第三章 いきいきと暮らせる地域づくり 写真 タイトル「メカニウス」 作「岩本真秀」 五十五ページ 第一節 教育の充実 共生社会の実現に向け、障害のある子ども一人ひとりが、将来、自立し、積極的に社会参加していくためには、持てる力を最大限に発揮できるよう、一人ひとりの障害の状態等に応じた学習の機会を提供し、適切な教育を進めることが必要です。 一 学校教育の充実 【現状と課題】 平成十九年の学校教育法の一部改正により、発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児・児童生徒が在籍するすべての学校において、一人ひとりのニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」が実施されるようになりました。 さらに平成二十三年の障害者基本法の一部改正により、年齢や障害特性等を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害のある子どもとない子どもが共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じることとされました。 表 県内の国・公立特別支援学校児童生徒数(各年度五月一日現在)の説明 資料 特別支援教育課 ※幼稚部及び専攻科の児童生徒数は除く 区分 知的障害 年度 平成十四年度四百五十三人、平成二十四年度五百九十三人、増加率三十点九パーセント 区分 視覚障害 年度 平成十四年度十六人、平成二十四年度十四人、増加率マイナス十二点五パーセント 区分 聴覚障害 年度 平成十四年度二十人、平成二十四年度二十五人、増加率二十五点零パーセント 区分 肢体不自由 年度 平成十四年度百二十五人、平成二十四年度百四十五人、増加率十六点零パーセント 区分 病弱 年度 平成十四年度二十三人、平成二十四年度四十九人、増加率百十三点零パーセント 区分 合計 年度 平成十四年度六百三十七人、平成二十四年度八百二十六人、増加率二十九点七パーセント 表 県内の特別支援学級児童生徒数(各年度五月一日現在)の説明 資料 特別支援教育課 区分 知的障害 年度 平成十四年度三百四十九人、平成二十四年度四百六十三人、増加率三十二点七パーセント 区分 視覚障害 年度 平成十四年度六人、平成二十四年度十二人、増加率百点零パーセント 区分 聴覚障害 年度 平成十四年度三十八人、平成二十四年度二十一人、増加率マイナス四十四点八パーセント 区分 肢体不自由 年度 平成十四年度八十人、平成二十四年度五十七人、増加率マイナス二十八点八パーセント 区分 病弱・身体虚弱 年度 平成十四年度三十六人、平成二十四年度三十九人、増加率八点三パーセント 区分 言語障害 年度 平成十四年度十三人、平成二十四年度六人、増加率マイナス五十三点九パーセント 区分 自閉症・情緒障害 年度 平成十四年度百七十七人、平成二十四年度四百五十七人、増加率百五十八点二パーセント 区分 合計 年度 平成十四年度六百九十九人、平成二十四年度千五十五人、増加率五十点九パーセント 五十六ページ グラフ 学校教育についての要望の説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 就学指導を充実してほしい 身体障害九点二パーセント、知的障害十三点一パーセント、精神障害十一点八パーセント、難病患者一点九パーセント、発達障害十五点零パーセント、高次脳機能障害十点五パーセント 教育相談を充実してほしい 身体障害二点八パーセント、知的障害六点三パーセント、精神障害九点四パーセント、難病患者五点八パーセント、発達障害九点零パーセント、高次脳機能障害零点零パーセント 進路指導を充実してほしい 身体障害十六点零ーセント、知的障害二十三点一パーセント、精神障害二十三点五パーセント、難病患者十七点三パーセント、発達障害十六点九パーセント、高次脳機能障害五点三パーセント 障害の程度や特性に応じた指導や支援を充実してほしい 身体障害四十九点六パーセント、知的障害五十七点八パーセント、精神障害三十八点八パーセント、難病患者四十六点二パーセント、発達障害六十三点六パーセント、高次脳機能障害四十二点一パーセント 施設、設備、教材等を充実してほしい 