高知県公文書開示審査会答申第97号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第97号

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諮問第97号


第1 審査会の結論

知事(以下「実施機関」という。)が、「県職員の倫理規則違反事件に関係して行った自主調査で判明した、接待等を受けた職員の旅費調整(食費及び交通費の返戻)に関する資料」(以下「本件公文書」という。)を、非開示とした決定は妥当である。

第2 異議申立ての趣旨

本件異議申立ては、異議申立人が平成14年2月18日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「職員倫理規則に関して行った自主調査で判明した接待等(便宜供与)を受けた職員の旅費調整(食費分及び交通費分の返戻)に関する資料」の開示請求(以下「本件請求」という。)に対して、実施機関が平成14年3月6日付け13高人企第88号で行った非開示決定の取消しを求めるというものである。

第3 実施機関の非開示決定理由等

実施機関が、決定理由説明書、意見陳述及び補足説明書で主張している非開示決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
 
(1) 非開示決定までの経緯
ア 実施機関では、「職員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の遂行の公正さに対する県民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する県民の信頼を確保する」ことを目的として、高知県職員倫理条例(平成11年高知県条例第46号。以下「職員倫理条例」という。)が平成12年4月1日から施行されている。
 そして、職員倫理条例に基づいて職員が遵守すべき事項や禁止行為などを規定した高知県職員倫理規則(平成12年高知県規則第219号。以下「職員倫理規則」という。)が平成13年1月1日から、さらに、「職員倫理条例及び職員倫理規則等に違反した場合の懲戒処分の基準」(以下「懲戒基準」という。)が平成13年4月1日から施行されたところである。
イ このように職員の倫理に関する規程が制定される一方で、平成12年度に実施された監査委員による監査において、県外での工場検査に係る旅行命令が、受注業者が用意した自動車の利用を予定したものになっていたことから、受注業者との関係において疑惑を招くことのないよう、改善の指摘を受けた。
ウ 監査の指摘を契機として実態を把握するため、平成8年度以降に県外での工場検査を命じられた知事部局の職員を対象にして、所属長が聞き取り調査を行った。
エ 平成13年11月30日、聞き取り調査等に基づき、懲戒基準が施行された平成13年4月1日以降に職員倫理条例及び職員倫理規則に違反した行為については、職員2名を戒告処分にするとともに、地方公務員法第29条に基づく懲戒処分を行う際の公表事項等を定めた「高知県職員の懲戒処分に関する公表基準」(以下「公表基準」という。)に基づき、対象職員の所属部局名、処分事由の概要、処分内容、処分年月日等を記者発表した。
また、平成8年度から平成12年度までに、県外での工場検査時に移動の便宜や食事などの提供を受けていた事例についても、事例別、年度別に該当人数を取りまとめ、記者発表を行っている。
オ エの記者発表に関係して本件請求がなされた。
 
(2) 本件公文書
本件公文書は、職員倫理条例等違反に関係して行った自主調査に基づき、平成8年度以降の県外での工場検査の際に、受注業者から移動の便宜や食事などの提供を受けていた事実があるとして、旅費調整(食費及び交通費分の返戻)を行った出張に関する、次の書類である。
ア 旅行命令簿(旅費計算書を含む。)
イ 旅行終了報告書
ウ 支出負担行為決議書兼支出命令書
エ 旅行命令変更簿(旅費計算書を含む。)
オ 戻入決議書又は収入調定書
 
(3) 条例第6条第2号該当性
旅費調整に関する資料は、会計書類であり、本来であれば開示となるべきものである。
しかし、今回の開示請求は、聞き取り調査により、県外での工場検査時に、受注業者から移動の便宜や食事の提供などを受けた職員に特定したものであり、開示することにより当該職員の職、氏名を特定することとなる。このような移動の便宜供与などを受けた職員を識別できる情報は、職員の服務規律及び名誉に関する個人情報であり、本号ただし書のいずれにも該当しない。
会計書類等の開示請求の形を取りながら、受注業者から便宜供与を受けた職員を特定しようとする、このような個人に関する情報の開示請求を認めれば、県職員に関する個人情報は、開示対象になるに等しく、認めることはできない。
 
