高知県公文書開示審査会答申第155号

公開日 2009年02月24日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第155号

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諮問第155号 


第1 審査会の結論

 実施機関は、不存在決定を取り消し、改めて次の公文書を対象公文書として特定し、高知県情報公開条例第10条第1項の決定を行うべきである。
 1 高知県思春期相談センター「PRINK」に関わる公文書
 2 「高知県の十代におくる僕の性教育」及び「見つめよう子どもたちの生と性」の冊子に関わる公文書

第2 異議申立ての趣旨

  異議申立人が、平成19年2月7日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)に基づき行った「1999年から今日までの、高知県の『十代の妊娠中絶対策』の施策内容の全容。公開文書。教育普及文書。平成16年、国の性教育内容の一斉調査の内容とそれに対する回答文書、付属教育冊子。」(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が、「平成11年度に作成された『人工妊娠中絶対策プロジェクトチーム』(以下「プロジェクトチーム」という。)発足の文書」(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成19年2月21日付けで不存在決定を行った。
   本件異議申立ての趣旨は、本件不存在決定の取り消しを求めるというものである。

第3 実施機関の決定理由等

  実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している不存在決定の理由等の主な内容は、次のように要約できる。
  1 本件公文書について
  (1)  本件公文書は、その範囲が広かったため、健康対策課が平成19年3月5日に異議申立人と話し合いの上、本件公文書の特定を行った。
     異議申立人からは、様々な公文書の要求があったが、話し合いを進めていく中で、今回の請求では、平成11年度に当時のこども課が設置した「プロジェクトチーム」を発足した時の文書(本件対象公文書)について請求するということとなった。このため、この文書を本件公文書と特定した。
  (2)  なお、本件対象公文書の所管は、機構改革によって、平成11年度及び平成12年度はこども課、平成13年度は健康政策課、平成14年度から平成17年度までは健康増進課、平成18年度から健康対策課となっている。 
  2 本件対象公文書の不存在について
  (1) 公文書の保存期間は、高知県公文書規程(昭和39年12月28日訓令第64号。以下「規程」という。)第38条に、「30年、10年、5年、1年(平成13年4月1日改正前の保存期間は、永年、10年、5年、3年、1年)」と定められ、その保存区分は、公文書の内容又は形式によって、規程の別表第3に定めるところにより区分されている。
  (2) 本件対象公文書について、当該公文書を作成した平成11年度当時のこども課の職員に確認したところ、区分は「一般行政、行政事務」、公文書の内容又は形式の別は、「3 県行政推進のための啓発、指導等の関係、重要なもの」に該当し、保存期間は5年としていたということであった。
     このため、本件対象公文書は開示請求のあった平成19年2月7日時点では、5年以上を経過しており、保存期間が満了していたことから廃棄していたため、不存在決定とした。
  (3) 異議申立人は、平成19年3月5日に行われた健康対策課の職員との話し合いの際、同職員がファイルに綴じられていた文書を見ながら説明したことから、本件公文書が存在すると主張するが、このファイルに綴じられていた文書は、人工妊娠中絶の現状や高知県思春期相談センター事業実施要領等の文書であって、本件対象公文書とは異なる。  
     また、本件開示請求について、異議申立人と同年3月12日にも対応をしたが、このときに同年3月5日の話し合いの中で要求のあった「性教育パンフレットの配布先」及び「高知県思春期相談センター『PRINK』(以下「PRINK」という。)での配布パンフレット」等の文書については、資料として情報提供を行っている。

第4 異議申立人の主張

  異議申立人が、異議申立書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。

  1 本件公文書について
    平成19年3月5日に行われた健康対策課の職員との話し合いの際、同職員がファイルに綴じられていた文書を見ながら説明したことから、本件公文書が存在することは明らかである。
  
  2 異議申立ての理由
    健康対策課は、平成11年度に当時のこども課が設置した「プロジェクトチーム」を発足した時の文書(本件対象公文書)のみを本件公文書と特定し、不存在決定としているが、この他の公文書も請求しており、本件公文書の特定は誤っている。
    健康対策課から説明を受ける中で本件公文書が存在していたことは明らかであり、一部の公文書は情報提供されたが、すべてではないため、不存在決定に対して異議を申し立てることとした。

第5 審査会の判断

  1 本件公文書について
    実施機関は、本件対象公文書を本件公文書と特定したが、保存期間が5年とされていたため、開示請求のあった時点では5年以上を経過しており、廃棄処分をしたとしている。
    一方、異議申立人は、今回の請求についての話し合いを行った際、実施機関からファイルに綴じられていた文書を見ながらの説明を受けており、本件公文書が存在していたことは明らかであり、また本件対象公文書以外の文書も請求しているので、不存在としたことは納得できないと主張しているので、以下検討する。

  2 本件対象公文書を本件公文書と特定したことの妥当性について
  (1) 実施機関は、本件請求内容が広範囲にわたることから、本件公文書を特定させるために、平成19年3月5日に異議申立人と会って確認したところ、平成11年度に当時のこども課が設置した「プロジェクトチーム」発足にかかる文書が欲しいということであったので、本件対象公文書を本件公文書と特定したと説明している。
     一方、 異議申立人は、本件対象公文書のみを本件開示請求の対象としていたわけではないと述べている。
  (2) 当審査会が、実施機関に、本件公文書の特定を行った平成19年3月5日の話し合いの内容について確認したところ、「PRINK」に関することや十代の子どもたち用に作られた冊子の配布先等について話し合われたことが確認されたが、本件対象公文書を本件公文書と特定した経過については、明らかではなかった。
     また、異議申立人から意見聴取したところ、求めていた情報は「『PRINK』に関わる公文書」及び「十代の子どもたち用に作られた冊子に関わる公文書」であるということであった。
     以上のことから、異議申立人は今回の開示請求では、本件対象公文書のみを請求したものではなく、「『PRINK』に関わる公文書」並びに「十代の子どもたち用に作られた冊子(『高知県の十代におくる僕の性教育』及び『見つめよう子どもたちの生と性』)に関わる公文書」も請求していたものと判断された。
     このため、実施機関は、本件公文書の特定に努めたものの、異議申立人と実施機関双方の認識に相違が存在していたことは否めず、本件公文書の特定が不十分であったと認めざるを得ない。  
  (3) したがって、実施機関は既に、本件公文書について、開示等の決定及び情報提供をしているものもあるが、異議申立人の本件開示請求の意図に沿って、改めて、「『PRINK』に関わる公文書」並びに「『高知県の十代におくる僕の性教育』及び『見つめよう子どもたちの生と性』の冊子に関わる公文書」を本件公文書と特定し、高知県情報公開条例第10条第1項の決定を行うべきである。

第6 結論

  当審査会は、本件開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日

処理内容

平成19年3月30日 ・実施機関から諮問を受けた。
平成19年4月23日 ・実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成19年5月22日 ・異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。
平成19年12月3日
(平成19年度第5回第三小委員会)
・実施機関及び異議申立人からの意見聴取並びに諮問の審議を行った。
平成20年1月24日
(平成19年度第6回第三小委員会)
・諮問の審議を行った。
平成20年3月28日
(平成19年度第4回公文書開示審査会)
・諮問の審議を行った。
平成20年5月29日
(平成20年度第1回公文書開示審査会)
・諮問の審議を行った。
平成20年7月8日 ・答申を行った。

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