第3回「対話と実行座談会」(原木の増産と安定供給体制の構築について)

公開日 2020年01月20日

平成28年度 第3回「対話と実行座談会」

日時:平成28年12月5日(月曜日)15時00分から17時00分まで
場所:高知県森連会館
出席者:高知県内で林業に携わっている方6名     

座談会要旨

1.知事あいさつ
2.参加者紹介
3.県の取組について
4.参加者の取組状況について
5.意見交換
6.知事まとめ


繁藤ストックヤード

開会

(県木材増産推進課:金子課長補佐)

 それでは、ただいまから平成28年度第3回対話と実行座談会を開催いたします。

 

1.知事あいさつ

(知事)

 対話と実行座談会は今回で80回目ということで、対話を通じていろいろお知恵をいただき、それを実行していこうという趣旨で、知事に就任以来開催をさせていただいているものです。

 最初の頃は34市町村を全部まわらせていただき、それぞれの地域でお話をお伺いさせていただいておりました。2期目以降からは、「対話と実行座談会」方式に加えて「対話と実行行脚」ということで、各市町村を1日かけてまわらせていただく取組を行っております。あわせて、こういう形でテーマを決めて、それぞれの専門家や関係者の皆さんといろいろお話をさせていただいてお知恵を賜る、そういう取組も並行して行っているところです。

 本日は大変ご多忙の中、林業の分野におきまして皆様にお集まりいただきまして、いろいろとお知恵を賜りたいと、考えております。よろしくお願い申し上げます。

 産業振興計画の取組を進めていく中において、高知県は一次産業を非常に大事にしていく、これをひとつのテーマとしてまいりました。高知県にとっての強みを活かさないといけない。その時、我々の持てる強みというのは、やはり林業、そして、農業、水産業をはじめとする一次産業。また、その関連、派生産業群というところにあるということは、我々として大事にしなければならない視点ではないかと、そのように考えてきたところです。

 この林業については、高知県の森林面積割合が84%であることに鑑みれば、ある意味、この林業の振興が成るか成らないかが、高知県にとって県勢浮揚が成るか成らないか、こちらにかかっていると言っても過言ではない。これだけ多くの資源を活かしきれるのか、それとも、そうではないのか、そこが高知県経済を含め県勢全体にとって極めて重要な課題だと、そのように思っています。

 これまでの間、産業振興計画を通じて加工体制の強化、県外への販売強化、様々な努力を重ねてまいりました。例えば、おおとよ製材ができあがり、さらには、池川においても製材所ができ、今年はこの南国市においても新たに大きな大断面の集成材の加工場が立ち上がる、そういう状況になってまいりました。

 また、この建物に象徴されますように、CLTという新しい技術を活かして、川下分野における木材の需要を、抜本的に日本全国で拡大するような取組をしようと、そういう努力も重ねてきているところであります。岡山県真庭市長と一緒にCLT首長連合という組織を立ち上げていて、今、80ぐらいの市町村の皆さんにも入っていただき、CLTの議員連盟も立ち上がるという形で、一つ一つ木材の需要拡大の取組について進めてきているところであります。

 そういう中において、今後の大きな課題が、やはり川上分野をさらにいかに活性化していくかということだろうと思っています。生産量のさらなる拡大ということを是非図っていきたい。

 生産量の拡大を図っていくことで、山で多くの人が働くようになれば、その結果として、山側の振興、中山間の振興ということにもつながっていく。本当の意味で、川上、川中の取組が川上に還元されて、川上の様々な山で働く皆様、さらには山主の皆様に利益が還元できるようになってこそ本当だと、そういう思いです。

 そういうことから、我々県といたしまして、今年度、例えば森林組合の皆様とワーキンググループを立ち上げ、生産性向上を図る取組等のプロジェクトもスタートさせていただいております。

 今後も適確に機械を入れる、道を切り開いていく、そして、人を確保していく取組を行っていきながら、特にそれぞれの森林組合、さらには素材生産業者の皆様にとって、ここは特にツボだと思われるところに、しっかり対応できるように施策を打ち、結果として県全体の生産量を更に上げ、結果として山で人がより多く働き、山でより多くの所得が生まれる。そういう方向に持っていくことができればと、そのように考えております。

 平成28年度から、この川上分野の取組の強化について、さらに力を入れ始めました。しかしながら、今後さらにいろいろな意味において、私共として施策を強化すべき点が多くあるのではないか、そのように思っています。

 本日はこれから2時間くらいお時間をいただき、大変ご多忙の中、恐縮でありますけれども、いろいろとお知恵を賜りたいと、そのように考えております。一般傍聴席にも多くの方においでいただいておりますが、皆様からも後ほどご意見を賜ればと思います。それでは、本日は皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

2.参加者紹介

(県木材増産推進課:金子課長補佐)

 続きまして、本日、ご出席の皆様を紹介させていただきます。

 まず、香美森林組合の参事兼国見支所長の森本正延さんです。

 森本さんの所属、香美森林組合は、県下でいち早く集約化に取り組みまして、その取組は、「森の工場」のモデルにもなりました。常に生産技術の改善等を意識した効率的な原木生産に取り組まれております。

 続きまして、高知県森林組合連合会の木材課長兼嶺北共販所長の浜田義寛さんです。

 浜田さんは、森林組合のほか、素材生産業者と連携を密にとりながら原木を確保して製材工場等への安定的な原木供給に携わっております。まさに川上と川下をつなぐパイプ役としてご活躍されております。

 続きまして、有限会社川井木材代表取締役の川井博貴さんです。

 川井さんは、常にアンテナを高く張って、欧州製の先進的な高性能林業機械を県下でもいち早く導入するなど、収益性の確保を意識しながら素材生産の分野で活躍されております。

 続きまして、有限会社伊藤林業専務取締役の伊藤千義さんです。

 伊藤さんは、民有林を主体に、間伐と皆伐を組み合わせた原木生産の実施、増産に向けて取り組まれておりますとともに、皆伐後の再造林や下刈りも行っております。まさに林業全般で活躍されております。

 続きまして、須崎地区森林組合代表理事組合長の細木啓延様です。

 細木さんは、現場の生産性を改善するために功程調査や先進事業体の技術も取り入れながら、積極的な原木増産に取り組んでおられます。

 最後になります。中村市森林組合参事の立石憲生さんです。

 立石さんは、森林施業プランナー制度がスタートした早い時期から資格を取得され、常に山元(山の持ち主)への利益還元を考えながら増産に取り組んでおられます。

 本日は以上6名の皆様にご出席いただいております。

 皆様には、このあと、おひとり5分程度でそれぞれの取組状況につきまして発表いただきたいと思いますが、その前に、県の林業分野の取組につきまして、木材増産推進課の櫻井課長から簡単にご説明をさせていただきます。

 

3.県の取組について

(県木材増産推進課:櫻井課長)

 これまでの県の取組、これからの県の取組について簡単にご説明をさせていただきます。

 先ほど知事の話にもありましたが、平成28年度に産業振興計画の第3期目がスタートいたしました。

 山で若者が働く、全国有数の国産材産地を将来の目指す姿として、これを実現するため、木材、木製品製造品出荷額と原木生産量を増大することを目標としております。

 具体的には、平成26年実績を基準としまして、製造品出荷額等では現状の204億円を4年後の平成31年には220億円に、10年後の平成37年には256億円を目標としております。また、原木生産量については、61万立方mを平成31年に78万立方mに、平成37年には90万立方mにすることを目標としております。

 この目標の達成に向け、構築した川上から川下までの仕組を活かして、森の資源を余すことなく活用するため、柱1、原木生産のさらなる拡大。柱2、加工体制の強化。柱3、流通・販売体制の確立。柱4、木材需要の拡大。柱5、担い手の育成・確保までの5本の柱立ての戦略に沿って取り組んでいるところです。

 これまでの取組によりまして、建築用材となるA材の供給策として、高知おおとよ製材や既存の製材工場の施設整備を支援してきました他、B材につきましては、仁淀川町の新工場がこの4月に稼動いたしました。また、C材、D材については、バイオマス利用として、昨年、県内2箇所で本格稼動した木質バイオマス発電所の整備などへの支援を行ってきました。

 第3期計画におきましても、柱の2、加工体制の強化を図るため、高次加工施設の整備として、本年度、新たに集成材工場の整備の支援を行っている他、CLTパネル工場の整備に向けた検討も行っております。また、製材工場の加工力の強化を図るとともに、県内企業による協業化、大型化の検討も行ってまいります。

 増産された原木を加工してできた木材、木製品は外商という形で、県外はもとより海外も視野に入れて積極的に販売していく必要があります。そのため、柱3の流通・販売体制の確立に取り組んでおります。具体的には、流通の効率化として、東京など都市部に設置した流通拠点を活用した取引を拡大するほか、フェリーとトレーラーを活用した低コストの定期輸送便の増便などに取り組んでおります。

 また、販売先を拡大するために、県外の工務店などのパートナー企業に協力を得て、土佐材を活用した建築を進めていくほか、海外への販売拡大として韓国への輸出に向けた取組の強化を図っていきます。

 こうした販売を強化する一方で、木材の利用先の大半を占める住宅分野での需要が縮小傾向にあることから、新たな木材の利用先を開拓していくことが必要です。そのため、柱4の木材需要の拡大として、バイオマス利用においては、昨年、本格稼動を始めた木質バイオマス発電の安定稼動を支援するほか、農業分野を含め幅広い分野での木質バイオマスボイラーの導入を進めていきます。

 木材の利用においては、県産材を活用した木造住宅建築の促進やCLT建築の普及に引き続き取り組んでまいります。加えて、木造化が進んでいない店舗や事務所などの低層の非住宅建築物での木材利用の促進にも新たに取り組んでいきます。

