患六点三パーセント、その他七十一点六パーセント 三十五ページの語句の説明 (※五十一)生活習慣病生活習慣病 がん、脳血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症など、食生活や運動、喫煙などの生活習慣に関する一連の病気群を示す呼称です。 三十六ページ @健康増進、疾病予防の推進 子どもが健やかに生まれる環境づくりのために、市町村と連携して妊産婦の健康教育や保健指導及び健康診査の充実を図るとともに、周産期医療(※五十二)体制の整備を推進します。 乳幼児健康診査等の機会を活用した子どもの事故防止等の啓発や、健診後の定期的な発達チェック及び相談指導等のフォローアップを進めることにより疾病予防と健康増進の強化を図ります。 バランスのとれた食生活や日常的な運動習慣を身につける取り組みのほか、禁煙や受動喫煙の防止、適正飲酒の普及啓発など、「第三期よさこい健康プラン二十一(※五十三)」に基づいた取り組みを進めます。 A生活習慣病予防と介護予防(※五十四)の推進 保険者が実施する特定健康診査と特定保健指導が着実に実施できるよう、人材育成をはじめとして関係者間の連携協力を進めるとともに、受診率の低い四十代・五十代や被扶養者の受診を促進し、生活習慣病予防や疾病の早期発見につながるよう取り組みます。 介護予防手帳や広報番組を活用して介護予防を啓発するとともに、住民が主体となった継続的な介護予防の取り組みを支援します。 三十六ページの語句の説明 (※五十二)周産期医療 妊娠満二十二週から生後一週未満までの時期を周産期といいます。この時期は、母体や胎児・新生児の生命に関わる事態が発生する可能性があり、産科と小児科の連携によって母体と胎児・新生児を総合的に管理して母と子の生命と健康を守る医療のことを周産期医療といいます。 (※五十三)よさこい健康プラン二十一 健康増進法第八条第一項に基づき策定された、高知県の健康増進計画です。 (※五十四)介護予防 高齢者が、要介護状態となることを予防するとともに、要介護状態となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活をおくれるようにすることです。 三十七ページ 三 障害のある子どもへの支援の充実 【現状と課題】 障害のある子どもの支援は、できるだけ早期に障害を発見し、適切な療育支援を行うことにより、障害の軽減と発達を促し、将来の社会的自立へつなげていくことが大切です。 このため、これまで新生児聴覚スクリーニング検査や乳幼児健康診査時に障害を発見する取り組みを実施してきましたが、新生児聴覚スクリーニング検査は有料であるため、全ての新生児に検査がされていないことや、乳幼児健康診査に関わる市町村担当者等のスキルアップなどが課題となっています。 療育福祉センターでは、この九年間で発達障害の受診者数が三倍になっており、年々、受診者数が増加しています。 しかし、療育支援を行う事業所が不足しており、子どもの発達について不安を抱えている保護者の相談支援も含め、より身近で専門的な療育支援が受けられる体制の整備が必要です。 グラフ 療育福祉センターにおける発達障害受診者数の説明 資料 障害保健福祉課 平成十四年度二千三百五十人、平成十五年度二千六百九十九人、平成十六年度三千七十九人、平成十七年度三千三百六十二人、平成十八年度三千四百八十七人、平成十九年度四千二百四十一人、平成二十年度六千五十七人、平成二十一年度五千五百七十四人、平成二十二年度六千五十五人、平成二十三年度七千二百七人 三十八ページ グラフ 療育・保育について困っていることの説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 療育に関する情報が少ない 身体障害二十一点六パーセント、知的障害二十四点七パーセント、精神障害二十点三パーセント、難病患者二十三点五パーセント、発達障害三十一点八パーセント、高次脳機能障害二十三点一パーセント 身近な場所に専門的な療育機関がない 身体障害十五点二パーセント、知的障害二十二点零パーセント、精神障害十四点七パーセント、難病患者二十一点零パーセント、発達障害二十八点九パーセント、高次脳機能障害二十六点九パーセント 加配保育士や療育機関の専門性 身体障害八点六パーセント、知的障害十点六パーセント、精神障害九点一パーセント、難病患者十一点一パーセント、発達障害二十三点八パーセント、高次脳機能障害十一点五パーセント 就学前の支援が学校に引き継がれない 