身体障害二十六点零パーセント、知的障害十七点一パーセント、精神障害七点一パーセント、難病患者二十三点一パーセント、発達障害十九点一パーセント、高次脳機能障害五点三パーセント 交流および共同学習の機会を増やしてほしい 身体障害十二点零パーセント、知的障害九点七パーセント、精神障害九点四パーセント、難病患者十七点三パーセント、発達障害九点四パーセント、高次脳機能障害十五点八パーセント 教職員の専門性を高めて欲しい 身体障害三十二点零パーセント、知的障害四十点三パーセント、精神障害十七点六パーセント、難病患者三十六点五パーセント、発達障害四十六点九パーセント、高次脳機能障害四十二点一パーセント 医療・福祉との連携をしてもらいたい 身体障害二十六点八パーセント、知的障害二十二点零パーセント、精神障害二十点零パーセント、難病患者十九点二パーセント、発達障害二十五点三パーセント、高次脳機能障害三十一点六パーセント 特にない 身体障害十二点八パーセント、知的障害八点三パーセント、精神障害七点一パーセント、難病患者九点六パーセント、発達障害五点一パーセント、高次脳機能障害二十一点一パーセント その他 身体障害六点四パーセント、知的障害四点六パーセント、精神障害一点二パーセント、難病患者七点七パーセント、発達障害三点二パーセント、高次脳機能障害五点三パーセント 不明 身体障害十四点四パーセント、知的障害十二点八パーセント、精神障害三十四点一パーセント、難病患者十一点五パーセント、発達障害十二点九パーセント、高次脳機能障害十五点八パーセント 五十七ページ 特別支援学校に在籍する児童生徒数は、少子化が進む中でも、この十年で約三割増加しており、また、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数は、約五割増加しています。このように児童生徒数が増加してきた背景には、保護者の特別支援教育に対する理解の深まりが一つの要因として考えられます。また、高知県障害(児)者等アンケート調査の結果から、学校教育についての要望では、「障害の程度や専門性に応じた支援を充実してほしい」、「教職員の専門性を高めてほしい」という回答の割合が高くなっており、特別支援教育に関する指導や支援の充実への期待が高まっています。 障害のある子どもの適切な就学を推進するため、保護者等に対する十分な情報提供を行うとともに市町村の就学指導担当者や教育相談にあたる特別支援学校の教員等の資質と専門性をさらに向上させる必要があります。 特別な支援を要する幼児・児童生徒一人ひとりのニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行うため、乳幼児期から学校卒業時まで一貫した教育支援を行うための「個別の教育支援計画」と、教育的ニーズに対応した指導目標や内容・方法等を盛り込んだ「個別の指導計画」の作成率を高めるとともにこれらの計画がより適切かつ継続した指導・支援につながるよう、関係機関と緊密な連携を図る必要があります。 また、特別支援学校は、地域のセンター的役割を担い小中学校へのより効果的な支援方法や関係機関との連携等について検討する必要があります。 県立特別支援学校の第一次再編計画に基づいて、特別支援学校の分校を設置するとともに校舎の耐震化や寄宿舎バリアフリー化等、教育環境の改善等に取り組んできました。 今後は、各特別支援学校における教育内容の充実を視野に入れた教育環境の整備を検討し、取り組むことが必要です。 @早期教育相談体制の充実 保健・医療・福祉・教育などの関係機関が連携して、乳幼児期からの一貫した支援ができるよう、支援方法等の情報を引き継ぐ仕組みを作り、就学や進学の際に積み重ねてきた指導や支援が途切れないようにします。 A適切な就学の推進 障害のある子どもとその保護者に対して、十分な情報を提供するとともに、可能な限りその意向を尊重しつつ、保護者を含め関係者が、教育的ニーズと必要な支援について、共通理解を深めます。 適切な就学を推進するため、市町村の就学指導担当者や教育相談にあたる特別支援学校の教員等の資質と専門性のさらなる向上を図ります。 五十八ページ B教職員の資質・指導力の向上 大学等に教員を派遣し、発達障害についての専門性をもった教員の養成に取り組むとともに各学校に対する組織的な支援体制のあり方を検討します。また、教員への研修のあり方等を工夫するなどして、各市町村、学校等の指導・支援の充実を図り、地域や学校における取り組みの格差の解消を図ります。 