 また、今後、日本全体の人口が減少していく中で、労働力不足が大きな課題となることから、林業・木材産業においても担い手を育成確保することが重要となります。

 そのため、柱5の担い手の育成・確保として、昨年4月に開校した林業学校の充実・強化をはじめ、林業労働力確保支援センターや移住政策と連携した就業者や担い手の確保、森林組合などの事業体の経営基盤の強化に取り組んでいきます。

 林業学校につきましては、本日お集まりの森林組合、林業事業体の皆様にはインターンシップの受け入れの協力をいただいておりますし、卒業生の採用されている森林組合もございます。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

 更には、林業の裾野を広げるため、平成27年度から本格的な支援を行なっています小規模林業についても、本年度から市町村との連携を図る中でさらに支援を充実していくこととしております。

 こうした川上から川下までの一体的な取組をさらに進め、その成果を力強く拡大再生産につなげることで、木材、林業産業のクラスターの形成を目指していきたいと考えています。

  戦略の柱1の原木生産のさらなる拡大の取組について、生産量の推移ですが、年間40万立方m前後で推移していた原木の生産量が、平成23年に50万立方m台に増加し、さらに3年後の平成26年には60万立方mへと生産量が拡大してきました。

 これは、大型製材工場の整備をはじめとする取組で原木需要が拡大し、川上が安心して出材ができる体制が整ってきたことに加え、それまで保育事業を中心に事業を行なってきた森林組合が原木を搬出する林産事業へ乗り出し、現場の体制を整え、その取組が結果となって少しずつ現れてきたことも要因のひとつだと考えています。生産量は26年、平成27年と60万立方m前後で推移している状況ですが、これをさらにステップアップしていくために生産性の向上による原木の生産に取り組んでまいります。

 取組の中心となるのは、森の工場の拡大推進と効率的な生産システムの導入促進でございます。森の工場では、これまで67の森林組合、林業事業体の方々が取り組まれており、現場で起こる様々な課題に対して、県は個別の対応を行い、現場の生産性の改善に取り組んでまいりました。今年度からは新たに、生産性が伸び悩んでいる森林組合に対しまして、林業事務所ごとに支援チームを設置し、功程調査などによる課題の洗い出し、改善施策の検討や、路網計画の検討など個別支援による生産性の改善に力を入れてきています。

 本日参加いただいている須崎地区森林組合や中村市森林組合は、森林組合の職員と県の職員とが連携して課題解決、改善に取り組んでいるところです。

 効率的な生産システムの導入促進では、現場にあった作業システムや路網配置の検討などのソフト面と高性能林業機械の導入や路網整備などのハード面の支援により、現場の生産性を上げ、原木生産の拡大を目指してまいります。

 森林資源の成熟が進み、高齢級に偏った森林の現況を考えますと、皆伐と間伐を組み合わせた原木生産に取り組まなければなりません。そこで、皆伐についても、皆伐に必要な作業道の開設や集材架線の架設などへの支援を行っており、これも年々事業規模が拡大してきております。

 また、安定供給システムの構築では、四国森林管理局、森林組合連合会、素材生産業協同組合連合会や高知水源林整備事務所と各機関にも参加いただいている木材増産推進プロジェクトチームにより、増産に向けた取組の方向性や情報の共有、課題の共有を行なうとともに、例えば国有林と民有林が一体となった団地化を検討するなど、各機関が連携をした安定供給体制の仕組づくりを進めてきています。

 最後に、持続可能な森づくりについては、原木生産の拡大をしていく中で増加が予想される皆伐後の更新、再造林に必要な苗木の生産体制を強化していく必要があることから、優良種苗を確保していくための新たな採種園の造成やコスト縮減効果が期待できるコンテナ苗生産の基盤整備への支援、コンテナ苗生産技術の指導、新規参入の希望に対する情報提供などを行っています。

 また、再造林や下刈り、保育間伐など森林所有者の負担が大きい森林整備については、森林環境税なども活用した補助金の嵩上げなどにより、きめ細かな支援を実施し、持続可能な森づくりを進めてまいります。

 以上で、原木生産のさらなる拡大についての県の取組の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(県木材増産推進課:金子課長補佐)

 それでは、本日ご参加の皆様におひとりずつ、原木の増産と安定供給に対する取組について、ご説明をお願いしたいと思います。

 それでは、森本さんからよろしくお願いします。

 

4.参加者の取組状況について

座談会1

(香美森林組合:森本参事)

 香美森林組合は香美市、香北町、土佐山田町、香南市、南国市の民有林3万1000haを管轄させていただいております。現在、森林技術員が53名おり、内、林産班6班24名の者が働いております。あと、作業道をつける班。それから、皆伐をした後にネットを張り、新植をして下刈りをする造林班を3つ。搬出班など、若手の技術員がおりますが、この中に高知県林業学校から昨年入っていただきました非常に優秀な技術員も1名含まれております。

 香美森林組合の基本方針は、組合員の要望に応じて緊急性の高い森林整備を行ない、豊かな森づくり、道づくりを推進しながら、人づくりによる豊かで活力のある林業を目指しております。

 施業については、信頼と実行を掲げ、集約化と作業道開設、高性能林業機械による合理的で効率的な間伐を行い、地域の林業経営基盤の強化および組合員の経営意欲と林業所得の向上に努めているところであります。

 昨年度末で、森の工場1万1800ha、森林経営計画樹立面積が3165haとなっておりまして、民有林の搬出間伐を主体として事業を実施、推進しております。

 平成22年度に国の森林林業再生プラン実践事業に採択させていただきまして、先進林業機械であります欧州製のタワーヤーダを導入させていただきました。これまでのスイングヤーダ作業システムに加えて、新たな作業システムが入り、今までのスイングヤーダより4倍の400mまで集材距離を伸ばすことができました。

 さらに、この機械は吊り上げ能力が国産機械の2倍あり、走行スピードも30%くらいアップしております。そのうえ、集材能力が高いだけではなく安全性にも配慮した機械であり、2台目の導入を考えておりますので、またよろしくお願いします。

 また近年では、皆伐を希望する所有者が増加傾向にあります。希望者には積極的に対応して、伐った後もしっかりと新植するという基本方針で進んでおります。

 現在の問題点ですが、今、当組合は、知事が稼動を進めてくれた高知おおとよ製材、土佐グリーンパワーが稼動しはじめてから、木材価格は非常に安定しておりまして、我々のような間伐を年中やっているような組合は非常にやりやすい状況になりました。

 しかしながら、木材価格というのは安く、厳しい状況が続いております。国から、間伐の材積の上限を減らすという話も少しありまして、結果、補助金が減るということにつながり、今の状況よりも所有者還元が減るとなると、集約化が進みにくくなることが予想されます。組合運営にももちろん支障が出ると思います。

 民有林の集約化施業が始まったばかりですので、今後さらなる増産をするためにも、補助金制度はより充実させていただくように国への働きかけを是非お願いしたいと思います。

 もうひとつは、作業道が非常に重要ということです。近年、短時間に大変強い雨が降ることで、既設道の維持管理に非常に苦労しています。何とか、作業道の見回りや、維持管理、路網の拡幅、改良などにも使える補助金制度を充実させていただけるように、お考えいただけたらありがたいです。

(知事)

 どうもありがとうございました。

 先ほど、野島組合長さんにお世話になり、ストックヤードも見学させていただきました。本当に新しいストックヤードで先々楽しみだなと思って見させていただきましたし、とにかく若い人がたくさんいらっしゃいました。本当に良いことだなと思いました。先ほどおっしゃられた間伐の補助金のことについて言えば、制度を維持されていきますように、我々としても、しっかり政策提言を積み重ねていきたいと思っております。

 作業道のお話ですが、やはりタワーヤーダなどの高性能林業機械を活かしきるためにも、作業道は大事なんでしょうね。

 今、こういう大型の機械を山の上にあげていくにあたっては、十分な道はあるんですか。

(香美森林組合:森本参事)

 当初から大きい機械でしたので、広いしっかりした道がついています。

(知事)

 それを維持管理したりすることについて課題があると、そういうことですね。

 わかりました。また策をいろいろ考えていきます。ありがとうございました。

(高知県森林組合連合会:浜田木材課長)

 森林組合連合会では、県下、森林組合連合会の市場が4つあり、2年ぐらい前から香美市のストックヤードと津野町の森林組合の市場が加わり5つの森林組合の市場があります。その取り扱い自体は31万立方mになっています。

 その中で県森連が取り組んでいることは、協定販売と木材増産による安定供給の実施です。

 先ほど話も出ましたが、第2期高知県産業振興計画により設立した高知おおとよ製材、土佐グリーンパワーにも出資しております。

 両施設を含めた製材工場等の加工施設に対して、原木の安定的な供給と原木の増産を最大命題として、原木安定供給協定に基づく協定販売や出荷奨励金を設けて原木の増産出荷に取り組んでいます。

 原木の安定供給については、県森連の共販所で原木を取りまとめ、川下に対して安定的に原木を供給することにより、供給量と引取量の価格の決定について、需要者である製材等と交渉できる体制づくりの取組をしております。

 供給内容で言いますと、協定期間を3年以上と設け、原木の種類や取扱量、価格決定の方法等を県森連で全て行っています。

 先ほど、少し話が出ましたが、出荷奨励金という形も設けました。出荷奨励金は年間で2000立方m以上出荷していただいた出荷者に対して、はい立て料などの手数料を還元するという形をとっています。年間でいうと、かなりの金額が組合や事業体に返っています。