身体障害三点八パーセント、知的障害四点六パーセント、精神障害二点一パーセント、難病患者七点四パーセント、発達障害十一点一パーセント、高次脳機能障害三点八パーセント 気軽に相談できる窓口がない 身体障害十六点二パーセント、知的障害二十点六パーセント、精神障害十八点九パーセント、難病患者十一点一パーセント、発達障害十八点九パーセント、高次脳機能障害十九点二パーセント 短期入所できる施設が少ない 身体障害十九点二パーセント、知的障害十四点八パーセント、精神障害十四点零パーセント、難病患者十四点八パーセント、発達障害十点九パーセント、高次脳機能障害十五点四パーセント 放課後や長期休暇時の支援が十分でない 身体障害二十七点一パーセント、知的障害二十七点五パーセント、精神障害十一点九パーセント、難病患者二十八点四パーセント、発達障害三十四点一パーセント、高次脳機能障害十一点五パーセント 身近なところに受診できる機関がない 身体障害七点一パーセント、知的障害九点二パーセント、精神障害十点五パーセント、難病患者六点二パーセント、発達障害十点七パーセント、高次脳機能障害十五点四パーセント 保護者や子供同士の交流が少ない 身体障害八点三パーセント、知的障害十二点六パーセント、精神障害十一点二パーセント、難病患者十三点六パーセント、発達障害十六点三パーセント、高次脳機能障害十九点二パーセント 経済的負担が大きい 身体障害十三点一パーセント、知的障害十二点零パーセント、精神障害十七点五パーセント、難病患者十八点五パーセント、発達障害十三点零パーセント、高次脳機能障害十九点二パーセント 特に困っていることはない 身体障害十二点八パーセント、知的障害九点六パーセント、精神障害六点三パーセント、難病患者九点九パーセント、発達障害九点一パーセント、高次脳機能障害七点七パーセント その他 身体障害四点五パーセント、知的障害四点三パーセント、精神障害三点五パーセント、難病患者四点九パーセント、発達障害六点八パーセント、高次脳機能障害零点零パーセント 不明 身体障害二十六点六パーセント、知的障害二十点六パーセント、精神障害三十七点八パーセント、難病患者二十四点七パーセント、発達障害六点八パーセント、高次脳機能障害三十点八パーセント 三十九ページ @障害の早期発見 乳幼児健康診査に関わる市町村職員等の研修を実施し、スキルアップを図ります。また、保健師や教員、保育士など、子どもとの関わりが多い職種への研修や支援を実施します。 新生児聴覚スクリーニング検査の検査率向上を図る取り組みをはじめ、市町村や医療機関、療育福祉センターなどの関係機関と連携して障害の早期発見に取り組みます。 A保護者への支援 身近な地域で専門的な相談支援が受けられるよう、相談支援事業所や児童発達支援センターの整備促進を図ります。また、市町村や相談支援事業所と連携して、福祉保健所や療育福祉センター、児童相談所で、子どもの発達に不安を持つ保護者の相談支援を行います。 B早期療育支援体制の充実 発達に心配のある子どものフォローアップを福祉保健所で行うとともに療育福祉センターで専門的な検査や療育支援、保育所など関係機関への支援を行います。 Cライフステージに応じた支援体制づくり 市町村における障害の早期発見・早期療育の支援体制づくりを支援するとともに、一人ひとりの状況に応じた個別の支援計画の作成と途切れなく支援内容を引きついでいく仕組みを作り、ライフステージを通じて一貫した支援が受けられる環境を整備します。 D専門医師の養成 療育福祉センターに設置した高知ギルバーグ発達神経精神医学センター(※五十五)を中心に発達障害に関する専門医師の養成に取り組みます。 三十九ページの語句の説明 (※五十五)高知ギルバーグ発達神経精神医学センター 県内の医療機関等と協働して、神経発達障害の臨床研究及び臨床教育を行う機関のことです。発達障害や児童問題に幅広く対応できる専門的な医師を養成します。 四十ページ E身近な地域での療育拠点の整備 より身近な地域で専門的な療育支援が受けられるよう、児童発達支援センター等の整備を促進します。また、併せて専門性を高めるための職員の研修を行うなど、支援の質の向上を図ります。 F子どもの精神疾患への医療の充実 高知医療センター児童思春期専門病床や高知ギルバーグ発達神経精神医学センターを中心に県全体の子どもの精神科医療の向上を図り、発達障害など子どもの心のケアに関わる関係機関の連携体制が構築され、児童精神科の専門的な医療が受けられるよう取り組んでいきます。 