令和3年4月1日 知事講話 (令和3年度)

公開日 2021年04月06日

令和3年4月1日(木)

 

(はじめに)

 

 令和3年度を迎えるにあたり、職員の皆さんに一言お話をさせていただきます。

昨年度は、新型コロナウイルス感染症という未曾有の難局に全庁を挙げて対応した、いわば「守り」の1年でありました。県内において感染が拡大し、厳しい局面も何度かありましたが、職員の皆さんの頑張りのおかげで乗り切ることができたと考えています。使命感をもって全力で取り組んでいただいたことに感謝を申し上げます。

また、こうした中においてもピンチをチャンスに変えるべく、局面の変化を見据えて、各施策のさらなる展開に向けた準備を進めていただきました。令和3年度は、感染症対策に万全を期しながらも、これまで仕込んできた施策を実行に移す年、いわば「攻め」に転じて具体的な成果につなげる1年にしたいと考えています。

それでは、大きく2点。1点目は「仕事に当たっての基本的な姿勢」、2点目は「新年度において各部局で共通認識としていただきたい政策課題」について、述べさせていただきます。

 

 

(仕事に当たっての基本的な姿勢)

 

まず「仕事に当たっての基本的な姿勢」についてであります。

これまでも度々お話をしてきたところですが、私は対話を通じて県民の皆さまの「共感」を得られる県政を実現したいと考えています。そして、施策の実行を通じて、課題の解決に向けて「前進」する県政としたい、その思いで県政を進めています。

そのために何が必要か、この機に改めてになりますが、仕事の進め方の上での5つのキーワードについて話をしたいと思います。

1つ目は「透明性」です。英語で言えばアカウンタビリティと言っていいと思います。

共感を得られる県政を実現していくためには、県政運営に「透明性」が必要不可欠です。県民の皆さまに対して、しっかりと説明ができる「透明性がある県政運営」を行うということが必要であります。県民の皆さまから信頼され、共感を得られる県政を実現していくため、この点をまず第一に心がけていただきたいと思います。

2つ目には「想像力」、イマジネーションです。

社会や経済の構造が変化していく中で、県民の皆さまが何を求めているのかについて、想像力、イマジネーションを働かせて、先手先手を打っていくということが必要になります。このことによって、県民の皆さまの「共感」を呼ぶ県政の実現に近づいていけると確信しています。

次に、課題解決に向けて「前進」をしていく県政実現のためには何が必要かという点から、残る3つのキーワードについて申し上げます。

3つ目は「使命」、ミッションであります。

職員の皆さん一人ひとりが、今の仕事は何のためにやっているのか、どういう形で県民の皆さまに役立っているのか、ということを絶えず自分に問い直しながら仕事に当たってください。そして、このミッションの実現のために、今よりももっと良い仕事の進め方はないのか、絶えず考えていただきたいと思います。そのことが前進の種になります。

4つ目は「進化」、エボリューションです。

時代は大きく動いていますから、時代の変化に合わせて、行政も進化し続けていく必要があると、当たり前のことですが改めて申し上げます。

5つ目は「挑戦」、チャレンジをしようということであります。

ピンチをチャンスに変えていくためにも、現状に安住するのではなく、時代の流れを捉えた新たな取り組みに果敢に挑戦をしていくということが必要です。挑戦なくして前進はありません。

「共感と前進」の県政を進めるために、以上5つのキーワードを職員の皆さんで共有していただき、そして実践していただくようお願いします。

あわせて、例えば全国知事会や他県とも連携して、国に政策提言を行うといった形で、全国区の視点を持って、政策展開を図るということにも意を払ってもらいたいと考えます。

 

 

(新年度において各部局で共通認識としていただきたい政策課題)

 

次に、新年度に各部局において、共通認識としていただきたい政策課題について、お話をさせていただきます。

 

 

(新型コロナウイルス感染症対策)

 

まず、第一に新型コロナウイルス感染症対策についてです。

現在、県内の感染状況は一定落ち着きを見せておりますが、散発的に新たな感染が確認されております。全国的な状況を見ましても、なお予断を許さない状況にあると言えます。再度の感染拡大に備え、さらなる病床の確保を図る必要があります。特に、重症者に対応できる体制を強化しなければなりません。

また、変異株の感染も全国的に広がってきており、本県でも変異株が確認されています。引き続き、県内の感染者、陽性判明者全員を対象に変異株の検査を行い、早期の探知に努めていただくようお願いします。

また、この問題で目下の最重要課題は、感染防止の切り札であるワクチン接種であります。医療従事者等への接種が始まっており、今月からは高齢者の方々への接種も始まります。県内でのスムーズな接種に向けて、国や市町村、医療関係者と緊密に連携をしながら、全庁を挙げて取り組んでいただきたいと考えています。

