第8回INAP報告書(コロンボ港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月16日

2006年11月14日

第8回INAPシンポジウム:コロンボ港

将来の競争に打ち勝つ持続的港湾の創造

 スリランカ港湾局が直面している問題点、その対処の方法、ならびに、今後の成長戦略について紹介させていただきます。今日、コロンボ港は国内および域内の港湾との熾烈な競争に直面しております。“積み替えのハブ港”としての地位を維持しつつ、次世代の船舶を受け入れることができる必要なインフラ設備を整備することは非常に難しい時代となっております。
 私たちの港湾は、かように非常に厳しい状況に直面しているわけでありますが、コロンボ港の場合は、“2015年までにアジアで第一のハブ港運営者”となることをビジョンに掲げております。今後9年でこの悲願を達成するため、戦略的アプローチを取ることを計画しております。運が味方をしてくれれば、それよりも早い時期に達成できるかもしれません。時間も限られておりますので、簡単に説明をさせていただきます。まず、コロンボ港は今日、どのような地位にあるのでしょうか。

コロンボ港の長所、現在の資源 – インフラと設備
港湾
1. 土地、建物、操業施設
 コロンボ港は人工港湾であり、港湾は、南西部、北東部、北西部を防波堤で囲まれています。港湾地域は、全体にわたって船舶関連施設の用途に供しております。ウォーターフロント地域から港湾境界部の開発地域は、貨物取扱地域として使用しております。また、船舶修理設備、スリランカ港湾局のバース、税関、海軍船舶の係留および燃料供給設備にも使用されています。

2.貨物取扱施設
 貨物取扱施設は、当港湾の最大の施設であり、コンテナターミナル3ヵ所で構成されています。その大きさや容量を大きさの順に説明させていただきます。

(a) ジャヤコンテナターミナル(JCT)
 JCTはスリランカ港湾局が運営する施設です。コロンボ港の東側に位置し、水深の深い長い埠頭が2つ、直角に配置され、バースは4つあります。この埠頭は、それぞれ、6隻の船舶を港湾のコンテナ用ガントリークレーン(SSCC)に停留さることができます。また、ガントリークレーン2基を有するフィーダーバースもあります。バックアップエリアは、幅330mと380mにわたって整備され、港湾部周辺道路におよんでおり、タイヤ式ガントリークレーン(RTG)が使われるコンテナヤードがあります。さらには、レール式ガントリークレーン(RMG)が空コンテナヤードに設置されています。ターミナルには、冷凍倉庫、事務所、ワークショップ、アメニティ、サブステーションなど必要な施設一式が整備されています。

(b) サウスアジア・ゲートウエイ・ターミナル(SAGT)
 SAGTは、官民のパートナーシップで構成する合同企業団が運営しています。ターミナルには、水深の深いバースがあり、コンテナ用ガントリークレーンが稼動しています。 このターミナルの南西堤防のすぐ後ろには幅200mの細長い土地が広がっており、タイヤ式ガントリークレーンが設置されているコンテナヤードがあります。トラック用ゲートと待機エリアは、防波堤の道沿いのおよそ250mに広がっています。このターミナルには、冷蔵設備、オフィス、ワークショップ、アメニティ、サブステーションなどがあり、施設一式が整備されています。

(c)ユニティコンテナターミナル (UCT)
 UCTには、北埠頭の南側に給油船舶用のバースが2基あり、コンテナも収容できるよう、アップグレードが行われました。この埠頭の北側にはバルクセメント用のバースもあります。岸壁にはコンテナ用ガントリークレーン(SSCC)とタイヤ式ガントリークレーン(RTG)があり、埠頭の積載場所とこれに隣接する陸地で使われています。トラック用ゲートの複合施設も、ターミナルの端部にあります。

その他の主な貨物取扱施設
· タンカーバース: 北西部の防波堤の内側にあり、北入口のすぐ内側を通る海底パイプラインに接続している。
· プリンスビジャヤ埠頭(PVQ):北東防波堤内側にあり、バース2基で構成する。内側のバースは、主にバルクセメントをUCTピアに隣接するサイロに積み下ろす用途、セイロン・グレーン・エレベータ・リミテッドによる、隣接する同社のサイロに飼料を積み下ろす用途に用いており、また、SLPAが運営する一時倉庫もある。外側のバースでは、民間企業が製粉工場を建設することになっている。
· サウスピアとノースガイドピア:これは、UCTの南側の狭いピアの両側に設置されている埠頭である。この埠頭では、自動車などの貨物の輸入に使用されている。
· バンダラナイケ埠頭(BQ):長方形の埠頭で、港湾の南端部に位置する。4つのバース(2つずつ両側に設置)があり、それぞれに一時倉庫がある。埠頭の端にはもう1つバースが設置されている。この埠頭は、主に、一般貨物と軍事物資に使用されている。