(4) 条例第6条第6号ア該当性
県職員の倫理規則違反事件に関係して行った自主調査は、便宜供与などを受けた事実を把握するために、各所属長から職員への聞き取り形式で実施したもので、その内容を公開しないことが前提となっている。
本件公文書を開示することは、調査を受けた職員の氏名及び氏名が判明する情報が明らかになることであり、そのことは、氏名をはじめとする調査の内容が公開されないことを前提に、任意の調査に応じた職員の信頼を大きく裏切ることになる。
また、今後、調査を受けたことが明らかになることが前提になると、調査を行う所属長が、常時職場で顔を会わせる部下にとって不名誉、不利益となる事実の調査に消極的になり、職員も自分が調査の対象となる行為を行ったことを名乗り出ることをためらう可能性があることから、結果としてありのままの事実を把握することが困難となる。
このようなことから、刑事事件のように警察の捜査により概ね事実関係が明らかになるものとは異なり、本人や関係者からの事情聴取によらなければ事実関係の把握が困難な懲戒処分等の事案においては、本件公文書を開示することにより、今後の公正もしくは円滑な事務の執行に対し著しい支障を生ずる。
 
(5) 開示の方法
本件公文書に記載されている情報は、県外での工場検査という職務の遂行に関するものである。今回、職員の職、氏名の部分を非開示にして部分開示を行ったとしても、同一の工場検査について他の開示請求があれば、基本的には全部開示されることから、全部開示の情報と今回の部分開示の情報とを組み合わせることにより、特定の個人が識別される可能性がある。
そのような対比によっても個人が識別されないように部分開示を行うとすれば、本件公文書のうち開示できる部分は、旅行命令簿等の様式のみといった極めて限定されたものになり、その部分のみを開示することによっては、便宜供与や供応接待の実態を明らかにするという本件請求の趣旨に沿うことができないことは明らかである。
したがって、条例第7条に定める「公文書の開示の請求の趣旨を損なわない程度に分離することができるとき」という要件には該当しない。
なお、本件事案については調査内容も含めて概要を公表している。

第4 異議申立人の主張

異議申立人が異議申立書、意見書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
 
(1) 本件請求の理由
県監査委員は、平成13年4月10日付けの県公報において、出先機関の職員が県外での工場に出張検査を実施した際に、業者との癒着を招かぬようとの内部の取り決めがあるにもかかわらず、被検査民間業者が手配した交通手段を当初から組み入れた旅行命令が行われるなど先の取り決めが没却されている事実があったことを公表した。
そしてさらに、このことは過去の監査においても業者との癒着の温床となる疑惑を招きかねない適正を欠く出張があったとして厳重注意を受けているにもかかわらず、その注意に対する改善がなおざりにされている結果とも言えるものであり、監査結果を遵守する姿勢が見られず極めて遺憾であると指摘している。
公表された今回の行為は、初犯ではなく、過去に監査で厳重注意を受けた経過があるのに、これを無視した故意による違法な行為であり単なる過失ではない。また、この出張は、旅行命令時に上司がこれを知りながら決裁をしたものであることから、二重に悪質であり、当該職員のみならず管理職の責任はより重い。
この事実を受けて実施機関は平成8年度から12年度における同様の事例を調査し、業者からの供応接待等のあった事例について数的資料として公表するとともに、職員倫理条例等違反により2人の職員の処分を発表した。
しかしながら、本件のような悪質な事例(組織的不正経理)は、地方公務員法第29条(懲戒)に規定された「条例、規則、規定違反」、「職務上の義務違反、職務の怠慢」及び「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当し、法により懲戒されるべきものである。
にもかかわらず、実施機関は、これを倫理上の問題と軽く取り扱い、懲戒基準が施行された平成13年4月1日以降の違反行為者のみを処分対象とした。また、問題の根幹である不正出張を決裁した管理職は無罪とされている。
本件請求に係る公文書が開示され事件の実態が公になれば、県民はこのような詭弁を弄した取り扱いを許さないであろう。
 
