第4回INAP報告書(セブ港)

公開日 2013年03月27日

更新日 2014年03月30日

2002年11月14日

第4回INAPシンポジウム:セブ港(セブ港湾局)

「第4回INAPシンポジウム」報告

○はじめに
セブ港は、スペイン統治時代以前から、わが国フィリピンの主要港の1つとして、さまざまな国と関係を保ってまいりました。フィリピン諸島の中心部に位置しているセブ港は、天然の国際港湾貿易基幹港としてわが国および環太平洋地域をつないでいます。

フィリピン政府は21世紀の開発目標として、近代的で人間味あふれる社会を創造すること、わが国国民の生活水準を引き上げること、後世に環境にやさしい国を受け渡すことを掲げました。
この目標の基盤を築くためには、もちろん、わが国は、農業を基本とした体制を維持しつつも、工業化をはからなければなりません。
したがって、今世紀初頭の地方開発ビジョンとして、たくさんの島々から構成されているというわが国の地理的な環境を、経済的に統合した国家作り、社会的、文化的、政治的、経済的な係わり合いを密にした、地方、地域、国家という境界でさえも越えた活動を行うこと、比較優位が生まれ、地域資源を十分に活かした、しかし、資源の再生産能力を阻害しない国、機会均等と最小限の望ましいレベルの社会福祉が保証されている国づくりであります。経済統合は都市部を中心としたネットワークで形成され、規模の経済を活用するとともに、産業、インフラ、サービスを獲得することができるようにします。
大都市圏の経済については、持続的な成長と効率性、能力の向上をはかることにより、アジア太平洋地域でさらに役割を果たし、リーダーシップをとることができるよう、運営していきます。投資拡大により、地方都市の持続的成長と、新都市圏の創出をはかり、メトロマニラの重要性を減少させます(メトロマニラは現在、わが国の政治、社会、文化、財政の中心地)。少なくとも現在、自由化、規制緩和、民営化の実現のためには、市場競争と価格メカニズムがいまなお大きな意味を持っています。わが国では、特に、セブでは、世界の一員としての仲間入りをしつつあり、したがって、これまでにもまして、産業の導入を行うことにより世界の競争に互角に戦えることが必要になっています。

効率的なインフラシステム、特に運輸と通信は、地理的に分断されているわが国を広範囲に発展させることでしょう。そして、人、モノ、サービスをさらに流動化させていくものと思われます。

セブ港は、わが国の港湾システムで重要な位置付けがなされており、また、特にセブ島経済に重要な影響を持っています。また、ビサヤス、北ミンダナオ、南ルソンの経済全体を包含することから、このビジョンを達成するための第一のステップとしては、セブ島にあるすべての港湾を、これまでわが国唯一の港湾官庁であったフィリピン港湾当局(PPA)の管理下から
切り離すことが重要です。

○現在の状況
このようにフィリピン港湾当局からの決別を果たしたことにより、その選択が正しかったことが、具体的な成長となって現れました。データ自身は、膨大な数の有名港、大規模な港を見慣れている私たちにとっては、それほど印象的というものではありませんが、しかし、適切な刺激を与えられれば、小さな港でも成功することができるという証拠を示したことになります。
さらに重要なのは、セブ港湾局の1996年から今日までの財務的な業績をみると、もちろん単純に税務的にすばらしいとはいえませんが、存続しようという懸命な努力を証明しており、政府の補助金の類を利用してではなく、自らの資源を使って成長しようとしている証を示しています。確固とした決断と強い意志、そして、最も重要な資源である、勤勉で熱心に働く人々により、今日のように非常に成功した実験例の1つとして、わが国のほかの港や地方自治体で中央からの独立を求めている人たちの手本として感化したのです。そして自分の意思で決定する機会を与えました。

○主要計画・プログラム
私たちのビジョンである世界の一流港の仲間に入るためには、特に、国際的な港湾施設を整備するには、最新技術と世界の動向に遅れをとらないようにしなければなりません。現代という時代にあっては、それが最重要課題なのです。

1. ITの能力と利用
特にセブ港湾局にとっては、ITを導入し、統合港湾管理システム(IPMS)という、港湾基盤企業の包括的リソース管理アプリケーションで、港湾運営の管理補完を行うシステムの導入に向かっています。このシステムは主に5つの部分から構成されています。

・ 船舶情報管理システム(VIMS)
・ 従来の貨物管理システム(CCMS)
・ コンテナターミナル管理システム(CTMS)
・ 港湾財務管理システム(PFMS)
・ 港湾資源管理システム(PRMS)