 SAGTの南端部には、新しく建設された、旅客・クルーズ用のバースもあります。

港湾外部の貨物取扱施設
 タンカー係留用のブイはすべて港湾外部に設置されています。うち、次の3つは港湾のアプローチの近くにあります。
· セイロン石油株式会社 (CPC)が運営する原油用の一点係留ブイ(SPM)。メインハーバー入口から約8km西北西に位置。
· シェル石油が運営するLPG用通常型係留ブイ(CBM)で、港湾の北約6kmに位置。
· セイロン石油株式会社(CPC)が運営する新規に建設された一点係留ブイで、石油製品用に使用。LPG用通常型係留ブイの北西2kmに位置。

その他の港湾施設
 最も重要な修理施設としては、コロンボドックヤードリミテッドがあります。これはJCTの北に位置しています。民間企業が運営する施設であり、ドライドック2基、多数の突堤、フローティングパワープラントも装備されています。 コロンボドックヤードリミテッドは、ウォータフロントエリア沿いに350mにわたって施設を配置しており、港湾運営には非常に有用な位置を占めています。しかし、当港湾としては、代替施設が建設されるまでに、船舶修理などのサービスを提供する義務を負っています。
 港湾内にあるその他の修理施設としては、新フィーダーバースの南側に、SLPAが所有するハーバークラフト用の数多くの造船台があります。
 パイロットステーションは、防波堤の南西部の端に位置しており、乗船用桟橋もあります。ハーバークラフトバースは、その他のウォータフロントエリアにあり、主に、北西防波堤の南端(タグ用)のBQと旅客ターミナルの間の区域に位置しています。
 燃料補給用バージは、PVQとUCTのセメントバースの間にある小さな桟橋にあります。燃料補給用の水は、南西流域にあるキングス・アンド・プリンス・オブ・ウェールズ桟橋でバージに補給されます。

道路
 港湾周辺の道路は、境界線近くを走り、北西防波堤と南西防波堤の間を内陸側へと伸びています。また、パイロットステーションにつながる道路として、南西防波堤沿いの道もあります。この道路はSAGTに出入りする車両のセキュリティポイントを介してアクセスしています。

建物とコンテナ貨物ステーション(CFS)
 PVQにあった倉庫の1つが、最近、解体されました。港湾北端の第8ゲートは新しく改築されています。SAGTとBQの間には、たくさんの建物が並んでいます。このうちのいくつかは解体予定であり、また、いくつかは港湾の現在および将来の必要のため、中央ビルに移転しました。SLPAは歴史的価値や建築上の価値のある建物について、どうするのか検討をしています。港湾コミッションビルについては、UDAにより建築価値物件としてリストされています。
 また、CFSの運用のため、いくつもの倉庫が港湾にあります。たとえば、JCTには、5つの倉庫があり、合計敷地面積は18,400平方メートルです。うち、CFS1は最大の倉庫で、島を構成しており、JCTと第6ゲートを結ぶ道路で接続されています。港湾外部には、FCL貨物用のコンテナ貨物ステーションが2つあります。これらは税関によって運営されています。また、オルゴダワッタにも1つ倉庫があり、また、モデラの鉄道に近いところにも1つあります。ペリヤゴダのCFSは、JCTが現在取り扱っているすべてのLCL貨物を取り扱う十分な容量を持っています。ただし、危険物貨物などの特殊貨物については、このCFSでは取り扱っていません。これらは港湾内から出すことはできません。

ナビゲーション施設
 スリランカの港湾に出入りする船舶が、港湾進入時と退出時にコンタクトを取るのが、港湾管理と水先案内です。港湾進入時に感じた第一印象は、退出するまで続きます。コロンボでは、水先案内は年中無休、1日24時間のサービスとなっています。担当する水先案内人はすべて、港湾サービスの経験豊かなベテランぞろいで、全員がマスター船員の認定を受けています。係員はブリッジシミュレータコースを定期的に受講し、港湾に関する最新情報の入手に努めています。
 現在、陸岸曳引力65トンまでの能力のある最新のタグボートを有しています。すべて有人運転で、資質のある者による運転が行われています。タグには防火設備も装備されています。

