高知県公文書開示審査会答申第94号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第94号

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諮問第94号


第1 審査会の結論

 教育委員会が、「町教育委員会からの報告書(平成14年3月28日付け)及び聞取り調査の概要 顛末書(平成12年9月28日付け) 顛末書(平成13年3月19日付け)」について、非開示と判断したことは妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ては、異議申立人が平成14年5月14日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成14年5月10日付14高教職第448号の本文中にある関係教育委員会よりの文書による報告書と事情聴取調書(メモ) 平成12年9月28日付で(町名記載)教育長に提出した(学校名記載)学校教諭(個人名記載)よりの顛末書 平成13年3月19日付で(所属長名記載)に提出した(所属名、職名、個人名記載)よりの顛末書」の開示請求に対し、教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った「町教育委員会からの報告書(平成14年3月28日付け)及び聞取り調査の概要 顛末書(平成12年9月28日付け) 顛末書(平成13年3月19日付け)」(以下「本件公文書」という。)の非開示決定に対し、個人に関する情報を除く部分の開示を求めるというものである。

第3 実施機関の非開示決定理由等

実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している非開示決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
 1 条例第6条第1項第2号該当性について

 本件公文書は、個人の内心に関する情報、処分事由に該当する可能性のある非違行為の内容など、内容全体が個人に関する情報であって、記述内容により特定の個人を識別することができると認められるものであり、かつ、同号ただし書のいずれにも該当しないことから非開示とした。
 異議申立人は、「すでに特定の個人は識別されている」として第2号の非開示情報に該当しないと主張している。
 しかしながら、すでに識別されているとしている特定の個人名は、関係者のみが知りうる情報であり、一般に了知されているものではない。
 また、異議申立人は、「顛末書には個人を識別する内容は記載されていない」「心情の詳細などの個人のプライバシーに関する情報は記載されていない」として第2号の非開示情報に該当しないと主張しているが、本件公文書をはじめ懲戒処分に関連するものは、被処分者個人の内心に関する情報、処分対象となった非違行為の内容等、内容全体が個人に関する情報であって、記述内容により特定の個人を識別することができると認められるものであると判断する。
 2 条例第6条第1項第6号ア該当性について
 市町村(学校組合)立の公立学校における服務監督者は、当該市町村(学校組合)教育委員会であり、任免権者である実施機関との信頼関係を基に事務事業は成り立っている。
 本件公文書は、職員の行為が処分事由に該当するかどうかを判断するための資料となるものであり、特にその内容について正確な情報や情状など詳細を求めるものであることから、処分の妥当性や公平性において適正を期し、信頼性を高めるために不可欠なものである。
 処分に関する文書の作成に当たっては、司法機関が行うような直接の調査によるものではなく、関係教職員の自発的な報告について、校長、市町村(学校組合)教育長と実施機関の間を何度も行き来して完成されるものであり、この間、作成に関わる者の心理的な負担は、職務とはいえ平常時とは異なり大きい。
 このことから、被処分者のみならず周辺の人物などの情報を多く含む関係文書が開示されると、事情聴取を行うべき関係者への心理的負担を増大させる結果、ありのままの事実が聴取できなくなることや、必要な情報の積極的な提供が受けられなくなることが容易に予想され、調書の作成にも支障を生じ、その結果、処分事由に該当する事実の存否を確定することに重大な支障が生じることは明白である。 
 以上のことから、今後の懲戒処分に関する事実調査及び公正な処分の決定に著しい支障を生じるため、非開示とした。

