1ページ、表紙(ひょうし) 冊子タイトル 障害のある人もない人も共に安心して豊かに暮らせる高知県をめざして いっしょに学ぼう、県条例 小学生向け 高知県が作った冊子です。 イラストの説明 はりまや橋(ばし)と高知城の前で、さまざまな人が鳴子を持って楽しそうにおどっています。 ヘルプマークをつけた人、見えない人、見えにくい人、聞こえない人、聞こえにくい人、手や足が不自由な人、自分で体を起こせない人、お店の人などがいます。 坂本龍馬、妖怪のしばてん、カワウソたちも踊っています。 この冊子では、イラストやマンガで表現されている部分があります。 全てではありませんが、できるだけ音声による説明を入れています。 目次 1ページ。表紙。 2ページから7ページは気づき編です。 2ページ。条例の名前や、その考え方について。 3ページ。条例で定められたことについて。 4ページ。障害のある人の困りごと、バリアについて。  5ページ。バリアの解決について。 6ページ、7ページ。いろいろな障害について。 8ページから11ページは行動編です。 8ページ。おたがいによく話し合うことについて。 9ページ。合理的配慮の例1。 10ページ。合理的配慮の例2。 11ページ。合理的配慮の例3。 12ページ。裏表紙。助け合うためのマークについて。 目次は以上です。 2ページに続きます。 2ページ 2ページと3ページの大見出しは。条例がめざすのは、だれもが暮らしやすい高知県。です。 私たちの高知県には、いろいろな人が暮らしています。 その全ての人が、障害のある人とない人によって区別されることなく、生まれながらにして持っている人権を尊重され、おたがいに個性を認め合いながら、共に安心して豊かに暮らしていくことのできるまち。そんな高知県をめざして、条例が定められました。 条例の名前 「障害のある人もない人も共に安心して、豊かに暮らせる、高知県づくり条例」 条例の大切な考え方は5つあります。 1。全ての障害のある人が、いつでも、いくつになっても、社会のいろいろな活動に参加できるようにします。 2。全ての障害のある人が、地域の中でみんなと共に暮らせるようにします。 3。全ての障害のある人が、自分に合ったコミュニケーションの方法(手話、点字、音声読み上げ、わかりやすい言葉づかいなど)を選べるようにします。 4。障害のある人に対する差別や暮らしの中にあるバリアは、社会全体で解決していかなければならない問題です。そのことを知り、障害についての理解を深めます。 5。全ての障害のある人が、障害のあることだけでなく、ほかのいろいろな理由によって特に困ったりすることのないよう、心くばりをします。 3ページに続きます。 3ページ 条例で定められたことをまとめた表があります。 役所・役場、会社やお店など、そして県民一人ひとり、だれであっても不当な差別的取扱いをすることは禁止されます。してはいけません。 役所・役場、会社やお店などには、合理的配慮を提供することが義務付けられます。しなければなりません。 県民一人ひとりが、合理的配慮の提供について、理解と協力をすることが努力義務となります。するように努力しましょう。 1の説明 不当な差別的取り扱いの禁止とは? 障害があるという理由だけでお店やサービスを利用することを断ったり、障害のない人にはつけない条件をつけたりすることは、差別になるのでしてはいけません。また、相手にいやな思いをさせるような態度も、差別になります。 例 障害があるからといってクラブなどへの参加を断る 障害のある人をじっと見る などです。 2の説明 合理的配慮の提供とは? 障害のある人が、障害のない人と同じように行きたいところに行き、やりたいことができるように、その人の障害に合わせた工夫や心くばりをすることを「合理的配慮」といいます。 例 通路に物を置かない(車いすなどの方(かた)が、通路を通れるように物を置かないようにしましょう。) 音声で伝える代わりに文字で書く(聴覚障害などの方がわかるように、音声で伝える代わりに文字で書くなどしましょう。) などです。 4ページへ続きます。 4ページ 大見出しは。