C障害特性に応じた教育 障害の特性に応じた分かりやすい授業の実践力向上を図るため、ユニバーサルデザインの授業づくリテキストの作成や個別の指導計画に基づく授業改善を行います。 D教育環境の整備 幼児児童生徒の教育的ニーズに応じた機器等を導入して学習意欲の向上を図り、学力の向上や生きる力を身につけることにつなげます。 県立特別支援学校の校舎や寄宿舎等の環境改善に取り組みます。また、県有建築物耐震化実施計画に基づき、すべての学校校舎の耐震化を図ります。 市町村とともに小中学校や高等学校の建物のバリアフリー化を進め、障害のある児童・生徒に配慮した環境づくりをします。また、災害時の避難所としても、障害のある人等が避難できるよう整備を行います。 五十九ページ 二 進路の確立 【現状と課題】 障害のある生徒の進路は、進学・就職・福祉施設等への入所や通所が中心となっていますが、雇用状況の悪化とともに生徒の障害の重度化等により、就職先の開拓は厳しい状況にあります。 そうしたなか、進路指導を充実するための事業、「はばたけ二十一(※八十一)」では、早い段階から自己の進路や生き方について学習する機会を持ち、主体的に進路を選択する力や職業意識を高めるため、生徒や保護者に対する研修会や職場見学、現場実習等に取り組んできました。また、特別支援学校就職アドバイザー二名を山田養護学校と日高養護学校に配置し、現場実習先や就職先の事業所の開拓を行い、知的障害特別支援学校の就職率上昇とキャリア教育の充実を進めてきました。 @進路指導の充実 各学校の進路指導主事が中心となって就職アドバイザーと協力しながら、新規の現場実習先事業所等や職場の開拓に取り組みます。 卒業生の就職動向等を踏まえながら、特別支援学校の作業学習のあり方を検討するとともに実態に応じた進路開拓を行います。 A後期中等教育の充実 発達段階に応じた系統的なキャリア教育を推進していくために幼・小・中・高等部の学部間の連携を意識した研究を進めていきます。 B関係機関との連携強化 生徒のよりよい社会参加につなげるため、各学校の進路指導部と県、ハローワーク等の関係機関との連携を強化し、情報収集に努めます。 五十九ページの語句の説明 (※八十一)はばたけ二十一 県立特別支援学校の生徒一人ひとりが早い段階から自己の進路や生き方について考える機会を設けるため、進路ガイダンスの充実や県内外での職場体験、社会福祉施設の利用体験などの事業を実施し、円滑な社会参加を促進することを目的としている進路指導充実事業のことです。 六十ページ 第二節 雇用・就業の促進 障害のある人が働くことは、単に経済的な自立にとどまらず、社会参加や、生きがいにもつながる、大変大切なことです。 障害のある人だれもに、その適性等に応じた就業の機会が提供されなければなりません。そのためには、事業者の障害者雇用に対する理解を促進するとともに、職域の拡大や職業訓練の充実など、一般雇用を促進する取り組みなどが必要です。 また、障害者就労支援事業所などにおける福祉的就労の充実と工賃水準の向上にも取り組む必要があります。 一 雇用の促進と安定 【現状と課題】 県では、ハローワークや障害者就業・生活支援センター(※八十二)など関係機関と連携しながら、法定雇用率(※八十三)未達成企業への啓発や職場実習受け入れ企業の開拓をはじめ、農業分野や介護分野への職域の拡大など、障害のある人の雇用の促進に取り組んできました。 県内の民間企業における障害者雇用の状況は、平成二十四年六月一日現在、平均雇用率が一点九八パーセント、また、法定雇用率を達成している企業の割合は五十六点四パーセントとなっており、いずれも全国平均を上回っています。 六十ページの語句の説明 (※八十二)障害者就業・生活支援センター 障害のある人が就労し、経済的に自立していくため、身近な地域で就職面の支援と生活面の支援を一体的に行う機関です。公共職業安定所、障害者職業センター、障害者雇用支援センター、社会福祉施設、医療施設、養護学校等と連携しながら障害のある人の就業及び生活に関する指導・助言・職業準備訓練のあっせんなどを行います。 (※八十三)法定雇用率 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、一定規模以上の事業主が雇用しなければならないこととされている障害のある人の割合です。 