第9回INAP報告書第1部(高知)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

2007年9月5日

第9回INAPシンポジウム 第1部各港ショートスピーチ

●INAP2007高知会議・シンポジウム●
     −高知県知事あいさつ−

 INAP2007高知会議のシンポジウムの開催にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 海外からINAPにご参加されました会員港の皆様を始めご列席の皆様、本日のシンポジウムにご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃は高知県の港湾行政の推進にあたり、格別のご高配をいただいておりますことに、心から感謝申し上げます。
 高知県では貿易振興による県内企業の活性化を図るために、高知新港の整備を進めてまいりました。また、港を通じた経済交流を積極的に図っていくために、他国の国際港との姉妹港や友好港提携を締結し、INAPという友好港同士のネットワークを作りました。 INAPは、姉妹港同士の1対1の関係だけでなく、ネットワークを通じたより多面的で重層的な交流を行うことにより、各会員港とその地域の発展に寄与することを目指しています。
 具体的には、3つの目的があると思っています。一つは、最新の海運動向や経済情勢など港湾に関する情報交換を行うことにより、各会員が国際港湾として発展すること。二つ目には、各会員の属する地域同士が経済面や文化面での交流を行うことにより、経済成長と相互理解を実現すること。そして最終的には、それらの活動を通じて港湾が世界平和の実現に貢献することを目指しています。
 本日のシンポジウムでは、その中でも大きな目的であります、「会員港相互の経済交流の推進」をテーマに意見交換を行い、今日はみんなで一緒になってその方策を考えて行きたいと思っています。
 1998年に第1回目のINAP会議がスリランカのコロンボで開催されて以降、今年で9回目を迎えました。この間、高知県のことだけを見ましても、INAP会員港との経済交流は、着実に進み交流の輪が広がっていると実感しています。
 今後とも、INAPのネットワークを通して、それぞれの国や地域との経済交流を積極的に行っていきたいと考えていますので、本日ご列席の皆様方におかれましても、引き続きご協力をいただきますようお願い申し上げます。
 最後に今日のシンポジウムが、今後の各会員港のさらなる発展の契機となることを期待いたしますとともに、INAPの大きなビジョンである、「環境に優しい社会及び平和で調和のとれた地球の実現」に近づいていくことを祈念いたしまして、私からのごあいさつとさせていただきます。



●フィリピン・セブ港の紹介●
 −セブ港湾庁副長官 デニス・ヴィラモア−

 セブ港は、フィリピンの港湾の中でも、最も歴史がある主要港湾であり、フィリピン列島の中心という戦略的要衝に位置しています。セブは、スペインがフィリピンに1521年に入ってくる以前のはるか昔、紀元900年ごろから数世紀にわたって、フィリピンの貿易の中心地の1つとして、中国、インドネシア、マレーシア、インドなどのアジア近隣諸国と交易をおこなっていました。
 今日、セブ港はわが国第二の港湾となり、2006年の総乗降客数が1300万人強となるなど、わが国港湾で最大の利用者数となっています。
 セブ港は、セブ港湾庁(CPA)が運営・管理を行う港湾であり、1992年6月26日付けでフィリピン議会の立法機関制定法を通じて設立され、100%政府が所有し経営する政府系企業です。
 セブ港湾庁は、政策調整のみを業務目的として運輸通信省に所属しており、貨物取扱業者、船主、船舶業経営者、海運業者など民間で構成される、セブ港湾委員会を下部組織としています。
 他の港湾とは異なり、CPAの運営委員会の政府系代表者は、職権上、運輸通信大臣のみなので、この構成は、政府系企業としては独特のものです。この組織編制は、典型的な政府官僚の落とし穴にはまることなく、民間セクターと緊密な関係を構築するという重要な利点を享受してきたという点で、CPAにとって有利に働いてきました。
 この短い説明で、皆さんがわが港湾についてもっと知りたいと思っていただければ、そして、INAP会員港としてのわが港湾と互恵のビジネス関係を結ばせていただければ非常に幸甚です。ご静聴ありがとうございました。



