高知県公文書開示審査会答申第115号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第115号

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諮問第115号


第1 審査会の結論

 教育委員会が「平成15年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査における採用審査システム研究委員長等の任命について(伺)」について、開示しないこととした部分のうち、起案文書及び採用審査システム研究員名簿の表題の「採用審査システム研究委員」右の括弧内に記載された研究内容、並びに採用審査システム研究委員名簿の「委任する職名」欄に記載された職名は、開示すべきである。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成14年8月29日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「平成15年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査における採用審査システム研究委員長等の任命について(伺)」の開示請求に対し、教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成14年11月14日付けで行った「平成15年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査における採用審査システム研究委員長等の任命について(伺)」(以下「本件公文書」という。)の部分開示決定を取消し、非開示とした部分の開示を求めるものである。

第3 実施機関の部分開示決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している部分開示決定の理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1  本件公文書について
   本件公文書には、実施機関が行う平成15年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査に関する情報が記載されている。
2 高知県情報公開条例の一部を改正する条例(平成17年3月29日条例第14号)により改正する前の高知県情報公開条例(以下「旧条例」という。)第6条第1項第6号ア該当性について
 採用審査システム研究委員は、事務局の一定の役職の者が任命されるものであり、研究内容、職名及び個人名を開示することにより、様々な働きかけがなされ、当該審査の円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかである。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書で主張している異議申立ての内容は、次のように要約できる。
 本件公文書について、実施機関は、非開示理由を「研究内容、職名、氏名を開示することにより、これらのことが明らかとなれば、様々な働きかけがなされることとなり、当該審査の円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであるため。」としている。しかし、委員は「事務局員」であり、事務局員は職務として業務を行っているのであるから、「教員採用審査」のみに限って、氏名等を非開示とする理由はない。
 また、「著しい支障を生ずる」としているが、具体的・客観的に支障を指摘しておらず、理由とはならず違法・不当である。
 よって、旧条例第6条第1項第6号アには該当しない。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
 本件公文書は、平成15年度高知県公立学校教員採用候補者選考審査における採用審査システム研究委員長等の任命に関する文書であり、研究委員長等の任命についての起案文書、採用審査システム研究委員名簿、委員の任命書で構成されている。
 その中には、任命する者の職、氏名及び研究内容等が記載されている。
 本件公文書のうち、実施機関が非開示とした部分は以下の部分である。
(1)  起案文書及び採用審査システム研究委員名簿の表題の「採用審査システム研究委員」の右の括弧内に記載された研究内容
(2) 「採用審査システム研究委員」の職名、氏名
(3) 採用審査システム研究委員名簿の「委任する職名」欄に記載された職名
2 旧条例第6条第1項第6号ア該当性について
 本号は、県又は国等が行う事務事業のうち、開示することにより当該事務事業の目的を失い、又は公正、円滑な執行ができなくなり、ひいては県民全体の利益を損なうことになる情報は、非開示とすることを定めたものである。
 実施機関は、事務局の一定の役職の者が任命されるものであり、研究内容、職名及び個人名を開示することにより、様々な働きかけがなされ、当該審査の円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであると主張しているので、以下、個々に本号該当性について検討する。
(1) 採用審査システム研究委員名簿の表題の「採用審査システム研究委員」の右の括弧内に記載された研究内容
 研究内容については、開示しても所属や氏名が明らかになるとは言えず、また、採用審査システム研究委員の名称は、平成16年度から、本件で非開示とした研究内容とほぼ一致する名称に変更されており、その名称は公表されている。このことから、研究内容を開示することにより業務の円滑な執行に著しい支障を及ぼすことが客観的に明白であるとは認められない。
(2) 「採用審査システム研究委員」の職名、氏名
 実施機関の主張するとおり、委員は事務局の一定の役職の者を任命していることから、職名が明らかになれば、委員が特定され、委員の氏名が特定されると、委員に対する様々な嫌がらせや働きかけがなされることとなり、当該審査の円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであると認められる。
(3) 採用審査システム研究委員名簿の「委任する職名」欄に記載された職名
 「委任する職名」欄に記載された職名については、委任された委員に充てられる役職であり、開示しても委員の氏名が明らかになるとは言えず、開示することにより業務の円滑な執行に著しい支障が生ずることが客観的に明白であるとは認められない。
 以上のことから上記(2)の情報は本号アに該当し、上記(1)及び(3)の情報は、本号に該当しない。

第6 結論

 当審査会は、本件公文書を具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成15年 1月24日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成15年 4月30日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成16年11月17日
(平成16年度第6回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成16年12月24日
(平成16年度第7回第一小委員会)
・ 実施機関の意見陳述を聴取した。
・ 諮問の審議を行った。
平成17年 1月19日
(平成16年度第8回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成17年 3月25日
(平成16年度第9回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成17年 8月 3日
(平成17年度第3回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成17年12月 6日 ・ 答申を行った。

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