写真 タイトル「スコップギター」 作「尾崎勝久」 四十一ページ 四 医療・リハビリテーション(※五十六)の充実 【現状と課題】 これまで、救急医療を担う医療機関の整備や救急医療情報システムの充実など、医療体制の整備に取り組んできましたが、専門的な医療機関が高知市周辺部に集中するなど、都市部と中山間地域との医療提供体制に大きな格差が生じています。 また、病気や障害があっても自宅で生活を続けることを希望する人は多く、在宅療養を可能とする支援体制の整備が必要です。 難病相談・支援センターや難病医療専門員による適切な医療につなげる取り組みや、神経難病医療ネットワーク(※五十七)の拡充、二人主治医制の導入支援を行ってきましたが、人工呼吸器等の機器を必要とする患者については、医療・ケアの専門的な体制と看護のマンパワー不足により、レスパイト入院(※五十八)だけでなく緊急時の入院施設の確保が困難な状況です。 障害のある人への歯科診療については、県歯科医師会の歯科保健センターと同センター幡多分室で診療を行っていますが、患者が増加し続ける一方で、歯科治療ができる施設が限られることやマンパワー不足が課題となっています。 医療・福祉・介護の関係者が連携して、在宅での支援が必要な人を支える取り組み事例がみられるようになってきましたが、まだ一部にとどまっています。 四十一ページの語句の説明 (※五十六)リハビリテーション 障害のある人の力を最大限にひきだし、身体的・心理的・社会的、職業的な自立能力の向上などを促すための専門的かつ総合的な援助技術のことで、「障害のある人の全人的復権」を理念としています。 (※五十七)神経難病医療ネットワーク 重症難病の方のための身近な入院施設の確保等を図るため、都道府県が概ね二次医療圏(一般的な入院治療が提供される地域的単位として設定される圏域)ごとに一か所の協力病院を指定し、そのうち一か所を拠点病院として、地域の医療機関と連携し難病医療体制の整備を図るための体制です。 (※五十八)レスパイト入院 在宅で医療や介護を受けている人などが、医療機関で医療を受けるとともに家族が介護に疲れきってしまうことを防ぐための入院をいいます。 四十二ページ @医療体制の充実 地域ごとの医療課題に対応して、急性期・回復期・維持期など病期に応じた医療連携体制の構築に取り組むとともに医療機関が近くにない地域への支援やへき地診療所のある地域への支援など、へき地医療を確保します。 県民や医療関係者に対する在宅医療の普及啓発と情報提供を行い、在宅医療が選択できる環境整備に努めます。 休日・夜間の救急医療体制を維持するとともに郡部の救急医療機関に勤務する医師の増加に努めます。また、最適な搬送先や搬送手段の選定が可能となるよう、医療機関の連携強化を図ります。 A難病患者への医療の充実 医療機関の特徴を生かした連携を進めるとともに、適時、適切な医療が提供できるよう、難病医療専門員や難病相談・支援センターが中心となって、登録医療機関等のネットワークを充実させます。 患者の病態に応じた医療や看護、介護ケアを提供できる施設の選択が可能となるよう、人工呼吸器等を必要とする難病患者の入院、入所について、神経難病医療ネットワーク事業の登録医療機関の拡充を進めます。また、看護師への実務研修等を実施し、神経難病患者の受入体制の向上に努めます。 B歯科保健・医療の充実 在宅の重度障害児(者)等に対する歯科医師や歯科衛生士による歯科訪問指導を推進します。また、施設等の歯科健診を推進するとともに歯科医療従事者・施設職員などへの口腔衛生管理や歯科医療技術についての研修を実施するなど、歯科保健水準の向上を図ります。 障害のある人への歯科診療ができる歯科医師の養成に取り組みます。 療育福祉センターで実施している唇裂・□蓋裂(※五十九)の相談と治療については、引き続き取り組んでいきます。 四十二ページの語句の説明 (※五十九)唇裂・口蓋裂 唇裂は、生まれつき唇の一部が割れている状態をいいます。また、口蓋裂は、生まれつき口蓋部(口の中の天井)が割れて口と鼻が繋がっている状態をいいます。生後まもなくから、形成外科や耳鼻咽喉科、矯正歯科など多くの専門家から適切な治療を受けることが必要です。 四十三ページ Cリハビリテーションの推進 障害のある人が、住み慣れた地域でいきいきと生活できるよう、医療・保健・福祉の関係機関が、連携・協力しあい総合的にサポートする地域ケアを推進します。 医療機関から在宅生活への円滑な移行を行うための関係機関による退院前カンファレンスの実施をはじめ、医療・保健・福祉の関係機関の連携を強化し、身近な地域で適切なリハビリテーションサービスを継続的に受けられる体制を整備します。 