●会員港相互の経済交流の促進●
 −スリランカ港湾庁 部長 W. K. アリヤダサ−

 スリランカ港湾庁総裁のサリヤ・ウィクラマスリヤに代わりまして、本日このINAP2007にお集まりの会員各港の代表者の方々に心からのご挨拶を申し上げます。
 さて、INAPシンポジウムも今回で9回を数えます。INAPの活動を支えておられる会員の方々、政府の方々のお働きを非常にうれしく思い、また誇りに感じております。特に、高知港の橋本大二郎高知県知事におかれましては、2007年のINAP総会およびシンポジウムを主催され、非常なお働きをいただいておりますことに感謝を申し上げます。本日ここに参加させていただいております私どもも、この美しい 高知県を訪問できまして非常に光栄でございます。
 経済と友好の交流を通じて世界の港湾の発展を促進し、もって、世界の平和に貢献することを目的として1998年に設立されたINAPが、いまや、その目的のために着実に活動を続けていると言わせていただけることは非常に喜ばしいことです。
 今後とも、会員港が協力しあい、関係を強化して、特に、会員港との間の経済交流を推し進めることで、より良い将来に向かって明るい将来を築いていこうではありませんか。今年のシンポジウムのテーマは、この点で非常に適したものだと思います。高知港におかれましては、総会およびシンポジウムの開催にご努力をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。私も、コロンボ港の業務をご説明し、知識や経験を会員港の皆様と共有しあうことで、それぞれの港の立場にかかわらず、地位の向上ができるよう祈念するとともに、私たちが今日経験しておりますさまざまな問題点を話し合う機会となればと思っております。
 最後に、高知県知事ならびに高知県土木部の皆様に対し、INAP2007の開催に対するご協力とご支援に深く感謝を申し上げます。



●韓国・木浦新港の紹介●
 −木浦新港湾株式会社 代表理事社長 チェ・ビョンス−

 尊敬する日本国高知県の橋本大二郎知事、フィリピン・セブ港のバーダン長官、フィリピン・スービック湾港のサロンガ長官、スリランカ港湾庁のウィクラマスリヤ総裁、インドネシアタンジュンペラ港のバロト長官、中国・青島港集団有限公司の常総裁をはじめ、INAP会員国の代表団の皆様、そして、ご来場の皆様、本日、皆様にお会いできたことを、非常に嬉しく思っております。
 私は大韓民国の木浦新港湾株式会社の社長を務めさせていただいているチェ・ビョンスと申します。
 まず、私は、木浦新港が、伝統を誇るINAPの七番目の会員、幸運を意味するLucky Seventh Memberになれたことを、この上ない光栄と思っております。そして、INAPの第9回総会が、成功裏に開催されること、心からお祝いしたいと思います。
 私ども、木浦新港の役職員は、「INAP憲章」を尊重し、実践して行きながら、会員港の皆様と積極的に協力関係を築いていく計画でございます。
 今後もくれぐれも、先輩会員港の皆様の惜しみなきご声援とご指導をお願いしますとともに、今回の総会が、建設的なコミュニケーションを通じ、相互理解と協力を増進させる実質的な成果を得られることを、お祈りします。
 我々、木浦新港湾株式会社の紹介は、約9分間に渡るビデオ映像で代わりとさせていただきますので、ご覧ください。

