第5回INAP報告書(タンジュンペラ港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

                                                                                                                                                                               2003年10月13日
第5回INAPシンポジウム:タンジュンペラ港(タンジュンペラ港庁)
タンジュンペラ港の開発~課題と現状~
発表者:Ir.Setiawan WS,MM
General Manager Port of Tanjung Perak
1. はじめに
1999年、インドネシア政府は地域自治に関する2つの法律を施行しました。それぞれUU No.22,1999とUU No.25,1999という番号で呼ばれています。この2つの法律は、地方自治体が天然資源、海洋資源、財政などをより自由に管理することを可能としています。港湾は国家の海運システムの一部として、各港湾が所在する地域に大きく貢献することが期待されています。
港湾の存在は経済の成長と貿易に、間接的ながら、大きな影響を与えてきました。たとえば、貨物輸送の迅速化は、後背部の産業に大きな影響を与えてきています。
将来的には、この政府による決定は、地方自治体、タンジュンペラ港、あるいは、後背部に住むこれらから利益を享受する人々に、相互が利得を得る関係を及ぼし、特に東ジャワの経済成長と貿易を活性化させるものと期待されています。
港湾サービスのプロバイダとしての機能を果たすため、タンジュンペラ港は常に自らを点検し、内省をすることにより、企業のビジョンである、国際的な港湾ネットワークの1つの数えられるような世界クラスの港湾となるための港湾管理を行います。
このビジョンを達成するため、タンジュンペラ港では次の項目をミッションとしています。
・ 公共に資するため、質の高い競争力のある港湾サービスの提供
・ プロとしての管理と科学技術の適用による企業利益の追求
・ 企業収益の希求と国家の経済発展に対する直接・間接的貢献
今日、タンジュンペラ港は、国内の船会社や島間の海上サービス提供会社、国際的な船会社など、さまざまな船舶にご利用いただいております。また、一般貨物、バルク貨物、液体貨物を問わず、コンテナ貨物など、さまざまな種類の貨物を取り扱っております。
タンジュンペラ港を出入りする船舶や貨物取扱業務は、
・ タンジュンペラ港湾局の出先機関(通常港湾業務担当)
・ PT.バーライン・ジャサ・ターミナル・インドネシア(島間を行き来するコンテナ、バルク、液体貨物の積み下ろし)
・ PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤ(国際貨物と島間コンテナサービス)
により取り扱われています。
施設には、港湾病院の運営するメディカルセンターもあります。

II. タンジュンペラ港に寄せられる要求
タンジュンペラ港はお客様に満足していただける業務を提供するため、常に大きな努力を払っています。しかし、これを推し進めるにあたり、大きな問題が存在することは否定できません。これは、港では3つの異なる組織が異なる利害関係をもって活動しているからであります。
1. 消費者
消費者(荷役業者を含む)は、安価で早く、安全で、便利なサービスを求めています。
2. 政府(中央政府および地方自治体)
中央政府はタンジュンペラ港湾局の100%株主として、妥当な価格で効率的かつ安全なサービスを提供しようと思えばできるのであります。
3. 港湾サービスプロバイダとしてのタンジュンペラ港
タンジュンペラ港湾局は、国営の利益団体であり、早くて安全、安心で便利なサービスと、競争力のある、有利な料金が求められています。消費者は早い港湾サービスを求めており、業務が迅速であればあるほど、港湾に集まる荷物も多くなるからです。将来的には消費者にもっと利用していただき、消費者の方々に依存することが大きくなると思われます。事実、タンジュンペラ港の施設の不足が、消費者の求めるサービスのスピードのネックになっているのです。
タンジュンペラ港にはさまざまな問題がありますが、あらたな問題が発生しました。貨物およびコンテナのタンジュンペラ港への流入が、毎年、かなりの速度で増加しているのに、港湾施設は世界クラスと呼べる港湾には育っていないという事実です(コンテナ、旅客、貨物のフローと寄港船舶数の表を参照)。もし、判断と対処を誤れば、港湾としての能力に大きく影響が及ぶでしょう。