 現在の問題点といいますと、最近の出荷量自体が伸び悩んでいるところが見られることです。というのも、経営計画では、最初は木材を搬出しやすいところから作業するので生産量は上がりますが、それから徐々に林の奥に入って行くと、道の整備などが遅れて、結果として、生産量が少し落ち込んだように見えるところがあると思っています。それが地域的に久万広域の久万高原町の森林組合でも同じ様な状態が起きていまして、高知県も一緒ですが生産量はかなり落ち込んでいると言っています。

 森本さんのほうからも話が出ましたが、雨の多い時期に、道の状態が悪くなって、木材の出荷自体がかなり減るという状態が市場では多々見受けられます。道の整備も含めて県のほうにお願いしたいと思います。

(知事)

 どうもありがとうございます。

 先ほど価格の低迷のお話を、森本さんもおっしゃっていましたが、CLTなどを普及させていって、日本全国で木の需要というのを抜本的に拡大するところが王道だと思っています。

 引き続きCLTを中心にいろいろお話しをしていますが、決してCLTだけではなく、例えばシングルウッドパネルなどを県内事業者で開発されている方がいらっしゃいますが、とにかく木の建材があまねく普及するという体制をつくっていきたい。それが先導役になって、小口商流とかも既にできています。CLTが先頭を走って、その後にいろいろな建材が広がっていって、結果として化粧材なども使う人が瞬く間に増えてくる、という形になって、全体として木の需要が抜本的に拡大する。そういうことを目指していきたいと思っています。そういう意味では、この建物も、そのためのディスプレイとして最高だと思います。

 出荷量の伸び悩みというところで、昔40万立方mぐらいだった出荷量が、2年経って60万立方mに伸びたんですが、去年は59万立方mくらい。今年は66、67、68万立方mというところで、去年よりは少し上がるようですが、目標がなかなか達成できないところです。やはり、伐採が段々難しいところになっていくということですか。

(高知県森林組合連合会:浜田木材課長)

 そうですね。出し難いところであったり、皆伐などに特化するところがもう少し増えれば、木材生産も増えてくると思います。

(知事)

 どうやって生産性を上げていくかということも大きな課題なので、後ほど、全体の意見交換のところで、またいろいろお知恵を賜れればと思います。よろしくお願いします。

 それでは、川井さん、よろしくお願いします。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 弊社は、平成7年まで民有林の間伐事業を主にやっておりました。平成7年に高性能林業機械のプロセッサーを先代が導入しまして、そこから、生産量を少し上げていきたいということで民有林の皆伐にスイッチして、これまではずっと民有林の皆伐を主体に施業を行なってまいりました。

 民間の方から山を立木で買い上げたり、土地が要らないという方は土地も買わせていただいて、皆伐し再造林をするという形の施業を行なってまいりました。

 今までは基本的には架線集材を施業のメインとして行なってきたんですが、約3年ぐらい前に、林野庁の事業に採択され、オーストリア製のタワーヤーダを導入し、今は、半分はタワーヤーダによる集材システムを活かした作業を行っております。

 森本さんも言われたとおり、タワーヤーダには、やはり頑丈な10tトラックが通れるような幅広い道が必要ですので、私達は道を抜く時は、基本的にトラック道をつけるようにしています。やはり、再造林する時もそうですし、また次の世代の方が山を切る時に、しっかりと使える道をつくりたいという思いでやっております。

 出材した材につきましては、基本的に、売り先の製材所さんと直接的に話をして、必要な各製材所さんの径級を自分達で調査し、価格を提携で決めて、そこの製材所さんが、欲しい分に関しては規格品を供給するような形をとっております。

 今後の弊社の課題としましては、今回、高性能林業機械タワーヤーダを入れてみて強く感じたのは、まず国産の機械とはとても性能が違うということがあげられます。何と言っても省力化ができ、現場の作業員が1名少ない状態で作業ができます。今後の林業の課題として、やはり人材の確保というのが非常に大きな問題であると感じております。

 私自身はまだ6年目ぐらいなんですが、山の仕事というのは1年間では、とてもできるような仕事ではありません。3年経って、まあまあのことができ、5年経ったらひととおりのことはできるかなという、それぐらい長いスパンで人材を育成していく必要がある職業であると思います。

 その中で、いざ人材が増えても、熟練者として一人前になるまでの期間、その人材がすぐ即戦力になるとは限りませんので、少ない人数でも作業していける高性能林業機械のシステムというのは、これからの日本の林業においても非常に大事であると思います。

 私も年に平均一度ぐらいはヨーロッパに林業の現場やCLTの工場、製材所、バイオマス工場の視察に行っております。見に行って毎度思うのは、ヨーロッパのほうの作業システムは、基本的には必要最低限の機械、必要最低限の人数で現場をいかにいち早くこなしていくかという、無駄のないシステムだなと思います。川下への供給体制もきちんとしているなというのを感じました。

 これは、あくまで国内の製材所に必要な材が供給されてのことだとは思うんですが、ヨーロッパにおいては生産量の大体半分以上は国外に輸出されているそうです。膨大な生産量があって、それをよく国内で消費しているなと思ってそういう質問をしたら、半分以上は国外に輸出していますという答えだったので、供給から後の需要、搬出するシステムがきちんと構築されているなと感じました。

 日本において、これから就業者を増やしていくために自分が考える方法ですが、ヨーロッパにおいては林業士に憧れる方がたくさんいます。ヨーロッパにおいては、林業士は消防士と肩を並べるくらい人気の職業ということを聞きました。日本においては、今の段階ではとてもそういう状態ではないと言えると思います。

 それはなぜかと言うと、林業という産業の衰退に伴って人々が木から離れていったというのが言えるのではないかと思います。

 私達の小さい時は、例えば火をおこす時にも木で火をおこしたり、風呂を炊く時にも木でという、木と触れ合うのが当たり前の生活だったんですが、今となっては、ガス、電気などが普及して木からどんどん離れていったように思います。

 今、メディアがすごく発達していますので、県内からテレビなどを通じて、林業というものはどういう業なのかということを一般の方にもわかっていただき、今後の林業という職業をわかってもらって、そこに従事していく人を増やしていくうえで認知も大切なのではないかと思います。

 林業を自立した業としてやっていけるように、高知県として、林業という業の周知をはじめとしていろいろなPR、材をこういうふうに活かしているという、木の良さを県民の人達にPRしていってもらいたいと思います。

(知事)

 どうもありがとうございました。

 ヨーロッパはどこに行かれるんですか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 ヨーロッパは、オーストリア、イタリア、アイルランド、スウェーデンなどいろいろです。銘建工業の中島社長と林業現場や製材工場とかCLT工場、あとは建築現場などに一緒に行かせてもらいました。

 今までは大体、川上とか川下の現場に単発でいくような感じの視察だったんですが、中島さん達と一緒に行った時は、川上から川下まで一連の現場を見させていただいて、やはり、林業が業としてやっている国では、こういうちゃんとしたシステムが構築がされていて成り立っているんだなと、すごく感銘を受けまして、まだまだ自分も知らない世界があると思いました。

 どんどん他の世界を見て、それで頭を柔らかくして林業をやりたいなと思う気持ちでヨーロッパに行くようにしています。

(知事)

 ヨーロッパでは山が平坦なのでコストが安い、というような単純な話ではないですか。やはりいろいろ施業において、いかに無駄を省いてコストを落とすかという工夫があるとか、そういう感じがされていますか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 そうですね。森本さんも、多分、オーストリアには行かれたことがあると思います。オーストリアではタワーヤーダが非常に発達しているんですが、その地域は四国とあまり傾斜が変わらないような山の地形で、日本のほうが若干シワというものは多いんですけど、結構急峻な地形で施業されています。

 日本と違うのは、タワーヤーダに適したような広い林道、施業が出来るような施策を国が打っているわけです。なので、例えば日本では、少し使いにくい機械でも、オーストリアでは一番適している機械として使われている、といった感じになっていました。

(知事)

 やはり、フォレスターは尊敬されているなという感じでしたか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 そうですね。やはり、フォレスターは現場の作業員からいっても絶対的な存在だと皆さんは言っていました。

(知事)

 林業学校を立ち上げて目指すところは、ああいうヨーロッパのフォレスターのような人を養成できる学校にできればな、と思っています。「山を志す者は高知の林業学校に行こう。」となるように。

 講師陣の充実を図って、今の課程プラス専門課程も設けて、例えばヨーロッパの林業なども学んでいけるような、そういう講座も設けて、本当に林業を志す人の志に沿うような学校にしたいと思っています。

 人材の点や生産性の向上など、大きなテーマで、また後ほどご意見をよろしくお願いします。

 では、伊藤さん、よろしくお願いします。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 うちの会社は、年間の原木生産量が、平成27年度の実績で、1万9000立方m少しになります。今後の目標としましては、10%アップして、2万2~3千立方mを目指しております。

 全て民有林主体に事業を実施しておりまして、皆伐が74%。それから、搬出間伐が26%の率になります。現在、2団地の森の工場があり、来年度も原木増産に向けて森の工場をつくる予定であります。

 現場職員が現在28名で平均年齢が41.4歳でございまして、18歳から29歳までが11名おり、若手の職員に皆伐後の地ごしらえであったり、植え付け、下刈りまで山づくりを一から教えています。今年度も11月に2名の新規採用がありまして、現在、緑の雇用のトライアル事業で作業にあたっております。

 労働力は比較的確保できております。原木増産に向けての機械化も順次進めておりまして、職員の定着のためにも機械化は必要であると考えております。

 私のところは、タワーヤーダなどは、まだ購入しておりません。道路については10t車が入るような作業道を今、抜いているんですが、外国製のタワーヤーダは非常に高価で、今の木材価格からすると採算性に問題があり、なかなか導入できない状況です。