★木浦新港PRビデオ(日本語訳)★
 21世紀、東北アジア時代の拠点港湾、木浦新港湾。
 韓国、中国、日本を結ぶ東北アジアの海上物流の中心軸、木浦新港湾は、最適の地政学的位置にあるだけでなく、前面が多島海に囲まれた自然防波堤、15m以上の自然水深、365日、24時間入出港が可能な港湾で、天恵の条件を全て備えています。
 このような全天候港湾の環境を基に5万トン級船舶3隻が同時に接岸できる大型埠頭で、年間500万トンの一般貨物とコンテナ50万TEUを処理できる能力を持つ木浦新港湾。
 木浦新港湾は多目的埠頭としては唯一、最先端施設とSI運営システムを備え、オーダーメードサービスを提供し、お客様の物流費用を節減するため努力しています。また国内港湾の中で最短期間内に韓国物流大賞を受賞するなど先進型3世代港湾としての位置を固めています。
 木浦新港湾が備えた完璧な陸、海、空の交通インフラは、木浦新港湾を韓国の物流の中心へとスピーディーに成長させています。韓半島を縦横断する1号線と2号線国道、木浦新港湾から始まる木浦大橋は西海岸高速道路と連結され、光州―木浦間高速道路、光陽―木浦間高速道路、湖南高速鉄道、新産業鉄道、務安国際空港に至るまで、木浦新港湾は韓半島全土の隅々を繋いでいます。
 大韓民国物流の始まりとの出会い。ここ木浦新港湾から韓国物流の道は大きく開かれます。韓国の拠点港を越え、東北アジアの中心港湾として浮上している木浦新港湾。木浦新港湾は21世紀、EUとNAFTAを上回る高度成長市場として注目を集めている東北アジアの頂点に立っています。特に上海、ションジョン、シャーマン、青島など中国の浮上する主要港湾とは最短距離に位置しています。
東アジアとアメリカ州、ヨーロッパを結ぶメーン・トランク・ラインの中心で世界物流の核心要地として浮上している木浦新港湾。このような最適の環境の基で2011年まで12バースに、名実共に環黄海圏の拠点港湾、最も能率的な多目的港湾へと飛躍していきます。
 東北アジア物流競争力との出会い。今、木浦新港湾は世界を代表する港湾へとその名を新たに刻んでいます。顧客オーダーメード型の港湾運営とプレミアム級インセンティブ、そして最先端港湾を支援する物流インフラまで。
 民間投資港湾としての先立ったマインドを持つ木浦新港湾は、海洋水産部と全羅南道、そして木浦市と緊密に協力し、お客様第一の精神で色々なサービスとインセンティブ制度を運営しています。このような木浦新港湾の物流費用競争力は背後敷地ツリーポートにつながります。
 港湾区域内に位置し、画期的な物流費用の節減が可能なツリーポートの物流流通団地には、既に石材物流センターをはじめ非鉄金属基地など物流流通施設などが入っており、公共施設、金融、貿易タウンが造成され西南海岸の国際物流を主導しています。
 都市と自然が調和した、新しい概念の海上都市ツリーポートと共に、顧客オーダーメード、3世代先進港湾の木浦新港湾は、皆様のビジネスの成功をお約束いたします。木浦新港湾との出会いは、希望と未来が込められたグローバルプロジェクトとの出会いを意味します。世界が東北アジアに入り、また東北アジアが世界に伸びる関門、木浦。大佛、木浦、サプジン、光州河南、チョムダンに至る背後の産業クラスターと務安企業都市は木浦新港湾の価値をさらに高めています。
 アジア・ベガスタウンとオーシャンマリーナなどが建設される観光レジャー型企業都市Jプロジェクト、そして西南海岸9000万坪に建てられるSプロジェクトは、航空物流団地、科学研究団地と4つの島を結ぶダイアモンド諸島と共に、木浦を空と海そして陸地を結ぶ立体物流の中心へと跳躍させています。この他にも全羅南道庁の木浦移転と共に、韓国電力、韓国農村公社など政府出資機関の羅州移転による光州全南革新都市の建設で、木浦新港湾の発展速度は一層スピードを増しています。
 東北アジア国際交易の中心、木浦新港湾の未来との出会いは既に始まりました。