四十四ページ 五 障害福祉サービスの確保・充実 【現状と課題】 平成十八年に障害者自立支援法が施行され、それまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて提供されていた福祉サービスが、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みに改められました。さらに平成二十五年四月から、この法律は「障害者総合支援法」と改められ、難病患者も障害福祉サービスの対象となります。 本県では、障害福祉計画に基づき、障害福祉サービス等の提供体制の整備を進めていますが、中山間地域においては、採算性などの要因で事業者の参入が進んでいないため、地域で必要なサービスを十分に利用できないという課題があります。 このため、障害のある人が身近な地域でニーズに応じたサービスが受けられるよう、さらにサービスの確保に取り組むことが必要です。 また、難病患者についても、新たな制度のもとで必要なサービスが受けられるようサービス提供体制を整備する必要があります。 表 高知県の障害福祉サービスの状況(平成二十四年十月一日現在)の説明 資料 障害保健福祉課 ※多機能型は各サービスにカウント 区分 居宅介護サービス 居宅介護(※六十)百四十一事業所、重度訪問介護(※六十一)百三十二事業所、行動援護(※六十二)五事業所、同行援護(※六十三)五十六事業所 区分 日中活動系サービス 生活介護(※六十四)三十一事業所、自立訓練(※六十五)(生活訓練)六事業所、就労移行支援(※六十六)十七事業所、就労継続支援A型(※六十七)十九事業所、就労継続支援B型(※六十八)八十一事業所 区分 入所系サービス 施設入所支援(※六十九)二十九施設(生活介護二十九施設、機能訓練一施設、生活訓練三施設)、療養介護(※七十)三施設、短期入所(※七十一)四十二施設 区分 グループホーム、ケアホーム グループホーム三十四事業所、ケアホーム四十四事業所、福祉ホーム(※七十二)三か所 四十五ページ 四十四ページの語句の説明 (※六十)居宅介護 自宅で、入浴や排せつ、食事などの介助を行う訪問系サービスです。 (※六十一)重度訪問介護 重度の障害があり常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行うサービスです。 (※六十二)行動援護 行動するうえで著しい困難があり、常時介護を要する障害のある人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援や外出支援を行うサービスです。 (※六十三)同行援護 視覚障害により移動に著しい困難を有する人が外出するときに、移動に必要な情報の提供などの支援を行う訪問系サービスです。 (※六十四)生活介護 常に介護を必要とする人に、入浴、排せつ、食事の介護などを行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供する日中活動系サービスです。 (※六十五)自立訓練(機能訓練・生活訓練) 自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行う日中活動系サービスです。 (※六十六)就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う日中活動系サービスです。 (※六十七)就労継続支援A型 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う日中活動系サービスです。サービスを提供する事業所と雇用契約を締結し、利用します。 (※六十八)就労継続支援B型 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う日中活動系サービスです。 (※六十九)施設入所支援 夜間や休日、施設に入所している人に、入浴、排せつ、食事の介護などを行います。 (※七十)療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の世話を行います。 (※七十一)短期入所 自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め、障害者支援施設等で入浴、排せつ、食事の介護などを行います。 (※七十二)福祉ホーム 住居を必要としている人に、低額な料金で、居室等を提供するとともに、日常生活に必要な支援を行います。 四十六ページ @障害福祉サービスの質の向上 障害福祉サービス事業者が、利用者の障害の特性やニーズに応じた適切なサービスを提供できるよう、障害福祉サービス事業従事者の専門性を向上するための研修を行います。 