人材
 SLPAは、高度に社員集中的な組織であり、現在、13,500名に近い職員が勤務しています。役員、非役員、技術、非技術系のスタッフがすべて含まれています。この地域で高品質の港湾運営を行うため、SLPAの人材は非常に重要な資産です。高品質の港湾サービスを提供するため、私たちは常に、すべての分野の職員に研修や再研修を行っています。
 人材は、事業にとって、最も予測のできない資産です。組織を作るのも、壊すのも、資産であれ、能力であれ、カギは人材なのです。
 これらすべての施設やインフラを使えば、当港湾のコンテナ取扱容量は、年350 万TEUまで増強することができます。 増加としては、わずか100万TEUです。これ以上の増強を図るため、長期的、たとえば、今後3年から4年の間に、8,000TEUから10,000TEUのコンテナを搭載することができる次世代のメガシップを入港させることができるようにしなければなりません。現在の港湾水域は、メガシップが入港することができるほどの水深はありません。したがって、既設の防波堤を海上の方向に延長し、メガシップが入港することができるよう、港湾水域の水深を20mに維持することが必要なのです。また、より速度の速い近代的なクレーンを搭載した新しいコンテナターミナルの建設も必要ですし、ターミナルオペレーティングシステム(TOS)の導入も必要です。防波堤の延長のためには、3億米ドル、コンテナターミナルの建設には7億米ドルの投資が必要であり、この資金をどのようにして捻出するかが、現在の最大の問題です。必要な資金は外部からの投資に頼らなければなりません。金融機関から借り入れを行うためには、できるだけ良好な条件とすることが必要です。防波堤の建設は、非常に長期的な投資となるため、費用対効果は非常に低いからです。

新港- コロンボサウスハーバー
 世界でコンテナへの動きが自然的に加速化しており、年10%の割合で成長していることや、メガシップが主要な航路で操業していることをみると、煎じ詰めて言えば、近未来的には、新しい港湾を建設して、業界の需要にこたえていかなければならないということになります。これは、非常に重要な問題であると考えています。
 ご存知のように、新しい港湾の建設には巨大な投資が必要です。防波堤を建設するには3億米ドル程度の資金が必要になります。現在提案されている新しいコロンボサウスハーバーは、予定としては、現在の南西防波堤の西の約600ヘクタールの地域に 建設されることになっており、1,200m以上の長さのターミナル4つが建設されることになっています。このそれぞれのターミナルには、水深18mのバース3基が建設され、予定では、次世代の喫水の深い船舶を入港させるため、23mの水深にすることとなっています。港湾の海峡の幅は、560m、水深は20mとなり、港湾水域の水深は18m、転回半径は600mとなります。コロンボサウスハーバーのフェーズI開発は、2つの段階で工事が行われることになっています。
 第一ステージでは、3億米ドルの費用をかけてインフラを整備し、第二ステージでは、民間の参画により、7億米ドルの費用をかけて、その他のターミナルの建設を行います。

必要な投資
 実は、いくつか明るい話もあります。アジア開発銀行から、2億2500万米ドルの融資が可能であるとの打診を受けていることです。したがって、残りの金額の調達先を見つけ、建設を実施するとともに、同時に、投資家と交渉して、利益配分を行うことによるコンテナターミナル投資を行ってもらうことが必要になります。防波堤建設については、アジア開発銀行からの融資で賄うからです。スリランカの新港建設に投資する絶好のチャンスとなるかもしれませんよ。

新しいアプローチ
 私のプレゼンテーションを終わる前に、必要なレベルの成長を確保し、私たちの目標とする成長を図るため、私たちは継続的かつ戦略的に維持と成長をすることが必要なことを申し上げたいと思います。そのため、INAP加盟港は、バランストスコアボード(BSC)という、デビッド・ノートンとハーバードビジネススクールのロバート・カプラン博士が1992年に開発した業績測定法を含む、戦略的マネジメントシステム(SPM)の原則を採用することが必要であると提案させていただきたいと思います。彼らは、財務的な測定にのみ集中して注目することは、不完全な姿しかわからず、後ろ向きの考え方しか呈さないということを認識したのです。
 したがって、私は、近代的経営は、継続して測定可能なさまざまな指標が必要であると強調したいと思います。これらの指標は、企業の戦略的計画立案に資するものであり、私たちが現在の地位を維持し、将来の競争に勝っていくには、必要なものです。近代的経営は、成長を続ける港湾にとって、力強い基盤であり、目的、その達成方法を理解するための4つの共通の考え方を私たちの間で共有させてくれます。すなわち、財務、顧客、社内のビジネスプロセス、学びと成長です。これらは、私たち自身のビジョンや戦略を達成するため、各港湾で採用するべきものです。これまで私が申し上げてきたことについて、お分かりにならないこと等がございましたらお答えさせていただきますし、また、電話や電子メールでお問い合わせくださってもかまいません。考え方を互いに共有することは、INAP加盟港の間の友好と協力の増進につながることになるでしょう。


この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

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