 今年度、山から切り出された木材、そして、バイオマス等を1回、国道近くの土場へヤードをかまえて、そこで、それぞれの製材向きの長さであるとか、スギやヒノキを径級別に選別して、そこから自社のトレーラーにて製材工場、県内、県外に、販売をしているところです。

 それから、木質バイオマスが、発電所ができた関係で、それまでの価格は1tあたり多分4500円か5000円までだったと思いますが、いきなり8000円になって、未利用材の価格面について非常に恩恵を受けているところでございます。

(知事)

 どうもありがとうございます。

 民有林の原木生産量では県下トップクラスといっていました。素晴らしいことです。

 バイオマスって、そんなに値段が高くなりましたか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 今までは未利用材は売れずに山で捨てていたものが、枝葉のような残材等についても、1tあたりが6000円で取引されております。バイオマスができた関係で価格面で非常に恩恵を受けております。

(知事)

 やはり、高性能林業機械は性能はいいけども、高価であるという課題があるんですね。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 高価なので。今、森の工場などで使う高性能林業機械を購入すると、県の負担が5%です。それを例えば10%、15%に上げていってもらえればいいですが、一般材の木材価格が安い関係でなかなか採算がとれない。

 多分、外国製のタワーヤーダであれば、5000万円くらいかかるんでしょうか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 今であれば、安くて5000万円くらいです。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 高知県でもモデル事業で導入できると思うんですが、外国製のタワーヤーダは、台数はそれほど入ってないと思います。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 高知県で2台です。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 2台だけでしょう。

 もう少し県も増産を考えておるならば、補助率の見直しをしていただきたいです。

(知事)

 なるほど。わかりました。

 ちなみに、道は大丈夫ですか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 今、うちが抜いている道は10t車が入るような道ですが、今後どんどんそういった外国製の機械を普及させるとなると、外国製の機械は大きいと思うので、やはり、幅員の見直しがいると思います。3mでは無理で、4m以上でないといけないと思います。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 10t車が入れる道であれば、3mで十分です。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 22t車でいけますか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 いけます。

(県木材増産推進課:金子課長補佐)

 では、細木さん、お願いします。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 うちの組合の特徴は、管内は、須崎市と、土佐市、それと中土佐町と津野町、旧葉山村、大体3万3000haを管轄しております。

 平成27年度の林産事業ですけれども、A・B材が大体5200立方m、C・D材で2400立方m。それから、請負林産のほうで2200立方m。合計で約9800立方mぐらいを生産しております。

 それから、森林整備事業のほうで、作業道を1万7000m強開設をしております。また、現場技術員の人数は、造林で3班7名。木材搬出で5班15名。それと、作業道開設班ですが、1班5名。それから運搬で2名を作業班として雇用しております。

 地籍事業として、須崎市と土佐市、中土佐町の3市町を職員4名でまわしております。現場技術員については、中期経営計画に沿って毎年2、3人を雇用する計画で進んでおります。

 生産活動において、究極の無駄は事故、それと、災害であると考えて、危険予知活動の記録、それと安全衛生日誌と、重機使用前点検、安全衛生パトロールを実施して安全な職場を目指しております。1人作業は絶対に禁止です。

 また、作業に必要な資格の取得や安全衛生教育、研修、同業他社による視察研修や内部教育、それから、施工前検討会を行うことによって災害損失がなくなるように努力をしています。

 毎年、テーマをもって運営をしています。平成27年度は経費削減を重点に取り組むテーマとして、免税軽油の納入業者との価格交渉による燃料費の削減や、作業路開設用の機械をレンタルからリースに借りかえることによるコストの軽減をはかっています。

 平成28年度は、生産性の向上ということをテーマにして、先進地視察や県の木材増産推進課と須崎林業事務所のワーキンググループの協力を得まして、路網系や架線系双方の作業システム等の分析や改善、支援をしていただいております。

 8月には現場技術員のモチベーションアップのためということで、勤務体系の見直しも検討しているなかで、徳島県の三好西部森林組合の調査の企画支援をしていただきました。また、9月には、そちらにいらっしゃいます香美森林組合で、車輌系作業システムの現地研修。それから、10月には株式会社とされいほくさんより3名の講師においでいただいて、架線作業システムの研修の支援をしていただいております。

 現在の組合の課題ですが、現状の道路の幅員が狭い町道や農道がございまして、その先線の木材搬出のための作業道開設をしても、どうしても幅員が狭いために大型の機械で効率よく搬出ができないという問題があります。

 また、既存の林道の件ですが、先ほど皆さんが言われたように、谷沿いに開設しているところが非常に多いため、気候の変化によって、一度雨が降ると大量の水量が1ヶ所に集中してしまうために、林道が傷んでしまうという問題が出てきています。

 また、木材の搬出のために谷沿いの林道を利用するにあたって、高圧電線等が並行して上空を走っている場所が多くあり、電線をまたいで架線を設置するには、電線への被覆や仮設防護柵等の施工が必要になり、余分なコストがかかってしまいます。また、木材の搬出コストを下げるうえで一番重要なことですけれども、路網系の作業システムで、いかに木材の搬出距離を短くして作業工程を減らすかということが問題になってきます。このために、大型トラックが入る基幹作業道を山の中腹以上に開設する必要があると考えます。

 また、全然話は違ってくるんですが、山間部の国土調査がまだ終わっていないというところが多くありまして、山林の境界を確定するのに時間が非常にかかります。それで事業が計画通りに進んでいかないという現状があります。

 それから、うちの組合の現場技術員が、林産班が33歳という平均年齢で非常に若齢化をしております。それによる技術力の低下という部分が、今、問題になっております。

 以上です。

(知事)

 はい、ありがとうございました。

 33歳なのは、引退されて新しい人が入ってきたということですか。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 そうです。自分が組合に復帰してから、年のいった方はほとんど辞めて、残っているのは3、4人ではないかと思います。ほとんど緑の雇用のほうに入れ替わっています。

(知事)

 緑の雇用で入れ替わっている、なるほど。

 ワーキングで県もお世話になって一緒にやらせていただいていると思います。功程の見直しなどに対して、ワーキングの取組というのはいかがですか。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 いろいろと指摘事項もあります。搬出のサイクルタイムなども測定していただいて、1秒でも2秒でも搬出の時間を縮めるようにというような指示をいただいています。

(知事)

 功程を一個一個見直していく中で、川上の功程がいくら早くいっても、途中でボトルネックがあると、結局、川上の功程の休み時間が増えるだけになってしまうことになりかねないとか、そんなことが見つかるという話を聞かせてもらったことがあります。

 やはり、功程見直しをやっていって、その中で例えば「ここの道が狭いというのが、どう考えてもボトルネックだね。」とか、そういうものが見つかってくると、そこを物理的に直すとか、そのようなことにつなげていければいいのかな、と考えたりしています。

 先ほど言われた、市町村道が狭いというのは、狭いというのがボトルネックになって、そこで詰まって、その前の効率をどんなに上げても結局そこで詰まってしまう、そういう感じなんですか。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 そうですね。大体、農道に多いですけど、4cm舗装で基盤が強化されていない、そんな簡易舗装のところなんです。その農道に行くために渡る橋がありますが、その橋も幅員が非常に狭い。結局、4t車が入るくらいの作業道を抜いても、手前の橋や舗装の部分で2t車しか入れないとか、そういう問題が非常に多いです。

(知事)

 なるほど。逆にいうと、道がとにかくたくさん付けばいいですけど、お金にも限界がある。あまねく広くつけるだけにはいかない中で、一番効果的なところはどこだろうというのは、そのワーキンググループの功程見直しの中で見つけ出して、ここだというところが見つかったら、そこに特に集中して投資して、改善を図っていくことができれば、と考えています。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 はい。うちとしては、森林資源の非常に多いところを重点的に、11t以上のトラックが入る基幹作業道を抜いていこうということで進めております。

(知事)

 組合の中でも多いところと少ないところがあるんですね。わかりました。ありがとうございます。

 立石さん。お願いします。

(中村市森林組合:立石参事)

 中村市森林組合の平成27年の実績ですが、原木6543立方mを搬出しました。職員体制は、職員7名、直営の労務が15人、請負の班が3班体制でやっております。

 事業体の経営方針としましては、日本一のヒノキの蓄積量を誇る四万十市で、100年以上の林齢からブランド化できる品質を持った、四万十ヒノキ原木の産地形成を目指しております。

 平成20年から直営作業員による作業道の開設、林産体制をとり、若い林業の担い手を育成しております。

 直営の15名の平均年齢は33.7歳と非常に若返った体制でやっております。ここ3年の雇用実績が、一昨年は1名、昨年は3名、今年4名の作業員を雇用し育成しております。今後もまだまだ事業量に対する人手不足ということがありますので、新規のUターンであるとかIターン者を雇用して木材増産をしていこうと思っております。

 現在の課題といたしましては、先ほども道の話が度々出ておりますが、旧中村市のエリアも、やはり市町村道が非常に狭く、作業効率を上げるにしましても、どうしても、先ほど細木組合長がおっしゃられたような形で、手前までの道があまりにも細くて高性能林業機械の大型的のものが入りにくい状況です。うちのほうで言いますと、若干傾斜等もきついところがあります。平成20年までは、林産体制を一部、技術員が一切いなくなっておったんですが、平成20年から緑の雇用制度を利用して林産体制をとってきました。その時に参考にしましたのが、道でありますと、四万十方式ですね。3mぐらいの幅員の作業道、2回目に森林間伐する時には、約60cmぐらいの拡幅をして大型機械を使用する。当然、木のほうも大きくなっていきますので、それに合った形で機械を入れていくという形で展開をしていきます。