III. タンジュンペラ港の現状
諸問題を解決するために、タンジュンペラ港では、港湾施設やサービスの改良・向上につとめています。
1. ナビゲーション・チャンネル
タンジュンペラ港のメインゲートウエイは港の西側にあります。全長は25海里、幅100mで、水深は9.7mから12mあり、18のブイが船舶の誘導をしています。
2. パイロット・サービス
タンジュンペラ港周辺の船舶の安全を図るため、カラン・ジャムアン・ステーションとタンジュンペラ港パイロットステーションでは、24時間体制で水先案内人が業務を行っております。水先案内人への連絡はVHF無線のチャンネル12、14、16で交信します。水先案内を円滑に進めるため、いくつかの船舶がその業務をサポートしています。
番号 説明 出力
A1. タグボートKT.Anoman I 2×870
2. KT.Maju Indah 2×1600
3. KT. Bima IV 2×1200
4. KT. Selat Bali 2×650
5. KT. Subali II 2×650
6. KT. Patra Tunda 2×1500
7. TB. Persada Jaya 2×1160
8. TB. Radiya Jaya 2×920
9. TB. Sea Puma 2×800
10. TB. Synergy Jaya 2×1346
11. TB. Joyoboyo (建造中) 2×1300
番号 説明 出力
B1.2. 小ボートMK Wanara IIIMK. Wanara V 1×1501×150
C.1.2.3.4.D1. パイロットボートMPS-II-044MPS-II-045MPS-II-046PIII-03ツーリストボートArtama III 2×4902×4902×4902×3202×475
3. バンカー
バンカーはわが国の国営石油会社のペルタミナ社が営業していまし。パイプラインは下記のバースに設置されています。
・ サザン・ジャムラド:5ヵ所
・ イースタン・ジャムラド:3ヵ所
・ ウエスタン・ジャムラド:4ヵ所
・ イースタン・ニラム:5ヵ所
民間会社がそのほかのバンカーサービス、トラック、バージのサービスを扱っています。
4. 給水
水の供給サービスは、ジャムラド、ベリアン、ニラムの埠頭において、パイプを通して1時間あたり100トンの水を係留中の船舶に供給しています。PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤ(TPS)には、1時間あたり30トンの水を供給できる設備があります。他の埠頭に係留されている船は、4隻のバージで、1時間あたり1,000トンから1,500トンの水を供給しています。この水の供給は、国営水道会社のPDAMにより行われています。
5. 医療
タンジュンペラ港では、24時間の受け入れ体制を持つ、総床数100の港湾病院が完成しました。住所はJl.Kalianget 2-4, Surabayaにあり、電話番号は(031)-3294801です。近代的な医療機器を使い、一般診療および特別診療が行われています。また、救命救急室では、救命医療も行われており、救急車の手配や、医療ラジオ放送も周波数718で行われています。
6. 消防部
港湾エリアにおける火災の発生防止と、危険の極小化のために活動しています。24時間体制が整えられ、地域全体の資産や港湾財産を保護しています。電話番号は(031)3291760です。
7. ドック、補修、造船
港湾エリアには、ドック、補修、造船などの設備があります。港湾の運営や活動のバックアップ施設です。
8. コンテナ荷役業務
島間のコンテナ荷役業務はPT.ベリアン・ジャサ・ターミナル・インドネシアで行われています。また、PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤでは、P&Oオーストラリア・ポート・リミテッドと協力して、国際コンテナや島間コンテナが捌かれています。

設備・機器
(PT.ベリアン・ジャサ・ターミナル・インドネシア)
番号 設備・機器名 能力 タンジュンペラ KSP
1. ショアクレーン 35トン 2基
2. ショアクレーン 75~100トン 1基
3. フォークリフト 2~2.5トン 3基
4. フォークリフト 5トン 1基
5. フォークリフト 7トン 1基 4基
6. ショアホッパ − 4基
7. グレーベ 5~7トン 8基
8. 電子袋詰めはかり − 2基
9. バージ・ブリッジ − 2基 1基
10. リーチ・スタッカー − 1基
11. トップ・ローダー 25トン
12. スプレッダ20”~40” − 2基 7基
13. ヘッドトラック − 1基 5基
14. シャーシ40” − 4基 2基
15. シャーシ20” − 2基
16. ゴムタイヤをつけたガントリークレーン 35トン 4基
設備・機器
(PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤ)
番号 設備・機器名 能力 台数
1. コンテナクレーン(CC) 40トン 11
2. トランステーナー 40トン 2
3. ゴムタイヤをつけたガントリークレーン 35/40トン 29
4. リーチ・スタッカー 40トン 2
5. サイドローダー 7.5トン 2
6. スカイスタッカー 8トン 2
7. フォークリフト(ディーゼル) 2/5トン 7
8. フォークリフト(電気) 2トン 22
9. ヘッドトラック(オタワ) 40トン 28
10. ヘッドトラック(ボルボ)中古 40トン 17
11. ヘッドトラック(ボルボ)新車 40トン 10
12. シャーシ 45Ft 45Ft 15
13. シャーシ 40Ft 40Ft 53
14. ドリーシステム − 10
15. リーファープラグ − 106
9. サービスのスピード
タンジュンペラ港には、1996年8月10日付け通信省指示書番号:IM.6/AL.3014/Phb-96にしたがい、ワンストップサービスが行われています。その流れを下図に示します。