(2) 条例第6条第2号該当性
実施機関は、調査により県外での工場検査時に受注業者から移動の便宜等を受けた職員の職、氏名を特定できる情報は、職員の服務規律に関する個人情報であると主張しているが、条例では、服務規律に関する個人情報は公務執行に関する情報でも非開示できるとの規定はどこにもない。
もともと公務員は全体の奉仕者であり、公務は住民から付託され、支出する費用は県民の税金であることから、服務規律は、公的に求められており、単なる職員個人の事情を基準としたものではない。公務員の服務規律違反の実態こそ主権者たる県民にオープンにして判断を仰ぐべきものである。
今回の不法な事務や会計処理は、すべて公務遂行に係るものであり、本号に規定する「個人に関する情報」のウで例外的に公開するものとされた職務の遂行に含まれるものであることから、個人の私生活とかかわりはなくプライバシー権を侵害するものでないことは何人が見ても明らかである。
 
(3) 条例第6条第6号ア該当性
 実施機関は、懲戒処分について公表基準を定め、その基準に沿った公開・非公開の判断を行っているが、公表基準は情報提供の用にはなり得ても、条例上の判断とは異なるものである。
 実施機関の公表基準では公開とならない処分でも公開している他の自治体において、公開の結果それらの自治体で事務事業がいかに阻害されたかを具体的に事例を挙げて説明しなければ、今回の実施機関の非開示の理由としては成り立たない。
 
(4) 公開の公益性
県政への信頼回復と開かれた県政の推進のため、公費支出に関係する公務執行に関する情報を公開する公益性と、実施機関の言う「職員の名誉」なる抽象的な言葉で違法な公務の実態を隠蔽する処分と、どちらが優位か具体的な検討と説明がなく恣意的な判断で従来の事例にもない非開示の判断にこだわる処分の不当性は明白である。
また、実施機関の公表基準の中でも公益上の理由があると判断する場合には所属名、氏名等を公表するとされており、本件はまさにこれに該当する公益上の価値が高い情報である。
 
(5) 開示の方法
部分開示について何の検討も加えていないのは、条例の運用として不適正である。
個人の名誉にかかわるとの立場に立つとしても、職場名を公表しても個人の特定はできないし(リザーブ事件での逆転公開判決を参照)、行き先、時期、支出金額についても同様である。
懲戒処分の関係記録の公開に関して、既に全国に幾多の先例があり、公開度の濃淡はあっても、審査会で文書丸ごと非開示を認めた事例はない。
個人名も含めてすべて公開すべきであるが、百歩譲っても本件対象公文書は、違法行為を是認(共謀)した管理職の決裁とその行為を証する部分、事件の内容が判る部分、公金取扱い所属が判る部分など開示可能な情報が満載された公文書であり、非開示処分は直ちに取り消されるべきである。

第5 審査会の判断

(1) 本件公文書
本件公文書は、実施機関が職員倫理条例等違反に関係して行った自主調査に基づき、平成8年度以降の県外での工場検査の際に、受注業者から移動の便宜や食事などの提供を受けていた事実があるとして、旅費調整(食費及び交通費分の返戻)を行った出張に関して職員が作成し、又は取得したものである。
本件公文書の種類及び記載されている主な情報は、次のとおりとなっている。
ア 旅行命令簿(旅費計算書を含む。)
 執行機関名、決裁権者等のサイン及び印影、受命者の職名・氏名、事業名、用務、旅行期間、目的地、泊数、利用交通機関、旅費額等
イ 旅行終了報告書
 決裁権者等のサイン及び印影、報告者(受命者)の職名・氏名、面会者の役職名等・氏名、面会時間、面会場所、用務、旅行命令期間、用務地、主な利用交通機関、宿泊地等
ウ 支出負担行為決議書兼支出命令書
 執行機関における決裁権者等の職名・印影、出納機関における決裁権者等の職名・印影、支払の相手方、兼支出命令年月日、事業名、執行機関名、支出命令額、支出予定日、支払方法等
エ 旅行命令変更簿(旅費計算書を含む。)
執行機関名、決裁権者等のサイン及び印影、受命者の職名・氏名、変更理由、事業名、用務、旅行期間、目的地、泊数、利用交通機関、旅費額、差引支給額等
オ 戻入決議書又は収入調定書
 執行機関における決裁権者等の職名・印影、出納機関における決裁権者等の職名・印影、返納義務者、戻入決議年月日、事業名、執行機関名、戻入額、返納期限日、返納理由等
 
