高知県公文書開示審査会答申第133号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第133号

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諮問第133号


第1 審査会の結論

 知事が、「嶺北プレカット事業協同組合事業報告書綴 平成4年度~平成13年度(平成8年度については上半期報告書含む)」を、部分開示とした決定は妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成15年7月3日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「【1】財団法人木材研究所土佐人材養成センター、【2】嶺北プレカット事業協同組合上記2団体について県の保有する文書」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)に対し、知事(以下「実施機関」という。)が平成15年7月17日付けで行った「嶺北プレカット事業協同組合事業報告書綴平成4年度~平成13年度(平成8年度については上半期報告書含む)(以下「本件公文書」という。)の部分開示決定について、条例第6条第1項第2号及び第5号に該当するものを除き、開示を求めるものである。

第3 実施機関の部分開示決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している部分開示決定理由の主な内容は、次のように要約できる。
1  高知県情報公開条例の一部を改正する条例(平成17年3月29日条例第14号)により改正する前の高知県情報公開条例(以下「旧条例」という。)第6条第1項第3号該当性について
(1) 組合員数及び出資口数表中、森林組合の口数及び金額、その他の法人の名称、住所、、口数、金額
 これらの情報は、組合員である法人の事業活動に関わる情報であり、開示することにより、当該法人の競争上の地位又は事業運営上の地位を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
(2) 各年度事業報告書中の一般概要及び各年度事業計画中の非開示部分
 これらの情報は、経営方針、経理、人事等の内部管理及び取引相手先、取引内容の販売営業に関するもの、生産設備や性能等生産技術に関する記述であり、当該法人の事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人及び記述された法人等の競争上又は事業運営上の地位その他利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
(3) 各年度事業報告書の(生産)実績表中、区分項目、数量及びグラフ等
 これらの情報は、販売範囲、取引先名、生産数量等が記載された当該法人の事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人及び記述された法人等の競争上又は事業運営上の地位その他利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
(4) 各年度事業報告書の財産目録、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、余剰・損失金処分案
 これらの情報は、生産設備、機器の種類等の生産技術に関する内容、資金、販売、顧客、製造・販売経費等の販売・営業に関する内容、固定資産、預金状況等経営及び運営状況に関する当該法人の事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人及び記述された法人等の競争上又は事業運営上の地位その他利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
(5) 収支予算書
 この情報は、経営方法、経理、製造原価、利益見通し等当該法人の事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人及び記述された法人等の競争上又は事業運営上の地位その他利益を害すると認められ、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
2 旧条例第6条第1項第3号ただし書イ該当性について
 嶺北プレカット事業協同組合(以下「プレカット組合」という。)と土佐産商株式会社(以下「土佐産商」という。)は取引上の重要な顧客関係であるとともに、主要な出資者の一人であるとしても、本件公文書の内容からは、明らかに違法な事業活動や、社会通念に照らして違法に近い著しく妥当性を欠く事業活動を行ったとは認められず、旧条例第6条第1項第3号ただし書イに該当しない。

