高知県公文書開示審査会答申第120号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第120号

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諮問第120号


第1 審査会の結論

 知事が、「平成11年1月28日付の事業認定申請書(10用第910号)に添えられている回議書」の開示請求に対し、「土地収用法の規定に基づく事業認定の申請について(伺)」を開示したのは、妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成14年10月30日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「平成11年1月28日付の事業認定申請書(10用第910号)に添えられている回議書」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)に対し、知事(以下「実施機関」という。)が、平成14年11月12日付けで行った「土地収用法の規定に基づく事業認定の申請について(伺)」(以下「本件開示文書」という。)の開示決定について、当該開示決定を取消し、正しい公文書の開示を求めるというものである。

第3 実施機関の決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1 事業認定の手続きについて
 平成10年当時の事業認定の手続については、国の総括ヒアリングを受けたのち、事業認定申請書案を作成して国に提出し、事前審査による修正等を経て、正式に事業認定申請書を提出して告示となっていた。
2 事業認定申請書案の作成について
 前田川については、事前審査用の事業認定申請書案を作成するため、平成10年5月20日から6月30日を工期とする「平成10年度住基幹第1−10号前田川広域基幹(住宅促進関連)改修工事事業認定計画設計委託業務」(以下「第1−10号」という。)及び平成10年5月20日から6月29日を工期とする「平成10年度住基幹第1−11号前田川広域基幹(住宅促進関連)改修事業認定計画設計委託業務」(以下「第1−11号」という。)を委託した。
3 事業認定申請について
 これらの委託業務で作成した事業認定申請書案で事前審査を受け、修正等を加えた事業認定申請書により、平成11年1月28日付けで国に事業認定申請を行った。事前審査を受けての修正等の業務委託手続については、平成11年2月2日から3月3日を工期とする「平成9(10)年度住小改第1−15号前田川小規模河川(住宅促進関連)改修事業認定申請図書作成委託業務」(以下「第1−15号」という。)で行っている。
 以上のことから、本件開示文書以外に事業認定申請の起案文書は存在しておらず、異議申立人が指摘するような回議書は存在しない。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
 平成11年1月28日付け事業認定申請書(10用第910号)は、第1−15号(四国建設弘回済会)で作成されたものである。また、この委託業務は、平成11年2月1日契約、2月2日着手、3月3日竣工、3月12日完了検査という工程によって行われたものである。
 したがって、回議書の日付は、平成11年3月12日以降となるはずである。
 開示された回議書の日付は、平成11年1月28日であるので、異なる回議書である。平成11年1月28日付け事業認定申請書(10用第910号)に付けられている回議書の開示を求める。 

第5 審査会の判断

 実施機関は、本件開示請求に対し調査を行ったが、開示した回議書以外に事業認定申請の起案文書は存在しておらず、この文書が異議申立人が求める回議書に相違ないことを確認したと主張している。
 一方、異議申立人は、第1−15号の委託業務の完了検査の日付が、事業認定の申請伺いの後になっているので、本件開示文書は開示を求める文書と異なる文書であると主張しているので、以下検討する。
1 事業認定申請の手続きについて 
 実施機関の説明によると、事業認定申請手続や日付等については、 
【1】国の総括ヒアリング(平成10年4月9日)
【2】事業認定申請書案作成(第1−10号(工期:平成10年5月20日~6月30日)及び第1−11号(工期:平成10年5月20日~6月29日)で作成)
【3】事業認定申請書案事前審査(平成10年9月28日)
【4】事業認定申請書案修正(第1−15号(工期:平成11年2月2日~3月3日)で修正)
【5】事業認定申請(平成11年1月28日)
【6】告示(平成11年3月11日)
 のとおり行ったとのことである。
 第1−15号の委託業務については、【5】の日付よりも後になっているが、これは、契約事務の遅延によるものであり、異議申立人の指摘するような他の回議書は存在しないとのことである。
2 事業認定申請の日付について
 国が高知県の平成11年1月28日付け事業認定申請書を受け付けた日付は平成11年2月2日であり、平成11年2月3日付けで土地収用法第24条第2項の規定による公衆の縦覧に供するため、「事業認定申請書及び添付書類の写しの送付について(通知)」の文書が高知市長あてに送付されている。
 これらの資料と実施機関の説明を重ねれば、事業認定申請書の日付については、平成11年1月28日で矛盾するものではなく、実施機関が行った開示決定は妥当であると認められる。なお、これらの資料は、異議申立人が意見陳述時に提出した資料である。
3 事業内容の説明について
 なお、実施機関が行う事業等についての説明責任については、当審議会で判断すべき事項ではないが、一連の前田川改修工事にかかる開示請求や異議申立てについて、異議申立人及び実施機関から意見聴取等を行ったところ、事業を実施するにあたり実施機関が行った異議申立人への事業内容の説明について、実施機関は十分に説明したとしているが、異議申立人はほとんど説明を受けていないと主張して食い違いを見せている。このように、実施機関と開示請求者との意思疎通を欠いたことにより、異議申立てに発展する事例が増えていることから、今後、このようなことのないよう適切な対応を要望する。

第6 結論

 当審査会は、本件開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。
 なお、当審査会の岡村会長、稲田委員、溝渕委員及び山下委員は、現在の高知県収用委員会委員又は当該案件に関する事業が実施されていた当時の高知県収用委員会委員であったことから、本件の審査に加わっていない。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成15年1月27日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成15年4月9日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成17年11月22日
(平成17年度第14回第三小委員会)
・ 実施機関からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成17年12月8日
(平成17年度第15回第三小委員会)
・ 異議申立人からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成18年2月7日
(平成17年度第18回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年2月20日
(平成17年度第19回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年5月9日
(平成18年度第1回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年6月20日 ・ 答申を行った。

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