PM2.5

公開日 2022年04月28日

PM2.5の概要

 PM2.5とは、直径(空気動力学径)が2.5µm※1前後の微粒子のことで、「微小粒子状物質」とも言います。これは髪の毛の太さの1/30程度の大きさです。“PM”とは、“Particulate Matter” の略で、大気汚染物質の一つである浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)(=10µm以下の微粒子のこと)の1つであり、粒の大きさが名前になっています。PM2.5は軽量で、ほとんど沈降せずに、大気の流れにのって遠くまで広がる性質があるため、SPMに比べ広域的な影響を受けやすいと考えられます。

図1PM2.5及びSPMの発生源(概念図)

 これらの粒子状物質は人為起源、自然由来のさまざまな化合物(炭素、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム及びアルミニウムなど)から構成され、地域や季節によってその成分組成は変化し、様々な大きさの粒子が含まれる混合体です(図1)。また、排出された時点で粒子状のものもあれば、ガス状物質が光化学反応や中和反応により粒子化して2次的に粒子になったものもあります。このような大気汚染物質の多くは、工場、自動車、船舶などの排ガス、道路粉じん、その他人間活動に伴って発生しており、私たちの資源やエネルギーの利用と密接に関係しています。一方、黄砂や海水の飛沫由来の微粒子も存在し、季節によって大きく変動します。

※1:「µm(マイクロメートル)」は「mm(ミリメートル)」の1000分の1の長さです。つまり、1µmは0.001mmです。

健康への影響

 大気中に浮遊している粒子は粒径が小さいほど気管を通過しやすく、より肺の奥に付着するため、人体への影響が大きいと考えられています。PM2.5は微小なため、より人体の奥に入り込み、炎症などを起こしやすく、ぜんそくや気管支炎、肺がんの発症リスクを高めたり、循環器系への影響も懸念されています。
 また、粒子の大きさだけでなく、その成分によっても影響が異なります。成分構成は発生源の推定や削減対策につながるため、粒子の濃度とともに重要視されています。
 

PM2.5への対策

 平成21年9月に環境省は、微小粒子状物質に係る環境基準について告示しました(表1)。

  環境基準 測定方法
表1 微小粒子状物質(PM2.5)に係る環境基準

微小粒子状物質(PM2.5)

1年平均値が15µg/m3以下であり、1日平均値が35µg/m3以下であること。 濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法

※環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については、適用しない。
※微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5µmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。

 PM2.5は、様々な成分で構成され、しかも地域や季節、気象条件などによってその組成がさまざまに変動することから、健康影響が起きる濃度水準を明確に示すことは難しいと考えられています。このような前提に基づき、PM2.5の環境基準については、疫学知見から総合的に判断して設定されています。したがって、環境基準を超えると直ちに健康影響があるという基準ではありません。

 高知県ではPM2.5の状況を6ヶ所の測定局で常時監視しています(図2)。なお、高知市内の測定局については高知市が監視を実施しています。

PM25測定局

図2 PM2.5測定局(安芸、土佐山田、介良、伊野合同庁舎、旧須崎高等学校、中村)(令和4年4月1日現在)


 全国的なPM2.5による大気汚染の状況については、これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や自動車排出ガス規制などにより、年間の平均的な濃度は緩やかな減少傾向にあり、高知県内においても環境基準が達成される状況が見られるようになりました。

過去の全国のデータはこちら(環境省HP)

過去の高知県のデータはこちら(高知県HP)

注意喚起の発令情報

 環境省は、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均70μg/m3と定めました。
 高知県では、地域住民の健康保護と生活環境の保全のために、高知県大気汚染緊急時対策要綱を定め、注意喚起のための発令基準に基づき、緊急時には広報を行うこととしています。

  午前中の早めの時間帯での判断基準 午後からの活動に備えた判断基準
5時~7時 5時~12時

 表2 注意喚起のための発令基準※2

1時間値の平均値

(μg/m3) 

85超 80超

※2:各判断基準及び測定局の状況により1日平均値が70μg/m3を超えると予想される場合に注意喚起を行うこととしています。

注意喚起が発令された場合
 一般に、人への影響はPM2.5の濃度だけでなく、暴露時間や年齢、健康状態等によって異なることから、次のような行動をとるよう心がけてください。

  • 屋外での激しい運動・長時間の外出を避け、できるだけ屋内に入りましょう。
  • 屋内では、換気や窓の開閉を必要最小限にしましょう。
  • 呼吸器系や循環器系の疾患がある方、子どもや高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があるので、体調に応じて慎重に行動しましょう。 

PM2.5の濃度及び発令状況
 高知県内の速報値及び発令状況、その他全国の濃度状況は以下のホームページからご確認いただけます。

高知県の速報値及び発令状況はこちら(高知県HP)

全国の濃度状況はこちら(環境省大気汚染物質広域監視システム"そらまめくん")

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この記事に関するお問い合わせ

高知県 健康政策部 衛生環境研究所

所在地: 〒780-0850 高知市丸ノ内2丁目4番1号 保健衛生総合庁舎
電話: 総務担当 088-821-4960
企画担当 088-821-4961
保健科学課 088-821-4963
生活科学課 088-821-4964
環境科学課 088-821-4697
ファックス: 088-821-4696
メール: 130120@ken.pref.kochi.lg.jp
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