六十一ページ 平成二十五年四月からは、法定雇用率が零点二パーセント引き上げられることから、ハローワークなどの関係機関と連携し、新たに雇用義務が生じる企業に対する周知と雇用の要請をはじめ、より良い就職のためのマッチングや就職後の定着支援などを強化する必要があります。 グラフ 法定雇用率と実雇用率の推移(各年六月一日現在)の説明 資料 障害保健福祉課 実雇用率 高知県 平成十四年度一点六七パーセント、平成十五年度一点六四パーセント、平成十六年度一点五五パーセント、平成十七年度一点五八パーセント、平成十八年度一点六六パーセント、平成十九年度一点六二パーセント、平成二十年度一点六七パーセント、平成二十一年度一点七五パーセント、平成二十二年度一点九零パーセント、平成二十三年度一点八八パーセント、平成二十四年度一点九八パーセント 全国平均 平成十四年度一点四七パーセント、平成十五年度一点四八パーセント、平成十六年度一点四六パーセント、平成十七年度一点四九パーセント、平成十八年度一点五二パーセント、平成十九年度一点五五パーセント、平成二十年度一点五九パーセント、平成二十一年度一点六三パーセント、平成二十二年度一点六八パーセント、平成二十三年度一点六五パーセント、平成二十四年度一点六九パーセント 法定雇用率(一般の民間企業) 平成十年六月まで一点六パーセント、平成十年七月から平成二十五年三月まで一点八パーセント、平成二十五年四月から二点零パーセント また、障害があることが分かりにくい発達障害や高次脳機能障害などのある人は、職場で理解されにくく、そのため仕事が長続きしないなどの状況があるため、こうした障害に対する事業主の理解を促進する取り組みが必要です。 六十二ページ グラフ 障害のある人が働くために必要なことの説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 働こうという気持ち 身体障害三十八点四パーセント、知的障害三十四点五パーセント、精神障害四十六点一パーセント、難病患者四十四点二パーセント、発達障害三十三点六パーセント、高次脳機能障害五十一点四パーセント 就職相談や情報提供の場の充実 身体障害十二点零パーセント、知的障害九点一パーセント、精神障害十三点四パーセント、難病患者十一点七パーセント、発達障害十五点九パーセント、高次脳機能障害十六点二パーセント 就職に必要な知識・技術の習得 身体障害十四点二パーセント、知的障害十二点七パーセント、精神障害十五点八パーセント、難病患者十八点五パーセント、発達障害二十点九パーセント、高次脳機能障害十二点四パーセント 就職に必要なコミュニケーション技術 身体障害七点七パーセント、知的障害九点六パーセント、精神障害十点三パーセント、難病患者九点八パーセント、発達障害十六点六パーセント、高次脳機能障害四点八パーセント 職場実習や面接支援 身体障害二点八パーセント、知的障害四点零パーセント、精神障害四点零パーセント、難病患者三点零パーセント、発達障害四点五パーセント、高次脳機能障害四点八パーセント 就労初期段階での支援 身体障害五点五パーセント、知的障害七点七パーセント、精神障害五点二パーセント、難病患者五点三パーセント、発達障害十三点二パーセント、高次脳機能障害四点八パーセント 障害にあった職種が増えること 身体障害四十点一パーセント、知的障害三十八点五パーセント、精神障害二十四点八パーセント、難病患者四十点四パーセント、発達障害四十六点八パーセント、高次脳機能障害三十六点二パーセント 職場や上司、同僚の理解 身体障害二十四点二パーセント、知的障害二十八点零パーセント、精神障害二十六点三パーセント、難病患者三十三点二パーセント、発達障害五十点五パーセント、高次脳機能障害三十二点四パーセント 職場内での相談相手 身体障害六点七パーセント、知的障害八点二パーセント、精神障害九点一パーセント、難病患者六点四パーセント、発達障害六点九パーセント、高次脳機能障害十二点四パーセント 職場内の人間関係 身体障害十六点四パーセント、知的障害二十三点四パーセント、精神障害二十六点九パーセント、難病患者十七点四パーセント、発達障害二十四点二パーセント、高次脳機能障害二十点零パーセント 通勤しやすさ 身体障害十点六パーセント、知的障害十二点二パーセント、精神障害十二点七パーセント、難病患者十一点三パーセント、発達障害七点六パーセント、高次脳機能障害十一点四パーセント