 今は、どちらかというと、2回目の収入間伐をするような現場のほうが増えてきております。そうすると、やはり原木が大きくなっておりますので、今までの機械では、今、25サイズなんですが、若干、機械が小さいかなというような感じを受けております。

 それから、タワーヤーダの話も出ておりますが、うちも、今、言ったように、林業の本格架線を張る技術者がいなくなりました。やはりそういった状況をカバーするという形でいきますと、今後はやはりタワーヤーダの導入が必要です。そうすると、やはり、先ほどおっしゃられたような機械に対する補助金の嵩上げをできればお願いしたいと思っております。

 あと、何と言いましても、川井木材さんもおっしゃってもいましたが、やはり人手不足の問題です。人と機械が一体で増産になっていくと思っております。緑の雇用を主にメインで技術育成をしていますが、どうしても、6月までの緑の雇用には間に合わないので、10月であるとか11月であるとかに途中採用しています。そうなると、自分の組合で人件費や資材費等も全部用意しなければいけない。組合のほうで費用負担がかなり増えますので、そういったものへの補助制度などもあれば、人手不足に対して、躊躇することなく雇用の要望にも応えられるのではないかなと思っています。以上です。

(知事)

 6月からというのは、緑の雇用というのは6月までに雇っていないといけないとか、そういう決まりがあるんですか。なぜ6月からなんですか。

(県森づくり推進課:塚本課長) 

 国の補助事業の関係で、要望を取ってから予算の貼り付けになりますので、年度途中での採用者では対象にならないということです。

座談会2

5.意見交換

(知事)

 皆さん、ありがとうございました。それぞれお話をうかがわせていただきましたが、ここから、特に2つのテーマについてお話をさせていただいて、最後、フリーテーマで皆さんにお話、ご意見をいただければと思います。

 一点目のテーマとして、やはり生産量を増やすのがひとつの課題になっています。先ほどからお話の中で、その観点に関するところが非常に多かったわけですが、今後、生産量を増やす、もっと言うと、生産性を向上させていくにあたって何が必要かという観点について。

 それから、人材の確保の観点から、どういう点が必要かという点についてが2つ目です。

 そして、最後に、皆さんに何でも言っていただく時間を設けますので、それぞれ15分ずつ時間を区切ってお話をさせていただければと思います。

 それでは、まず1番目。この生産量を増やす、もっと言うと生産性を向上させるという観点からについて、先ほどから、伊藤さん、立石さんからお話がありましたが、タワーヤーダなど大型機械が大事で、そういう機械を買う補助率をもっと上げて、皆さんが買えるようにすることが非常に大事であると、そこは大きいんでしょうか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 私の住んでいる、いの町ですが、非常に山が急峻です。災害が起こってもいけないので、作業道といっても、無計画に抜くわけにはいけない。本日も「午前中に山を見てくれないか。」といって山主さんに言われて山を見て来ましたが、資源はたくさんあるけど、林道がないために木材が出てこない。

 そういうところには、今後、市町村と協議をして新規に中腹林道を入れれば、もっともっと増産ができると思います。是非、お願いをしたいです。

(知事)

 伊藤さんのところは上八川ですか?

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 上八川です。いのから国道194号線に入ると、両側左右に山がありますが、まず、ここの木材は搬出できないと思う。電線があったり、いろいろな支障がある。また、昔からいうと、交通量も増えている。やはり、中腹に林道を入れ、それから先の作業道が入るところは作業道を入れれば、もっと木材が出るんじゃないかと思います。

 それから、もし、火災が起こった場合、中腹林道が抜けていることで、林道が火災をくい止めます。防火の観点からもやはり中腹林道というのは大事だと思っています。資源はどっさりあるが、今は眠っている。

(知事)

 今、どちらかというと、先ほど浜田さんが言われたように、伐りやすいところから伐っている、そういう感じでしょうか。そうなると、段々伐採が難しいところになっていくと、そういう問題が出てくるんでしょうね。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 架線を張っても、やはり、1000m架けるのと、500m架けて張るのとでは、生産性が大分違う。やはりこれからは、中腹林道というのが大事です。

(知事)

 なるほど。わかりました。

 その他何かございますか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 増産の面で言いますと、機材もそうなんですが、コストをひとつ下げていくうえで、やはり機械性能というのはかなり生産性を左右するのではないかと思います。

 タワーヤーダの話がメインになったんですが、そのタワーヤーダと同じメーカーの、立木を伐倒から造材するまでをこなすハーベスタを導入しました。価格は、国産と比べると1.5倍くらいの値段になりますが、生産性で言いますと、国産の約2倍程度は生産するのではないかと思います。

 なぜ、それぐらい違うのかと言いますと、弊社の場合は、大径木を造材する機会が多くて、今まで使用していた国産の機械では、大体、元玉が40cmを超えると、造材が難しくなってくる。

 なので、チェンソーで例えば枝打ちをしたり、玉切りをしたりしなくてはいけなかったわけなんですが、その国外メーカーのハーベスタは、約60cmぐらいまで玉切り、造材ができます。

 ヒノキやスギの大径木で、今までオペレーターが降りてやっていたことが、全て機械に乗ったまま玉切り、造材をこなせるようになって、集材した材さえあれば一日に100立方m以上は造材できます。国産だと、就業時間内で頑張ってもせいぜい70立方mか80立方mぐらいじゃないかと思います。木材がさらに大きいものになった場合は、生産量が落ちるような状態でした。

 さらに海外メーカーは非常に頑丈につくられており、導入コストは高いんですが、あとの維持コストが国産品に比べて少ないです。増産を図るためには、現場がいかに動き続けるか、安定して材を売り続けるかというのは、ひとつのキーポイントですので、特に玉切り・造材をするプロセッサー、ハーベスタという機械は現場において中心的な機械になります。この機械が壊れてしまうと、その日のその現場の全ての作業が多分、半分以上はダメになると思います。

 やはり、機械が動き続けることが、材と売上を生み出すひとつのキーポイントだと思うので、タワーヤーダにしろ、そういう機械にしろ、中心的な機械は支援をしていただけるような体制をとっていただければ、各企業でのシステムの強化にもつながると思いますし、良いのではないかと思います。

 ちなみに、お隣の徳島県では、県の公社の作業チームの方が、タワーヤーダと弊社と同等のハーベスタを導入して県がバックについて生産に取り組んでいます。

 徳島の海部のほうで林道を見させてもらったんですけど、向こうも非常に地形が急峻で、よく、ここに林道を抜いたなというような地形なんですが、やはりそれも県がバックアップして、コンクリート舗装など、ちゃんと機械に合った林道を抜くように県が支援していました。高知県にも、これからの素材、蓄積量に期待できる山林に対して林業専用道、広い林道の支援をお願いしたいと思います。

(知事)

 今、言われたタワーヤーダとかハーベスタなども、メーカーによって大分、性能が違うんですか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 施業に合ったものを選ぶというのもひとつの手だと思うんですが、やはり違いますね。

(知事)

 施業とか地形とか材の量とかによって大分、選ぶものが違ってきますか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 そうですね。少なからず、今は国産のものより、海外のもののほうが性能的には、かなり上といっても過言ではないと思います。

(知事)

 ちなみに、機械というのは川上から川下まで組み合わせて使っていくと思いますが、その中で、川上だけ良い機械を入れても、途中で結局詰まってしまって、稼働率がそんなに上がらず、結果として森全体、山全体としての生産量が上がらないということはないですか。

 少しそういう意見も聞いたこともあったもので。

 ただ、そういうことに関わらず、全体を効率化させる機械ということであれば素晴らしいと思いますが、どうでしょうか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 各事業体によって施業のシステムで、強いところ、弱いところはあろうかと思うんですが、弊社の場合、タワーヤーダを導入する以前は、中距離架線、200mから大体500m間の架線の作業が小規模面積の現場になるんですが、そういった場合の林業架線というのは、すごく手間がかかる作業を有する仕事で、ケーブルクレーンというワイヤーが、木を吊って出してくるワイヤーを架設するのに約1週間前後の期間を要します。

 それが今、タワーヤーダでしたら、中距離を1日で架設することができます。なので、2日目からは集材ができるという状態になり、架線のポイントは改善されました。

 しかし今度は、機械の性能が良すぎて、出してきた先の土場で、その材を処理しきれず、結果、市場に出て行く材があまり変わらないといったような状態になったので、そこを改善して、今は、基本的に土場にトラックが入ってきて、搬出するシステムになりました。

 なので、例えばそこからフォワーダとか、また小出ししないといけないようなシステムだったら、またひとつ改善しないといけない点は増えてくると思います。

(知事)

 なるほど。逆に言うと、そういうところをよく見極めて、これだったら確実に川上から川下まで流れがよくなるなということであれば、導入について県ももっと頑張ったほうがいいと、そういうことなんでしょうね。わかりました。ありがとうございました。

 森本さん、浜田さん、細木さん、立石さん、いかがでしょう。生産量の向上、生産性の向上について。

(香美森林組合:森本参事)

 生産量の向上については、ひとつは各事業体、しっかりした道をつけている部分もあります。そういうある程度条件の良い道というのは、林道に昇格していただくことができないかと。そうすれば、市町村が管理できるはずなので、それをお願いしていただければ、手前から順番に奥へ奥へと更に行ける道が開けると思います。