船舶サービス
4. バース入港ハンドリング業務5. コントロールとモニタリング
貨物取扱サービス
IV. タンジュンペラ港における長期開発計画
1. カリラモン計画
タンジュンペラ港のPT.(PERSERO)ペラブハン・インドネシアIIIに、より多くの貨物やコンテナの流入を確保するため、ラモン湾開発計画を策定しました。通信省決定No.4、1997に基づき埋め立て許可を得て、ラモン湾を工業地帯にする計画です。この許可に基づき、カリラモン計画が実施され、1,700ヘクタールの埋め立てに着手します。すなわち、カリラモン・サイトで500ヘクタール、カリラモン湾で1,200ヘクタールの埋め立てを行うことになります。
カリラモン港の開発計画コンセプトの根底には、経済開発があります。地方自治体の経済成長計画、特に、非石油・ガス輸出品の成長を支援する計画であります。
他にも、生産コストや運輸・流通コストを削減するため、輸出入企業の配置転換の促進に力を入れます。すなわち、保税地域に企業を集めるわけです。
この港湾開発計画は、後背地域の経済成長と貿易促進という戦略的かつ相乗的効果を得るという狙いがあります。荷役業者だけではなく、工場労働者など、港湾地域における仕事の創出も期待されています。
この戦略的考慮のもとに、カリラモン港はワンストップサービス港として、国際港湾施設のサービスプロバイダ(ワンストップ港)として開発することにより、将来のいかなる困難にも対処することができる港となることが期待されています。
この計画では、10,000~40,000DWTの船舶を受け入れることができる、水深14m、長さ2,000mのバースの建設と346ヘクタールの埋め立てを行います。一般貨物用の1,250mのバース、500mのバースは旅客ターミナル用、そして、構脚橋は幅20m、面積は1,000m2、アクセスブリッジは幅15m、面積1,200m2、また、道路は全長550m、面積1,100m2となります。
これらの技術データに基づくと、ラモン湾港は、2,000TEU以上のコンテナ船を入港させることができる港となります。
新港の建設により、将来的には、PT.ターミナル・ペティケマス・スラバヤのすべての港湾施設の強化をはかることができます。予定では、2005年には180万TEUを取り扱う能力を持つ港湾となります。この計画が予定通りに進み、2年後に完成すれば、既存のコンテナターミナルをラモン湾新港に移設しなければなりません。

2. ニラム・ターミナル開発計画
この開発計画では、ウェスト・ニラムとノース・ニラムのターミナルを、液体・ドライバルクカーゴのターミナルとして最適化することに焦点が当てられます。ニラム・ターミナルにあるドックヤードを、より便利な地域に移転させて、業務を展開させることができるようにしたいと考えています。
ニラム地域で建設が予定されているいくつかの設備を掲げます。
・ バース施設
・ 倉庫エリア
・ バース地域と倉庫エリアを結ぶパイプラインなどを含む、ハンドリング設備

V. 終わりに
タンジュンペラ港は港湾関連産業の促進という責任を負っており、港湾施設および条件の整った、より多くの輸出入業者の方々にお使いいただける港湾施設やサービスのアップグレード化および質の向上を続けています。
タンジュンペラ港は、INAPの会員として、心からINAPの今後に期待をしています。すでにシンポジウムの回数も5回を数えましたが、会員各位、特にタンジュンペラ港は、INAPの恩恵を直接に享受するまでには至っていません。INAPには、姉妹港の業務や活動の内容を向上させ、会員に最高の恩恵を与えるという重要な役割があります。
会員各港が有する機会について議論することにより、与えられた条件や規模にあった機会を創出するよいチャンスが生まれるのです。そのためにも、各港には、会員間でお互いに協力し、助け合うことが必要です。
もう1つ考えなければならないことは、INAPという組織から会員各港が何を期待しているのかを明確にすることであり、また、会員各港がそれぞれもつ独特の能力を他の会員と共有することであります。つまり、INAPは、姉妹港である会員各港の特徴的な能力についての情報交換を行い、さらに組織としての存在意義を意味あるものとすることが、非常に重要であるといえます。
タンジュンペラ港はINAP会員として次のことを期待しています。
1. バルク貨物取扱、人材管理、情報技術など、INAP会員各港が実践し、実施している事項について研修員を派遣して学ばせていただき、これを自らの港での実践事項と比較させていただくこと。
2. INAP会員各港の業務の向上を図るため、INAPが開催するすべての会議に船会社、輸出入業者を招くこと。
3. INAP会員各港が取り扱っている主要貨物についての情報交換を行うこと。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 総務担当 088-823-9882
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
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