A中山間地域におけるサービスの確保 身近な地域でサービスが受けられるよう、中山同地域において新たに送迎付きの通所事業所を開設する事業者や事業所から遠距離の利用者にホームヘルプサービス等の居宅サービスを提供する事業者に助成を行い、サービスの確保を図ります。 B障害特性に応じたサービスの充実 医療的なケアが必要な重度の障害がある人を受け入れる小規模作業所(※七十三)への支援を行い、重度障害者の在宅生活の支援を充実するとともにこれら作業所の法定サービスヘの移行を支援します。 難病患者が適切なサービスを受けられるよう、専門医や地域医療機関、市町村等の関係機関が連携し、個々の支援計画の作成と評価を行い、きめ細かな支援に取り組みます。 在宅の強度行動障害のある人や医療的なケアが必要な重度の障害がある人の家族の負担軽減等を図るため、短期入所事業所の整備を促進します。 身体障害者手帳の対象とならない軽度・中等度難聴児のきこえの確保と言語の発達を支援するため、補聴器購入費用の助成を行います。 精神障害者保健福祉手帳の浸透と、利用できるサービスの拡充に取り組みます。 四十六ページの語句の説明 (※七十三)小規模作業所 在宅の障害のある人が作業をしたり、日常生活の支援が受けられる、身近な地域にある小規模な作業所のことです。法律に基づく施設ではなく、障害のある人やその家族、職員をはじめとする関係者の共同の事業として地域のなかで生まれ、運営されています。共同作業所や福祉作業所などの名称でも呼ばれています。 四十七ページ C地域移行の推進 「地域移行支援(※七十四)」や「地域定着支援(※七十五)」を行う相談支援事業所の設置を促進するとともに、創作活動や生産活動、交流の機会を提供する地域活動支援センターなど、日中活動のためのサービスの充実を図ります。 地域生活を支援するため、グループホームの整備を促進します。 D移動支援の充実 行動援護や同行援護を実施する事業者の増加を図るとともに市町村における移動支援事業が確実に実施されるよう支援します。 視覚障害者の歩行訓練や生活訓練に取り組むとともに、身体障害者補助犬の普及を図ります。 E福祉機器の活用促進 市町村や福祉保健所、相談支援事業所と連携し、福祉機器に関する情報提供を行うとともに、給付制度の周知に取り組みます。 盲学校内にあるルミエールサロンや新点字図書館、聴覚障害者情報センター(※七十六)で福祉機器を展示し、活用促進を図ります。 四十七ページの語句の説明 (※七十四)地域移行支援 障害者支援施設や精神科病院に入所または入院している障害者が、地域での生活に移行するために必要な相談や、障害福祉サービスの体験的な利用支援などを行います。 (※七十五)地域定着支援 施設や病院から退所、退院、または家族との同居から一人暮らしに移行した障害のある人などを対象に、常時の連絡体制を確保し、障害の特性によって生じる緊急事態などに対応するための相談や支援を行います。 (※七十六)聴覚障害者情報センター 聴覚に障害のある人を総合的に支援する拠点施設です。相談業務や各種の情報提供を行うほか、要約筆記者・盲ろう者向け通訳介助員の派遣や手話奉仕員・手話通訳者の養成を行っています。 四十八ページ 六 精神科医療の充実 【現状と課題】 精神障害のある人が、地域で安心した生活を維持するためには、人権に配慮した適切な医療を提供できる体制が必要です。 また、地域で暮らす精神障害のある人の入院や再入院を防ぐためには、医療・福祉等の関係機関が連携して、生活を支える仕組みが求められています。 県では、平成二十四年四月に県全体を対象に民間だけでは担えない機能を果たす中核的病院として高知医療センターに精神科病棟を整備しました。また、中央圏域では医療機関が輪番制で三百六十五日二十四時間体制の精神科救急医療体制を確保し、在宅生活を送る精神障害や精神疾患のある人の緊急時の対応にあたっています。 さらに、精神科医療の充実を図るために二十四時間体制で対応できる医療相談窓□や、救急対応を求める患者の緊急度を判断し、受入病院との調整を行う精神科救急情報センターの設置が求められています。 厳しい社会環境の中で受ける過度のストレスなどを背景にして、うつ病が増加しており、自殺の原因としても、うつ病が最も多くなっています。 このため、県では、かかりつけ医のうつ病への対応力を高めるための研修をはじめ、うつ病の早期発見・治療のため、内科等のかかりつけ医と専門科医の連携の仕組みづくりに取り組んでいますが、さらなる充実が必要です。 