●交流を促進し、協力を増進し、共同発展しよう●
 −青島港集団有限公司 董事局主席、総裁 常徳傳−

尊敬するINAP会長、ご臨席の皆様:
 こんにちは。旧友と新友の皆様、美しい日本の高知県で一堂に会し、第9回INAP会議に参加させていただき、共に“会員港相互の経済交流の促進”というテーマを探求できることを、とても嬉しく思います。
 世界経済の一層のグローバル化及びアジア経済の持続的な急速発展に伴い、今日のアジアは世界の経済発展に不可欠な地域となりました。欧米諸国の経済発展がしばらく衰えた時期に、世界経済を先導し支えるエンジンの役割も果しました。
 世界経済、特にアジア経済の急速な発展は、アジアの海運市場に持続的な繁栄を持たらし、特に港湾の建設を促進しました。2006年の取扱量世界トップ10の港の中で、アジアの港が8つを占め、絶対的な優位を持っています。その中の3港は、取扱量が同時期比で15%以上も伸びました。また、世界トップ10のコンテナ港の中で、上位6港は全てアジアの港です。
 急速発展しているアジアの港の中でも、中国の港はとりわけ急速に成長してきました。すでに世界の港湾大国になり、コンテナ取扱量は4年続いて世界第1位を占めます。世界トップ10の港の中に、中国の港は5つもあり、上海、寧波、広州、天津、青島はすべて名が上げられており、5港の取扱量は、それぞれ2億トンを超えています。青島港は中国全体の成長とともに、急速に発展しました。2006年のコンテナ取扱量は、770.2万TEU、港全体の取扱量は2.24億トンを達成し、世界トップ10の港にランキングされました。輸出入の貿易取扱量は1.68億トンを達成し、長年、中国沿海部の港の第二位を保っています。輸入鉄鉱石の取扱量は5752万トンで、世界第1位です。原油輸入量は2784万トンで、中国沿海部の港で、第1位となっています。
 私達は世界で最も効率的な港を目指し、“秒の時代”を標榜しました。ストップ・ウオッチを握りながら潜在力を掘り起こし、世界的な効率のよい速い港を作ります。このため、私達従業員は、広範な仕事の“特技” 訓練、特技試合などの活動に取り組みました。1500余りの“特技”が出され、700余りの新記録が打ち立てられました。その中で、コンテナ荷役の“振超効率”は世界記録を6回も打ち破り、コンテナクレーン最高荷役量は1時間で96箱に達します。昨年、世界の各コンテナ埠頭の作業効率に関して、世界最大手の海運会社マースクが行った調査結果によると、青島港は一時間あたり177M(move)の成績でトップになっています。鉄鉱石荷役の“孫波効率”は世界記録を6回打ち破り、一時間で6260トンを取り扱えます。世界最大の鉱石輸入港―ロッテルダム港よりはるかに高い記録です。
 また、私達は資源を節約し、環境に優しく、品質より実益を出す発展方針を続けています。連続6年間、新規に大規模埠頭が建設されなかった厳しい条件下で、革新、管理、技能特訓に効率性を求め、能力を向上させ、内部の潜在力を引き出すことにより、2001年~2005年の取扱量は5年間で1億トンも増え、億トンクラスの港を一つ建設しました。中国全体の1.3%規模の埠頭で、7.1%の取扱量を達成したことは、特殊な意味を持つ“12”(1ダイナリ2)の奇跡を生み、青島港1港の能力で、2港分の業績を収めたと言えるでしょう。昨年、私達は1億トンの能力で、2.24億トンの取扱量を達成し、コンテナは225万TEUの能力で、770万TEUの取扱を達成しました。
 今年、青島港の取扱量は、わずか138日間で1億トンを上回り、上半期はすでに1億3162万トンを達成し、同時期比で19.8%の増となりました。コンテナは461.8万TEUを達成し、同時期比で27.6%の上昇となっています。一方、総合エネルギー消費量は、同時期比で4.5%下がりました。年間取扱量は2.6―2.7億トンで、コンテナは900万TEUを達成する見込みです。私たちは“青空、緑地、碧水”を目指し、空に暗い煙とほこりが見えず、道に沙塵土が見えず、水面に浮いているごみがないよう工夫しています。政府から環境にやさしい企業、全国の緑化模範部門に選ばれています。 今年はまた、6000数万元を投入して、鉄鉱石、石炭などのバラ貨物の防塵工事を強化しています。スピード感のある合理的な発展の道を踏み出しました。
 本年7月15日、中国政府、山東省、青島市は、共同で北京人民大会堂にて“青島港の科学的発展・シンポジウム”を行い、青島港が特色ある企業管理形態を創造したことが高く評価されました。
 友人の皆様、この9年来、私達はみなさんから多大な経験を習得でき、青島港の有効的な管理と発展に寄与しました。今日の世界は港の発展が急速であり、各国とも貴重な経験と方策をたくさん積み上げていると思うので、お互いの交流を深めることはとても重要だと思います。このため、私は下記の提案をさせていただきます。
 一番目は、会員港同士の情報交換を強めることです。各会員港は1名の連絡係を指名し、定期的に本国の港湾や経済の情報をお互いに提供し、相互理解を促進しながら、共に発展できるよう、必要な協力をすることです。
 二番目は、会員港同士の資源協力を強化することです。各地区で会員港の宣伝を強め、会員港の国際的知名度を上げます。そして、可能な範囲で、貨物や航路の誘致を協力して助け合い、共同発展を図ることです。
 三番目は、会員港の人的交流を強化することです。相互訪問を通じて、双方の友情と理解をより一層深めるとともに、定期的に従業員も派遣し合い、短期研修などでお互いに勉強し、ともに向上することです。
 皆様、私達は幸運にも、美しく豊かなアジアで生活し、お互いを信用して、とても親密な仲間になり、INAPという大家族の一員になりました。一心同体となって共に努力し、INAPをアジアの、さらには世界でも有名な、影響力のある組織になるように発展させましょう。港同士の協力と発展を促進し、手を携えてアジアの海運業の栄光を共に作りましょう。
 最後に、皆様のご清祥とご健勝、ご家族のご幸福をお祈り申しあげます。ご清聴ありがとうございました。