やりがい 身体障害九点零パーセント、知的障害七点九パーセント、精神障害十点五パーセント、難病患者九点一パーセント、発達障害五点一パーセント、高次脳機能障害十三点三パーセント わからない 身体障害十点四パーセント、知的障害十三点八パーセント、精神障害十二点三パーセント、難病患者四点五パーセント、発達障害四点九パーセント、高次脳機能障害五点七パーセント その他 身体障害三点四パーセント、知的障害二点零パーセント、精神障害三点四パーセント、難病患者五点七パーセント、発達障害二点零パーセント、高次脳機能障害一点零パーセント 不明 身体障害十五点五パーセント、知的障害十一点零パーセント、精神障害七点二パーセント、難病患者十二点五パーセント、発達障害七点零パーセント、高次脳機能障害十二点四パーセント 六十三ページ @雇用促進のための啓発活動の推進 企業等の採用担当者を対象に、企業等のニーズを踏まえた内容のセミナーを開催するとともにハローワーク等の関係機関と連携しながら、法定雇用率未達成の企業等への啓発、指導を行い、法定雇用率の達成を図ります。 障害のある人が企業等で働く姿を紹介する冊子等を作成し、事業主等に啓発することにより、発達障害や高次脳機能障害を含めて障害や障害のある人に対する理解を促進します。 A職業紹介・情報提供等の充実 ハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者就労支援事業所などの関係機関による情報共有の仕組みを作り、障害のある人への職業紹介や情報提供の充実を図ります。 求職希望者と企業とのマッチングを支援する体制を充実します。また、トライアル雇用事業(※八十四)を推進し、障害者雇用の経験が乏しい企業等を支援します。 B働く場の確保と職域拡大 障害者就業・生活支援センターなどと連携しながら職場実習の受け入れ企業等を開拓するとともに、企業等に対して障害者雇用に関する各種助成制度を周知し、障害のある人の働く場の拡大を図ります。 農家と障害者就労支援事業所との農作業の受注のマッチングや障害者就労支援事業所における農業技術の習得を支援し、担い手が不足している農業分野での就労を促進します。 訪問介護員(二級課程)資格取得研修の対象者の拡大等を図り、介護分野への就労を促進します。 障害の特性や希望に応じて多様な働き方ができるよう、IT等を活用した在宅就労や障害のある人の創業・起業を支援します。 六十三ページの語句の説明 (※八十四)トライアル雇用事業(障害者試行雇用) 事業所が、障害のある人を試行雇用(トライアル雇用)することにより、その適性などを見極め、事業所と障害のある人の相互理解を促進することで、本格的な雇用に取り組むきっかけを作る事業をいいます。 六十四ページ C就労後の定着のための支援 障害者職業センター(※八十五)による職場適応援助者(ジョブコーチ)(※八十六)支援をはじめ、障害者就業・生活支援センターなど各支援機関と連携した職場訪問による見守りや、事業主を交えたケース会議の開催などを通じて、障害のある人が働き続けられる定着支援の体制を強化します。 在職者がさらなるキャリアアップを図ることができるよう、在職者を対象とした訪問介護員(2級課程)資格取得研修を実施するなど、職業訓練の充実を図ります。 六十四ページの語句の説明 (※八十五)障害者職業センター 障害のある人や障害のある人を雇用する事業主などに対して、公共職業安定所と連携をとりながら、就職のための相談から就職後の職場適応指導までの一連の業務を行います。 (※八十六)職場適応援助者(ジョブコーチ) 障害のある人や事業主などに対して、雇用の前後を通じて障害特性を踏まえた直接的、専門的な援助を行う人をいいます。 六十五ページ 二 職業訓練の充実 【現状と課題】 病気や事故などで障害者となり、やむなく離職した人も含め、障害のある人が働くためには、その障害の状況等に応じた職業訓練を効果的に実施していくことが重要です。 このため、職業能力開発校(※八十七)や障害者職業能力開発校(※八十八)での能力開発のほか、職場適応訓練制度(※八十九)や障害者委託訓練(※九十)の活用を促進する必要があります。 @職場適応訓練制度等の活用 作業環境への適応を容易にし、訓練終了後の雇用が期待される職場適応訓練や、個々の障害特性や企業等のニーズに応じて多様な支援が可能な障害者委託訓練を積極的に活用し、職業能力や職場への適応能力の向上を支援します。 