第4 異議申立人の主張

異議申立人が異議申立書、意見書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
  
  1 本件公文書の開示の意義について
 条例第1条の目的に「この条例は、公文書の開示に関し必要な事項を定めるとともに情報提供の充実を図ることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による開かれた県政を一層推進することを目的とする。」とある。
 しかし、実施機関があげている非開示理由は短い文章で、条文をそのまま形式的に書いており具体的なことは全く書いていない。
 実施機関の情報公開制度や開示に対する態度が問題である。どういった考え方で開示・非開示の判断をするのかということが一番の問題であり、関心を持っている。
  2 旧条例第6条第1項第2号該当性について
 顛末書では、すでに特定の個人は識別されており、顛末書の記載内容によって新たに個人名が特定されることはない。
 また、顛末書の記載内容は、提出者の公務中の違法行為の詳細であるが、個人のプライバシーに関する情報は記載されていない。顛末書には、提出者が公金を横領した金額が記載されており、県民に明らかにするのは当然である。
 平成12年9月28日付けの顛末書は、不正を行った事実が記載されているにすぎず、また、詳細は記載されておらず、個人を識別する内容や記載者本人の心情やプライバシーに関する情報は記載されていない。
 平成13年3月19日付けの顛末書は、不正な行為の日時及び内容等が記載されており、記載者本人のプライバシーに係る情報は記載されていない。個人を識別する情報として、宛名と記載者本人以外に他者の氏名が記載されているが、個人のプライバシーに係る情報は記載されていない。
 2通の顛末書は、個人名を非開示とし、その他の情報は開示とする部分開示とすべきである。
  3 条例第6条第1項第6号ア該当性について
 この職員の行為は犯罪行為であり、事情聴取をされるのは当然である。このことが開示されるか否かに関わらず、ありのままの事実を述べることが公務員の義務である。この職員は犯罪行為をしているので心理的負担が大きいのは当然である。この情報が開示されると本当のことが言えないような公務員は、公務員として相応しくないので免職されるのが当然である。
 2通の顛末書を部分開示しても、事情聴取を行う関係者には何ら影響はない。
 また、事情聴取を行う関係者の心理的負担の有無で開示・非開示の条例適用の判断を恣意的にしてはならない。
 事件の真相が県民に明らかになることを防ぐために、第6号を非開示理由として主張しているにすぎず、今後の事務執行に支障を来すことなど全くない。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
 本件公文書は、平成14年3月28日付けで、不祥事を起こした教諭が所属する学校を所管する、市町村の教育委員会(以下「地教委」という。)の教育長から実施機関に提出された、不祥事の事実経過についてまとめられた「地教委からの報告書」及び不祥事に関して実施機関の職員が関係者に行った聞き取り調査の概要をまとめた「聞取り調査の概要」並びに地教委からの報告書に添付された顛末書等である。
  2 公文書開示請求に対する決定について
 本件公文書は、平成14年3月11日付けで市民オンブズマン高知が実施機関に対して行った申入れに基づき、実施機関が地教委に文書で報告を求め、また、実施機関が自ら調査してまとめた公文書である。
 これらの報告及び調査の結果を受けて、実施機関は市民オンブズマン高知あてに、上で述べた申入れに対する回答を14高教職第448号で行った。
 回答の中では、個人の氏名等は明らかにしていないものの、不祥事が存した事実及び地教委から書面で報告を求めたことを明らかにしている。
 本件異議申立てに係る公文書開示請求は、実施機関からの上記回答(14高教職第448号)を受けて、特定の個人名を挙げてなされている。
 このように、特定の個人名を挙げて、不祥事に関連する公文書の開示請求があった場合、対象となる公文書が存在しているか否かを答えるだけで、当該個人の不祥事の存在を明らかにすることになり、個人のプライバシーに関する情報が明らかになってしまう。
 したがって、こういった公文書開示請求に対しては、条例第8条に定める公文書の存否を明らかにしない旨の決定をすべきである。
 しかし、本件では公開質問状に回答した段階で公文書の存在を明らかにしている以上、実施機関が公文書の存否を明らかにしない旨の決定ではなく、公文書の存在を前提として、条例第6条第1項第2号により非開示決定を行ったことは、やむを得ない。

第6 結論

 当審査会は、本件公文書を具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成14年8月20日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成14年9月13日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成14年9月30日 ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。
平成16年4月20日 
(平成16年度第1回第一小委員会)
・ 異議申立人の意見陳述及び諮問の審議を行った。
平成16年5月17日 
(平成16年度第2回第一小委員会)
・ 実施機関の意見聴取及び諮問の審議を行った。 
平成16年6月7日 
(平成16年度第3回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成16年7月29日 
(平成16年度第4回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成16年9月2日 
(平成16年度第5回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成16年12月6日 
(平成16年度第2回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成17年1月27日 ・ 答申を行った。

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