   なお、本件公文書が作成された年度は、平成11年度1件、平成12年度1件、平成13年度2件であり、このうち平成13年度作成分は、3の(1)のエによる戒告処分を受けた職員の出張に係るものである。
 
(2) 非開示理由の適用条例
本件請求は平成14年3月31日以前になされたことから、非開示理由の適用条例(以下「適用条例」という。)は、本件公文書を作成し、又は取得した時期により異なる。
実施機関及び異議申立人は、適用条例の使い分けについては明確に言及せずに非開示理由を主張しているが、当審査会では次の適用条例により判断を行う。
ア 平成10年10月1日から平成13年3月31日までの間に作成し、又は取得したもの
平成10年10月1日施行条例(以下「10年施行条例」という。)
イ 平成13年4月1日以降に作成し、又は取得したもの 
  平成13年4月1日施行条例(以下「13年施行条例」という。)
 
(3) 10年施行条例第6条第2号及び13年施行条例第6条第2号該当性
 本各規定は、それぞれの条例第3条後段の「個人に関する情報が十分に保護されるように最大限の配慮をしなければならない。」との規定を受け、原則公開の情報公開制度の下にあっても、特定の個人を識別することができる情報は、非開示とすることを定めている。
これは、個人のプライバシーを最大限保護するため、プライバシーであるか否か不明確な個人に関する情報も含めて、特定の個人を識別することができると認められる情報は、本号ただし書ア、イ及びウに該当する情報を除き開示してはならないとするものである。
なお、公務員に関しては、職務の遂行に係る情報に含まれる職名及び氏名は、本条本号ただし書ウに該当し開示されることとなるが、個人のプライバシーの保護に関しては、公務員も個人として保護されるべきプライバシーは有すると解される。
異議申立人は、今回の不法な事務や会計処理は、すべて公務遂行に係るものであり、両条例本条本号ただし書ウで例外的に公開するものとされた職務の遂行に含まれるものであり、個人の私生活とかかわりはなくプライバシー権を侵害するものでないと主張している。
実施機関は、3の(1)のエにあるように、本件請求に先立ち職員倫理条例等違反に関係して行った聞き取り調査により、県外での工場検査時に受注業者から移動の便宜や食事の提供などを受けたことが判明した事例について、懲戒基準が施行された平成13年4月1日以降の行為については戒告処分とし、それ以前の分については概要を記者発表している。
懲戒処分については、これまでも当審査会が判断してきたとおり、処分を行う任命権者の行為は職務遂行情報であるが、処分を受ける側からすれば、原因となった行為が職務に関係するしないにかかわらず、処分を受けたこと自体は職務の遂行ではなく、被処分者個人の資質や名誉にかかわる当該個人固有の情報というべきものである。
同様に、今回の職員倫理条例等違反に関係しての聞き取り調査の結果、受注業者から便宜供与等を受けていたとして旅費の調整を命じた事例についても、調査を行い旅費の調整を命じる行為自体は所属長の職務遂行情報であるが、命令を受けた職員からすれば、たとえ処分を受けるに至らなくても、調査を受け不適切として旅費の調整を命じられたことは、個人の資質や名誉にかかわる当該個人固有の情報というべきものであると認められる。
したがって、本件公文書は、受注業者からの便宜供与等を受けた職員の旅費調整に関するものであり、本件公文書中に記載されている出張を命じられた職員の氏名等は、懲戒処分を受けた職員及び処分は受けていないものの調査を受け不適切として旅費の調整を命じられた職員(以下「懲戒処分を受けた職員等」という。)を識別することができることから、個人に関する情報であると認められ、本各号の本文に該当し、かつ、ただし書のいずれにも該当しない。
 