一方で、経済影響対策も重要であります。落ち込んだ県内経済の回復に向け、まずは「高知家応援プロジェクト」など、県内における地産地消の取り組みに力を入れていただきたいと考えています。観光についても、県内旅行からはじめる形で、本県独自の宿泊割引、交通費助成をスタートさせ、先月22日からはその対象を中四国の在住者にまで広げたところであります。今後も全国の感染状況に十分注意しながら、観光需要の回復に向けた取り組みを進めてもらいたいと考えています。残念ながら、感染症の収束は未だ見通せておりません。引き続き、感染防止対策を着実に実施しながら、社会経済活動との両立を図るという考え方で、各分野の事業に取り組んでいただきたいと考えています。

 

 

(ウィズコロナ、アフターコロナ時代における3つのキーワードに基づく取り組み)

 

次に、ウィズコロナ、アフターコロナの時代における取り組みと、少し一歩先を見据えた取り組みについてです。

これからの時代において、キーワードとなるものは3つあると考えています。1つ目には「デジタル化」、2つ目は「グリーン化」、3つ目には「グローバル化」、これはグローバル化への備えが、今必要という文脈で申し上げたいと思います。この3つを念頭に置いて、国の内外の潮流を捉えて、新たな取り組みにも果敢に挑戦をしていく1年としていただきたいと思います。

 

 

(デジタル化)

 

まず、1つ目の「デジタル化」についてであります。

非対面、非接触というコロナ対応の面もありますが、県民生活の利便性、あるいは経済活動における生産性を飛躍的に向上させるためには、AI、IoTといったデジタル技術の活用が必要不可欠であります。産業の分野はもちろん、医療・福祉、教育、土木、行政など、様々な分野において積極的にデジタル技術の導入を進めていくことが必要であり、ぜひ、全国に先駆けた取り組みをお願いしたいと思います。

その中でも、産業分野については、県が先導する第一次産業分野における「Next次世代型こうち新施設園芸システム」の開発、あるいは「スマート林業」、そして「高知マリンイノベーション」といったデジタル化の取り組みをさらに加速させていただきたいと考えています。

また、商工業分野におきましても、例えば製造業において、生産工程の情報を社内の管理部門、営業部門とリアルタイムで共有していく。あるいは小売業において、来店者の行動をAIで解析して顧客サービスの向上や販売促進につなげていく。そういったモデル事例を創り出して、取り組みの過程で得られた効果を県内の事業者に横展開していきたいと考えています。

また、医療福祉分野においては、中山間地域などでの遠隔医療を推進していくということとあわせて、「高知あんしんネット」、「高知家@ライン(こうちケアライン)」の普及を進めていただきたいと考えています。

さらに、教育分野においても、1人1台タブレットを活用して、子どもたち一人ひとりの理解度に合わせた指導に取り組むこととあわせて、教員のICTの活用力、指導力の向上を図っていただきたいと考えています。

このほかにも行政分野においては、押印手続きの見直しを進めるといった課題のほか、AI-OCRの導入、AI-FAQの拡充などに取り組み、県民サービスの向上や行政事務の効率化を図っていく必要があります。先日策定しましたデジタル化推進計画に基づきまして、これら一連の取り組みをしっかりとフォローアップしながら、全庁一丸となって進めていくようお願いします。

 

 

(グリーン化)

 

次に、2つ目の「グリーン化」というキーワードについてです。

都会においては、コロナ禍もあり、「密」を避けて地方での生活を志向するという新たな人の流れが生まれつつあります。また、政府は2050年のカーボンニュートラルに向けた「グリーン成長戦略」を策定し、取り組みを進めようとしている、そういう局面にあります。こうした人々の暮らし方、働き方の変化や、脱炭素に向けた国の政策展開などを追い風として、県政の発展につなげたいと考えています。このため、都市部からの移住促進策の一層の強化、また自然を生かした体験型観光など、自然というキーワードに基づく施策をさらに推進していきたいと思います。

 また、豊富な森林資源を生かし、再造林や耕作放棄地への新規植林などによる森林吸収源対策を進めていく、そして、CLTの普及、県産材の利用促進などにあわせて、建物の木造化も進めていくことにより、「都市の脱炭素化」につなげていく取り組みも重要であります。加えて、環境価値の高いものづくりを支援するといった、新たな成長の芽となるグリーン化関連産業の育成にも取り組む視点も必要です。こうした点に意を払って、グリーン化というキーワードの施策群を進めていただければと考えています。

 

 

 

 

(グローバル化)

 

