高知県公文書開示審査会答申第176号

公開日 2012年12月04日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第176号

諮問第176号


第1 審査会の結論

 知事が「エコポリス構想工事における代替地提供条件について、エコポリス構想工事では、代替地はそのエリア内でしか提供できないと定めたことに関する文書(資料)一式」について不存在とした決定は、妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成24年3月27日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「エコポリス構想工事における代替地提供条件について、エコポリス構想工事では、代替地はそのエリア内でしか提供できないと定めたことに関する文書(資料)一式」(以下「本件公文書」という。)の開示請求に対し、知事(以下「実施機関」という。)が平成24年4月10日付けで行った公文書不存在決定(以下「本件不存在決定」という。)の取消しを求めるというものである。
 なお、実施機関は、本件不存在決定において、「公共工事の場合の代替地については、この範囲だけというように限定することはなく、地権者は、起業地を買収した金額の範囲で代替地を希望するとともに、その他の事情を加味し、代替地を要望することが通常であり、その条件に見合った中で代替地を探すこととなる。との証とする文書(資料)等一式」についても不存在とする決定を行ったが、これについては、異議申立人は異議を申し立てていない。

第3 実施機関の不存在決定理由等

 実施機関が決定理由説明書及び意見陳述で主張している本件公文書の不存在決定理由等の主な内容は、以下のように要約できる。
1 本件公文書の不存在について
 高知県が進めた浦戸湾東部エコポリス構想に係る事業(以下「エコポリス事業」という。)において、代替地はそのエリア内でしか提供されていないと定めた指針となるような本件公文書は作成されていない。
 エコポリス事業の開発区域内にある土地の所有者(以下「本件土地所有者」という。)が提起した代替地の売買契約をめぐる裁判(以下「本件裁判」という。)において、高知県土地開発公社の職員(以下「当該職員」という。)から「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」と言われたとの主張がなされたが、高知県は、「そのような交渉をした事実はない。」、また、「公共工事の場合の代替地については、この範囲だけというように限定することはなく、地権者は起業地を買収した金額の範囲で代替地を希望するとともに、その他の事情を加味し、代替地を要望することが通常であり、その条件に見合った中で代替地を探すことになる。」と主張した。
 以上のことから、エコポリス事業を含めた公共工事の場合の代替地については、この範囲だけというように限定することはあり得ない。
 したがって、本件公文書は存在するはずもない。
2 異議申立人の主張について 
 異議申立人は、本件裁判における証人調書において、(1)「代替地は、もともとエコポリスゾーン内でしか提供されないということだったんですよね。」との問いに、高知県は、「そういうふうに聞いています。」と答えている、(2)さらに、「エコポリスゾーン内でしか代替地は提供できないとさっきおっしゃったでしょう。」との問いにも、高知県は、「はい。」と答えている、と主張している。
確かに、証人として出頭した高知県の職員が一連の質問に答える中で、そのような回答をしているが、このやり取りについては、質問と答弁が絡み合っていない部分も多くあったが、高知県の最終の準備書面において、「そのような事実はない。」と、この部分の証言をきっぱりと否定している。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書、意見書及び意見陳述で主張している本件異議申立ての主な内容は、以下のように要約できる。
1 本件公文書が作成されていないとする実施機関の主張は不合理極め、承服できない。
 代替地の売買交渉の場所選定の段階で、本件土地所有者は、当該職員から「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」との説明を受け、代替地を限定された。
2 本件裁判における証人調書において、高知県自身がエリア内でしか代替地が提供されなかったと証言している。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
 本件公文書は、エコポリス事業における代替地の提供条件として、代替地はそのエリア内でしか提供できないと定めた文書(資料)一式である。
 高知県土地開発公社は、エコポリス事業の公共用地として本件土地所有者の所有する土地を先行取得したが、その際、本件土地所有者から新たに代替地を取得したいとの意向が示され、本件土地所有者との間で代替地(以下「本件代替地」という。)である土地の売買契約が締結された。
 本件は、異議申立人によれば、本件代替地の選定に当たって、エコポリス事業の公共用地の先行取得を担当する高知県土地開発公社の当該職員から、本件土地所有者に対し、「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」との説明があったことから、エコポリス事業の代替地提供条件としてこのような方針を定めた文書があるはずだとして本件公文書の開示請求がなされたものである。
 実施機関は、本件公文書について作成されていないとして不存在とする決定を行っているので、以下検討する。
2 本件公文書の不存在について
(1)異議申立人は、当該職員が、本件土地所有者に対し、「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」と説明した以上、当然、この方針を定めた本件公文書があるはずであると主張している。
これに対し、実施機関は、(1)本件土地所有者との間で、「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」というような交渉をした事実はない、(2)また、エコポリス事業を含めた公共工事の場合の代替地については、この範囲だけというように限定することはあり得ないとし、本件公文書は存在するはずもないと主張している。
(2) まず、異議申立人と実施機関との間で、当該職員から「県の事業での代替地は、その事業のエリア内でしか提供できないことになっている。」との説明があったかどうかについて争いがあるが、当該事実の存否自体は当審査会が審査すべき事項ではなく、当審査会としては本件公文書の不存在について検討する。
そこで検討するに、実施機関によれば、保管している本件土地所有者の名前が背表紙に記載された、本件土地所有者との交渉記録を収めたファイル(以下「本件土地所有者のファイル」という。)、さらには一連のエコポリス事業のファイルを全部調査したが、本件公文書は存在しなかったとのことである。
当審査会としても、念のため、実施機関が保管しているこれらのファイルのうちで、本件土地所有者のファイルその他の本件公文書が存在する蓋然性のあるファイルを抽出して実際に見分したが、そこには本件公文書は含まれていなかった。
また、当該職員は当時高知県土地開発公社の職員として本件代替地の交渉に当たっていたことから、当審査会において同公社が本件公文書を保管している可能性について実施機関に照会した。実施機関からは、同公社に本件公文書の存否を確認したところ、「エコポリス構想工事関係公文書の存否については、平成21年度にすべての公文書を地域づくり支援課に引き継いでおりますので、当公社には関連する公文書は残っておりません。」との回答があった旨の報告があった。
なお、一般論としては、実施機関が主張するように、公共工事において代替地をこの範囲だけというように限定することはないと考えられる。
以上のことを考慮すると、本件公文書が存在しないとする実施機関の主張は不合理であるとは言えず、本件公文書の不存在決定は妥当であると判断する。

第6 結論

 審査会は、本件公文書の不存在決定について以上のとおり検討した結果、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による 多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断したので、答申する。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成24年5月17日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成24年6月6日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。

平成24年7月24日
(平成24年度第3回第一小委員会)

・ 実施機関から意見聴取を行った。諮問の審議を行った。

平成24年8月10日
(平成24年度第4回第一小委員会)

・ 諮問の審議を行った。

平成24年9月14日
(平成24年度第5回第一小委員会)

・ 諮問の審議を行った。

平成24年9月24日
(平成24年度第4回公文書開示審査会全体会)

・ 諮問の審議を行った。
平成24年9月28日 ・ 答申を行った。

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