(4) 10年施行条例第6条第5号ア及び13年施行条例第6条第6号ア該当性
本各規定は、県又は国等が行う事務事業のうち、開示することにより、実施の目的が失われ、又は公正若しくは円滑な遂行に著しい支障を生じることが客観的に明白である情報は、非開示とすることを定めたものである。
実施機関は、県職員の倫理規則違反事件に関係して行った聞き取り調査は、その内容を公開しないことが前提となっており、本件公文書を開示することによって、調査を受けた職員の氏名及び氏名が判明する情報が明らかになると、任意の調査に応じた職員との信頼関係を損なうことは明らかであり、また、今後、調査を受けたことが明らかになることが前提となると、調査者及び被調査者が調査に消極的となり、結果としてありのままの事実が把握できなくなることから、今後の懲戒事案の事実調査及び公正な処分を決定するうえで著しい支障を生じるとして、本各号の該当性を主張している。
しかしながら、調査を受けた職員の氏名が明らかになることにより、職員との信頼関係を損なうとの実施機関の主張は理解し難いし、このような調査が一定の権限と責任を持つ組織として行われるものであることを考えた場合には、調査に著しい支障を生じることが客観的に明白であるとは認められない。
さらに、所属での調査によらなければ、懲戒処分の事案において事実の調査及び公正な処分に、著しい支障を生じることが客観的に明白であることについても十分な説明がなされていない。
これらのことから、実施機関の主張だけでは本各号の該当性を認めることはできない。
 
(5) 公開の公益性
公益上の理由による開示については、非開示情報であっても、開示しないことにより保護される利益に明らかに優越する公益上の理由があると認められるときに開示することが定められている。
 異議申立人は、県政への信頼回復と開かれた県政の推進のため、公費支出に関係する公務執行に関する情報を公開する公益性などから、本件公文書の開示を主張している。
 しかしながら、懲戒処分を受けた職員の出張に関しては、実施機関が自ら定めた公表基準に基づき、当該職員の所属部局名や処分事由の概要などが明らかにされていること、また、処分は受けていないものの調査を受け不適切として旅費の調整を命じられた職員の出張に関しても、県外での工場検査に係る状況等として記者発表された事例の中で、一定の概要は明らかにされていることから、(3)で述べたような職員の個人に関する情報が保護される利益に明らかに優越する公益上の開示の理由は認められない。
 
(6) 開示の方法
異議申立人は、本件公文書は個人名も含めて全部開示すべきであるが、たとえそれができないとしても、職場名、行き先、時期、支出金額等を開示しても個人の特定はできない、として条例第7条に規定する部分開示を主張している。
確かに、本件公文書のみで判断した場合、懲戒処分を受けた職員等の氏名等を非開示にすれば当該本人を識別できなくなり、部分開示をすることは可能であると考えられる。しかしながら、一方で、旅費の調整に関する公文書は、今回のように特定の個人に結びつけた請求でなければ、通常、職務の遂行に係る情報として職員の職、氏名を含めすべて開示されるものである。
仮に、本件請求に対して懲戒処分を受けた職員等を識別できないように部分開示を行ったとしても、次に、例えば「平成8年度以降の県外の工場検査のための出張のうち職員の旅費調整に関する資料」というような開示請求があれば、基本的には全部開示されることとなる。その結果、両方の公文書を持ち寄り、執行機関名、決裁権者等のサイン及び印影、事業名、用務、旅行期間など書面上の様々な記載事項を対比することによって、さきに非開示とした個人情報が明らかになることが認められる。
こうしたことから、個人情報を保護するためには、今回開示できる部分は、旅行命令簿等の様式だけといった極めて限定されたものとなり、仮にその部分を開示したとしても、条例第7条に定める請求の趣旨を満たすことにはならない。
したがって、本件請求のように、対象公文書をたとえ部分開示にしたとしても、別の請求方法によれば同一の公文書が全部開示となり、その結果として非開示とすべき個人に関する情報が明らかになる場合には、部分開示ではなく非開示とすることはやむを得ないと判断する。

第6 結論

当審査会は、本件公文書を具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成14年1月22日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成14年10月7日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成14年12月2日 ・ 異議申立人から決定理由説明書に対する意見書を受理した。
平成14年12月12日
(平成14年度第7回第二小委員会)
・ 実施機関の職員及び議申立人の意見陳述を聴取した。
・ 諮問の審議を行った。
平成15年1月7日
(平成14年度第8回第二小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成15年1月31日
(平成14年度第10回第二小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成15年3月19日
(平成14年度第13回第二小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成15年4月10日 ・ 実施機関から補足説明書を受理した。
平成15年4月15日
(平成15年度第1回第二小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成15年6月11日
(平成15年度第2回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成15年9月29日 ・ 答申を行った。

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