現役世代が発症し、症状の進行とともに経済的な面も含めて本人と家族の生活が困難になりやすいとされる若年性認知症(※七十七)の患者及び家族への支援も求められています。 四十八ページの語句の説明 (※七十七)若年性認知症 六十五歳未満で発症する認知症の総称です。平成二十一年三月の厚生労働省による発表では、全国の若年性認知症者は約三万七千八百人と推計されています。 四十九ページ @精神科医療の充実 精神障害のある人の人権に配慮した適切な医療体制づくりに取り組みます。 地域で生活する精神障害のある人の入院や再入院を防ぐため、精神科病院の医療スタッフがチームを編成し、自宅等を訪問して支援するアウトリーチ活動の普及に取り組みます。 三百六十五日二十四時間対応が可能な精神医療相談窓口及び精神科救急情報センターを設置し、緊急時に適切な医療を受けることのできる体制を整備します。 グラフ 自立支援医療受給者証(精神通院)交付件数の説明 資料 障害保健福祉課 平成十五年度六千八百四十六件、平成十六年度七千二百十三件、平成十七年度七千八百二十件、平成十八年度七千八百五十四件、平成十九年度七千七百五十八件、平成二十年度八千百三十四件、平成二十一年度八千四百三十三件、平成二十二年度九千百二十件、平成二十三年度九千三百六十四件 五十ページ Aうつ病予防の取り組み うつ病の早期発見・早期治療を目的とした、一般科医等から精神科医への紹介システム「G−Pネットこうち(※七十八)」を県内全域に拡げるなど、かかりつけ医と精神科医の連携体制を整備するための取り組みを進めます。 B若年性認知症の患者と家族を支える体制づくり 若年性認知症の患者及び家族が、地域で安心して生活ができるよう、医療・福祉・介護関係機関等と連携した取り組みを進めます。 五十ページの語句の説明 (※七十八)G−Pネットこうち General Physician-Psychiatrist Network 高知(一般科医−精神科医ネットワーク高知)のことです。一般科診療所に通院中の外来患者のうち、うつ病の疑いがある人を対象に、一般科医(精神科医以外の医師及び産業医)から精神科診療所・病院に患者を紹介して、早期の外来診療予約などの連携ができるシステムです。高知県医師会、高知県精神科病院協会及び高知県精神神経科診療所協会の協力のもと高知県が実施主体として行っています。 五十一ページ 第三節 ひとにやさしいまちづくり 障害のある人が地域で生活するためには、道路・建物・公共交通機関等を障害のある人にとって利用しやすいように整備するとともに、県民一人ひとりが「ひとにやさしいまちづくり」に対する認識を持つことが必要です。 さらに、障害のある人もない人も、あらゆる人が利用しやすいように配慮するユニバーサルデザイン(※七十九)の考え方を普及することが大切です。 一 まちづくりの総合的推進 【現状と課題】 本県では、「障害のある人にとってやさしいまちは、すべての人にとってやさしいまちである。」という考えのもと「高知県ひとにやさしいまちづくり条例(※八十)」に基づき、不特定の人が利用する住宅以外の建築物等(公共の建物は除く)については適切な整備内容になるよう審査・指導を行っています。 平成二十二年には、「施設整備設計マニュアル」を改訂し、条例に規定されている整備基準や「より望ましい施設整備の例」について、周知を図ってきました。 また、ひとにやさしいまちづくりを推進するためには、建物等のハード面の整備だけではなく、他の利用者にも配慮するなどの意識の向上にも取り組む必要があります。 @バリアフリー化の推進 「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」に基づき、事業者等に対し整備基準に適合するよう必要な助言・指導等を行い、施設のバリアフリー化を一層進めます。また、届出の必要がない公共的施設についても、整備基準に適合するよう指導、助言を行います。 障害者等用駐車場の適正利用や点字ブロック上への駐輪禁止などについて、啓発します。 A生活環境の整備促進 多くの人が利用する民間建築物や道路、公園等については、「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」及び「高知県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る特定道路の構造、特定公園施設の設置及び信号機等に関する基準を定める条例」に基づく整備を進め、障害のある人等が快適に暮らせる生活環境の整備を促進します。 