●フィリピン・スービック湾港からのメッセージ●
 −スービック湾都市開発庁長官 フェリシアーノG. サロンガ−

 フィリピンのスービック湾フリーポートゾーンを管轄・運営するスービック湾都市開発庁(SBMA)を代表しまして、INAP会長ならびにINAPの会員港諸兄にご挨拶を申し上げます。
 また、高知県の皆様におかれましては、INAP2007会議の主催の労をとっていただき、感謝を申し上げます。
 私どもは、スービック湾港がINAPの設立会員の一員であることを非常に誇りに思っております。スービック湾港は、このINAPという組織の成長とダイナミズムとともに、持続的に成長しております。
 成長するアジア経済の要衝であり、アジア太平洋地域の主要港湾や都市を結ぶ航路に位置するスービック湾港は、この地域における最も発展するゲートウエイであり、積み替え港の中心であり、流通とロジスティクスのハブ港として成長してまいりました。
 スービック湾フリーポートゾーン内に設置している主な設備としては、水深の深い、守られた天然の良港で、15の港湾および埠頭が利用可能です。また、スービック湾北東部の大型造船所のほかにもバルク穀物・肥料ターミナル、旅客・クルーズ船ターミナルがあります。
 最近の展開としては、スービック湾開発プロジェクトで、グロリア・マカパガル・アロヨ大統領が新コンテナターミナルの供用を宣言してまもなく、2008年6月には第二コンテナターミナルの運用を開始することが発表されました。
 この2つのコンテナターミナルの総敷地面積は30ヘクタールの中に、新しいガントリークレーン4基が設置されているのが特徴で、合計で60万TEUのコンテナを取り扱うことができます。これは、供用前の取扱い数の6倍です。また、今月に完成する予定の全長3.1kmのアクセス道路は、完成すれば、この2つのコンテナターミナルは既存の高速道路に接続されることになります。
 スービック湾港の能力をさらに高めることができる要素として、良好な立地条件があります。スービック湾はわが国でも最大の経済特区やフリーポートにあり、ここでは800におよぶ国内外の投資家が造船、海運、IT、軽工業、不動産開発、製造、教育、観光、貿易等の企業に投資しています。
 わが港湾の能力をさらに高めるインフラとしては、まもなく開通予定(2008年3月)の、4車線の全長94kmの高速道路があります。この道路はスービックとクラークの2つのフリーポートを接続する他、セントラル・ルソンの他の地域もこの道路で結ばれることになります。
 また、スービック湾フリーポートゾーンには、免税措置が与えられており、財や資本が自由に行き来することができます。そのため、これまで50億米ドル相当の投資の誘因となってきました。健全な産業が育成されており、高品質の熟練労働者が豊富にあることも、同様に重要な要素となっています。
 皆様、一度スービック湾港にお越しくださり、実際に、良好なアクセス性、産業のインセンティブ、競争力をその目でご覧ください。私たちは、INAP会員港の皆様との相互に有益な経済交流に大きな期待をさせていただくとともに、同様の機会を模索することができる他の港湾からのお問い合わせにも喜んで答えさせていただきます。


●INAP活動の9年間を振りかえって●
 ―タンジュンペラ港長官 アクマド・バロト―

 今回の会議のテーマは、「会員相互の交流促進」です。ここで、私たちがINAPを協力フォーラムであると宣言した9年前から現在まで、ともになしてきたことを確認し、将来どのように構築していくかについて、考えてみたいと思います。
 9年間は短い期間ではありません。この間、私たちは、さまざまな活動や会議を行い、暖かくすばらしい記憶を共有してきました。また、さまざまな友好訪問もありました。しかし、そのようなすばらしい出来事を共有してきた私たちは、本当にそれで満足するべきなのでしょうか。その答えは、私はNOであると思います。その理由を述べてみます。
・ 第一に、私たちのこれまでの活動
・ 第二に、INAPに存在してきた問題点
・ 第三に、この協力フォーラムから、私たちが今まで以上に期待できること。
・ 第四に、情報として、タンジュンペラ港が顧客サービス品質を向上させるために実施してきたこと。

・ 港湾の存在の影響
 港湾の存在が、都市だけではなく国レベルでも巨大な相乗効果を及ぼしていることは明白な事実です。私たちすべてがよく知っているように、国内外の商品取引の80%以上が、海上輸送によっておこなわれています。これは、大量の貨物を移動する費用対効果が高いことがその理由です。

 したがって、港湾は、国内や海外の取引を助けるための重要なロジスティックチェーンとなっていることは明らかです。しかし、もし、最良のサービスを提供して取引を促進するという、真実の業務を港湾運営者が実現できないとすれば、そのロジスティックチェーンは非効率であるといわなければならないでしょう。

