4高知県立林業大学校隈氏が校長を務める大学校で、林業から木材産業、木造建築まで、木に関する幅広い知識や技術を学べます。香美市の静かな山間部に2017年竣工。伝統的な木材工法で建築され、高知県が需要拡大を目指す新建材CLTも活用されています。YURURIゆすはら「雲の上の図書館」に隣接し、同じ2018年の竣工。在宅と特別養護老人ホームの中間的な役割を担い、町民の健康づくりにも活用される福祉施設です。外壁には梼原町産の杉材、内装には手漉き和紙などの自然素材を使用しています。 高知県の木は生命力がとても強いという印象があります。高知県の木で建築をすると、建物の中にいるだけで元気が出るような気がするのです。こうした木や森、木造建築を次代につなぐために、高知県は林業大学校を開校しました。林業から設計まで一貫して教えようとする考え方に共感し、ぼくは校長に就任してオンライン講義などを行っています。高知梼原町総合庁舎「防災の拠点機能」「住民の利便性」「環境と梼原産材の利用」をコンセプトとして、2006年に竣工。外観、内装共に、梼原町産の杉材をふんだんに使用し、木ならではの温かみを感じられる建物になっています。まちの駅ゆすはら梼原町内の建築物のなかでも、ひと際個性的。隈氏が大好きだという茅葺きの茶堂から着想し、前面の外壁に茅のファサードを用いています。特産物販売所とホテルが融合した「町の顔」的な存在でもあります。2010年竣工。県は森林率が日本一ですが、木に携わる人の数でも日本一を目指したらどうでしょうか。木造建築は経済を牽引する力にもなり得ます。高知県が木造建築に関連する活動の先頭を走れば、日本の経済の中でもっと存在感が出てくるはず。大いに期待しています。
元のページ ../index.html#5