五十一ページの語句の説明 (※七十九)ユニバーサルデザイン はじめからバリアを作らず、障害の有無や年齢などに関わらず、誰にとっても利用しやすいような配慮のもとに、「まちづくり」や「ものづくり」を考案・設計しようとする考え方です。 (※八十)高知県ひとにやさしいまちづくり条例 すべての県民が安全で快適に暮らせる社会の実現を目的に、建物・道路・公園等の整備方針等を定めた条例(平成九年制定)です。 五十二ページ 二 住宅環境の整備促進 【現状と課題】 障害のある人等が地域で生活するためには、その人の家庭生活に配慮した住宅整備を進めることが必要です。 県営住宅については、障害のある人に対応した住戸(単身・世帯)を整備し、バリアフリー対応を行ってきました。 また、障害のある人の地域生活への移行を支援するため、グループホーム等の整備を進めてきました。 民間住宅については、バリアフリー対応賃貸物件のデータベース化や、障害のある人等向けの賃貸物件情報を入手できるウェブサイトの構築など、障害のある人等に配慮した賃貸住宅の情報を提供する仕組みづくりが求められています。また、賃貸住宅で提供される生活支援サービスや入居時の家賃債務等の保証制度などの情報提供を推進することも必要です。 @障害のある人・高齢者に配慮した住宅の整備促進 今後も、県営住宅は建設・改善時に障害のある人等に配慮した対応をしていきます。 Aグループホームの整備促進 障害のある人が地域で安心して暮らせるよう、グループホームの整備を促進します。特に整備数が少ない身体障害者に対応したグループホームの整備を促進します。 利用する人の経済的な負担を軽減できるよう、公営住宅を活用したグループホームの整備を進めます。 B障害のある人等に対応した住宅の情報提供 関係団体等と連携して、入居を検討している段階での相談対応や地域内のバリアフリー対応賃貸住宅等の情報収集・提供、バリアフリー対応物件を扱う不動産業者の紹介など、障害のある人等に配慮した相談対応や情報提供の仕組みづくりの構築に向けた取り組みを行います。 五十三ページ 三 交通・移動対策の推進 【現状と課題】 障害のある人の地域での生活を支援し、社会参加の機会を増やすためには、一人ひとりに適した移動手段を確保することが大切です。 交通関連施設のバリアフリー化を進めるため、歩道整備や補修箇所については、「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」に沿ってバリアフリー化に取り組んだほか、高知市交通バリアフリー基本構想地区ではバリアフリー対応型の信号機整備や、道路標識・標示の高輝度化、横断歩道上やバス停付近の違法駐車の指導取り締まりを行いました。 また、鉄道車両や鉄道駅、電停のバリアフリー化、低床型バス車両の導入を支援しました。 さらに平成二十三年には、「こうちあったかパーキング制度(高知県障害者等用駐車場利用証交付制度)」を創設し、障害者等用の駐車場の適正利用を促進しています。 精神障害者に対しては、身体障害者及び知的障害者と同様の公共交通機関の運賃割引制度が適用されていないため、統一した取り扱いが求められています。 @交通関連施設・道路等の整備 障害のある人等が利用しやすいように交通関連施設のバリアフリー化を進めるとともに障害のある人等の安全な歩行を確保するため、「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」及び「高知県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る特定道路の構造、特定公園施設の設置及び信号機等に関する基準を定める条例」に基づいた道路整備や、視覚障害者向け音響信号機の増設、歩車分離式信号機への音響設備の併設に取り組みます。 車両や施設のバリアフリー化などの取り組みを支援します。 Aこうちあったかパーキング制度の推進 パンフレットや広報紙等による広報、啓発をはじめ、事業所訪問などによる協力施設の増加や学校教育と連携した取り組みを進め、さらに制度の普及に努めます。 B精神障害のある人の交通移動対策の推進 精神障害者保健福祉手帳の所持者に対する公共交通機関の運賃割引制度の拡大について、鉄道・バス等の交通事業者に対して働きかけを行うなど、身体障害・知的障害・精神障害で統一された運用になるよう取り組みます。 五十四ページ Cタウンモビリティの推進 障害のある人や高齢者など移動に配慮が必要な人を対象に、車いす等の貸し出しや、ボランティアによる付き添い等のサポートを行うタウンモビリティを推進し、誰もが安心して買い物などに出かけられる街づくりに取り組みます。 写真 タイトル「いぶき」 作「長田身延」