 この考え方をすれば、私は、INAPの協力フォーラムを、会員港間の協力促進だけではなく、INAP会員港間の国際経済および貿易に資するものとしても用いることができればと考えるわけです。

・INAP会員港間の協力の実現
 これまで、INAPは、公式・非公式の会議、シンポジウム、協議、公式・非公式の訪問等によって、会員港間の関係強化に成功を収めてきました。この情報交流で恩恵を受けるのは、私たちのみではないと思います。しかし、私たちは年1回の協力活動だけにとらわれてはならないのです。
 事実、INAPの協力フォーラムは、スラバヤの事業者たちが取引関係を実現させていくための間接的な大きな助けとなってきました。たとえば、それまで日本に輸出することができなかったいろいろな商品が、今では日本でも手に入るようになっています。家畜の飼料となるシュガーケーントップ、有機肥料などの商品があります。これらは、両者相互の良好な理解がなければ、絶対に達成することはできないものでしょう。港湾運営者として、私はこのような関係の実現に非常に喜んでおります。会員港間の貿易のレベルがこれまでより高くなっているということは、私たちの港湾を通して輸出入される商品の数がそれだけ多くなるということを意味しています。
 これを視覚的に理解するためには、特にINAP会員港間でスラバヤを通して輸出入される貿易活動のデータを見ることが良いでしょう(仕向国のなかには表示されていないものがありますが、これは、シンガポールで積み替えが行われるからです)。
・INAP、将来の問題と期待
 INAP協力フォーラムは今後、さらに大きな問題に直面することになるだろうと思います。この関係を維持し、向上していくことは簡単なことではありません。会員港の協力と強いコミットメントが必要となるでしょう。基本的には、私たちは既にその確固とした基盤を持っています。各会員港は、それぞれの会員港の詳細、長所、短所、具体的な特徴について、詳細に知っています。
 これを前提とした上で、将来的にはINAP協力フォーラムにはさまざまなことが期待できると考えます。たとえば、
・会員港間の協力関係を、経済的なものだけではなく、経営、技術、情報システム、環境システムなど、他の分野に拡大すること
・各会員港が個別あるいは共同して他の非経済系の協力推進に貢献すること、また、協力関係のシステムがある場合には各国政府に働きかけて、政策や法律の形でインセンティブを引き出す努力をすること (たとえば、会員港によるサービスの分配は、輸出入手順あるいは税の減免などによって促進されていないことが多い)。
・ 協力フォーラムとしてのINAPが統一した形で広い世界の港湾活動の促進を行い、これによって他の国際フォーラムからこれまでよりも認知されるようにすること。
・本稿の最後に、顧客サービスを向上させるためにタンジュンペラ港が行ってきた活動について説明させていただきます。
・タンジュンペラ港が行ってきた向上策および開発活動
私たちは、顧客の存在がなければ、私たちは無であると認識しており、常に最良のサービスに努めています。私たちが行ってきた努力のいくつかをご紹介します。
 a)タンジュンペラ・スラバヤ港の拡張として、ラモン湾に50ヘクタールのターミナルを新規建造しています。この新しいターミナルは年間1,138,000TEUの貨物を収容することができます。このターミナルは、旧港湾とはそれほど離れてはおらず、9,600スロットを有し、水深は14mあります。
 b)ワンデイビリングプログラムを有する総合キャッシュ管理システム。このプログラムは、顧客がその日の利用代金の請求書をその日のうちに受け取れるように設計されたシステムです。これまでは、できるだけこの期間を短縮しようと努めてきました。
 c)タンジュンペラ港を環境にやさしい港湾とするため、廃棄物受容施設の最適化を図っています。 (グリーンポート、きれいな海)
 d)港湾サービスの手続書類一式をそろえ、手続きを簡素化することによって、料金の低減をはかり、顧客の理解を得やすくすること
 e)タンジュンペラ港でISPSコードを使用可能とすること
 f)国内・国際レベルでおこなわれる港湾協力プログラム、あるいはタンジュンペラ港のステークホルダーと協調しての港湾協力プログラムへの積極的な参加をおこなうことで、協力の輪を広げること
 以上で終わります。このプレゼンテーションが私たちすべてに資することを希望します。ご清聴ありがとうございました。


この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 総務担当 088-823-9882
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
ポートセールス第二担当(客船対応・企業誘致) 088-823-9890
ファックス: 088-823-9657
メール: 175201@ken.pref.kochi.lg.jp
Topへ