高知県公文書開示審査会答申第145号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第145号

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諮問145号


第1 審査会の結論

 知事が、「指令番号16高農山第5−0110号で許可した農地法第5条の規定による許可申請書及び添付書類」のうち、「被害防除計画書」中の「(1)隣地農地所有者の主張」欄、「(2)隣地農地所有者の主張に対する見解」欄及び欄外の印影を非開示としたことは、妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成16年10月12日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「南国市上末松○○○○及び南国市上末松△△△△(以下「申請人」という。)より共同申請のあった、農地法第5条の規定による許可申請書及び関係書類一式」の開示請求に対して、知事(以下「実施機関」という。)が平成16年11月2日付けで部分開示決定をした「指令番号16高農山第5−0110号で許可した農地法第5条の規定による許可申請及び添付書類」(以下「本件公文書」という。)のうち「被害防除計画書」中の非開示部分についての開示を求めるというものである。

第3 実施機関の部分開示決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している部分開示決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
 本件公文書のうち非開示とした「被害防除計画書」中の「【10】隣接同意がもらえない事由」の「(1)隣接農地所有者の主張」欄及び「(2)隣接農地所有者の主張に対する見解」欄に記載されている内容は、個人の経験や考えなどに基づく個人の内心に関する情報である。
 したがって、これらの情報は、個人を識別できる個人に関する情報と認められ、高知県情報公開条例等の一部を改正する条例(平成17年3月29日条例第14号。以下「改正条例」という。)による改正前の高知県情報公開条例(以下「旧条例」という。)第6条第1項第2号に該当し、かつ、ただし書のいずれにも該当しないため非開示とした。
 また、欄外の印影は、個人の財産等の保護に支障を生じるおそれがある情報と認められ、旧条例第6条第1項第5号に該当し、非開示とした。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
 農地法による農地転用許可申請書を提出する場合、環境問題もあり、原則として隣地農地所有者の同意書を添付することとなっており、同意書がもらえない場合は、もらえない事由を提出することになっている。
 申請人は、本件公文書の「被害防除計画書」の「【10】隣接同意がもらえない事由」中の「隣接農地所有者の主張」欄に同意がもらえない事由を記載し、提出しているが、隣接農地所有者は、異議申立人以外にはいないにもかかわらず、今まで申請人から相談もなく、また、一度も申請人と話し合いは行っていない。

第5 審査会の判断

 平成17年4月1日に改正条例が施行されたが、本件は旧条例に基づいた処分に対する異議申立てであるため、当審査会は、旧条例に基づき、本件異議申立てを審議することとする。
1  本件公文書について
 本件公文書は、申請人が農地法第5条の規定に基づき、実施機関に提出した農地転用許可申請書及びその添付書類である。
 本件公文書には、「被害防除計画書」が含まれており、同計画書中の「【10】隣接同意がもらえない事由」には、「(1)隣接農地所有者の主張」欄(以下「(1)欄」という。)及び「(2)隣接農地所有者の主張に対する見解」欄(以下「(2)欄」という。)が設けられている。
 実施機関は、非開示とした(1)欄及び(2)欄については、旧条例第6条第1項第2号に該当し、また、欄外の印影については、旧条例第6条第1項第5号に該当すると主張しているので、以下検討する。
2 旧条例第6条第1項第2号該当性について
 旧条例第6条第1項第2号は、旧条例第3条後段の、個人に関する情報が十分に保護されるように最大限の配慮をしなければならないとの規定を受け、原則開示の情報公開制度の下にあっても、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができると認められるものは、本号ただし書に該当する情報を除き非開示とすることを定めたものである。
 (1)欄には、申請者自身が認識している隣接同意がもらえない事由を、また(2)欄には、隣接農地所有者の主張に対する申請者自身の見解が記載されており、その記載の内容は、申請人の経験や考え方などに基づく個人の主観的な主張であって、申請人の内心に関する個人情報であると認められる。
 したがって、(1)欄及び(2)欄は、旧条例第6条第1項第2号に該当し、かつ、ただし書のいずれにも該当しないため、非開示が妥当であると判断する。
3 旧条例第6条第1項第5号該当性について
 欄外の陰影については、開示することにより、当該個人の財産等の保護に支障を生じるおそれがある個人の情報であると認められる。
 したがって、欄外の印影は、旧条例第6条第1項第5号に該当し、非開示が妥当であると判断する。

第6 結論

 当審査会は、本件部分開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成17年2月28日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成17年3月16日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成18年10月10日
(平成18年度第3回第三小委員会)
・ 実施機関からの意見聴取及び諮問の審議を行った。
平成18年11月29日
(平成18年度第4回第三小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成19年2月23日
(平成18年度第4回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成19年3月20日 ・ 答申を行った

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