四万十ぶしゅかん普及の取り組み ~四万十育ちの『禁断の果実』をブランド化せよ!~

公開日 2019年08月09日

平成30年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

四万十市の取り組み(幡多ブロック)

<四万十ぶしゅかんの普及に向けて>

 ぶしゅかんは、四万十市を中心に高知県西部に分布する、まろやかな酸味と独特の風味、そして皮の香りの強さを特徴とする柑橘類(酢ミカン)です。四万十地域では古くから、何にでも使える調味料・薬味として利用され、特に夏の終わりごろに獲れる新子(宗田鰹の若魚)にはぶしゅかんが欠かせない薬味として愛されてきました。
 これまでぶしゅかんは市場にはほとんど流通しておらず、家庭の庭先に必要な分だけ植えられている程度で、果樹としての栽培農家も皆無でした。地域でも「買うものではなく、庭先で取ったり、分けてもらったりするもの」として認識されてきました。
 このぶしゅかんのポテンシャルに目をつけ、産地化・加工・販売を同時に進めることで一大産業に育てようとしているのが、地元有志の「チームぶしゅかん」から始まった、四万十ぶしゅかん生産者組合と四万十ぶしゅかん株式会社の取り組みです。

01事業の主体と全体像
【事業の主体と全体像】

1.産地化 ~生産者組合の立ち上げと栽培マニュアル作り~
 ぶしゅかんは生命力が強く100年間も実をつけ続けると言われており、地元では世話がかからず病気や害虫に強い木であると認識されています。しかし、大きな圃場で一斉に育てるとなるとそれが通用するのか?苗木の作り方は?最適な施肥管理は?などなど、産地化となると、他の柑橘のノウハウが参考になるとはいえ、明らかにしておかなければならない事がたくさんあります。
 平成28年5月に発足した四万十ぶしゅかん生産者組合では、県の幡多農業振興センターの指導を受けながら、土作りや苗木の定植、幼木、成木とそれぞれの段階に応じたノウハウをまとめた「ぶしゅかん四万十方式栽培マニュアル」を作成しました。完成までには、栽培に新規参入しやすいよう手間のかからないようにする、収量向上の目的は達成するよう、買い手への訴求力を高めるため有機JAS並みの基準で、などなど、さまざまな観点から検証されてきました。
 また、四万十市内で定植するための苗木を購入する場合には市が一定の支援をしています。四万十市としてもぶしゅかんを戦略品目と位置づけており、こうした動きを市役所が一緒に盛り上げています。

02ぶしゅかん
【ぶしゅかん】
03関係者で苗木の生育状況を視察
【関係者で苗木の生育状況を視察】

2.加工 ~搾汁工場の整備~
 加工から販売までの工程を担うのが、地元企業を母体として立ち上げられた四万十ぶしゅかん株式会社です。(実際は収穫もやったりしています。)
 平成29年3月には、四万十市佐田に新しいぶしゅかん搾汁工場が完成しました。事業主体は四万十ぶしゅかん株式会社で、四万十市産業振興推進総合支援事業費補助金を活用したものです。生産者組合で栽培されたぶしゅかんはもちろん、一般家庭の庭先のものまで、四万十市内のほとんどのぶしゅかんがこの工場に集められ、選果、搾汁、冷凍保管が行われます。青玉で高値販売できる物を除き、果汁は業務用に販売されるほか、さまざまな加工品に活用されており、多用な商品展開がなされています。

04搾汁工場
【搾汁工場】
05選果・洗浄
【選果・洗浄】

3.販売促進 ~ぶ酎ハイの展開~

06ぶ酎ハイ【ぶ酎ハイ】

 販売促進については、関係者による県内外の商談会への参加はもちろん、平成28年からのぶしゅかん解禁祭の継続開催やテレビCMの放送、ぶしゅまろクンやテーマ曲の展開など、組合、会社、市が協力して幅広く精力的に行われています。
 その中でもここで紹介したいのは、ぶ酎ハイの展開です。ぶ酎ハイとは読んで字のとおり、ぶしゅかん果汁の酎ハイで、県内の方なら平成30年の夏ごろ、テレビでCMが流れていたのをご覧になったことがあるかもしれません。四万十市内ではすでに約40軒の居酒屋でこのぶ酎ハイを飲むことができ、爽やかで独特の風味と酸味がやみ付きになるということで人気を博し、定番となりつつあります。
 最近では高知市内の居酒屋でも置いているところがあると聞きますので、高知市近辺に在住又はお越しの方は、居酒屋で「ぶ酎ハイある?」と聞いてみていただければと思います。また、ぶ酎ハイを作るためのシロップも展開されていますので、ぜひ一度お試しください。

 

○地域支援企画員としての活動

 このぶしゅかんの取り組みは、平成28年度から幡多地域の地域アクションプランとして位置付けられており、地域支援企画員として、四万十ぶしゅかん生産者組合の方々や四万十ぶしゅかん株式会社の方々、市役所の方々から随時状況を把握させてもらうとともに、商談会や人材確保関係、衛生管理関係、研修関係などの情報を収集・提供し、また、PR活動への協力にもつとめています。
 印象に残っていることは平成30年のぶしゅかん解禁祭で、新開発のぶしゅかんシャーベットの販売を手伝わせてもらった時のことです。シャーベットが硬く右手の痺れがしばらく取れなかったことも印象深いのですが、つい数年前は何も無かったところから、そうした商品が次々に生まれてくる環境になったのだなと、ふと関係者のご尽力に思いを馳せたときの心情をよく覚えています。今後も地域支援企画員として、また、いち地元民として、ぶしゅかんの取り組みを支援していきたいと思っています。

<この記事に関するお問い合わせ>
 四万十市地域支援企画員 電話:0880-34-1103

連絡先

高知県 産業振興推進部 計画推進課
住所: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当  088-823-9333
成長戦略担当  088-823-9049
地域産業担当  088-823-9334
地方創生担当  088-823-9335
ファックス: 088-823-9255
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