 もうひとつは、やはり民有林というのは小規模であって、そこを改めるためにうちも団地化、高知県は全国に先駆けて森の工場という形で応援していただくような形になった。人はどんどん高齢化して減っている中ですが、やはり地道にしっかり対話をしながら、組合が、事業体が一生懸命やっているから任せてもらったらできると思います。ロットが大きくなればコストは下がります。そうしたら、またしっかりした道が広範囲に広められるので、そういうところを基本的にはやり続けるしかない。

 一本の木が大きくなったらゆっくり出て来ても生産性はよくなっていきますので、そういう地道な活動が必要じゃないかと思います。

 それと、自分もオーストリアへ行かせてもらった時に、知事からお話が出ましたが、オーストリアは日本の5分の1も面積がない森林から日本よりも沢山の材を出してくる。手法というか、路網密度であったり機械であったりはあるんですけど、一番日本と違うのはフォレスター制度です。

 フォレスターがしっかり根付いて、10年、20年と事業体をサポートしてくれるらしいです。県はフォレスターの方を、各々に配置していただいて、現場を見ていただいきたい。我々プランナーの業務というのは、道をつけるのも、それから間伐するにしても、常に所有者と対話をしながら、すごく時間がかかります。本当に現場に入ってサポートしていただければ非常に助かります。

 例えば、3年前に組合長と一緒に大分県に行かせてもらいました。今も続けているかどうかわかりませんが、その時に、県の方と話をしたのが、7人の県庁の職員に「もう事務はするな。やっていいのは、現場で木を切って作業をすることと、それから、経営計画のお手伝いならやっていい。」と言っていた。何でそこまでするんですかと聞いたんですが、「それは、現場で危険なこともあるし、やはり基本のことをわからないと対話ができないから。」というところを話してくれました。そういうところをお願いできれば、集約化のスピード、それから木材増産にもつながっていく気がします。

(知事)

 なるほど。

 民有地を集約化するところに県も一緒に入ってくと効果的でしょうか。

(香美森林組合:森本参事)

 効果的だと思います。

(知事)

 今、「県はフォレスターを配置して。」とおっしゃったのは、県職員がフォレスターになって欲しいと、そういうご趣旨でしょうか。それとも、県版でもフォレスターのようなものをつくったらいいんじゃないか、という趣旨でしょうか。

(香美森林組合:森本参事)

 一応、資格は取られていると思いますけど、もう少し現場に入ってきていただきたいと思っています。

(知事)

 なるほど。素晴らしいですね。

 ありがとうございます。

(高知県森林組合連合会:浜田木材課長)

 先ほど、中村の立石さんから話が出たんですが、私は奈半利だけ行けていないんですが、県下の各市場をまわって、山をあちこち見させてもらっています。

 嶺北地域はわりと、10t車など大きな車が入る道が多いんですが、やはり、西である幡多地域とか、高幡地域では、細木組合長も言いましたが、市町村道が狭く、林内に入るのに、ダンプカーであったりとか、そういうものでしか搬出できないというシステムとなると、作業的には詰まってくる段階なのかなと思います。

 間伐して木が太っていくのは確かなので、今、25のクラスの機械を使っているというのが45に切り替わる時に、市町村道の拡幅とかそういう点を改善していかないと、増産にはつながってこないんじゃないかなという思いはあります。

 全く別の問題になりますが、今、公社造林であるとか県行造林、県有林という形の入札もしてもらって、立木の購買というのを出してもらっているので、それに関して、県内の市場に出してもらえるシステムづくりをしてもらいたいなという思いがあります。

(知事)

 その市町村道というのは、1回抜いたら後々いろいろな施業において使えるような、そういう最も基幹の部分が狭いんですか。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 そうですね。特に下の方に谷とか川があってそれを渡っている橋なんかがものすごく狭い。やはり、橋が狭いと奥にいくら広い道をつけても、そこで止まってしまうので全然意味がない。

 やはり、これから先、本当に増産していくのであれば、山の上のほうに壊れない広い道路を幹線的に抜いて、それから枝線で作業道で出すとか、それから、架線で出すとか、という形で変えていくべきじゃないかなと思います。

 どうしても、集水面積が広くなってくると、林道そのものも傷んできます。やはりその道を抜いた森林組合に対して所有者さんから「こういうところが壊れて傷んでいるので直してくれ。」というような要望が非常に多く来ます。

 ある程度大きい被害でしたら、県で半分ぐらいの補助があってできるという話は聞いているんですが、あとの維持管理が、毎年どうしてもかかってきますので、維持管理に対する補助というか、そういう手立てが欲しいです。

(知事)

 わかりました。

 昔、私が山の上まで上がらせていただいた時がありましたが、たしか、途中で車が壊れたと思います。

 途中からずっと歩いて上まで上っていったんですけど、あの時、逆に言うと、お陰でよく道が見られた。

 維持管理の話が出ましたが、道路は土、土、土ですね。補修というのは定期的にずっとやり続けていかないといけないですね。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 結局、雨が降ってしまうと、滑ったりするので、またそれを直さないといけない。作る以上に余分な経費がかかってしまいますので、是非とも検討をお願いします。

(知事)

 わかりました。ありがとうございます。

 立石さん、いかがですか。

(中村市森林組合:立石参事)

 細木組合長がおっしゃられたことと重なりますが、やはり、市町村道がとにかく狭い。うちの現場で言いますと、大体、森林経営計画、あるいは森の工場なんかで、運送会社が取りに来てくれるところまでの搬送距離が、2tのダンプで運んでおるんですが、大体6kmとか7kmとかあります。

 いくら、伐倒集材の部分で高性能化を図っても、それ以降がどうしても伴わない。大体、ひと現場終わると、所有している機械もシャーシごとだめになって、修理、維持経費等も非常にかさんできているような状態です。

 そういった作業道あるいは林道の各市町村毎のマスタープランみたいなものをつくっていただいて、こういったところに1本メインの林道を抜けば、こういうふうに広がるというような形を、県の方やフォレスターの方などにも参加していただいて、一緒に現場サイドとも話しを合わせて進めていけば、増産につながるのではないかと思っています。

(知事)

 伊藤さんも言われているように、ここにこういう形で道を抜いたら、いろいろな人がいろいろ使えて効果的ですね、という道というのはあるんでしょうね。

 そういうところを市町村とよく話し合って、マスタープランをつくって、今後こういう形で抜いていきますと見えるようにすると、それを見ていただいて、皆様も、例えば施業の計画等を立てられたりする。そういうことなんですね。わかりました。ありがとうございました。

 もう一点、人手の確保、就業者の確保について。もっと言うと若手の方が増えておられて、その若い方の育成についてという事も含めてでかまいませんが、林業に就業しようとする若手をしっかり確保していって、かつ育成もしていかないといけない。そうしていくためにどういうことが大事かということについて、お話を聞かせていただければと思います。

 材価が上がって所得が稼げてご飯が食べられるようになることというのは、当然しっかり取り組まないといけない。先ほど申し上げたようなCLTの一連の努力なども、日本全体で需要を上げていくための努力ですが、それはひとつの前提としたうえで、その他考えられる点はないかということについて。

 例えば林業学校とか、自伐林家さんの養成とか、我々もいろいろな取組などもしているんですが、そういうことも含めて、こういう点は、もう少しこうしたほうがいいんじゃないかなど、ご意見があれば教えていただければと思います。

 川井さん、どうぞ。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 まず、人材確保の点で言いますと、県が取組を始めた林業学校です。ああいうのは、私は非常に良いなと思います。

 今年度から、例えばハローワークとか、民間の方に求人を出していたんですが、何というか、林業分野に適した方は、今までなかなか来ませんでした。

 やはり、結構大変な仕事なので、面接に来たらまず現場を見せていたんですが、「林業というものはこんなものなんだよ。」というのを見た瞬間に「ごめんなさい、遠慮しておきます。」というような感じだった。林業学校の生徒を今、インターンシップでとるようにしていますが、林業学校の生徒は、林業に少し憧れて来たような感じもあるので、正直、一般で来る方よりはいいと思います。

 しかし、やはり1年という期間は短いんじゃないかなと思います。個人的には、最低2年くらいの研修内容を行ったらいいのではないかと思います。

 生徒に聞いたら、「1年のカリキュラムでは、必要な資格をとるのに結構時間を費やし、あっと言う間に卒業してしまうような感じです。」と言っていたので、1年間は資格を取らせ、もう1年間は、もっと研修であるとか。年に4回くらいインターンシップが開かれていると言っていたと思うんですが、もっといろいろな事業体を見るためには、4回では少し足りない気がします。

 あとは、最初に言っていたように、林業のことについて放送されている番組があると思うんですが、林業という業の内容を、県のほうで定期的に放送していただいて、今の林業は良い感じの業になっているんだよ、というのを知らない人に周知して欲しいと思います。

 林業という業は、ただただ自然で仕事して、自然の中でご飯が食べられて、身体を動かせて気持ちいいという仕事ではないです。やはり、良いところも辛いところも大変なところも知っていただいて、そのうえで来ていただく。皆さん、そうだと思うんですけど、手に職がつく仕事だとは私は思っていますので、そういうプロフェッショナルを目指して来ていただくという熱意が、林業で将来やっていくんだという人材を生み出すのに必要だと思いますので、高知県から一般の人に林業という業の周知をお願いしたいと思います。

(知事)

 ありがとうございます。

 林業学校は今、1年制ですけども、期間について今後さらに検討していくことになりました。今、基礎課程だけですが、間もなく専門課程がはじまる。学校もできあがって、専門課程も始まっていくと、場合によるともう少し長いコースを検討することもできるようになるかもしれないと思っています。やはり1年は短いし、インターンシップも、4回でも少ないかなという感じですか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 そうですね。インターンシップ生からすると、自分がここでやりたいというのが、なかなか見え難いところはあるみたいですね。時間があわただしく過ぎてしまう。