障害のある人の困りごと。“バリア”って何だろう?。です。 4コマまんがで表現されています。 1コマ目。段差があるお店の前で、車いすの人がお店に、はいれなくて困っています。 女の子がそれに気づきました。 2コマ目。補聴器をつけた人が、マスクをしたお店の人との会話が難しく、困っています。 女の子がそれに気づきました。 3コマ目。白い杖を持った見えない人が、点字ブロックに沿って歩いていますが、点字ブロックの途中に自転車が放置されています。 女の子があぶない!と思いました。 4コマ目。女の子が考えます。 私にとっては何でもないことが、他の誰かにとってはバリアになることもあるんだね。 まんがは以上です。 まんがの解説です。 1コマ目。車いすでは、階段や急な坂、じゃり道などは通ることが難しいよ。 2コマ目。聞こえない人、聞こえにくい人は、相手の口の動きも見ているよ。マスクを外したほうが伝わりやすいよ。 3コマ目。見えない人、見えにくい人にとって、点字ブロックは大切な道案内の印だよ。物を置いてふさいだりしないでね。 考えよう、バリアは人によって違う。 障害のある人が何かをしようとするとき、それをできにくくするものやルールのことを、バリアといいます。何がバリアになるのかは、障害によって、また人によってさまざまです。 5ページに続きます。 5ページ 大見出しは。バリアは、だれが解決するの?。です。 4コマまんがで表現されています。 1コマ目。車いすの人が、ビルの前で困っています。 お店は3階か。あれ?このビル、階段しかないみたい…… 男の子がそれに気づきました。 2コマ目。ヘルプマークをつけた人が、セルフレジで困っています。 お金をはらうのが人から機械になって、むずかしいな…… 男の子がそれに気づきました。 3コマ目。補聴器をつけた人が、音声のみによる動画と説明を前に困っています。 音声だけの案内だと、何もわからないな…… 男の子がそれに気づきました。 4コマ目。男の子が考えます。 いろんなことが、障害のないことを当たり前のこととして作られているのかな……? まんがは以上です。 まんがの解説です。 1コマ目。階段だけだと車いすの人は上がれないね。 2コマ目。セルフレジを、便利だなと感じる人もいれば、困ったなと感じる人もいるよ。 3コマ目。伝える方法は、音声だけじゃなくて字幕などもあるよね。 考えよう、バリアは、社会全体でなくしていくもの。 私たちの社会には、障害のない人に合わせて作られた建物やルールがたくさんあります。障害のある人にとってのバリアは、そういった社会のしくみが生み出したものです。だからこそ、みんなで協力して社会全体でバリアをなくしていくことが大切です。 6ページに続きます。 6ページ 6ページ、7ページの大見出しは。いろいろな障害について知ることからはじめよう。です。 見えない人、見えにくい人(視覚障害)について 視力(どれくらいはっきり見えるか)、視野(見える範囲)に障害があります。白い杖を使っている人、盲導犬を連れている人もいます。 困っていることに対して、協力できることがあります。 例えば、盲導犬と一緒だと、入店を断られます。 こんなとき。盲導犬はペットとは違います。断ることはできません。 例えば、「あちら」「こちら」などの声がけでは方向がわかりません。 こんなとき。10時の方向など、時計の針が指す方向などで案内しましょう。 手や足が不自由な人、自分で体を起こせない人(肢体不自由)について 手や足などの体の一部、または全部に障害があり、日常生活を送る上で多くの不便があります。車いすや杖を使っている人もいます。 困っていることに対して、協力できることがあります。 例えば、車いすで通行する時は、広いスペースが必要です。 こんなとき。通路に物を置かないようにしましょう。 例えば、体温調節ができない人もいます。 こんなとき。エアコンの温度調整などに協力しましょう。 7ページに続きます。 7ページ 聞こえない人、聞こえにくい人(聴覚障害)について 聞こえない人と、聞こえにくい人がいます。補聴器や人工内耳などを使っている人もいます。 