就業者の増加が見込まれる介護・医療など、新たな分野での職業訓練の受け入れ先を確保します。 A障害者就業支援機関との連携 障害者就業・生活支援センターを核とした地域の就労支援ネットワークを構築するとともに事例研究等を通じて、各機関のケアマネジメントカの向上を図ります。 六十五ページの語句の説明 (※八十七)職業能力開発校 職業能力開発促進法に基づいて都道府県が設置している職業能力開発施設です。中学校や高等学校を卒業して就職しようとする人や、すでに職業についているけれども違う職業につきたいという人が、就職に必要な基礎的技能・知識を身につけるところです。 (※八十八)障害者職業能力開発校 障害のある人に、様々な職種についての知識や専門的な技術・技能を習得してもらうための、職業能力開発促進法に基づく施設です。 (※八十九)職場適応訓練制度 就職が困難な障害のある人に、実際の事業所において訓練等を行う制度です。 (※九十)障害者委託訓練 就職に必要な知識や技能を習得するため、企業や民間教育訓練機関等において、OA事務の講習や職場体験などの職業訓練を行う事業のことです。 六十六ページ 三 福祉的就労における工賃向上の取り組み 【現状と課題】 本県の障害者就労支援事業所の利用者の平均工賃額は、全国の平均額と比べて高い水準にありますが、障害のある人が経済的に自立できるようにするためには、さらに工賃水準の向上を図る必要があります。 グラフ 障害者就労支援事業所等の平均工賃の推移の説明 資料 障害保健福祉課 高知県 平成十八年度一万六千十三円(対象事業所数四十七)、平成十九年度一万六千百十三円(対象事業所数五十九)、平成二十年度一万五千五百九十五(対象事業所数六十四)、平成二十一年度一万五千百三十三(対象事業所数七十二)、平成二十二年度一万六千二百七十五(対象事業所数七十七)、平成二十三年度一万六千六百一(対象事業所数八十) 全国平均 平成十八年度一万二千二百二十二円、平成十九年度一万二千六百円、平成二十年度一万二千五百八十七円、平成二十一年度一万二千六百九十五円、平成二十二年度一万三千七十九円、平成二十三年度一万三千五百八十六円 ※対象事業所は就労継続支援B型及び身体・知的・精神障害者授産施設イコール工賃倍増5カ年計画対象事業所 @工賃水準向上への取り組み 障害者就労支援事業所の商品開発や品質管理、販路の開拓などの取り組みを支援し、利用者の工賃の向上を図ります。 県内の障害者就労支援事業所における共同受注の仕組みづくりや高品質化を支援し、企業等からの受注の増加を図ります。 A障害者就労支援事業所等からの優先調達の推進 平成二十五年四月に施行される「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」に基づき、障害者就労支援事業所等からの物品や役務の調達を推進します。 六十七ページ 第三節 余暇活動の充実 スポーツやレクリエーション、文化活動などは、健康の維持や心のうるおい、生きがいをもたらし、生活を豊かにするうえで大きな役割を果たします。障害のある人が地域でいきいきと暮らすためには、こうした活動に積極的に参加できることが大切です。 表 自由時間に現在している活動と今後したい活動の説明 平成二十四年高知県障害児者等アンケート調査より 現在している活動 ※複数回答一人三つまで 区分 身体障害 一位テレビ・DVD鑑賞五十三点二パーセント、二位買い物や外食三十二点二パーセント、三位ドライブ・観光・行楽十四点五パーセント 区分 知的障害 一位テレビ・DVD鑑賞六十三点五パーセント、二位買い物や外食四十四点四パーセント、三位ゲームやカラオケ十九点二パーセント 区分 精神障害 一位テレビ・DVD鑑賞五十五点二パーセント、二位買い物や外食三十九点二パーセント、三位読書十九点六パーセント 区分 難病患者 一位テレビ・DVD鑑賞五十二点五パーセント、二位買い物や外食二十七点九パーセント、三位読書十九点二パーセント 区分 発達障害 一位テレビ・DVD鑑賞六十五点四パーセント、二位買い物や外食三十五点七パーセント、三位ゲームやカラオケ二十七点八パーセント 区分 高次脳機能障害 一位テレビ・DVD鑑賞五十四点三パーセント、二位買い物や外食二十二点九パーセント、三位ゲームやカラオケ二十点零パーセント 