(知事)

 昔の一般公募に比べれば、やはり林業したい人が来てくれるようになったのであれば、そうなんでしょう。人材育成の期間など、そういうところですね。

 あと、業としての周知というのをもう少ししないといけない。確かに「ただ自然の中で気持ちよく仕事ができますよ。」だけじゃないよと、そういうことですね。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 昔、「WOOD JOB!」という映画があって、あの映画を自分も観た時に、これは、本当に、私のおじいさん達がやっていた時代の林業だなというのを感じたんです。

 都会のゴールデン番組で現在の山の仕事は、こういう機械でこういう造材とかをやっていますというのをちらっと紹介されたことがあったんですが、そこの会場にいる皆さんが、「今の林業はこんなになっているんだ。すごーい。」みたいな感じの反応をされていた。

 都会の人は知らないで当たり前だなという面もあるが、やはり、高知県とか山間部に住んでいる人ぐらいは、林業という業の周知をしてもらいたいなという思いはありますね。

(知事)

 なるほど。わかりました。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 林業学校の生徒が、インターンシップに来てくれるのをこちらは手招きして待っているんですが、なかなか来てくれない。就職ということになると、私共はインターンシップに来てくれた方が、うちに来てくれるというような感覚をもっています。ところが、来ていただけなければ、今年は多分ゼロか1人であろうと、そういう予想をしてしまう。

 できるだけ林業学校から、まんべんなくインターンシップに来ていただくように是非ともお願いしたいと思います。

 また、福利厚生面ですけども、人材を確保していくうえで、今まで林業界は請負制度できている流れがあります。それが、日給月給みたいな形になったりとか、いろいろ状況が変わってきていますので、今後は生産性もある程度取り入れた、ボーナス等そういうような形で現場、技術員に還元するような方策をとっていかないと、人材の確保はできないのかなと思っております。

(知事)

 インターンシップに連れ添っていただくというのは、うれしいお話であります。

 できれば、もう少し生徒さんを増やしたいと思っています。1期生の生徒さんは皆さんにかわいがっていただいて、いいところにしっかり就職できたこともあって、2期生の時には定員がすぐに埋まって、段々高校からも推薦していただく学生さんが増えてきていたりしていて、少し定員を増やせるのでは、という感じです。

 逆に「林業学校って良い学校なので行ってみたらどうか。」と皆さんからご紹介いただけるとありがたいかもしれない。

 これから専門課程もできて益々充実していきます。

 その他、ありませんか。 それでは、立石さん。

(中村市森林組合:立石参事)

 私も少しインターンシップで気がついたことがあります。先ほど、細木組合長が話をされていたんですが、今年、うちも初めてインターンシップを受け入れました。少し細かいことなんですが、中村市の民宿に遠征の形で泊まっていて、その費用を自費で補って、インターンシップに来てくれているという状況でした。

 年内は、4回はインターンシップがあると聞いておりました。毎日の行き来の間に話をするうちに、県下にはいろいろな林業スタイルがあるので、うちだけではなくて、他の残りの3回はいろいろなところに行ってみるといいよ、という話もさせていただきました。

 ひょっとすると、そんなちょっとしたことなんですが、足枷になっている学生の人もいるんじゃないかなと、少し思いました。

(知事)

 ありがとうございます。

 林業学校に限らずでかまいません。いかがですか。

(香美森林組合:森本参事)

 非常に良い生徒が育っていますので、林業学校には非常に期待というか、いつもお世話になっていまして、今年も2名くらいは欲しいです。僕も元々現場にいて、昭和58年頃、僕等の林業の世界というのは本当に誰も教えてくれなくて、見て覚える、盗むしかなかった。それが緑の雇用になって、高知県は本当に林業に対するイメージも変わってきたと思いますので、これは非常にありがたいです。

 今ある人材の生産力はもとより、ステップアップといいますか、今の技術員がさらにレベルをアップしていく。昔、加速化事業で他の事業体に行って学べるような予算がありました。実際、うちの組合でも1名、架線で有名な、株式会社とされいほくさんへ1ヶ月間行かせてもらって非常に自信がついて、今、架線の組でやっています。そういうこともまた必要なのかなと。

 それから、またヨーロッパの話になりますが、うちがタワーヤーダを導入した時に、(メーカーから)オーストリアに2週間研修に来てくれということで4人の者が研修に行きました。その中で架線に詳しい者は1名しかいなかったんですが、彼等の国には、その短期間でタワーヤーダを使えたり木を切ったりできるカリキュラムになっている。例えば、チェンソーの教本も日本のものと全く違って、絵で教える、写真で教えるようなカリキュラムになっていて、非常に高度な本になっています。

 ヨーロッパの林業のことも林業学校に取り込むという話もありました。向こうから講師を呼ぶと高いんですが、今はしょっちゅう向こうから日本に来ていますので、そういう方をついでに東京から呼んでいただいて、高知県の林業学校だけじゃなくて一般の方も入れるような講習をやっていただければ、非常に勉強になるんじゃないかと思いますので、またよろしくお願いします。

(知事)

 機械の使い方を教える感じで来られるんですか。

(香美森林組合:森本参事)

 機械だけではなくて、ヨーロッパのフォレスターは木の伐採からはじまって何でもできるし、全てのことを教えられます。僕等も再生プランをやった時にいろいろなプログラムをもらって、ひとつチェンソーを日本語に訳したものもありますが、多分、いろいろな教材を持っているはずです。

(知事)

 そういう人を呼んできて、林業学校で研修してもらえたらいいですね。

 ありがとうございます。どうぞ。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 今、昭和30年代、40年代の頃、植えた木材が切り出されているんですが、その頃は川上にも人がおりました。農業をやりながら、森林の整備をする人もたくさんいましたが、今はその方達が70歳とか80歳とかになって、川上に人がおりません。やはり、これから、県も平成37年には生産量90万立方mを目指しているということで、この林業学校の研修生に非常に期待しています。今は20名ちょっと来ていますか。

(知事)

 19名です。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 19名ですか。それをもっと、今後の増産に向けて30名、40名に増やして、森林組合へ、また、各事業体へ就職ができればいいと思っております。

(知事)

 実際、今度、専門課程ができた時に、先ほど森本さんが言われたことに関連するんですが、ある程度働いていた人にまた専門課程に来てもらって、ステップアップの勉強をしてもらって、というのも考えられるのかな、思っていますが、それはどうですか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 そういうことも良いと思いますが、私たちは高卒ぐらいのとにかく若い労働力が欲しいです。各県下の高校に、どんどん県の職員も行ってPRして、高卒で入ってもらって研修を積んでもらう、というのが一番理想的ではないかと思います。

 高卒を採用すれば林業を40年くらいできますので、やはり、若い労働力を私達は求めています。

(知事)

 わかりました。他にございますか。

(高知県森林組合連合会:浜田木材課長)

 少し違う観点からなんですけど。

 林業の世界というのは、労働安全衛生面で言えば、人口率で一番死亡率が高い職業になっていると思います。その中で、今、中村の組合、須崎の組合が平均年齢33歳というのはすごいことだなと思います。

 そこで、やはり機械化を進めて、安全衛生面がしっかりしているからかもしれないですけど、県外では女性だけの山出しのチームもあるみたいです。

 そういう方面で、やはり機械化を進めていただいて、作業を簡素化して、誰でも山に入れるという世界が作れたら、また変わってくるかなと思います。

(知事)

 川井さんも先ほど言われたように、確かに、今は機械も使って安全性にも配慮しながらやっている。林業の、そういう面をきちっと周知できるようにと、そういうところですね。

 わかりました。ありがとうございました。

 少し時間がなくなってしまって恐縮ですが、何でもかまいませんので、ご意見があれば教えていただければ幸いです。

 今、言った2つのテーマに限らずでかまいません。

 立石さん、どうぞ。

(中村市森林組合:立石参事)

 今、県下で皆伐あるいは増産ということで、搬出間伐を増やすような形で応援していただいているところなんですが、各県下どこもそうなりつつあるのではないかと思うのが、今、林産のほうに人が張り付いて、皆伐地の後の新植に対する技術者、地ごしらえ、あるいは植え付けや歩道を抜いたり、鹿ネットを張ったり、その後の下刈り、あるいは除伐、そういったことへの従事する方が、うちでは、割合高齢を迎えた方がメインでやっています。

 やっと、この段階において、うちも今年くらいから地ごしらえの班を投入するような形になりましたが、林産と違って、1年に限られたシーズンしかそういった作業が発生しない。しかも、今から循環型の林業をつくっていくためには、そういったところへの技術の継承というところが非常にネックになってくると思います。是非、林業学校のほうも、資格は勿論大切なんですが、切った木の後の山の、そういった循環型にもっていくための技術、例えば、地ごしらえ等がメインになってくるんですが、そういったことに対する技術をしっかり継承するような人材を育成していただけたらと思っております。

 それから、もうひとつ。賃金体制なんですが、うちで面接する者で、若干給与面を心配している者がおりました。というのは、日当というような形でやってしまいますと、日給月給なんですが、やはり6月の雨で非常に天候の悪い時などは、給与が少なくなるということがありますので、できれば将来的には、月給制に何とかもっていけたら、と思っています。そういったことに対して情報等がありましたら、是非とも教えていただきたいと思っています。以上です。

(知事)

 わかりました。ありがとうございます。

 その他ございますか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 最近、鹿の被害が拡大してきました。再造林の場合には、ネット等は苗木とセットであるんですが、成熟した木、40年くらいの木をしゃくりあげて皮をはがれる。それについての対策で、ネットを張るんだったら全部自分で張らないといけないが、段々、鹿の生息するエリアが広がってきて東からも西からも中部のほうに来ている。鹿の対策をお願いしたいと思っています。