第4 異議申立人の主張

異議申立人が異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
 旧条例第6条第1項第3号ただし書イ該当性について
 プレカット組合は、土佐町の第3セクターである土佐産商が中心となり、12の法人や個人が出資して昭和63年8月に設立された。設立の際に、嶺北五か町村の森林組合がプレカット組合に出資した各100万円、合計500万円は、いずれも土佐産商が各森林組合に融資し、各森林組合はその融資でプレカット組合に出資するという違法な迂回融資による出資であり、プレカット組合は違法に設立されている。
 プレカット組合が多額の債務を抱えたため、平成14年に土佐町はプレカット組合に補助金を支出すると議会で説明したが、この補助金は土佐産商の経営安定化補助金として、土佐産商に対する他の補助金と一括して土佐産商に支払われており、土佐産商からプレカット組合に支払われているかどうかは不明である。これは公金の支出上違法である。
 プレカット組合への補助金は、貴重な町民の税金から支出されており、正確な情報の公開がなければ、町民への負担と不信が増大する。
 したがって、実施機関が非開示とした情報は、旧条例第6条第1項第3号ただし書イに該当し、開示すべきである。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
 本件公文書は、県に提出された平成4年度から平成13年度のプレカット組合の事業報告書である。平成4年度から平成8年度は林業構造改善事業による設備導入後5年間提出が義務付けられている報告書である。平成9年度は木材産業高度化推進資金に関わる合理化認定申請書の添付書類である。平成10年度から平成12年度は業務参考資料として県に任意提出されたものである。平成13年度は中小企業等協同組合法第105条の2の規定により県に提出されたものである。
 各年度の事業報告書は、概ね、事業報告、組合員数及び出資口数、実績表、決算報告書、事業計画、収支予算書等で構成され、それぞれの項目には、プレカット組合の各年度の状況が記載されている。
2 旧条例第6条第1項第3号該当性について
 本号は、法人等又は事業を営む個人の権利及び利益の保護と事業活動の自由を保護し、公正な競争秩序を維持する観点から、開示することにより、法人等又は事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害すると認められる情報は非開示とすると定めたものである。
 実施機関は、非開示とした情報は、当該法人の事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人及び記述された法人等の競争上又は事業運営上の地位その他利益を害すると認められ、かつ、旧条例第6条第1項第3号ただし書のいずれにも該当しないと主張している。
 一方、異議申立人は、プレカット組合は違法な出資により設立され、補助金が違法に支出されているもので、この補助金は、貴重な町民の税金から支出されており、正確な情報の公開がなければ、町民への負担と不信が増大するため、旧条例第6条第1項第3号ただし書イに該当すると主張しているので、以下、本号該当性について検討する。
(1) 組合員数及び出資口数表中、森林組合の口数及び金額、その他の法人の名称、住所、口数、金額
 これらの情報を開示することにより、プレカット組合がどの法人からいくら出資を受けているのか、また、どういった法人がプレカット組合にいくら出資しているのかという、出資の相手先や口数、金額等の法人の経営活動が明らかになるため、プレカット組合及び出資した法人の事業運営上の地位を害すると認められる。
(2) 各年度事業報告書中の一般概要及び各年度事業計画書中の非開示部分
 これらの情報を開示することにより、プレカット組合の経営方針、受注実績や今後の受注見込、生産設備の状況等が相当詳細に明らかになり、プレカット組合の競争上の地位を害すると認められる。
(3) 各年度事業報告書の実績表中、区分項目、数量及びグラフ等
 これらの情報を開示することにより、公正な競争秩序を維持するために社会通念上秘匿することが認められているプレカット組合の販売範囲、取引先名、生産数量等の営業情報が相当詳細に明らかになり、プレカット組合及び取引相手方の競争上の地位を害すると認められる。
(4) 各年度事業報告書の財産目録、貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費、製造原価報告書、余剰金処分案、損失金処理案、損失金処理計算書、下半期プレカット受注予測、山崎作業所収支内訳書
 これらの情報を開示することにより、プレカット組合の生産設備、機器の種類等の生産技術に関する情報や、資金、販売、顧客、製造・販売経費等の営業情報、固定資産、預金状況等の経営情報がかなり明確に明らかになるが、これらの情報は専ら法人等の内部の管理情報として保護されるべきものであり、プレカット組合の競争上の地位を害すると認められる。
 なお、決算書に記載されている貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書の項目については、一般的にどの法人の決算書でも記載されており、旧条例第6条第1項第3号に規定する事業情報には該当しないが、数字を伴わない項目だけを開示しても、本件開示請求の趣旨を満たすとは認められない。
(5) 収支予算書
 この情報を開示することにより、経営方針、経理、製造原価利益見通し等プレカット組合の経営規模や財務体質、その他事業運営に関する事項が相当詳細に明らかになり、プレカット組合の事業運営上の地位を害すると認められる。
3 旧条例第6条第1項第3号ただし書イ該当性について
 本号のただし書は、事業活動に関する非公開情報であっても、人の生命、身体等を保護するために開示することが必要であると認められる情報は開示すると定めたもので、ただし書イについては、違法又は不当な事業活動に起因して、現に発生している住民生活や消費生活の安定を損なうような支障が拡大したり再発することを防止するため、あるいは将来発生する確率が極めて高い住民生活や消費生活の安定を損なうような支障を未然に防止するために必要な情報を開示するというものである。
 違法又は不当な事業活動とは、法令等の規定に違反した明らかに違法な事業活動のほか、法令等に違反しているとはいえないが社会通念に照らし違法に近い著しく妥当性を欠く事業活動のことである。
 プレカット組合が違法な事業活動で処分を受けた事実はなく、また、異議申立人の異議申立書、意見書及び本件公文書からは、プレカット組合が住民生活や消費生活の安定を損なうような支障を生じさせる違法又は不当な事業活動を行っているとの具体的事実は認められず、本号ただし書イには該当しない。

第6 結論

 当審査会は、本件部分開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成15年9月26日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成15年11月18日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成16年2月4日

・ 異議申立人からの決定理由説明書に対する意見書を受理した。

平成17年8月26日
(平成17年度第9回第三小委員会)
・ 実施機関からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成17年10月11日
(平成17年度第11回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成17年12月20日
(平成17年度第5回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年3月31日
(平成18年度第6回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成18年5月23日 ・ 答申を行った。

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