今後したい活動 ※複数回答一人三つまで 区分 身体障害 一位買い物や外食二十七点二パーセント、二位ドライブ・観光・行楽二十五点四パーセント、三位テレビ・DVD鑑賞十八点八パーセント 区分 知的障害 一位買い物や外食三十一点零パーセント、二位ドライブ・観光・行楽二十四点四パーセント、三位テレビ・DVD鑑賞二十点四パーセント 区分 精神障害 一位買い物や外食二十七点三パーセント、テレビ・DVD鑑賞二十三点二パーセント、三位ドライブ・観光・行楽二十一点三パーセント 区分 難病患者 一位ドライブ・観光・行楽二十三点零パーセント、二位買い物や外食十七点七パーセント、三位テレビ・DVD鑑賞十七点四パーセント 区分 発達障害 一位スポーツ活動三十五点一パーセント、二位芸術活動(絵画、工芸、手芸、書道、写真等)二十四点六パーセント、三位ドライブ・観光・行楽十九点七パーセント 区分 高次脳機能障害 一位買い物や外食二十五点七パーセント、二位ドライブ・観光・行楽二十一点九パーセント、三位特に何もしない(何も望まない)十八点一パーセント 六十八ページ 一 余暇活動の充実 【現状と課題】 県では、障害のある人の文化活動を促進するため、平成九年度から毎年、「高知県障害者美術展(スピリットアート)」を開催しています。 また、平成二十三年度には、県内のNPO法人が、障害のある人が制作した絵画などの美術作品を収蔵、展示する「藁エミュージアム」を開設しました。 今後も、こうした美術展への出展や文化施設の活用を通じて、障害のある人の芸術活動への参加機会を充実することが必要です。 また、障害のある人が気軽に観光や行楽ができるよう、宿泊施設や観光施設などのバリアフリー設備の情報を発信することや、観光業に携わる人が障害に関する理解を深め、基本的な介助技術やコミュニケーション手段などを身につけられるよう取り組む必要があります。 写真 タイトル「近代事務の革新によるその様態」 作「桜水孝一」 六十九ページ 障害者スポーツについては、県立障害者スポーツセンター(※九十一)の設備を充実するとともに、高知県障害者スポーツ大会や各種スポーツ教室の開催をはじめ、スポーツを通じた地域住民との交流などにより、障害のある人のスポーツヘの参加機会の拡大を図ってきました。 今後も、障害のある人が身近な地域でスポーツに参加することができるよう、障害者スポーツの普及や指導者の養成などに取り組む必要があります。 @文化・レクリエーション活動への参加機会の拡大 「高知県障害者美術展(スピリットアート)」を毎年開催し、障害のある人の芸術活動の促進と、障害に対する県民の理解を深めます。 藁エミュージアムと連携しながら、障害者施設や在宅障害者に対する文化芸術活動のワークショップを実施し、県内における障害者アートの拡大を図ります。 市町村や関係団体と連携して、文化芸術活動やレクリエーション活動等を支援します。 A観光交流の促進 宿泊施設や観光施設などのバリアフリー設備の状況について、ウェブサイトなどを通じて情報発信していきます。 宿泊施設の従業員をはじめとする観光業に携わる人が、障害に関する理解を深め基本的な介助技術やコミュニケーション手段を身につけ、障害のある人が安心して観光や行楽等ができるように取り組んでいきます。 B障害者スポーツの普及・啓発 障害や障害者スポーツに対する理解を深めるため、学校や地域で障害者スポーツ体験教室などを実施します。 障害者スポーツセンターからの情報発信を充実するとともに、総合型地域スポーツクラブの広報活動を支援します。 六十九ページの語句の説明 (※九十一)障害者スポーツセンター スポーツを通じて障害のある人の健康維持増進、社会参加の促進を図るため、スポーツ施設や研修施設の利用提供、各種スポーツ大会・教室の開催や、指導者の養成などを行っている施設です。 七十ページ Cスポーツヘの参加機会の拡充 高知県障害者スポーツ大会やスポーツ教室等を開催するとともに、身近な地域でスポーツを楽しむことができるよう、総合型地域スポーツクラブの活動を支援するなど、障害のある人のスポーツ活動への参加を促進します。 県内各地域で障害者スポーツ指導者を養成し、障害者スポーツの取り組みを促進することで参加機会を拡大していきます。 全国障害者スポーツ大会やその予選会などへの参加支援を通じて、選手やチームの競技力の向上に取り組みます。