困っていることに対して、協力できることがあります。 例えば、音によって周りの様子を知ることができません。 こんなとき。メモやスマートフォンを使って、様子を伝えましょう。 例えば、補聴器などを使っていても、聞き取れないことがあります。 こんなとき。口の動きや表情がわかるよう、顔を見ながらゆっくり話しましょう。 うまく伝えることが苦手な人、物事をゆっくり理解する人(知的障害、発達障害)について 読む、書く、計算する、考えるなどの機能の発達に遅れがあります。自分の考えや気持ちを伝えることが苦手な人もいます。 困っていることに対して、協力できることがあります。 例えば、一度にたくさんのことを聞くと、混乱します。 こんなとき。短くわかりやすい言葉で、ゆっくり、くり返し説明しましょう。 例えば、予定にないことが起こると、どうしていいかわからなくなることがあります。 こんなとき。何に困っているのか優しく声をかけて聞いてみましょう。 そのほかの障害について 精神の病気で不調になった人(精神障害)、体の中に障害のある人(内部障害)、難病の人、重い障害が重なっている人(重症心身障害)など 見た目ではわかりにくい障害や、生活のほとんどにおいて手助けを必要とする障害もあります。 困っていることに対して、協力できることがあります。 例えば、周りの人から理解されにくいことがあります。 こんなとき。ヘルプマークを付けている人が困っていたら、声をかけましょう。 8ページに続きます。 8ページ 大見出しは。大切なのは、おたがいによく話し合うこと。です。 障害のある人からバリアを取り除いて欲しいと申出があったときは、対話と合意が大切です。 障害のある人がどういう心くばりをしてほしいのか、お店などはどういう工夫ができるのか、おたがいによく話し合うことが大切です。これを「建設的対話」といいます。 例えば。 車いすの人から申出がありました。 ランチを食べに来たのですが、入り口の段差を一人では越えられません。他に段差のない入り口はありませんか? お店の人が考えます。 店の裏口なら段差はないけれど、通路の幅がちょっとせまいな……。 お店の人と車いすの人が対話します。 お店の裏口に段差のない入口がありますが、通路の幅がせまいので、車いすが通れるかどうかわかりません。 そうですか。では、この段差を越えるのを手伝ってもらえますか? わかりました。今お手伝いできるスタッフは私だけですが、一人でもだいじょうぶでしょうか? だいじょうぶです。車いすの後ろのバーをふんで、前のタイヤを上げるお手伝いをお願いします。 こうしておたがいが合意しました。 考えよう。建設的対話で、一緒に解決方法を考える バリアをなくしていくための工夫や心くばりの方法は、一つではありません。その人によって、またお店の様子などによって、いろいろな方法があります。よく話し合って相手を理解することで、どちらにとってもよい方法を見つけることができます。 9ページに続きます。 9ページ 大見出しは。みんなでバリアをなくしていこう、合理的配慮の例。です。 3つの例が6コマのまんがで表現されています。 例1 スーパーで車いすの人が買い物をしようとしています。 1コマ目。車いすの人が、高いところの商品に手が届かず、困っています。 2コマ目。車いすの人とお店の人の会話です。「あの、お手伝いをお願いできますか?」 「もちろんです。どの商品をお買い求めですか?」 3コマ目。「一番上(うえ)のたなのジュースを1本取ってください。」 4コマ目。「こちらですね。どうぞ。」お店の人が商品を代わりに取って渡しました。「ありがとうございます。」 5コマ目。車いすの人がレジで会計をしています。ぼうしを落としてしまいました。「あ!」と近くにいた男の子が気づきました。 6コマ目。「ぼうしが落ちましたよ」男の子がぼうしを拾い渡しました。 車いすの人が言います。「ありがとうございます。助かります。」 まんがは以上です。 10ページに続きます。 10ページ 例2 レストランに、盲導犬を連れた人が食事に来ました。 1コマ目。店の入り口での、盲導犬を連れた見えない人とお店の人の会話です。