
一本釣りしたウルメを新鮮なまま商品に
かつては漁師町として活気があった土佐市宇佐。しかし、漁業の担い手不足や魚価の低迷などの大きな課題に直面しています。この課題を何とか打開しようと、宇佐もん工房は、特産であるウルメイワシに着目。丸干しだけでなく、一年中出荷できる加工品作りや鮮魚の販路開拓に取り組んでいます。
「ウルメの丸干しは冬に作るのが一般的ですが、ウルメイワシの一番の旬は夏なのです。新鮮で脂がのったウルメは甘みがあってすごくおいしいのに、一般の方の認知度は低い。全国的にも珍しい一本釣りで獲る宇佐のウルメは、魚の傷みも少なく、釣り上げてすぐに水氷締めするので鮮度が保てます」と、所さんはウルメのブランド化に取り組んだきっかけを教えてくれました。
平成20年に商工会青年部や漁師などが集まり、ウルメを使った料理や加工品の試作などが始まりました。
まねのできない強みを出し観光や雇用にも貢献したい
取り組みの広がりに合わせ、組織も協議会に発展。県の産業振興推進総合支援事業などを活用して、市場調査や試作品作りを行ったほか、商談会や展示会にも参加して、ウルメのブランド化に自信をつけていきました。
平成22年10月に「企業組合宇佐もん工房」を設立。今年4月からは待望の加工施設が稼働し、いよいよ体制は整いました。
「宇佐のウルメの強みを生かして、地域でこんなに元気に取り組んでいる企業があることを知ってもらいたい。新しい地域活性化のモデルケースになっていければ」と所さん。業務用・通販用にうるめフィレや寿司ネタ、すり身などを販売するだけでなく、地元や高知市にある飲食店の協力で、各店オリジナルのウルメ料理を提供してもらい、ウルメの消費拡大にも取り組んでいます。
「宇佐のウルメをブランド化することで、観光や雇用にもつなげていきたいですね」。そう話す所さんたちの頑張りで、「宇佐もん一本釣り うるめいわし」が全国に知れ渡る日が来るのもそう遠い話ではないかもしれません。