(知事)

 40年ぐらいの木に、しゃくりあげるということですか。

(有限会社伊藤林業:伊藤専務取締役)

 40年、50年の、もう切れるようになった木を、スギの場合は根元から噛み付いてしゃくりあげたり、ヒノキなんかは、鹿の角でしゃくりあげたりする。

 最近も見かけたんですが、そういうところにも対策をお願いしたいです。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 うちも大体、皆伐施業が主でやってきています。今、製材所さんと密に話をしていて、欲しい材の径級といったら、中目材といいまして、大体18cmから24cmぐらい、それから大きいのであれば24cmから30cmぐらいまでの木を製材所さんが皆欲しがるので、それぐらいの山を皆伐して植栽しています。

 今のところ直接的な影響は受けてないんですが、苗木が足りないという話を周辺から耳にしています。増産をするためには機材や人材というのも大事だと思うんですが、結果が出やすいのは、今までの施業のやり方をスイッチして、例えば間伐を皆伐にスイッチするとか、そういうことは多分、結果が出やすいんじゃないかと個人的に思っています。

 そうなった場合に、今までは間伐をすることによって植栽をしなかったエリアも、皆伐することによって植栽しなければいけなくなる。多分、全国的にも生産量をアップしていくとなれば、やはり苗木の取り合いという形になると思います。

 なので、苗木を育てる施設の確保というのが今後どうなっているのかなと、少し気になるところであります。

(知事)

 西峰の集落活動センターでポット苗を作り始めています。中山間の集落活動センターでポット苗を作っていただくなんていうのは、林業とリンクできて、中山間にも所得を落とすという意味で、有望ではないのかなと思っています。

 やはり、足りなくなりそうな感じなんでしょうか。

(有限会社川井木材:川井代表取締役)

 そうですね。周りからそういう声が徐々に聞こえる量が多くなってきています。周りが心配しているというのもひとつあると思うんですが、私共も今後、従業員数、班数も増やしていって、生産量も上げていきたいという思いがある中で、生産量を上げていれば植栽地が増えることになりますので、どうなるかなと思います。

(知事)

 わかりました。

 最後、細木さんどうぞ。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 最近、相続の関係で、お父さんが亡くなって、権利書はあるんですけど山がわからない。境も全然わからない。それを処分したいんだけど何とかしてくれというような、そういう問題が非常に多いです。

 国土調査なんかが進んでいましたらデータがあるので境がはっきりするんですが、やはり、そういうものが無いとなると非常に時間がかかります。それから、隣の所有者なども調べて、その人に境をならわないといけない。そういう状況になりますので、是非とも境を早く確定するという意味で、国土調査を早く進めるような方策をとっていただきたいと思います。

(知事)

 集約化を進める時に大変なんでしょうね。

(須崎地区森林組合:細木代表理事組合長)

 そうですね、集約化も大変になると思います。

(知事)

 わかりました。ありがとうございました。

 皆さん、本当にどうもご意見いただきまして、ありがとうございます。

 最後に、本日、一般傍聴席においでいただいております方で、ご意見等ございましたら、お話いただければと思います。

(A氏)

 森林組合さん、それから、我々、それぞれ違う段階の方々のお話をお伺いしまして、概ね問題提起されたことは同じだと思います。

 私も、随分昔からこの一点だけをずっとお願いしていますけども、本日の原木増産と安定供給体制の構築について、要するに高知県が森林県で蓄積量も毎年200万立方mあるのに、なぜ木が出ないか。全国レベルで言うと高知県の並材が高いと。こういう声をいただいています。

 増産につながらないというひとつの例は、我々の生産する過程のインフラ整備。平たく言えば、道を、林道をもっと抜いてもらいたい。かつてスギの並材が2万円している時には、1万円ぐらいの生産費がかかっても生産できていました。今、1万円ですから、半分の5000円ぐらいですね。

 ということは、生産可能な蓄積量がどんどん減っているということです。ですから、林道を抜くということは時間がかかることですけども、山の仕事はワンサイクルが50年はかかりますので、もう少し目先だけじゃなくて長期的なビジョンをもって、我々の仕事も我々一代に終わるわけではないですので、腰の座った政策をとっていただきたいというのがひとつです。

 それと、1時間もかけて山に上がって苗木を植える人がいない。山の中腹に道がぬけますと、例えばシルバーセンターにお願いして、1年中植えられる苗木も開発されていますので、そういうことも利用できるんじゃないかと思います。

 そういうふうに全ての共通項の中で皆さんも言われたことですけども、コストを安くするには、いろいろな面で道が必要不可欠じゃないかと思います。

 ちなみに、北海道の生産は大体2000円少しくらいです。東北、北陸、これは3000円から4000円まで。宮崎あたりが4000円くらいらしいです。高知県が平均的に6500円。この6500円がいかに高いかということがわかります。

 生産にお金がすごくかかって、なかなか増産できないという原因じゃないかと考えます。

(知事)

 わかりました。ありがとうございました。

 その他、ありましたら、どうぞ。

(B氏)

 本日は専門の皆さんに貴重なお話を聞いて、私自身も大変勉強になりました。

 お話の中で、県が設立した林業学校、ありがたい話だと思います。それから、林道の話、集約化の話、大別してそういうことであったかと思います。皆、大切なことだと思います。

 それを分析してみますと、皆さんが今、熱心に取り組まれていることも大事なことです。特別良い木は市場で売って競り売りも結構ですが、並材を競り売りにしても、この質が上がるわけではりません。売り先は使い辛いです。

 それならば、山元で自分が買い手さんの立場になって、木を選別して、共販所、市場を通さずに直接入れる。時代が変わってきたから、経費をかける必要のないものは経費をかけずに工場に運ばないと、ヨーロッパのように安く製品にはできるような状態にならないというのも身をもって感じております。

 そういうことで、運賃を2回も3回もかけるのなら、山に放って捨てておけ、というのが私の持論です。そういうことを今は実現する時代かと思います。よろしくお願いします。

(知事)

 わかりました。ありがとうございます。

 他にございますか、どうぞ。

(C氏)

 皆さんから林道のことに関して要望があったんですが、私はフォローアップ委員会で林道に関してお願いをしています。

 前回のフォローアップ委員会でも新規林道を開設する予定はないというお返事がございましたが、生産者の皆様から、これだけ林道要望があるということを是非とも深く考えていただいて、なおかつ中山間におきまして、建設業者も防災のために一定の事業者が生き残るために林道工事は非常に大事であると思いますので、そこをお願いしたいと言う点と、作業道についてでございます。大体、伊藤林業さんなんかの作られたところは、別の事業を導入されて、なおかつ石がたくさんある場所でしたので、作業道、一般の造林補助金に基づく作業道は構造物は対象にならない。石積みと洗い越しくらい。あるいは、木柵ぐらいなので、メーター単価が非常に厳しい急峻な道においても経費が出ないようなケースになります。

 そういう中で、確実に崩壊するようなところは、構造物は入れていただけないかということをお願いしているんですが、これは国の事業ですので、いまだに、これだけ国産材を生産しようというような時代に、作業道は仮設という前提らしいです。

 幅員3mの道を、大型車が通るように、根本から4m道で、構造物が要るところには構造物ありきというような、根本のところを国から変えていただきたい。ここをお願いしたいと思います。

 そして、既設の道路は、本当に維持管理に苦労しております。地域で300haぐらいの共同経営計画を立てておりますが、作業道の維持管理、非常に苦労しております。基幹となる作業道は是非とも公共へ移行する方向を是非考えていただきたいと思います。

 それと、もう一点ですね。プロフェッショナルというお話が森本さんのほうから出ましたが、これもフォローアップ委員会でお願いしている件なんですけども、山の事業は現場も難しいですが、造林補助金、経営計画の上に森の工場がのり、単体の市町村の補助金がのるという事務手続きも非常にやっかいな、補助金の積み重ねのような事業です。

 これを今の県の人事異動のように数年やって、また別の部署に行って、また帰ってきたりする。頭に入るわけがないと思います。まして、どの部門でも若い方々も皆さん、現場力が非常に落ちています。

 そういう意味において、山に力を入れられる高知県においては、山の現場も書類もわかるプロフェッショナルを長期にわたって育成する、ということを是非考えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

6.知事まとめ

(知事)

 本日はお時間をいただきまして本当にありがとうございました。

 木材生産量は60万立方mまで伸びましたが、昨年59万立方mになった。今年は大変ご尽力いただいて今は65万立方m、66万立方mくらいになった。しかしながら、60万台ぐらいで大体とどまっている。それにあたって、いろいろと問題があるんだなということが本日、よくわかりました。

 やはり、本当に木がたくさん切り出される結果、もっと言うと、山で多くの人が木を相手にして仕事をして、山で人がたくさん住み続けられる。その結果、中山間で人が住み続けられる高知県をつくる。それがいろいろな意味において高知の強みを発揮していって、高知らしさを維持していって、後々の高知の長期的な発展につながっていくんだと、そのように思っております。

 林業の振興というのは、業の振興そのものも大事でしょうが、中山間の再生を通じて高知県の長期的な発展という観点からも極めて重要なものだと思っています

 本日、大変貴重なご意見をいただきましたので、また、県庁各部局と一緒に相談しながら29年度以降の政策につなげさせていただきたいと思います。

 また、本日いただいたご意見の中で、より詳細な点について、またご質問させていただいたりすることもあろうかと思いますが、またよろしくお願いいたします。

 本日は大変ご多忙の中、本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 

閉会

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