「出入り口に近くて、足元に盲導犬がふせていられる席をお願いします。」「わかりました、ご案内します。」 2コマ目。案内された席での、見えない人とお店の人との会話です。「ご注文はタブレットからになっていますが、お手伝いは必要ですか?」「タブレットに音声案内はありますか?」 3コマ目。「音声案内はありません。」「ではランチのメニューを読み上げてもらえますか?」 4コマ目。「日替わりセットはハンバーグとサラダ、スープ、パンが付いて800円です。他には、1000円のパスタセットがあります。」「日替わりセットをお願いします。」 5コマ目。お店の人が考えます。「料理はロボットが運ぶシステムだけど、受け取ることが難しいだろうから、このお客様には私がお持ちしようかな。」 6コマ目。お店の人が料理を持ってきました。「真ん中のお皿にハンバーグとサラダ、左側にスープ、右側にパンがあります。」 見えない人が言います。「ありがとうございます。いただきます。」 まんがは以上です。 11ページに続きます。 11ページ 例3 イベント会場で、順番待ちの列ができています。 1コマ目。ヘルプマークをつけた子どもとその家族が、スタッフに話しかけます。「子どもは、人が多いと落ち着かず、じっと待つことが難しいのですが…。」 2コマ目。スタッフが考えます。「優先ルールや整理券などは準備してないな…。」「次からはそういうものも準備するとして、今は…」 3コマ目。スタッフが伝えます。「では、スタッフが順番を覚えておいて、近づいたら声かけするので、並ばずに近くで待っていただけますか?」 4コマ目。笑顔の家族が言います。「そうします。ありがとうございます」 5コマ目。スタッフが他のお客さんに説明しています。「特に心くばりが必要なお客様には、列から離れて待っていただいています」 6コマ目。他(ほか)のお客さんが言います。「わかりました」 また他のお客さんが考えます。「ヘルプマークをつけているから何か手助けが必要なんだな」 まんがは以上です。 これらのまんがで紹介した例は、合理的配慮の一例です。バリアをなくしていくための工夫や方法はいろいろあるので、建設的対話をしながら、お互いにとってよい方法を見つけていきましょう。 12ページに続きます。 12ページ、裏表紙 大見出しは。いくつ知っている? 助け合うためのマーク。です。 1 車いすに乗っている人を横から見たマーク。これは障害者のための国際シンボルマークです。障害のある人が利用しやすい建物や乗り物であることを表しています。車いすの人だけでなく、障害のあるすべての人を対象としています。 2 白い杖を使っている人を横から見たマーク。これは視覚障害者のための国際シンボルマークです。見えない人、見えにくい人の安全を考えていることを表しています。 3 犬の顔の上にウェルカムの文字、下にほじょ犬(けん)の文字があるマーク。これはほじょ犬(けん)の啓発のマークです。 4 矢印で耳の形を作ったマーク。これは耳マークです。聞こえない人、聞こえにくいことを表すと同時に、その方に思いやりをもって対応することを表しています。 5 人の胸の辺りにハートの形と、その右下に十字の形がついているマーク。これはハート・プラスマークです。体の中に障害があることを表しています。 6 人のお腹の辺りに十字の形がついているマーク。これはオストメイトマークです。人工こう門・人工ぼうこうに対応したトイレであることを表しています。 7 赤い四角の中、上に十字の形、下にハートの形がついているマークです。これはヘルプマークです。見た目ではわからなくても手助けや気づかいを必要としていることを表しています。 ページ下には、関連URL、発行元などの情報が載っています。 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について」 →https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/sabetukaisho/ 企画、制作:高知県、子ども・福祉政策部、障害福祉課 発行:令和7年3月 この冊子の内容は以上です。