3つ目は「グローバル化」についてです。

ウィズコロナ、アフターコロナの時代、特にアフターコロナの時代を見据えたグローバル化への備えと言ってもいいと考えています。我が国全体の将来的な人口減少は避けられません。そうした中、県経済の中長期的な発展ということを考えますと、海外に目を向けた施策についても、今からしっかりとした備えを行っておく必要があります。

具体的には、コロナ収束後の国際的な経済活動の再開も見据え、インバウンド観光、あるいは県産品の輸出拡大、さらには外国人材の受け入れなどの取り組みを着実に進めていただきたいと思います。

 

 

(その他の主要な取り組み)

 

 次に、各分野の主な取り組みについてお話をさせていただきます。 

 

 

(関西圏との経済連携)

 

1つ目は、関西圏との経済連携強化についてであります。

これに向けては「関西・高知経済連携強化戦略」を昨年度末に策定しました。「観光推進」、「食品等の外商拡大」、そして「万博・IRとの連携」という3本柱のプロジェクトを本年度、いよいよ本格的にスタートさせます。

 このうち「観光推進」の取り組みについては、令和5年度に関西圏からの観光客入込数を121万人以上とするといった数値目標を設定しました。この達成に向けて、公益財団法人大阪観光局ともしっかり連携し、関西圏をはじめ、全国からの誘客に向けた取り組みを進めてもらいたいと考えています。

また「食品等の外商拡大」の取り組みについては、関西圏の卸売市場関係者などとの連携を一層強化し、外商活動の拡大に着実に取り組んでいただきたいと考えています。

 

 

(日本一の健康長寿県構想)

 

次に、日本一の健康長寿県構想に関連して2点申し上げます。

まず、糖尿病性腎症対策についてです。重症化リスクの高い人を抽出して早期治療につなげる取り組みや、透析導入が数年後に予測される患者に保健指導を行う取り組みなどを一層強化する必要があります。施策効果の測定にも意を払いながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

また、在宅療養体制の充実も大きな課題です。介護事業所を併設した高齢者向け住居の整備や、GPSを活用した高齢者の見守りサービスを進めるなど、地域で高齢者の在宅療養を可能とする環境の整備をさらに進めていただきたいと思います。

 

 

(南海トラフ地震対策)

 

次に、南海トラフ地震対策について、申し上げます。 

本年度は、第4期行動計画の最終年度となります。行動計画の目標達成に向けて、1つには「命を守る」対策。2つには「命をつなぐ」対策。3つには「生活を立ち上げる」対策。こうした中で、事前復興のまちづくりなども含めて、全力で対策を進めていく必要があると考えています。

あわせて、第4期計画の取り組みを総括し、明らかになった課題を踏まえて、対策をさらに強化する第5期計画の策定も課題となります。

 

 

(中山間対策)

 

次に、中山間地域の振興対策についてであります。

本年度は、中山間地域の集落の実態、あるいは住民の皆さまの思いを直接お聞きする形で、10年ぶりに県内全域の小規模集落を対象とした実態調査を実施することとしています。この調査結果の分析や、これまでの事業効果の検証などを踏まえて、若者が住み続けられる中山間地域の実現に向けて、全庁を挙げてさらなる施策の検討を行っていただきたいと考えています。

 

 

(まとめ)

 

このほか、経済の活性化をはじめとした5つの基本政策、そして中山間対策などをはじめとした3つの横断的政策など、県勢浮揚に向けた施策をさらに進化させていくことが重要になります。

引き続きアンテナを高く、広く張って、国の政策等について情報収集を行い、積極的に活用を図るように意を払ってください。また、市町村や現場に情報提供を行い、県や国の事業をしっかりと活用をしていただく。また、さらに改善、拡充が求められる点等について現場の意見を汲み取り、国への政策提言、あるいは要望も行っていく。こうした形で政策形成、政策実行の好循環を生み出していくように注意をしていただければと思います。

 

 

(終わりに)

 

最後に、管理職の皆さんには特に留意をしていただきたい事項についてお話します。

県の様々な施策を前進させ、県庁が組織として最大の成果を上げていくためには、何といいましても職場の風通しを良くしていくことが重要であります。職員がチームワークを発揮できるように、職員間のコミュニケーションの活性化には特に意を払っていただきたいと考えています。

また、男性職員の育児休業については、令和6年度末までに取得率を50パーセントとする意欲的な目標を県庁としても掲げています。この達成に向けて、積極的な取り組みを引き続きお願いしたいと思います。

コロナ禍の厳しい局面を乗り越えて、高知県がさらに飛躍できますよう、私自身が先頭に立って皆さんとともに挑戦をしてまいる所存です。

本年度もどうか、私と一緒に、県政の前進のために努力をいただきますようお願いします。

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総合企画部 広報広聴課
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