IPMSはウェブ技術とオブジェクト中心の方法を採用しています。イントラネット・インターネットを通じて機能し、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を通じてクライアント側に送信します。次のようなオンライン検索、分析、報告を行うことができます。
・ 船舶のオペレーションと貨物取り扱いの状態
・ 貨物の所在
・ 財務バランス
・ 請求書作成

IPMSのアクセスを厳重にコントロールし、徹底したユーザー管理をするため、基幹コンポーネントであるICMS(IPMSコア管理システム)は、システムのセキュリティ、ユーザーアカウント、標準コードセットアップの管理維持が行えるようになっています。2003年末までには、このシステムを導入したいと考えています。

2. 港湾管理の重要な部分としての企画力、マーケティング力の組織化および直接港湾運営の補完と向上
a.特に、運営の効率化と投資の最適化をはかってそれぞれの地域における港湾開発を立案するためには、企画部のような組織を立ち上げることが必要です。

また、人的交流により、さまざまな能力を備えた人を育成することは、セブ港湾局の政策立案能力の向上にもつながるでしょう。ただ、この育成は、最初はわれわれINAP会員間で行われることになると思います。

最後に、中央政府、地方自治体と港湾の使用者が定期的に会合を開き、港湾開発について意見交換をすることは、関係各組織の協力と積極的な係わり合いを生むことにつなげることができるでしょう。この目的のため、われわれセブ港湾局では、企業、運送会社、船会社、地方自治体、非政府組織からなる港湾諮問委員会を立ち上げました。

b. マーケティングの側からいえば、世界の主要コンテナ港のあいだで熾烈な競争が展開されていることを考えると、特にポートセールスは、コンテナ船の寄港を促進する重要な方法の1つであるといえましょう。

ポートセールス活動は、それぞれの港湾当局が実際の必要を満たす効率的な方法を立案することが必要ではありますが、少なくとも、われわれセブ港湾局には、各コンテナ港がどのようにポートセールスを展開しておられるか、さまざまな方法を学ぶことは有用であると考えています。たとえば、ポートセールスミッションの国内、海外派遣、港湾セミナー、ユーザー向けポートツアーなどについて学びたいと考えています。

ポートツアーについては、セブ港湾局はすでに定期的に行っております。さまざまな教育機関、地方自治体のほか、港湾当局からも、毎月さまざまなリクエストが私どもに寄せられております。しかし、いまだセールスミッションを派遣する必要にはいたっていません。

3. 港湾関連活動のほかにも、セブ港湾局にとっては、さまざまな活動が必要になります。
a. 業務範囲の多様化
港湾関係者の共通の意見として、狭量的に港湾管理、運営のみに集中している港湾は、それ自体の成長も見込めないばかりか、その地域の経済成長も実現させることはできません。過去に、ニューヨーク、神戸、ハンブルグなど、世界の主要港湾当局の過去の姿をみれば、この考えが当を得ていることが簡単にわかります。
セブ港湾局の港湾運営は、もちろん、これまで会員各港の方々からご披露がありましたような多様化をするほどの規模はありませんが、長期的には、工業団地、オフィスビル、マリンミュージアム、熱帯水族館、海員クラブ、免税店などの港湾関連業務の進出を検討する価値はあるでしょう。
そのためには、セブ港湾局は現在、港湾基盤の一部、旧ドメスチックゾーンを、博物館、遊歩道、講演、ピクニック広場、海岸整備など、観光客誘致のために整備するべく、関係各当事者と議論をしております。

b. 近隣地域との協力体制の確立
港湾活動は、常に、港湾内外に対して、港湾関連業務を提供するものであります。多くの業界が港湾によって生み出される経済活動の恩恵に浴しています。
港湾開発を成功させるには、港湾をとりまくさまざまな事業や地域との強力な連携が必要です。
企業などと協会のような組織を立ち上げ、港湾推進活動を展開している港湾当局もしばしば見受けられます。セブ港湾局にとっても、ニューセブ港を開発するには、このような戦略が必要でしょう。

○結論
これまでのお話をまとめますと、世界で競争していくためには、われわれそれぞれの長所を伸ばし、短所を補っていくことがまず必要です。セブ港湾局の場合は次の項目が必要であります。
1. ITの導入と使用の促進
2. 部内に企画、マーケティングを行う組織の立ち上げ
3. 業務多様化
4. 関係各者とのコミュニケーションと連携の促進

御清聴まことにありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 土木部 港湾振興課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 総務担当 088-823-9882
ポートセールス第一担当(貨物・高知新港振興プラン) 088-823-9888
ポートセールス第二担当(客船対応・企業誘致) 088-823-9890
ファックス: 088-823-9657
メール: 175201@ken.pref.kochi.lg.jp
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